JP3081745B2 - 安定化されたポリエステル−ポリカーボネート組成物 - Google Patents

安定化されたポリエステル−ポリカーボネート組成物

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JP3081745B2 JP05300749A JP30074993A JP3081745B2 JP 3081745 B2 JP3081745 B2 JP 3081745B2 JP 05300749 A JP05300749 A JP 05300749A JP 30074993 A JP30074993 A JP 30074993A JP 3081745 B2 JP3081745 B2 JP 3081745B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリカーボネート−ポリ
エステル組成物に関する。特に、本発明はエステル−カ
ーボネート交換に対して安定化された改良ポリエステル
−ポリカーボネート組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル−ポリカーボネート組成物
は産業界において広く使用されている。しかしながら、
これらの組成物はエステル−カーボネート交換を受ける
傾向があるという難点があり、その際ポリカーボネート
及びポリエステルの両者中のエステル結合が破壊されて
アルキレンカーボネート結合及びアリールカルボキシレ
ート結合に置き換えられるものと考えられる。その結
果、これらの重合体中の分子結合の混成が起こるために
それらの物理的性質が低下し、これはさらに最終製品に
品質のばらつきをもたらす。
【0003】ポリエステル−ポリカーボネート組成物に
おけるエステル−カーボネート交換はポリエステル中に
存在する金属含有触媒(以下金属触媒という)残渣によ
って促進されると考えられる。これらの残渣は重合触媒
としてある種の金属化合物を使用するポリエステルの製
造のための重合反応から残留するものである。しかしな
がら、これらの金属化合物はまたポリカーボネートとポ
リエステルとのエステル交換反応の触媒としても作用す
るものと思われる。
【0004】ポリカーボネート/ポリエステル組成物中
に存在する金属触媒残渣を失活させる化合物を提供する
ことが望ましい。かく得られるポリエステル−ポリカー
ボネート組成物は、エステル−カーボネート交換を受け
る傾向が低減され、したがってかゝる交換に対して安定
化される点で改善されるであろう。ある種の含燐無機化
合物が金属触媒残渣の失活に有用であることは当該技術
において既知である(たとえば、Jaquissらの米
国特許第4,532,290号明細書及びWooten
らの米国特許第4,401,804号明細書の記載を参
照)。
【0005】本出願人自身の1992年6月2日付の米
国特許出願SN. 号明細書にはポリエス
テル−ポリカーボネート組成物中の金属触媒残渣の失活
にシリルホスフェートを使用することが開示されてい
る。本発明はある種のオルガノオルトシリケート化合物
がポリカーボネート−ポリエステル組成物中の金属触媒
残渣を有効に失活するであろうとの知見に基づくもので
ある。
【0006】
【発明の概要】本発明は、つぎの成分: (A)少なくとも一種のアルカンジオールと少なくとも
一種のジカルボン酸又はそのジアルキルエステルとを金
属触媒の存在下に反応させることによって製造された少
なくとも一種のポリエステル、(B)少なくとも一種の
ポリカーボネート、たゞし成分(A)及び(B)の重量
の合計は100重量部とする、及び(C)一般式:
【0007】
【化4】
【0008】(式中、0≦a≦3;1≦b≦4;a+b
=4;0≦c≦3;c+d=3;0≦e≦2;0≦f≦
2;e+f=2;0≦h≦20;0≦j≦2;0≦k≦
2;j+k=2;0≦l≦20;0≦n≦100;0≦
p≦3;0≦q≦3;d+f+p>0;p+q=3;
R、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7
8 、及びR9 はそれぞれ独立的にH、1−20個の炭
素原子をもつアルキル基、6−20個の炭素原子をもつ
アリール基、1−20個の炭素原子をもつアルキルアリ
ール基、1−20個の炭素原子をもつアルケニル基、又
は前記した基のハロゲン化誘導体である)をもつ少なく
とも一種のオルガノシリケートを含有してなり、しかも
該オルガノシリケートを組成物中におけるエステル−カ
ーボネート交換を実質的に抑制するに足る割合で含有す
るポリエステル−ポリカーボネート組成物を提供するも
のである。
【0009】本発明の組成物及び方法において、該オル
ガノシリケートは金属触媒残渣がポリカーボネート及び
ポリエステル間のエステル交換反応に対する触媒能を失
うように該残渣を実質的に失活させる。
【0010】
【発明の詳細な開示】本明細書において使用する用語
“金属含有触媒”及び“金属触媒”はポリエステルの製
造において触媒として有用であることが知られている金
属化合物触媒を指すものとする。かゝる触媒の例はヒ
素、コバルト、錫、アンチモン、亜鉛、チタン、マグネ
シウム、カルシウム、マンガン、ガリウム、ナトリウ
ム、リチウム等の有機又は無機化合物を包含する。チタ
ン化合物がしばしば使用される。かゝるチタン化合物の
例はテトラアルキルチタネート、たとえばテトライソプ
ロピルチタネート及びテトラ(2−エチルヘキシル)チ
タネートを包含する。ポリエステルの製造に有用な金属
触媒はたとえばこゝに参考文献として引用するWoot
enらの米国特許第4,401,804号明細書に記載
されている。
【0011】本発明の組成物における成分(A)は少な
くとも一種のポリエステルである。本発明の組成物及び
方法に使用されるポリエステルはポリ(アルキレンジカ
ルボキシレート)であり、これらは通常、式: O O ‖ ‖ −O−R10−O−C−R11−C− () (式中、R10は約2ないし約10個、好ましくは約2な
いし約6個の炭素原子を含む飽和二価の脂肪族基、脂環
族基、又はアリール基であり、、そしてR11は約2ない
し約20個、好ましくは約6ないし約20個の炭素原子
を含む二価の脂肪族基、脂環族基、又はアリール基であ
る)の反復単位を含んでなる。
【0012】R10によって表わされる基の例はエチレ
ン、プロピレン、トリメチレン、ペンタメチレン、ヘキ
サメチレン、ジメチレンシクロヘキサン、テトラメチレ
ン、及び1,4−シクロヘキシレン基を包含する。直鎖
の基、特にエチレン、トリメチレン、及びテトラメチレ
ン基が好ましいが、分岐鎖の基も使用し得る。本発明に
おいて使用されるポリ(アルキレンジカルボキシレー
ト)は好ましくはポリアルキレンテレフタレート又はポ
リシクロヘキシルテレフタレートである。ポリアルキレ
ンテレフタレートが好ましく、ポリ(エチレンテレフタ
レート)(“PET”)又はポリ(ブチレンテレフタレ
ート)(“PBT”)がもっとも好ましく、PETより
もPBTの方がより好ましい。ポリ(アルキレンジカル
ボキシレート)は通常ゲル透過クロマトグラフィーによ
って又はフェノール60重量%及び1,1,2,2−テ
トラクロルエタン40重量%の混合物中で30℃で測定
した固有粘度によって測定して約10,000−70,
000の範囲の数平均分子量を有する。
【0013】本発明において使用されるポリエステルは
式HO−R10−OHの少なくとも一種のアルカンジオー
ルと式HOOC−R11−COOHの少なくとも一種のジ
カルボン酸又はたとえばジアルキルエステル、ジ酸クロ
ライド、カルボン酸塩及びジアリールエステルのような
その誘導体との反応によって製造される。該ジカルボン
酸はコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、
アゼライン酸、スベリン酸のような脂肪族酸;又はシク
ロヘキサンジカルボン酸;又はイソフタル酸、テレフタ
ル酸、ナフチルジカルボン酸又はビフェニルジカルボン
酸のような芳香族酸であり得る。芳香族酸、特にテレフ
タル酸が好ましい。エステル、特に低級アルキルエステ
ルの使用が好ましい。こゝで、用語“低級アルキル”は
7個までの炭素原子をもつアルキル基を表わし、好まし
いかゝるエステルはメチル、エチル、又はブチルエステ
ルである。アルカンジオール及びジカルボン酸の反応は
典型的には金属触媒―その例はさきに示した―によって
促進される。
【0014】ポリエステルの製造に適当な別の試薬は、
たとえばこゝに参考文献として引用する米国特許第2,
465,319号、同第2,720,502号、同第
2,727,881号、同第2,822,348号及び
同第3,047,539号明細書に記載されている。ポ
リエステルの製造のためには、ジカルボン酸又はそのエ
ステル、アルカンジオール及び金属触媒を典型的には約
180℃−300℃の範囲の温度に所望のポリエステル
を形成するに十分な時間加熱する。ジオール対酸又はエ
ステルのモル比は典型的には約1:1ないし約1.4:
1、好ましくは約1.2:1ないし約1.3:1であ
り、反応を完結させるためには過剰のジオールが有用で
ある。金属触媒の使用量は典型的には酸又はエステルの
使用量に基づいて約0.005−0.2重量%である。
【0015】本明細書において、成分(B)について使
用する用語“ポリカーボネート”は式: (式中、Yは式HO−Y−OHのジヒドロキシ芳香族化
合物から誘導される二価芳香族基である)の反復単位を
含むポリカーボネートを包含する。典型的なジヒドロキ
シ芳香族化合物はビスフェノールAとしても知られる
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;
2,2−(3,5,3′,5′−テトラクロル−4,
4′−ジヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−
(3,5,3′,5′−テトラブロム−4,4′−ジヒ
ドロキシフェニル)プロパン;3,3′−ジクロル−
4,4′−ジヒドロキシジフェニル)メタン;2,2′
−ジメチル−4−メチルシクロヘキシルビスフェノール
A;シクロドデシルビスフェノールA;シクロヘキシル
ビスフェノール;及び2,2′−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン;及び2,2′−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィドである。Yが2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピル基であることがもっとも好ましく、そ
の場合、該ポリカーボネートは“ビスフェノールAポリ
カーボネート”である。
【0016】ポリカーボネートの製造法は当該技術にお
いて既知であり、たとえばこゝに参考文献として引用す
る米国特許第4,452,933号明細書に記載されて
いる。ポリカーボネートの既知の製造法は溶融重合法及
び界面重合法を包含する。ポリカーボネートは、たとえ
ばジヒドロキシ芳香族化合物をホスゲン、ハロホルメー
ト又はカーボネートエステルのようなカーボネート前駆
体、分子量調節剤、酸受容体及び触媒と反応させること
によって製造し得る。
【0017】適当なカーボネート前駆体の例は臭化カル
ボニル、塩化カルボニル及びそれらの混合物;ジフェニ
ルカーボネート;ジ(ハロフェニル)カーボネート、た
とえばジ(トリクロルフェニル)カーボネート、ジ(ト
リブロムフェニル)カーボネート等;ジ(アルキルフェ
ニル)カーボネート、たとえばジ(トリル)カーボネー
ト;ジ(ナフチル)カーボネート;ジ(クロルナフチ
ル)カーボネート、又はそれらの混合物;及び二価フェ
ノールのビスハロホルメートを包含する。
【0018】適当な分子量調節剤の例はフェノール、シ
クロヘキサノール、メタノール、アルキルフェノール、
たとえばオクチルフェノール、p−第3級ブチルフェノ
ール、等を包含する。好ましい分子量調節剤はフェノー
ル又はアルキルフェノールである。酸受容体は有機又は
無機の酸受容体のいずれでもよい。適当な有機の酸受容
体は第3級アミンであり、それらはピリジン、トリエチ
ルアミン、ジメチルアニリン、トリブチルアミン、等の
ような物質を包含する。無機の酸受容体はアルカリ又は
アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は
燐酸塩であり得る。
【0019】使用し得る触媒は典型的には単量体とホス
ゲンとの重合を助長するものである。適当な触媒はトリ
エチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチル
アニリンのような第3級アミン;テトラエチルアンモニ
ウムブロマイド、セチルトリエチルアンモニウムブロマ
イド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムヨーダイド、
テトラ−n−プロピルアンモニウムブロマイド、テトラ
メチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヨ
ーダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド
のような第四級アンモニウム化合物;及びn−ブチルト
リフェニルホスホニウムブロマイド及びメチルトリフェ
ニルホスホニウムブロマイドのような第四級ホスホニウ
ム化合物を包含する。
【0020】ポリカーボネートはまたこゝに参考文献と
して引用する米国特許第3,169,121号、同第
3,207,814号、同第4,194,038号、同
第4,156,069号、同第4,430,484号、
同第4,465,820号及び同第4,981,898
号明細書に記載されるごとき共ポリエステルカーボネー
トであることもできる。
【0021】本発明において有用な共ポリエステルカー
ボネートは商業的に入手し得る。これらは典型的には少
なくとも一種のジヒドロキシ芳香族化合物をホスゲン及
び少なくとも一種のジカルボン酸クロライド、特に塩化
イソフタロイル、塩化テレフタロイル、又はその両者、
の混合物と反応させることによって得られる。ポリエス
テル対ポリカーボネートの比は本発明にとって臨界的で
はなく、本発明の個々の実施者によって決定し得る事項
である。典型的には、ポリエステル対ポリカーボネート
の重量比は約99:1ないし約1:99の範囲、好まし
くは約95:5ないし約5:95の範囲、最も好ましく
は約50:50であろう。
【0022】本発明において使用されるオルガノシリケ
ート(C)は一般式: (R)a (R1 O)b Si (III) の線状単量体状化合物;又は一般式:
【0023】
【化5】
【0024】の線状重合体状化合物;又は一般式:
【0025】
【化6】
【0026】の環式化合物である。上記式中、0≦a≦
3;1≦b≦4;a+b=4;0≦c≦3;c+d=
3;0≦e≦2;0≦f≦2;e+f=2;0≦h≦2
0;0≦j≦2;0≦k≦2;j+k=2;0≦l≦2
0;0≦n≦100;0≦p≦3;0≦q≦3;d+f
+p>0;p+q=3;R、R1 、R2 、R3 、R4
5 、R6 、R7 、R8 、及びR9 はそれぞれ独立的に
H、1−20個の炭素原子をもつアルキル基、6−20
個の炭素原子をもつアリール基、1−20個の炭素原子
をもつアルキルアリール基、1−20個の炭素原子をも
つアルケニル基、又は前記した基のハロゲン化誘導体を
表わす。該オルガノシリケートは本発明のポリエステル
−ポリカーボネート組成物中に該組成物におけるエステ
ル−カーボネート交換を実質的に抑制するに足る割合で
存在する。
【0027】上記式(III)中のR及びR1 によって表わ
し得る基の例はアルキル基、たとえばメチル、エチル、
及びヘキシル基;アリール基、たとえばフェニル、トリ
ル、レゾルシニル、及びクレジル基;アラルキル基、た
とえば2−エチルヘキシル基;又はアルケニル基、たと
えばビニル基を包含する。好ましくは、R1 はメチル又
はエチル基、そしてRはエチル又はフェニル基である。
【0028】本発明の組成物及び方法において使用し得
る好ましいオルガノシリケートの例はSi(OCH3
4 、Si(OCH2 CH3 4 、Si(0CH3
2 (OCH2 CH3 2 ,(CH3 )Si(OCH2
3 )(OPh)2 、(CH3 )Si(OCH2
3 3 、(CH3 2 Si(OCH2 CH3 2
(CH33 Si(OCH2 CH3 )、Si(OCH2
CH3 3 H、Si(OPh)4、及びポリ(ジエトキ
シ)シリケート(上式中、Phはフェニル基である)を
包含する。
【0029】本発明において使用し得るオルガノシリケ
ートは最も好ましくはSi(OPh)4 (式中、Phは
フェニル基である)又はSi(OCH2 CH3 4 であ
る。本発明において使用されるオルガノシリケートは当
該技術において既知の方法に従って製造し得る。この点
については、たとえばこゝに参考文献として引用する
W.Noll著、“Chemistry and Te
chnology of Silicones”、19
68年、Academic Press Inc.発
行,第81−82頁を参照されたい。これらの化合物は
典型的にはオルガノシランとアルコール又はアルコキシ
ドとを、酸受容体としてピリジン又は第3級アミンを用
いて、反応させることによって製造される。これらの化
合物はまたテトラ(オルガノオキシ)シランとオルガノ
金属化合物との反応によっても製造し得る。好ましくは
グリニャール化合物及びアルカリ金属の有機誘導体を使
用し得る。
【0030】本発明の組成物はさらに(D)無機又は有
機着色剤、たとえば染料又は顔料を含有し得る。かゝる
着色剤の例は群青系顔料、たとえば群青;群青紫;C.
I.ピグメントレッド187を包含する。しかしなが
ら、オルガノシリケートは酸感受性の着色剤を含有する
組成物において有利であるが、それらはまた酸に不感受
性の有機及び無機着色剤を含有する組成物にも使用し得
るものであることを理解すべきである。
【0031】本発明の重合体組成物はさらに(E)衝撃
強さを改善する一種又はそれ以上の剤、すなわち耐衝撃
性改良剤を含有し得る。ゴム状コア上に1個又はそれ以
上のシェルをグラフト結合させて構築されるいわゆるコ
ア−シェル型重合体を好ましく使用し得る。コアは通常
アクリレートゴム又はブタジエンゴムから実質的にな
る。1個又はそれ以上のシェルがコア上にグラフト結合
された。通常これらのシェルは主としてビニル芳香族化
合物及び/又はシアン化ビニル及び/又はアルキル(メ
タ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸から構
築される。コア及び/又はシェル(1個又はそれ以上
の)はしばしば架橋剤及び/又はグラフト化剤として作
用し得る多官能性化合物を含んでなる。これらの重合体
は通常数工程で製造される。
【0032】オレフィンアクリレートのようなオレフィ
ン含有共重合体及びオレフィンジエン三元共重合体も本
発明の組成物において耐衝撃性改良剤として使用し得
る。オレフィンアクリレート共重合体耐衝撃性改良剤の
一例はユニオン・カーバイド社からDPD−6169と
して入手し得るエチレン−エチルアクリレート共重合体
である。他のより高級のオレフィン単量体はアルキルア
クリレートとの共重合体として、たとえばプロピレン及
びn−ブチルアクリレート共重合体として使用し得る。
オレフィンジエン三元共重合体は当該技術において周知
であり、一般にEPDM(エチレン−プロピレン−ジエ
ン)型の三元共重合体の範疇に入る。これらはたとえば
コポリマー・ラバー・カンパニーからの“エプシン(E
PSYN)”704のごとく商業的に入手可能である。
これらはこゝに参考文献として引用する米国特許4,5
59,388号明細書により詳細に記載されている。
【0033】種々のゴム重合体及び共重合体もまた耐衝
撃性改良剤として使用し得る。かゝるゴム重合体の例は
ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びゴムジエン単量
体をもつ種々の他の重合体又は共重合体である。スチレ
ン含有重合体もまた耐衝撃性改良剤として使用し得る。
かゝる重合体の例はアクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン、スチレン−アクリロニトリル、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−α−メチルスチレン、スチレン−ブタ
ジエン、スチレンブタジエンスチレン、ジエチレンブタ
ジエンスチレン、メタクリレート−ブタジエン−スチレ
ン、高ゴムグラフト化ABS、及び他の耐衝撃性スチレ
ン含有重合体、たとえば耐衝撃性ポリスチレンである。
その他の既知の耐衝撃性改良剤は種々のエラストマー状
物質、たとえば有機シリコーンゴム、エラストマー状フ
ルオル炭化水素、エラストマー状ポリエステル、ランダ
ムブロックポリシロキサン−ポリカーボネート共重合体
等を包含する。好ましいオルガノポリシロキサン−ポリ
カーボネートブロック共重合体はジメチルシロキサン−
ポリカーボネートブロック共重合体である。
【0034】本発明の組成物はさらに(F)熱又は紫外
線照射に起因する重合体の崩壊を防止する一種又はそれ
以上の安定化剤を含有し得る。成分(F)に関して使用
する用語“安定化剤”は本発明について前述したオルガ
ノシリケートを含まないものである。本発明の組成物に
おいて成分(F)として満足に使用される安定化剤はフ
ェノール類及びそれらの誘導体;アミン及びそれらの誘
導体;ヒドロキシル基及びアミン基の両者を含む化合
物;多価金属をその低原子価状態で含む該金属の重合体
状フェノールエステル及び塩;及びアルキル、アリー
ル、アルキルアリールホスファイト、及びポリホスファ
イトを包含するオルガノホスファイトを包含する。
【0035】安定化剤として有用な代表的なフェノール
誘導体は3,5−ジ−第3級ブチル−4−ヒドロキシ−
ヒドロ桂皮酸と1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシ
エチル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3
H,5H)トリオンとのトリエステル;4,4′−ビス
(2,6−ジ第3級ブチルフェノール);1,3,5−
トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ第3級ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;及び4,
4′−ブチリデン−ビス(6−第3級ブチル−m−クレ
ゾール)を包含する。立体障害フェノールとチオジプロ
ピオン酸のエステル、メルカプチド及びホスファイトエ
ステルとの混合物が特に有用である。紫外線に対する一
層の安定化は種々のUV吸収剤、たとえば置換ベンゾフ
ェノン及び/又はベンゾトリアゾールを配合することに
よって得ることができる。
【0036】ガラス、補強用繊維、可塑剤、離型剤、難
燃化剤、酸化防止剤、クレー、タルク及び雲母のような
充填剤、等のような成分をポリカーボネート−ポリエス
テル組成物中に配合することも本発明の範囲内である。
本発明の重合体組成物は重合体混合物の製造のための任
意慣用の方法に従って得ることができる。個々の成分は
押出機中で溶融状態で一緒に混和(配合)されることが
好ましい。押出機から得られる押出体(ストランド状)
をペレットに切断する。得られるペレットはたとえば射
出成形機中でさらに加工し得る。
【0037】本発明はまた、前記した成分(A)及び
(B)を含有してなるポリエステル−ポリカーボネート
組成物に成分(C)前記した少なくとも一種のオルガノ
シリケートを該組成物中におけるエステル−カーボネー
ト交換を抑制する有効量(具体的割合は前記した)で接
触させることからなる該ポリエステル−ポリカーボネー
ト組成物中におけるエステル−カーボネート交換を抑制
する方法を提供するものである。
【0038】
【実施例の記載】つぎに本発明を実施例によってさらに
説明するが、これらは特許請求の範囲に規定した本発明
の範囲を何等限定するものではない。実施例中、特に示
さない限りすべての部は重量部である。実施例において
使用する用語の意味を以下に示す。 “PBT”― ゲル透過クロマトグラフィーによって測
定して約50,000の数平均分子量及び250℃で約
8500ポイズの溶融粘度をもつポリ(ブチレンテレフ
タレート)。ゼネラル・エレクトリック社から登録商標
“バロックス(Valox)”315として商業的に入
手し得る。 “PC”― 約68,000の重量平均分子量及び30
0℃で約9.5g/10分のメルトフロー値をもつビス
フェノールAポリカーボネート。ゼネラル・エレクトリ
ック社から登録商標“レキサン(Lexan)”145
として商業的に入手し得る。 “T”― DSC法の2度目の走査(the sec
ond scan)時点での試料の結晶融点、すなわち
試料を40℃から290℃まで20℃/分で加熱し、2
90℃で15分間保持し、80℃/分で40℃まで冷却
し、40℃で10分間保持し、ついで40℃から290
℃まで20℃/分で加熱し、その後にTを測定する。 “ΔH”― DSC法の2度目の走査時点での試料の
結晶融解熱、すなわち試料を40℃から290℃まで2
0℃/分で加熱し、290℃で15分間保持し、80℃
/分で40℃まで冷却し、40℃で10分間保持し、つ
いで40℃から290℃まで20℃/分で加熱し、その
後にΔHを測定する。 “KM653”― ローム・アンド・ハース社によって
供給されるメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレ
ン共重合体。 “ブレンデックス(Blendex)338”― GE
・スペシャルティ・ケミカルズ社によって供給されるア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体。 “KM330”― ローム・アンド・ハース社によって
供給されるメチルメタクリレート−ブチルアクリレート
共重合体。 “B56”― カネカ・コーポレーションによって供給
されるメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共
重合体。実施例1−7及び比較例A 実施例1−7はアルキルシリケート及びアリールシリケ
ートのPC/PBT配合物に対する安定化能を説明する
ものである。特定的にいえば、下記の実施例1−7はテ
トラエチルオルトシリケート(実施例1)、テトラフェ
ニルオルトシリケート(実施例2)、テトラキス(2−
エチルヘキシル)オルトシリケート(実施例3)、テト
ラキス(2−メトキシエチル)オルトシリケート(実施
例4)、ポリ(ジエトキシ)シロキサン(実施例5)、
フェニルトリエトキシシラン(実施例6)、及びジフェ
ニルジエトキシシラン(実施例7)が有効であることを
示している。比較例Aは安定化剤を含まない配合物の不
安定度を説明するものである。
【0039】実施例1−7において、それぞれの組成物
はPC及びPBTを480°F(帯域1);480°F
(帯域2);480°F(帯域3);480°F(帯域
4);480°F(帯域5);及び480°F(帯域
6)の温度で作動している真空吸引された30mmWP
二軸スクリュー押出機中で同時押出することによって製
造した。これらの組成物はPC及びPBTを50:50
のPC/PBT重量比で含有していた。シリケート物質
は後記第I表中に示した割合で組成物に添加した。
【0040】比較例Aにおいては、安定化剤を組成物に
添加しなかった以外は実施例1−7に従う方法を反復し
た。PC/PBT組成物の安定化度及びしたがって添加
された安定化剤の安定化能は該添加剤を含む組成物の結
晶融点及び結晶融解熱によって示される。各実施例及び
比較例についての結晶融点及び結晶融解熱を第I表に示
す。
【0041】 第I表 実施例1−7及び比較例A 結晶融点及び結晶融解熱 実施例 添加割合 ΔH 1 0.5 218 26 2 0.5 218 24 3 0.5 217 25 4 0.5 220 24 5 0.5 218 25 6 0.6 212 22 7 0.65 204 17 比較例A 191 8 実施例1−7及び比較例Aの結果は、好ましい物質を含
有する試料は安定化剤を含まない試料よりも実質的によ
り高い溶融安定性をもつことを示している。実施例8−13及び比較例B 実施例8−13はアルキルシリケート及びアリールシリ
ケートの耐衝撃性改良剤を含むPC/PBT配合物に対
する安定化能を説明するものである。特定的にいえば、
実施例8−13は、KM653含有配合物におけるテト
ラキス(2−エチルヘキシル)オルトシリケート(実施
例8)、ブレンデックス338含有配合物におけるテト
ラフェニルオルトシリケート(実施例9)、KM653
含有配合物におけるポリ(ジエトキシ)シロキサン(実
施例10)、ブレンデックス338含有配合物における
ポリ(ジエトキシ)シロキサン(実施例11)、B56
含有配合物におけるポリ(ジエトキシ)シロキサン(実
施例12)が有効であることを示している。比較例Bは
安定化剤を含まない配合物の不安定度を説明するもので
ある。
【0042】実施例8−13において、それぞれの組成
物はPC及びPBTを480°F(帯域1);480°
F(帯域2);480°F(帯域3);480°F(帯
域4);480°F(帯域5);及び480°F(帯域
6)の温度で作動している真空吸引された30mmWP
二軸スクリュー押出機中で同時押出することによって製
造した。これらの組成物はPC/PBT/耐衝撃性改良
剤/酸化防止剤を46/39/14/0.6の比率で含
有していた。シリケート物質は後記第II表に示す割合で
これらの組成物に添加された。
【0043】比較例Bにおいて、使用した耐衝撃性改良
剤はKM653であり、安定化剤を添加しなかった以外
は実施例8−13に述べた方法を反復した。PC/PB
T/耐衝撃性改良剤/酸化防止剤組成物の安定化度及び
したがって添加した安定化剤の安定化能は該添加剤を含
有する組成物の結晶融点及び結晶融解熱によって示され
る。
【0044】各実施例及び比較例について測定した結晶
融点及び結晶融解熱を第II表に示す。 第II表 実施例8−13及び比較例B 結晶融点及び結晶融解熱 実施例 添加割合 ΔH 8 0.5 209 3 9 0.3 219 19 10 0.5 211 17 11 0.5 216 17 12 0.5 214 17 13 0.6 223 17 比較例B ― 存在せず 存在せず 実施例8−13及び比較例Bの結果は、好ましい物質を
含有する試料は安定化剤を含まない試料よりも実質的に
より一層溶融安定性であることを示している。
【0045】実施例14及び比較例C 実施例14はアルキルシリケート及びアリールシリケー
トのPC/PBT/ガラス配合物に対する安定化能を説
明するものである。特定的にいえば、テトラフェニルオ
ルトシリケート(実施例14)の有効性を実証するもの
である。比較例Cは安定化剤を含まない配合物の不安定
度を説明するものである。
【0046】実施例14において、組成物はPC及びP
BTを480°F(帯域1);480°F(帯域2);
480°F(帯域3);480°F(帯域4);480
°F(帯域5);及び480°F(帯域6)の温度で作
動している真空吸引された30mmWP二軸スクリュー
押出機中で同時押出することによって製造した。該組成
物はPC/PBT/ガラス//酸化防止剤を22/4
6.25/30/1.55の比率で含有していた。テト
ラフェニルオルトシリケートはPC/PBT/ガラス/
酸化防止剤の100重量部当たり0.3部(pph)の
割合で該組成物に添加した。
【0047】比較例Cにおいては、安定化剤を組成物に
添加しなかった以外は実施例14の方法を反復した。P
C/PBT/ガラス/酸化防止剤組成物の安定化度及び
したがって添加した安定化剤の安定化能は該添加剤を含
有する組成物の結晶融点及び結晶融解熱によって示され
る。
【0048】測定された結晶融点及び結晶融解熱を第II
I 表に示す。 第III 表 実施例14及び比較例C 結晶融点及び結晶融解熱 実施例 ΔH 14 209 16 比較例C 存在せず 存在せず 実施例14及び比較例Cの結果は好ましい物質を含有す
る試料は安定化剤を含まない試料よりも実質的により一
層溶融安定性であることを示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−195142(JP,A) 特開 昭62−158753(JP,A) 特開 昭61−89253(JP,A) 特開 昭60−88064(JP,A) 特開 平4−226151(JP,A) 特表 昭60−501211(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 つぎの成分: (A)少なくとも一種のアルカンジオールと少なくとも
    一種のジカルボン酸又はそのジアルキルエステルとを金
    属触媒の存在下に反応させることによって製造された少
    なくとも一種のポリエステル、 (B)少なくとも一種のポリカーボネート、 (C)一般式: 【化1】 (式中、0≦a≦3;1≦b≦4;a+b=4;0≦c
    ≦3;c+d=3;0≦e≦2;0≦f≦2;e+f=
    2;0≦h≦20;0≦j≦2;0≦k≦2;j+k=
    2;0≦l≦20;0≦n≦100;0≦p≦3;0≦
    q≦3;d+f+p>0;p+q=3;R、R1
    2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 、及びR9
    はそれぞれ独立的にH、1−20個の炭素原子をもつア
    ルキル基、6−20個の炭素原子をもつアリール基、1
    −20個の炭素原子をもつアルキルアリール基、1−2
    0個の炭素原子をもつアルケニル基、又は前記した基の
    ハロゲン化誘導体である)をもつ少なくとも一種のオル
    ガノシリケート(但し、該オルガノシリケートは組成物
    中におけるエステル−カーボネート交換を実質的に抑制
    するに足る割合で存在する)、 (D)随意成分としての、無機または有機着色剤 (E)随意成分としての、耐衝撃性改良剤 (F)随意成分としての、フェノール類及びそれらの誘
    導体、アミン類およびそれらの誘導体、ヒドロキシル基
    及びアミン基の両方を含む化合物、重合体状フェノール
    エステルおよび金属が低原子価状態にある多価金属の塩
    並びにオルガノホスファイトからなる群から選ばれる安
    定化剤、および (G)随意成分としての、ガラスからなる ポリエステル
    −ポリカーボネート組成物。
  2. 【請求項2】 オルガノシリケートがSi(OCH3
    4 、Si(OCH2CH3 4 、Si(0CH3
    2 (OCH2 CH3 2 、(CH3 )Si(OCH2
    3 )(OPh)2 、(CH3 )Si(OCH2
    3 3 、(CH3 2 Si(OCH2 CH3 2
    (CH3 3 Si(OCH2 CH3 )、Si(OCH2
    CH3 3 H、又はSi(OPh)4 、及びポリ(ジエ
    トキシ)シリケート(上式中、Phはフェニル基であ
    る)である請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 オルガノシリケートの割合が約0.01
    ないし約10重量部の範囲である請求項1記載の組成
    物。
  4. 【請求項4】 ポリカーボネートがビスフェノールAポ
    リカーボネートでありそしてポリエステルがポリブチレ
    ンテレフタレートである請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】 該金属触媒がヒ素、コバルト、錫、アン
    チモン、亜鉛、チタン、マグネシウム、カルシウム、マ
    ンガン、ガリウム、ナトリウム、及びリチウムの有機又
    は無機化合物からなる群から選んだ有機又は無機化合物
    である請求項1記載の組成物。
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