JP3076365B2 - 剥離性積層シート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は摩擦力程度の力では剥離することがなく、し
かも剥離時には容易に剥離することができる剥離性積層
シートに関する。

〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕

近年、金融機関、官庁等からの通知用として、記録欄
に必要事項を記録後に、折り畳んで貼着して郵送される
メールフォームが利用されている。この種のメールフォ
ームとして、従来は３つ折りに折り畳んで周縁部を接着
剤で貼着し、開封時にはミシン目から周縁部を切り取っ
て展開する形態のものが広く利用されていたが、切り取
った周縁部がゴミとして残る問題があるとともに、開封
時に周縁部が切り取られるために情報記録部分の有効面
積が小さいという問題があった。またこのメールフォー
ムは周縁部のみを貼着しているため、現行の郵便法では
封書扱いとなり、寸法を葉書サイズとしても安価な葉書
扱いで郵送することができなかった。

一方、必要事項を記録後に粘着用フィルムを挟み込ん
で折り畳み、貼着する形態のフォームも知られており、
この形態のものは葉書扱いで郵送することができる。し
かしながらこのタイプのものはフィルムの挟み込み作業
が必要となり製作工程が煩雑となる欠点があった。

葉書タイプのメールフォームは、粘着面側に必要事項
が記載されるため、受取人がシートを剥離して内面側に
記載されている通信事項を読みとることができなければ
ならない。従って開封する際にはシート等の材質の破壊
や、記録された文字等が反対側のシート面に転移するこ
とがなく、粘着界面できれいに剥離する粘着剤の粘着界
面における剥離強度を有することが必要である。一方、
郵送途中で擦られたりした際に、不用意に剥離するよう
な低い粘着剤の粘着界面における剥離強度のものは好ま
しくない。

本発明者は上記の点に鑑み鋭意研究した結果、重ね合
わせたシートの両面に塗布した粘着剤を介して特定の粘
着剤の粘着界面における剥離強度で粘着した積層シート
が上記課題を解決し得ることを見いだし本発明を完成す
るに至った。

〔課題を解決するための手段〕

即ち本発明は、シートを少なくとも２枚に重ね合わせ
て重ね合わせ面の両面側に塗布した感圧粘着剤を介して
粘着剤の粘着界面において剥離可能に貼着してなる積層
シートであって、該積層シートの25mm×100mmの大きさ
の試料を、100mm/分の速度で粘着剤の粘着界面において
180゜剥離した際の粘着剤の粘着界面における剥離力が2
5gf〜750gfであることを特徴とする剥離性積層シートを
要旨とする。

本発明の剥離性積層シートは、シートを少なくとも２
枚に重ね合わせてなるが、相互に分離したシートを重ね
合わせても、１枚のシートを折り畳んで重ね合わせたも
のであっても良い。また３枚以上に重ね合わせたもので
あっても良い。本発明積層シートは、シートの重ね合わ
せ面は重ね合わせ面の両面に塗布した感圧粘着剤により
粘着されている。この感圧粘着剤としては、例えば本出
願人が先に提案した特願平２−134470号に開示されてい
る如き、スチレン−ブタジエンゴムとマイクロシリカと
を含み、これらを水に分散させたタイプの感圧粘着剤
や、特願平２−233009号に開示されている如き、天然ゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム等の粘着主剤と、粘着主
剤に対する相溶性が小さい樹脂とを含む感圧粘着剤等を
用いることができる。上記のうち、後者の粘着剤が特に
好ましい。

本発明の剥離性積層シートの粘着強度は、25mm×100m
mの大きさの試料を、100mm/分の速度で粘着剤の粘着界
面において180゜剥離した際の粘着剤の粘着界面におけ
る剥離力が25gf〜750gf、好ましくは100gf〜300gfであ
る。この粘着剤の粘着界面における剥離力の試験はJIS
Z0237に記載の粘着力試験の方法に準じて測定した値
である。即ち、積層シートから25×100mmの大きさの試
料を作成し、長辺の端部を25mm引き剥がして両片の端部
をテンシロン万能試験機のチャックに固定し、100mm/分
の速度で上下に引き剥がし、粘着剤の粘着界面において
180゜剥離する際に要する粘着剤の粘着界面における剥
離力である。この範囲の粘着剤の粘着界面における剥離
強度を有することにより、粘着剤の粘着界面における良
好な剥離性となるとともに剥離後のシートがカールする
ことも少なくなる。上記粘着剤の粘着界面における剥離
強度の積層シートを得るために好ましい粘着剤の塗布量
は１〜5g/m²であり、好ましい粘着時の加圧圧力は100〜
1000kg/cm²である。本発明積層シートのシート材質とし
ては、たとえば紙、合成樹脂、合成紙やこれらの積層体
等が挙げられる。これらシートの厚みは12〜300μが好
ましい。

本発明の積層シートは上記したメールフォームの他
に、カード付きプリント用紙、値札タブ等、少なくとも
２枚の基材が一時的に粘着固定されている積層シートと
して好適に使用されるものである。

〔実施例〕

以下、実施例、比較例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。

実施例１〜116、比較例１〜４ ノンインパクトプリンター用上質紙（山陽国策パルプ
社製）の70kg（FPLB−70）、90kg（FPLB−90）ベースの
２種類の紙に、第１表に示す粘着剤を塗布量が2g/m²の
２種類となるように塗布し、シーリング機（大日本印刷
社製：メールシーラー7000型）のロール間ギャプを40
μ、80μ、100μと変えることで、異なる３種の加圧圧
力とし、加圧粘着して積層シートを得た。この積層シー
トを25mm×150mmの大きさに切りとった試料の粘着剤の
粘着界面における剥離強度をテンシロン万能試験機で測
定した。測定は一つの積層シート毎に20点の試料につい
て行い、最大値と最小値を除いた18点のデータの平均を
その積層シートの粘着剤の粘着界面における剥離強度と
した。また各積層シートをゲート式自動改札機と同等の
自動搬送機に100回通過させて剥離の有無を調べた。こ
れらの結果を粘着剤ａは第２表に、粘着剤ｂは第３表
に、粘着剤ｃは第４表に、粘着剤ｄは第５表に、粘着剤
ｅは第６表に、粘着剤ｆは第７表に、粘着剤ｇは第８表
に、粘着剤ｈは第９表に、粘着剤ｉは第10表に、粘着剤
ｊは第11表にそれぞれ示す。

尚、測定結果を示す評価は以下の基準に基いて行っ
た。

▲…粘着剤の粘着界面における粘着力は非常に高いが
（750gfを越える）、粘着剤の粘着界面において剥離し
難く、剥離の際にシートの一部を破壊することあり。

●…粘着剤の粘着界面における粘着力は高いが（300gf
を越える）、粘着剤の粘着界面における剥離はスムーズ
に行え、剥離後のシートに僅かなカールが生じることが
あるが実用上問題なし。

◎…粘着剤の粘着界面における粘着力に優れ（100〜300
gf）、粘着剤の粘着界面における剥離がスムーズで剥離
後のシートにカールもない。

○…粘着剤の粘着界面における粘着力は良好であり（25
〜100gf未満）、粘着剤の粘着界面における剥離後のシ
ートにカールなし。自動搬送機100回の通過試験でも剥
離を生じない。

△…粘着剤の粘着界面における粘着力弱く（25gf未
満）、自動搬送機100回の通過試験で端部に粘着剤の粘
着界面における剥離が生じる。

〔発明の効果〕 以上説明したように本発明の剥離性積層シートは、シ
ートの重ね合わせ面の両面に塗布した感圧粘着剤によ
り、粘着剤の粘着界面における剥離強度を25gf〜750gf
として粘着したことにより、不用意に粘着剤の粘着界面
において剥離する虞がないとともに、粘着剤の粘着界面
における剥離が必要な場合には容易に粘着剤の粘着界面
において 剥離できるとともに、粘着剤の粘着界面で剥離が行われ
るため、シートの材質を破壊したり、一方のシートに記
録されていた文字等が反対側のシートに転移して判読で
きなくなる虞がない等の効果を有する。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シートを少なくとも２枚に重ね合わせて重
   ね合わせ面の両面側に塗布した感圧粘着剤を介して剥離
   可能に貼着してなる積層シートであって、該積層シート
   の25mm×100mmの大きさの試料を、100mm/分の速度で粘
   着剤の粘着界面において180゜剥離した際の粘着剤の粘
   着界面における剥離力が25gf〜750gfであることを特徴
   とする剥離性積層シート。