JP3078689B2 - シアニジン−3−E−p−クマロイル−サンブビオシド - Google Patents
シアニジン−3−E−p−クマロイル−サンブビオシドInfo
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- sambubioside
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Description
期間保存しても褪色しないアントシアニン系色素に属す
る新規なシアニジン−3−O−(6−E−p−クマロイ
ル−2−O−β−D−キシロピラノシル)−β−D−グ
ルコピラノシド[Cyanidin−3−O−(6−E
−p−coumaroyl−2−O−β−D−xylo
pyranosyl)−β−D−glucopyran
oside]に関する。該化合物は、通称シアニジン−
3−E−p−クマロイル−サンブビオシド(Cyani
din−3−E−p−coumaroyl−sambu
bioside)と称し、本発明では以下、(A)化合
物と定義する。
(A)化合物と構造類似のアントシアニン系色素として
は、例えばエルダーベリー(Sambucus属)の果実から抽
出、単離されたシアニジン−3−サンブビオシド−5−
グルコシド、シアニジン−3−グルコシド−5−グルコ
シド、シアニジン−3−サンブビオシド、シアニジン−
3−グルコシド、シアニジン−3−(E−p−クマロイ
ル−サンブビオシド)−5−グルコシド等が知られてい
る[Phytochemistry 30,(12),4137〜4141(1991)]。
アニン系色素は、例えば光、酸素、熱などに対する安定
性に必ずしも満足できるものではなく、経時的に色調の
変化ならびに褪色などを伴うという使用上の欠点があっ
た。
エルダーベリーの果実から抽出したアントシアニン系色
素について研究を行ってきた。更に、研究を進めた結
果、(A)化合物が、エルダーベリー果実抽出物中に含
有される新規化合物であることを発見し、また、該化合
物が光、酸素、熱などに対して安定であり、経時的にも
色調の変化ならびに褪色などを伴わず、各種製品の着色
剤として有用であることを発見して本発明を完成した。
どに対して安定であり、経時的にも色調の変化ならびに
褪色しないエルダーベリー果実抽出物中に含有される新
規化合物を提供するにある。また、該化合物を用いて、
飲食品、香粧品、医薬などの各種製品を着色するのに有
用な着色剤を提供するにある。
産のエルダーベリー(Sambucus canadensis)の果実の抽
出物中に含有されており、該抽出物をカラムクロマトグ
ラフィー、分取HPLC等で処理して、分離・精製する
ことにより容易に単離することができる。以下、本発明
の態様について更に具体的に説明する。
抽出は、例えば細断した果実1重量部に対して約3〜約
10重量部の酸性アルコール溶液を加え、約10〜約6
0℃の温度で約0.5〜約4時間静置または撹拌条件下
で行うことができる。酸性アルコール溶液の酸として
は、例えば、塩酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、酢酸な
どをまた、アルコールとしては、例えば、メタノール、
エタノールなどを挙げることができる。
し、該濃縮液を水と酢酸エチル、エチルエーテル等の有
機溶媒で分配する。水溶性である(A)化合物を含有す
る水層部を、MCIゲル、SP−207、HP−20
(以上三菱化成)、アンバーライトXAD−2、アンバ
ーライトXAD−4(以上Rohm & Haas社)
などの多孔性合成吸着剤を充填したカラムクロマトに吸
着させた後、水で洗浄して脱塩・脱糖を行い、次に、
0.1〜1%の塩酸、リン酸、トリフルオロ酢酸などを
含むメタノール、エタノール、またはメタノール、エタ
ノールなどの低級アルコールで溶出させて(A)化合物
を含有する粗色素を得る。
ODS−5、Capcell Pak C−18(資
生堂)、Puresil(Waters社)などの市販
のカラムを用いるHPLCにより分取精製することによ
り、高純度に精製された(A)化合物を得た。HPLC
は(φ25×250mm)のカラムを用い、勾配溶出法(溶離
液A;0.5%H3PO4、B;0.5%H3PO4、3
9.5%H2O、60%Tetrahydrofuran)により行い、
また(A)化合物の構造は、UVスペクトル、NMR測
定などにより行った。
は、光、酸素、熱などに対して安定であり、経時的にも
色調の変化ならびに褪色しない水溶性アントシアニン系
色素として、飲食品、香粧品、医薬などの各種製品の着
色剤として有用である。(A)化合物の使用形態は、特
別に制約されるものではなく、例えば、(A)化合物単
独で使用する他、適当な希釈剤もしくは担体との組成物
の形態であってもよい。このような希釈剤もしくは担体
としては、例えば、アラビアガム、デキストリン、グル
コース、シュークロースなどの固体希釈剤もしくは担
体、また水、エタノール、プロピレングリコール、グリ
セリン、界面活性剤などの液体希釈剤もしくは担体を例
示することができる。
用してよく、例えば、粉末状、顆粒状、液状、乳化液
状、ペースト状その他適宜の剤形であることができる。
例えば、アラビアガム、デキストリンなどを添加して粉
末状、顆粒状などの剤形で使用してもよく、また、例え
ば、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、
あるいはこれらの混合物に溶解して液状剤形として使用
することもできる。
は、光、酸素、熱などにも安定で、該色素を各種製品に
添加配合することによって、該製品の光、酸素、熱など
による褪色を効果的に防止することができ、長期間安定
に色調を保持することができる。このような製品として
は、飲食物・嗜好品類、餌飼料類、保健・医薬品類、香
粧品類などを挙げることができる。例えば、無果汁飲
料、果汁入り飲料、乳酸菌飲料、粉末飲料などの飲料
類;アイスクリーム、シャーベット、氷菓などの冷菓
類;プリン、ゼリー、ババロア、ヨーグルトなどのデザ
ート類;その他ドロップ、キャンディー、チョコレー
ト、餡、畜肉加工食品、焼肉のたれ、漬物などのごとき
飲食品・嗜好品類;例えば、錠剤、液状経口薬、粉末状
の経口薬、湿布薬などのごとき保健・医薬品類;あるい
は例えば、石鹸、洗剤、シャンプーの着色のごとき香粧
品類の着色剤として有用である。
しく説明する。
-MeOH4000mlで抽出し濾過した。濾液を濃縮後、濃
縮液850gに酢酸エチル500mlを加え分配してポリ
フェノール類を除去する操作を3回行った。得られた色
素液を多孔性合成吸着剤であるSP-207300mlを充填し
たカラムに通液し、色素を吸着した後、水で洗浄して脱
塩・脱糖を行った。次に、1%トリフルオロ酢酸−MeOH
600mlで溶出した後、メタノールを留去して粗色素を
得た。次に粗色素をHPLCにより分取精製した。HP
LCはCapcell Pak C18 (φ25×250mm)の
カラムを用い、勾配溶出法(溶離液A;0.5%H3P
O4、B;0.5%H3PO4、39.5%H2O、60%
Tetrahydrofuran)により行い、(A)化合物を単離し
た。
最大吸収波長が525nm付近でAlCl3添加により長波
長側にシフトしたことから、アントシアニジン骨格のB
環がオルトジフェノール構造であることが示唆された。
また、E440/EVIS(%)のデータから3位のみが糖と
結合していると推定した。315nmにも吸収をもつこ
とから、ケイ皮酸タイプのアシル基の存在が示唆され、
E315/EVIS(%)の値から分子内にアシル基を1個有
するものと推定した。SIMSの結果から(A)化合物
は2個の糖を有すると考えられた。
果、シアニジン骨格を有し、アシル基としてtrans-p-co
umaroyl基1分子を有すること、および、分子内にグル
コース1分子とキシロース1分子が存在し、それぞれβ
結合していることが明らかとなった。また、シアニジン
骨格の3位にグルコースが結合しており、その2位がキ
シロシル化、6位がアシル化、すなわち、trans-p-coum
aroyl基が結合していることが判明し、UV−VIS、
SIMS測定の結果と合わせて、(A)化合物は、cyan
idin-3-O-(6-E-p-coumaroyl-2-O-β-xylopyranosyl)-β
-D-glucopyranosideと構造決定した。以下に、1H−N
MRスペクトルデータを示す。
TFA=9:1) Cyanidin 4 δ8.78 (s) 6 6.66 (d) 8 6.84 (d) 2′ 7.94 (d) 5′ 7.00 (d) 6′ 8.29 (dd) 2″,6″ 7.35 (d) 3″,5″ 6.76 (d) α 6.24 (d) β 7.40 (d) 3-O-β-glucopyranoside 1 5.69 (d) 2 3.89 (t) 3 3.67 (t) 4 3.38 (t) 5 3.9−4.0 (m) 6a 4.35 (m) 6b 4.43 (br d) O-β-xylopyranoside 1 4.66 (d) 2 3.01 (t) 3 3.10 (t) 4 3.2−3.3 (m) 5a 3.5−3.6 (m) 5b 2.96 (t)
アニン系色素に属する新規化合物であるシアニジン−3
−E−p−クマロイル−サンブビオシドを提供できる。
該化合物を、飲食品、香粧品、医薬などの各種製品に配
合して、長期間保存しても褪色しない着色剤を得ること
ができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 シアニジン−3−O−(6−E−p−ク
マロイル−2−O−β−D−キシロピラノシル)−β−
D−グルコピラノシド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05265530A JP3078689B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | シアニジン−3−E−p−クマロイル−サンブビオシド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05265530A JP3078689B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | シアニジン−3−E−p−クマロイル−サンブビオシド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07101975A JPH07101975A (ja) | 1995-04-18 |
JP3078689B2 true JP3078689B2 (ja) | 2000-08-21 |
Family
ID=17418414
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05265530A Expired - Lifetime JP3078689B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | シアニジン−3−E−p−クマロイル−サンブビオシド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3078689B2 (ja) |
-
1993
- 1993-09-30 JP JP05265530A patent/JP3078689B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07101975A (ja) | 1995-04-18 |
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