JP3071290B2 - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

積層体及びその製造方法

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JP3071290B2
JP3071290B2 JP4845892A JP4845892A JP3071290B2 JP 3071290 B2 JP3071290 B2 JP 3071290B2 JP 4845892 A JP4845892 A JP 4845892A JP 4845892 A JP4845892 A JP 4845892A JP 3071290 B2 JP3071290 B2 JP 3071290B2
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graft
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敏行 竹松
友雄 塩原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属体面にシラングラ
フト変性ポリオレフィンからなる被覆層が設けられた、
耐蝕性、耐熱水性、耐久性に優れる積層体及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属体に耐蝕性を付与するため、
金属体面に、耐蝕層となる合成樹脂層が接着剤層を介し
て設けられるか、あるいは接着剤を使用することなく直
接融着された積層体が知られている。これらの積層体の
耐蝕層となる合成樹脂層としては、化学的に安定で且つ
安価な材料であるポリオレフィン系樹脂がよく用いられ
ている。しかし、ポリオレフィン系樹脂には分子中に極
性基がないために、金属体との接着性がよくない。その
ため、金属体面に設けられた合成樹脂層との間に水が浸
入し、金属体に錆や腐食等を発生させることが多く、大
きな事故につながることもあった。
【0003】このような問題を解決するために、例え
ば、特開昭57─12644号に記載の如く、酸無水物
によりポリオレフィン系樹脂分子中に極性基を持たせた
変性ポリエチレン樹脂を用いて、金属体面との接着性を
向上させる方法が提案されている。しかし、変性ポリエ
チレンと金属体面とは、─COO─基を介して結合して
いるので、高温状態での接着耐久性に問題があった。
【0004】一方、ポリオレフィン系樹脂に接着性を付
与する一手段として、上記の酸無水物による変性の他
に、シラングラフト変性技術がある。このグラフト変性
技術によって得られるシラングラフト変性ポリオレフィ
ンは、分子中にアルコキシシラン基(
【0005】
【化4】
【0006】基、ここにRはアルキル基であり、nは1
〜3の整数である。)を有しており、アルコキシシラン
基は水分や酸によって加水分解反応を起こしシラノール
基(
【0007】
【化5】
【0008】基、ここにnは1〜3の整数である。)に
変化する。このシラノール基は極性基であるため、金属
体面との接着性を有し、高温状態での接着耐久性におい
ても比較的優れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルコ
キシシラン基のシラノール基への反応速度は、雰囲気中
の水分量や温度によって左右されるために、グラフト変
性した後の樹脂の保管状態や期間により生成するシラノ
ール基の量が異なる。そのために、特に低温低湿度のた
めアルコキシシラン基のシラノール基への変化が起こり
にくい冬場等では、シラングラフト変性ポリオレフィン
と金属体面との初期接着強度が充分なレベルまで達しな
い。このように初期接着強度に欠けた状態の積層体、例
えば、積層管を配管材料として用いた場合には、シラン
グラフト変性ポリオレフィンが金属体面から容易に剥離
し、管閉塞等を生じたり、積層板として用いた場合に
は、金属体に錆や腐食等が発生するという問題点があっ
た。
【0010】本発明は上記のような従来技術の問題点を
解消することを目的としてなされたものであって、初期
接着強度が優れ、且つ耐蝕性、耐熱水性、耐久性等に優
れた積層体及びその製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の積層体は、式
1、式2又は式3で示される少なくとも1種の有機錫化
合物の薄層が設けられ、その上にシラングラフト変性ポ
リオレフィンからなる被覆層が設けられているものであ
る。
【0012】本発明の積層体の製造方法は、金属体面
に、式1、式2又は式3で示される少なくとも1種の有
機錫化合物の溶液を塗布乾燥させて有機錫化合物の薄層
を設け、その上にシラングラフト変性ポリオレフィンを
溶融被覆せしめて被覆層を設ける積層体の製造方法であ
る。
【0013】本発明において、金属体としては、鉄、
鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、亜鉛等、一般に
金属と呼ばれるものからなり、その形状が板状、管状、
管継手状、棒状等のものが挙げられるが、その形状はこ
れに限定されるものではない。本発明において、薄層及
び被覆層が設けられる金属体面は、金属体の形状が板状
の場合には、片面でも両面でもよく、又端面や側縁面で
あってもよい。又、金属体の形状が、管状や管継手状の
場合には、内面でも外面でもよく、内外両面であっても
よいし、又、端面であってもよい。
【0014】金属体は、樹脂被覆層との接着を良好にす
るために、サンドブラスト、塩酸、硫酸、硝酸等による
錆等の酸化膜除去処理、アルカリ等による脱脂処理等を
施すことにより、シラングラフト変性ポリオレフィンと
の接着性に適した状態にして使用するのが好ましい。
【0015】本発明において、シラングラフト変性ポリ
オレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピン等のポリオレフィンに、シランカップリング剤とラ
ジカル発生剤とを混合して反応させて、シラングラフト
変性させたものが使用される。
【0016】ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポ
リエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L
LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度
ポリエチレン(HDPE)等が使用される。
【0017】シランカップリング剤としては、分子中に
加水分解可能なメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ
基等のアルコキシ基やクロル基等を持ち、且つ同じ分子
中にビニル基、アクリル基、メタクリル基等のような、
ポリエチレン中に発生した遊離ラジカル部位と反応する
二重結合を持つ化合物であって、例えば、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
ス(β─メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロル
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン等があげられる。
【0018】又、ラジカル発生剤としては、有機過酸化
物やアゾ化合物があげられるが、ジクミルパーオキサイ
ド、ジブチルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機
過酸化物が好適である。これら添加量としては、例え
ば、シラン架橋ポリエチレンの場合、ポリエチレン10
0重量部に対して、シランカップリング剤0.25〜
3.0重量部と、ラジカル発生剤0.0015〜0.0
2重量部が好ましい。シランカップリング剤が0.25
重量部未満、あるいはラジカル発生剤が0.0015重
量部未満の場合には、薄層が設けられた金属体面への接
着性が充分でない傾向がある。
【0019】本発明において、式1で示される有機錫化
合物としては、例えば、ジメチル錫オキシド、ジ─n─
ブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド等が使用され
る。
【0020】本発明において、式2で示される有機錫化
合物としては、例えば、ジメチル錫−o─フタレート、
ジブチル錫─o─フタレート等が使用される。
【0021】本発明において、式3〔Lの例としては、
R−COO─基(Rはアルキル基である。)、RO−C
O−(CH2 n −S−基(Rはアルキル基であり、n
は1以上の整数である。)、R−S─基(Rはアルキル
基である。)等が挙げられる。〕で示される有機錫化合
物としては、例えば、LがR−COO─基の場合とし
て、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジオクチル錫ジラウレート、LがRO−CO−(C
2 n −S−基の場合として、ジメチル錫ビスオクチ
ルチオグリコレート、ジブチル錫ビスオクチルチオグリ
コレート、LがR−S─基の場合として、ジブチル錫ビ
スラウリルメルカプタイド等が使用される。
【0022】上記に例示した有機錫化合物は、錫原子が
4個の配位子と結合しているものを挙げたが、錫原子が
6個の配位子と結合したものも使用することができる。
【0023】本発明において、金属体面に有機錫化合物
の薄層を設ける方法としては、液体や固体の状態の有機
錫化合物をアルコールやケトン等の溶剤に溶解して、有
機錫化合物の溶液を調整し、この溶液を、金属体面にス
プレーにより吹き付けたり、刷毛やロールによるコーテ
ィング等により塗布し、乾燥する方法が採用される。溶
液の濃度は、金属体面に均一に塗布することができれば
特に限定されるものではないが、有機錫化合物の含有量
において1〜10%が好ましい。その塗布量は、余り厚
くならない方がよく、乾燥後の薄層の厚さが、5〜50
μmとなるようにするのが好適である。例えば、濃度が
5%の溶液を使用した場合には、1cm2 当り0.1〜
0.5gを塗布するのが特に好適である。
【0024】乾燥の方法としては、例えば、金属体面に
塗布された塗膜を、バーナー加熱、熱風吹付け、誘導加
熱等によって、好ましくは200〜500℃の温度で乾
燥する方法等が採用される。
【0025】なお、シラングラフト変性ポリオレフィン
には、本発明の効果を阻害しないような無機充填剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等を添加してもよい。
【0026】有機錫化合物の薄層が形成された金属体面
に、シラングラフト変性ポリオレフィン層を設ける方法
としては、予め押出成形、射出成形、カレンダー成形、
圧縮成形等で成形したシラングラフト変性ポリオレフィ
ン成形体を加熱溶融する方法、金属体面に溶融したシラ
ングラフト変性ポリオレフィンを押出被覆する方法、粉
体状のシラングラフト変性ポリオレフィンを静電付着さ
せ加熱溶融して付着する方法、粉体状シラングラフト変
性ポリオレフィンの流動層中に加熱した金属体を浸漬し
てシラングラフト変性ポリオレフィンを溶融させ付着す
る方法、液状あるいは溶剤に溶解したシラングラフト変
性ポリオレフィンを塗布して加熱硬化させて被覆する方
法、金属体面にシラングラフト変性ポリオレフィン板を
積層プレスする方法等が挙げられる。
【0027】また、金属管の内面にシラングラフト変性
ポリオレフィン層が形成された積層体の場合、有機錫化
合物の薄層が形成された金属の帯板材を薄層を内面側に
して連続的に溶接製管しながら、管内にシラングラフト
変性ポリオレフィンを溶融押出しして融着する方法、金
属管の内面に予め押出成形で成形されたシラングラフト
変性ポリオレフィン管を加熱膨張させつつ接着する方
法、ロールあるいはダイス等によって「しごき」をかけ
縮径して接着する方法、金属管を加熱しておいて、内部
に微粉体状のシラングラフト変性ポリオレフィンを噴射
してその内周面上に溶融被覆する粉体塗装方法等が挙げ
られる。
【0028】更にまた、遮音性、断熱性等の向上を目的
として、シラングラフト変性ポリオレフィン層を発泡ポ
リウレタン、発泡シラングラフトポリエチレン等の発泡
体層としてもよい。
【0029】
【作用】本発明の積層体は、金属体面に、有機錫化合物
の薄層が設けられ、その上にシラングラフト変性ポリオ
レフィンからなる被覆層が設けられていることにより、
金属体面に存在する─OH基のO原子は非共有電子対を
有しているので、有機錫化合物のSn原子に引き寄せら
れるために、そのO─H結合が弱くなる。一方シラング
ラフト変性ポリオレフィンのアルコキシシラン基のO原
子は、非共有電子対を有しているので、金属体面の─O
H基のH原子に引き寄せられるため、アルコキシシラン
基のSi─O結合が弱くなる。これにより、金属体面の
−OH基のH原子とアルコキシシラン基の─OR基とか
らアルコールROHがとれるとともに、金属体面のO原
子とアルコキシシラン基のSi原子とが結合し、結果的
にシラングラフト変性ポリオレフィンと金属体とが化学
的に結合するため、金属体面にシラングラフト変性ポリ
オレフィンからなる被覆層が高い接着強度をもって被覆
され、耐蝕性、耐熱水性、耐久性に優れたものとなる。
【0030】本発明の積層体の製造方法は、金属体面に
有機錫化合物の溶液を塗布乾燥させて金属錫化合物の薄
層を設け、その上にシラングラフト変性ポリオレフィン
を溶融被覆せしめるので、有機錫化合物の薄層が設けら
れた金属体面にシラングラフト変性ポリオレフィンを溶
融被覆する時に、上記の如く、シラングラフト変性ポリ
オレフィンと金属体面とを化学的に結合させ、金属体面
にシラングラフト変性ポリオレフィンからなる被覆層を
高い接着強度をもって被覆せしめることができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を、実施例により図面を参照し
て説明する。実施例1 図1は、本発明を給湯用管に応用した積層管を示す一部
切欠正面図である。図2は、その製造工程を説明する示
す正面図である。図2に示す如く、厚さ1.5mm、幅
271mmの冷延鋼板フープ材11を巻出し機21より
連続的にほどき、アルカリ処理装置22にてその片面に
リン酸ソーダ系配合脱脂剤により脱脂処理した後、酸処
理装置23にて硝酸溶液に浸漬し酸化膜除去処理を施し
た。その上に、ジブチル錫─o─フタレートの5%アセ
トン溶液をスプレー24により1cm2 当り0.5gの
塗布量にて塗布した。その塗膜を熱風乾燥機25を用い
て350℃の熱風を吹き付けて乾燥し、厚さ20μmの
薄層を設けた鋼帯板13を作製した。次いで、この鋼帯
板13を、薄層が内側になるようにロールフォーミング
装置26にて円筒状に形成して突き合わせ部を交流Ti
g溶接装置27により連続的に溶接して、外径114.
3mm、肉厚2.0mmの鋼管を製管した。一方、シラ
ングラフト変性LLDPE〔LLDPE(190℃にお
けるMI:5g/10分である線状低密度ポリエチレ
ン)に、ビニルトリメトキシシランと、ジ─t─ブチル
パーオキサイドとを用いて、シラングラフト変性したも
の、190℃におけるMI:0.7g/10分、弾性
率:6200kg/cm2 〕を押出機28により加熱溶
融し、内層被覆金型29にて鋼管内面の薄層12上に押
出し融着させて、図1に示す如く、鋼管14の内面に、
薄層12を介して、厚さ2.0mmのシラングラフト変
性LLDPEからなる被覆層15が設けられた積層管1
を得た。この積層管1を長手方向に幅2cmに切断して
T型剥離法にて、薄層12とシラングラフト変性LLD
PEからなる被覆層13間の初期剥離接着強度を測定し
た結果、37.4kgf/2cmであった。また、この
積層管1を95℃の熱水に浸漬し、1000時間後に取
り出して、上記と同様の剥離接着強度を測定した結果、
33.6kgf/2cmであった。その結果をまとめ
て、表1に示す。
【0032】実施例2 ジブチル錫─o─フタレートの5%アセトン溶液の代わ
りに、ジオクチル錫オキシドの5%アセトン溶液を用い
たこと以外は、実施例1と同様にして積層管を得た。こ
の積層管について、実施例1と同様に、初期剥離接着強
度及び95℃熱水に1000時間浸漬後の剥離接着強度
を測定した。その結果、初期剥離接着強度は、31.8
kgf/2cmであり、95℃の熱水に1000時間浸
漬後の剥離接着強度は、31.8kgf/2cmであっ
た。その結果をまとめて表1に示す。
【0033】実施例3 ジブチル錫─o─フタレートの5%アセトン溶液の代わ
りに、ジブチル錫ビスイソオクチルグリコレートの5%
アセトン溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て積層管を得た。この積層管について、初期剥離接着強
度及び95℃の熱水に1000時間浸漬後の剥離接着強
度を測定した。その結果、初期剥離接着強度は、34.
8kgf/2cmであり、95℃の熱水に1000時間
浸漬後の剥離接着強度は、31.6kgf/2cmであ
った。その結果をまとめて表1に示す。
【0034】実施例4 シラングラフト変性LLDPEの代わりに、シラングラ
フト変性PP〔PP(230℃におけるMI:12g/
10分)に、ビニルトリメトキシシランと、クメンヒド
ロパーオキサイドとを用いて、シラングラフト変性した
もの、230℃におけるMI:5.5g/10分、弾性
率:16000kg/cm2 〕を用いたこと以外は、実
施例1と同様にして積層管を得た。この積層管につい
て、初期剥離接着強度及び95℃の熱水に1000時間
浸漬後の剥離接着強度を測定した。その結果、初期剥離
接着強度は、70.5kgf/2cmであり、95℃の
熱水に1000時間浸漬後の剥離接着強度は、67.3
kgf/2cmであった。その結果をまとめて表1に示
す。
【0035】実施例5 図3は、本発明を給湯用管用管継手に応用した積層管継
手を示す一部切欠正面図である。その製造工程は特に図
示しないが、鉄鋼(SS41)製ソケット型管継手の内
面に、リン酸ソーダ系配合脱脂剤により脱脂処理した
後、硝酸溶液に浸漬し酸化膜除去処理を施した。その上
に、ジブチル錫─o─フタレートの5%アセトン溶液を
スプレーにて、1cm2 当り0.5gの塗布量にて塗布
した。その塗膜を350℃に熱風を吹き付けて乾燥し、
厚さ20μmの薄層を設けた管継手を作製した。この管
継手を200℃に加熱して、粉体塗装装置に接続して、
その内部に、実施例1と同様のシラングラフト変性LL
DPEを噴射し、薄層が設けられた管継手の内面にシラ
ングラフト変性LLDPEを溶融積層して、図3に示す
如く、管継手31の内面に、薄層32を介して、シラン
グラフト変性LLDPEからなる被覆層33が設けられ
た積層管継手3を得た。この積層管継手3について、実
施例1と同様に、初期剥離接着強度及び95℃の熱水に
1000時間浸漬後の剥離接着強度を測定した。その結
果、初期剥離接着強度は、36.4kgf/2cmであ
り、95℃の熱水に1000時間浸漬後の剥離接着強度
は、33.3kgf/2cmであった。その結果をまと
めて表1に示す。
【0036】実施例6 図4は、本発明を塗膜鋼板に応用した積層鋼板の例を示
す断面図である。その製造工程は特に図示しないが、縦
横の長さがともに200mm、厚さ1.5mmの冷延鋼
板の両面を、リン酸ソーダ系配合脱脂剤により脱脂処理
した後、硝酸溶液に浸漬し酸化膜除去処理を施した。そ
の上に、ジブチル錫─o─フタレートの5%アセトン溶
液をスプレーにて、1cm2 当り0.5gの塗布量にて
塗布した。その塗膜を350℃に熱風を吹き付けて乾燥
し、厚さ20μmの薄層を設けた鋼板を作製した。この
鋼板の両面に、実施例1と同様のシラングラフト変性L
LDPEからなり、縦横の長さがともに210mm、厚
さが2.0mmの板を当てて、油圧式プレス機にて、温
度200℃、圧力100kg/cm2 で1分間加熱圧着
して、図4に示す如く、鋼板41の両面に薄層42を介
してシラングラフト変性LLDPEからなる被覆層43
が設けられた積層鋼板4を製造した。この積層鋼板4に
ついて、実施例1と同様に、初期剥離接着強度及び95
℃の熱水に1000時間浸漬後の剥離接着強度を測定し
た。その結果、初期剥離接着強度は、37.3kgf/
2cmであり、95℃の熱水に1000時間浸漬後の剥
離接着強度は、33.8kgf/2cmであった。その
結果をまとめて表1に示す。
【0037】比較例1 シブチル錫─o─フタレートの5%溶液を塗布しなかっ
たこと以外は、実施例1と同様に積層管を得て、この積
層管について、実施例1と同様に、初期剥離接着強度及
び95℃の熱水に1000時間浸漬後の剥離接着強度を
測定した。その結果、初期剥離接着強度は、17.1k
gf/2cmであり、95℃の熱水に1000時間浸漬
後の剥離接着強度は、5.3kgf/2cmであった。
積層管の端部から長手方向の5cmのところまでは、被
覆層が金属層から剥離していた。その結果をまとめて表
1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかな如く、実施例1〜4の場
合には、初期剥離接着強度及び95℃の熱水に1000
時間浸漬後の剥離接着強度が共に優れているのに対し
て、比較例の場合には、いずれも劣っており、特に、9
5℃の熱水に1000時間浸漬後被覆層は端部で完全剥
離しており、実用に供することができないものであっ
た。
【0040】
【効果】本発明の積層体は、上記の如き構成とされてい
るので、シラングラフト変性ポリオレフィンと金属体と
は化学的に結合するため、金属体面にシラングラフト変
性ポリオレフィンからなる被覆層が高い接着強度をもっ
て被覆されており、耐蝕性、耐熱水性、耐久性に優れた
ものである。
【0041】本発明の積層体の製造方法は、上記の如き
構成とされているので、薄層が設けられた金属体面にシ
ラングラフト変性ポリオレフィンを溶融被覆する時に、
シラングラフト変性ポリオレフィンと金属体面とを化学
的に結合させ、金属体面にシラングラフト変性ポリオレ
フィンからなる被覆層を高い接着強度をもって被覆せし
めることができる。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を給湯用の積層管に応用した例を示す一
部切欠正面図である。
【図2】図1の積層管の製造工程を説明する示す正面図
である。
【図3】本発明を給湯用の積層管継手に応用した例を示
す一部切欠正面図であり。
【図4】本発明を積層鋼板に応用した例を示す断面図で
ある。
【0001】
【符号の説明】
1 積層管 3 積層管継手 4 積層鋼板 11 フープ材 12,32,42 薄層 13 鋼帯板 14 鋼管 15,33,43 被覆層 21 巻出し機 22 アルカリ処理装置 23 酸処理装置23 24 スプレー 25 熱風乾燥装置 26 ロールフォーミング装置 27 溶接装置 28 押出機 29 内面被覆金型 31 管継手 41 鋼板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C08L 23:26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属体面に、一般式 【化1】 (式中、Rは炭素数1から8までのn─アルキル基であ
    る。以下、式1と略称する。)、一般式 【化2】 (式中、Rは炭素数1から8までのn─アルキル基であ
    る。以下、式2と略称する。)、又は、一般式 【化3】 (式中、Rは炭素数1から8までのn─アルキル基であ
    り、nは0から3までの整数であり、Lはモノ─或いは
    ジ─カルボン酸残基又はメルカプトカルボン酸のモノエ
    ステルである。以下、式3と略称する。)で示される少
    なくとも1種の有機錫化合物の薄層が設けられ、その上
    にシラングラフト変性ポリオレフィンからなる被覆層が
    設けられていることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 金属体面に、式1、式2又は式3で示さ
    れる少なくとも1種の有機錫化合物の溶液を塗布乾燥さ
    せて有機錫化合物の薄層を設け、その上にシラングラフ
    ト変性ポリオレフィンを溶融被覆せしめて被覆層を設け
    ることを特徴とする積層体の製造方法。
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