JP3079743B2 - ピストン型圧縮機における冷媒ガス吸入構造 - Google Patents

ピストン型圧縮機における冷媒ガス吸入構造

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JP3079743B2 JP04035369A JP3536992A JP3079743B2 JP 3079743 B2 JP3079743 B2 JP 3079743B2 JP 04035369 A JP04035369 A JP 04035369A JP 3536992 A JP3536992 A JP 3536992A JP 3079743 B2 JP3079743 B2 JP 3079743B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転軸の周囲に配列さ
れた複数のシリンダボア内にピストンを収容すると共
に、回転軸の回転に連動してピストンを往復動させるピ
ストン型圧縮機における冷媒ガス吸入構造に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来のピストン型圧縮機では、ピストン
によってシリンダボア内に区画される圧縮室と吸入室と
の間の吸入ポートが圧縮室内のフラッパ弁によって開閉
されるようになっている。吸入室内の冷媒ガスは上死点
側から下死点側へ移動するピストンの吸入動作によって
フラッパ弁を押し開いて圧縮室へ流入する。ピストンが
下死点側から上死点側へ移動する吐出行程ではフラッパ
弁が吸入ポートを閉じ、圧縮室内の冷媒ガスが吐出ポー
トから吐出室へ吐出される。
【0003】フラッパ弁の開閉動作は圧縮室と吸入室と
の間の圧力差に基づくものであり、吸入室の圧力が圧縮
室の圧力よりも高ければフラッパ弁は撓み変形して吸入
ポートを開く。吸入室の圧力が圧縮室の圧力よりも高く
なるのは上死点側から下死点側へ移動するピストンの吸
入動作時である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】弾性変形であるフラッ
パ弁の撓み変形は弾性抵抗として作用し、吸入室の圧力
が圧縮室の圧力をある程度上回らなければフラッパ弁は
開放しない。即ち、フラッパ弁の開放が遅れる。圧縮機
内の潤滑を行なうために冷媒ガス中には潤滑油が混入さ
れており、この潤滑油が冷媒ガスと共に圧縮機内の必要
な潤滑部位に送りこまれる。この潤滑油は冷媒ガスの流
通領域ならばどこへでも入り込み可能であり、吸入ポー
トを閉じているフラッパ弁とその密接面との間にも潤滑
油が付着する。この付着潤滑油は前記密接面とフラッパ
弁との間の密着力を高め、フラッパ弁の撓み変形開始が
一層遅れる。このような変形開始遅れは圧縮室への冷媒
ガス流入量の低下、即ち体積効率の低下をもたらす。
又、フラッパ弁が開いている場合にもフラッパ弁の弾性
抵抗が吸入抵抗として作用し、冷媒ガス流入量が低下す
る。
【0005】さらにピストンが上死点位置に配置された
場合にも圧縮室の容積はは零にはならず、圧縮冷媒ガス
が圧縮室に残留する。この高圧の残留冷媒ガスが吸入行
程時に再膨張し、この残留冷媒ガス圧が吸入室の圧力を
下回らない限り冷媒ガスが圧縮室へ流入できない。即
ち、このような残留冷媒ガスの存在が体積効率を低下さ
せる。
【0006】本発明は、体積効率を向上し得るピストン
型圧縮機における冷媒ガス吸入構造を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
ピストンによってシリンダボア内に区画される圧縮室に
冷媒ガスを導入するための吸入通路をロータリバルブ上
に形成すると共に、ピストンの往復動に同期して前記圧
縮室の吸入ポートと前記吸入通路とを順次連通するよう
に前記ロータリバルブを設け、ピストンの上死点配置タ
イミング付近の状態にある前記圧縮室内の残留冷媒ガス
を下死点配置タイミング付近にある他の圧縮室へ前記吸
入ポートを経由して放出するための放出通路を前記ロー
タリバルブ上に形成し、ロータリバルブの周方向におけ
る前記放出通路の入口の幅を前記吸入ポートの幅よりも
短くし、前記圧縮室におけるピストンの上死点配置タイ
ミングを包含するようにこの圧縮室と前記放出通路の入
口との連通期間を設定した。
【0008】
【作用】ロータリバルブ上の吸入通路はロータリバルブ
の回転に伴って複数の圧縮室に順次連通する。吸入通路
と圧縮室とが連通しているときに圧縮室の圧力が吸入通
路の圧力(吸入圧)以下まで低下していく。この圧力低
下により吸入通路の冷媒ガスが圧縮室へ流入する。フラ
ッパ弁の場合とは異なり、吸入通路は予め決められたタ
イミングで圧縮室に連通する。
【0009】ピストンが上死点位置に配置された状態に
おける圧縮室は最小容積となり、この最小容積内の高圧
の残留冷媒ガスが放出通路を介して下死点配置タイミン
グの圧縮室に放出される。圧縮室と放出通路の入口との
連通期間はこの圧縮室を区画するピストンの上死点配置
タイミングの前後にわたる。圧縮室の容積曲線は上死点
配置タイミングの前後では上死点配置タイミングを極小
とする凸の曲線であり、上死点配置タイミングの前後で
は圧縮室の容積変化は僅かである。即ち、ピストンが上
死点付近で僅かに移動する間に前記残留冷媒ガスが放出
通路を経由して他の圧縮室に移行する。残留冷媒ガスが
圧縮室内で再膨張してしまう従来の圧縮機ではこの再膨
張が停止するまで新たな冷媒ガスが圧縮室に流入できな
い。この再膨張停止までには圧縮室の大きな容積増大が
伴い、この容積増大分が圧縮室へ流入できない冷媒ガス
量となる。本発明の圧縮機では残留ガスが他の圧縮室へ
移行してしまうまでの容積増大は僅かであり、新たに圧
縮室へ流入できない冷媒ガス量は従来よりも大幅に低減
する。
【0010】
【実施例】以下、本発明を可変容量型の揺動斜板式圧縮
機に具体化した一実施例を図1〜図11に基づいて説明
する。
【0011】シリンダブロック1の前後にはフロントハ
ウジング2及びリヤハウジング3が接合固定されてお
り、シリンダブロック1及びフロントハウジング2に回
転可能に支持された回転軸4には回転支持体5が止着さ
れている。回転支持体5には回転駆動体6がアーム5a
上の長孔5bとピン7との係合により傾斜角可変に連結
支持されている。回転駆動体6は回転軸4上のガイドス
リーブ8の左右両側に突設された軸ピン8aにより揺動
可能に支持されており、回転駆動体6上には揺動斜板9
が相対回転可能に支持されている。
【0012】シリンダブロック1には複数のシリンダボ
ア1a(本実施例では6つ)が回転軸4の軸方向に貫設
されており、回転軸4の周囲に等間隔角度位置に配列さ
れている。シリンダボア1a内にはピストン10A1
10A2 ,10A3 ,10A 4 ,10A5 ,10A6
収容されている。各ピストン10Aj (j=1〜6)は
ピストンロッド10aを介して揺動斜板9に連結されて
いる。回転軸4の回転運動は回転支持体5及び回転駆動
体6を介して揺動斜板9の前後往復揺動に変換され、ピ
ストン10Aj がシリンダボア1a内を前後動する。
【0013】シリンダブロック1とリヤハウジング3と
の間にはバルブプレート11、弁形成プレート12及び
リテーナ形成プレート13が挟まれており、リヤハウジ
ング3内には吐出室3aが形成されている。ピストン1
0Aj によって各シリンダボア1a内に区画される圧縮
室R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R5 ,R6 はバルブ
プレート11によって吐出室3aから区画され、バルブ
プレート11上には吐出ポート11aが形成されてい
る。弁形成プレート12上にはフラッパ弁型の吐出弁1
2aが形成されており、リテーナ形成プレート13上に
はリテーナ13aが形成されている。吐出弁12aは吐
出室3a側で吐出ポート11aを開閉し、リテーナ13
aは吐出弁12aの撓み変形量を規制する。
【0014】シリンダブロック1及びリヤハウジング3
の対向端面中心部には収容凹部1b,3bが形成されて
おり、回転軸4の端部が収容凹部1b内に突出してい
る。両収容凹部1b,3bは回転軸4の軸方向に軸芯を
持つ円柱形状の収容室を構成し、収容室1b,3b内に
はロータリバルブ14が回転可能に収容されている。収
容凹部3bの底面とロータリバルブ14の端面との間に
はスラストベアリング15が介在されており、収容凹部
1b側のロータリバルブ14の端面にはカップリング1
6が嵌入固定されている。収容凹部1b内に突出する回
転軸4の突出端部4aとカップリング16とは相対回転
不能に嵌合しており、ロータリバルブ14は回転軸4と
一体的に収容室1b,3b内で図2の矢印R方向に回転
する。スラストベアリング15はロータリバルブ14に
対するスラスト荷重を受け止める。
【0015】ロータリバルブ14には吸入通路17が収
容凹部3b側の端面から周面にかけて貫設されている。
リヤハウジング3の中心部には導入口3cが収容凹部3
bに接続するように形成されており、吸入通路17の入
口17aが導入口3cに連通している。
【0016】収容凹部1bの周面には圧縮室R1 〜R6
と同数の吸入ポート1c1 ,1c2,1c3 ,1c4
1c5 ,1c6 が等間隔角度位置に配列形成されてい
る。吸入ポート1cj と圧縮室Rj (j=1〜6)とは
1対1で常に連通しており、吸入工程にある各吸入ポー
ト1cj は吸入通路17の出口17bの周回領域に接続
している。図1及び図2に示す状態ではピストン10A
1 は上死点位置にあり、180°の回転対称位置にある
ピストン10A4 は下死点位置にある。このようなピス
トン配置状態のとき、出口17bは吸入ポート1c1
1c4 に接続することなく両者間に配置される。即ち、
ピストン10A1 が上死点位置から下死点位置に向かう
吸入行程に入った時には吸入通路17は圧縮室R1 に連
通し、導入口3cから供給される冷媒ガスがロータリバ
ルブ14内の吸入通路17を経由して圧縮室R1 に吸入
される。このような冷媒ガス吸入は他の圧縮室R2 〜R
6 においても同様に行われる。
【0017】図3に示すようにロータリバルブ14の周
面には環状の放出溝18が形成されている。放出溝18
は、ロータリバルブ14の軸線方向に平行な入口溝18
a及び出口溝18bと、周方向に平行な迂回溝18c,
18dとで構成されている。図4に示すように入口溝1
8aと出口溝18bとは略半周離れて配置されており、
ロータリバルブ14の回転中心L(即ち、回転軸4の回
転中心)を中心とした入口溝18aの幅角度W1 は出口
溝18bの幅角度W2 よりも小さくしてあり、出口溝1
8bの幅角度W2 は吸入ポート1cj の幅角度W0 より
も大きくしてある。吸入通路17の出口17bの幅角度
3 は180°近くに設定してある。
【0018】入口溝18a及び出口溝18bはロータリ
バルブ14の回転に伴って吸入ポート1cj に順次連通
してゆく。又、放出溝18の包囲領域はロータリバルブ
14の回転に伴って吸入ポート1cj を順次閉塞してゆ
き、ピストン10Aj が下死点位置から上死点位置に向
かう圧縮行程に入ったときには吸入通路17と圧縮室R
j との連通が遮断される。
【0019】圧縮室Rj 内へ吸入された冷媒ガスはピス
トンが下死点位置から上死点位置に向かう吐出動作によ
って圧縮されつつ吐出室3aへ吐出されるが、クランク
室2a内の圧力と圧縮室Rj 内の吸入圧とのピストンを
介した差圧に応じてピストンのストロークが変わり、圧
縮容量を左右する揺動斜板9の傾斜角が変化する。クラ
ンク室2a内の圧力は、吐出圧領域の冷媒ガスをクラン
ク室2aへ供給すると共に、図示しない制御弁機構によ
ってクランク室2a内の冷媒ガスを吸入圧領域へ放出制
御することによって行われる。
【0020】フラッパ弁型の吸入弁の場合には潤滑油が
吸入弁とその密接面との間の吸着力を大きくしてしま
い、吸入弁の開放開始タイミングが前記吸着力によって
遅れる。この遅れ、吸入弁の弾性抵抗による吸入抵抗及
び吸入室内の冷媒ガスの熱膨張が体積効率を低下させ
る。しかしながら、強制回転されるロータリバルブ14
の採用では潤滑油に起因する吸着力及び吸入弁の弾性抵
抗による吸入抵抗の問題はなく、圧縮室内が設定吸入圧
を僅かに下回れば冷媒ガスが直ちに圧縮室に流入する。
又、外部冷媒回路から圧縮室へ流入する冷媒ガスは吐出
室3aから比較的隔たったロータリバルブ14内の吸入
通路17という経路を経由するため、冷媒ガスの熱膨張
も抑制される。従って、ロータリバルブ14採用の場合
には体積効率がフラッパ弁型の吸入弁採用の場合に比し
て大幅に向上する。
【0021】図9のグラフの曲線Cはピストン10Aj
のストローク曲線を表し、縦軸はストローク位置Yを表
す。横軸は回転軸4の回転角度θを表す。θ=0°,3
60°はピストン10A1 が上死点位置にあるときの回
転軸4の回転角度位置として設定してあり、θ=180
°はピストン10A4 が下死点位置にあるときの回転軸
4の回転角度位置となっている。ストローク位置Yはバ
ルブプレート11とピストン10Aj との対向端面間の
距離で表されており、ストローク位置Y1 は上死点位置
を表し、ストローク位置Y2 は下死点位置を表す。従っ
て、圧縮室Rjの断面積をS0 とすれば、ピストン10
j が上死点位置Y1 にあるときの圧縮室Rj の容積は
1 ・S0 であり、ピストン10Aj が下死点位置Y2
にあるときの圧縮室Rj の容積はY2 ・S0 である。即
ち、容積Y1 ・S0 は圧縮室Rjの最小容積であり、Y
2 ・S0 は圧縮室Rj の最大容積である。
【0022】図9のグラフの曲線E1 は吸入ポート1c
j と入口溝18aとの接続に伴う通過断面積曲線を表
し、曲線E2 は吸入ポート1cj と出口溝18bとの接
続に伴う通過断面積曲線を表す。縦軸は通過断面積Sを
表す。曲線E3 は吸入ポート1cj と吸入通路17の出
口17bとの接続に伴う通過断面積を表す。通過断面積
3 は吸入ポート1cj の通過断面積を表し、通過断面
積S1 は図6に示すように入口溝18aと吸入ポート1
j とが完全に重合した場合の重合面積を表す。
【0023】曲線E1 の回転角度範囲は〔θ1 ,θ2
であり、−θ1 ≒θ2 、かつθ1 <0°<θ2 である。
曲線E2 の回転角度範囲は〔θ3 ,θ4 〕であり、θ3
<180°<θ4 である。曲線E3 の回転角度範囲は
〔θ5 ,θ6 〕であり、θ2 <θ5 、かつθ6 <θ3
ある。又、−θ1 >180°−θ3 である。
【0024】曲線E1 の傾線部分の回転角度範囲
〔θ1 ,θ11〕,〔θ21,θ2 〕は入口溝18aの幅角
度W1 を表し、回転角度範囲〔θ1 ,θ21〕,〔θ11
θ2 〕は吸入ポート1cj の幅角度W0 を表す。曲線E
2 の傾線部分の回転角度範囲〔θ3,θ31〕,〔θ41
θ4 〕、及び曲線E3 の傾線部分の回転角度範囲
〔θ5 ,θ 51〕,〔θ61,θ6 〕は吸入ポート1cj
幅角度W0 を表し、回転角度範囲〔θ3 ,θ41〕,〔θ
31,θ4 〕は出口溝18bの幅角度W2 を表す。又、回
転角度範囲〔θ5 ,θ61〕,〔θ51,θ6 〕は出口17
bの幅角度W3 を表す。即ち、入口溝18aの幅角度W
1 は曲線E1 上の角度間隔W1 として表れ、出口溝18
bの幅角度W2 は曲線E2 上の角度間隔W2 として表れ
る。吸入通路17の出口17bの幅角度W3 は曲線E3
上の角度間隔W3 として表れる。吸入ポート1cj の幅
角度W0 は各曲線E1 ,E2 ,E3 上の角度間隔W0
して表れる。
【0025】図4では入口溝18aが吸入ポート1c1
と接続開始する状態を表し、出口溝18bが吸入ポート
1c4 と接続する手前である。このときの回転角度θは
θ1(<0°)である。
【0026】図5では入口溝18aの一部が吸入ポート
1c1 と重合接続している状態を表し、出口溝18bが
吸入ポート1c4 と接続する前である。このときの回転
角度θは(θ1 ,θ11)の範囲にある。
【0027】図6では入口溝18aの全部が吸入ポート
1c1 と重合接続している状態を表し、出口溝18bが
吸入ポート1c4 と接続開始する状態を表す。このとき
の回転角度θは−(180°−θ3 )である。従って、
180°の回転対称の配置関係にある吸入ポート1
1 ,1c4 同士が回転角度−(180°−θ3 )以後
に放出溝18を介して連通する。圧縮室R1 を区画する
ピストン10A1 は上死点位置Y1 の僅かに手前の吐出
行程位置にあり、圧縮室R4 を区画するピストン10A
4 は下死点位置Y2 の僅かに手前の吸入行程位置にあ
る。
【0028】図7では入口溝18aの一部が吸入ポート
1c1 と重合接続している状態を表し、圧縮室R1 ,R
4 は放出溝18を介して連通している。このときの回転
角度θは(θ21,θ2 )の範囲にある。
【0029】図8では入口溝18aが吸入ポート1c1
との重合接続から外れた状態を表し、圧縮室R1 ,R4
間の連通が遮断される。このときの回転角度θはθ2
ある。ピストン10A1 は上死点位置Y1 から僅かに離
れた吸入行程位置にあり、ピストン10A4 は下死点位
置Y2 から僅かに離れた吐出行程位置にある。
【0030】図10(a)のグラフの曲線D1 は圧縮室
1 内の圧力を表し、曲線D2 は圧縮室R4 内の圧力を
表す。横軸は回転角度θを表し、縦軸は圧力Pを表す。
圧力Psは設定吸入圧を表し、圧力Pdは設定吐出圧を
表す。圧力P1 は、入口溝18aと吸入ポート1c1
が接続状態、かつ出口溝18bと吸入ポート1c4 とが
非接続状態のときの圧縮室R1 の圧力を表す。圧力P2
は、入口溝18aと吸入ポート1c1 とが接続、かつ出
口溝18bと吸入ポート1c4 とが接続状態のときの圧
縮室R1 の圧力を表す。
【0031】回転角度θがθ1 の直前のときには圧縮室
1 の圧力は吐出圧相当の高圧状態にあり、入口溝18
aと吸入ポート1c1 とが接続開始した直後には圧縮室
1内の高圧冷媒ガスが放出溝18へ流入する。この流
入によって圧縮室R1 内の圧力がP1 へ低下する。入口
溝18aと吸入ポート1c1 とが接続した状態で出口溝
18bと吸入ポート1c4 とが接続したとき(回転角度
θ=θ11のとき)には圧縮室R4 の圧力は吸入圧相当の
低圧であり、圧縮室R1 内及び放出溝18内の圧力P1
程度の中圧冷媒ガスが圧縮室R4 へ流入する。この流入
によって圧縮室R1 の圧力がP2 へ低下する。即ち、吸
入ポート1c1 と入口溝18aとが接続すれば圧縮室R
1 の圧力は直ちにP1 に低下し、さらに吸入ポート1c
4 と出口溝18bとが接続すれば圧縮室R1 の圧力は直
ちにP2 に低下する。
【0032】ピストン10A1 が上死点配置タイミング
付近にある圧縮室R1 の容積は小さいが、この容積内に
存在する冷媒ガスは吐出圧相当の高圧である。圧縮室1
0A 1 内の冷媒ガスの出口が吐出ポート11aのみとす
ると、圧縮室R1 における冷媒ガスの残留容積は圧縮室
1 の最小容積Y1 ・S0 である。この高圧の残留冷媒
ガスがピストン10A1 の吸入動作時に圧縮室R1 内で
再膨張すると、この再膨張に伴う圧縮室R1 内の圧力が
吸入通路17内の圧力(設定吸入圧Ps相当)よりも低
くならない限り圧縮室R1 への新たな冷媒ガスの流入は
生じない。
【0033】図10(b)のグラフの曲線D2 は放出溝
18が存在しない場合の圧縮室R1内の圧力を表す。こ
の曲線D2 からわかるように、圧縮室R1 内の圧力が設
定吸入圧Ps以下になるまでに要する吸入行程中のピス
トン10A1 の移動量はY1・Pd/Ps程度である。
従って、吸入通路17の出口17bと吸入ポート1c 1
とが連通していてもピストン10A1 が上死点位置Y1
からY1 ・Pd/Ps程度移動する間は新たな冷媒ガス
の吸入は行われず、これが体積効率の損失となる。
【0034】放出溝18を経由して圧縮室R1 内の残留
冷媒ガスを低圧状態の圧縮室R4 へ放出すれば、図10
(a)の曲線D1 からわかるように圧縮室R1 内の圧力
は設定吸入圧Ps程度まで直ちに低下する。従って、残
留冷媒ガスの再膨張に起因する体積効率の損失は放出溝
18の存在によってほぼ無くなる。
【0035】圧縮室R1 ,R4 同士が放出溝18を介し
て連通している状態では圧縮室R1内の圧力は吸入通路
17内の圧力よりも高くなっている。そのため、この連
通状態において仮に吸入通路17の出口17bと吸入ポ
ート1c1 とが連通したとしても新たな冷媒ガスが圧縮
室R1 へ流入できず、逆に圧縮室R1 内の冷媒ガスが吸
入通路17側へ逆流する。このような逆流を避けるため
に図8に示すように出口17bの周方向における始端1
7b1 と入口溝18aとの間の幅角度W4 は幅角度W0
よりも大きくしてあり、図6に示すように出口17bの
周方向における終端17b2 と出口溝18bとの間の幅
角度W5 は幅角度W0 よりも大きくしてある。このよう
な幅角度設定によって出口17bと放出溝18との間の
シール性が確保される。従って、図9に曲線E1 の終端
と曲線E3 の始端とは離間し、曲線E3 の終端と曲線E
2 の始端とは離間する。
【0036】圧縮室R1 と入口溝18aとの連通期間は
この圧縮室R1 を区画するピストン10A1 の上死点配
置タイミング(θ=0°)の前後にわたる。圧縮室R1
の容積曲線C1 は上死点配置タイミングの前後では上死
点配置タイミングを極小とする凸の曲線であり、上死点
配置タイミングの前後では圧縮室R1 の容積変化は僅か
である。即ち、ピストン10A1 が下死点付近で僅かに
移動する間に前記残留冷媒ガスが放出溝18を経由して
他の圧縮室R4 に移行する。残留冷媒ガスが圧縮室内で
再膨張してしまう従来の圧縮機ではこの再膨張が停止す
るまで新たな冷媒ガスが圧縮室に流入できない。この再
膨張停止までには圧縮室の大きな容積増大が伴い、この
容積増大分が圧縮室へ流入できない冷媒ガス量となる。
本実施例では残留ガスが他の圧縮室R4 へ移行してしま
うまでの容積増大は僅かであり、圧縮室へ流入できない
冷媒ガス量は従来よりも大幅に低減する。
【0037】入口溝18aの幅角度W1 は吸入ポート1
j の幅角度W0 よりも可及的に小さくしてある。入口
溝18aと吸入ポート1c1 とが連通している回転角度
範囲は(W0 +W1 )であり、入口溝18aの幅角度W
1 が小さいほど入口溝18aと吸入ポート1c1 とが連
通している期間が短くなる。入口溝18aと吸入ポート
1c1 との連通開始タイミングを変えないとすると、入
口溝18aと吸入ポート1c1 との連通期間を短くすれ
ばこの連通終了タイミング(回転角度θ=θ2)が早ま
り、吸入行程時における圧縮室R1 の閉塞が早まる。吸
入圧相当の圧力状態で圧縮室R1 が閉塞すれば、ピスト
ン10A1 の吸入動作に伴う圧縮室R1の容積増大によ
って圧縮室R1 の圧力が直ちに吸入通路17内の圧力よ
りも低下する。従って、吸入通路17と吸入ポート1c
1 とが連通すれば新たな冷媒ガスが直ちに圧縮室R1
流入する。即ち、入口溝18aの幅角度W1 の大きさは
体積効率の向上に影響を与え、幅角度W1 が小さいほど
体積効率が向上する。
【0038】入口溝18aと吸入ポート1c1 との連通
開始タイミング(回転角度θ=θ1)を早めることによ
っても、入口溝18aと吸入ポート1c1 との連通終了
タイミングθ2 を早めることができる。この実施例では
θ1 <0°、かつθ1 ≒−θ 2 となっている。このよう
にすれば出口17bと吸入ポート1c1 との連通開始タ
イミングが早まり、体積効率が向上する。
【0039】一方、出口溝18bと吸入ポート1c4
の連通期間〔θ3 ,θ4 〕は入口溝18aと吸入ポート
1c1 との連通期間〔θ1 ,θ2 〕よりも大きくしてあ
る。放出溝18内の低圧化は入口溝18aの幅角度W1
を小さくする上で必要であり、放出溝18内を十分に低
圧にしないままに入口溝18aの幅角度W1 を小さくす
れば残留ガス放出を円滑に行えない。連通期間〔θ3
θ4 〕を大きくすれば放出溝18内の低圧化が確実とな
り、放出溝18内を低圧にしておけば次回の圧縮室
1 ,R4 間の連通時の残留ガス放出が確実に行われ
る。連通期間〔θ3 ,θ4 〕の拡大は出口溝18bの幅
角度W2 を拡げることによって得られる。
【0040】以上では圧縮室R1 ,R4 間についての残
留冷媒ガス放出を述べたが、圧縮室R2 ,R5 間、圧縮
室R3 ,R6 間についても同じことが言える。本発明は
勿論前記実施例にのみ限定されるものではなく、例えば
奇数個のピストンを備えた圧縮機に本発明を適用するこ
ともできる。この場合、残留ガスは下死点配置タイミン
グを通り過ぎた圧縮室に放出されるが、この圧縮室の圧
力があまり高くなっていないために残留ガス放出は良好
に行われる。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、ピストン
の上死点配置タイミング付近の状態にある前記圧縮室内
の残留冷媒ガスを下死点配置タイミング付近にある他の
圧縮室へ前記吸入ポートを経由して放出するための放出
通路をロータリバルブ上に形成し、ロータリバルブの周
方向における前記放出通路の入口の幅を前記吸入ポート
の幅よりも短くし、前記圧縮室におけるピストンの上死
点配置タイミングを包含するようにこの圧縮室と前記放
出通路の入口との連通期間を設定したので、吐出行程か
ら吸入行程へ移行する圧縮室の残留冷媒ガスを排除し得
ると共に、ロータリバルブ上の吸入通路と圧縮室との連
通開始タイミングを早めることができ、これにより新た
な冷媒ガス吸入量の増加、即ち体積効率を向上し得ると
いう優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を具体化した一実施例を示す圧縮機全
体の側断面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【図3】 ロータリバルブの斜視図である。
【図4】 吸入ポートと放出通路との位置関係を示す要
部拡大縦断面図である。
【図5】 吸入ポートと放出通路との位置関係を示す要
部拡大縦断面図である。
【図6】 吸入ポートと放出通路との位置関係を示す要
部拡大縦断面図である。
【図7】 吸入ポートと放出通路との位置関係を示す要
部拡大縦断面図である。
【図8】 吸入ポートと放出通路との位置関係を示す要
部拡大縦断面図である。
【図9】 ピストンストローク曲線及び吸入ポートにお
ける通過断面積曲線を示すグラフである。
【図10】 圧縮室内の圧力曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1a…シリンダボア、1c1 ,1c2 ,1c3 ,1
4 ,1c5 ,1c6 …吸入ポート、10A1 ,10A
2 ,10A3 ,10A4 ,10A5 ,10A6 …ピスト
ン、14…ロータリバルブ、17…吸入通路、18…放
出溝、18a…入口溝、18b…出口溝、R1 ,R2
3 ,R4 ,R5 ,R6 …圧縮室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤澤 由裕 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社 豊田自動織機製作所 内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04B 27/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸の周囲に配列された複数のシリンダ
    ボア内にピストンを収容すると共に、回転軸の回転に連
    動してピストンを往復動させるピストン型圧縮機におい
    て、ピストンによってシリンダボア内に区画される圧縮
    室に冷媒ガスを導入するための吸入通路をロータリバル
    ブ上に形成すると共に、ピストンの往復動に同期して前
    記圧縮室の吸入ポートと前記吸入通路とを順次連通する
    ように前記ロータリバルブを設け、ピストンの上死点配
    置タイミング付近の状態にある前記圧縮室内の残留冷媒
    ガスを下死点配置タイミング付近にある他の圧縮室へ前
    記吸入ポートを経由して放出するための放出通路を前記
    ロータリバルブ上に形成し、ロータリバルブの周方向に
    おける前記放出通路の入口の幅を前記吸入ポートの幅よ
    りも短くし、前記圧縮室におけるピストンの上死点配置
    タイミングを包含するようにこの圧縮室と前記放出通路
    の入口との連通期間を設定したピストン型圧縮機におけ
    る冷媒ガス吸入構造。
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