JPH05337560A - 絞り成形性に優れたプレス加工用薄板 - Google Patents

絞り成形性に優れたプレス加工用薄板

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JPH05337560A
JPH05337560A JP4144398A JP14439892A JPH05337560A JP H05337560 A JPH05337560 A JP H05337560A JP 4144398 A JP4144398 A JP 4144398A JP 14439892 A JP14439892 A JP 14439892A JP H05337560 A JPH05337560 A JP H05337560A
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JP
Japan
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thin plate
formability
ppi
sliding
die
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JP4144398A
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English (en)
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Yozo Hirose
洋三 広瀬
Tadashi Sakane
正 坂根
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属板自体の材質の改変によらず、また、表面
に皮膜を形成するような表面処理法によらず、深絞り性
に優れた金属板を提供する。 【構成】絞り成形時にダイスとブランクホルダとの間を
摺動する部分(図のSの部分)の表面がその外の部分の
部分の表面に比較して粗い金属板であって、その金属板
がダル仕上げ材の場合は、S部を下記式および式の
条件を満たすように、また金属板がブライト仕上げ材の
場合は、S部を下記式および式の条件を満たすよう
にした絞り成形性に優れたプレス加工用薄板。 2 ≦ Ra (μm )≦ 10 ・・・・・ 150 ≦PPI ≦ 350 ・・・・・ 0.5 ≦ Ra (μm )≦ 2 ・・・・・ 80 ≦PPI ≦ 200 ・・・・・ 【効果】摺動部分(図のSの部分)の摩擦状態が改善さ
れ、深絞り性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プレス加工用の金属
板であって、特にプレス成形する場合の絞り成形性が著
しく良好な薄板 (ブランク) に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板から切り出した平板状の素材 (い
わゆるブランク、ここでは、このブランクを「薄板」と
記す) から各種の容器等の立体形状の製品を製造する代
表的な方法としてプレス成形方法がある。この成形過程
において、薄板はブランクホルダとダイスの間を摺動
し、さらにダイスの肩部を通過する。絞り成形の可否
は、薄板材料の特性値、例えばr値や引張り強さに大き
く影響を受けるが、この摺動時の摩擦抵抗にも大きく左
右される。
【0003】絞り成形性を向上させるために、材料特性
の向上が種々の方法で実施されているが、それでも充分
な性能をもつ材料は未だ得られていない。特に、自動車
外板パネルのように超深絞り性を要求される部位の成形
に対しては、超深絞り用冷延鋼板の適用が試みられてい
るが、全ての面で要求に応じることができるわけではな
く、また、コストの面など性能以外の面においても問題
は多い。
【0004】特に、成形が厳しく、型かじりなどが問題
になる成形部位では、型かじり対策として特殊な表面処
理を施す方法を取ったり、金型のクリアランスを加工材
に合わせて調整したり、加工材の固体潤滑処理により摺
動抵抗を減少させる等によって成形性の向上を計ってい
る。
【0005】さらに、近年、自動車の外板のように人目
に触れる場所に成形品を使用する場合には、塗装後の外
観 (写像が鮮明であることを重視し「鮮映性」と呼ばれ
る)の向上と成形性の改善を狙って、材料の表面粗度を
はじめとする表面性状を制御する技術も種々開発されて
いる (例えば、特公昭62−11922 号公報、特開昭62−15
1205号公報、同63−33591 号公報、等) 。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】金属材料の特性の改善
を目的として、その成分、結晶状態等を制御するために
は高度の製鋼技術、圧延技術、熱処理技術、等を必要と
し、製造に関する制約条件が多くなって、製造コストの
上昇が避けられない。また、表面処理は、材料の全面に
施すのは比較的容易であるが、成形に際して必要な部位
だけに所定の処理を施すのは難しい。材料の全面に表面
処理を施すと、その後の工程に不必要な表面処理皮膜が
残存することになり、その除去にも手数がかかる。表面
粗度を制御する方法も、従来は、材料の全面を対象とし
ている。例えば、前記の鮮映性には粗度が小さいことが
必要とされるのに対して、成形性にはある程度の大きさ
の粗度が望ましいのであるが、全表面を同じ粗度にする
と鮮映性と成形性を両立させるのが困難である。
【0007】本発明の目的は、金属板自体の材質(化学
組成や金属組織)の改変によらず、また、表面に皮膜を
形成するような表面処理法によらず、表面の大部分を本
来の状態に保ったままで、深絞り加工性に優れた金属板
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の基本的な着眼点
は、深絞り加工において必要な部分だけを成形性に望ま
しい粗度とし、残りの部分は外観等の面から要求される
粗度のままにしておくというところにある。
【0009】本発明は、下記(1) および(2) の薄板をそ
の要旨とする。
【0010】(1) 絞り成形時にダイスとブランクホルダ
との間を摺動する部分の表面がその他の部分の表面に比
較して粗い金属板であって、その金属板がダル仕上げ材
であり、上記成形時にダイスとブランクホルダとの間を
摺動する部分が下記式および式の条件を満たす絞り
成形性に優れたプレス加工用薄板。
【0011】2 ≦ Ra (μm )≦ 10 ・・・・・ 150 ≦PPI ≦ 350 ・・・・・ (2) 絞り成形時にダイスとブランクホルダとの間を摺動
する部分の表面がその他の部分の表面に比較して粗い金
属板であって、その金属板がブライト仕上げ材であり、
上記成形時にダイスとブランクホルダとの間を摺動する
部分が下記式および式の条件を満たす絞り成形性に
優れたプレス加工用薄板。
【0012】0.5 ≦ Ra (μm )≦ 2 ・・・・・ 80 ≦PPI ≦ 200 ・・・・・ 本発明において、薄板とは、鋼(ステンレス鋼を含
む)、アルミニウム等の金属板であって、プレス加工に
供するために所定の寸法に切り出された比較的薄い平板
(ブランク)を意味する。また、ダイスとブランクホル
ダとの間を摺動する部分とは、後述する図1および図3
に示すSの部分(表面粗度調整部分)である。以下、こ
の部分を単に「摺動部分」と記す。
【0013】PPI とは、SAE 規格にある Peak Count pe
r Inch (1インチ当たりの山頂数、ただし、抽出曲線の
平均線からの高さ 0.5μm をしきい値とする) である。
【0014】上記の(1) の発明において「ダル仕上げ
材」というのは、自動車の車体外板等に使用される冷延
鋼板のようなもので、その表面粗度は一般に下記およ
びの式で表される範囲である。
【0015】0.5 < Ra (μm )< 2 ・・・・・ 80 <PPI < 150 ・・・・・ これに対して(2) の発明の「ブライト仕上げ材」という
のは、厨房製品等に使用されるステンレス鋼板のよう
に、特に光沢が良いことを必要とされるもので、その表
面粗度は一般的に下記およびの式で表される。
【0016】0 < Ra (μm )< 0.5 ・・・・・ 0 <PPI < 80 ・・・・・ 要するに本発明では、ダル仕上げ材の場合にもブライト
仕上げ材の場合も、摺動部分だけを他の部分よりもRaを
大きくし、かつPPI を増やした状態にするのである。
【0017】上記のように摺動部分だけの表面粗度を局
部的に調整する方法としては、例えば、コイニング、エ
ンボス加工等により該当する表面部分 (後のプレス加工
の際に摺動部分となる表面) に所定の粗度を付与する方
法があり、これは、コイル状の金属板から薄板を製造す
る工程の前に行うか、または、コイルから薄板を打ち抜
くと同時に実施することができる。さらに、コイルから
所定形状の薄板を打ち抜いた後、上記のような加工法に
より該当する表面に所定の粗度を局部的に付与してもよ
い。コイニング、エンボス加工に変えてショットブラス
トやレーザー加工等の表面粗度調整方法を採用すること
もできる。
【0018】
【作用】一般に、プレス工程、特に深絞り成形過程にお
いて、成形性に影響するのは前述のように主としてダイ
スとブランクホルダの間を摺動する部位 (摺動部分) で
ある。すなわち、成形において、ポンチ底に当たる部分
はほとんど変形を受けず、また、摺動を受けることもな
い。しかし、材料の成形性 (例えばr値)を局部的に変
えることは実際上きわめて困難である。
【0019】本発明は、薄板(ブランク)を製作する際
に、厳しい摺動を受ける箇所を他の部分よりも粗い表面
状態にすることにより、局部的に材料の摺動特性を変化
させ、薄板の材料特性によらず、絞り成形性を向上させ
たものである。以下、前記のように粗度の範囲を特定し
た理由を説明する。
【0020】(1) の発明の薄板について これは、通常ショットダルと呼ばれる鋼板、あるいはア
ルミニウム等の薄板である。その表面粗度(Ra)は、通
常 0.5〜2μm であり、PPI は80〜150 である。ダル仕
上げの薄板は、一般に摺動部の工具との接触面積が小さ
いことと、潤滑油の保持性 (保油性) がよいために摺動
抵抗が小さく成形性は比較的良好である。また、製造時
のロール摩耗が少なく、大量生産にも適している。本発
明(1) の薄板は、実質的に摺動部分だけを前記のおよ
びの式を満足する表面状態として、その成形性を一層
高めたものである。
【0021】式に示すように Ra を2μm 以上とする
のは、ダル仕上げの金属板は、一般に表面のRaが2μm
程度までであるから、これよりも大きな粗度にするため
である。式に示すように、PPI を150 以上とするのも
同じ理由からである。これによって、プレス成形時の潤
滑油の表面保持能力が大きくなり、深絞り性が大きく向
上する。但し、摺動部分の Ra が10μm を超えると摩擦
係数が大きくなって深絞り加工の際に型かじりや薄板
(ブランク) の破断が生じやすくなる。またPPIが 350を
超える範囲になると、加工部の微細な山が摺動により変
形しやすくなり表面粗さの維持ができず保油能力が落ち
て焼付が発生し、やはり深絞り加工の際に薄板が破断し
やすい。
【0022】(2) の発明の薄板について これは、いわゆるブライト仕上げの金属板であり、その
表面は前掲のおよびの式に示すように、凹凸が極め
て微細でその数も少ない。このような金属板は潤滑油の
保持能力が小さいために、わずかな摺動でも焼付が生じ
深絞り加工は困難である。しかしながら、前記および
式に規定するように、摺動部のRaおよびPPI をその他
の部分よりも大きくすることによって保油能力を高め、
深絞り性を向上させることができる。式および式の
下限値は、摺動部分の粗度を他の部分よりも大きくする
必要から定めたものである。一方、摺動部分の粗度とそ
の他の部分 (ブライト面) の粗度との差が余りに大きく
なると、成形加工の際に粗度の大きい部分に過度に応力
が集中し、破断するおそれがある。式および式の上
限値は、このような理由で決定した。
【0023】
【実施例1】表1に示す機械的性質および表面粗度を持
つ薄板(ダル仕上げ材)を図1(A)に示す形状に打ち抜
いて試験片とした。この試験片の摺動部分Sをコイニン
グにより表2のNo.1〜6 のように種々の粗度に調整した
(図1(B) 参照) 。
【0024】これらの試験片を用いて、図2に示すよう
なハット曲げ成形を行い、成形荷重を測定した。結果を
図5に示す。成形条件は、しわ押さえ圧(図のP)を1.
0 ×104 Nとし、潤滑は粘度 15cSt (40℃) の通常の鋼
板防錆油を2.0g/m2 塗布して行った。図2において、1
が試験片、2がダイス、3がポンチ、4が板押えであ
る。各部のサイズは図示のとおりである。
【0025】図5に示すとおり、摺動部分を前記式お
よび式を満足する粗度に調整したNo.1〜3 の試験片で
は、未処理材 (図1(A) の試験片) よりも成形荷重が小
さくなっている。即ち、本発明の条件で表面粗度を調整
したものは、母材の特性値が同一でも成形荷重が低減
し、成形能が向上している。一方、試験No.4〜6 は、Ra
または PPIのいずれかが下限値を外れるもの、あるいは
RaとPPI の両方が上限値を外れるものであり、本発明例
のNo.1〜3と比較した場合はもとより、未処理材と比較
しても高い成形荷重になっている。
【0026】同じ表1の薄板から図3(A) に示す試験片
を打ち抜き、同(B) に示すように摺動部分Sの表面粗度
をコイニングにより表2に示したように調整した。
【0027】これらの試験片を用いて図4に示すような
角筒深絞り成形を行い、角筒成形高さを測定した。結果
を図6に示す。角筒成形高さとは、破断等がなく成形で
きる限界の高さである。
【0028】成形は、しわ押さえ圧 (P) を10.0×104
Nとし、潤滑は粘度が100 cSt(30℃) のプレス工作油を
刷毛塗りして行った。
【0029】図6に示すとおり、本発明の表面粗度を調
整した板 (No.1〜3)では、母材の特性値が同一でも破断
等の成形不良がなく、必要な成形高さが得られている。
一方、比較例 (No.4〜6)では未処理材より低い成形高さ
しか得られていない。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【実施例2】表3に示す機械的性質と表面粗度を持つオ
ーステナイトステンレス鋼(SUS 304 )のブライト仕上
げ材から実施例1と同じく図1および図3に示した形状
の試験片を作製した。摺動部Sの粗度は表4のように2
種類に調整した。これらを使用して、実施例1と同じ条
件でハット曲げ成形と角筒深絞り成形を行った。その結
果を表5に示す。
【0033】No.1の本発明例では、未処理材に較べてハ
ット成形時の成形荷重が小さく、角筒深絞りにおいては
高い限界高さが得られている。No.2の比較例では、摺動
部の表面粗度が大きすぎて局部面圧が高くなったため焼
付が生じ、成形性が低下している。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【発明の効果】本発明の薄板は、材質の改変を行わず、
摺動部の粗度だけを調整することで深絞り性が大きく改
善されたものである。従って、製造は比較的簡単であ
り、製造コストも嵩まない。この薄板は、従来の同じ材
質の金属板では成形できないような部品用の材料として
も使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において用いたハット曲げ成形用の試験
片形状を示す図である。
【図2】ハット曲げ成形試験方法を示す図である。
【図3】実施例において用いた角筒成形用の試験片形状
を示す図である。
【図4】角筒成形試験方法を示す図である。
【図5】ハット成形試験における成形荷重を示す図であ
る。
【図6】角筒成形試験における成形高さを示す図であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絞り成形時にダイスとブランクホルダとの
    間を摺動する部分の表面がその他の部分の表面に比較し
    て粗い金属板であって、その金属板がダル仕上げ材であ
    り、上記のダイスとブランクホルダとの間を摺動する部
    分が下記式および式の条件を満たす絞り成形性に優
    れたプレス加工用薄板。 2 ≦ Ra (μm )≦ 10 ・・・・・ 150 ≦PPI ≦ 350 ・・・・・
  2. 【請求項2】絞り成形時にダイスとブランクホルダとの
    間を摺動する部分の表面がその他の部分の表面に比較し
    て粗い金属板であって、その金属板がブライト仕上げ材
    であり、上記のダイスとブランクホルダとの間を摺動す
    る部分が下記式および式の条件を満たす絞り成形性
    に優れたプレス加工用薄板。 0.5 ≦ Ra (μm )≦ 2 ・・・・・ 80 ≦PPI ≦ 200 ・・・・・
JP4144398A 1992-06-04 1992-06-04 絞り成形性に優れたプレス加工用薄板 Pending JPH05337560A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100452881B1 (ko) * 2002-06-17 2004-10-14 박성범 금속박판 프레스 성형방법
CN104923605A (zh) * 2014-03-20 2015-09-23 富士重工业株式会社 热压深拉成型方法以及装置
JP2020127959A (ja) * 2019-02-08 2020-08-27 盛岡セイコー工業株式会社 板金部品、板金部品の製造方法及び順送金型

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100452881B1 (ko) * 2002-06-17 2004-10-14 박성범 금속박판 프레스 성형방법
CN104923605A (zh) * 2014-03-20 2015-09-23 富士重工业株式会社 热压深拉成型方法以及装置
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