JPH05192701A - 耐型かじり性の優れた金属薄板及びその製造に用いる圧延ロール - Google Patents
耐型かじり性の優れた金属薄板及びその製造に用いる圧延ロールInfo
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- JPH05192701A JPH05192701A JP26014892A JP26014892A JPH05192701A JP H05192701 A JPH05192701 A JP H05192701A JP 26014892 A JP26014892 A JP 26014892A JP 26014892 A JP26014892 A JP 26014892A JP H05192701 A JPH05192701 A JP H05192701A
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Abstract
(57)【要約】
【目 的】 金属薄板表面の任意の方向において、型か
じりの生じやすい方向が存在しない粗面を有する金属薄
板及びその製造に用いる圧延ロールのを提供する。 【構 成】 金属板表面の粗面の微視的形態が、独立し
た池状の凹部５とそれを取り囲む平坦部６から構成さ
れ、表面の任意の方向から見た直線上に必ず凹部５を存
在させた金属薄板である。また、この金属薄板に表面粗
さを付与するための圧延ロールのダル加工に、エッチン
グ加工を用いる。
じりの生じやすい方向が存在しない粗面を有する金属薄
板及びその製造に用いる圧延ロールのを提供する。 【構 成】 金属板表面の粗面の微視的形態が、独立し
た池状の凹部５とそれを取り囲む平坦部６から構成さ
れ、表面の任意の方向から見た直線上に必ず凹部５を存
在させた金属薄板である。また、この金属薄板に表面粗
さを付与するための圧延ロールのダル加工に、エッチン
グ加工を用いる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用外板、家電製
品外板等に使用される鋼板、表面処理鋼板、アルミ合金
板、その他の金属薄板であって、プレス加工等の成形加
工時に型かじりを起こしにくい金属薄板及びその製造に
用いる圧延ロールのに関するものである。
品外板等に使用される鋼板、表面処理鋼板、アルミ合金
板、その他の金属薄板であって、プレス加工等の成形加
工時に型かじりを起こしにくい金属薄板及びその製造に
用いる圧延ロールのに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】前述のような用途に使用される金属板
は、プレス加工時に生じる型かじりを防止するために、
ダル仕上げロールで調質圧延して表面粗さを調整してい
る。型かじりとは、プレス成形において金型と被加工材
料との摺動部に発生する表面損傷のうち、特に金型への
被加工材料の焼付き（凝着）を伴ったむしれ状の損傷の
ことである。型かじりは金型の研磨補修を必要とするた
め、プレス生産性の低下、金型のメンテナンス費用の増
大などをもたらすことはもちろんのこと、成形品の表面
傷やプレス成形時の破断の原因となる。
は、プレス加工時に生じる型かじりを防止するために、
ダル仕上げロールで調質圧延して表面粗さを調整してい
る。型かじりとは、プレス成形において金型と被加工材
料との摺動部に発生する表面損傷のうち、特に金型への
被加工材料の焼付き（凝着）を伴ったむしれ状の損傷の
ことである。型かじりは金型の研磨補修を必要とするた
め、プレス生産性の低下、金型のメンテナンス費用の増
大などをもたらすことはもちろんのこと、成形品の表面
傷やプレス成形時の破断の原因となる。
【０００３】ダル圧延された金属板の表面には、微細な
凹凸が形成され、これにより、プレス加工時の潤滑油の
保持性をよくして油膜切れを起こりにくくし、また、加
工時に生じた摩耗粉を捕捉してこの堆積を防止する。従
来、ロール面のダル仕上げには、ショットブラスト加
工、放電加工が用いられているが、これらの加工法で形
成された凹凸は不規則であるために、上述したような効
果は金属板表面全体で不均一である。
凹凸が形成され、これにより、プレス加工時の潤滑油の
保持性をよくして油膜切れを起こりにくくし、また、加
工時に生じた摩耗粉を捕捉してこの堆積を防止する。従
来、ロール面のダル仕上げには、ショットブラスト加
工、放電加工が用いられているが、これらの加工法で形
成された凹凸は不規則であるために、上述したような効
果は金属板表面全体で不均一である。
【０００４】これに対し、例えば特開昭62−168602号公
報に開示されているように、高エネルギ密度のビーム、
例えばレーザビームをロール表面に照射して、規則的な
凹凸パターンを形成させる方法がある。このロールで圧
延された鋼板表面はリング状もしくはその一部から成る
深い凹部と、その内部に構成された比較的低い台地部
と、凹部周囲の平坦部とに分けられ、凹部は規則的に配
列され型かじり防止の役割を果たす。このような表面を
レーザダルと呼んでいる。
報に開示されているように、高エネルギ密度のビーム、
例えばレーザビームをロール表面に照射して、規則的な
凹凸パターンを形成させる方法がある。このロールで圧
延された鋼板表面はリング状もしくはその一部から成る
深い凹部と、その内部に構成された比較的低い台地部
と、凹部周囲の平坦部とに分けられ、凹部は規則的に配
列され型かじり防止の役割を果たす。このような表面を
レーザダルと呼んでいる。
【０００５】ところが、レーザダル鋼板では、凹凸部が
規則的に配列されているために、プレス加工時に摺動方
向に対して凹凸が存在しない場合が生じる。このとき凹
部が存在しないことで油膜切れによる焼付きの発生、あ
るいは摩耗粉は凹部に捕捉されず、金型と鋼板間の面圧
が局所的に高くなり型かじりが発生する確率は高くな
る。
規則的に配列されているために、プレス加工時に摺動方
向に対して凹凸が存在しない場合が生じる。このとき凹
部が存在しないことで油膜切れによる焼付きの発生、あ
るいは摩耗粉は凹部に捕捉されず、金型と鋼板間の面圧
が局所的に高くなり型かじりが発生する確率は高くな
る。
【０００６】上記の問題点を解決する手段として特開平
２-30306号公報には、表面の任意の方向において平坦部
の占める長さが９割以下である金属板、特開平２-37901
号公報には平坦部の任意の点を中心として半径 250μｍ
以内の全周方向に必ず凹凸部が存在する鋼板が提案され
ている。
２-30306号公報には、表面の任意の方向において平坦部
の占める長さが９割以下である金属板、特開平２-37901
号公報には平坦部の任意の点を中心として半径 250μｍ
以内の全周方向に必ず凹凸部が存在する鋼板が提案され
ている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】耐型かじりに対して有
効であるのは凹部の存在であり、上記の公開公報におい
ては平坦部以外の部分を凹部と限定しておらず、型かじ
りに不利な凸部が占めることもある。この場合には金属
板表面の任意の方向に、型かじりを生じやすい方向が存
在することになり、発明の目的を達することが不可能で
ある。
効であるのは凹部の存在であり、上記の公開公報におい
ては平坦部以外の部分を凹部と限定しておらず、型かじ
りに不利な凸部が占めることもある。この場合には金属
板表面の任意の方向に、型かじりを生じやすい方向が存
在することになり、発明の目的を達することが不可能で
ある。
【０００８】本発明は、こうした技術的課題を解決した
耐型かじり性の優れた金属薄板とその製造に用いる圧延
ロールを提供することを目的とする。
耐型かじり性の優れた金属薄板とその製造に用いる圧延
ロールを提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属板表面の
粗面の微視的形態が、独立した池状の凹部とそれを取り
囲む平坦部から構成され、表面の任意の方向から見た直
線上に必ず凹部が存在することを特徴とする耐型かじり
性の優れた金属薄板である。そして、また本発明は、上
記の金属薄板に表面粗さを付与するための圧延ロールに
おいて、その表面のダル加工が、エッチング加工により
施されていることを特徴とする耐型かじり性の優れた金
属薄板の製造に用いる圧延ロールである。
粗面の微視的形態が、独立した池状の凹部とそれを取り
囲む平坦部から構成され、表面の任意の方向から見た直
線上に必ず凹部が存在することを特徴とする耐型かじり
性の優れた金属薄板である。そして、また本発明は、上
記の金属薄板に表面粗さを付与するための圧延ロールに
おいて、その表面のダル加工が、エッチング加工により
施されていることを特徴とする耐型かじり性の優れた金
属薄板の製造に用いる圧延ロールである。
【００１０】
【作 用】本発明者らは、金属板の摺動性に及ぼす表面
凹部の配列の影響を調べるために、金属板の表裏面を両
側から金型で押え引抜くタイプの試験（以下、摺動試験
と呼ぶ）を行った。プレス加工で型かじりを起こしやす
い金属板は、型かじりを起こしにくいものより摺動試験
において引抜力Ｄが大きくなる。
凹部の配列の影響を調べるために、金属板の表裏面を両
側から金型で押え引抜くタイプの試験（以下、摺動試験
と呼ぶ）を行った。プレス加工で型かじりを起こしやす
い金属板は、型かじりを起こしにくいものより摺動試験
において引抜力Ｄが大きくなる。
【００１１】金型は図７に示すような半径20mmの曲面を
もつ円柱状金型１を使用した。図７において２は試験片
である。試験条件は摺動速度 100mm／sec 、摺動距離80
mm、押付力Ｐ 200〜800kgfで、潤滑油には防錆油（16cS
t 40℃）を用いた。試験片の幅は20mm板厚は 0.7mmであ
る。
もつ円柱状金型１を使用した。図７において２は試験片
である。試験条件は摺動速度 100mm／sec 、摺動距離80
mm、押付力Ｐ 200〜800kgfで、潤滑油には防錆油（16cS
t 40℃）を用いた。試験片の幅は20mm板厚は 0.7mmであ
る。
【００１２】図９は供試材として用いた鋼板表面を平面
から見たもので、５は凹部、６は平坦部である。試験片
Ｄ、Ｅともに凹部５の一辺の長さは90μｍ、深さは５μ
ｍである。鋼板表面に占める凹部５の割合も同じであ
る。図９に示す各試験片の上下方向に摺動試験した結果
を図10に示す。試験片Ｄでは金型面上において試験開始
から終了まで、常に鋼板表面の凹部とは接触せず、平坦
部とだけ接触する部分が存在するので、油膜切れを起こ
しやすく試験片Ｅよりも引抜力が大きくなる。従って、
摺動方向の任意の直線上に必ず凹部が存在するような表
面パターンが、耐型かじり性に有効であることは明白で
ある。試験片Ｅにおいても左右方向に摺動した場合に
は、ある直線では凹部が存在しないので、試験片Ｄと同
様に型かじりに対して不利である。
から見たもので、５は凹部、６は平坦部である。試験片
Ｄ、Ｅともに凹部５の一辺の長さは90μｍ、深さは５μ
ｍである。鋼板表面に占める凹部５の割合も同じであ
る。図９に示す各試験片の上下方向に摺動試験した結果
を図10に示す。試験片Ｄでは金型面上において試験開始
から終了まで、常に鋼板表面の凹部とは接触せず、平坦
部とだけ接触する部分が存在するので、油膜切れを起こ
しやすく試験片Ｅよりも引抜力が大きくなる。従って、
摺動方向の任意の直線上に必ず凹部が存在するような表
面パターンが、耐型かじり性に有効であることは明白で
ある。試験片Ｅにおいても左右方向に摺動した場合に
は、ある直線では凹部が存在しないので、試験片Ｄと同
様に型かじりに対して不利である。
【００１３】本発明では、金属板表面の任意の方向から
見た直線上に、必ず凹部が存在するように配列するため
に用いるロール表面加工技術も重要である。ロール表面
のダル加工に本発明者らは既に特開平２−175882号公報
においてレーザマーキング技術とエッチング技術を用い
る方法を開示した。このロールで金属板を圧延すると、
その表面は平坦部と凹部から構成され、凹部の平面形
状、大きさ、配列の自在な金属板表面を容易に作製でき
る。この技術の一例を簡単に説明すると、ロールに光吸
収剤を混入した耐酸性の樹脂を薄膜に塗布し、集光径を
50μｍ以下に絞ったＹＡＧレーザを照射し樹脂を部分的
に除去する。その後、腐食液によってロール面をエッチ
ングすることにより、表面に凹凸を形成させる。ロール
回転方向、軸方向に対するレーザビームの分解能を30μ
ｍ程度にすることにより最小単位30μｍ角のドットを組
み合わせた任意の凸部をロール表面に形成させることが
可能である。もちろん、従来のフォトエッチング法でも
上記のダル加工が可能である。
見た直線上に、必ず凹部が存在するように配列するため
に用いるロール表面加工技術も重要である。ロール表面
のダル加工に本発明者らは既に特開平２−175882号公報
においてレーザマーキング技術とエッチング技術を用い
る方法を開示した。このロールで金属板を圧延すると、
その表面は平坦部と凹部から構成され、凹部の平面形
状、大きさ、配列の自在な金属板表面を容易に作製でき
る。この技術の一例を簡単に説明すると、ロールに光吸
収剤を混入した耐酸性の樹脂を薄膜に塗布し、集光径を
50μｍ以下に絞ったＹＡＧレーザを照射し樹脂を部分的
に除去する。その後、腐食液によってロール面をエッチ
ングすることにより、表面に凹凸を形成させる。ロール
回転方向、軸方向に対するレーザビームの分解能を30μ
ｍ程度にすることにより最小単位30μｍ角のドットを組
み合わせた任意の凸部をロール表面に形成させることが
可能である。もちろん、従来のフォトエッチング法でも
上記のダル加工が可能である。
【００１４】なお、本発明が対象とする金属板としては
冷延鋼板、アルミニウム板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気
亜鉛めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板、錫めっ
き鋼板、ステンレス鋼板等がある。以下、本発明を実施
例に基づいてより詳細に説明する。
冷延鋼板、アルミニウム板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気
亜鉛めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板、錫めっ
き鋼板、ステンレス鋼板等がある。以下、本発明を実施
例に基づいてより詳細に説明する。
【００１５】
実施例１ 前述した、特開平２ー175882号公報に示すレーザマーキ
ング技術とエッチング技術を用い、より具体的には径 1
50mmのスキンパス圧延用ロール（５％Ｃｒ鋳鋼製、硬度
Ｈｓ95）をエッチング液として塩化第２鉄溶液Ｂｅ'
（ホーメ度）45度のものに、20分浸漬してダル加工した
ロールで板厚 0.7mmの冷延鋼板を伸び率 2.0％の調質圧
延を施し図１のような鋼板Ａを作製した。凹部５の長辺
は 120μｍ、短辺は60μｍ、深さは５μｍである。
ング技術とエッチング技術を用い、より具体的には径 1
50mmのスキンパス圧延用ロール（５％Ｃｒ鋳鋼製、硬度
Ｈｓ95）をエッチング液として塩化第２鉄溶液Ｂｅ'
（ホーメ度）45度のものに、20分浸漬してダル加工した
ロールで板厚 0.7mmの冷延鋼板を伸び率 2.0％の調質圧
延を施し図１のような鋼板Ａを作製した。凹部５の長辺
は 120μｍ、短辺は60μｍ、深さは５μｍである。
【００１６】また、フォトエッチング法で、具体的に
は、径 150mmのスキンパス圧延用ロール（５％Ｃｒ鋳鋼
製、硬度Ｈｓ95）表面に感光性樹脂を塗布し、凹部の長
辺 120μｍ、短辺60μｍの黒色のパターンを印刷した透
光性フィルムを該樹脂層の上に積層した後、露光処理
し、末硬化部である該パターンを有機溶剤にて溶解し、
ロール表面を露出させた。その後、本発明の実施例と同
様にエッチング液にてダル加工した。ダル加工したロー
ルで図２の鋼板Ｂ及び図３の鋼板Ｃを作製した。凹部深
さはともに５μｍである。試験片Ａ、Ｂ、Ｃは幅20mm、
長さ 350mmである。
は、径 150mmのスキンパス圧延用ロール（５％Ｃｒ鋳鋼
製、硬度Ｈｓ95）表面に感光性樹脂を塗布し、凹部の長
辺 120μｍ、短辺60μｍの黒色のパターンを印刷した透
光性フィルムを該樹脂層の上に積層した後、露光処理
し、末硬化部である該パターンを有機溶剤にて溶解し、
ロール表面を露出させた。その後、本発明の実施例と同
様にエッチング液にてダル加工した。ダル加工したロー
ルで図２の鋼板Ｂ及び図３の鋼板Ｃを作製した。凹部深
さはともに５μｍである。試験片Ａ、Ｂ、Ｃは幅20mm、
長さ 350mmである。
【００１７】また、比較材として、表面のある方向に対
して凹部が全く存在しない一般的なレーザダル鋼板を準
備した。レーザダル鋼板製造用のスキンパスロールの作
成は、既述の特開昭62−168602号公報に記載されている
方法を採用した。すなわち、より具体的には、炭酸ガス
レーザビームをチョッパーにてパルス状に間欠させ、回
転させたロール表面のスパイラル状行程にそって直径約
150μｍのクレータ状の凸部を中心間距離約 200〜 300
μｍ間隔で生成させたロールであり、このダル加工した
ロールで図４の鋼板Ｉを作製した。凹部深さは３μｍ、
凸部高さは１μｍである。試験片Ｉは幅20mm、長さ 350
mmである。
して凹部が全く存在しない一般的なレーザダル鋼板を準
備した。レーザダル鋼板製造用のスキンパスロールの作
成は、既述の特開昭62−168602号公報に記載されている
方法を採用した。すなわち、より具体的には、炭酸ガス
レーザビームをチョッパーにてパルス状に間欠させ、回
転させたロール表面のスパイラル状行程にそって直径約
150μｍのクレータ状の凸部を中心間距離約 200〜 300
μｍ間隔で生成させたロールであり、このダル加工した
ロールで図４の鋼板Ｉを作製した。凹部深さは３μｍ、
凸部高さは１μｍである。試験片Ｉは幅20mm、長さ 350
mmである。
【００１８】なお、図１、２、３、４において６は平坦
部である。耐型かじり性の評価には、図５に示すビード
引抜き試験を用いた。ビード山部３、ビード溝部４の肩
は共に２Ｒで、ビード部の引抜き方向の長さは10mmであ
る。２は試験片である。実プレスにおいてビード部は最
も苛酷な条件下にあり、材料が型かじりを起こしやすい
部位である。試験片を引抜いた後の鋼板表面を観察し、
型かじりが発生したときのビード押付力Ｐが大きい方が
耐型かじり性に優れていると判断した。試験時には鋼板
表面に５ｇ／ｍ2 の防錆油を塗布した。引抜速度は 100
ｍ／sec とした。
部である。耐型かじり性の評価には、図５に示すビード
引抜き試験を用いた。ビード山部３、ビード溝部４の肩
は共に２Ｒで、ビード部の引抜き方向の長さは10mmであ
る。２は試験片である。実プレスにおいてビード部は最
も苛酷な条件下にあり、材料が型かじりを起こしやすい
部位である。試験片を引抜いた後の鋼板表面を観察し、
型かじりが発生したときのビード押付力Ｐが大きい方が
耐型かじり性に優れていると判断した。試験時には鋼板
表面に５ｇ／ｍ2 の防錆油を塗布した。引抜速度は 100
ｍ／sec とした。
【００１９】試験結果を図６に示す。図６から本発明鋼
板は比較材よりも型かじりが発生するときのビード押付
力Ｐは大きく、耐型かじり性に優れていることがわか
る。 実施例２ 前述の実施例１で使用したのと同一のロールで板厚1.0m
mのＪＩＳ5000系アルミニウム合金板に圧下率 1.0％の
スキンパス圧延を施し、表面に図１の凹凸模様を有する
アルミニウム合金板Ｆ、図２の凹凸模様を有するアルミ
ニウム合金板Ｇ、図３の凹凸模様を有するアルミニウム
合金板Ｈを作成した。いずれも凹部の深さは５μｍであ
る。比較材として板厚 1.0mmのＪＩＳ5000系アルミニウ
ム合金板を実施例１で用いたレーザダル仕上げロールに
て圧下率 1.0％でスキンパス圧延を施し、表面に図４の
凹凸模様を有するアルミニウム合金板Ｋを作成した。
板は比較材よりも型かじりが発生するときのビード押付
力Ｐは大きく、耐型かじり性に優れていることがわか
る。 実施例２ 前述の実施例１で使用したのと同一のロールで板厚1.0m
mのＪＩＳ5000系アルミニウム合金板に圧下率 1.0％の
スキンパス圧延を施し、表面に図１の凹凸模様を有する
アルミニウム合金板Ｆ、図２の凹凸模様を有するアルミ
ニウム合金板Ｇ、図３の凹凸模様を有するアルミニウム
合金板Ｈを作成した。いずれも凹部の深さは５μｍであ
る。比較材として板厚 1.0mmのＪＩＳ5000系アルミニウ
ム合金板を実施例１で用いたレーザダル仕上げロールに
て圧下率 1.0％でスキンパス圧延を施し、表面に図４の
凹凸模様を有するアルミニウム合金板Ｋを作成した。
【００２０】耐型かじり性の評価には、図７に示す摺動
試験を用いた。図７において、１は半径20mmの曲率をも
つ金型、２は試験片である。試験片の採取方向は圧延方
向に対して平行なＬと呼ばれる方向と圧延方向に垂直な
Ｃと呼ばれる方向の２種類である。試験条件は、試験片
幅20mm、摺動速度 100mm／秒、摺動距離80mm、押しつけ
力 200kgｆ、潤滑油は防錆油（16cst 40℃）を用い表面
に５ｇ／ｍ2 塗布した。
試験を用いた。図７において、１は半径20mmの曲率をも
つ金型、２は試験片である。試験片の採取方向は圧延方
向に対して平行なＬと呼ばれる方向と圧延方向に垂直な
Ｃと呼ばれる方向の２種類である。試験条件は、試験片
幅20mm、摺動速度 100mm／秒、摺動距離80mm、押しつけ
力 200kgｆ、潤滑油は防錆油（16cst 40℃）を用い表面
に５ｇ／ｍ2 塗布した。
【００２１】試験結果を図８に示す。本発明によって製
造されたアルミニウム合金板は従来技術によって製造さ
れた比較材よりも引き抜き力が小さく、かつ摺動方向に
よる引き抜き力の差が小さいという優れた特性を有す
る。
造されたアルミニウム合金板は従来技術によって製造さ
れた比較材よりも引き抜き力が小さく、かつ摺動方向に
よる引き抜き力の差が小さいという優れた特性を有す
る。
【００２２】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属薄板
は、金属薄板表面の任意の方向において、型かじりを生
じやすい方向が存在しない粗面を有するので、耐型かじ
り性が極めて優れている。また、本発明の金属板の製造
に用いる圧延ロールの表面にダル加工する際には、エッ
チング加工を用いることにより、ロール表面に任意の凹
凸を形成することができる。
は、金属薄板表面の任意の方向において、型かじりを生
じやすい方向が存在しない粗面を有するので、耐型かじ
り性が極めて優れている。また、本発明の金属板の製造
に用いる圧延ロールの表面にダル加工する際には、エッ
チング加工を用いることにより、ロール表面に任意の凹
凸を形成することができる。
【図１】本発明の金属薄板の実施例を示し、（ａ）は平
面図、（ｂ）は（ａ）のＩ−Ｉ線断面図である。
面図、（ｂ）は（ａ）のＩ−Ｉ線断面図である。
【図２】本発明の金属薄板の実施例を示し、（ａ）は平
面図、（ｂ）は（ａ）のII−II線断面図である。
面図、（ｂ）は（ａ）のII−II線断面図である。
【図３】本発明の金属薄板の実施例を示し、（ａ）は平
面図、（ｂ）は（ａ）の III−III 線断面図である。
面図、（ｂ）は（ａ）の III−III 線断面図である。
【図４】金属薄板の比較例を示し、（ａ）は平面図、
（ｂ）は（ａ）のIV−IV線断面図である。
（ｂ）は（ａ）のIV−IV線断面図である。
【図５】耐型かじり性を評価するために用いたビード引
抜き試験の説明図である。
抜き試験の説明図である。
【図６】本発明鋼板及び比較例についてビード引抜き試
験を実施した結果を示す図である。
験を実施した結果を示す図である。
【図７】金属板の摺動性を評価する試験方法の説明図で
ある。
ある。
【図８】本発明アルミニウム合金板及び比較例について
ビード引抜き試験を実施した結果を示す図である。
ビード引抜き試験を実施した結果を示す図である。
【図９】金属板表面の凹凸の配列を検討するために使用
した鋼板表面の模式図である。
した鋼板表面の模式図である。
【図10】図９の鋼板について、図７の試験を実施した結
果を示す図である。
果を示す図である。
１ 円柱状金型 ２ 試験片 ３ ビード山部 ４ ビード溝部 ５ 凹部 ６ 平坦部 Ａ 試験片 Ｂ 試験片 Ｃ 試験片 Ｄ 試験片 Ｅ 試験片 Ｉ 試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今江 敏夫 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 磯辺 邦夫 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内
Claims (2)
- 【請求項１】 金属板表面の粗面の微視的形態が、独立
した池状の凹部とそれを取り囲む平坦部から構成され、
表面の任意の方向から見た直線上に必ず凹部が存在する
ことを特徴とする耐型かじり性の優れた金属薄板。 - 【請求項２】 金属薄板に請求項１記載の表面粗さを付
与するための圧延ロールにおいて、その表面のダル加工
が、エッチング加工により施されて用いることを特徴と
する耐型かじり性の優れた金属薄板の製造に用いる圧延
ロール。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26014892A JPH05192701A (ja) | 1991-09-30 | 1992-09-29 | 耐型かじり性の優れた金属薄板及びその製造に用いる圧延ロール |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3-251224 | 1991-09-30 | ||
| JP25122491 | 1991-09-30 | ||
| JP26014892A JPH05192701A (ja) | 1991-09-30 | 1992-09-29 | 耐型かじり性の優れた金属薄板及びその製造に用いる圧延ロール |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05192701A true JPH05192701A (ja) | 1993-08-03 |
Family
ID=26540110
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP26014892A Pending JPH05192701A (ja) | 1991-09-30 | 1992-09-29 | 耐型かじり性の優れた金属薄板及びその製造に用いる圧延ロール |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05192701A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2015527203A (ja) * | 2012-09-07 | 2015-09-17 | ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アーゲーＴｈｙｓｓｅｎｋｒｕｐｐ Ｓｔｅｅｌ Ｅｕｒｏｐｅ Ａｇ | 金属材料、特に鋼材からなる平板製品、このような平板製品の使用、およびこのような平板製品を製造するためのロールと方法。 |
| KR20180073912A (ko) | 2016-12-23 | 2018-07-03 | 주식회사 포스코 | 주형유닛 및 이를 포함하는 연주기 |
| JP2020501906A (ja) * | 2016-12-14 | 2020-01-23 | ポスコＰｏｓｃｏ | 圧延ロール及びそれにより製造されためっき鋼板 |
-
1992
- 1992-09-29 JP JP26014892A patent/JPH05192701A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2015527203A (ja) * | 2012-09-07 | 2015-09-17 | ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アーゲーＴｈｙｓｓｅｎｋｒｕｐｐ Ｓｔｅｅｌ Ｅｕｒｏｐｅ Ａｇ | 金属材料、特に鋼材からなる平板製品、このような平板製品の使用、およびこのような平板製品を製造するためのロールと方法。 |
| US10252305B2 (en) | 2012-09-07 | 2019-04-09 | Daetwyler Graphics Ag | Flat product made of a metal material and roll and method for producing such flat products |
| JP2020501906A (ja) * | 2016-12-14 | 2020-01-23 | ポスコＰｏｓｃｏ | 圧延ロール及びそれにより製造されためっき鋼板 |
| KR20180073912A (ko) | 2016-12-23 | 2018-07-03 | 주식회사 포스코 | 주형유닛 및 이를 포함하는 연주기 |
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