JP3079424B2 - 苗植機における空苗箱受け装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、苗植機で苗を取出し終
った空苗箱を自動的に収容する苗植機における空苗箱受
け装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の苗植機においては、苗植
機で苗を取出し終った空苗箱は、苗植付体の内外苗箱誘
導杆の間より後ろ上方へ送り出される毎に、運転者が手
で一枚づつ取去っている。従って、

【０００３】（１） 苗植作業の途中において空苗箱が
できる毎に、苗植機を一旦停止して空苗箱を取去らなけ
ればならないから、作業能率が低下する。

【０００４】（２） 多条植えの苗植機においては、複
数列の苗植付体における空苗箱をそれぞれ一枚づつ取去
らなければならないから、その空苗箱を取去るために苗
植機を停止する回数が多くなって非能率である上に、運
転者の疲労も大である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】苗植機の苗植付体の内
外苗箱誘導杆の間より送り出される空苗箱を自動的に順
次空苗箱入れ内に収容し、苗植作業の途中において空苗
箱を取去るために苗植機を停止することなく、苗植作業
を安楽で連続的に行うことができて作業能率を向上する
点である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】苗植機の苗植付体の内外
苗箱誘導杆の間より順次送り出される空苗箱を、後ろ上
方へ傾斜する凹状の受台と、該受台の中央部上方の押え
ローラにより凹状に屈曲して前後方向を真直ぐに保ちな
がら上記受台上を押送り、その受台の先端より空苗箱入
れ内に落入させて自動的に収容しながら苗植作業を継続
し、苗植作業の途中において空苗箱を取去るために苗植
機を停止することなく、苗植作業を安楽で連続的に行う
ことができて作業能率を向上する苗植機における空苗箱
受け装置を提供することを目的とする。

【０００７】すなわち、苗植付体の外方苗箱誘導杆の後
方に、後方から見て凹状の受台を後ろ上方へ傾斜させて
連設し、該受台の左右方向の中央部の上方に適当間隔を
形成して押えローラを配設し、上記受台の先端側下方に
空苗箱入れを設けて苗植機における空苗箱受け装置を構
成し、苗植作業の途中において空苗箱を取去るために苗
植機を停止することなく、苗植作業を安楽で連続的に行
うことができて作業能率を向上する目的を、苗植機の苗
植付体の内外苗箱誘導杆の間より順次送り出される空苗
箱を、後ろ上方へ傾斜する凹状の受台と、該受台の中央
部上方の押えローラにより凹状に屈曲して前後方向を真
直ぐに保ちながら上記受台上を押送り、その受台の先端
より空苗箱入れ内に落入させて自動的に収容しながら苗
植作業を継続することにより実現した。

【０００８】

【実施例】図面は、本発明の一実施態様を示し、その構
成を図面について説明すれば、（１）は六条植えのポッ
ト苗植機の機体、（２）は駆動する前車輪、（３）は駆
動する後車輪、（４）は機体（１）の後部上に取付けた
運転座席、（５）は操縦ハンドルである。

【０００９】（ａ）は機体（１）の中間部下方に左右方
向に三列並設した苗植付体を示し、（６）は苗植付体
（ａ）の苗載台で、前下方へ傾斜させ、苗載台（６）の
一側中間部の開口（７）内には、下面に取付けたリミッ
トスイッチ（８）の作用片（９）を苗載台（６）の上方
へ突出させて臨ませる。

【００１０】（１０）は苗載台（６）の中央部の下端に
連続して後方に設けた凹弧状の内方苗箱誘導杆、（１
１），（１２）は内方苗箱誘導杆（１０）の前半部下方
に、該内方苗箱誘導杆（１０）と前方苗箱通路（１３）
を形成して並設した外方前中央苗箱誘導杆及び外方前両
側苗箱誘導杆、（１４）は内方苗箱誘導杆（１０）の後
半部下方に、該内方苗箱誘導杆（１０）と後方苗箱通路
（１５）を形成して並設した外方後苗箱誘導杆で、前方
が開放するコ字形に形成し、該外方後苗箱誘導杆（１
４）の両側片は外方前中央苗箱誘導杆（１１）と外方前
両側苗箱誘導杆（１２）の間の中間位置にそれぞれ配置
し、先端部は後ろ上方への傾斜状態に突出させ受台（１
６）になして先端横片（１７）はＶ形に形成する。

【００１１】（１８）は内方苗箱誘導杆（１０）及び外
方後苗箱誘導杆（１４）の後部の台枠で、両側杆（１
９）によって機体（１）に固定し、該台枠（１８）の下
片上に外方後苗箱誘導杆（１４）の後部を載置固定して
上片に内方苗箱誘導杆（１０）の後部を吊り金（２０）
により固定する。（２１）は受台（１６）の前後方向の
受桟で、受台（１６）の先端横片（１７）と台枠（１
８）の下片の中央部上間にわたし前下方へ突出させて取
付ける。

【００１２】（２２）は苗載台（６）の後面中央部に取
付けたフ字形の支持杆、（２３）は支持杆（２２）の下
端に固定した台金、（２４）は受台（１６）の受桟（２
１）の先端部及び中間部の上方に適当間隔を設けてロー
ラ軸（２５）により台金（２３）に並架した二個の押え
ローラ、（２６）は内方苗箱誘導杆（１０）の後部上方
に、該内方苗箱誘導杆（１０）に遊嵌してローラ軸（２
７）により台金（２３）に架設した溝形案内ローラ、
（２８）は受台（１６）の先端部下方に設けた籠形の空
苗箱入れ、（２９）は空苗箱入れ（２８）の取付杆であ
る。

【００１３】（３０）は苗押出具、（３１）は上下往復
回転する苗受金、（３２）は苗受金（３１）内の苗
（ｅ）を押出す苗跳出体、（３３）は苗跳出体（３２）
の後ろ下方に並架した左右一対のベルトコンベヤであ
る。

【００１４】（ｂ）は各苗植付体（ａ）の前上方にそれ
ぞれ設けた苗箱自動供給体を示し、（３４）は苗箱自動
供給体（ｂ）の両側の搬送チエンで、上片には数個のフ
ック（３５）を適当間隔に取付ける。そして、一対のフ
ック（３５）付き搬送チエン（３４）を苗箱（ｄ）の幅
の間隔になし後方から見てハ字形に並架して苗箱自動供
給体（ｂ）を構成する。（３６）は両側フック（３５）
付き搬送チエン（３４）の駆動モータである。なお、図
示してないが駆動モータ（３６）とリミットスイッチ
（８）に電気回路を形成する。

【００１５】（ｃ）は機体（１）の後部に左右方向の四
列に並設した予備苗箱置台を示し、その各予備苗箱置台
（ｃ）には三段の棚（３７）をそれぞれ設ける。

【００１６】（ｄ）は軟質合成樹脂により作製したポッ
ト苗箱を示し、該苗箱（ｄ）は稲苗一株分の大きさに形
成された多数のポット（３８）を縦横に並列し平板（３
９）の下方に膨出させて設けた構成で、その平板（３
９）の両側部には苗箱（ｄ）の送り爪（図示してな
い。）が係合する多数の係合孔（４０）をポット（３
８）に対応させて並設し、ポット（３８）の底部には十
字状の切目（４１）を設ける。また、平板（３９）の前
後端縁に下方への屈曲片（４２）を形成すると共に、前
後の両側端部に外方への突片（４３）を設ける。

【００１７】（ｅ）は苗箱（ｄ）のポット（３８）内で
育成した苗、（ｆ）は予備苗箱、（ｇ）は苗箱（ｄ）の
ポット（３８）内の苗（ｅ）を取出し終った空苗箱をそ
れぞれ示す。

【００１８】その作用を説明する。苗植機を圃場に入れ
た後、図９に鎖線で示すように苗箱（ｄ）を苗植付体
（ａ）の苗載台（６）上に載置する。そのとき、リミッ
トスイッチ（８）の作用片（９）は苗箱（ｄ）の重量に
よって開口（７）内に押込まれるから、リミツトスイッ
チ（８）が切れて苗箱自動供給体（ｂ）のモータ（３
６）への電気回路は切れている。

【００１９】一方、図１に示すように苗箱自動供給体
（ｂ）の両側搬送チエン（３４）のフック（３５）に苗
箱（ｄ）の両側上部の適当係合孔（４０）を前方よりそ
れぞれ嵌合して数枚の苗箱（ｄ）を両側搬送チエン（３
４）の間に適当間隔の並列状態で離脱可能に吊持ちす
る。

【００２０】また、図１に示すように予備苗箱置台
（ｃ）の各棚（３７）上に予備苗箱（ｆ）をそれぞれ載
置する。

【００２１】そこで、苗植機の運転を開始すれば、駆動
する前車輪（２）及び後車輪（３）によって苗植機はゆ
っくりと前進する。

【００２２】一方、図示してないが苗載台（６）に付設
した送り爪機構によって苗載台（６）上の苗箱（ｄ）を
間欠的に一ピッチづつ下方へ送り、その苗箱（ｄ）の間
欠停止時に、図９に実線で示すように苗押出具（３０）
により苗箱（ｄ）の横一列のポット（３８）内の苗
（ｅ）を前方へ押出して苗受金（３１）内に押込む。

【００２３】次いで、上記の苗（ｅ）を受取った苗受金
（３１）が図９に鎖線で示すように回転して下降し、そ
の後、苗受金（３１）内の苗（ｅ）を苗跳出体（３２）
により押出して互いに反対方向へ回転する両側のベルト
コンベヤ（３３）上に供給し、その苗（ｅ）はベルトコ
ンベヤ（３３）の端縁より落下して植えられる。

【００２４】以下、順次自動的に上記作用が繰返され、
苗載台（６）上の苗箱（ｄ）は間欠的に下降しながらそ
の苗箱（ｄ）の苗（ｅ）の植付作業が行われる。

【００２５】一方、上記苗箱（ｄ）の下方の苗（ｅ）が
取出された部分は、図９に鎖線で示すように苗載台
（６）の下端より順次、内方苗箱誘導杆（１０）と外方
前中央苗箱誘導杆（１１）及び外方前両側苗箱誘導杆
（１２）の間の前方苗箱通路（１３）内に入り込み該前
方苗箱通路（１３）に沿って弯曲後進した後、内方苗箱
誘導杆（１０）と外方後苗箱誘導杆（１４）の間の後方
苗箱通路（１５）内に入り込み該後方苗箱通路（１５）
に沿って弯曲後進し、斜め後ろ上方へ転向して行く。

【００２６】而して、苗載台（６）上の苗箱（ｄ）がリ
ミットスイッチ（８）の作用片（９）より下降すると、
図９に示すようにリミットスイッチ（８）の作用片
（９）が上昇して開口（７）より上方へ突出しリミット
スイッチ（８）が入って苗箱自動供給体（ｂ）のモータ
（３６）に通電する。従って、苗箱自動供給体（ｂ）の
両側搬送チエン（３４）が回転して該両側搬送チエン
（３４）に吊持ちされている苗箱（ｄ）は両側搬送チエ
ン（３４）によって後方へ移送される。

【００２７】その両側搬送チエン（３４）に吊持ちされ
ている後端の苗箱（ｄ）が苗載台（６）に当った後は、
その後端の苗箱（ｄ）の後進が阻止される。一方、両側
搬送チエン（３４）は回転しているから、両側搬送チエ
ン（３４）の後端のフック（３５）が上記後端の苗箱
（ｄ）の係合孔（４０）より抜け出して後端の苗箱
（ｄ）は自動的に苗載台（６）上に落下する。

【００２８】その苗載台（６）上に落下した苗箱（ｄ）
は苗載台（６）上を摺動して下降し、図８に示すように
上記下降した苗箱（ｄ）と苗植作業を行っている苗箱
（ｄ）の両側の突片（４３）がそれぞれ重合して屈曲片
（４２）が当接し苗植作業を行っている苗箱（ｄ）上に
接続して苗載台（６）上に供給され、その後、その供給
された苗箱（ｄ）は苗植作業を行っている苗箱（ｄ）と
一体的に苗載台（６）上を下降する。

【００２９】一方、苗載台（６）上に供給された苗箱
（ｄ）によりリミットスイッチ（８）の作用片（９）を
下圧し、その作用片（９）が下降してリミットスイッチ
（８）は切れる。従って、苗箱自動供給体（ｂ）のモー
タ（３６）への通電が止まり、両側搬送チエン（３４）
の回転が停止して両側搬送チエン（３４）に吊持ちした
苗箱（ｄ）の後方への移送は止まる。

【００３０】以下、順次苗載台（６）上の苗箱（ｄ）が
リミットスイッチ（８）の作用片（９）より下降する毎
に、自動的に上記作用が繰返されて苗箱（ｄ）が一枚づ
つ苗載台（６）上に供給され、連続して苗植作業が行わ
れる。

【００３１】而して、苗（ｅ）を取出し終った空苗箱
（ｇ）は、該空苗箱（ｇ）に次いで苗載台（６）上に供
給されて苗植作業を行っている苗箱（ｄ）により押圧さ
れて順次、前方苗箱通路（１３）内より後方苗箱通路
（１５）内を間欠的に後方へ移動する。

【００３２】その空苗箱（ｇ）の前端部が図９に鎖線で
示すように外方前中央苗箱誘導杆（１１）及び外方前両
側苗箱誘導杆（１２）の下端より離脱したとき、苗植作
業を行っている苗箱（ｄ）の後端部は外方前中央苗箱誘
導杆（１１）及び外方前両側苗箱誘導杆（１２）に支持
されており、一方、空苗箱（ｇ）の前端両側部は外方前
両側苗箱誘導杆（１２）より外れるから、空苗箱（ｄ）
の両側部はその弾性と自重により若干下方へ弯曲して垂
下する。そのために、空苗箱（ｇ）の前端両側の突片
（４３）は、苗植作業を行っている苗箱（ｄ）の後端両
側の突片（４３）より下方に脱離または離隔し、その後
は、苗植作業を行っている苗箱（ｄ）によって空苗箱
（ｇ）を上記状態のまま後方へ押送する。

【００３３】一方、後方苗箱通路（１５）内を後進する
空苗箱（ｇ）は、中央部を案内ローラ（２６）に下圧さ
れ、外方後苗箱誘導杆（１４）に沿って斜め後ろ上方へ
弯曲進行する。

【００３４】而して、空苗箱（ｇ）は、後方苗箱通路
（１５）内より受台（１６）上に至って該受台（１６）
上を後進するとき、中央部を押えローラ（２４），（２
４）に下圧され、図５に鎖線で示すようにＶ形に屈曲し
て前後方向の強度が強くなり、垂下することなく受台
（１６）に沿って斜め後ろ上方へ真直ぐに突出して後進
する。

【００３５】その後、空苗箱（ｇ）が受台（１６）より
後方へ押出されると、該空苗箱（ｇ）は自重により自動
的に空苗箱入れ（２８）内に落入して収容される。

【００３６】以下、順次自動的に上記作用が繰返され、
空苗箱（ｇ）は一枚づつ空苗箱入れ（２８）内に落入し
て堆積し、連続して苗植作業が行われる。

【００３７】なお、受台（１６）の先端横片（１７）
は、上記Ｖ形に代えて凹弧状等に形成してもよい。

【００３８】

【発明の効果】本発明の苗植機における空苗箱受け装置
は、下記のような利点がある。

【００３９】（１） 苗植付体の外方苗箱誘導杆の後方
に後ろ上方へ傾斜した凹状の受台を連設し、該受台の中
央部上方に適当間隔を形成して押えローラを配設し、上
記受台の先端側下方に空苗箱入れを設けたから、外方苗
箱誘導杆の後端より押出される空苗箱は、順次、凹状の
受台と押えローラにより凹状になって両側部が反り上
り、前後方向が真直ぐに保たれて受台上を後進し該受台
の先端より空苗箱入れ内に落入して収容される。従っ
て、

【００４０】（イ） 苗植作業中に、運転者は空苗箱の
取去り操作を全然しなくてよい上に、気を使う必要も無
いから、人手を省いて作業を安楽になし得る。

【００４１】（ロ） 空苗箱は自動的に順次空苗箱入れ
内に収容されて苗植作業を中断する必要なく連続的に行
うことができるから、作業能率を向上する。

【００４２】（ハ） 空苗箱は空苗箱入れより取出せば
よいから、空苗箱の取出しが容易で、作業し易い。

【００４３】（ニ） 空苗箱は受台上より真直ぐの状態
で押出されるから、空苗箱の押出しが適確で、空苗箱を
空苗箱入れ内に円滑良好に落入させて堆積収容すること
ができる。

【００４４】（２） 簡単に構成して容易安価に製作で
き、その作動は円滑適確である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施態様を示すポット苗植機の側面
図である。

【図２】同上要部の拡大側面図である。

【図３】同上側断面図である。

【図４】同上空苗箱受け部の平面図である。

【図５】その空苗箱送り出し部の後面図である。

【図６】同上斜視図である。

【図７】苗箱の正面図で、中間部を切欠して示す。

【図８】同上一部の底面図で、中間部を切欠して示す。

【図９】同上ポット苗植機の苗植付体及び空苗箱受台部
の作業状態を示す側断面図である。

【図１０】苗箱及び空苗箱の移動状態を示す要部の説明
側断面図である。

【符号の説明】

ａ 苗植付体 ｂ 苗箱自動供給体 ｃ 予備苗箱置台 ｄ ポット苗箱 ｅ 苗 ｆ 予備苗箱 ｇ 空苗箱 １ 機体 ２ 前車輪 ３ 後車輪 ４ 運転座席 ５ 操縦ハンドル ６ 苗載台 ７ 開口 ８ リミットスイッチ ９ 作用片 １０ 内方苗箱誘導杆 １１ 外方前中央苗箱誘導杆 １２ 外方前両側苗箱誘導杆 １３ 前方苗箱通路 １４ 外方後苗箱誘導杆 １５ 後方苗箱通路 １６ 受台 １７ 先端横片 １８ 台枠 １９ 両側杆 ２０ 吊り金 ２１ 受桟 ２２ 支持杆 ２３ 台金 ２４ 押えローラ ２５ ローラ軸 ２６ 溝形案内ローラ ２７ ローラ軸 ２８ 空苗箱入れ ２９ 取付杆 ３０ 苗押出具 ３１ 苗受金 ３２ 苗跳出体 ３３ ベルトコンベヤ ３４ 搬送チエン ３５ フック ３６ 駆動モータ ３７ 棚 ３８ ポット ３９ 平板 ４０ 係合孔 ４１ 切目 ４２ 屈曲片 ４３ 突片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01C 11/00 - 11/02 303

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗植付体の外方苗箱誘導杆の後方に、後
   方から見て凹状の受台を後ろ上方へ傾斜させて連設し、
   該受台の左右方向の中央部の上方に適当間隔を形成して
   押えローラを配設し、上記受台の先端側下方に空苗箱入
   れを設けたことを特徴とする苗植機における空苗箱受け
   装置。