JP3071898B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法

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JP3071898B2
JP3071898B2 JP3276942A JP27694291A JP3071898B2 JP 3071898 B2 JP3071898 B2 JP 3071898B2 JP 3276942 A JP3276942 A JP 3276942A JP 27694291 A JP27694291 A JP 27694291A JP 3071898 B2 JP3071898 B2 JP 3071898B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真、静電記録、
静電印刷などにおける静電荷像を現像するための乾式ト
ナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に電子写真法又は静電記録法等にお
いては、光導電性感光体又は誘電体等よりなる潜像担持
体上に形成された静電潜像を現像するために、現像スリ
ーブ等トナー供給ローラ上でブレード等によって薄層化
され、且つ適当に帯電され微粉末化されたトナーを用い
て現像し、必要に応じて紙等の被複写材にトナー画像を
転写した後、加熱圧力、溶剤蒸気等によって定着し、複
写物が得られる。
【0003】また、潜像担持体上から被複写材上に転写
されたトナー像を定着する方法としては、加熱ローラに
よる圧着加熱方式が一般に用いられている。この方法
は、トナーに対して離型性を有する材料で表面を形成し
た加熱ローラの表面に、被定着材のトナー像面を圧接触
させながら通過せしめることにより定着を行なうもので
あり、一般に加熱ローラ定着法と呼ばれているが、この
方法では加熱ローラの表面と被定着材のトナー像面とが
圧接触するため、トナー像を被定着材上に融着する際の
熱効率が極めて良好であり、迅速に定着することができ
る。しかしながら、この方法においては、トナー像の一
部が定着ローラ表面に付着し、そのローラ表面のトナー
が被定着材に再び付着することにより複写画像を汚染す
る、所謂オフセット現象を発生することがある。そのた
め、ローラへのトナーの移行を防止することが必須とさ
れている。
【0004】そこで、オフセット防止のために、定着ロ
ーラ表面にシリコンオイル等の離型性のある液体を供給
して液体の薄膜でローラ表面を被覆する方法、トナーに
離型性のある樹脂を含有させる方法(特公昭52−33
04号公報)やこれらを組み合わせて行なう方法等があ
る。しかし、定着ローラ表面に離型オイルを塗布する方
法には、定着装置にオイル塗布装置を備え付けるためコ
ストアップになり、更に定着時に離型オイルに帰因する
臭気を伴う等の欠点がある。また、トナー中に離型剤を
含有させる方法には、離型剤として一般的な低分子量の
ポリプロピレンを用いた場合、定着ローラが高温になっ
たときに該ローラにトナーがオフセットする現象が発生
する。
【0005】また、混練タイプのトナーの場合、結着樹
脂と離型材料との相溶性が悪いため相分離を起こし、充
分に混練が行なわれていないと、相分離における海島構
造において、離型材料が形成する島状部分の大きさが非
常に大きくなり、光導電性感光体フィルミング、現像ス
リーブフィルミング又はキャリアスペントなどを引き起
こし、好ましくない。更に、上記問題点を解決するため
には、離型材料が無い場合のトナーに比べて5倍以上の
混練時間が必要となり、コスト的にも問題である。
【0006】このような問題点を解決するために、特開
昭56−144436号公報には離型剤を外添したトナ
ーが提案されている。しかし、このトナーは、実使用時
に離型剤がキャリア等の摩擦帯電付与部材を汚染し、帯
電性の低下を引き起こしたり、感光体に離型剤がフィル
ミングし、感光体の特性不良による画質の低下を生じた
りするという問題点がある。また、結着樹脂、染顔料あ
るいは更に帯電制御樹脂を主成分とするトナーの表面
に、該トナーより小粒径の離型剤微粒子を付着させ、あ
るいは更に表面に該微粒子を付着させたトナーを機械的
衝撃力により固定することが試みられている。しかし、
この方法では、離型剤微粒子がトナー表面に一次粒子と
して均一に付着されていないと、トナーの摩擦帯電性等
のトナー特性のばらつきを生じ、地汚れやトナー飛散を
引き起こし、忠実度高い高品質な画像が得られない。ま
た、実使用時に該離型剤微粒子のトナーからの脱離や光
導電性感光体フィルミングや現像スリーブフィルミング
又は摩擦帯電付与部材の汚染による帯電性の低下によ
り、トナーの耐久性の低下等を引き起こすという問題が
発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、離
型剤微粒子を一般的な方法で外添した場合には、トナー
の帯電性等に悪影響を与えるとか、トナーが定着ローラ
にオフセットするとかいう問題があるし、また離型剤微
粒子をトナー表面に機械的衝撃力等により付着させた場
合にも、該微粒子がトナー表面に一次粒子として均一に
付着されていないと、地汚れ、トナー飛散、感光体フィ
ルミング、現像スリーブフィルミング等を発生するとい
う問題がある。
【0008】従って、本発明の目的は、このような課題
を解決したトナーを容易に得ることができる製造方法を
提供することにある。より詳しくは、解像力、ライン再
現性、網点再現性、ハーフトーン再現性に優れた高品質
画像を形成するトナーであって、しかも定着性に優れ、
熱ロール定着においてシリコンオイル等の離型オイルを
用いることなくオフセット現象を防止でき、更に初期帯
電が均一であり、帯電量の経時安定性に優れたトナーを
容易に得ることができる製造方法を提供することにあ
る。
【0009】本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の
離型剤微粒子被覆工程を含む製造方法が上記目的に適合
することを知見し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明によれば、樹脂、着色剤及び
離型剤を主成分とする静電荷像現像用トナーの製造方法
において、水又は親水性有機液体若しくはそれらの混合
物中で分散された着色樹脂粒子と、前記液体若しくは前
記液体と相溶する液体中に分散された離型剤微粒子と混
合し、かかる混合分散物に少なくともカチオン性界面活
性剤を含有せしめることにより離型剤微粒子を着色樹脂
粒子に均一に付着させた後、乾燥工程と機械的衝撃力に
より離型剤微粒子を着色樹脂粒子に被覆させる工程を含
むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法が
提供される。
【0011】前記したように、一般に加熱ローラ定着法
を用いて定着を行なうと、被定着材上のトナーは加圧加
熱下に定着ローラと接触するため、トナー像の一部が定
着ローラ表面に付着し、そのローラ表面のトナーが被定
着材に再び付着することにより複写画像を汚染する、所
謂オフセット現象を発生することがある。そのためにロ
ーラへのトナーの移行を防止することが必要となり、シ
リコンオイル等の離型性を有する液体を供給したり、ト
ナーに離型性を有する樹脂を含有させたり、トナーに離
型性を有する樹脂微粒子を混合したり、トナー表面に離
型剤粒子を付着させ、機械的エネルギーを付与すること
により固定したりする方法が実施されている。
【0012】一方、離型剤を着色樹脂粒子表面に固定化
させたトナーは、経時的に現像スリーブ、キャリア、又
は感光体上を汚染する、所謂フィルミングやそれに伴う
トナー帯電量の経時的変化が発生する現象が見られる。
このフィルミング物質は、分析の結果、トナー表面に固
定化されていた離型作用を有する低分子量ポリプロピレ
ン、低分子量ポリエチレン、ワックス等の低分子量離型
剤が主成分であることが判明した。
【0013】また、経時的にトナー表面の変化を走査型
電子顕微鏡にて分析したところ、離型剤の脱離は離型剤
がトナー表面に不均一に固定化されているときに著し
く、固定化された状態の均一性は固定化処理を行なうに
際して形成する、前記混合粒子における離型剤粒子の付
着状態の均一性に依存することが明らかになった。
【0014】これまでに前記混合粒子を形成する方法と
しては、着色樹脂粒子と離型剤粒子とを乾燥した粉体状
態とし、両者を撹拌混合する方法がとられてきたが、こ
の方法では着色樹脂粒子及び離型剤粒子のそれぞれを乾
燥する際に粒子が凝集し易く、こうして得られた凝集体
を含む粒子を混合、撹拌しても、得られる前記混合粒子
は、着色樹脂粒子表面に離型剤の凝集塊が付着したもの
であったり、着色樹脂粒子の凝集塊に離型剤が付着した
ものであったり、着色樹脂粒子の凝集塊と離型剤の凝集
塊の混合物であったり、それらの混合物であったりする
ため、そうした不均一な混合粒子に前記固定化処理を施
したものは、前記の問題を発生した。
【0015】そこで、本発明者らは鋭意研究の結果、着
色樹脂粒子表面に離型剤を固定化する際に、離型剤が着
色樹脂粒子表面に均一に付着した状態を得るために、着
色樹脂粒子及び離型剤微粒子のそれぞれの分散液体を混
合し、液体中で着色樹脂粒子上への離型剤微粒子の付着
を行なうこととした。ただ、このとき着色樹脂粒子及び
離型剤微粒子は、それらを分散している液体中で粒子表
面になんらかのイオンや極性基を有する物質を吸着、若
しくは表面の解離、更には表面の解離に伴うイオンや極
性基を有する物質の吸着等を生じ、所謂電気二重層を形
成し、一般にζ電位として測定し得るところのいずれか
の電荷に帯電しているため、着色樹脂粒子分散液と離型
剤分散液を混合した際に、離型剤微粒子及び着色樹脂粒
子が同一極性の電荷に帯電し、それぞれが安定に分散し
ていると両粒子が静電的に反発しあい、着色樹脂粒子表
面への離型剤微粒子の均一付着が行なえない。このよう
な同一極性のζ電位をもつ粒子を混合すると、得られる
混合粒子は前記同様の凝集塊の混合物を形成する。
【0016】そこで、本発明においては、液体中で同一
の極性に帯電する離型剤分散液体及び着色樹脂粒子分散
液体のいずれか、若しくは両者の混合物に、カチオン性
界面活性剤を混合することにより、着色樹脂粒子と離型
剤微粒子のそれぞれの粒子の液体中での帯電を変化させ
る。このことにより、着色樹脂粒子上に離型剤微粒子を
均一に付着させることが可能となる。
【0017】以下、本発明の静電荷像現像用トナーの製
造方法について、詳しく説明する。本発明に用いる着色
樹脂粒子は、着色樹脂粒子を溶解せしめない水若しくは
親水性有機液体、又は両者の混合液体に分散した形態で
用いられるが、着色樹脂粒子としては、例えば従来公知
の方法で調製されたトナー粒子が用いられる。なお、こ
こでいう従来公知の方法で調製されたトナー粒子とは、
例えば結着樹脂、着色剤、帯電制御剤を120℃の熱ロ
ールで溶融混練した後、冷却固化せしめ、これをジェッ
トミルで粉砕し、分級して得られたトナー粒子を意味す
る。
【0018】この場合に使用される結着樹脂としては、
従来からトナー用結着樹脂として使用されてきたものの
全てが適用される。具体的には、ポリスチレン、ポリク
ロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及び
その置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン
共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/
ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタリン
共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチ
レン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル
酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重
合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレ
ン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリ
ル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル
酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合
体、スチレン/ビニルメチルエーテル共重合体、スチレ
ン/ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン/ビニル
メチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合
体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/アクリ
ロニトリル/インデン共重合体、スチレン/マレイン酸
共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体など
のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポ
リブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、
ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロ
ジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂
肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素
化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、こ
れらは、単独であるいは二種以上混合して使用される。
【0019】また、着色剤としては、トナー用として公
知のものがすべて使用できる。黒色の着色剤としては、
例えばカーボンブラック、アニリンブラック、ファーネ
スブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの
着色剤としては、例えばフタロシアニンブルー、メチル
レンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、
アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用でき
る。マゼンタの着色剤としては、例えばローダミン6G
レーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、
ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が
使用できる。イエローの着色剤としては、例えばクロム
イエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフ
トールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロ
ー、タートラジン等が使用できる。
【0020】更に、これらのトナーは、より効率的な帯
電付与を与えるために、例えば染顔料、帯電制御剤など
を含有することができる。帯電制御剤としては、例えば
モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、
サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo、Cr又
はFe等の金属錯体、有機染料、四級アンモニウム塩等
がある。
【0021】こうしたトナー粒子の分散液体は、水若し
くはトナ−粒子を溶解せしめない有機液体と混合するこ
とで得られる。この際に該液体中に分散安定剤として、
一般公知のアニオン性界面活性剤や非イオン性界面活性
剤あるいは両者の混合物を含有させることもできる。そ
の具体例としては、例えば次のものが挙げられる。
【0022】(アニオン性界面活性剤)脂肪酸塩、ロジ
ン塩、ナフテン塩、エーテルカルボン酸塩、アルケニル
コハク酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグル
タミン酸塩、硫酸第一アルキル塩、硫酸第二アルキル
塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、硫酸アルキル
フェニルポリオキシエチレン塩、硫酸モノアシルグリセ
リン塩、アシルアミノ硫酸エステル塩、硫酸油、硫酸化
脂肪酸アルキルエステル等のカルボン酸の塩類;α−オ
レフィンスルホン酸塩、第二アルカンスルホン酸塩、α
−スルホ脂肪酸、アシルイセチオン酸塩、N−アシル−
N−メチルタウリン酸、ジアルキルスルホコハク酸塩、
アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンス
ルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸
塩、石油スルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩等のスル
ホン酸の塩類;リン酸アルキル塩、リン酸アルキルポリ
オキシエチレン塩等のリン酸エステルの塩類;スルホン
酸変性、カルボキシル変性のシリコン系アニオン性界面
活性剤;ペルフルオロアルキルカルボン酸塩、ペルフル
オロアルキルスルホン酸塩、ペルフルオロアルキルリン
酸エステル、ペルフルオロアルキルトリメチルアンモニ
ウム塩等のフッ素系界面活性剤;その他脂質系、バイオ
サーファクタント、オリゴソープ等。
【0023】(非イオン性界面活性剤)アルキルポリオ
キシエチレンエーテル、アルキルポリオキシエチレン、
ポリオキシプロピレンエーテル、脂肪酸ポリオキシエチ
レンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエ
ステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビトールエステ
ル、ポリオキシエチレンひまし油、アルキルポリオキシ
エチレンアミン及びアミド等のポリオキシエチレン付加
物;脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ポリグリセリン
エステル、脂肪酸ショ糖エステル、等の多価アルコール
及びアルキロールアミド;ポリエーテル変性、アルキル
アラルキルポリエーテル変性、エポキシポリエーテル変
性、アルコール変性、フッ素変性、アミノ変性、メルカ
プト変性、エポキシ変性、アリル変性といったシリコン
系界面活性剤;ペルフルオロアルキルエチレンオキサイ
ド付加物といったフッ素系の界面活性剤;その他脂質
系、バイオサーファクタント、オリゴソープ等。
【0024】本発明で使用する着色樹脂粒子としては、
均一粒径を有する粒子がより好ましく、例えばアニオン
性高分子分散剤を用いた乳化重合法等で得られた粒子を
着色した着色樹脂粒子分散液体が、より好ましく使用さ
れる。こうした均一粒径の着色樹脂粒子分散液体は、例
えば次のようにして得られる。
【0025】この好ましい重合粒子は、親水性有機液体
中に該有機液体に溶解する高分子分散剤を加え、更にこ
れに前記有機液体には溶解するが、生成する重合体は前
記有機液体にて膨潤するか若しくはほとんどが溶解しな
いビニル単量体の少なくとも一種を加えて重合すること
により製造される(以下こうして得られた樹脂粒子を樹
脂粒子Aと呼ぶ)。このようにして得られた樹脂粒子A
は、通常体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)
の比が1.00≦(Dv/Dp)≦1.20の範囲にあ
り、Dvが1〜10μmである。一般に樹脂粒子のDv
が10μmを超過すると、充分な高画質化は達成されな
いし、逆に1μm未満であると、クリーニング性が不充
分となる。また、Dv/Dpが1.20を越えると、D
vにもよるが、充分な高画質が達成されなくなる場合が
ある。
【0026】なお、樹脂粒子Aの製造方法としては、あ
らかじめ、目的の粒子径よりは小さいが粒度分布の狭い
重合体を利用して、前記の系にて成長させる反応も含ま
れる。成長反応に利用する単量体は、種粒子を製造した
ものと同じ単量体でもまた別の単量体でも良いが、重合
体は親水性有機液体に溶解してはならない。
【0027】種粒子の形成時及び種粒子の成長反応時に
用いる単量体の希釈剤として用いる親水性有機液体とし
ては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、変
性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブ
チルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブ
チルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert
−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアル
コール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、フ
ルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコー
ル、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリ
コール等のアルコール類;メチルセロソルブ、セロソル
ブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル
等のエーテルアルコール類などが挙げられる。これらの
有機液体は、単独で若しくは二種以上の混合物で用いる
ことができる。
【0028】なお、アルコール類及びエーテルアルコー
ル類以外の有機液体で、上述のアルコール類及びエーテ
ルアルコール類と併用することで、有機液体の生成重合
体粒子に対して溶解性をもたせない条件下で種々SP値
を変化させ、重合条件を変え、生成される粒子の大き
さ、種粒子同士の合一及び新粒子の発生を抑制すること
が可能である。この場合の併用する有機液体としては、
ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;四塩化
炭素、トリクロルエチレン、テトラブロムエタン等のハ
ロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルグリコ
ール、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル
類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール
類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサン等のケトン類;ぎ酸ブチル、酢
酸ブチル、プロビオン酸エチル、セロソルブアセテート
等のエステル類;ぎ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類;
ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モ
ノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド等の硫黄、窒素含有有機化合
物類;その他水も含まれる。
【0029】上記、親水性有機液体を主体とした溶媒に
SO4イオン(−2価)、NO2イオン(−1価)、PO
4イオン(−3価)、Clイオン(−1価)、Naイオ
ン(+1価)、Kイオン(+1価)、Mgイオン(+2
価)、Caイオン(+2価)、その他の無機質イオンが
存在した状態で重合を行なっても良い。また、重合開始
時、重合途中、重合末期とそれぞれ混合溶媒の種類及び
組成を変化させ、生成する重合体粒子の平均粒径、粒径
分布、乾燥条件などを調節することができる。
【0030】種粒子製造時又は成長粒子の製造時に使用
される高分子分散剤の適当な例としては、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シア
ノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール
酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸類;水酸基を
含有するアクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒド
ロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、ア
クリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒ
ドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピ
ル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3
−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコ
ールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモ
ノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エ
ステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メ
チロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルア
ミド等;ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエ
ーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチル
エーテル、ビニルプロピルエーテル等;ビニルアルコー
ルとカルボキシ基を含有する化合物のエステル類、例え
ば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等;ア
クリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリル
アミドあるいはこれらのメチロール化合物;アクリル酸
クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド
類などのホモポリマー又は共重合体系;ポリオキシエチ
レン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアル
キルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポ
リオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレ
ンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンステアクリルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどの
ポリオキシエチレン系;並びにメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
スなどのセルロース類が挙げられる。
【0031】また、上記親水性モノマーとスチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン等のベンゼン核を有
するもの、その誘導体又はアクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメ
タクリル酸誘導体などの共重合体;更には、架橋性モノ
マー例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエ
チレングリコールジメタクリレート、メタクリ酸アリ
ル、ジビニルベンゼンなどとの共重合体も使用可能であ
る。
【0032】これらの高分子分散剤は、使用する親水性
有機液体、目的とする重合体粒子の種及び種粒子の製造
か成長粒子の製造により適宜選択されるが、特に重合体
粒子同士の合一を主に立体的に防ぐ意味で、重合体粒子
表面への親和性、吸着性が高く、しかも親水性有機液体
への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。また、立体
的に粒子同士の反発を高めるために、分子鎖がある程度
の長さのもの、好ましくは、分子量が1万以上のものが
選ばれる。しかし、あまり分子量が高いと、液粘度の上
昇が著しく、操作性、撹拌性が悪くなり、生成重合体の
粒子表面への析出確率のばらつきを与えるため注意を要
する。また、先に挙げた高分子分散剤の単量体を一部、
目的とする重合体粒子を構成する単量体に共存させてお
くことも、安定化には効果がある。
【0033】更に、これら高分子分散剤と共に、コバル
ト、鉄、ニッケル、アミルミニウム、銅、錫、鉛、マグ
ネシウム等の金属又はその合金(特に粒径1μm以下の
ものが好ましい);酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸
化亜鉛、酸化チタン、酸化硅素などの酸化物の無機化合
物微粉体;高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、燐
酸エステル等の陰イオン界面活性剤;アルキルアミン
塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸
誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリ
メチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウ
ム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリ
ジウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼト
ニウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性
剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非
イオン界面活性剤;例えば、アラニン型[例えばドデシ
ルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエ
チル)グリシン]等のアミノ酸型やベタイン型の両性界
面活性剤を併用しても、生成重合体粒子の安定性及び粒
径分布の改良を更に高めることができる。
【0034】一般に種粒子製造時の高分子分散剤の使用
量は、目的とする重合体粒子形成用の重合性単量体の種
類によって異なるが、通常は親水性有機液体に対し、
0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
高分子分散剤の濃度が低い場合には、生成する重合体粒
子は比較的大粒径のものが得られ、濃度の高い場合に
は、小粒径のものが得られるが、10重量%を越えて用
いても小粒径化への効果は少ない。
【0035】以上挙げた高分子分散剤及び必要に応じ添
加される無機微粉末、顔料、界面活性剤は、種粒子の製
造の際に必要であるのはもちろんであるが、成長反応の
際に粒子同士の合一を防ぐ目的で、添加するビニル単量
体溶液や種粒子分散液に存在させて重合を行なってもよ
い。
【0036】初期に生成する粒子は、親水性有機液体中
と重合体粒子表面に平衡を保って分配された高分子分散
剤によって安定化されるが、未反応のビニル単量体が親
水性有機液体中にかなり存在する場合は、いくぶん膨潤
された粘着性を持ち、高分子分散剤の立体的反発力に打
ち勝って凝集してしまう。更に、極端に親水性有機液体
に対して単量体の量が多い場合は、生成する重合体が完
全に溶解してしまい、重合がある程度進行しないと析出
してこない。この場合の析出の状態は、粘着性の高い塊
状物を形成する様式をとる。従って、粒子を製造する時
の単量体の親水性有機液体に対する量は、おのずと制限
されることになり、親水性有機液体の種類によって多少
異なるが、単量体/親水性有機液体比がおよそ1以下、
好ましくは1/2以下が適当である。
【0037】ここにおけるビニル単量体とは、親水性有
機液体に溶解可能なものであり、例えばスチレン、o−
メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,
4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−
tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレ
ン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレ
ン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレ
ン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p
−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのス
チレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシ
ル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチ
ル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル
酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル
酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−
エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル
酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタ
クリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチル脂肪酸
モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸若しく
はメタクリル酸誘導体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、
臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類など
からなる単独又は相互の混合物及びこれらを50重量%
以上含有し、これらと共重合し得る単量体との相互の混
合物を意味する。
【0038】また、重合体は耐オフセット性を高める為
に、重合性の二重結合を二個以上有するいわゆる架橋剤
の存在下に重合させたものであっても良い。好ましく用
いられる架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニル
ナフタレン及びそれらの誘導体である芳香族ジビニル化
合物、その他エチレングリコールジメタクリレート、ジ
エチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリ
コールメタクリレート、トリメチロールプロパントリア
クリレート、アリルメタクリレート、tert−ブチル
アミノエチルメタクリレート、テトラエチレングリコー
ルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリ
レートなどのジエチレン性カルボン酸エステル、N,N
−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスル
フィド、ジビニルスルホンなど全てのジビニル化合物お
よび三個以上のビニル基を持つ化合物が挙げられ、これ
らは単独又は混合物等で用いられる。
【0039】このように架橋された種粒子を用いて成長
重合反応を引き続いて行なった場合には、成長する重合
体粒子の内部が架橋さたものとなる。また、一方で成長
反応に用いるビニル単量体溶液に上記の架橋剤を含有さ
せた場合には、粒子表面が硬化された重合体が得られ
る。
【0040】また、平均分子量を調節することを目的と
して、連鎖移動定数の大きな化合物を共存させて重合を
行なってもよい。例えば、メルカプト基を持つ低分子化
合物や四塩化炭素、四臭化炭素等が挙げられる。
【0041】前記単量体の重合開始剤としては、例えば
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ
系重合開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパー
オキシド、tert−ブチルパーオクトエートなどの過
酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウムのような過硫化物
系開始剤あるいはこれにチオ硫酸ナトリウム、アミンな
どを併用した系が用いられる。なお、重合開始剤濃度
は、ビニル単量体100重量部に対して0.1〜10重
量部が好ましい。
【0042】樹脂粒子Aを得るための重合条件は、重合
体粒子の目標平均粒径、目標粒径分布に合わせて、親水
性有機液体中の高分子分散剤及びビニル単量体の濃度及
び配合比が決定される。一般に粒子の平均粒径を小さく
しようとするならば、高分子分散剤の濃度を高く、ま
た、平均粒径を大きくしようとするならば、高分子分散
剤の濃度が低く設定される。一方、粒径分布を非常に鋭
くしようとするならば、ビニル単量体濃度を低く、ま
た、比較的広い分布でも良い場合は、ビニル単量体濃度
は高く設定される。
【0043】樹脂粒子Aの製造は、親水性有機液体に高
分子分散剤を完全に溶解した後、一種又は二種以上のビ
ニル単量体、重合開始剤、その他必要に応じて無機微粉
末、界面活性剤、染料、顔料等を添加し、30〜300
rpmの通常の撹拌にて、好ましくはなるべく低速で、
しかもパドル型よりもタービン型の撹拌翼を用いて、槽
内の流れが均一になるような速度で撹拌しながら、用い
た開始剤の分解速度に対応した温度にて加熱し、重合す
ることによって行なわれる。なお、重合初期の温度が生
成する粒径に大きな影響を与えるため、単量体を添加し
た後に温度を重合温度まで上げ、開始剤を小量の溶媒に
溶解して投入するのが望ましい。重合の際には、窒素ガ
ス、アルゴンガス等の不活性気体にて、反応容器内の空
気中酸素を充分に追い出す必要がある。若し、酸素パー
ジが不充分であると、微粒子が発生し易い。
【0044】重合を高重合率域で行なうには、5〜40
時間の重合時間が必要であるが、所望の粒子径、粒子径
分布の状態で重合を停止させたり、また重合開始剤を順
次添加したり、高圧下で反応を行なうことにより、重合
速度を速めることができる。重合終了後は、そのまま染
着工程に用いても良いし、沈降分離、遠心分離、デカン
テーションなどの操作により、不必要な微粒子、残存モ
ノマー、高分子分散剤などを除いた後に、重合体スラリ
ーとして回収し、染着を行なっても良い。ただ、高分子
分散剤を除去しない方が、染着系の安定性が高く、不要
な凝集が抑制される。
【0045】(染料染着工程)本発明においては、前記
のようにして得られた樹脂粒子Aは、続いて染着される
が、染着は次のようにして行なわれる。即ち、樹脂粒子
Aを溶解しない有機溶媒中に樹脂粒子Aを分散し、この
前後に前記溶媒に対する染料の溶解度[D1]及び前記
樹脂粒子の樹脂に対する染料の溶解度[D2]の関係が
[D1]/[D2]≦0.5である染料を前記溶媒中に溶
解して、該染料を前記樹脂粒子中に浸透させて着色し、
その後前記溶媒を除去するというものであり、この方法
により、樹脂粒子Aの深部まで染料が浸透(拡散)した
着色樹脂粒子(以下これを着色粒子Bと呼ぶ)を効率良
く製造することができるものとなる。
【0046】なお、本発明においては、溶解度は25℃
の温度で測定されたものと定義される。また、染料の樹
脂中への溶解度とは、染料の溶媒中への溶解度と全く同
じ定義であり、樹脂中に染料を相溶状態で含有させるこ
とができる最大量を意味する。この溶解状態あるいは染
料の析出状態の観察は、顕微鏡を用いることにより容易
に行なうことができる。なお、樹脂に対する染料の溶解
性を知るには、上記した直接観察による方法の代わり
に、間接的な観察方法によっても良い。この方法は、樹
脂と溶解度係数が近似する液体、即ち、樹脂をよく溶解
する溶媒を用い、この溶媒対する染料の溶解度を、樹脂
に対する溶解度として定めるものである。
【0047】染着に使用する染料としては、使用する有
機溶媒への該染料の溶解度〔D1〕と樹脂粒子Aを構成
する樹脂への該染料の溶解度〔D2〕との比〔D1〕/
〔D2〕が、0.5以下である必要がある。特に、
〔D1〕/〔D2〕を0.2以下とすることが好ましい。
【0048】染料としては、上記の溶解特性を満たせ
ば、特に制限はないが、カチオン染料、アニオン染料等
の水溶性染料は、環境変動が大きい恐れがあり、又トナ
ーの抵抗が低くなり、転写率が劣化する恐れがあるの
で、バット染料、分散染料、油溶性染料の使用が好まし
く、特に油溶性染料が好ましい。また、所望の色調に応
じて数種の染料を併用することもできる。染着される染
料と樹脂粒子Aとの比率(重量)は、着色度に応じて任
意に選択されるが、通常は樹脂粒子100重量部に対し
て、染料1〜50重量部が好ましい。
【0049】例えば、染着溶媒にSP値の高いメタノー
ル、エタノール等のアルコール類を使用し、樹脂粒子A
としてSP値9程度のスチレン/アクリル系樹脂を使用
した場合、使用し得る染料としては、例えば、以下のよ
うな染料が挙げられる。 C.I. SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,100,102,103,105) C.I. SOLVENT Orange(2,7,13,14,66) C.I. SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,1
49,150,151,157,158) C.I. SOLVENT VIOLET(31,32,33,37) C.I. SOLVENT BLUE(22,63,78,83〜86,91,94,95,104) C.I. SOLDENT GREEN(24,25) C.I. SOLDENT Brown(3,9)等。
【0050】市販染料では例えば、保土谷化学工業社の
竪染SOT染料Yellow-1,3,4、Orange-1,2,3、Scarlet-1、
Red-1,2,3、Brown-2、Blue-1,2、Violet-1、Green-1,2,
3、Black-1,4,6,8やBASF社のsudan染料、Yellow-140,15
0、Orange-220、Red-290,380,460、Blue-670や三菱化成
社のダイアレジン、Yellow-3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange
-HS,G、Red-GG,S,HS,A,K,H5B、Violet-D、Blue-J,G,N,
K,P,H3G,4G、Green-C、Brown-Aやオリエント化学社のオ
イルカラー、Yellow-3G,GG-S,#105、Orange-PS,PR,#20
1、Scarlet-#308、Red-5B、Brown-GR,#416、Green-BG,#
502、Blue-BOS,IIN、Black-HBB,#803,EE,EX、住友化学
工業社のスミプラスト、ブルーGP,OR、レッドFB,3B、イ
エローFL7G,GC、日本化薬社のカヤロン、ポリエステル
ブラックEX-SF300、カヤセットRed-BのブルーA-2R等を
使用することができる。もちろん、染料は樹脂粒子Aと
染着時に使用する溶媒の組合せで適宜選択されるため、
上記例に限られるものではない。
【0051】染料を樹脂粒子Aに染着させるために用い
る有機溶媒としては、使用する樹脂粒子Aが溶解しない
もの、あるいは若干の膨潤をきたすもの、具体的には有
機溶媒の溶解性パラメーター〔SP値〕と使用する樹脂
粒子の〔SP値〕との差が1.0以上、好ましくは2.
0以上のものが使用される。例えば、スチレン/アクリ
ル系樹脂に対しては、〔SP値〕が高いメタノール、エ
タノール、n−プロパノール等のアルコール系か、ある
いは〔SP値〕が低いn−ヘキサン、n−ヘプタン等を
使用する。もちろん〔SP値〕の差があまりに大きすぎ
ると、樹脂粒子Aに対する濡れが悪くなり、樹脂粒子の
良好な分散が得られないため、〔SP値〕差は2〜5が
好ましい。
【0052】染着の方法としては、染料を溶解した有機
溶媒中に樹脂粒子Aを分散させた後、液温度を樹脂粒子
Aのガラス転移温度以下に保持、撹拌することが好まし
い。これにより、樹脂粒子A中への染料の浸透速度を早
めることができ、約30分〜1時間程度で充分着色され
た樹脂粒子Bを得ることが可能となる。撹拌の方法は市
販されている撹拌機、例えばホモミキサー、マグネチッ
クスタラー等を用いて撹拌すればよい。
【0053】また、分散重合等で重合終了時得られるス
ラリー、つまり有機溶媒中に重合樹脂粒子Aが分散して
いる状態の溶液に、染料を直接添加して前記の条件にて
加熱撹拌してもよい。加熱温度がガラス転移温度超過の
場合は、樹脂粒子同士の融着が生じてしまう。
【0054】染着後のスラリーを乾燥する方法として
は、特に限定はされないが、濾別した後に風乾あるいは
濾別した後に減圧乾燥、あるいは濾別しないで直接減圧
乾燥すればよい。本発明において濾別した後に風乾又は
減圧乾燥して得られた着色粒子Bは、凝集は殆どなく、
投入した樹脂粒子の粒度分布をほとんど損なわないで再
現する。
【0055】(離型剤微粒子の被覆工程)本発明におい
ては、続いて従来公知の方法で調製されたトナー粒子、
好ましくは前記のようにして得られた着色粒子B、等の
着色樹脂粒子の表面に、離型剤微粒子が被覆されるが、
この被覆処理は次のようにして行なわれる。即ち、前記
の着色樹脂粒子と離型剤微粒子とを、カチオン性界面活
性剤の存在下に湿式混合することによって、着色樹脂粒
子の表面に離型剤微粒子を均一に付着させた後、機械的
エネルギーにより離型剤微粒子を着色樹脂粒子に固定化
させるというものであり、この処理により、離型剤微粒
子が着色樹脂粒子の表面に強固に固定化(被覆)される
ので、高信頼性、高耐久性のトナーが得られ、、且つ熱
ロール定着において耐オフセット性の優れたトナーが得
られる。
【0056】本発明において用いられる離型剤として
は、熱ローラ定着を行なうに際し、熱ローラと被定着材
上のトナーの付着を防止する効果を有する物質であれば
何でもよく、例えば低分子量のポリオレフィン類やワッ
クス類その他がある。この場合、ワックス類の具体例と
しては、例えば次のものが挙げられる。
【0057】カルナウバロウ、綿ロウ、カンデリラロ
ウ、サトウキビロウ、ミツロウ、鯨ロウ、セラックロ
ウ、羊毛ロウ等の狭義のロウ;モンタンロウ、パラフィ
ンロウ、ミクロクリスタリンワックス等の鉱物あるいは
石油系ロウ;パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシ
ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数6乃至22の固体高
級脂肪酸;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、パ
ルミチン酸アミド、N−ヒドロキシエチル−ヒドロキシ
ステアロアミド、N,N’−エチレン−ビス−ステアロ
アミド、N,N’−エチレン−ビス−リシノ−ルアミ
ド、N,N’−エチレン−ビス−ヒドロキシステアリル
アミド等の炭素数6乃至22の高級(以下、高級という
用語は上述した炭素数6乃至22の意味で使用するもの
とする)脂肪酸のアミド類;例えばステアリン酸カルシ
ウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネ
シウム、パルミチン酸カルシウムの如き高級脂肪酸のア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、亜鉛塩、アルミニ
ウム塩等の金属塩;パルミチン酸ヒドラジド、ステアリ
ン酸ヒドラジド等の高級脂肪酸のヒドラジド;ミリスチ
ン酸のp−ヒドロキシアニリド、ステアリン酸のp−ヒ
ドロキシアニリドの如き高級脂肪酸のp−ヒドロキシア
ニリド;ラウリン酸のβ−ジエチルアミノエチルエステ
ル塩酸塩、ステアリン酸のβ−ジエチルアミノエチルエ
ステル塩酸塩の如き高級脂肪酸のβ−ジエチルアミノエ
チルエステル塩酸塩;ステアリン酸アミド−ホルムアル
デヒド縮合物、パルミチン酸アミド−ホルムアルデヒド
縮合物の如き高級脂肪酸アミド−ホルムアルデヒド縮合
物;アスファルト、ギルソナイト等の石油系残査;ニト
リルゴム、塩化ゴム等のゴム類;フィッシャートロプシ
ュワックス及び誘導体などの合成炭化水素;ポリエチレ
ングリコール、ステアリン酸ソルビトールなどの脂肪酸
エステルとグリセライド;塩素化パラフィン、塩素化プ
ロピレンなどのハロゲン化炭化水素;硬化キャスター
油、硬化牛脂油等。
【0058】離型剤を使用するに当たり、離型剤は前記
着色樹脂粒子及び該離型剤を溶解せしめない水又は親水
性有機液体で、前記着色樹脂粒子を分散せしめるに用い
た液体と相溶する液体に、微粒子状態で安定に分散して
いることが好ましい。
【0059】このような離型剤分散液体を得る方法とし
ては、例えば次のような方法があり、また市販品として
入手することも可能である。 (1)離型剤を溶解する溶液aと、aとは相溶するが、
離型剤を溶解しない溶液bを用い、離型剤をaに溶解
後、高速攪拌した溶液bに加えて析出させる方法。 (2)離型剤を熱溶融させた液体に高速撹拌しながら熱
水を加え、得られた分散液を冷却させることにより離型
剤の分散液を得る方法。 (3)離型剤を溶解せしめない液体cと離型剤を混合
し、ボールミル分散混合機等の分散装置を用い該液体に
分散せしめる方法。
【0060】また、これらの分散液に分散安定剤とし
て、アニオン性界面活性剤若しくは非イオン性界面活性
剤又は両者の混合物を含有させてもよい。この場合のこ
れら界面活性剤の具体例としては、前記のトナー粒子の
分散液体について例示された界面活性剤と同様のものが
挙げられる。
【0061】こうして得られた離型剤分散液体中の離型
剤微粒子の体積平均粒径rは、用いられる着色樹脂粒子
の体積平均Rに対して、R/rが5以上であることが好
ましい。R/rが5未満になると、着色樹脂粒子上に均
一に付着、固定化処理することが行なえなくなり、帯電
の均一性、トナーの耐久性等が失われる。
【0062】次に、前記着色樹脂粒子表面に前記離型剤
微粒子を均一付着させる工程について詳細に説明する。
上記のような着色樹脂粒子及び離型剤微粒子のそれぞれ
の分散液体を混合して前記混合粒子を得るためには、以
下のような方法がある。 (1)着色樹脂粒子分散液体にカチオン性界面活性剤を
加え撹拌混合した後、該分散液体を離型剤微粒子分散液
体と撹拌混合する方法。 (2)離型剤微粒子分散液体にカチオン性界面活性剤を
加え撹拌混合した後、該分散液体を着色樹脂粒子分散液
体と撹拌混合する方法。 (3)離型剤微粒子分散液体と着色樹脂粒子分散液体と
を撹拌混合した後、該分散液体にカチオン性界面活性剤
を加え撹拌混合する方法。 (4)離型剤分散液調製時に該分散液に分散安定剤とし
てカチオン性界面活性剤が用いられた場合においては、
離型剤微粒子分散液体と着色樹脂粒子分散液体とを撹拌
混合する方法。
【0063】ここで用いるカチオン性界面活性剤として
は、公知のものが単独で、あるいは、二種以上混合して
用いられる。その具体例としては、次のものが挙げられ
る。
【0064】第一級アミン塩、アシルアミノエチルジエ
チルアミン塩、N−アルキルポリアルキレンポリアミン
塩、脂肪酸ポリエチレンポリアミド類、アミド類及びそ
の塩類、アミン塩などのアルキルアミン、アシルアミン
の塩類;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキ
ルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジル
アンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アシルアミノ
エチルメチルジエチルアンモニウム塩、アシルアミノプ
ロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、アシルアミノ
プロピルジエチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ア
シルアミノエチルピリジウム塩、ジアシルアミノエチル
アンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩若しくはアミ
ド結合を有するアンモニウム塩;ジアシロキシエチルメ
チルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルオキシ
メチルピリジウム塩等のエステル、エーテル結合を有す
るアンモニウム塩;アルキルイミダゾリン、1−ヒドロ
キシエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−アシルア
ミノエチル−2−アルキルイミダゾリウム塩等のイミダ
ゾリン、イミダゾリウム塩;アルキルポリオキシエチレ
ンアミン、N−アルキルアミノプロピルアミン、N−ア
ルキルポリエチレンポリアミン、N−アシルポリエチレ
ンポリアミン、脂肪酸トリエタノールアミンエステル等
のアミン誘導体;その他脂質系、バイオサーファクタン
ト、オリゴソープ等。
【0065】更に、これらのカチオン性界面活性剤は非
イオン性界面活性剤と混合し用いることも可能である。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、前記のトナー
粒子の分散液体について例示された界面活性剤と同様の
ものを挙げることができる。
【0066】このようにして着色樹脂粒子表面上に離型
剤微粒子を付着させた際、着色樹脂粒子表面の離型剤微
粒子による被覆率は、90%以下であることが好まし
い。ここでいう被覆率とは、該着色樹脂粒子と該離型剤
微粒子の体積平均粒径から計算されるところの、該着色
樹脂粒子上に該離型剤微粒子を一層被覆させるときに、
一個の着色樹脂粒子表面に充填できる離型剤微粒子の最
大数をMmaxとし、実際に一個の着色樹脂粒子に付着
させた離型剤微粒子の数をMnとするとき、(Mn/M
max)×100%として計算される値である。被覆率
が90%以上になると、トナー特性が表面の離型剤によ
り支配されるため、得られたトナーの帯電性安定性、流
動性、耐久性が劣る。
【0067】また、本発明においては、離型剤微粒子を
着色樹脂粒子に強固につけることにより、該微粒子の離
脱を防止し、更に得られるトナーの耐久性、信頼性を向
上させる。該微粒子を強固につけるために、本発明にお
いては、機械的エネルギーで着色樹脂粒子に対し、離型
剤微粒子を打ち込み、固定化する。
【0068】離型剤微粒子の打ち込み方法としては、着
色樹脂粒子と離型剤微粒子との混合粒子に機械的エネル
ギーを与える。機械的エネルギーを与える方法として
は、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加え
る方法、高速気流中に混合物を投入し粒子を加速させ、
粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等が
ある。ここに用いる具体的な装置としては、オングミル
(ホソカワミクロン社)、I式ミル(日本ニューマチッ
ク工業)で通常の粉砕の場合より、粉砕エアー圧力を下
げた装置、ハイブリダイゼイション−システム(奈良機
械製作所)、自動乳鉢などが挙げられる。
【0069】また、本発明においては、離型剤微粒子を
着色樹脂粒子に液体中で付着させるため、乾燥後に前記
のような装置で固定化処理を行なっても良いが、乾燥工
程中で固定化処理を行なうこともできる。例えば、媒体
流動乾燥装置MSD(奈良機械製作所)、流動層乾燥装
置スラリードライヤー(大河原製作所)等を用いて、乾
燥と固定化を同時に行なうことができる。
【0070】なお、本発明で得られるトナーには、必要
に応じて添加物を混合することができる。添加物として
は、例えば流動性向上剤としての疎水性シリカ、アルミ
ナといった金属酸化物や滑剤としてのポリフッ化ビニリ
デンやステアリン酸亜鉛の微粉末などがある。
【0071】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以下に示す部及び%はいずれも重量基準である。
【0072】(樹脂粒子用分散安定剤溶液の調製)恒温
水槽中で回転する密閉可能な反応容器内に次のものを仕
込んだ。 メタノール 100部 分散安定剤 7部 容器を室温でゆるやかに撹拌し、約1時間でポリビニル
ピロリドンを完全に溶解させた。この時、分散安定剤と
しては、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸の部分
メチルエステル共重合体(共重合比1/1:平均重量分
子量4万)を用いた。
【0073】(樹脂粒子分散液の調製)分散安定剤を溶
解したメタノール溶液250部を恒温水槽中で回転する
密閉可能な反応容器内に移し、次のものを仕込んだ。 スチレン 60部 メタクリル酸メチル 40部 ドデシルメルカプタン 1.0部 1,3−ブタンジオールジメタクリレート 1.5部 容器を回転させることにより混合させながら、容器内に
窒素ガスを吹き込むことにより完全に空気を追い出し、
容器を密閉した。その後水槽を60℃に保ち、毎分10
0回転で撹拌しながら重合を行なった。この時、開始剤
としては2,2’−アゾビスイソブチロトリル2.0部
を用い、重合を開始した。更に重合を続け、24時間で
重合を終了した。
【0074】コールターマルチサイザーによる20μm
パーチャーチューブでの粒径分布測定では、粒子個数5
万カウントで体積平均粒径が5μm、個数平均粒径6.
600μm、その比が1.02であった。この重合体の
分散液を樹脂粒子分散液No.1、分散されている樹脂
粒子を樹脂粒子No.1とする。
【0075】(着色樹脂粒子の調製)オイルブラック8
60の30.0部にメタノール20部を加え加熱溶解
後、冷却し、1μmのミクロフィルターで濾別した濾液
10部を調製した。このように調製した濾液100部中
に樹脂粒子No.1を40部を加え、50℃で2時間撹
拌し、その後分散液を室温まで冷却し、遠心沈降し、上
澄みを除き、メタノール50部、水50部の混合溶媒に
再分散する操作を3回行なって、オイルブラック860
で着色された樹脂粒子No.1の分散液を得た。これを
着色樹脂粒子分散液No.1とする。
【0076】(離型剤分散液体の調製) 調製例1 オイルバス中で密閉可能な容器にカルナウバワックス2
0部を入れ、徐々に加温し100℃で溶融した後、撹拌
しながら非イオン性界面活性剤ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル(平均オキシエチレン付加モル数=
15)5部を加え、完全に溶解する。その後ホモミキサ
ーで高速撹拌しながら98℃の水75部を徐々に添加
し、添加終了後10分間更に撹拌した後、撹拌しながら
25℃まで放冷する。その後撹拌を停止し6時間放置
後、沈降物を取り除き離型剤分散液No.1を得た。
【0077】得られた離型剤分散液No.1を動的光散
乱計DLS700(大塚電子社製)で測定したところ、
体積平均粒径は0.371μm、個数平均粒径は0.3
12μmで、その比が0.841であった。
【0078】調製例2 離型剤分散液体の調製において、溶解させる非イオン性
界面活性剤の添加量を10部とすること以外は、調製例
1と同様の方法で離型剤分散液No.2を調製し、同様
に粒径をDLS700で測定した。得られた粒子の粒径
は体積平均粒径0.110μm、個数平均粒径0.04
9μmで、その比が0.445であった。
【0079】なお、離型剤分散液No.2においては、
凝集体の発生が著しく、粒径分布が悪かったため、更に
粗大凝集物を遠心分離し、上澄み液を濾過することによ
り、体積平均粒径が0.037μm、個数平均粒径が
0.030μmで、その比が0.81である離型剤分散
液No.2を得た。
【0080】(離型剤及び着色樹脂粒子の混合粒子分散
液の製造) カチオン性界面活性剤溶液の調製 カチオン性界面活性剤であるステアリルアミンアセテー
トを水に溶解し、濃度0.1%のステアリルアミンアセ
テート水溶液Aを調製した。
【0081】製造例1 離型剤分散液No.1を固形分5%となるように水にて
希釈し、充分に撹拌して離型剤分散液Bを得た。また、
更に別の容器で着色樹脂粒子分散液No.1を固形分1
0%となるように水にて希釈し、25℃恒温下で回転撹
拌しながら、該分散液に前記ステアリルアミンアセテー
ト水溶液Aを着色樹脂粒子固形分に対してステアリルア
ミンアセテートが0.001部となるように混合し、2
5℃恒温下で1時間回転撹拌した後、同じく25℃恒温
下で撹拌しながら、前記離型剤分散液Bを離型剤固形分
が着色樹脂粒子固形分1部に対して0.0755部とな
るよう徐々に添加して、着色樹脂粒子に離型剤微粒子が
付着した混合粒子の分散液を得た。該混合粒子の分散液
を、混合粒子分散液No.1とする。このようにして得
られた混合粒子は、着色樹脂粒子と離型剤微粒子の粒径
比R/r=16、被覆率=30%であった。
【0082】製造例2 製造例1おいて、着色樹脂粒子固形分1部に対して離型
剤固形分が0.179部となるように、離型剤分散液B
を添加したこと以外は、すべて製造例1と同様にして、
着色樹脂粒子に離型剤微粒子が付着した混合粒子分散液
No.2を得た。このようにして得られた混合粒子は、
着色樹脂粒子と離型剤微粒子の粒径比R/r=16、被
覆率=70%であった。
【0083】製造例3 製造例1において、離型剤分散液No.2を用いて作成
した離型剤分散液Bを用いて、着色樹脂粒子固形分1部
に対して離型剤固形分が0.00665部となるように
離型剤分散液Bを添加したこと以外は、すべて製造例1
と同様にして、着色樹脂粒子に離型剤微粒子が付着した
混合粒子分散液No.3を得た。このようにして得られ
た混合粒子は、着樹脂色粒子と離型剤微粒子の粒径比R
/r=166、被覆率=30%であった。
【0084】製造例4 製造例1において、前記ステアリルアミンアセテート水
溶液Aの替わりに同部の水を用いたこと以外は、製造例
1と同様にして着色樹脂粒子と離型剤微粒子の混合分散
液を得た。これを混合分散液No.4とする。このよう
にして得られた混合粒子は、着色樹脂粒子と離型微粒子
の粒径比R/r=16、被覆率=30%であった。
【0085】製造例5 離型剤分散液No.1を凍結乾燥することにより、離型
剤微粒子粉末Aを得た。更に、着色粒子分散液No.1
を吸引濾過及び一昼夜の真空乾燥を行ない、着色粒子粉
末(イ)を得た。この着色粒子(イ)1部に対し離型剤
微粉末Aを0.0755部添加し、ミキサーで30秒間
混合し混合粉体No.5を得た。この粉体を光学顕微鏡
で観察したところ、粉体中には着色粒子粒径の1倍〜6
倍程度の大型の離型剤凝集塊が多数確認された。
【0086】実施例1 製造例1により製造された混合粒子分散液No.1を遠
心分離により固液分離し、更に水を加え洗浄を行ない、
これを2度繰り返した後吸引濾過し、続いて減圧乾燥し
て混合粒子を取り出した。更に、この混合粒子100部
を、ハイブリダイザーNHS−1型[(株)奈良機械製
作所製]にて、回転数7500回転で2分間滞留させて
固定化処理を行ない、その後、得られた粒子に流動性付
与剤として疎水性シリカを1.5部加え、ミキサーにて
30秒間混合して本発明のトナーを得た。
【0087】粒径70μmのシリコン樹脂コートフェラ
イトキャリア97部と上記トナー3部を、ボールミルに
て20分間混合撹拌し、現像剤を作成した。この現像剤
を複写機(リコー社製IMAGIO420からオイル塗
布装置を取りはずしたもの)にセットし、画像評価、定
着テスト、耐久性テスト(10万枚)、等を行なった。
それらの結果を表1に示す。なお、帯電量の経時変化
は、耐久テスト中に5000枚毎のトナー帯電量を評価
した。
【0088】実施例2 実施例1において、製造例2により製造された混合粒子
分散液No.2を用いたこと以外は、実施例1と同様に
して本発明のトナーを作成した。得られたトナーを用
い、実施例1と同様にして、現像剤を作成し、更に得ら
れた現像剤を用いて、実施例1と同様にして、評価を行
なった。その結果を表1に示す。
【0089】実施例3 実施例1において、製造例3により製造された混合粒子
分散液No.3を用いたこと以外は、実施例1と同様に
して本発明のトナーを作成した。得られたトナーを用
い、実施例1と同様にして、現像剤を作成し、更に得ら
れた現像剤を用いて、実施例1と同様にして、評価を行
なった。その結果を表1に示す。
【0090】比較例1 実施例1において、製造例4により製造された混合粒子
分散液No.4を用いたこと以外は、実施例1と同様に
して比較用のトナーを作成した。この際に混合分散液N
o.4を遠心分離すると、着色樹脂粒子に離型剤粒子が
付着していないためか、両者は分離してしまった。
【0091】得られたトナーを用い、実施例1と同様に
して、現像剤を作成し、更に得られた現像剤を用いて、
実施例1と同様にして、評価を行なった。その結果を表
1に示す。このトナーは耐久テストの開始時からオフセ
ット、紙づまりを発生し、信頼性に劣るトナーであっ
た。
【0092】比較例2 実施例1において混合粉体No.5を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして比較用のトナーを作成した。
【0093】得られたトナーを用い、実施例1と同様に
現像剤を作成し、更に得られた現像剤を用いて、実施例
1と同様にして評価を行なった。その結果を表1に示
す。このトナーは耐久テスト開始時からオフセット、紙
づまりを発生するトナーであり、現像剤中に多数の離脱
した離型剤が確認された。更に耐久テストにおいて、2
000枚目で感光体上に離型剤のフィルミングが確認さ
れた信頼性に劣るトナーであった。
【0094】比較例3 実施例1においてハイブリダイザーによる固定化処理を
行なわなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較
用のトナーを作成した。
【0095】得られたトナーを用い、実施例1と同様に
現像剤を作成し、更に得られた現像剤を用いて、実施例
1と同様にして評価を行なった。その結果を表1に示
す。このトナーは耐久テストにおいて500枚目で画像
ムラが生じ、感光体上に離型剤のフィルミングが確認さ
れた信頼性に劣るトナーであった。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】本発明の静電荷像現像用トナーの製造方
法は、着色樹脂粒子と離型剤微粒子を混合し離型剤微粒
子を着色樹脂粒子に被覆する工程において、水又は親水
性有機液体若しくはそれらの混合物中で分散された着色
樹脂粒子と、前記液体若しくは前記液体と相溶する液体
中に分散された離型剤微粒子とを混合し、かかる混合分
散物に少なくともカチオン性界面活性剤を含有せしめる
ことにより離型剤微粒子を着色樹脂粒子に均一に付着さ
せた後、機械的衝撃力により離型剤微粒子を着色樹脂粒
子に被覆させるという構成にしたことから、前記着色樹
脂粒子表面にのみ離型剤微粒子を均一に付着させ、且つ
強固に固定化することができるので、本発明方法による
と、熱ロール定着において優れた耐オフセット効果を有
し、経時の帯電量の安定性に優れた高寿命で高品質画像
を形成するトナーを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 イアン ハーパ 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 昭63−244053(JP,A) 特開 平2−163755(JP,A) 特開 平3−83068(JP,A) 特開 昭63−300245(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂、着色剤及び離型剤を主成分とする
    静電荷像現像用トナーの製造方法において、水又は親水
    性有機液体若しくはそれらの混合物中で分散された着色
    樹脂粒子と、前記液体若しくは前記液体と相溶する液体
    中に分散された離型剤微粒子と混合し、かかる混合分散
    物に少なくともカチオン性界面活性剤を含有せしめるこ
    とにより離型剤微粒子を着色樹脂粒子に均一に付着させ
    た後、乾燥工程と機械的衝撃力により離型剤微粒子を着
    色樹脂粒子に被覆させる工程を含むことを特徴とする静
    電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記着色樹脂粒子の体積平均粒径Rと前
    記離型剤微粒子の体積平均粒径rとの比R/rが5以上
    である請求項1記載の静電荷像現像用トナーの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記着色樹脂粒子に対する前記離型剤微
    粒子の被覆率が90%以下である請求項1又は2に記載
    の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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