JP3082136B2 - 筒状摺動部材の製造方法 - Google Patents

筒状摺動部材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーボンファイバ
を添加したポリフェニレンサルファイド樹脂を、内型お
よび外型間に射出して、スプールバルブ等の筒状摺動部
材を得る筒状摺動部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カーボンファイバを添加したポリフェニ
レンサルファイド樹脂により摺動部材を得るようにした
ものが、たとえば特許第2550088号公報により知
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
筒状摺動部材の射出成形時に、カーボンファイバを添加
したポリフェニレンサルファイド樹脂の温度が300〜
320℃、金型温度が120〜170℃程度に設定され
るのであるが、内型温度および外型温度は同一に設定さ
れるのが一般的である。ところが、内型への樹脂接触面
積は外型への樹脂接触面積よりも小さく、したがって樹
脂の内型への放熱量が外型への放熱量よりも小さくな
り、成形完了時に筒状摺動部材の内、外面の収縮速度の
差による歪みが生じて筒状摺動部材の成形寸法精度の低
下が免れず、後加工が必要となる。
【0004】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、後加工を不要とする程度に成形寸法精度を向
上し得るようにした筒状摺動部材の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、カーボンファイバを添加した、架橋タイ
プのポリフェニレンサルファイド樹脂を、内型および外
型間に射出して筒状摺動部材を得る筒状摺動部材の製造
方法であって、射出時に内型の温度を外型の温度よりも
25℃低く設定することを特徴とする。
【0006】内型の温度を外型の温度よりも低く設定す
ることにより、内型への樹脂接触面積が外型への樹脂接
触面積よりも小さいことを補って内型への樹脂からの放
熱量を増加させ、特に温度差を25℃に設定することに
より外型および内型への放熱量を均等にし、成形完了時
の筒状摺動部材の内、外面の収縮速度の差を極力小さく
抑え、歪み量を小さく抑えて成形寸法精度の向上を図る
ことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】先ず図1において、車両用自動変
速機の油圧制御装置用制御弁のスプール弁体として用い
られる筒状摺動部材1は、射出成形により一端を閉塞し
た有底円筒状に形成されるものであり、その軸方向に沿
う中間部の外周には環状凹部2が設けられる。この筒状
摺動部材1は、調圧もしくは油圧切換機能を発揮すべ
く、たとえばアルミニウム合金から成るケーシングに摺
動自在に嵌合される。
【0008】車両用自動変速機の油圧制御用である筒状
摺動部材1を構成する材料は、高温領域で前記ケーシン
グとの間での作動油洩れ量を少なくすることができるこ
と、良好な摺動性による優れた応答性および耐摩耗性を
発揮することができること、磨耗した場合でも摩耗粉が
他の構成部材に悪影響を与えないこと、高温作動油中で
の経時変化が少ないこと、ならびに軽量であること等の
特性を備えることが必要であり、そのような特性を備え
た材料として、50〜90重量%のポリフェニレンサル
ファイド樹脂(以下、PPS樹脂と言う)に10〜50
重量%のカーボンファイバを添加して成る樹脂組成物を
好適に用いることができる。
【0009】PPS樹脂としては、合成反応後に空気中
で熱処理を行なうことにより分子量を高めた架橋タイプ
と、予め高分子量に合成したリニアタイプとの2種類に
大別することができる。而して両タイプのPPS樹脂と
も、耐熱性および耐薬品性に優れたものであり、OA機
器、家電製品および自動車部品に広く用いることができ
るのであるが、図2で示すように、リニアタイプのPP
S樹脂は、高温度の作動油中での膨潤量が大きくなるの
に対し、架橋タイプのPPS樹脂は、寸法の経時変化量
が小さいものであり、高温領域で前記ケーシングとの間
での作動油洩れ量を少なくするとともに円滑な摺動を可
能とする適正クリアランスをケーシングとの間に保持す
ることが必要である筒状摺動部材1の構成材料として用
いるPPS樹脂としては、架橋タイプのPPS樹脂を用
いることが必要である。
【0010】射出成形品の強化材としては、カーボンフ
ァイバあるいはガラスファイバを用いるのが一般的であ
るが、カーボンファイバを架橋タイプのPPS樹脂に添
加することにより、ガラスファイバを添加するよりも射
出成形による成形品の寸法精度を比較的高くすることが
可能である。これは、カーボンファイバを添加して成る
樹脂組成物の方がガラスファイバを添加して成る樹脂組
成物よりも熱伝導率が高いことから、射出成形品の寸法
精度を大きく左右する要因である樹脂の冷却がより均等
に進むことに起因すると推察することができる。
【0011】また強化材としてカーボンファイバを用い
ることにより、熱膨張率を大きくすることができ、架橋
タイプのPPS樹脂にカーボンファイバを添加してなる
樹脂組成物から成るを筒状摺動部材1およびケーシング
間の間隙からの作動油洩れ量を比較的小さくすることが
できる。ここで、アルミニウム合金製のケーシング内
に、肌焼き鋼(JIS SCM420)に浸炭焼入を施
した後に研磨加工仕上げを行なって成る鉄製の筒状摺動
部材、アルミニウム合金(JIS A6061)に硬質
アルマイト処理を施した後に研磨加工仕上げを行なって
成るアルミニウム合金製の筒状摺動部材、ならびに架橋
タイプのPPS樹脂に30重量パーセントのカーボンフ
ァイバを添加して成る樹脂組成物の射出成形による筒状
摺動部材1の三者で作動油洩れ量を実験したところ、図
3で示すような結果となり、架橋タイプのPPS樹脂に
カーボンファイバを添加した樹脂組成物の射出成形によ
る筒状摺動部材1の洩れ量が、鉄製およびアニミニウム
合金製のものの洩れ量に比べて小さく、特に高温域では
作動油の粘度が小さくなることもあって鉄製およびアニ
ミニウム合金製のものの洩れ量が増大するのに対し、架
橋タイプのPPS樹脂にカーボンファイバを添加した樹
脂組成物から成る筒状摺動部材1の洩れ量を比較的小さ
く抑える得ることが明らかである。
【0012】また長時間の運転によるカーボンファイバ
の摩耗が生じて摩耗粉が作動油中に混入しても、その摩
耗粉によって他の構成部品に傷が付くことは殆どなく、
しかもガラスファイバよりも比重が軽いので、筒状摺動
部材1の軽量化を図ることが可能である。
【0013】このカーボンファイバは、繊維径および製
造法にかかわらず有効に用いることができるが、PPS
樹脂への添加量は、PPS樹脂およびカーボンファイバ
から成る樹脂組成物全体に対して、10〜50重量%に
限定することが好ましい。すなわち添加量が10重量%
以下の場合には射出成形時に高精度の成形品を得ること
が困難であり、摺動性や強度の面でも不十分である。ま
た添加量が50%以上になると、射出成形性が極端に低
下する。しかも射出成形性を補うために射出圧力や射出
速度を増大すると、射出成形時にバリ等の発生があり、
後加工が必要となるだけでなく、金型の寿命低下を招
き、高価なカーボンファイバを多量に添加するので製造
コストの増大を招くことになる。
【0014】カーボンファイバの添加量を10〜50重
量%に設定することにより、PPS樹脂は50〜90重
量%となるが、自動変速機用の筒状摺動部材1として必
要な特性を損なわない範囲で、無機充填材や有機充填材
を配合するようにしてもよい。
【0015】ところで、筒状摺動部材1の射出成形にあ
たっては、たとえば図4で示すような金型装置を用いる
ものであり、この金型装置は、筒状摺動部材1の形状に
対応したキャビティ13を相互間に形成する外型10お
よび内型11を備える。而して外型10は、筒状摺動部
材1の一端閉塞部外面に対応するとともにゲート3を備
える固定型4と、筒状摺動部材1の一端側外周に対応し
た固定型5と、筒状摺動部材1の他端側外周に対応した
固定型7と、筒状摺動部材1における軸方向中間部の環
状凹部2(図1参照)を相互に共働して形成すべく前記
両固定型5,7間で移動可能な一対の可動型6a,6b
と、両可動型6a,6bと反対側で固定型7に当接する
固定型8と、筒状摺動部材1の他端部外面に対応した円
筒状に形成されて軸方向に移動可能な可動型9とを備え
る。また内型11は、筒状摺動部材1の内面形状に対応
したピン型に形成されて軸方向に移動可能なものであ
り、該内型11には、内型11の温度を調節するための
ヒートパイプ12が内蔵される。
【0016】このような金型装置を用いて、50〜90
重量%のPPS樹脂に10〜50重量%のカーボンファ
イバを添加して成る樹脂組成物の射出成形を行なうにあ
たっては、特に限定はしないが、たとえば二軸混練機等
でPPS樹脂およびカーボンファイバを混練溶融し、ペ
レット状にカットすることにより得た樹脂組成物を、温
度300〜320℃、射出圧力300〜1000kg/
cm2 でゲート3からキャビティ13内に注入する。こ
の際、10〜50重量%のカーボンファイバを添加した
PPS樹脂の溶融粘度は、射出成形可能な溶融粘度の範
囲であれば特に限定する必要はない。
【0017】また射出成形機としては、電動サーボモー
タ駆動成形機あるいはアキュムレータ機能付き油圧成形
機であって、一定の成形条件を繰返して積極的にフィー
ドバックし得るクローズド制御機能を持つものであるこ
とが望ましく、さらにキャビティ13の真空引き成形の
有無については特に限定されるものではないが、成形品
の外観向上には真空引きが有効である。
【0018】ところで、射出成形時に外型10の温度お
よび内型11の温度によっては、成形完了時に筒状摺動
部材1の内、外面の収縮速度の差による歪みが生じて筒
状摺動部材1の成形寸法精度が低下して後加工が必要と
なるものであり、後加工が不要となる程度に成形寸法精
度を向上させるにあたって、外型10および内型11の
温度差の範囲を定めるべく、シリンダ温度を300〜3
20℃とし、射出速度を20〜40mm/secとし、
圧力を300〜1000kg/cm2 とし、外型10の
温度をたとえば170℃一定としたときに、内型11の
温度すなわち外型10および内型11の温度差を変化さ
せて筒状摺動部材1の外径寸法を、筒状摺動部材1の軸
方向に間隔をあけた4個所A,C,D,F(図1参照)
でそれぞれ測定した。
【0019】この際、内型11の温度を125℃(すな
わち外型10との温度差ΔT=45℃)とした条件1、
内型11の温度を145℃(すなわち前記温度差ΔT=
25℃)とした条件2、ならびに内型11の温度を16
5℃(すなわち前記温度差ΔT=5℃)とした条件3の
3種類の条件下において、それぞれ3個ずつ得た筒状摺
動部材1の外径寸法を測定したところ、条件1では図5
で示す結果、条件2では図6で示す結果、条件3では図
7で示す結果がそれぞれ得られた。
【0020】筒状摺動部材1の各測定個所A,C,D,
Fでは、該筒状摺動部材1の一直径線に沿う方向である
X軸方向ならびに該X軸方向に直交するY軸方向でそれ
ぞれ外径を測定しており、図5〜図7において、1X,
1Yは第1の筒状摺動部材1のX軸およびY軸方向の外
径を示し、2X,2Yは第2の筒状摺動部材1のX軸お
よびY軸方向の外径を示し、3X,3Yは第3の筒状摺
動部材1のX軸およびY軸方向の外径を示すものであ
る。
【0021】このように外型10および内型11の温度
差ΔTを変化させて得た筒状摺動部材1の外径寸法のう
ち最大寸法および最小寸法の差すなわち最大寸法差は、
図8で示すようになる。この最大寸法差は、射出成形時
の歪みにより生じるものであり、最大寸法差が小さいこ
とが成形寸法精度が優れていることになる。而して射出
成形後に後加工を不要とする程度の成形寸法精度として
は前記最大寸法差が20μm以下であることが必要であ
り、そのような成形寸法精度を得るためには、外型10
および内型11の温度差ΔTを10〜40℃、特に25
に設定すれば良いことが、図8から明らかである。
【0022】すなわち内型11の温度を外型10の温度
よりも低く設定することにより、内型11への樹脂接触
面積が外型10への樹脂接触面積よりも小さいことを補
って内型11への樹脂からの放熱量を増加させることが
でき、前記温度差を10〜40℃、特に25℃に設定す
ることにより外型10および内型11への放熱量を均等
にし、成形完了時の筒状摺動部材1の内、外面の収縮速
度の差を極力小さく抑え、歪み量を小さく抑えて成形寸
法精度の向上を図ることができるものである。
【0023】そこで、図4の金型装置では、外型10を
その温度がたとえば170℃一定となるように図示しな
い加熱手段で加熱するとともに、内型11の温度を外型
10との温度差ΔTが例えば25℃となるようにヒート
パイプ12で調温する。
【0024】次に実際に射出成形により得た実施例1〜
3および比較例1〜3の筒状摺動部材1に関して、比
重、外径寸法、真円度および同軸度の測定を行なった結
果、ならびに膨潤テストを行なった結果を示すと表1の
ようになる。
【0025】
【表1】
【0026】上記各実施例および各比較例で用いた原材
料は次の通りである。 架橋タイプのPPS樹脂;東レ社製、グレード名M−
1900 リニアタイプのPPS樹脂;東レ社製、グレード名M
−2588 カーボンファイバ;呉羽化学社製、グレード名M−1
02T ガラスファイバ;旭ファイバーグラス社製、グレード
名03MA497 また成形品の評価については次のような方法に拠った。 比重;JIS K6911準拠(水中置換法)によっ
て測定した。 外径寸法精度の評価;図1で示した外径12mmの筒
状摺動部材1の軸方向1個所での外径寸法をミツトヨ社
製のマイクロメータ(測定精度1μm)を用いて測定し
た。また図4で示した金型装置のキャビティ寸法を基準
にし、成形材料の収縮率を考慮して設定した仕上がり予
想寸法と、前記測定寸法との差が10μm以下のものを
○、10〜30μmのものを△、30μm以上のものを
×と表記した。 真円度の評価;東京精密社製の真円度測定器(測定精
度0.1μm)を用いて測定し、キャビティの真円度が
1μm以下のときに、成形品の真円度が10μm以下の
ものを○、10〜30μmのものを△、30μm以上の
ものを×と表記した。 同軸度の評価;東京精密社製の三次元測定器(測定精
度1μm)で測定し、キャビティの同軸度が1μm以下
のときに、成形品の同軸度が10μm以下のものを○、
10〜30μmのものを△、30μm以上のものを×と
表記した。 膨潤テスト;130℃の自動車用自動変速機のオイル
(ホンダ純正ATFオイル)中に1000時間浸漬し、
寸法変化量が2μm以下のものを○、2〜5μmのもの
を△、5μm以上のものを×と表記した。
【0027】さらに射出成形にあたっては、表1で示し
た各実施例および各比較例の重量部のものを、320℃
に設定した同方向二軸混練機で溶融混練し、成形用ペレ
ットを得た。このペレットを140℃で4時間かけて乾
燥し、シリンダ温度を330℃に設定した射出成形機
(FANUC社製、30A、電動サーボモータ駆動式)
を用い、外型温度を150℃、内型温度を120℃(温
度差30℃)とした状態で、前記乾燥後のペレットを直
径1mmのピンゲートから90mm/secのシリンダ
速度で注入したものである。
【0028】上記表1から明らかなように、10〜50
重量%のカーボンファイバを架橋タイプのPPS樹脂に
添加して成る樹脂組成物を、外型10および内型11の
温度差を10〜40℃の範囲として射出成形することに
より、外径寸法、真円度および同軸度を10μm以下の
高精度とした筒状摺動部材1を得ることが可能である。
またリニアタイプのPPS樹脂を用いたものは、膨潤が
大きくなるものであり、さらにガラスファイバを繊維強
化材として用いたものは、寸法精度が劣るものであり、
筒状摺動部材1としては不適当である。
【0029】また筒状摺動部材1としての適合性を確認
するために、耐摩耗性および動摩擦係数について実験し
た結果を図9に示す。この実験にあたっては、アルミニ
ウム合金(JIS A6061)に硬質アルマイト処理
を施した比較試験片と、架橋タイプのPPS樹脂に30
重量%のカーボンファイバを充填して成る樹脂成形物の
試験片とを用い、チップ側を前記両試験片とするととも
に、ディスク側にアルミニウムダイキャスト用合金(J
IS ADC12)を用い、自動変速機用オイル(ホン
ダ純正ATFオイル)を滴下するようにした。
【0030】図9から明らかなように、比較試験片は樹
脂組成物の試験片に比べて動摩擦係数が高く、しかも面
圧が少し高めになると焼付きを生じるものであり、かつ
摩耗量も大きくなる。それに対し、樹脂組成物の試験片
の動摩擦係数は低く、摩耗量も低くなるものであり、デ
ィスク側の摩耗量も測定不可能なほど軽微であった。
【0031】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計
変更を行なうことが可能である。
【0032】たとえば本発明は、車両用自動変速機の油
圧制御装置に用いられる筒状摺動部材1だけでなく、カ
ーボンファイバを添加したPPS樹脂から成る樹脂組成
物の射出成形による筒状摺動部材に広く適用可能であ
る。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、内型の温
度を外型の温度よりも低く設定して内型への樹脂からの
放熱量を増加させ、特に温度差を25℃に設定すること
により外型および内型への放熱量を均等にして成形完了
時の筒状摺動部材の内、外面の収縮速度の差を極力小さ
く抑え、歪み量を小さく抑えて成形寸法精度の向上を図
ることができる。またポリフェニレンサルファイド樹脂
を架橋タイプとしたことで寸法の経時変化量が小さくな
り、またこのような架橋タイプのポリフェニレンサルフ
ァイド樹脂にカーボンファイバを添加したことにより、
筒状摺動部材及びケーシング間の間隙からの作動油洩れ
量を比較的小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】筒状摺動部材の縦断面図である。
【図2】膨潤テストの結果を示すグラフである。
【図3】作動油洩れ量テストの結果を示すグラフであ
る。
【図4】金型装置の縦断面図である。
【図5】条件1での外径寸法測定結果を示すグラフであ
る。
【図6】条件2での外径寸法測定結果を示すグラフであ
る。
【図7】条件3での外径寸法測定結果を示すグラフであ
る。
【図8】温度差による最大寸法差を示すグラフである。
【図9】面圧による動摩擦係数の変化を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1・・・筒状摺動部材 10・・・外型 11・・・内型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 105:12 B29L 23:00 (72)発明者 秋岡 雅裕 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 菅野 福男 神奈川県川崎市幸区塚越3丁目474番地 2 旭硝子株式会社 玉川分室内 (72)発明者 安井 一郎 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号 旭硝子株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−219357(JP,A) 特許2550088(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボンファイバを添加した、架橋タイ
    プのポリフェニレンサルファイド樹脂を、内型(11)
    および外型(10)間に射出して筒状摺動部材(1)を
    得る筒状摺動部材の製造方法であって、 射出時に内型(11)の温度を外型(10)の温度より
    25℃低く設定することを特徴とする、筒状摺動部材
    の製造方法。
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