JP3069199B2 - プレス成形性に優れた高張力薄鋼板 - Google Patents
プレス成形性に優れた高張力薄鋼板Info
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Description
ることにより、プレス成形性を著しく向上させた高張力
薄鋼板に関するものである。
上を目的として、自動車車体用薄鋼板の高張力化が要求
されている。この自動車用高張力鋼板には、その特性と
して優れたプレス成形性が要求される。プレス成形性向
上には、鋼板の機械的特性として高い延性(伸びEl)
と高いランクフォード値(r値)が必要とされている。
しかし、一般には、鋼板の高強度化に伴い、機械的特性
は劣化することは避けられず、高強度でありながら従来
の自動車用軟鋼板レベルの機械的特性(El,r値)を
有した鋼板の開発は非常に困難な課題である。従って、
鋼板の高強度化と成形性の両立は、従来技術においては
達成不可能な課題であった。
質そのものの向上の問題として進められている。これに
対し、本発明は発想を転換して、プレス形成は鋼板自体
の変形能とともに鋼板と金型との摩擦抵抗の大きさが重
要な因子として影響をおよぼすことに着目して課題の解
決を検討した。摩擦抵抗は表面粗さ及び性状によって微
妙に変化する。これまで、表面構造を制御することによ
りプレス成形性の向上が得られた技術として軟鋼板につ
いては特公平3−54006号公報に開示されている技
術がある。
プレス成形性を改善する手法及び可能性は解明されてお
らず、これまでの高強度鋼板の表面粗度調整は軟鋼と同
様にショットプラストロールを用いた圧延による粗調整
にとどまった。
度を高度に調整することにより、優れたプレス成形性が
得られる高張力薄鋼板を提供することを目的とする。
続焼鈍によって製造されるプレス加工用薄鋼板におい
て、その引張強度TSが35〜70kgf/mm2 、降
伏強度YSが20kgf/mm2 以上であり、鋼板表面
の少なくとも片面において、十点平均粗さRz(μm)
と引張特性におけるYSが下記(1)式の関係を満足
し、かつ中心線平均粗さRa(μm)とYSが下記
(2)式の関係を満足することを特徴とするプレス成形
性に優れた高張力薄鋼板を提供するものである。
(%)として、TS×El≧1500であることによっ
てさらに本発明の効果が発揮され、好ましい。さらに、
鋼板の表面粗度パターンにおいて、下記式で示される鋼
板表面粗度の規則性を表わす規則度パラメータSが少な
くとも1方向について0.25以下であることを満たす
ことによって本発明の効果がより安定的に達成され、好
ましい。
る。高張力薄鋼板の表面粗度は、従来はショットブラス
トの番号によって大体の平均粗さを管理していたのが現
状である。しかし、従来以上のプレス成形性を達成する
ためには、細かな表面粗度構造の限定が必要であること
が判明した。
合、材料の強度レベルに応じて、鋼板の表面粗度の最適
範囲が変化することを新たに知見した。この関係を発明
者らはさらに詳細に検討した結果、YS値と表面粗度の
最適範囲の関係を見出した。さらに、表面粗度の規則的
配列の効果についても明らかにすることができた。以下
に本発明の基礎となった、新たな知見を説明する。
た鋼板表面粗度と限界絞り比(L.D.R.)の関係を
示す。図中に示したA、B、C鋼の特性を表1に示し
た。限界絞り比は、鋼板の材質、特にr値によって変化
するが、各鋼板において、表面粗度のRa,Rzに強く
依存し、鋼板表面粗度を鋼板降伏強度に応じて調整する
ことにより、プレス成形性が著しく向上することが判明
した。
究を重ねた結果、以下のように製造条件を規制すること
により、プレス成形性に優れる高張力薄鋼板の製造が可
能となることを見出した。まず、十点平均粗さRz(μ
m)は、260/YS−4≦Rz≦260/YSにす
る。鋼板表面凹凸のプレス成形時における摺動部の押し
潰れ量は、鋼板YSの上昇に伴い減少するため、プレス
成形の際に凹部に溜った潤滑油の摺動面への供給に充分
な封じ込め効果を得るに最適な初期Rz値は、鋼板のY
S上昇に伴い減少する。しかし、Rzが(260/YS
−4)より小さい場合は、凹部に溜まる潤滑油の保有量
を充分に確保することができずプレス時の摺動面が焼き
付きを起こす危険性があり、Rzが260/YSより大
きい場合は、凹部での潤滑油の封じ込め圧力が充分でな
いために、潤滑油の摺動面への供給不良に起因して潤滑
状態が悪化するためである。
2/YS+0.3≦Ra≦12/YS+1.0にする。
Raが12/YS+0.3未満になると、油の保有量が
不足し摺動時の耐型かじり性が悪化する。また、12/
YS+1.0を超えるRaになると接触摺動部の面圧が
高くなり、油膜は破壊して潤滑性が低下する。ただし、
上記鋼板は、TS×El≧1500であることが好まし
い。これは、摺動性の効果を発揮するには鋼板の変形能
が必要とされるためである。ただしTSは引張強度kg
f/mm2 、Elは伸び%とする。
を表わす規則度パラメータSが少なくとも1方向につい
て0.25以下とする。これにより、鋼板と型の摩擦係
数の変動および耐型かじり性の向上が効果的に実現され
る。なお、このような規則的な鋼板表面粗度パターンを
得るためには、スキンパスロールの表面粗度パターンも
必然的に規則的でなければならない。そのためのスキン
パスロール加工法としてはレーザダル加工法が適する
が、本発明においては鋼板表面粗度が限定範囲にあれば
同様に効果が得れらるため、特にその達成方法について
は限定しない。
明する。 〔実施例1〕CAL(連続焼鈍ライン)工程によって製
造した板厚0.7mmの各種高張力鋼板に、種々のレー
ザダル及びショットダルパターンのスキンパスロールを
用い圧下率1%で圧延することによって、鋼板の表面粗
度を制御した。供試鋼板の機械的特性および表面粗度構
造を表2に示す。
ンク径でポンチ径33mmφの円筒絞りを行い、限界絞
り比(L.D.R.)を測定した。また、ブランク径2
10mmφに加工し、200トンプレスで図3に示す形
状の円錐台成形を実施し、ボディしわ限界及び割れ限界
を求め、その間の成形可能しわ押さえ範囲ΔBHFを求
めた。その際の潤滑は通常の防錆油(粘度16.3cS
t)とした。
施例の鋼板は、同一材質にもかかわらずL.D.R.が
比較例に比べて飛躍的に優れたプレス成形性を示してい
る。 〔実施例2〕板厚0.7mmの高張力鋼板に、種々のレ
ーザダル及びショットダルパターンのスキンパスロール
を用い、圧下率1%で転写し、表3に示すような機械的
特性及び表面粗度構造を有する鋼板を作製した。実施例
1と同様にL.D.R.及びΔBHFを測定した結果を
表3に示す。同レベルの表面粗度であっても、規則的な
粗度パターンであるS≦0.25においてL.D.R.
は高く、プレス成形は著しく向上する。
度を鋼板強度に応じて調整することにより、同一材質の
鋼板においてもプレス成形性が格段に向上し、その使用
範囲が拡がるとともに、難易度の成形も可能になると、
プレス成形性に優れた高張力薄鋼板の製造が可能とな
る。
を含めた高張力薄板に適用可能である。
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 連続焼鈍によって製造されるプレス加工
用薄鋼板において、その引張強度TSが35〜70kg
f/mm2 、降伏強度YSが20kgf/mm2 以上で
あり、鋼板表面の少なくとも片面において、十点平均粗
さRz(μm)と引張特性におけるYSが下記(1)式
の関係を満足し、かつ中心線平均粗さRa(μm)とY
Sが下記(2)式の関係を満足することを特徴とするプ
レス成形性に優れた高張力薄鋼板。 260/YS−4≦Rz≦260/YS …(1) 12/YS+0.3≦Ra≦12/YS+1.0 …(2) - 【請求項2】 請求項1記載の薄鋼板において、伸びE
l(%)とし、TS×El≧1500であることを特徴
とするプレス成形性に優れた高張力薄鋼板。 - 【請求項3】 鋼板の表面粗度パターンにおいて、下記
式で示される鋼板表面粗度の規則性を表わす規則度パラ
メータSが少なくとも1方向について0.25以下であ
ることを特徴とする請求項1記載のプレス成形性に優れ
た高張力薄鋼板。 【数1】 ここで、Xi:鋼板表面凸部ピーク間距離
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4251500A JP3069199B2 (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | プレス成形性に優れた高張力薄鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP4251500A JP3069199B2 (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | プレス成形性に優れた高張力薄鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0699202A JPH0699202A (ja) | 1994-04-12 |
JP3069199B2 true JP3069199B2 (ja) | 2000-07-24 |
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ID=17223734
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4251500A Expired - Fee Related JP3069199B2 (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | プレス成形性に優れた高張力薄鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3069199B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4062961B2 (ja) | 2001-06-07 | 2008-03-19 | Jfeスチール株式会社 | 耐型かじり性および耐疲労特性に優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法 |
-
1992
- 1992-09-21 JP JP4251500A patent/JP3069199B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0699202A (ja) | 1994-04-12 |
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