JP3082720B2 - 半導体集積回路の保護回路 - Google Patents

半導体集積回路の保護回路

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JP3082720B2
JP3082720B2 JP09241264A JP24126497A JP3082720B2 JP 3082720 B2 JP3082720 B2 JP 3082720B2 JP 09241264 A JP09241264 A JP 09241264A JP 24126497 A JP24126497 A JP 24126497A JP 3082720 B2 JP3082720 B2 JP 3082720B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体集積回路の
保護回路に関し、特に、同一チップ上に形成したCMO
S論理回路を、静電気など外部からの異常高電圧から保
護するための保護回路に関する。
【0002】
【従来の技術】図4に、従来の技術によるこの種の保護
回路の一例(従来例1)の回路図を示す。図4を参照し
て、この図に示される保護回路は、高位電源線2と低位
電源線3との間に、保護素子としての電圧クランプ用ダ
イオードDi1を逆方向に接続した構成となっている。高
・低二つの電源線2,3の間に直列に接続されたpMO
SトランジスタQP1及びnMOSトランジスタQN1は、
保護すべきCMOS論理回路を代表して表わしたもので
ある。保護素子であるダイオードDi1の降伏電圧および
内部抵抗は、保護される方のCMOS論理回路(被保護
素子であるpMOSトランジスタQP1やnMOSトラン
ジスタQN1の組合せからなる)の降伏電圧および内部抵
抗よりも低くされている。このようにしておけば、高位
電源端子9に正、低位電源端子11に負の外来異常高電
圧が印加されたときでも、電流の殆どはダイオードDi1
を流れるので、MOSトランジスタQP1,QN1などの回
路素子は保護される。
【0003】また、一般にダイオードは、損失電力の点
からいえば、順方向電流耐量の方が逆方向降伏電流耐量
より十分強い。従って、ダイオードDi1に順方向電流が
流れても、破壊耐量が低下することはない。このことか
ら、ダイオードDi1及び、pMOSトランジスタQP1
nMOSトランジスタQN1にそれぞれ必然的に寄生する
ダイオード6,7の順方向の電流経路も考慮すれば、高
位電源端子9、出力端子10及び低位電源端子11のい
ずれの端子間にいかなる極性の外来異常高電圧が印加さ
れても、内部の被保護素子QP1,QN1は、ダイオードD
i1の設計された破壊耐量の範囲内で保護されることにな
る。
【0004】上述の例は保護素子にダイオードを用いた
例であるが、ダイオードの替りに、被保護素子であるM
OSトランジスタに準拠した構造のMOSトランジスタ
を利用することも、しばしば行われる。図5は、高位電
源線2と低位電源線3の間に保護素子として、pMOS
トランジスタQP2とnMOSトランジスタQN2をそれぞ
れ接続した保護回路(従来例2)の回路構成を示す図で
ある。pMOSトランジスタQP2は、ソース電極とゲー
ト電極とを共に高位電源線2に接続し、ドレイン電極を
低位電源線3に接続して、ダイオード接続にしてある。
一方、nMOSトランジスタQN2は、ソース電極とゲー
ト電極と共に低位電源線3に接続し、ドレイン電極を高
位電源線2に接続して、ダイオード接続にしてある。こ
れら従来例2における二つの保護用MOSトランジスタ
P2,QN2は被保護素子であるMOSトランジスタ
P1,QN1を、従来例1においてダイオードDi1が示す
と同じ作用・原理により、外来異常電圧から保護する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図4に示す従来例1の
ような、専用の保護ダイオードを使用する保護回路にお
ける第一の問題は、被保護素子の降伏電圧を半導体集積
回路の定格電圧よりもかなり高く設計しなければならな
いことであり、その結果、降伏電圧に対し二律背反にあ
る被保護素子の電流能力が低下してしまうことである。
【0006】すなわち、保護素子であるダイオードDi1
の降伏電圧は、半導体集積回路の定格電圧以上で、且
つ、被保護素子であるMOSトランジスタQP1,QN1
降伏電圧以下に設計しなければならないのであるが、M
OSトランジスタQP1,QN1の降伏電圧とダイオードD
i1の降伏電圧とは、互いにほぼ相関無しにばらつく。そ
の降伏電圧のばらつきと良品率との関係を考慮すれば、
例えば定格が150Vの半導体集積回路の場合、保護用
ダイオード8の降伏電圧を170Vとし、被保護素子で
あるpMOSトランジスタQP1及びnMOSトランジス
タQN1の降伏電圧はいずれも200V以上としなければ
ならない。このように、被保護素子の降伏電圧を定格電
圧に対しかなり高めに設定しなければならず、二律背反
項目である電流能力がその分低下してしまうのである。
【0007】従来例1のような、保護素子にダイオード
を用いる場合の第二の問題は、保護用ダイオードの降伏
電圧を実現するに当り、殆どの場合、拡散層を形成する
ための新しい製造工程を追加しなければならないことで
ある。pn接合の降伏電圧は不純物濃度が低い方の拡散
層の不純物濃度で支配されており、製造工程を追加せず
に得られる拡散層の組合せだけでは、実現できる降伏電
圧に限りがあるためである。
【0008】保護素子にダイオードを使用することに起
因する、被保護素子および保護素子それぞれの降伏電圧
の無相関のばらつき及びこれに伴う被保護素子の電流能
力の低下は、従来例2のように、保護すべきMOSトラ
ンジスタQP1,QN1に準じた構造で、ゲート電極とソー
ス電極とを同電位としてオフ状態とさせた、pMOSト
ランジスタQP2及びnMOSトランジスタQN2を保護素
子に用いることによって、改善される。被保護素子のp
MOSトランジスタQP1と保護素子のpMOSトランジ
スタQP2及び、被保護素子のnMOSトランジスタQN1
と保護素子のnMOSトランジスタQN2のそれぞれで降
伏電圧の相対精度が確保されるので、被保護素子の降伏
電圧を定格よりそれほど大きく設計する必要はないから
である。例えば、定格電圧が150Vの製品であれば、
被保護素子であるpMOSトランジスタQP1及びnMO
SトランジスタQN1の降伏電圧をいずれも175Vと
し、保護素子のpMOSトランジスタQP2及びnMOS
トランジスタQN2の降伏電圧は、被保護素子であるpM
OSトランジスタQP1及びnMOSトランジスタQN1
降伏電圧より5V程度下げた値にすればよい。このよう
な降伏電圧を持つ保護用MOSトランジスタQP2,QN2
は、被保護素子であるpMOSトランジスタQP1及びn
MOSトランジスタQN1と同一の構造で、ただドレイン
拡散層の長さを短くするなどにより実現できる。このよ
うにすれば、保護素子形成のために製造工程を新たに追
加する必要は、ない。しかしながら、この従来例2のよ
うな構造は、保護素子であるMOSトランジスタQP2
N2の面積が大きくなってしまうという問題を含んでい
る。
【0009】すなわち、従来例2においては、被保護素
子のpMOSトランジスタQP1と保護素子のpMOSト
ランジスタQP2との間、被保護素子のnMOSトランジ
スタQN1と保護素子のnMOSトランジスタQN2との間
それぞれにおいては降伏電圧の相対精度は確保できるも
のの、保護素子のpMOSトランジスタQP2と保護素子
のnMOSトランジスタQN2との間では、被保護素子の
pMOSトランジスタQP1と被保護素子のnMOSトラ
ンジスタQN1との間におけると同様に、降伏電圧はほぼ
無相関でばらつく。外部から異常電圧が加わって保護素
子が降伏する際、保護素子のpMOSトランジスタQP2
及び保護素子のnMOSトランジスタQN2の内、まず降
伏電圧の低い方から降伏し、その後の動作抵抗に基づく
電圧上昇があり、残りの方の降伏電圧に達して、初めて
もう一方のトランジスタが降伏する。この場合、電流
は、最初に降伏した方が他方よりも多く流れることにな
り、その差は降伏電圧の差が大きければ大きいほど、顕
著である。このような条件の元で保護素子を設計するに
当っては、一方の降伏電圧が分布の上限にばらつき他方
が分布の下限にばらついた場合においても、保護能力が
得られるよう設計しなければならない。
【0010】例えば保護用pMOSトランジスタQP2
びnMOSトランジスタQN2の設計上の降伏電圧が共に
175Vであるのに対し、それぞれ190Vと160V
になった場合でもMOSトランジスタQP1,QN1は保護
されなければならない。このような場合を想定すると、
通常要求される保護素子の動作抵抗を考慮しても、保護
用pMOSトランジスタQP2或いは保護用nMOSトラ
ンジスタQN2のいずれか一方のみでも保護能力が得られ
なければならないことになる。このように、保護用pM
OSトランジスタQP2及び保護用nMOSトランジスタ
N2を並列接続しているにもかかわらず、pMOSトラ
ンジスタQP2及びnMOSトランジスタQN2の一方のみ
でも保護能力が得られるような設計にしておかなければ
ならないのである。
【0011】従って本発明は、CMOS回路を静電気の
放電などのような外部からの異常電圧から保護するため
の保護回路の占有面積の縮小化または、同一面積とした
ときの保護能力の向上を目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体集積回路
の保護回路は、高位電源線と低位電源線との間に、それ
ぞれ絶縁ゲート形電界効果トランジスタを有する二つの
電流経路を並列に設け、一方の電流経路中に、電流経路
を流れる電流量に応じた電圧を生じさせる手段を設け、
前記高位電源線と低位電源線との間に所定の範囲を越え
る電圧が加わったとき、前記一方の電流経路中の絶縁ゲ
ート形電界効果トランジスタが降伏し、降伏に伴う降伏
電流により生じる電圧で他方の電流経路中の絶縁ゲート
形電界効果トランジスタがオン状態に変化して、前記高
位電源線と低位電源線との間に加わった所定の範囲を越
える電圧による電荷を、絶縁ゲート形電界効果トランジ
スタのオン電流で放電させる構成になっている
【0013】本発明の半導体集積回路の保護回路は、高
位電源線と低位電源線との間に、pMOSトランジスタ
を持つ電流経路と、nMOSトランジスタを持つ電流経
路の二つの電流経路を並列に備えている。そして、高位
電源線と低位電源線との間に過大な電圧が印加される
と、pMOSトランジスタ或いはnMOSトランジスタ
の中、降伏電圧の低い方のMOSトランジスタが先ず降
伏を起こす。降伏後、降伏電流が大きくなると、始めに
降伏した方のMOSトランジスタに直列接続された第1
抵抗の両端電圧が降伏電流に比例して増大する。その抵
抗の両端電圧は、もう一方の降伏電圧の高い方のMOS
トランジスタのソース・ゲート電極間に与えられる。そ
して、降伏電圧の高い方のMOSトランジスタのソース
・ドレイン間電圧がそのトランジスタのしきい値を越え
たところで、降伏電圧の高い方のMOSトランジスタが
オン状態に遷移する。その後、オン状態の程度の増大に
伴いオン電流も増大し、降伏電圧の高い方のMOSトラ
ンジスタに直列接続された第2抵抗の両端の電圧が大き
くなって行く。この第2抵抗の両端電圧は、降伏電圧の
低い方のトランジスタのソース・ゲート電極間に与えら
れている。そこで、降伏電圧の低い方のMOSトランジ
スタのソース・ドレイン間電圧がそのトランジスタのし
きい値を超えたところで、降伏電圧の低い方のMOSト
ランジスタがそれまでの降伏状態からオン状態へ遷移す
る。これにより、降伏電圧の高い方のMOSトランジス
タの電流が、更に増加する。つまり、pMOSトランジ
スタのオン電流が増大するとnMOSトランジスタのソ
ース・ゲート間電圧が増大し、nMOSトランジスタの
オン電流を増大させる。逆も同様で、nMOSトランジ
スタのオン電流が増大するとpMOSトランジスタのソ
ース・ゲート間電圧が増大し、pMOSトランジスタの
オン電流を増大させる。このように、降伏電圧の低い方
のMOSトランジスタが降伏し、その後、ある定められ
た値まで電流が流れると、降伏電圧の高い方のMOSト
ランジスタがオン状態となり、その後は、pMOSトラ
ンジスタとnMOSトランジスタとが互いに相手のオン
電流を増大させ合うという正帰還のループにはいる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図1(a)に本発明の第
1の実施例(実施例1)の回路図を示し、図1(b)に
この実施例における高・低両電源線間の電圧・電流特性
を、示す。図1(a)を参照して、pMOSトランジス
タQP1とnMOSトランジスタQN1が直列接続されてい
る。これら二つのトランジスタで、保護すべきCMOS
論理回路を代表させている。高位、低位二つの電源端子
9,11の間には更に、pMOSトランジスタQP2と第
1抵抗素子R1 との直列回路および、第2抵抗素子R2
とnMOSトランジスタQN2との直列回路が接続されて
いる。これらトランジスタと抵抗との直列回路を並列に
した回路が、CMOS論理回路を保護する保護回路であ
る。
【0015】保護される側のpMOSトランジスタQP1
と保護する側のpMOSトランジスタQP2とは、基本的
には同じ構造である。但し、保護用pMOSトランジス
タQP2のドレイン拡散層の長さを短くすることにより、
pMOSトランジスタQP2の降伏電圧をpMOSトラン
ジスタQP1のそれより小さくしてある。本実施例でも、
二つのトランジスタQP1,QP2は同一半導体基板上に形
成されているので、両トランジスタの降伏電圧の相対精
度は、設計上考慮する必要のない程度にまで高く保たれ
ている。同様のことが、被保護素子であるnMOSトラ
ンジスタQN1と保護回路を構成するnMOSトランジス
タQN2との間にも成り立っている。尚、第1抵抗素子R
1 及び第2抵抗素子R2 は、多結晶シリコンで形成され
た抵抗である。
【0016】本実施例による半導体集積回路1は、その
出力端子10が例えばプラズマディスプレイパネルのデ
ータ線電極に直結してパネルを駆動する、定格電圧15
0Vの駆動用半導体装置である。出力段はCMOS構成
であり、pMOSトランジスタQP1、nMOSトランジ
スタQN1の設計降伏電圧は、共に175Vである。一
方、保護回路を構成するpMOSトランジスタQP2は、
pMOSトランジスタQP1と基本的には同じ構造である
が、ドレイン拡散層の長さをpMOSトランジスタQP1
より短くして、設計降伏電圧を170Vにしている。n
MOSトランジスタQN2も同様の設計で、その設計降伏
電圧は170Vである。尚、第1抵抗素子R1 、第2抵
抗素子R2 は共に、多結晶シリコン抵抗である。
【0017】図1(b)に示す保護回路の電圧電流特性
を参照して、pMOSトランジスタQP2、nMOSトラ
ンジスタQN2は共に降伏電圧170Vの設計であるが、
双方とも、この設計値170Vに対し±15Vの範囲内
でばらつく。いま、高位電源端子9に正の異常電圧、低
位電源端子11に負の異常電圧が印加されると、pMO
SトランジスタQP2、nMOSトランジスタQN2の内、
製造時のばらつきにより降伏電圧の低い方(図1(b)
の場合は、165V)から先に降伏を起こす。降伏電流
が或る値(同、60mA)になると、降伏電流によって
抵抗素子の両端に生じる電圧が降伏電圧が高い方のMO
Sトランジスタのしきい値電圧を超え、その降伏電圧が
高い方のMOSトランジスタをオン状態にさせる。それ
以後は、pMOSトランジスタQP2とnMOSトランジ
スタQN2とが互いに相手のオン電流を増大させるような
正帰還のループ18にはいる。その後さらに電流が流
れ、やがて破壊点20に至る。破壊点20は、保証して
いる異常電圧を集積回路1の外部から印加しても保護回
路が破壊しないような領域に設定する。尚、図1(b)
中の破壊点19は、図1(a)においてpMOSトラン
ジスタQP2とnMOSトランジスタQN2でオン電流の正
帰還がかからないと仮定したときの破壊点である。この
破壊点は、第1抵抗素子R1 の抵抗値=第2抵抗素子R
2 の抵抗値=0Ωとしたときの破壊点であり、従来例2
(図5)における破壊点と同じになる。
【0018】本実施例の保護回路は、以下のようにし
て、実現させる。先ず、実際に保護回路に流せる電流値
を決める。この電流値は、半導体集積回路の保証規格値
から決定される。図1(b)の場合は、500mAであ
る。次に、この電流はpMOSトランジスタQP2とnM
OSトランジスタQN2とに分れて流れるのであるが、そ
の分担比を決める。分担比は、pMOSトランジスタQ
P2の面積とnMOSトランジスタQN2の面積との合計面
積が小さいほど好ましいことと、保証規格値以上の過電
圧が実際に印加され保護回路が破壊される際、pMOS
トランジスタQP2が破壊される確率とnMOSトランジ
スタQN2が破壊される確率とが均衡しているほど好まし
いことを考慮して設定する。本実施例では、pMOSト
ランジスタQP2とnMOSトランジスタQN2の電流比
は、2対3とする。この電流比となるようpMOSトラ
ンジスタQP2のゲート幅とnMOSトランジスタQN2
ゲート幅との比を決定する。そして、破壊の直前にはp
MOSトランジスタQP2に200mA、nMOSトラン
ジスタQN2に300mA流れることになるので、共にそ
れだけの電流が流せるように、ゲート幅の絶対値を決定
する。第1抵抗素子R1及び第2抵抗素子R2 の抵抗値
は、降伏電圧の低い方のMOSトランジスタが降伏した
後、降伏電流をどの程度まで流してからスナップバック
(図1(b)中の、曲線18)を起こさせるかによって
決定する。このスナップバックを起こさせる迄の電流
(同、60mA)を小さく設定しすぎると、外部からの
微弱なノイズが静電誘導等により加わる程度でスナップ
バックを起こしてしまい、実際の動作で問題となる。一
方、逆にこの電流を大きく設定しすぎると、スナップバ
ックを起こす前に、先に降伏した方のMOSトランジス
タが破壊されてしまう(同、破壊点19)。pMOSト
ランジスタQP2及びnMOSトランジスタQN2がそれぞ
れ単独で降伏を起こすと仮定した場合、いずれの降伏後
の破壊に至る電流(同、100mA)も、保護回路にし
た場合スナップバックを起こさずに保持しなければなら
ない電流(同、60mA)に対し、十分余裕があること
を確認する必要があるが、実際、問題になることはな
い。仮にpMOSトランジスタQP2とnMOSトランジ
スタQN2のいずれか一方あるいは双方においてこのこと
が満足されない場合、満足しない方のMOSトランジス
タのゲート幅を満足するまで拡大すればよい。
【0019】第1抵抗素子R1 の値は、nMOSトラン
ジスタQN2のしきい値電圧を、降伏後の保護回路が降伏
状態を保持しなければならない電流(図1(b)中の、
60mA)で割った値にする。例えば、nMOSトラン
ジスタQN2のしきい値電圧が6.0Vであれば、第1抵
抗素子R1 の抵抗値は100Ωとなる。第2抵抗素子R
2 も同様で、pMOSトランジスタQP2のしきい値電圧
を、降伏後の保護回路が降伏状態を保持しなければなら
ない電流(同、60mA)で割った値である。例えば、
pMOSトランジスタQP2のしきい値電圧も6.0Vで
あれば、第2抵抗素子R2 の抵抗値も、100Ωとな
る。そして、これら抵抗素子R1 ,R2 は、pMOSト
ランジスタQP2とnMOSトランジスタQN2それぞれに
流れる電流と同じだけの電流を流すだけの許容量を備え
ていなければならない。すなわち、本実施例の場合、第
1抵抗素子R1 は、pMOSトランジスタQP2に流れる
と同じ200mAの電流を流し、第2抵抗素子R2 は、
nMOSトランジスタQN2に流れると同じ300mAの
電流を流すことができなければならない。抵抗素子
1 ,R2 はこれらの電流値に対し、外来の異常電圧印
加に対する集積回路の保証条件に沿ったパルス性の電流
に耐えればよいのであって、直流電流には耐える必要が
ない。このことから、ポリシリコンの厚さが0.6μm
の場合で、幅W=10μm、長さL=25μm程度でよ
い。本実施例によれば、従来60mAしか流せなかった
ものが、同じ面積で8倍以上の500mA流すことがで
きる。換言すれば、同じ保護能力を得るのに、保護素子
の占有面積を従来の1/8以下にできる。
【0020】次に、本発明の他の実施例(実施例2)に
ついて、説明する。nMOSトランジスタ或いはpMO
Sトランジスタの降伏電圧の大小関係が設計により予め
決定されており、また定格電圧もそれほど高くない場合
は、図2にその回路図を示す実施例2のように、抵抗素
子を1個減らした構成にすることもできる。本実施例に
おいては、保護用nMOSトランジスタQN3の降伏電圧
は、例えば55Vであり、一方、保護用pMOSトラン
ジスタQP2の降伏電圧は、例えば65Vである。本実施
例の保護回路は前述の実施例1とは違って、正帰還は掛
からず従ってスナップバックは起こさないが、降伏電圧
が低い方の保護用MOSトランジスタ(この場合は、n
MOSトランジスタQN3)に直列に挿入した抵抗R2
流れる降伏電流により、降伏電圧が高い方のMOSトラ
ンジスタ(同、pMOSトランジスタQP2)をオン状態
にさせることができ、MOSトランジスタのオン電流で
外来異常電圧の電荷を放電できる点は、同じである。従
って、降伏電流のみで保護効果を得る従来の保護回路に
比べ、それなりに電流耐量を確保できる。本実施例は、
実施例1に比べ、スナップバックを起こさないので、
電源間のラッチアップに対する規格が厳しい半導体集積
回路に適する、抵抗素子が一個で済むので、その分保
護回路の占有面積が小さくなるという特長を有する。
【0021】ここで、MOSトランジスタのゲート酸化
膜が薄く、ドレイン・ソース間降伏電圧よりも、ゲート
・ソース間の絶縁耐圧がの方が低い場合は、図3に回路
図を示す実施例3のように、ゲート・ソース間にクラン
プ用のダイオードDi2を接続するとよい。その場合、図
3において、保護用nMOSトランジスタQN3のゲート
・ソース間電圧は、ダイオードDi2でクランプされる値
以上には上がらない。保護素子の設計に際してこのこと
を考慮する必要があるが、それ以外は、実施例1におけ
ると同じ方法で実現できる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の半導体集
積回路の保護回路は、MOSトランジスタのオン電流に
より、外来異常電圧による電荷を放電する。これにより
本発明によれば、降伏電流で保護する従来の保護回路に
比べ、同一面積でも保護能力の高い保護回路を提供でき
る。
【0023】本発明においては、高位、低位二つの電源
線間に、pMOSトランジスタ含む電流経路とnMOS
トランジスタを含む電流経路とが並列に設けられてお
り、両電源線間に外来異常電圧が加わったとき、降伏電
圧の低い方のトランジスタ先ず降伏し、その降伏電流に
より、ドレイン電極と電源線との間に設けられた抵抗素
子の両端に電圧降下が生じる。降伏電流が所定の値に達
すると、抵抗の両端に生じた電圧が降伏電圧の高い方の
MOSトランジスタのしきい値を超え、そのトランジス
タをオン状態にさせる。降伏電圧の高い方のMOSトラ
ンジスタがオン状態になり、そのオン電流で高位電源線
と低位電源線との間の電荷を放電させる。pMOS、n
MOS両トランジスタのそれぞれに対し、ドレイン電極
と電源線との間に抵抗を接続しておくと、二つのトラン
ジスタの降伏電圧の大小関係を予め決めておく必要がな
いので、回路設計が容易で、且つ、製造時の降伏電圧の
ばらつきにもかかわらず、確実に保護作用が得られるの
で、製造が容易である。しかも、一度どちらかのMOS
トランジスタがオン状態に遷移した後は、pMOSトラ
ンジスタとnMOSトランジスタとが互いにオン電流を
増大させ合う正帰還に入るので、スナップバックを起こ
し、より大きな電流を流せる。
【0024】本発明よれば、保護回路を形成するに祭
し、新たに製造工程を増やす必要はない。又、半導体集
積回路の定格電圧<保護素子の降伏電圧<被保護素子の
降伏電圧の関係を満たさせるに当たり、被保護素子と保
護素子とで降伏電圧の相対精度が確保されているので、
被保護素子の降伏電圧を半導体集積回路の定格電圧に対
しそれほど高くしておかなくてもよい。換言すれば、降
伏電圧と二律背反関係にあるMOSトランジスタの電流
能力を従来の保護回路における程に低下させる必要も、
ない。すなわち、被保護素子に準拠した構造の保護素子
を用いた従来の保護回路の長所を維持しながら、その従
来の保護回路の欠点である、保護素子の占有面積が大き
いという欠点を大幅に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の回路図及び、高位電源線と
低位電源線との間の電圧・電流特性を示す図である。
【図2】本発明の実施例2の回路図である。
【図3】本発明の実施例3の回路図である。
【図4】従来の技術による保護回路の一例の回路図であ
る。
【図5】従来の技術による保護回路の他の例の回路図で
ある。
【符号の説明】
1 半導体集積回路 2 高位電源線 3 低位電源線 6,7,14,15,22 寄生ダイオード 9 高位電源端子 10 出力端子 11 低位電源端子 18 スナップバック 19,20 破壊点 QP1,QP2 pMOSトランジスタ QN1,QN2,QN3 nMOSトランジスタ R1 ,R2 抵抗素子 Di1 保護ダイオード Di2 クランプダイオード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/822 H01L 27/04

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高位電源線と低位電源線との間に、それ
    ぞれ絶縁ゲート形電界効果トランジスタを有する二つの
    電流経路を並列に設け、 一方の電流経路中に、電流経路を流れる電流量に応じた
    電圧を生じさせる手段を設け、 前記高位電源線と低位電源線との間に所定の範囲を越え
    る電圧が加わったとき、前記一方の電流経路中の絶縁ゲ
    ート形電界効果トランジスタが降伏し、降伏に伴う降伏
    電流により生じる電圧で他方の電流経路中の絶縁ゲート
    形電界効果トランジスタがオン状態に変化して 、前記高
    位電源線と低位電源線との間に加わった所定の範囲を越
    える電圧による電荷を、絶縁ゲート形電界効果トランジ
    スタのオン電流で放電させる構成の半導体集積回路の保
    護回路。
  2. 【請求項2】 高位電源線と低位電源線との間に、それ
    ぞれ絶縁ゲート形電界効果トランジスタを有する二つの
    電流経路を並列に設け各々の電流経路中に、電流経路を流れる電流量に応じた
    電圧を生じさせる手段を設け、 前記高位電源線と低位電源線との間に所定の範囲を越え
    る電圧が加わったとき、一方の電流経路中の絶縁ゲート
    形電界効果トランジスタが降伏し、降伏に伴う降伏電流
    により生じる電圧で他方の電流経路中の絶縁ゲート形電
    界効果トランジスタがオン状態に変化するようにすると
    共に、前記他方の電流経路に流れるオン電流により生じ
    る電圧で前記一方の電流経路中の絶縁ゲート形電界効果
    トランジスタが降伏状態からオン状態に変化して、二つ
    の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのオン電流どうし
    に正帰還が掛って、前記高位電源線と低位電源線との間
    加わった所定の範囲を越える電圧による電荷を、絶縁ゲ
    ート形電界効果トランジスタのオン電流で放電させる構
    成の半導体集積回路の保護回路。
  3. 【請求項3】 高位電源線と低位電源線との間に、それ
    ぞれ絶縁ゲート形電界効果トランジスタを一つずつ含む
    二つの電流経路を並列に設け、 前記二つの絶縁ゲート形電界効果トランジスタの導電形
    を互いに異なるものにし、 一方の電流経路中のpチャネル絶縁ゲート形電界効果ト
    ランジスタはソース電極を高位電源線に接続し、他方の
    電流経路中のnチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジ
    スタはソース電極を低位電源線に接続し、 各各の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレイン電
    極とそのドレイン電極側の電源線との間に、各各の電流
    経路を絶縁ゲート形電界効果トランジスタを通して高位
    電源線から低位電源線に流れる電流に応じた電圧を発生
    する電圧発生手段を設けると共に、生じた電圧を互いに
    相手の絶縁ゲート形電界効果トランジスタのソース・ゲ
    ート間電圧として与え合わせるようにして、 前記高位電源線と低位電源線との間に所定の範囲を超え
    る電圧が加わったとき、一方の絶縁ゲート形電界効果ト
    ランジスタの降伏に伴なう降伏電流を契機として、各各
    の絶縁ゲート形電界効果トランジスタを通して流れるオ
    ン電流に正帰還が掛るようにしたことを特徴とする半導
    体集積回路の保護回路。
  4. 【請求項4】 高位電源線と低電源線との間に、ソース
    電極が前記高位電源線に接続されたpチャネル絶縁ゲー
    ト形電界効果トランジスタを含む第1の電流経路と、ソ
    ース電極が前記低位電源線に接続されたnチャネル絶縁
    ゲート形電界効果トランジスタを含む第2の電流経路と
    を並列に設け、 前記pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタ及び
    前記nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタの中
    の降伏電圧が低い方のトランジスタのドレイン電極とそ
    のドレイン電極が接続すべき電源線との間に抵抗素子を
    接続し、 前記高位電源線と前記低位電源線との間に所定の範囲を
    超える電圧が加わったとき、前記降伏電圧が低い方のト
    ランジスタに流れる降伏電流により前記抵抗素子の両端
    に生じる電圧によって降伏電圧の高い方のトランジスタ
    がオン状態に遷移して、前記高位電源線と低位電源線と
    の間に加わった所定の範囲を超える電圧による電荷を放
    電させることを特徴とする半導体集積回路の保護回路。
  5. 【請求項5】 ソース・ドレイン間降伏電圧が低い方の
    絶縁ゲート形電界効果トランジスタのソース電極とゲー
    ト電極との間に、この方向に順方向となる接合ダイオー
    ドを設けたことを特徴とする、請求項3又は請求項4に
    記載の半導体集積回路の保護回路。
  6. 【請求項6】 高位電源線と低位電源線とを有し、 pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタは、ソー
    ス電極が前記高位電源線に接続し、ドレイン電極が第一
    の抵抗素子を介して前記低位電源線に接続し、 nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタは、ソー
    ス電極が前記低位電源線に接続し、ドレイン電極が第二
    の抵抗素子を介して前記高位電源線に接続し、 前記pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲ
    ート電極は、前記nチャネル絶縁ゲート形電界効果トラ
    ンジスタのドレイン電極に接続し、 前記nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲ
    ート電極は、前記pチャネル絶縁ゲート形電界効果トラ
    ンジスタのドレイン電極に接続することを特徴とする半
    導体集積回路の保護回路。
  7. 【請求項7】 高位電源線と低位電源線とを有し、 pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタは、ソー
    ス電極が前記高位電源線に接続し、ドレイン電極が前記
    低位電源線に接続し、 nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタはソース
    ・ドレイン間降伏電圧が前記pチャネル絶縁ゲート形電
    界効果トランジスタより低く、ソース電極が前記低位電
    源線に接続し、ドレイン電極が抵抗素子を介して前記高
    位電源線に接続し、 前記pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲ
    ート電極は、前記nチャネル絶縁ゲート形電界効果トラ
    ンジスタのドレイン電極に接続し、 前記nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲ
    ート電極は、前記低位電源線に接続することを特徴とす
    る半導体集積回路の保護回路。
  8. 【請求項8】 高位電源線と低位電源線とを有し、 nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタは、ソー
    ス電極が前記低位電源線に接続し、ドレイン電極が前記
    高位電源線に接続し、 pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタはソース
    ・ドレイン間降伏電圧が前記nチャネル絶縁ゲート形電
    界効果トランジスタより低く、ソース電極が前記高位電
    源線に接続し、ドレイン電極が抵抗素子を介して前記低
    位電源線に接続し、 前記nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲ
    ート電極は、前記pチャネル絶縁ゲート形電界効果トラ
    ンジスタのドレイン電極に接続し、 前記pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲ
    ート電極は、前記高位電源線に接続することを特徴とす
    る半導体集積回路の保護回路。
  9. 【請求項9】 前記pチャネル絶縁ゲート形電界効果ト
    ランジスタ及びnチャネル絶縁ゲート形電界効果トラン
    ジスタの中の、ソース・ドレイン間降伏電圧の低いほう
    のトランジスタのソース・ゲート電極間に、この方向に
    順方向となる接合ダイオードを接続したことを特徴とす
    る、請求項6乃至8のいずれかに記載の半導体集積回路
    の保護回路。
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