JP3074885U - 開封確認用シールを備えた医療用複室容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】確実に弱シール部を剥離させ複数の収納部に収
納されている薬剤を混合するための注意喚起効果を奏す
る医療用複室容器を提供する。 【解決手段】複数の収納部10,11と、該収納部を仕切っ
ていて、外部から圧力を加えることにより剥離し得る弱
シール部20と、容器本体を吊り下げるための掛吊穴30と
を備えた医療用複室容器1であって、前記掛吊穴30を塞
ぐように貼付される剥離可能な開封確認用シール40を備
え、前記複数の収納部の少なくとも１つに液状薬剤が収
納され、前記開封確認用シール40は薬剤の混合を促す表
示部50を有することを特徴とする医療用複室容器。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は開封確認用シールを備えた医療用複室容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

静脈注射により患者に投与される薬剤の中には、予め配合すると経時的変化を 起こすような不安定な薬剤がある。経時的変化としては、例えばアミノ酸輸液と ブドウ糖輸液を配合して保存しておくと、褐変するいわゆるメイラード反応が挙 げられる。

【０００３】 このような薬剤には、配合前の成分を個別に収納する複室容器が用いられるこ とが多い。この複室容器は、個別に収納する複数の収納部と、収納部を仕切って いて、外部から圧力を加えることにより剥離し得る弱シール部と、容器本体を吊 り下げるための掛吊穴とを備えたものである。

【０００４】 図１はそのような従来の医療用複室容器の一例を示す斜視図であり、図２は図 １の医療用複室容器の平面図であり、図３は図２のＸ―Ｘ線に沿う断面図である 。

【０００５】 医療用複室容器の各収納部10，11には、予め混合或いは溶解しておくと不安定 な各種薬剤ａ，ｂがそれぞれ収納され、これらの薬剤ａ，ｂは弱シール部20によ り隔離された状態で使用時まで安全且つ確実に保存される。使用時には収納部10 或いは11を押圧すると弱シール部20が剥離し、両収納部10，11内は連通状態とな り、両薬剤ａ，ｂを速やかに混合或いは溶解できる。

【０００６】 更に医療用複室容器は、一端に掛吊穴30を備え、他端にゴム栓31を有する薬液 取出し口32を備える。患者に混合された薬剤を投与する際には、容器を掛吊穴30 で支柱等に吊り下げた後、容器の一端に設けられたゴム栓31に刺栓針を刺入しカ テーテルを経て、その先端の注射針から患者に投与する。

【０００７】 このように複質容器は、混合或いは溶解すると不安定なものを複数の収納部に 区切って保存するためのものであり、混合或いは溶解を使用直前まで防止するた めのものである。そして、簡単な操作で薬剤を混合して患者に投与することがで き、広く医療施設において用いられている。

【０００８】 しかし、弱シール部を剥離しなくても、ゴム栓31に刺栓針を刺入し、薬液取出 し口32から薬液を取り出すことが可能である。従って、薬剤が混合されず、患者 に対する安全性を保証できない薬剤を患者に投与してしまうという危険性がある 。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、前記従来技術の問題点を解消すべく、確実に弱シール部を剥離させ 複数の収納部に収納されている薬剤を混合するための注意喚起効果を奏する医療 用複室容器を提供することを課題とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案の前記課題は、複数の収納部と、該収納部を仕切っていて、外部から圧 力を加えることにより剥離し得る弱シール部と、容器本体を吊り下げるための掛 吊穴とを備えた医療用複室容器であって、前記掛吊穴を塞ぐように貼付される剥 離可能な開封確認用シールを備え、前記複数の収納部の少なくとも１つに液状薬 剤が収納され、前記開封確認用シールは薬剤の混合を促す表示部を有することを 特徴とする医療用複室容器を提供することにより解決される。

【００１１】

【考案の実施の形態】

以下、添付する図面を参照しつつ本考案の一実施形態について説明する。図４ は、本考案に係る医療用複室容器の一実施形態を示す斜視図であり、図５は図４ の医療用複室容器に添付される開封確認用シールの平面図である。

【００１２】 図４に示すように、医療用複室容器１は、複数の収納部10，11と、該収納部を 仕切っていて、外部から圧力を加えることにより剥離し得る弱シール部20と、容 器本体を吊り下げるための掛吊穴30と、薬液取出し口32とを備える。

【００１３】 収納部10,11には少なくとも一方に液状薬剤が収納され、他方の収納部の薬剤 との混合・溶解後に、薬液取出し口32に備えられたゴム栓31に刺栓針を刺入しカ テーテルを経て、その先端の注射針から混合された薬剤を患者に投与する。

【００１４】 更に、医療用複室容器１は、掛吊穴30を塞ぐように貼付された剥離可能な開封 確認用シール40を備える。開封確認用シール40は、図５に示すように、薬剤の混 合を促す表示部50を有する。表示部50には、図５に示すような「上室・下室 未 開封 使用不可」或いは「未混合 使用不可」等、種々の文字、或いは図形を付 することができる。

【００１５】 開封確認用シール40の材質は、可撓性を備えるものが望ましく、紙、合成樹脂 （例えばPET、ナイロン等）、アルミ箔等の金属箔、エラストマー類、ゴム等或 いはこれらの合成材を用いることができる。

【００１６】 開封確認用シール40の大きさは、掛吊穴30を塞ぐ大きさであればよい。好まし くは開封確認用シールの大きさは、ユーザが表示部50を確実に認識し得るように 、幅Ｗが約10ｍｍ〜約50ｍｍ、高さＨが約5ｍｍ〜約30ｍｍとされる。

【００１７】 開封確認用シール40を掛吊穴30に剥離可能に貼付するための貼付手段は、溶着 接着の他、ステープル、面ファスナ等の物理的固定手段を用いることが可能であ る。特に、開封確認用シール40を再接着可能な粘着面で貼付した場合には、開封 確認用シール40を剥離した後、カルテ等の診察記録体に開封確認用シール40を貼 付することができる。これにより、弱シール部20の剥離作業を行ったかどうかを 施術後に確認することができる。

【００１８】 また、開封確認用シール40は、掛吊穴30の片面に貼付される。或いは、開封確 認用シール40を、掛吊穴30の両面に貼付することも可能である。

【００１９】 本考案に係る医療用複室容器１は、開封確認用シール40が掛吊穴30を塞ぐよう に貼付されているため、支柱等を掛吊穴に通す際に、ユーザに開封確認用シール 40を目視させることができ、混合されていない薬剤を患者に投与することを未然 に防ぐことができる。

【００２０】 ユーザが開封確認用シール40を目視せずに使用しようとした場合においても、 ユーザは掛吊穴に支柱等を通そうとする際に、開封確認用シール40を容器本体よ り剥離しなければならない。この際、ユーザは開封確認用シール40の表示部50を 目視し、正しい使用方法を認識することとなる。

【００２１】 上述のように、本考案による医療用複室容器は、開封確認用シールを備えるこ とにより、ユーザに薬剤の混合を促すことができ、未混合の薬剤を患者に投与す ることを確実に防止する。

【００２２】

【考案の効果】

本考案によれば、開封確認用シールを掛吊穴を塞ぐように貼付することにより 、複室容器中の薬剤を確実に溶解乃至混合するための注意喚起効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の医療用複室容器の一例を示す斜視図であ
る。

【図２】図１の医療用複室容器の平面図である。

【図３】図２のＸ―Ｘ線に沿う断面図である。

【図４】本考案に係る医療用複室容器の一実施形態を示
す斜視図である。

【図５】図４の医療用複室容器に添付される開封確認用
シールの平面図である。

【符号の説明】

１ 医療用複室容器 10,11 収納部 20 弱シール部 30 掛吊穴 31 ゴム栓 32 薬液取り出
し口 40 開封確認用シール 50 表示部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の収納部と、該収納部を仕切ってい
   て、外部から圧力を加えることにより剥離し得る弱シー
   ル部と、容器本体を吊り下げるための掛吊穴とを備えた
   医療用複室容器であって、前記掛吊穴を塞ぐように貼付
   される剥離可能な開封確認用シールを備え、前記複数の
   収納部の少なくとも１つに液状薬剤が収納され、前記開
   封確認用シールは薬剤の混合を促す表示部を有すること
   を特徴とする医療用複室容器。