JP3076229U - 靴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 靴の体裁を損なうことなく、履いたさいの甲
被両側からの圧迫を除き、さらに足背上部の高い人の窮
屈感を除き得てしかも機械製靴を可能とする。 【解決手段】 靴の甲被１が、合成皮革よりなる表材２
と、太綾綿布よりなる中芯材３と、ポリウレタン発泡体
層にナイロントリコット５が裏打ちせられてなる裏材６
とで構成せられている。中芯材３の一側に山形状に切り
欠かれた第１切欠部７が、同他側に山形状に切り欠かれ
た第２切欠部８が、同屈曲基端後側に山形状に切り欠か
れた第３切欠部９がそれぞれ設けられている。第１切欠
部７は、親指付け根後方の横突出部に相当する位置にあ
り、第２切欠部８は、小指付け根後方の横突出部に相当
する位置にあり、第３切欠部９が足背上部Ｃに相当する
位置にある靴。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、靴に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の靴の甲被として、相互に接合せられた非伸縮性材料よりなる表材と、柔 軟性材料よりなる裏材とで構成せられたものは知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記材料よりなる甲被を備えた従来の靴は、これを履いたさい、柔軟性材料よ りなる甲被裏材の存在により足の甲の感触はよいものの、同表材が非伸縮性材料 よりなるものであるため、歩行時、親指付け根後方の横突出部と小指付け根後方 の横突出部が甲被両側から圧迫せられ、違和感を覚え、ときに痛みを感じること もあった。それは、これらの部分で足幅が広くなり横に張り出しているからであ る。このような問題を回避するためには、横幅の広い靴をつくればよいが、とく に女性用の場合、スマートさを欠くため、これは好ましいことではない。また、 足背上部の高さは人によって様々であり、高い人もいれば低い人もいる。標準よ り足背上部の高い人の場合、甲被素材が非伸縮性材料よりなるものであるため、 足背上部に常に窮屈な感じを覚え、歩行時には、足裏後半部が靴中底より浮き上 がり気味になるので、足背上部が圧迫せられて痛みを感じることがあった。以上 の問題をなくするため、甲被全体に伸縮性材料を用いることも考えられるが、こ のような材料を用いると、その伸縮性のために、機械的製靴が不可能である。

【０００４】 本考案の目的は、靴の体裁を損なうことなく、履いたさいの甲被両側からの圧 迫の問題および足背上部の高い人が履いたさいの足背上部の窮屈さの問題を解消 することができ、しかも機械製靴の可能な靴を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 本考案による靴は、甲被が、相互に接合せられた伸縮性材料よりなるヘヤピン 状表材と、非伸縮性材料よりなるヘヤピン状中芯材と、ポリウレタン発泡体層に たてメリヤス生地が裏打ちせられてなるヘヤピン状裏材とで構成せられるととも に、中芯材の一側に第１切欠部が、同他側に第２切欠部が、同屈曲基端後側に第 ３切欠部がそれぞれ設けられており、第１切欠部が親指付け根後方の横突出部に 相当する位置にあり、第２切欠部が小指付け根後方の横突出部に相当する位置に あり、第３切欠部が足背上部に相当する位置にあるものである。

【０００６】 本考案における伸縮性材料とは、甲被の左右方向および前後方向のうち少なく とも左右方向に伸縮可能なものをいう。

【０００７】 親指付け根後方の横突出部および小指付け根後方の横突出部とは、ともに足の 骨でいえば、指骨および中指骨の突き合わせ端部における両者の骨の太くなった 部分を指し、また、足背上部とは、骨でいえば、内側楔状骨、中間楔状骨および 外側楔状骨のある部分を指し、第１切欠部および第２切欠部は、それぞれ上記部 分を含むようにして、ヘヤピン状中芯材の側縁から、また第３切欠部は、上記部 分を含むようにして、同中芯材の屈曲基端後縁から、通常山形状に切欠かれるこ とによって設けられるが、この形状は山形状に限らず任意である。

【０００８】 本考案において、表材、中芯材および裏材がヘヤピン状というのは、甲被を分 解展開した状態における形状を指す（図２参照）。

【０００９】

【考案の実施の形態】

本考案の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。なお、図示の靴は左側 片方である。

【００１０】 本考案による靴は、甲被(1) が、相互に接合せられた伸縮性材料よりなるヘヤ ピン状表材(2) と、非伸縮性材料よりなるヘヤピン状中芯材(3) と、ポリウレタ ン発泡体層(4) にたてメリヤス生地(5) が裏打ちせられてなるヘヤピン状裏材(6 ) とで構成せられるとともに、中芯材(3) の一側に第１切欠部(7) が、同他側に 第２切欠部(8) が、同屈曲基端後側に第３切欠部(9) がそれぞれ設けられており 、第１切欠部(7) が親指付け根後方の横突出部(A) に相当する位置にあり、第２ 切欠部(8) が小指付け根後方の横突出部(B) に相当する位置にあり、第３切欠部 (9) が足背上部(C) に相当する位置にある（図５参照）ものである。

【００１１】 中芯材(3) の前端部には、これと同材料よりなる略半円形の保形材(10)が両切 欠部(7)(8)を避けてあらかじめ接着剤で接合せられている。

【００１２】 図３には、甲被(1) の表材(2) 、保形材(10)付き中芯材(3) および裏材(6) が 相互に接合せられた状態が示されているが、足の挿入口縁部となるこの状態の甲 被(1) の縁部に、図示しない布製テープをミシン縫いしてもよいし、製甲後の甲 被(1) の底面斜視図を示す図４から分かるように、表材(2) および中芯材(3) を 接合したものの縁と裏材(6) の縁とを袋縫いしてもよい。

【００１３】 裏材(6) は、後端上縁から下縁にかけて左右斜め前に切除せられており、代わ りに踵材(11)が製甲後の甲被(1) に縫合せられている。

【００１４】 表材(2) には、合成皮革が、中芯材(3) および保形材(10)には、太綾綿布が、 裏材(6) の裏打ちたてメリヤス生地(5) には、ナイロントリコットがそれぞれ使 用せられている。

【００１５】

【考案の効果】

本考案による靴は、甲被が、相互に接合せられた伸縮性材料よりなるヘヤピン 状表材と、非伸縮性材料よりなるヘヤピン状中芯材と、ポリウレタン発泡体層に たてメリヤス生地が裏打ちせられてなるヘヤピン状裏材とで構成せられるととも に、中芯材の一側に第１切欠部が、同他側に第２切欠部が、同屈曲基端後側に第 ３切欠部がそれぞれ設けられており、第１切欠部が親指付け根後方の横突出部に 相当する位置にあり、第２切欠部が小指付け根後方の横突出部に相当する位置に あり、第３切欠部が足背上部に相当する位置にあるから、本考案による靴を履い たさい、親指付け根後方の横突出部および小指付け根後方の横突出部ならびに足 背上部には、非伸縮性材料よりなる中芯材が存在せず、伸縮性材料よりなる表材 と、ポリウレタン発泡体層にたてメリヤス生地が裏打ちせられた裏材だけであり 、足の左右横突出状態および足背上部の上方突出状態に合わせて甲被が自由に伸 びる。したがって、足幅の広い部分が甲被の両側から圧迫せられ、違和感を覚え たり、痛みを感じたりすることがないし、足背上部の高い人が履いてもその部分 に窮屈さや痛みを感じることがなく、しかも靴自体はスマートで体裁のよい形態 となしうる。

【００１６】 また、甲被は非伸縮性材料よりなる中芯材を備えているので、機械製靴が可能 である。

【図面の簡単な説明】

【図１】甲被表材の一部を切り欠いた本考案による靴の
斜視図である。

【図２】本考案の靴に用いられる甲被の分解展開斜視図
である。

【図３】本考案の靴に用いられる裏材の一部を切り欠い
た甲被の底面図である。

【図４】本考案に用いられる製甲後の甲被の底面斜視図
である。

【図５】足を入れた状態を示す本考案による靴の前半分
の平面図である。

【符号の説明】

(1) ：甲被 (2) ：表材 (3) ：中芯材 (4) ：発泡体層 (5) ：メリヤス生地 (6) ：裏材 (7) ：第１切欠部 (8) ：第２切欠部 (9) ：第３切欠部 (A) ：親指付け根後方の横突出部 (B) ：小指付け根後方の横突出部 (C) ：足背上部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 甲被(1) が、相互に接合せられた伸縮性
   材料よりなるヘヤピン状表材(2) と、非伸縮性材料より
   なるヘヤピン状中芯材(3) と、ポリウレタン発泡体層
   (4) にたてメリヤス生地(5) が裏打ちせられてなるヘヤ
   ピン状裏材(6)とで構成せられるとともに、中芯材(3)
   の一側に第１切欠部(7) が、同他側に第２切欠部(8)
   が、同屈曲基端後側に第３切欠部(9) がそれぞれ設けら
   れており、第１切欠部(7) が親指付け根後方の横突出部
   (A) に相当する位置にあり、第２切欠部(8) が小指付け
   根後方の横突出部(B) に相当する位置にあり、第３切欠
   部(9) が足背上部(C) に相当する位置にある靴。