JP2692604B2 - プレス成形性に優れた鋼板 - Google Patents

プレス成形性に優れた鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に個々の面積、深
さ、容積の特定された無数の凹部を均一に分布して形成
することにより、プレス成形性を高めた鋼板に関し、こ
の鋼板は、自動車用や家庭用電気製品用の外板材あるい
は建築材料等として極めて有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用外板材等として使用され
る鋼板は、燃費や排ガスの低減などを目的とする軽量化
の社会的要請に加えて、素材のコストダウンや部品数の
削減、製造及び予備処理工程の簡略化等を期して様々の
改良研究が進められている。こうした研究の一環とし
て、鋼板の薄肉化による車体の軽量化および部品数削減
による成形・組立の簡素化等の要望が高まるにつれて、
素材には一層優れた加工性が求められる様になってお
り、軟鋼板では伸びとランクフォード値(r値)を如何
に高めるか、また高張力鋼板では高張力と伸びを如何に
両立させるか、という点が今後の大きな課題となってき
ている。
【0003】ところでプレス成形加工においては、素材
自体の成形加工性の他、成形加工時における鋼板表面の
潤滑が極めて重要であり、成形加工用の鋼板では、通常
プレス加工性を高めるためにその表面をダル仕上げ処理
される。これは、鋼板表面に無数の凹部を形成して該凹
部内に潤滑油を溜め、プレス成形時における金型と鋼板
の間の摩擦を低減すると共に焼付きを防止するためであ
る。この方法として一般的に採用されているのは、鋼板
の表面粗度を最終的に調整するための調質圧延工程で、
表面をショットブラスト、放電加工、レーザー処理など
によりダル仕上げした圧延ロールを使用し、該ロール表
面の凹凸を鋼板表面に転写する方法である。
【0004】中でも、レーザー光線等の高密度エネルギ
ー照射により表面をダル仕上げしたロールを用いて調質
圧延する方法は、鋼板表面に転写される凹凸パターンの
制御が容易で安定したプレス成形性が得られ易く、且つ
塗装鮮映性の良好な規則的な凹凸が形成されるところか
ら極めて有効な方法とされており、その改善法について
も様々検討されている。
【0005】例えば特開昭62−168602号や同6
2−230402号公報には、調質圧延ロールの表面に
レーザー加工でダル仕上げを行なうに当たり、該仕上げ
処理により与えられる表面凹凸のパターンを制御するこ
とによりプレス成形性と塗装後鮮映性に優れた鋼板が得
られることを開示している。また特開昭63−1216
36号や同64−2705号公報には、表面凹凸パター
ンと表面平均粗さを適性に制御することにより、更に特
開昭63−303011号や特開平2−179302号
公報には、凹部の面積と平均深さおよび凹凸部パターン
を適性に制御することにより、プレス成形性と鮮映性の
優れた鋼板を製造できることが明らかにされている。
【0006】しかしながら、上記の様に鋼板の薄肉化や
一体成形化により加工条件がますます厳しくなってくる
につれて、上記の様な従来のダル仕上げ加工法では満足
な結果が得られなくなってきている。即ち、軟鋼板をプ
レス成形により深絞り加工する際には、プレス金型と鋼
板の間に大きな面圧が作用し、且つその面圧により鋼板
表面の凹凸が潰されて潤滑油が残存し得なくなり、摩擦
抵抗の増大による深絞り性の低下、ネッキング、焼付き
による型かじりの発生等が避けられず、また高張力鋼板
のプレス成形に当たっては、高張力化による材料伸びの
減少が避けられないので、加工性の向上は期待できな
い。
【0007】そこで、加工性を高めるには潤滑性能の向
上が必要となるが、潤滑油を高粘度化することにより潤
滑性を高める方法では、後工程での洗浄性の低下が大き
な問題となり、また潤滑剤の多量塗布は、潤滑剤を無駄
に消費するばかりでなく後工程での洗浄効率にも悪影響
が現われてくる。鋼板のプレス成形に当たっては、プレ
ス成形工程で鋼板表面に保持できる潤滑剤量がプレス成
形性に深く関与してくると思われるが、前述の如く従来
のダル仕上げロールを用いて圧延した鋼板では、鋼板表
面に形成される凹部の面積や深さ、凹凸パターンが規定
されているだけであって、潤滑油溜りとして重要な要件
になると考えられる凹部の容積についてまでも厳密に規
定するという考え方はなく、そのため油溜りとしての機
能にばらつきが生じ、ひいては安定したプレス成形性が
得られていないのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の様に従来のプレ
ス成形用鋼板では、ダル仕上げによって形成される凹部
の特に容積について適性な制御がなされておらず、その
ため油溜りとしての機能が不十分となって潤滑油の過不
足が生じ、潤滑油切れによる摩擦抵抗の増大、深絞り性
の低下、ネッキングや焼付きによる型かじりの発生とい
った成形不良が発生するという問題がしばしば経験され
る。本発明はこの様な従来技術の欠点に着目してなされ
たものであって、その目的は、潤滑油を用いてプレス成
形を行なうに当たり、金型と被加工鋼板との間に存在す
る潤滑油に過不足を生じることなく、安定して優れたプ
レス成形性を発揮し得る様な仕上げ鋼板を提供しようと
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係るプレス成形性に優れた鋼板の構成
は、表面に凹部が均一に分布して形成され、該凹部1個
当たりの形状が、その平面視の面積をS(μm2 )、容
積をV(μm3 )、深さをh(μm)としたとき、それ
らが下記の関係を満たすと共に、該凹部平面視の総面積
をΣS(mm2)、鋼板の表面積をTS(mm2 )とし
たとき、それらが下記の関係を満足するものであるとこ
ろに要旨を有するものである。 8000≦S≦16000 V≧1.4μm×S 6<S1/2 /h<17 0.12×TS≦ΣS≦0.30×TS
【0010】
【作用】上記の様に本発明では、表面に無数の凹部を形
成して該凹部を潤滑油溜りとして活用し、それによりプ
レス成形性を高めるプレス成形用表面粗面化処理鋼板に
おいて、該鋼板表面に形成される凹部個々の面積、容
積、深さの各々並びにそれらの関係を規定すると共に、
平面視での該凹部の総面積率を規定することにより、安
定して優れたプレス成形性が得られる様にしたものであ
り、それら各構成要件を定めた理由を詳述すると次の通
りである。
【0011】まず、鋼板表面に形成される凹部の1個当
たりの平面視での面積S(以下、単に面積という)は、
夫々8000μm2 以上としなければならない。しかし
て該凹部の面積が8000μm2 未満では、プレス加工
に当たり塗布される潤滑油の保持性が十分でなく、且つ
プレス加工工程で金型との接触面における潤滑油溜りが
面積不足となって満足なプレス成形性が得られなくな
る。こうしたプレス成形性改善効果は、該凹部個々の面
積が16000μm2 程度で飽和し、それ以上に面積を
増大してもそれ以上にプレス成形性が改善されるわけで
はなく、潤滑油消費量の無駄が生じるばかりでなく、プ
レス成形の後で製品表面に塗布される防錆油量も必要以
上に多くなって不経済であり、更にはプレス成形後にお
ける潤滑油の除去効率を低下させるといった弊害が生じ
てくる。こうした観点から該凹凸部のより好ましい面積
は8500〜15000μm2 、更に好ましくは900
0〜14500μm2 の範囲である。尚、該凹部の形状
には格別の制限はなく、リング状、円形状、半円形状、
多角形状等如何なる形状のものであっても構わない。
【0012】ところで、鋼板表面に凹部を形成する方法
として一般的に採用されているのは、前述の如くダル仕
上げ加工により表面に無数の凸部を形成した圧延ロール
を使用してこれを鋼板表面に転写し、ロール表面の凸部
に対応する凹部を鋼板表面に形成する方法である。ここ
でロール表面に凸部を形成する方法としては、レーザー
パルス等の高密度エネルギーをロール表面に照射し、ロ
ール表面の金属を瞬間的に溶融させてその周辺側に盛り
上がり部を形成すると共に冷却凝固させる方法が一般的
に採用されている。そして、この様な方法により形成さ
れる凸部の形状によって、鋼板表面に転写される凹部の
形状が決まってくるのであるが、上記の様に高密度エネ
ルギー照射により溶融し盛上がった状態で冷却凝固して
形成される凸部の上面は平坦ではなく、また溶融金属は
照射中心から全方向に均一に盛り上がるわけではないの
で、該凸部の高さや形状は、高密度エネルギー照射時に
おける溶融金属の盛上がり方向によって著しく変わり、
均一な高さと形状の凸部が形成されるとは限らない。そ
の結果、該凸部の転写によって鋼板表面に形成される凹
部の深さや形状も不均一なものとなり、それに伴って、
該凹部の潤滑油保持量は変わってくる。
【0013】従って、より好適な潤滑油保持量を確保す
るには、該凹部の面積や深さを規定しただけでは不十分
であり、油溜り部としての機能をより確実に発揮させる
には、凹部個々の容積を適性に制御することが必要とな
る。こうした観点から本発明では、凹部個々の容積を規
定するものであるが、より確実に優れた潤滑性能を確保
するための要件として、該容積V(μm3 )を、上記面
積Sに対して1.4倍以上、即ち、(8000〜160
00)×1.4μm(μm3 )以上とすると共に、該面
積Sと深さhの関係が[6<S1/2 /h<17]の関係
を満足する様に、容積V、面積S、深さhの関係を規定
している。
【0014】これらの設定根拠については、後述する実
施例および図面によって明確にするが、容積Vが「面積
S×1.4μm」未満の値では、凹部が深さ不足となっ
て潤滑油溜りとしての機能が十分に発揮できなくなり、
満足なプレス成形性が得られなくなる。また、「6<S
1/2 /h<17」は、面積Sの平方根に対する好ましい
深さhの範囲を示すものであり、S1/2 /hの値が17
を超えると、面積Sに対して深さhが不足するため潤滑
油保持容量が不十分となり、プレス成形金型と鋼板の間
に大きな面圧が作用したときに安定した潤滑効果が発揮
されず、満足なプレス形成性が得られ難くなる他、プレ
ス成形が完了しないうちに凹部が潰れてしまい、摩擦抵
抗の増大による深絞り性の低下、ネッキング、焼付きに
よる型かじりの発生など、潤滑油不足による成形不良の
原因になる。尚、S1/2 /hの値が小さくなるにつれて
凹部の容積は相対的に大きくなり、潤滑油保持量の増大
によって安定したプレス成形性が得られる様になるが、
この値が6未満になると、潤滑面積に対する潤滑油保持
量が不必要に過大となり、潤滑油、更にはプレス成形後
に塗布される防錆油の無駄な消費を招くことになる。
【0015】ちなみに図1(A)〜(C)は、鋼板表面
に形成される凹部の形状を模式的に示した断面説明図で
あり、図1(A)は本発明の規定要件を満足する適正な
深さ(h)、面積(S)および容積(V)を有する凹部
を示しており、プレス成形工程で過不足のない潤滑油保
持量を確保することのできる凹部が形成されている。こ
れに対し図1(B)では、平面視の面積(S)は本発明
の規定要件を満足しているが、深さ(h)が不足で結果
的に容積(V)が不十分となり、本発明で規定する「V
≧1.4μm×S」の要件を外れるものであり、満足の
いく潤滑油保持量が確保できなくなる。また図1(C)
では、逆に深さ(h)が深過ぎて結果的に容積(V)が
過度に大きくなり、潤滑油過剰による問題が生じてく
る。これらの図示例からも明らかである様に、平面視に
おける面積(S)が「8000〜16000μm2 」と
いう好適範囲を満足するものであっても、凹部の深さ
(h)によって凸部の潤滑油保持量は著しく変わり、本
発明の目的を達成するには、例えば図1(A)に示す様
に、個々の凹部が「8000≦S≦16000」という
要件に加えて「「V≧1.4μm×S」および「6<S
1/2 /h<17]の要件を同時に満足するものでなけれ
ばならないことが分かる。
【0016】尚上記では、凹部個々の面積、深さ、容積
を規定したが、鋼板全域に渡って優れたプレス成形性を
確保するには、上記要件を満たす凹部が鋼板の全面に万
偏なく均一に分布して形成されていることが必要であ
り、更に、個々の凹部に溜められた潤滑油をその周辺の
平面部にまで行きわたらせて全面潤滑を可能にするに
は、凹部個々の面積Sの総和(即ちΣS)が鋼板の表面
積TSに対して12%以上を占める(即ち、0.12×
TS≦ΣS)様に調整することが必要となる。しかして
ΣSがTSに対して12%に満たないものでは、凹部全
体の潤滑油保持量が不十分となり、プレス加工の途中で
油切れを起こして焼付きや型かじり等の問題が生じてく
る。尚ΣSの上限は特に規定しないが、ΣSが大きくな
り過ぎると、凹部同士の間の平行部の面積が過度に小さ
くなって該平行部が加工時の面圧により潰される現象が
生じ、プレス成型工程で凹部の容積縮小が起こって潤滑
不足を起こす原因になることがあるので、こうした現象
を生じさせないためには、ΣSをTSに対して30%程
度以下(即ち、ΣS≦0.30×TS)に止めるべきで
ある。ΣSのTSに対するより好ましい範囲は15〜2
7%(即ち、0.15×TS≦ΣS≦0.27×TS)
の範囲である。
【0017】上記の様に本発明では、鋼板表面で潤滑油
溜りを構成する凹部個々の面積、深さおよび容積を規定
すると共に、鋼板表面積に対する該凹部の総面積を規定
することにより、潤滑油切れによる摩擦抵抗の増大、深
絞り性の低下、ネッキングや焼付きによる型かじりの発
生といった成形不良を生じることのない、優れたプレス
成形性を備えた鋼板を得ることに成功したものである。
【0018】尚、上記の様な要件を満たす鋼板の製法は
特に限定されないが、形状・構造の均一な凹部を鋼板表
面全域に万偏なく均一に形成するうえで特に好ましいの
は、レーザーや電子ビーム等の高密度エネルギービーム
をパルス状で規則的に照射することにより表面に規則的
な凹凸を形成した圧延ロールを用いて鋼板を調質圧延
し、該ロール表面の凹凸を鋼板表面に転写させる方法で
あり、このとき、ロール表面に形成する凹凸の形状・構
造を適性に調整することにより、転写される鋼板表面の
凹部を希望通りにコントロールすることができる。
【0019】また本発明は、上記の様に潤滑油溜りを構
成する表面の凹部を規定したところに要旨を有するもの
であるから、鋼板の素材そのものには一切制限がなく、
最も一般的な冷延鋼板はもとより、熱延鋼板あるいはこ
れらにめっき等の表面処理を施した様々の表面処理鋼板
にも同様に適用することができる。
【0020】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はもと
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。
【0021】実施例 レーザーパルス法により表面に様々の凹凸を形成した圧
延ロールを用いて冷延鋼板(SPCD材)の調質圧延を
行ない、表面に凹部を転写することにより、表面に面
積、高さ、容積の異なる種々の凹部を有する鋼板を製造
した。得られた各鋼板を使用し、プレス成形時の摺動特
性を比較するため成形荷重を調べると共に、ネッキング
の有無を調べた。
【0022】尚成形荷重の測定は、幅40mm、長さ2
50mm、厚さ0.8mmの冷延鋼板1にプレス用潤滑
油(パーカー社製「ノックスラスト530」)約5g/
2を塗布し、これを図2に示す様なビード付きダイス
2にしわ押え3を用いてセットし、しわ押え圧400k
gf/cm2 の下でポンチ4を押し上げて高さ65mm
になるまで絞りあげ、このときの成形荷重とネッキング
発生の有無を調べた。
【0023】表1は、各調質圧延鋼板について凹部の寸
法形状をレーザー顕微鏡を用いて詳細に調べると共に、
夫々の鋼板を用いて上記試験を行なったときの成形荷重
とネッキングの有無を調べた結果を示したものである。
【0024】
【表1】
【0025】表1からも明らかである様に、本発明の規
定要件を全て満足する凹部が表面に形成された鋼板は、
成形荷重が何れも1700kgf以下の低い値を示し、
潤滑性が良好でネッキングの発生も見られず、優れたプ
レス成形性を有しているのに対し、本発明の規定要件の
何れかを欠く比較例では、潤滑不足により成形荷重が1
700kgfを超えており、明らかにネッキングの発生
が認められる。
【0026】尚図3は、表1の実験結果から鋼板表面の
凹部の「面積S×深さh」と成形荷重の関係を、また図
4は、同凹部の容積Vと成形荷重の関係を夫々プロット
したものであり、図3,4からも明らかである様に、成
形荷重が1700kgfを超えると、潤滑不足によるネ
ッキングが明らかに認められる。また、図3に示す凹部
の「面積S×深さh」と成形荷重の関係を見ると、両者
の間には格別の相関関係は認められず、凹部の「面積S
×深さh」の値から成形荷重の大小、即ち潤滑性の良否
を判断することはできないことが分かる。これに対し図
4によると、凹部の容積Vと成形荷重の間にはほぼ1次
直線的な関係が認められ、該容積Vを13,000μm
2 程度以上にすると成形荷重は1700kgf程度以下
に抑えられ、ネッキングの発生もなくなることを確認で
きる。
【0027】また図5は、凹部の容積Vと面積Sの双方
がネッキングの発生とどの様な関係を有しているかを整
理して示したグラフであり、このグラフからは、凹部の
面積Sを8000μm2 以上とし、且つ容積Vを「1.
4μm×面積S以上」とすることにより、ネッキングを
生じることなく良好なプレス成形性を確保できることが
分かる。
【0028】更に図6は、凹部の深さhと面積Sを種々
変えた鋼板について、「S1/2 /h」と成形荷重および
ネッキング発生の有無との関係を整理して示したグラフ
であり、このグラフからも明らかである様に、成形荷重
と「S1/2 /h」の間には明らかな相関関係が認めら
れ、「S1/2 /h」が17未満であるものは成形荷重が
1700kgf以下の低い値に抑えられ、ネッキング等
を起こすことなく円滑にプレス成形できることが分か
る。
【0029】また図7は、鋼板の表面積TSに対する凹
部面積の総和(ΣS)の比率と成形荷重およびネッキン
グ発生の有無との関係を示したグラフであり、「0.1
2×TS≦ΣS」となる様に凹部の総表面積を調整すれ
ば、優れた潤滑性が確実に得られることが分かる。また
このグラフからも分かる様に、成形荷重が最も低く優れ
たプレス成形性が得られるのは、ΣSがTSに対して1
2〜30%の範囲、即ち「0.12×TS≦ΣS≦0.
30×TS」の範囲であることを確認できる。また図8
は、前記表1に示した実験No.のうち代表的なものの
凹部形状を示すレーザー顕微鏡プロフィルであり、
(A)は実験No.7,(B)は実験No.8,(C)
は実験No.1の凹部を示している。
【0030】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、鋼
板表面に形成される凹部個々の面積、深さに加えて容積
等の関係を規定し、更には該凹部の総面積率を特定する
ことによって、該凹部の潤滑油溜り部としての機能を過
不足なく効果的に発揮せしめ、ネッキングなど潤滑不足
による欠陥を生じることなく低い成形荷重で円滑にプレ
ス成形することのできる鋼材を提供し得ることになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板表面に形成される凹部の形状・寸法を例示
する断面説明図である。
【図2】プレス成形性を調べるために行なった成形荷重
の測定法を示す要部断面説明図である。
【図3】鋼板表面に形成された凹部の面積×深さと成形
荷重の関係を示すグラフである。
【図4】鋼板表面に形成された凹部の容積と成形荷重の
関係を示すグラフである。
【図5】鋼板表面に形成された凹部の容積および面積が
ネッキングの発生に与える影響を示すグラフである。
【図6】鋼板表面に形成された凹部における「S1/2
h」と成形荷重およびネッキング発生の有無との関係を
示すグラフである。
【図7】鋼板の表面積に対する凹部の総面積の比率と成
形荷重の関係を示すグラフである。
【図8】実施例および比較例で得た凹部の形状を示すレ
ーザー顕微鏡観察結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 供試鋼板 2 ダイス 3 しわ押え 4 ポンチ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凹部が均一に分布して形成され、
    該凹部1個当たりの形状が、その平面視の面積をS(μ
    2 )、容積をV(μm3 )、深さをh(μm)とした
    とき、それらが下記の関係を満たすと共に、該凹部平面
    視の総面積をΣS(mm2 )、鋼板の表面積をTS(m
    2 )としたとき、それらが下記の関係を満足するもの
    であることを特徴とするプレス成形性に優れた鋼板。 8000≦S≦16000 V≧1.4μm×S 6<S1/2 /h<17 0.12×TS≦ΣS≦0.30×TS
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