JP3078689B2 - シアニジン−3−E−p−クマロイル−サンブビオシド - Google Patents

シアニジン−3−E−p−クマロイル−サンブビオシド

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JP3078689B2
JP3078689B2 JP05265530A JP26553093A JP3078689B2 JP 3078689 B2 JP3078689 B2 JP 3078689B2 JP 05265530 A JP05265530 A JP 05265530A JP 26553093 A JP26553093 A JP 26553093A JP 3078689 B2 JP3078689 B2 JP 3078689B2
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cyanidin
coumaroyl
sambubioside
acid
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中谷延二
菊崎泰枝
引田順子
治 稲波
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T Hasegawa Co Ltd
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T Hasegawa Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱、光などに安定で長
期間保存しても褪色しないアントシアニン系色素に属す
る新規なシアニジン−3−O−(6−E−p−クマロイ
ル−2−O−β−D−キシロピラノシル)−β−D−グ
ルコピラノシド[Cyanidin−3−O−(6−E
−p−coumaroyl−2−O−β−D−xylo
pyranosyl)−β−D−glucopyran
oside]に関する。該化合物は、通称シアニジン−
3−E−p−クマロイル−サンブビオシド(Cyani
din−3−E−p−coumaroyl−sambu
bioside)と称し、本発明では以下、(A)化合
物と定義する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
(A)化合物と構造類似のアントシアニン系色素として
は、例えばエルダーベリー(Sambucus属)の果実から抽
出、単離されたシアニジン−3−サンブビオシド−5−
グルコシド、シアニジン−3−グルコシド−5−グルコ
シド、シアニジン−3−サンブビオシド、シアニジン−
3−グルコシド、シアニジン−3−(E−p−クマロイ
ル−サンブビオシド)−5−グルコシド等が知られてい
る[Phytochemistry 30,(12),4137〜4141(1991)]。
【0003】しかしながら、これら従来公知のアントシ
アニン系色素は、例えば光、酸素、熱などに対する安定
性に必ずしも満足できるものではなく、経時的に色調の
変化ならびに褪色などを伴うという使用上の欠点があっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来から
エルダーベリーの果実から抽出したアントシアニン系色
素について研究を行ってきた。更に、研究を進めた結
果、(A)化合物が、エルダーベリー果実抽出物中に含
有される新規化合物であることを発見し、また、該化合
物が光、酸素、熱などに対して安定であり、経時的にも
色調の変化ならびに褪色などを伴わず、各種製品の着色
剤として有用であることを発見して本発明を完成した。
【0005】従って、本発明の目的は、光、酸素、熱な
どに対して安定であり、経時的にも色調の変化ならびに
褪色しないエルダーベリー果実抽出物中に含有される新
規化合物を提供するにある。また、該化合物を用いて、
飲食品、香粧品、医薬などの各種製品を着色するのに有
用な着色剤を提供するにある。
【0006】本発明によれば、(A)化合物はカナダ原
産のエルダーベリー(Sambucus canadensis)の果実の抽
出物中に含有されており、該抽出物をカラムクロマトグ
ラフィー、分取HPLC等で処理して、分離・精製する
ことにより容易に単離することができる。以下、本発明
の態様について更に具体的に説明する。
【0007】エルダーベリー果実からの(A)化合物の
抽出は、例えば細断した果実1重量部に対して約3〜約
10重量部の酸性アルコール溶液を加え、約10〜約6
0℃の温度で約0.5〜約4時間静置または撹拌条件下
で行うことができる。酸性アルコール溶液の酸として
は、例えば、塩酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、酢酸な
どをまた、アルコールとしては、例えば、メタノール、
エタノールなどを挙げることができる。
【0008】得られた抽出液は、溶媒回収して濃縮液と
し、該濃縮液を水と酢酸エチル、エチルエーテル等の有
機溶媒で分配する。水溶性である(A)化合物を含有す
る水層部を、MCIゲル、SP−207、HP−20
(以上三菱化成)、アンバーライトXAD−2、アンバ
ーライトXAD−4(以上Rohm & Haas社)
などの多孔性合成吸着剤を充填したカラムクロマトに吸
着させた後、水で洗浄して脱塩・脱糖を行い、次に、
0.1〜1%の塩酸、リン酸、トリフルオロ酢酸などを
含むメタノール、エタノール、またはメタノール、エタ
ノールなどの低級アルコールで溶出させて(A)化合物
を含有する粗色素を得る。
【0009】次いで上述の粗色素をDevelosil
ODS−5、Capcell Pak C−18(資
生堂)、Puresil(Waters社)などの市販
のカラムを用いるHPLCにより分取精製することによ
り、高純度に精製された(A)化合物を得た。HPLC
は(φ25×250mm)のカラムを用い、勾配溶出法(溶離
液A;0.5%H3PO4、B;0.5%H3PO4、3
9.5%H2O、60%Tetrahydrofuran)により行い、
また(A)化合物の構造は、UVスペクトル、NMR測
定などにより行った。
【0010】上述のようにして得られる(A)化合物
は、光、酸素、熱などに対して安定であり、経時的にも
色調の変化ならびに褪色しない水溶性アントシアニン系
色素として、飲食品、香粧品、医薬などの各種製品の着
色剤として有用である。(A)化合物の使用形態は、特
別に制約されるものではなく、例えば、(A)化合物単
独で使用する他、適当な希釈剤もしくは担体との組成物
の形態であってもよい。このような希釈剤もしくは担体
としては、例えば、アラビアガム、デキストリン、グル
コース、シュークロースなどの固体希釈剤もしくは担
体、また水、エタノール、プロピレングリコール、グリ
セリン、界面活性剤などの液体希釈剤もしくは担体を例
示することができる。
【0011】本発明の(A)化合物は、任意の剤形で利
用してよく、例えば、粉末状、顆粒状、液状、乳化液
状、ペースト状その他適宜の剤形であることができる。
例えば、アラビアガム、デキストリンなどを添加して粉
末状、顆粒状などの剤形で使用してもよく、また、例え
ば、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、
あるいはこれらの混合物に溶解して液状剤形として使用
することもできる。
【0012】酸性側のpHで安定な本発明(A)化合物
は、光、酸素、熱などにも安定で、該色素を各種製品に
添加配合することによって、該製品の光、酸素、熱など
による褪色を効果的に防止することができ、長期間安定
に色調を保持することができる。このような製品として
は、飲食物・嗜好品類、餌飼料類、保健・医薬品類、香
粧品類などを挙げることができる。例えば、無果汁飲
料、果汁入り飲料、乳酸菌飲料、粉末飲料などの飲料
類;アイスクリーム、シャーベット、氷菓などの冷菓
類;プリン、ゼリー、ババロア、ヨーグルトなどのデザ
ート類;その他ドロップ、キャンディー、チョコレー
ト、餡、畜肉加工食品、焼肉のたれ、漬物などのごとき
飲食品・嗜好品類;例えば、錠剤、液状経口薬、粉末状
の経口薬、湿布薬などのごとき保健・医薬品類;あるい
は例えば、石鹸、洗剤、シャンプーの着色のごとき香粧
品類の着色剤として有用である。
【0013】以下、実施例により本発明について更に詳
しく説明する。
【0014】
【実施例】
実施例1 Sambucus canadensisの凍結果実1.0kgを0.1%HCl
-MeOH4000mlで抽出し濾過した。濾液を濃縮後、濃
縮液850gに酢酸エチル500mlを加え分配してポリ
フェノール類を除去する操作を3回行った。得られた色
素液を多孔性合成吸着剤であるSP-207300mlを充填し
たカラムに通液し、色素を吸着した後、水で洗浄して脱
塩・脱糖を行った。次に、1%トリフルオロ酢酸−MeOH
600mlで溶出した後、メタノールを留去して粗色素を
得た。次に粗色素をHPLCにより分取精製した。HP
LCはCapcell Pak C18 (φ25×250mm)の
カラムを用い、勾配溶出法(溶離液A;0.5%H3
4、B;0.5%H3PO4、39.5%H2O、60%
Tetrahydrofuran)により行い、(A)化合物を単離し
た。
【0015】実施例2 (A)化合物のUVスペクトルを調べたところ、可視部
最大吸収波長が525nm付近でAlCl3添加により長波
長側にシフトしたことから、アントシアニジン骨格のB
環がオルトジフェノール構造であることが示唆された。
また、E440/EVIS(%)のデータから3位のみが糖と
結合していると推定した。315nmにも吸収をもつこ
とから、ケイ皮酸タイプのアシル基の存在が示唆され、
315/EVIS(%)の値から分子内にアシル基を1個有
するものと推定した。SIMSの結果から(A)化合物
は2個の糖を有すると考えられた。
【0016】実施例3 (A)化合物の1H−1HCOSYスペクトル解析の結
果、シアニジン骨格を有し、アシル基としてtrans-p-co
umaroyl基1分子を有すること、および、分子内にグル
コース1分子とキシロース1分子が存在し、それぞれβ
結合していることが明らかとなった。また、シアニジン
骨格の3位にグルコースが結合しており、その2位がキ
シロシル化、6位がアシル化、すなわち、trans-p-coum
aroyl基が結合していることが判明し、UV−VIS、
SIMS測定の結果と合わせて、(A)化合物は、cyan
idin-3-O-(6-E-p-coumaroyl-2-O-β-xylopyranosyl)-β
-D-glucopyranosideと構造決定した。以下に、1H−N
MRスペクトルデータを示す。
【0017】
【表1】表1:1H−NMRスペクトルデータ(DMSO−d6
TFA=9:1) Cyanidin 4 δ8.78 (s) 6 6.66 (d) 8 6.84 (d) 2′ 7.94 (d) 5′ 7.00 (d) 6′ 8.29 (dd) 2″,6″ 7.35 (d) 3″,5″ 6.76 (d) α 6.24 (d) β 7.40 (d) 3-O-β-glucopyranoside 1 5.69 (d) 2 3.89 (t) 3 3.67 (t) 4 3.38 (t) 5 3.9−4.0 (m) 6a 4.35 (m) 6b 4.43 (br d) O-β-xylopyranoside 1 4.66 (d) 2 3.01 (t) 3 3.10 (t) 4 3.2−3.3 (m) 5a 3.5−3.6 (m) 5b 2.96 (t)
【0018】
【発明の効果】本発明は、熱、光などに安定なアントシ
アニン系色素に属する新規化合物であるシアニジン−3
−E−p−クマロイル−サンブビオシドを提供できる。
該化合物を、飲食品、香粧品、医薬などの各種製品に配
合して、長期間保存しても褪色しない着色剤を得ること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 17/065 A23L 1/27 C09B 61/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアニジン−3−O−(6−E−p−ク
    マロイル−2−O−β−D−キシロピラノシル)−β−
    D−グルコピラノシド。
JP05265530A 1993-09-30 1993-09-30 シアニジン−3−E−p−クマロイル−サンブビオシド Expired - Lifetime JP3078689B2 (ja)

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