JP3076245B2 - 検査ピンおよび検査装置 - Google Patents

検査ピンおよび検査装置

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JP3076245B2 JP08168226A JP16822696A JP3076245B2 JP 3076245 B2 JP3076245 B2 JP 3076245B2 JP 08168226 A JP08168226 A JP 08168226A JP 16822696 A JP16822696 A JP 16822696A JP 3076245 B2 JP3076245 B2 JP 3076245B2
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  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体や抵抗、コ
ンデンサ等の電子部品が実装されたプリント基板などの
検査に使用されるインサーキットテスタの如き検査装置
と、そのような検査装置に好適に使用される検査ピンに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体等の電子部品が実装さ
れたプリント基板を電気的に検査するための検査装置と
してのインサーキットテスタが公知である。このインサ
ーキットテスタは、多数の検査ピン(プローブピン)を
プリント基板上の電子部品にそれぞれ当接させて、電子
部品が基板に正しく実装されているかどうかを電気回路
を実際に作動させずに検査できるように構成されてい
る。
【0003】ここで、絶縁板の両側面に極板をそれぞれ
配置してなるセンサープレートをプリント基板上の電子
部品に接触させることによって検査を行うコンデンサタ
イプの検査ピンが知られている。このコンデンサタイプ
の検査ピンは、狭ピッチICピンの浮きや有極性コンデ
ンサの逆付けなども検査できることから、最近では広く
普及している。
【0004】ところで、コンデンサタイプの検査ピンを
使用して検査を行う場合には、検査ピン先端のセンサー
プレートをプリント基板上の電子部品に適切に接触させ
ることが必要である。しかし、プリント基板上に実装さ
れている各電子部品の高さは正確に一定に保たれている
ことはなく、多数枚のプリント基板について検査を実施
する場合は各電子部品の高さはプリント基板毎に微妙に
異なっているのが実状である。特にプリント基板の軽量
化や変形性能を向上させるために基板自体の薄型化が進
んでいるが、そのような薄型化されたプリント基板をイ
ンサーキットテスタ内に収納した場合、基板の変形によ
って各電子部品にセンサープレートが適切に当接しなく
なる心配がある。このため、インサーキットテスタ内に
配置されている検査ピンの先端にスポンジやバネを介し
てセンサープレートを支持し、プリント基板をインサー
キットテスタ内に収納した際に、センサープレートが各
電子部品に加圧された状態で当接するように構成したも
のが採用されている。
【0005】図11は、検査ピンの先端にスポンジ10
0を介して検センサープレート101を支持したものを
示している。この検査ピンはセンサープレート101上
面の極板102にリード線103を直接ハンダ付けし、
同様に下面の極板104にリード線105を直接ハンダ
付けした構成になっている。
【0006】図12は、検査ピンの先端にバネ110、
111を介してセンサープレート112を支持したもの
を示している。この検査ピンではセンサープレート11
2の上下の極板113、114に円柱形状の導体11
5、116を直接植設してその上端にバネ110、11
1をそれぞれ接続し、これら導体115、116の略上
半部とバネ110、111を円筒形状をなすガイド11
7、118内にそれぞれ収納した構成になっている。そ
して、リード線119をバネ110と導体115を介し
て上側の極板113に電気的に導通させ、リード線12
0をバネ111と導体116を介して下側の極板114
に電気的に導通させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の検査ピンは次のような課題を有していた。即ち、
先ず図11に示した如きスポンジ100を用いた検査ピ
ンは、センサープレート101が移動してスポンジ10
0が変形する度に、リード線103、105を接続して
いるハンダ付け部分に変形応力が作用するので、ハンダ
付け部分が剥がれやすく、導通不良が生じやすい。この
ため、スポンジ100を用いた検査ピンは耐久性が劣
り、長期間の使用ができなかった。
【0008】一方、図12に示した如きバネ110、1
11を用いた検査ピンは、センサープレート112の移
動に伴って導体115、116がガイド117、118
内をそれぞれ摺動する構成となっているので、センサー
プレート112が少しでも傾くと導体115、116が
ガイド117、118内壁に突っかかった状態となって
しまい、センサープレート112がスムーズに昇降でき
ない。特に最近の薄型化されたプリント基板では電子部
品の位置ずれが生じやすく、センサープレート112の
中央部に電子部品がうまく当接しないような場合も多い
が、かかる場合はセンサープレート112が斜めになっ
てしまい、センサープレート112が昇降できなくなる
心配がある。
【0009】更に、実際にはインサーキットテスタ内に
は数十〜数百といった多数の検査ピンが設けられている
が、これら従来の検査ピンを備えた検査装置の内部に
は、センサープレートの上下の極板に接続されているそ
れぞれリード線が縦横無尽に配線されているため、近接
する他のリード線との間でノイズが発生しやすい。特に
コンデンサタイプの検査ピンを利用して測定を行う場合
は、数mV程度の極めて微少な電圧値を測定しなければ
ならないことも多いため、このようにリード線同士の間
で発生するノイズの影響は無視できない。
【0010】従って、本発明の目的は耐久性に優れ、か
つセンサープレートが斜めになっても作動不良を起こす
ことがなく、しかもノイズの影響を受けにくい検査手段
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、絶縁
板の両側面に極板をそれぞれ配置してなるセンサプレー
トを支持体の先端に昇降自在に設けてなる検査ピンにお
いて、前記支持体を、中心導体と、該中心導体と同軸で
中心導体とは絶縁された状態で配置された中空筒状導体
とで構成し、かつ、前記中心導体の先端が前記中空筒状
導体の先端から飛び出すように付勢し、前記中心導体の
先端をその付勢によってセンサプレートの一方の極板側
に圧接させることにより、これら中心導体とセンサプレ
ートの一方の極板とを電気的に導通させると共に、前記
中空筒状導体を前記中心導体と同軸で中心導体とは絶縁
された状態で配置されたコイルバネを介してセンサプレ
ートの他方の極板に接続することにより、これら中空筒
状導体とセンサプレートの他方の極板とを電気的に導通
させたことを特徴とする。
【0012】この請求項1の検査ピンによれば、中心導
体とセンサプレートの一方の極板とを接続しているコイ
ルバネの弾性によりセンサプレートの移動をスムーズな
ものとすることができ、センサプレートが斜めになって
も作動不良を起こす心配がない。また、中心導体の先端
は付勢によってセンサプレートの一方の極板側に常に圧
接させられているのでセンサプレートの姿勢に関わらず
中心導体とセンサプレートの一方の極板との電気的な導
通状態を良好に維持でき、しかも、耐久性にも優れてい
る。また、中心導体と同軸に中空筒状導体およびコイル
バネを配置したいわゆるシールド構造となっているの
で、例えば検査装置において近接して設けられた隣の検
査ピンからのノイズの影響を受けにくい。
【0013】なお、前記中心導体と前記中空筒状導体の
間には、請求項2に記載したように絶縁材を介装させる
ことが望ましい。そうすれば、中心導体と中空筒状導体
の間での短絡を確実に防止できるようになる。
【0014】また請求項3に記載したように、前記中心
導体の先端を前記中空筒状導体の先端から飛び出すよう
に付勢する圧縮バネを設けると良い。この圧縮バネの付
勢によって中心導体の先端をセンサプレートの一方の極
板側に常に圧接させておくことにより、センサプレート
の姿勢に関わらず中心導体とセンサプレートの一方の極
板との電気的な導通状態を良好に維持できるようにな
る。
【0015】また請求項4に記載したように、前記セン
サプレートの一方の極板に電気的に導通する支持部材を
設け、前記中心導体の先端をその付勢によってこの支持
部材に圧接させることにより、中心導体とセンサプレー
トの一方の極板とを電気的に導通させることが望まし
い。この場合、例えば請求項5に記載したように、前記
中心導体の先端に球面形状の凸部を形成すると共に、前
記支持部材に該凸部と同じかもしくは該凸部よりも小さ
い曲率の球面形状の凹部を形成し、前記付勢により中心
導体先端の凸部を支持部材の凹部に圧接させる構成とし
ても良い。また例えば請求項6に記載したように、前記
中心導体の先端に球面形状の凹部を形成すると共に、前
記支持部材に該凹部と同じかもしくは該凹部よりも大き
い曲率の球面形状の凸部を形成し、前記付勢により中心
導体先端の凹部を支持部材の凸部に圧接させる構成とし
ても良い。
【0016】これら請求項5、6の検査ピンのように、
中心導体と支持部材とを球面形状をもつ凸部と凹部とに
よって接触させると、両者の接触が面接触状態となり、
中心導体とセンサプレートの一方の極板との電気的な導
通状態を更に良好に維持できるようになる。
【0017】また、請求項7に記載したように、前記コ
イルバネを、前記中空筒状導体と接続される側では径が
小さく、前記センサプレートの他方の極板と接続される
側では径が大きいテーパ形状に構成することが望まし
い。このようにコイルバネをテーパ形状に構成しておけ
ば、センサプレートが斜めになった場合にもコイルバネ
が中心導体に接触しにくくなるので、両者の絶縁状態を
より確実にすることができるようになる。
【0018】そして、請求項8の発明は、前記請求項
1、2、3、4、5、6または7の何れかに記載の検査
ピンのセンサプレートを検査対象に当接させて該検査対
象を電気的に検査するように構成した検査装置である。
【0019】この請求項8の検査装置においては、請求
項9に記載したように、検査ピンに接続される信号線と
して中心導線と該中心導線と同軸に中空筒状導線を配置
してなる同軸ケーブルを用い、該同軸ケーブルの中心導
線を前記中心導体に接続し、中空筒状導線を前記中空筒
状導体に接続することが望ましい。このように信号線と
して同軸ケーブルを用いれば、信号線同士でのノイズの
影響を防ぐことができ、正確な検査が実現できるように
なる。なお信号線に同軸ケーブルを用いる場合は、請求
項10に記載したように、前記中空筒状導線を接地させ
たほうがよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を、プリント基板を電気的に検査するための検査装置
としての検査治具(インサーキットテスタ)に基づいて
説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる検査治
具1の斜視図である。図示の検査治具1は、蝶番2を介
して開閉自在に構成された下部ケース3と上部ケース4
を備えている。
【0021】下部ケース3の上面には下支持板5が取り
付けてあり、この下支持板5のほぼ中央にゴムなどから
なるパッキン6を介してプリント基板Pが載置される。
プリント基板Pは下支持板5上の所定位置に位置決めさ
れて載置されており、また、プリント基板Pの表面に
は、例えば半導体などの電子部品aが実装されている。
実際にはプリント基板Pの表面には、数十〜数百といっ
た多数の電子部品aが実装されているのが一般的であ
る。また図示はしないが、下部ケース3の下方には下部
ケース3内を減圧する吸引口が形成されており、その吸
引口を介して下部ケース3内を減圧することによって、
プリント基板Pを下部ケース3内の下方に引き下げるこ
とができるようになっている。そして、そのようにプリ
ント基板Pを下部ケース3内の下方に引き下げた際に
は、後に図5で示すように、プリント基板Pの下面に検
査対象ピン55と同一パッケージ中の他のピン56の上
端がそれぞれ当接して、各電子部品aには所定の交流電
圧が供給されるようになっている。
【0022】上部ケース4の前側面にはハンドル10が
取り付けてあり、蝶番2を中心にしてこのハンドル10
を押し下げるように上部ケース4を回動させることによ
り、下部ケース3と上部ケース4とを容易に閉塞させる
ことができる。上部ケース4の下面には上支持板11が
取り付けてあり、この上支持板11のほぼ中央に、本発
明の実施の形態に従って構成された多数の検査ピン12
が設けられている。これら検査ピン12は、下支持板5
上に載置されたプリント基板P上面の各電子部品aに対
応して、所定の位置に所定の数だけ配置されているの
で、前述したようにハンドル10を押し下げることによ
って上部ケース4を下部ケース3上に閉塞させた際に
は、後に図5で示すように、各検査ピン12がプリント
基板P上の各電子部品aに上方から圧接した状態とな
る。
【0023】図2に示すように、検査ピン12は支持体
15の先端(図示の例では下端)にコイルバネ16を介
してセンサプレート17を取り付けた構成になってい
る。前述の上部ケース4下面の上支持板11に支持体1
5が固定されることにより、上支持板11のほぼ中央に
おいて所定箇所に所定の数の検査ピン12が配置されて
いる。支持体15の後端(図示の例では上端)には、信
号線18が接続されている。
【0024】図3をもとにして検査ピン12の構成を更
に詳細に説明すると、この実施の形態においては、支持
体15は円柱形状をなす中心導体20と、この中心導体
20と同軸に配置された円筒形状をなす中空筒状導体2
1を備えている。これら中心導体20と中空筒状導体2
1は何れも銅、アルミなどの金属等の導電性材料からな
る。中心導体20と中空筒状導体21の間には円筒形状
の絶縁材22が介装されていて、中心導体20と中空筒
状導体21は絶縁された状態になっている。この絶縁材
22は、例えば樹脂、プラスチック、ガラス等の絶縁材
料からなっている。
【0025】中心導体20は絶縁材22の内面で案内さ
れることにより昇降移動自在に支持されている。中心導
体20の後端(図示の例では上端)には、例えば鋼等の
導電性材料で形成された圧縮バネ23の下端が電気的に
接続されている。この圧縮バネ23の伸張力によって、
中心導体20の先端(図示の例では下端)24が中空筒
状導体21の先端から飛び出すように常時付勢されてい
る。圧縮バネ23の上端は、ブラケット25を上下に貫
通するようにして絶縁材22内の適当な位置に固定され
たターミナル26の下端に電気的に接続されている。
【0026】支持体15の後端に接続された信号線18
は、中心導線30と該中心導線30と同軸に中空筒状導
線31を配置してなる同軸ケーブルが用いられている。
中心導線30と中空筒状導線31の間にはチューブ形状
の絶縁部材32が介装されており、また、中空筒状導線
31の外側はチューブ形状の絶縁部材34によって被覆
されている。これら絶縁部材32、34は何れもゴム、
ビニール等の絶縁性を有する可撓材料からなっている。
このように同軸ケーブルで構成された信号線18の中心
導線30は前述のターミナル26の上端に電気的に接続
されており、中空筒状導線31は中空筒状導体21の上
端に電気的に接続されている。
【0027】コイルバネ16は例えば鋼等の導電性材料
で形成されている。このコイルバネ16の上端を中空筒
状導体21の下端に取り付けて、前述の圧縮バネ23の
付勢によって中空筒状導体21の先端から飛び出してい
る中心導体20を囲むように、コイルバネ16を配置し
ている。また、前述のセンサプレート17はこのコイル
バネ16の下端に取り付けられている。センサプレート
17は、絶縁板40の上下側面に極板41、42を平行
に配置した構成になっている。絶縁板40は例えば樹
脂、プラスチック、ガラス等の絶縁材料からなってお
り、極板41、42は何れも銅、アルミなどの金属等の
導電性材料からなっている。
【0028】センサプレート17の中央には、例えば銅
やアルミなどの導電性材料からなる支持部材45が設け
られている。この支持部材45はセンサプレート17の
絶縁板40を貫通して設けられており、その下端は下側
の極板42に電気的に接続されている。また、上側の極
板41には支持部材45の周囲から十分に離れるように
して円孔46が形成されている。この円孔46のほぼ中
央に支持部材45を配置して上側の極板41と支持部材
45との接触を防ぐことにより、上側の極板41と支持
部材45(下側の極板42)との絶縁状態を保持してい
る。
【0029】図4に示すように、中心導体20の先端2
4は球面形状の凸部50に形成されている。また、支持
部材45の上面には、凸部50と同じかもしくは凸部5
0よりも小さい曲率の球面形状の凹部51が形成されて
いる。そして、前述の圧縮バネ23の伸張力で中心導体
20の先端24が中空筒状導体21の先端から飛び出す
ように付勢されていることによって、これら凸部50と
凹部51とは常に圧接され、これにより中心導体20と
支持部材45(下側の極板42)とが電気的に接続され
た状態を保っている。
【0030】図3に示すように、コイルバネ16は中空
筒状導体21と接続されている上側では径が小さく、セ
ンサプレート17の上側極板41と接続されている下側
では径が大きくなるようにテーパ形状に構成されてい
る。また、この図3に示されるように、コイルバネ16
を中心導体20の周囲から十分に離れた位置に中心導体
20と同軸に配置してこれらコイルバネ16と中心導体
20との接触を防ぐことにより、両者間の絶縁状態を保
持している。
【0031】そして以上の構成により、下側の極板42
は支持部材45、中心導体20、圧縮バネ23およびタ
ーミナル26を介して中心導線30に電気的に導通した
状態になっており、また、上側の極板41はコイルバネ
16および中空筒状導体21を介して中空筒状導線31
に電気的に導通した状態になっている。
【0032】次に、検査治具1の測定原理を説明する。
図5は、本発明の実施の形態にかかる検査治具1内にプ
リント基板Pを収納した状態(図1で説明した検査治具
1内にプリント基板Pを収納し、下部ケース3内を減圧
してプリント基板Pを下部ケース3内の下方に引き下
げ、更に、上部ケース4を下部ケース3上に閉塞した状
態)の回路図である。この収納状態においては、プリン
ト基板Pは下部ケース3内において所定位置に位置決め
されており、また、下部ケース3内が減圧されてプリン
ト基板Pは下部ケース3内の下方に引き下げられてお
り、プリント基板Pの下面には検査対象ピン55および
同一パッケージ中の他のピン56の上端が当接した状態
になっている。電子部品aがプリント基板P上に適切に
実装されていれば、電子部品aには検査対象ピン55を
通じた電源57からの交流電圧が整合器58で例えば6
kHz、400mVに調整されて供給されるようになっ
ている。なお、同一パッケージ中の他のピン56はアク
ティブガードされている。
【0033】またこの収納状態においては、上部ケース
4は下部ケース3上に閉塞されているので、検査ピン1
2のセンサプレート17がプリント基板P上の電子部品
aに上方から圧接した状態になっている。これにより、
センサプレート17の下側の極板42はプリント基板P
上面の電子部品aに直接的に当接している。この下側の
極板42は、先に図3に示した中心導線30を介してデ
ジタルボルトメータ(DVM)の如き電圧計60に接続
されている。一方、上側の極板41は、先に図3に示し
た中空筒状導線31、コイルバネ16等を介して接地さ
れている。なお図示の例では、中心導線30、中空筒状
導線31の途中に増幅器および減水器とバッファの機能
を合わせ持ったマルチプレクサ61を接続し、微少な電
圧値をも測定できるようにしている。
【0034】図6は、図5に示した測定回路の等価回路
図である。図5に示す如く、検査対象である電子部品a
にセンサプレート17を押し当てることにより、電子部
品aの持つすべてのピンのコンデンサ成分(Cc、Cc
n)とセンサープレートの持つコンデンサ成分(Cs
h)が直列に結合される。この状態で、電源57より交
流電圧を印加すると検査対象ピン55のコンデンサ成分
Ccとセンサプレートのコンデンサ成分Cshの分圧電
圧が中心導線30に生じる。この発生した電圧は、微小
なので、増幅器および減衰器とバッファの機能を合わせ
持ったマルチプレクサ61で例えば10.08倍に増幅
する。この増幅した電圧をデジタルボルトメータ(DV
M)の如き電圧計60で測定する。この場合に問題にな
るのは、検査対象ピン55と同一パッケージ中の他のピ
ン56と間のインピーダンスZzが低いと検査対象ピン
55がピン浮きであっても同一パッケージ中の他のピン
56を通じて電圧が印加され、あたかも正常な電圧とし
て測定されてしまう点である。そこでこの問題を回避す
るために、対象ピン55の測定時には同一パッケージ中
の他のピン56には、増幅器および減衰器とバッファの
機能を合わせ持ったマルチプレクサ61で例えば10.
08分の1に減衰した電圧(=CcとCshの分圧電
圧)を加える。すると、同一パッケージ中の他のピン5
6のコンデンサ成分Ccnの両端の電圧が等しくなり、
検査に影響を与えなくなる。
【0035】図5、6ではプリント基板P上に実装され
ている一つの電子部品aに対して接触しているセンサプ
レート17と検査対象ピン55および同一パッケージ中
の他のピン56を示したが、実際には、検査治具1内に
は数十〜数百といった多数の検査ピン12と検査対象ピ
ン55および同一パッケージ中の他のピン56が設けら
れており、検査治具1内に収納したプリント基板Pに実
装されている各電子部品aのそれぞれに検査ピン12の
センサープレート17をそれぞれ当接させた状態で、各
電子部品aに正負の検査対象ピン55および同一パッケ
ージ中の他のピン56を通じて電圧を供給することによ
り、各電子部品aをほぼ短時間で電気的に検査するよう
に構成されている。
【0036】さて、この実施の形態にかかる検査治具1
によってプリント基板Pを検査する場合は、先ず、図1
に示すように下部ケース3上面の下支持板5上にパッキ
ン6を介してプリント基板Pを所定位置に載置する。そ
して、ハンドル10を操作することにより下部ケース3
と上部ケース4とを閉塞した後、下部ケース3内を減圧
してプリント基板Pを下部ケース3内の下方に引き下げ
る。これにより、図5に示すように、プリント基板Pの
下面に検査対象ピン55および同一パッケージ中の他の
ピン56の上端が当接し、また、各検査ピン12のセン
サプレート17がプリント基板P上の各電子部品aに上
方から圧接した状態となる。
【0037】この時、先ず電子部品aが正しい位置にあ
る場合は、図7に示すように電子部品aの上面がセンサ
プレート17の下面のほぼ中央に当接することになるの
で、センサプレート17は水平な姿勢を保ったまま支持
体15に対して相対的に上昇する。この際、コイルバネ
16と圧縮バネ23は短縮し、中心導体20は絶縁材2
2の内面で案内されながら中空筒状導体21内を上方に
移動した状態となる。なお、このようにセンサプレート
17が上昇した場合でも、圧縮バネ23の付勢によって
中心導体20の先端24が支持部材45に常に圧接され
ているので、下側の極板42と中心導体20との電気的
な導通を良好に維持することができる。
【0038】一方、電子部品aに位置ずれが生じている
場合は、電子部品aの上面がセンサプレート17の中央
からずれた位置に当接することになる。この場合、その
位置ずれによって、図8に示すように、センサプレート
17は支持体15に対して相対的に傾いた姿勢となる
が、センサプレート17はコイルバネ16によって支持
されているので、このようにセンサプレート17が傾い
た姿勢となることも簡単に許容できるのである。また、
このようにセンサプレート17が傾いた場合でも、圧縮
バネ23の付勢によって中心導体20の先端24が支持
部材45に常に圧接されているので、下側の極板42と
中心導体20との電気的な導通は良好に維持することが
できる。更に、センサプレート17が傾いたことに影響
されずに中心導体20は支持体15内において真っ直ぐ
な状態を保っているので、中心導体20は絶縁材22の
内面で案内されながらスムーズに昇降移動でき、従っ
て、センサプレート17自体が傾いた姿勢のままスムー
ズに昇降移動することができるのである。なお、図示し
たようにコイルバネ16が、中空筒状22と接続される
側では径が小さく、センサプレート17の上側の極板4
1と接続される側では径が大きくなるようにテーパ形状
に形成されているので、センサプレート17が斜めに傾
いてもコイルバネ16が中心導体20に接触することが
なく、両者の絶縁状態を確実に維持できる。
【0039】そして、このように検査ピン12のセンサ
プレート17をプリント基板P上の各電子部品aに適切
に当接させた状態で、先に図5、6で説明したように、
電子部品aに検査対象ピン55および同一パッケージ中
の他のピン56を通じて所定の電圧を付加し、電圧計6
0にて検査を行う。
【0040】実際には、検査治具1内には数十〜数百と
いった多数の検査ピン12が設けられており、検査治具
1内に収納したプリント基板Pに実装されている各電子
部品aに検査ピン12のセンサープレート17をそれぞ
れ適切に当接させた状態で、各電子部品aに所定の電圧
を供給することにより、各電子部品aを短時間で電気的
に検査するように構成されている。このため、検査治具
1の内部には、検査ピン12に接続されている信号線1
8が縦横無尽に配線された状態になっている。図示の検
査ピン12にあっては、信号線18として中心導線30
と中空筒状導線31からなる同軸ケーブルを用ることに
より、他の信号線18からのノイズの影響を防ぎ、正確
な検査を実現している。なお、他の信号線18からのノ
イズの影響をより有効に防ぐためには、先に図5で説明
したように、中空筒状導線31を接地させたほうがよ
い。
【0041】図9、10は、本発明の実施の形態に従っ
て構成されたの検査治具1を用いて、プリント基板P上
に実装された1ピンから28ピンまでの各電子部品aに
ついてハンダ状態を検査した結果をグラフに示したもの
である。図9は1ピンから28ピンまでの何れもが正常
にハンダ付けされている場合であり、図10は1ピンか
ら28ピンまでの内、3ピンと20ピンがハンダ付け不
良(オープン不良)になっている場合である。図示のよ
うに、ハンダ付け不良を生じている電子部品aは良品の
電子部品aに比べて電圧値が極端に低くなり(スレシュ
値は、回路結線により異なりますが通常は良品値の30
%になる)、これにより良否の判定を行うことができ
る。
【0042】なお、先に図4において詳しく説明したよ
うに、中心導体20の先端24を球面形状の凸部50に
形成した場合には、支持部材45の上面には凸部50と
同じかもしくは凸部50よりも小さい曲率の球面形状の
凹部51を形成するのがよい。このような凸部50と凹
部51とを圧縮バネ23の付勢で圧接させることによ
り、中心導体20の先端24と支持部材45の上面との
接触を、センサプレート17の傾きによらずに常に面接
触状態に保つことが可能となり、中心導体20と極板4
2との電気的な導通を良好に維持できるようになる。こ
の場合、中心導体20の先端24に球面形状の凹部を形
成し、支持部材45に該凹部と同じかもしくは該凹部よ
りも大きい曲率の球面形状の凸部を形成しても良い。こ
のように中心導体20の先端24に凹部を形成し、支持
部材45に凸部を形成することによっても、図4の場合
と全く同様に中心導体20と極板42との電気的な導通
を良好に維持することが可能である。また図示の形態で
はコイルバネ16は、上側では径が小さく下側では径が
大きいテーパ形状に構成されていたが、必ずしもかよう
な構成である必要はなく、例えば上側と下側では比較的
径が小さく中間部で径が大きいいわゆる提灯型にコイル
バネ16を構成することも可能である。
【0043】
【発明の効果】本発明の検査ピンは、センサプレートが
スムーズに移動でき、また、センサプレートが斜めにな
った状態でも移動のスムーズさが損なわれず、作動不良
を起こす心配がない。しかも、センサプレートの移動姿
勢に関わらず中心導体とセンサプレートの一方の極板と
の電気的な導通状態を良好に維持でき、また、耐久性に
も優れている。そして、中心導体と同軸に中空筒状導体
やコイルバネを配置しているのでシールド効果を享受で
き、外来ノイズの影響のない正確な検査を行うことがで
きるようになる。
【0044】また、本発明の検査ピンを用いることによ
り、検査対象の位置ずれが許容可能な、メンテナンス性
に優れた検査装置を構成することが可能となる。なお、
検査装置を構成する場合、検査ピンに接続する信号線と
して同軸ケーブルを用れば、信号線同士でのノイズの影
響を防ぐことができ、正確な検査が実現できるようにな
る。その場合、同軸ケーブルの中空筒状導線を接地させ
たほうがよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる検査治具の斜視図
である。
【図2】検査ピンの正面図である。
【図3】検査ピンの構成を詳細に示す拡大断面図であ
る。
【図4】中心導体の先端と支持部材の上面との接触部分
の拡大斜視図である。
【図5】検査治具内にプリント基板を収納した状態の回
路図である。
【図6】図5に示した測定回路の等価回路図である。
【図7】センサプレートが水平な姿勢を保ったまま上昇
した状態の説明図である。
【図8】センサプレートが傾いた状態の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態の検査治具でプリント基板
上の電子部品についてハンダ状態を検査した結果を示す
グラフである。
【図10】本発明の実施の形態の検査治具でプリント基
板上の電子部品についてハンダ状態を検査した結果を示
すグラフであり、3ピンと20ピンがハンダ付け不良に
なっている。
【図11】スポンジを利用した従来の検査ピンの説明図
である。
【図12】バネを利用した従来の検査ピンの説明図であ
る。
【符号の説明】
P プリント基板 a 電子部品 1 検査治具 12 検査ピン 15 支持体 16 コイルバネ 17 センサプレート 18 信号線 20 中心導体 21 中空筒状導体 22 絶縁材 23 圧縮バネ 24 先端 30 中心導線 31 中空筒状導線 40 絶縁板 41、42 極板 45 支持部材 50 凸部 51 凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 1/067 G01R 31/02 G01R 31/28

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁板の両側面に極板をそれぞれ配置し
    てなるセンサプレートを支持体の先端に昇降自在に設け
    てなる検査ピンにおいて、 前記支持体を、中心導体と、該中心導体と同軸で中心導
    体とは絶縁された状態で配置された中空筒状導体とで構
    成し、 かつ、前記中心導体の先端が前記中空筒状導体の先端か
    ら飛び出すように付勢し、 前記中心導体の先端をその付勢によってセンサプレート
    の一方の極板側に圧接させることにより、これら中心導
    体とセンサプレートの一方の極板とを電気的に導通させ
    ると共に、 前記中空筒状導体を前記中心導体と同軸で中心導体とは
    絶縁された状態で配置されたコイルバネを介してセンサ
    プレートの他方の極板に接続することにより、これら中
    空筒状導体とセンサプレートの他方の極板とを電気的に
    導通させたことを特徴とする検査ピン。
  2. 【請求項2】 前記中心導体と前記中空筒状導体の間に
    絶縁材を介装させた請求項1に記載の検査ピン。
  3. 【請求項3】 前記中心導体の先端を前記中空筒状導体
    の先端から飛び出すように付勢する圧縮バネを設けた請
    求項1または2に記載の検査ピン。
  4. 【請求項4】 前記センサプレートの一方の極板に電気
    的に導通する支持部材を設け、前記中心導体の先端をそ
    の付勢によってこの支持部材に圧接させることにより、
    中心導体とセンサプレートの一方の極板とを電気的に導
    通させた請求項1、2または3の何れかに記載の検査ピ
    ン。
  5. 【請求項5】 前記中心導体の先端に球面形状の凸部を
    形成すると共に、前記支持部材に該凸部と同じかもしく
    は該凸部よりも小さい曲率の球面形状の凹部を形成し、
    前記付勢により中心導体先端の凸部を支持部材の凹部に
    圧接させた請求項4に記載の検査ピン。
  6. 【請求項6】 前記中心導体の先端に球面形状の凹部を
    形成すると共に、前記支持部材に該凹部と同じかもしく
    は該凹部よりも大きい曲率の球面形状の凸部を形成し、
    前記付勢により中心導体先端の凹部を支持部材の凸部に
    圧接させた請求項4に記載の検査ピン。
  7. 【請求項7】 前記コイルバネを、前記中空筒状導体と
    接続される側では径が小さく、前記センサプレートの他
    方の極板と接続される側では径が大きいテーパ形状に構
    成した請求項1、2、3、4、5または6の何れかに記
    載の検査ピン。
  8. 【請求項8】 前記請求項1、2、3、4、5、6また
    は7の何れかに記載の検査ピンのセンサプレートを検査
    対象に当接させて該検査対象を電気的に検査するように
    構成した検査装置。
  9. 【請求項9】 検査ピンに接続される信号線として中心
    導線と該中心導線と同軸に中空筒状導線を配置してなる
    同軸ケーブルを用い、該同軸ケーブルの中心導線を前記
    中心導体に接続し、中空筒状導線を前記中空筒状導体に
    接続した請求項8に記載の検査装置。
  10. 【請求項10】 前記中空筒状導線を接地させた請求項
    9に記載の検査装置。
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