JP3071919B2 - 複合逆浸透膜 - Google Patents

複合逆浸透膜

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合逆浸透膜に関し、
詳しくは、微孔性支持膜上に特定構造を有する架橋ポリ
アミドからなる薄膜を備えた高透過流束と高塩阻止率と
を有する複合逆浸透膜に関する。かかる複合逆浸透膜
は、超純水の製造、かん水の脱塩等に好適であり、また
染色廃水や電着塗料廃水等の公害発生原因である汚れ等
から、その中に含まれる汚染源あるいは有効物質を除去
回収し、廃水のクローズ化に寄与することができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、非対称逆浸透膜とは構造の異
なる逆浸透膜として、微孔性支持膜上に実質的に選択分
離性を有する活性な薄膜を形成してなる複合逆浸透膜が
知られている。
【0003】現在、かかる複合逆浸透膜として、多官能
芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重
合によって得られるポリアミドからなる薄膜が、支持膜
上に形成されたものが多く知られている(例えば、特開
昭55−147106号、特開昭62−121603号、特開昭63−2182
08号、特開平2−187135号等)。
【0004】また、多官能芳香族アミンと多官能脂環式
酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミ
ドからなる薄膜が、支持膜上に形成されたものも知られ
ている(例えば、特開昭62−258705号、特開昭63−2182
08号等)。
【0005】さらに、USP 5,015,380 には、シクロヘキ
サン-1,3,5- トリカルボン酸クロライドを酸ハロゲン化
物として用いた複合半透膜が知られている。
【0006】逆浸透膜を用いるかん水や海水の脱塩にお
いて、技術的及び経済的に最も重要な点は、塩阻止率と
透過流束にある。 塩阻止率は、膜透過水における塩濃
度の低減化能を意味し、透過流束は、膜を透過する水の
速度である。 逆浸透膜による脱塩を実用的に行うに
は、透過流束は、海水の場合には、約55気圧の圧力下
で約0.4 m3/m2 ・日を越える水準が必要とされ、かん水
の場合には、約15気圧の圧力下で約0.6 m3/m2 ・日を
越える水準が必要とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い塩阻止
率と高い透過流束とを併せ有し、比較的低圧にて実用性
のある高塩阻止率での脱塩を可能とする複合逆浸透膜を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による複合逆浸透
膜は、薄膜とこれを支持する微孔性支持膜とからなる複
合逆浸透膜において、上記薄膜が1,2,3,4,5,6-シクロヘ
キサンヘキサカルボン酸ハライドと、多官能アミンとか
らなる架橋重合体を主成分とすることを特徴とする。
【0009】本発明で用いる1,2,3,4,5,6-シクロヘキサ
ンヘキサカルボン酸ハライドのハロゲンとしては、塩
素、臭素、ヨウ素、又はフッ素が挙げられる。
【0010】かかる1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサ
カルボン酸ハライドとしては、1,2,3,4,5,6-シクロヘキ
サンヘキサカルボン酸クロライドが好ましく用いられ、
これは、例えば、1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサカ
ルボン酸モノハイドリード(Aldrich 社製) をヘプタン
溶液中で五塩化リンと反応させることにより合成するこ
とができる。
【0011】本発明において、上記1,2,3,4,5,6-シクロ
ヘキサンヘキサカルボン酸ハライドは、単独で用いられ
てもよく、他の多官能酸ハライドと併用しても良い。
併用される酸ハライドとしては、芳香族多官能酸ハライ
ド、脂肪族多官能酸ハライドが挙げられる。
【0012】かかる芳香族多官能酸ハライドとしては、
例えば、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロラ
イド、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸ハライド、1,4-
シクロヘキサンジカルボン酸ハライド等のジハライド、
トリメシン酸ハライド、1,3,5-シクロヘキサントリカル
ボン酸ハライド等のトリハライド等が挙げられる。本発
明においては、トリメシン酸クロライド、イソフタル酸
クロライド、テレフタル酸クロライドなどが好適に用い
られる。
【0013】また、脂肪族ポリ酸ハライド成分として
は、グルタリルハライド、アジポイルハライド、セバコ
イルハライドなどの2官能性脂肪族酸ハライドや、1,2,
3-プロパントリカルボン酸トリクロライド、1,2,4-ブタ
ントリカルボン酸トリクロライド、1,2,3,4-ブタンテト
ラカルボン酸テトラクロライド、1,2,4,5-ペンタンテト
ラカルボン酸テトラクロライド、2,3,4,5-シクロペンタ
ンテトラカルボン酸クロライド、1,2,3,4-シクロブタン
テトラカルボン酸クロライドなどの3官能以上の脂肪族
酸ハライド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0014】また、本発明で用いられる多官能アミン
は、本質的に単量体化合物であって、好ましくは分子中
に2個以上の1級及び/又は2級アミノ基を有する芳香
族、脂肪族、または脂環族の多官能アミンである。
【0015】かかる芳香族多官能アミンとしては、例え
ば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、1,3,5-トリアミノベンゼン、3,5-ジアミノ安息香
酸、2,4-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノアニソール、
アミドール、キシリレンジアミン等が挙げられる。 ま
た脂肪族多官能アミンとしては、例えば、エチレンジア
ミン、プロピレンジアミン、トリス(2- アミノエチル)
アミン等が挙げられる。また、脂環族多官能アミンとし
ては、例えば、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、
4-アミノメチルピペラジン等が挙げられる。 これらの
アミンは、単独として用いられてもよく、混合物として
用いられてもよい。
【0016】本発明においては、上記多官能アミンと前
記の1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサカルボン酸ハラ
イドとを、界面重合させることにより、微孔性支持膜上
に架橋ポリアミドからなる薄膜が形成された複合逆浸透
膜を得られる。
【0017】本発明において上記薄膜を支持する微孔性
支持膜は、薄膜を支持し得る物であれば特に限定され
ず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンよう
なポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフ
ッ化ビニリデンなど種々のものを挙げることができる
が、特に、化学的、機械的、熱的に安定である点から、
ポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる
微孔性支持膜が好ましく用いられる。 かかる微孔性支
持膜は、通常、約25〜125μm、好ましくは約40
〜75μmの厚みを有するが、必ずしもこれらに限定さ
れるものではない。
【0018】より詳細には、微孔性支持膜上に、多官能
アミンを含有する水溶液からなる第1の層を形成し、次
いで、1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサカルボン酸ハ
ライドを含有する水非混和性有機溶剤溶液からなる層を
上記第1の層上に形成し、必要に応じて加熱処理を行っ
て、架橋ポリアミドからなる薄膜を微孔性支持膜上に形
成することによって得ることができる。
【0019】多官能アミンを含有する水溶液は、製膜を
容易にし、あるいは得られる複合逆浸透膜の性能を向上
させるために、さらに、例えば、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の水溶性
重合体や、ソルビトール、グリセリン等のような多価ア
ルコールを含有させることもできる。
【0020】また、特開平2−187135号公報に記
載のアミン塩、例えばテトラアルキルアンモニウムハラ
イドやトリアルキルアミンと有機酸とによる塩等も、製
膜を容易にする、アミン溶液の支持膜への吸収性を良く
する、縮合反応を促進する等の点で、好適に用いられ
る。
【0021】また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウ
ム等の界面活性剤を含有させることもできる。 これら
の界面活性剤は、多官能アミンを含有する水溶液の微孔
性支持膜への濡れ性を改善するのに効果がある。 さら
に、上記界面での重縮合反応を促進するために、界面反
応にて生成するハロゲン化水素を除去し得る水酸化ナト
リウムやリン酸三ナトリウムを用い、あるいは触媒とし
て、第4級アンモニウム塩、アシル化触媒、相間移動触
媒等を用いることも有益である。
【0022】上記1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサカ
ルボン酸ハライドを含有する水非混和性有機溶剤溶液を
調製するための有機溶剤としては、この酸ハライドをよ
く溶解し、かつ用いる微孔性支持膜を溶解しない有機溶
剤であればよく、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン等の炭化水素、トリクロロトリフルオロエタンを含有
するフレオン(デュポン社商標)のようなハロゲン化炭
化水素などを挙げることができる。
【0023】上記酸ハライドを含有する有機溶剤溶液及
び多官能アミンを含有する水溶液において、酸ハライド
及び多官能アミンの濃度は、特に限定されるものではな
いが、酸ハライドは、通常0.01〜5重量%、好ましくは
0.05〜1重量%であり、多官能アミンは、通常 0.1〜10
重量%、好ましくは 0.5〜5重量%である。
【0024】このようにして、微孔性支持膜上に多官能
アミンを含有する水溶液を被覆し、次いで、その上に1,
2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサカルボン酸ハライドを
含有する有機溶剤溶液を被覆した後、それぞれ余分の溶
液を除去し、次いで、通常、約20〜150℃、好まし
くは約70〜130℃で、約1〜10分間、好ましくは
約2〜8分間加熱乾燥して、架橋ポリアミドからなる水
透過性の薄膜を形成させる。 この薄膜は、その厚さ
が、通常約0.05〜1μm、好ましくは約0.15〜0.5 μm
の範囲にある。
【0025】また本発明の複合逆浸透膜を、特公昭63−
36803 号公報に記載されているように、次亜塩素酸等に
よる塩素処理を行って塩阻止性能をさらに向上させるこ
ともできる。
【発明の効果】本発明による複合逆浸透膜は、薄膜がそ
の構成成分として特定の成分を含むため、低圧操作によ
って極めて高い脱塩性能と透水性能とを併せ有し、例え
ば、かん水、海水等の脱塩による淡水化や、半導体の製
造に必要とされる超純水の製造等に好適に用いることが
できる。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。 実施例1 m−フェニレンジアミン 2.0重量%、ラウリル硫酸ナト
リウム0.25重量%含む水溶液に、トリエチルアミン 1.0
重量%及びカンファースルホン酸2.0 重量%を添加した
水溶液を、微孔性ポリスルホン支持膜に数秒間接触させ
て、余分の水溶液を除去して、支持膜上に上記水溶液の
層を形成した。
【0027】次いで、かかる支持膜の表面に、1,2,3,4,
5,6-シクロヘキサンヘキサカルボン酸クロライドを0.25
重量%含むヘキサン溶液を接触させ、その後120℃の
熱風乾燥器の中で5分間保持して、支持膜上に重合体薄
膜を形成させ、複合逆浸透膜を得た。
【0028】1500ppm の塩化ナトリウムを含むpH6.5 の
食塩水を、15kg/cm2の圧力で上記逆浸透膜にて処理した
ところ、塩阻止率は97.0%、透過流束は0.8m3/m
2 ・日であった。
【0029】実施例2 実施例1において、1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサ
カルボン酸クロライドを0.20重量%およびイソフタル酸
クロライドを0.05重量%含むヘキサン溶液に変更した以
外は、実施例1と同様にして得た複合逆浸透膜の性能
は、塩阻止率は88.0%、透過流束は0.6m3/m2
日であった。
【0030】実施例3 実施例1において、m−フェニレンジアミンをエチレン
ジアミンに変更した以外は、実施例1と同様にして得た
複合逆浸透膜の性能は、塩阻止率は85.0%、透過流
束は1.8m3/m2 ・日であった。
【0031】実施例4 実施例1で得られた複合逆浸透膜を、20ppmの次亜
塩素酸ソーダの水溶液(pH7)で30分間処理した。
得られた複合逆浸透膜の性能は、塩阻止率は98.5
%、透過流束は1.2m3/m2 ・日であった。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 71/82 510 B01D 71/56 WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜とこれを支持する微孔性支持膜とか
    らなる複合逆浸透膜において、上記薄膜が1,2,3,4,5,6-
    シクロヘキサンヘキサカルボン酸ハライドと、多官能ア
    ミンとからなる架橋重合体を主成分とすることを特徴と
    する複合逆浸透膜。
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