JP3066978B2 - 無水酢酸及び酢酸の精製方法 - Google Patents

無水酢酸及び酢酸の精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ヨウ素及び/またはヨウ化物化合物を用い
てカルボニル化プロセスから得られる無水酢酸と酢酸と
の混合物の新規な精製方法に関する。さらに詳しくは、
本発明は、逐次過酸化物−水素処理方法によるこのよう
な無水物/酸混合物の精製に関する。
ロジウム触媒の存在下においてヨウ化メチル及び酢酸
メチル及び/またはジメチルエーテルを含んでなる混合
物と一酸化炭素とを接触させることによる無水酢酸の製
造が特許文献において広く報告されている。たとえば、
米国特許第3,927,078号、第4,046,807号、第4,374,070
号及び第4,559,183号ならびにヨーロッパ特許第8396号
及び第87,870号を参照されたい。これらの特許は、触媒
系が促進剤、たとえば、ある種のアミン、第四アンモニ
ウム化合物、ホスフィン及びリチウム化合物のような無
機化合物を含む場合には、反応速度を増大させることが
できることを開示している。このような無水酢酸プロセ
スから得られる粗製または部分精製生成物は、典型的に
は、プロセス溶媒としての酢酸の使用ならびに/または
カルボニル化反応器への供給材料中にメタノール及び/
もしくは水を含ませることによる酢酸の共生成の結果と
して、無水酢酸と酢酸との混合物を含む。
前に言及したカルボニル化プロセスから得られた無水
酢酸及び酢酸はそれらの使用者の純度要求条件を満たす
ように精製しなければならない。達成が最も困難な純度
規格はヨウ素濃度、「還元性物質」の量(level)及び
色である。代表的な規格値は、十億分の20部(20ppb)
またはそれ以下のヨウ素濃度、Substances Reducing Pe
rmanganate Test(American Chemical Society Specifi
cations published in Reagent Chemicals,6th Ed.,Ame
rican Chemical Society,Washington,D.C.),66及び68
ページに従って少なくとも30分間の過マンガン酸塩還元
性物質試験値、ならびにASTM D1209−84に従って10未満
の色を必要とする。カルボニル化プロセスから得られる
無水物/酸混合物はまた、この混合物の精製に使用され
る装置に関する腐蝕の問題を提起する。本発明以前に
は、精製装置は定期的に取り替えられなければならなか
ったか、または耐蝕性材料から作られなければならなか
ったが、これらは共にカルボニル化プロセスの使用に対
するかなりの経済的負担となるものである。
前記カルボニル化プロセスによって製造された無水酢
酸からヨウ素を除去するための2つの方法が文献に記載
されている。カルボニル化によって得られた無水酢酸の
過酸化物による処理はドイツ国特許出願公開第3,612,50
4号公報及び同第3,660,329号公報ならびにヨーロッパ特
許出願第13,551号及び同第3,660,329号(南アフリカ特
許出願第86/7389号の対応出願)に開示されている。ヨ
ーロッパ特許出願第143,179号及び同第217,182号ならび
に米国特許第4,792,420号は貴金属触媒の存在下におけ
る、カルボニル化によって得られた無水酢酸の水素添加
を記載している。これらの無水酢酸と酢酸との混合物の
精製方法に関する本発明者らの研究は、(1)許容し得
るヨウ素及び還元物質量を有する無水酢酸ならびに
(2)許容し得るヨウ素量及び色を有する酢酸を共に一
貫して製造する方法ではないことを証明した。本発明者
は、公知の精製法はさらに他の面倒な問題を生じること
を認めた。たとえば、水素添加法の使用によって、貯蔵
時に変色し続ける色質のよくない酢酸が製造され、また
過酸化物処理が無水物/酸混合物を鋼に対して極めて腐
蝕性なものとする。
本発明によって提供される方法は、ヨウ化メチル及び
酢酸メチル及び/またはジメチルエーテルを含む混合物
を一酸化炭素と接触させることによって得られる無水酢
酸と酢酸との混合物を、(1)過酸化物と、及び(2)
担持パラジウム触媒の存在下において水素と、接触さ
せ、次いで混合物を分離して、各々、(i)十億分の20
部(20ppb)またはそれ以下のヨウ素を含み、(ii)Ame
rican Chemical Society Specifications Permanganate
Reducing Substances試験に合格し、且つ(iii)ASTM
D 1209−84に従って10またはそれ以下の色値(color va
lue)を有する無水酢酸及び酢酸を得ることを含んでな
る。この、本発明者の改良された方法は、また、その後
の混合物の分離において使用される蒸留装置の腐蝕が比
較的少ない、無水物/酸混合物を提供する。最初に水素
添加処理を、次に過酸化物処理を行うと比較的腐蝕性の
生成物が生成され且つ比較的効率のよくない系が生じる
であろうから、処理の配列順は重要である。前述のよう
に、本発明者の発明に従って精製される無水酢酸/酢酸
混合物は、酢酸の存在下において、カルボニル化プロセ
スを実施することによって、または一酸化炭素と接触さ
せられる混合物中にメタノール及び/または水を含ませ
て無水酢酸及び酢酸を共生成させることによって得るこ
とができる。
酢酸の存在下における無水酢酸の生成において、なら
びに無水酢酸及び酢酸の共生成において、カルボニル化
流出液は複数のフラッシュポット及びカラムを通して、
反応器流出液中に存在する不揮発性触媒成分及び低沸点
溶剤の担当部分、たとえば、酢酸メチル、ジメチルエー
テル、ヨウ化メチル及びアセトンから無水酢酸及び酢酸
の大部分を分離する。たとえば、米国特許第4,374,070
号に記載された操作系を参照。粗製無水酢酸/酢酸混合
物はこの時点で少なくとも70、好ましくは少なくとも85
重量%の無水酢酸及び酢酸を含む。混合物中に存在し得
る他の成分としては、ヨウ化メチル、酢酸メチル、アセ
トン、ヨウ化アセチル、二酢酸エチリデンなどが挙げら
れる。典型的には、混合物は1〜2重量%のヨウ化メチ
ル、5〜20重量%の酢酸メチル、5重量%以下のアセト
ン、百万分の100〜300部(100〜300ppm)のヨウ化アセ
チル及び2重量%以下の二酢酸エチリデンを含む。
この粗製混合物はさらに蒸留装置、たとえば、基部温
度120〜140℃及び圧力1〜2バールで操作される低ボイ
ラーカラム中で処理して、前記低ボイラー(低沸点物)
をほとんど全て除去する。低沸点物量が激減されて得ら
れた生成無水物/酸混合物は次に、本発明によって提供
される精製方法にかける。本発明者らの方法に使用する
混合物の無水酢酸:酢酸重量比は4:1〜1:1とすることが
できるが、通常は3:1〜11:7の無水物:酸重量比を使用
する。この混合物は通常、少なくとも99重量%の無水酢
酸及び酢酸、少量の二酢酸エチリデン及びトレース量の
低沸点物を含む。この混合物のヨウ素含量は、ヨウ素3
〜90ppmであり、主にヨウ化アセチルの形態である。
過酸化水素は、そのコストのために、好ましい過酸化
物であるが、ジアセチルペルオキシドそして、特に、過
酢酸のような他の過酸化物を本発明の新規方法の過酸化
物処理工程に使用できる。特に適当な過酢酸源は、J.T.
Lutz,Jr.によってKirk−Othmer,Encyclopedia of Chemi
cal Technology,3rd Rd.,9巻,225−258頁(1980年)に
記載されたエポキシ化法の一部分として記載されてい
る。エポキシ化法において、過酢酸は、酸性イオン交換
樹脂の存在下において酢酸を過酸化水素と接触させるこ
とによって発生させる。必要な過酸化物の量は使用され
る過酸化物及びその銘柄、混合物の組成及びヨウ素含量
などに依存してかなり変化できる。しかしながら、使用
される最少量は通常は、混合物中に存在するI-として計
算されたヨウ素またはヨウ化物の当量当り過酸化物1モ
ルである。使用される過酸化物の量の上限は、経済的な
及び安全性の事情によって決定される。使用される過酸
化物の量は好ましくは、混合物リットル当り0.001〜0.1
モル、特に0.005〜0.02モルである。
過酸化物処理に使用する温度及び圧力の条件は一般に
決定的なものではないが、装置またはその近くに存在す
る条件、たとえば、混合物が得られる低ボイラー蒸留カ
ラム、ならびに水素添加工程及び下流の精製装置中で使
用される温度によって決定される。従って、過酸化物処
理は50〜200℃の範囲の温度において実施でき、好まし
い範囲は110〜150℃である。圧力はかなり、たとえば、
0.05バールから10バールまで変化させることができる
が、実際の操作においては圧力は下流の蒸留ユニットに
よって決定されるであろう。従って、過酸化物処理は好
ましくは0.5〜2.5バールの圧力において実施する。
水素処理(水素添加)は、パラジウムが触媒の0.1〜1
0重量%を構成する担持パラジウム触媒、たとえば、炭
素上パラジウムの存在下において液相中で実施する。触
媒はスラリーとして、または好ましくは、通常は細流床
操作(trickle bed operation)と称する様式で触媒床
の上をまたは触媒床を通って無水物/酸混合物が流れる
触媒固定床として使用できる。使用する触媒の量は主に
操作様式、接触時間及び使用される条件に依存し、当該
プロセスから最後に回収される無水物及び酸の純度から
決定できる。それらのコストのために、好ましい触媒
は、パラジウムが担持触媒の0.2〜2.0重量%を構成する
炭素上パラジウムである。
前記水素処理は、純粋なまたはほとんど純粋な水素ま
たは水素と不活性ガスとの混合物を使用して実施するこ
とができる。たとえば、1種またはそれ以上の不活性ガ
ス、たとえば窒素、アルゴン、ヘリウムなどと10容量%
またはそれ以上の水素との混合物を使用できる。
過酸化物処理の場合と同様に、水素処理を実施する圧
力及び温度は本プロセスの満足すべき操作に決定的なも
のではなく、それらは主に、本発明者の精製方法と一緒
に使用される蒸留カラム中に存在する条件に依存する。
水素添加は25〜225℃及び0.05〜50バールにおいて実施
できるが、周囲装置中に存在する条件には110〜150℃の
温度及び0.5〜2.5バールの全圧の使用が好ましい。
商業的操作においては、過酸化水素のような過酸化物
が蒸留カラムのアンダーフローに連続的に添加し、低沸
点溶剤、たとえば酢酸メチル、ヨウ化メチル、アセトン
などのほとんどは蒸留カラムの上部から除去する。アン
ダーフロー混合物及び過酸化物の混合には、攪拌容器ま
たは無水酢酸及び酢酸の混合物と過酸化物とを充分に接
触させる導管を単純に使用することができる。次いで、
得られた混合物を、担持パラジウム触媒の1つまたはそ
れ以上の床が内部に固定されたカラム容器に直接供給す
る。水素をこの容器に供給し、混合物は1つまたはそれ
以上の触媒床を通過して水素添加部から出る。次いで、
無水物/酸混合物を、多数の蒸留法によって分別して無
水物及び酸を分離することができる。
本発明者らの新規な方法及びその操作をさらに、以下
の例によって説明する。無水物/酸混合物は、米国特許
第4,374,070号に記載された連続無水酢酸製造法とは異
なる2つの場合(約60日間隔)に得られた。これらの混
合物の成分の重量%範囲は以下の通りであった: 無水酢酸 50.0〜55.0 酢酸 35.0〜39.0 ヨウ化メチル 0.7〜1.0 酢酸メチル 7.0〜9.0 アセトン 1.0〜1.5 二酢酸エチリデン 0.3〜0.5 ヨウ化アセチル 120〜170ppm 1- これらの混合物は、以下の方法に直ちに使用する。
これらの混合物は、それぞれ低沸点成分の全てを完全
に除去するように設計された装置中で蒸留した。これ
は、(1)加熱された500−mlフラスコ(基部)、次に
連続して(2)20棚、直径2.54cm真空ジャケット付き
(銀めっき)オルダーショウ(01dershaw)カラム、
(3)供給部、(4)10棚、直径2.54cm真空ジャケット
付き(銀めっき)オルダーショウカラム及び最後に
(5)蒸気ロスを防ぎ且つ上部留出物の量を測定するた
めに冷却器に接続された蒸気引き取り装置からなる実験
用蒸留ユニットに混合物1100ml/時を供給することによ
って達成された。
前記供給部において無水物/酸混合物を供給し、時間
当り200mlの留出物が採取されるように必要に応じて底
部フラスコの加熱を調整した。過酸化水素水溶液(35
%)を、過酸化水素1.1ml/時の速度で底部に供給した。
過剰の液体を水素処理ユニットにポンプで汲み出すこと
によって底部フラスコ中の液体を250〜350mlの量に保持
した。
水素処理ユニットは、温度を監視し且つ予期されない
発熱または過剰冷却を全て検知するのに使用される熱電
対を含む0.635cm石英サーモウェルを装着した、約90〜1
25℃に保持された長さ91.44cm、直径2.54cmの石英管か
らなるものであった。場合によっては、管は絶縁する
か、または過剰冷却を回避するために加熱することがで
きる。管には、熱電対を覆うべき粒状触媒25gを満たし
た。管の上部には水素及び前記の底部フラスコからの液
体のための入口を装着した。底部は、腐蝕プローブ(Pe
trolite Instruments IN−8000 E/R Portable Electric
al Resistance Monitor)、ガス出口及び液体出口を装
着した500mlの三つ口フラスコに接続した。
この水素処理ユニットは、大気圧において完全な水素
パージし且つ液体を触媒床上に流すことによって操作し
た。水素処理ユニットの底部のフラスコの容量は、腐蝕
プローブを完全に浸漬するのに充分な量に保持し、過剰
な液体はオーバーフローさせるかまたは次の蒸留カラム
にポンプでくみ出した。消費されなかった水素は全て、
ガス出口を経て逃がした。
前記水素処理ユニットからの液体は、(1)出口及び
温度計を装置した、加熱された500mlの三つ口フラスコ
(底部)、次に連続して(2)5棚、直径2.54cm真空ジ
ャケット付き(銀めっき)オルダーショウカラム、
(3)供給部、(4)真空ジャケット付き(銀めっき)
10棚、直径2.54cmのオルダーショウカラム、(5)電気
的に時間調整された機械的液体生成物引き取り装置、
(6)5棚、直径2.54cm真空ジャケット付き(銀めっ
き)オルダーショウカラム、(7)電気的に時間調整さ
れた機械的液体生成物引き取り装置及び最後に(8)真
空調整装置に接続されたベント式冷却器を積み重ねるこ
とによって作られた、100〜150トルにおいて操作される
真空カラムからなる蒸留カラムに供給した。
材料を運ぶための真空及び流れを800ml/時(蒸留カラ
ムからの引き取りの量によって測定)に調整するための
弁を用いて、常圧蒸気が供給される蒸気ジャケット付き
予熱装置に液体を通した後、液体を蒸留カラムの供給部
に供給した。カラムの上部からの引き取り液が約100ml/
時であり且つカラムの中央部からの引き取り液が約600m
l/時であるようにカラムを操作した。底部フラスコの液
体量は温度計の球部を覆うのに充分な量に保持し、その
一部分は真空によって除去した。目的とする無水酢酸/
酢酸混合物からなる中央部の引き取り液を、真空ジャケ
ット付き(銀めっき)20棚、直径2.54cmのオルダーショ
ウカラムを用いて分別して、精製された無水酢酸及び酢
酸を得た。テクニコンオートアナライザー(Technicon
Autoanalyzer)II(連続流れ分析)を用いて可視分光光
度法によって両フラクションをヨウ素及び無機ヨウ化物
に関して分析した。分析方法は、ヨウ素が亜砒酸による
第二セリウムイオンの還元を触媒し、420nmにおける黄
色第二セリウムイオンの減少がヨウ化物濃度に比例する
逆比色法に基づく。Sanbell及びJ.M.Kolthoff,J.Amer.C
hem.Soc.,1934,56,1426ならびにV.W.Truesdell及びP.J.
Smith,Analyst,1975年2月,111〜123ページを参照。両
フラクションをさらに、前記方法に従って還元物質及び
色について試験した。
各例において得られた結果を表Iに示し、表中、腐蝕
速度はミクロン/年で、ヨウ素含量は十億分の一部(pp
b)で、無水酢酸の還元物質含量は分(min)で、そして
酢酸の色はASTM 1209−84に示した白金−コバルトカラ
ー標準(Platinum−Cobalt Color Standards)に従って
示す。対照例は、過酸化物または水素処理にかけられな
かった、低沸点物量の激減した無水物/酸混合物に関す
る数値を示す。対照混合物は例1及び2ならびに比較例
C−1〜C−6において使用した。別の無水物/酸混合
物を例3及び比較例C−6において使用した。各例(比
較例を含む)において回収された無水酢酸は前記の色の
規格に合格した。各例において回収された酢酸は前記の
還元物質の規格を満たした。
例1、2及び3 低沸点物量の激減した混合物に130℃において過酸化
水素を添加し、そして過酸化物処理混合物を、1.0%パ
ラジウム担持炭素触媒を含む、約120℃に保持された細
流反応器を通る水素の共流(cocurrent)であふれさせ
た。
同一の無水物/酸混合物を用いて、前記過酸化物−水
素処理を繰り返した。表Iに報告した結果は、本発明の
精製方法が一貫して、材料の使用者によって設定された
前記規格値を満たす無水酢酸及び酢酸を提供することを
示す。表Iにおいて腐蝕はミクロン/年(ND=何も検出
されず)で示し、ヨウ素値はppbであり、還元物質値は
分であり、そして色値はASTM D 1209−84に従って測定
する。
比較例1 パラジウム担持炭素触媒の代わりに石英チップを用い
且つ水素ではなくアルゴンを改良細流床反応器に供給し
た以外は例1を繰り返した。改良細流床反応器を用い
て、さらに精製する前に、例1における及び先行技術に
記載された方法における接触時間をほとんど同一の過酸
化物−無水物/酸混合物接触時間を与えた。
比較例2 パラジウム担持炭素触媒の代わりに石英チップを用い
た以外は例1を繰り返した。この方法は、前に言及した
無水酢酸製造方法とは異なる日に得られた無水物/酸混
合物を用いて2回実施した。比較例1及び2は、過酸化
物処理、それに続く、担持パラジウム触媒を用いない水
素処理によって改良された結果を得られるが、商用銘柄
基準を達成するのにはまだ不適切であることを示す。こ
れらの例はまた、担持パラジウム触媒を使用しない方法
は一貫して再現性のある結果を生じないことを立証す
る。
比較例3 過酸化物添加工程を省略し、すなわち、蒸留された、
低沸点物が激減した無水物/酸混合物を細流床反応器を
通して直接滴下した以外は例1を繰り返した。表Iにお
いて報告した結果は、混合物から精製された酢酸のヨウ
素含量及び色が全く許容できないものであることを示
す。
比較例4 パラジウム担持炭素触媒の代わりに1%ルテニウム担
持炭素触媒を用いた以外は例1を繰り返した。この例
は、異なる担持貴金属触媒が、本発明に係るパラジウム
触媒を使用して得られた結果よりかなり劣る結果を生じ
ることを示す。
比較例5 パラジウム触媒の代わりに1%ルテニウム担持炭素触
媒を用いた以外は比較例3を繰り返した。
ここで報告した数値を測定するのに使用した還元性物
質試験は、以下の方法からなるものであった:稀硫酸溶
液(溶液1当り濃硫酸10ml)100mlにちょうど充分な
量の0.1N過マンガン酸カリウム水溶液を加えて、かすか
なピンク色を生ずる。この稀硫酸溶液に無水酢酸(2m
l)を添加して混合し、次いで、0.1N過マンガン酸カリ
ウム溶液0.1mlを添加した。ピンク色の消失に必要な時
間(最大30分までの分)が還元性物質試験値である。
本発明を、特にその好ましい実施態様に関して詳述し
たが、本発明の精神及び範囲内で変更及び修正が可能な
ことを理解されたい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 モンシア,レジナ マイケル アメリカ合衆国,バージニア 24201, ブリストル,ブージー クリーク ロー ド 1898 (72)発明者 ゾーラー,ジョセフ ロバート アメリカ合衆国,テネシー 37660,キ ングスポート,メイプルウッド ストリ ート 4245 (56)参考文献 特開 昭62−72636(JP,A) 特開 昭60−72837(JP,A) 特開 昭55−98136(JP,A) 特開 昭63−99027(JP,A) 特開 昭47−42641(JP,A) 米国特許4792420(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 53/12 B01J 23/44 C07C 51/487 C07C 51/573 C07C 53/08 C07B 61/00 300

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヨウ化メチル及び酢酸メチル及び/または
    ジメチルエーテルの混合物を一酸化炭素と接触させるこ
    とによって得られる無水酢酸と酢酸との混合物を、
    (1)過酸化物と、及び(2)担持パラジウム触媒の存
    在下に水素と、接触させ、ついでこの混合物を分離し
    て、各々、(i)十億分の20部(20ppb)またはそれ以
    下のヨウ素を含み、(ii)30分間またはそれ以上の還元
    性物質試験値を有し、且つ(iii)ASTM D 1209−84によ
    って測定した時に10またはそれ以下の色値を有する無水
    酢酸及び酢酸を得ることを含んでなる方法。
  2. 【請求項2】前記過酸化物が過酸化水素である請求の範
    囲第1項に係る方法。
  3. 【請求項3】無水酢酸と酢酸との混合物を(1)50〜20
    0℃の温度及び0.05〜10バールの圧力において過酸化水
    素と、及び(2)パラジウム担持炭素触媒の存在下に25
    〜225℃の温度で0.05〜50バールの圧力において水素
    と、接触させる請求の範囲第1項に係る方法。
  4. 【請求項4】ヨウ化メチル及び酢酸メチル及び/または
    ジメチルエーテルを含む混合物を一酸化炭素と接触させ
    ることによって得られる無水酢酸と酢酸との混合物を、
    (1)110〜150℃の温度及び0.5〜2.5バールの圧力にお
    いて過酸化水素またはその溶液と、及び(2)担持パラ
    ジウム触媒の存在下において110〜150℃の温度で0.5〜
    2.5バールの圧力において水素と接触させ、次いでこの
    混合物を分離して、各々、(i)十億分の20部(20pp
    b)またはそれ以下のヨウ素を含み、(ii)30分間また
    はそれ以上の還元性物質試験値を有し、且つ(iii)AST
    M D 1209−84によって測定した時に10またはそれ以下の
    色値を有する無水酢酸及び酢酸を得ることを含んでなる
    方法。
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