JP3066434B2 - 変性絹素材、その製造方法 - Google Patents

変性絹素材、その製造方法

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JP3066434B2
JP3066434B2 JP10375869A JP37586998A JP3066434B2 JP 3066434 B2 JP3066434 B2 JP 3066434B2 JP 10375869 A JP10375869 A JP 10375869A JP 37586998 A JP37586998 A JP 37586998A JP 3066434 B2 JP3066434 B2 JP 3066434B2
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紘三 坪内
粧子 藤浦
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農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所長
紘三 坪内
株式会社オードレマン
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絹をガス気流中で
加熱処理して得られる、各種用途に有用な変性絹素材に
関する。本発明の変性絹素材は、外皮用医薬品、外皮用
医薬部外品または化粧品等素材などの人体外皮用塗布材
や医療用部材の用途に、また植物成長促進材の用途に、
さらに吸着材、濾過材や研磨材等の用途にそれぞれ用い
ることができる。
【0002】
【従来の技術】従来、有機材料を加熱処理して眉ずみ、
白髪染めなどの人体外皮用塗布材の素材として利用され
ているものには、石油系材料を不完全燃焼させて得られ
る素材がある。また、吸着材や濾過材としては、植物を
加熱処理して得られる炭化物が利用されている。ところ
が、石油系材料を不完全燃焼させて得られる素材は、そ
の加熱処理中に発癌性物質の発生、混入の恐れがあるた
めに、例えば、アメリカでは使用禁止となっている。
【0003】石油系材料以外の燃焼素材に関しては、絹
を加熱処理して得られる炭化物を、人体外皮用塗布材や
濾過材として利用することが、既に特開平8−5921
9号公報に記載されている。この発明の絹の加熱処理
は、不活性ガス雰囲気中で600〜2000℃で行うも
のである。上記の発明において、加熱温度を600℃以
上としたのは、炭素化を完全に行うためである。
【0004】すなわち、600℃未満の温度では、発癌
性物質(レンスピレン)の発生の恐れがあり、しかも絹
素材中のワックス等によってタール状となり、生成物
(炭化物)が微粒子状または粒状の形態とならないため
に利用性に欠けるというものである。また加熱温度の上
限を2000℃としたのは、2000℃以上では消費エ
ネルギーが大き過ぎコスト面から産業上利用しにくいた
めである旨述べられている。しかし、この従来の発明で
は、加熱処理したものの炭化の度合いが極端に大きく、
従って適応分野としては極めて限られたものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
技術的背景のもとでなされたものである。すなわち、本
発明は、絹の炭化物の特性を生かした適応分野をより拡
げることを目的とする。絹をより穏やかな条件下で加熱
処理して炭化の程度を調整することにより、絹の炭化物
としての性質と絹本来の性質とを併せ有する各種用途に
有用な不完全炭化物(すなわち変性絹素材)を得ること
を目的とする。更にまた、加熱処理による消費エネルギ
ーを低コストに抑えて産業的に実施可能な変性絹素材の
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、絹を加熱
処理する際の条件を種々検討した結果、加熱処理物の炭
化の程度を種々に調整することができると共に、加熱処
理による消費エネルギーを低コストに抑えて産業的に実
施可能となる点を見出した。本発明は、この知見を基に
達成されたものであり、下記に示されるとおりの、絹を
特定の条件下で加熱処理することからなる変性絹素材の
製造方法、ならびに人体外皮用塗布材、医療用部材、植
物成長促進材、吸着材、濾過材および研磨材等の用途に
適した変性絹素材を提供するものである。
【0007】すなわち本発明は、(1)、絹の未精練、
絹の半精練、絹の精練物、又はそれらの複合物を、空気
によるガス圧0.5〜1.5気圧、温度150〜500
℃気流の雰囲気下で、一定時間加熱処理し、各種色彩を
有する変性絹素材を得る変性絹素材の製造方法に存す
る。
【0008】そして、(2)、加熱処理する時間は、数
分〜20時間の範囲である上記(1)の変性絹素材の製
造方法に存する。
【0009】そしてまた、(3)、絹の未精練、絹の半
精練、絹の精練物、又はそれらの複合物を、窒素、ヘリ
ウム、ネオン、アルゴン、クリプトンおよびキセノンか
ら選ばれる不活性ガス単独もしくはそれらの混合ガスに
よるガス圧0.5〜1.5気圧、温度150〜500℃
気流の雰囲気下で、一定時間加熱処理し、各種色彩を有
する変性絹素材を得る変性絹素材の製造方法に存する。
【0010】そしてまた、(4)、加熱処理する時間
は、数分〜20時間の範囲である上記(3)の変性絹素
材の製造方法に存する。
【0011】そしてまた、(5)、絹の未精練、絹の半
精練、絹の精練物、又はそれらの複合物が、フィルム、
粉末、繊維、糸、布帛、組物、もしくはそれらの複合物
の形態である上記(1)又は(4)のいずれか1の変性
絹素材の製造方法に存する。
【0012】そしてまた、(6)、各種色彩が黒、黄、
茶、褐色、赤、紫、青もしくは灰系色またはそれらの中
間色である上記(3)又は(4)のいずれか1の変性絹
素材の製造方法に存する。
【0013】そしてまた、(7)、絹の未精練、絹の半
精練、絹の精練物、又はそれらの複合物を、空気による
ガス圧0.5〜1.5気圧、温度150〜500℃気流
の雰囲気下で、一定時間加熱処理して得られた各種色彩
を有する変性絹素材に存する。
【0014】そしてまた、(8)、加熱処理する時間
は、数分〜20時間の範囲である上記(7)の変性絹素
材に存する。
【0015】そしてまた、(9)、絹の未精練、絹の半
精練、絹の精練物、又はそれらの複合物を、窒素、ヘリ
ウム、ネオン、アルゴン、クリプトンおよびキセノンか
ら選ばれる不活性ガス単独もしくはそれらの混合ガスの
ガス圧0.5〜1.5気圧、温度150〜500℃気流
の雰囲気の下で、一定時間加熱処理して得られた各種色
彩を有する変性絹素材に存する。
【0016】そしてまた、(10)、加熱処理する時間
は、数分〜20時間の範囲である上記(9)の変性絹素
材に存する。
【0017】そしてまた、(11)、変性絹素材を人体
外皮用塗布材の用途に用いる上記(7)〜(10)のい
ずれか1の変性絹素材に存する。
【0018】そしてまた、(12)、人体外皮用塗布材
が、外皮用医薬部品、外皮用医薬部外品または化粧品で
あることからなる上記(11)の変性絹素材に存する。
【0019】
【0020】そしてまた、(13)、変性絹素材を植物
成長促進材の用途に用いる上記(7)〜(10)のいず
れか1の変性絹素材に存する。
【0021】そしてまた、(14)、変性絹素材を吸着
材又は濾過材の用途に用いる上記(7)〜(10)のい
ずれか1の変性絹素材に存する。
【0022】そしてまた、(15)、変性絹素材を研磨
材の用途に用いる上記(7)〜(10)のいずれか1の
変性絹素材に存する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の変性絹素材の出発点とな
る絹素材は、絹の未精練、絹の半精練、絹の精練物、又
はそれらの複合物である。そして、その絹素材は、粉
末、繊維、糸、布帛(編物、織物、不織布等)、組物、
もしくはそれらの複合物の形態を有するものである。
【0024】一般に、絹は、繭糸、生糸、及び絹糸を総
称したもので、例えば、繭糸は、フィブロイン(約70
%)とセリシン(約28%)の蛋白質からなり、セリシ
ンはフィブロインを包むように存在している。ここで、
絹の精練物とは、絹を、セッケン、ラーゼンパワー等の
界面活性剤や炭酸ソーダ、ケイ酸ナトリウム等のアルカ
リ性物質を含んだ熱水で処理したもの(いわゆる「アル
カリ精練」という)、キモトリプシン、アルカラーゼ、
パパイン等の酵素を含んだ温水で処理したもの(いわゆ
る「酵素精練」という)、微生物で腐化処理したもの
(いわゆる「腐化精練」という)等をいい、セリシンと
共にワックスや無機質が取り除かれている。
【0025】また、絹の未精練物とは、精練処理されて
いない絹をいう。また、絹の半精練物とは、未精練物と
精練物の中間物をいい、通常はセリシンが15%以下の
ものである。本発明の製造方法において、加熱処理温度
は150〜500℃の範囲で行われる。その理由は、空
気気流中での処理の場合、500℃を超える温度では絹
は数分のうちに完全に炭化または燃焼してしまうからで
あり、また窒素、ヘリウム等の不活性ガス気流中での処
理の場合は、炭化の程度を調整、制御するのが難しくな
るためである。また150℃未満の温度では、空気、ま
た不活性ガスの気流中で炭化に長時間を要し実用的でな
いからである。
【0026】本発明の製造方法は、加熱処理としてはこ
のような比較的低い温度範囲で行うものであるから、消
費エネルギーを低コストに抑え産業上極めて有利であ
る。また、本発明の製造方法は、ガス圧0.5〜1.5
気圧(1気圧は、1013Hp)のガス気流下で加熱処
理するから、ガス気流が加熱分解により生成する揮発成
分を系外に運び去り、上記特開平8−59219号公報
に説明されるようなベトベトしたタール状の生成物が生
ずることがない。
【0027】すなわち不純物を変形絹素材に残留するこ
となく加熱処理が可能である。従って、加熱処理されて
できた変性絹素材は乾燥しているため、微粒子状または
粒状の形態の変性絹素材をも容易に得ることができるこ
ととなる。上記の気圧範囲では、原料絹素材を安定し
て、且つ効率良く昇温できるものである。そして、フィ
ルム状、布帛状の形態を有する原料絹素材は、加熱処理
により引張り強度が極端に低下するので、機械的粉砕に
よりたやすく微粒子状または粒状の形態の変性絹素材と
することができる。
【0028】本発明の変性絹素材は、加熱処理の程度に
応じ、白色、淡黄色、黄色、茶色、、焦げ茶色、青、
紫、黒茶、次いで黒色へと変化するから、例えば、これ
らを粉末にしたものは、ファンデーション、眉染め、白
髪染め、頬紅、マニキュア、口紅、アイシャドウ等の人
体外皮用塗布材の素材として利用できる。この場合に
は、目的の色の段階で加熱処理を素早く終了させて目的
とする各種色彩の変成絹素材を得ることができる。何故
なら、加熱処理の雰囲気温度が、500℃以下では、加
熱停止を容易に行えるからである。
【0029】このようにして得られる変性絹素材は、炭
化の程度に応じて存在する未炭化部分(絹)の大小に応
じ、様々の色を呈すると共に、絹に固有の生体適合性機
能も部分的に有しているものである。従って、炭化物と
しての性質と絹本来の性質とを、積極的に、併せ持つこ
ととなり、適用範囲が広まり、各種用途に使用すること
ができる。例えば、皮膚に直接触れる医療用素材や人体
外皮用塗布材の他、植物成長促進材、吸着材、濾過材お
よび研磨材等の用途にも使用できる。これらの用途に対
する有用性は、後述する実施例6〜11により明らかに
なろう。
【0030】ここで、先述したように、変性絹素材の原
料となる絹素材の形態は、フィルム、粉末、繊維、糸、
布帛(編物、織物、不織布)、組物及びそれらの複合物
等各種の形態を採ることができる。そのため熱処理後の
形態もその原料素材の形態のまま維持できている場合に
は、その形態で直接利用することもできる。例えば、布
帛(織物、編物、不織布)を加熱処理した場合、布帛の
特徴である繊維が3次元的に交絡しているため、単位体
積当たりの表面積が大きく、その吸着機能を利用する変
性絹素材として最適の素材となる。
【0031】変性絹素材を機械的に粉末化する場合に
は、0.01〜10ミクロンに粉砕する。0.01ミク
ロンより小さい変性絹素材の微粒子は、製造コスト的に
高くなり、加えるに実用上これより細かい粒子は余り必
要としない。10ミクロンより大きい変性絹素材の微粒
子は、利用する対象にもよるが、粒子が大きいため凝集
性が悪く、人体への塗布時、期待以上に肌に馴染まない
場合があったり、肌に違和感を感じることとなる。変性
絹素材を濾過材として用いる場合は、粉砕した大きさ
は、好ましくは0.01mm〜20mmが好適である。
【0032】
【発明の効果】本発明は、絹を穏やかな条件下(ガス圧
0.5〜1.5気圧、150〜500℃の気流雰囲気
下)で加熱処理して炭化の程度を調整することにより、
炭化物としての性質と絹本来の性質とを併せ持つ各種用
途に有用な変性絹素材を得ることができる。また、本発
明の製造方法は、比較的低温度の加熱処理条件を採用し
ているにもかかわらず、ガス圧0.5〜1.5気圧のガ
ス気流下で加熱処理するから、ガス気流が加熱分解によ
り生成する揮発成分を系外に運び去り、従来のようなベ
トベトしたタール状の生成物を生ずることがない。また
加熱温度が比較的低いため加熱処理による消費エネルギ
ーを低コストに抑えることができ、産業上極めて有利な
製造方法を提供することができるものである。
【0033】次に、本発明を実施例を使って更に詳しく
述べるが、本発明は、実施例に限定されることなく、そ
の発明の本質から逸脱しない範囲で種々の変形例が可能
であることはいうまでもない。例えば、絹としては、絹
製品等の廃材を利用したものであっても、適用可能であ
る。
【0034】
【実施例1】〔各種色彩を有する変性絹素材を得る例〕
水平に置いたガラス管内に、結晶性絹粉末(特許第26
15440号明細書に記載される結晶性絹粉末と同様の
もの)5gを仕込み、該結晶性絹粉末を仕込んだガラス
管を水平にして電気炉〔真陽理化学器材 (株),KP−
7型〕中に設置し、ガラス管の一端から他端に窒素ガス
を、ガス圧が1±0.1気圧となるように流しつつ、1
0℃/分の昇温速度で室温から加熱し、結晶性絹粉末を
加熱処理した。そして、その昇温過程での結晶性絹粉末
の色の変化を肉眼観察した。上記と同じ処理をアルゴン
ガスでも行って同様に昇温過程での結晶性絹粉末の色の
変化を肉眼観察した。それらの結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】なお、窒素ガスとアルゴンガスとでは、2
40℃〜280℃の範囲でアルゴンガスがやや赤みがが
った色をしているが、それ以外の温度領域ては両者の色
合は同じである。
【0037】
【実施例2】〔5ミクロン程度の茶褐色粒子を得る例〕
生糸を浴比1対50の0.1%炭酸ソーダ水溶液に浸漬
し、これを1時間煮沸後に、炭酸ソーダ水溶液を新しく
して再度1時間煮沸し、水洗乾燥して絹糸(フィブロイ
ン繊維)を得た。次に、実施例1の装置を用いて温度を
280℃、焼成時間を3分、約0.5気圧アルゴンガス
気流の条件を設定し、焼成炉に精練済みの絹糸を収容し
て焼成すると、絹糸は半炭化し絹蛋白の性質を一部分残
した状態の赤褐色の焼成物(変性絹素材)が生成した。
この変性絹素材を、ミクロジェット粉砕機〔ホソカワミ
クロン株式会社 (製)〕で粉砕し、さらに分級して5ミ
クロン程度の粒子を得た。
【0038】
【実施例3】〔織物の状態の変性絹素材を得る例〕水平
に置いたガラス管内に、絹織物を5gを仕込み、その仕
込んだガラス管を水平にして電気炉〔真陽理化学器材
(株),KP−7型〕中に設置し、ガラス管の一端から
他端に空気を、ガス圧が1±0.1気圧となるように流
しつつ、10℃/分の昇温速度で室温から加熱し、絹織
物を加熱処理した。そして、その昇温過程での絹織物の
色の変化を肉眼観察した。その結果を表2〜表4に示
す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】なお、着色が茶また赤褐色程度以上であれ
ば、加熱処理した絹織物は、ミクロジェット粉砕機等を
使って容易に機械的に粉砕でき、着色した絹粉末を得る
ことができる。
【0043】
【実施例4】〔圧力を変えた例〕さらに異なった焼成条
件による変性絹素材を得るため、気圧を1.6気圧とし
た以外は、実施例1と同じ実験を行った。また、気圧を
0.4気圧とした以外は、実施例1と同じ実験を行っ
た。これらの場合は、ガラス管内の結晶性絹粉末の安定
的な昇温ができなかった。
【0044】
【実施例5】〔紫、青色の粉末を得る例〕天蚕糸を浴比
50倍の0.1%炭酸ソーダ水溶液で1時間煮沸後に水
洗い、乾燥して得た天蚕絹糸を材料とした。この天蚕絹
糸を〔実施例1〕の装置を用いて温度を240℃の雰囲
気中で焼成すると(焼成時間、10分)紫および青色が
多く混ざった焼成物(変性絹素材)が生成した。
【0045】
【実施例6】〔外皮用塗布材としての例〕〔実施例1〕
の加熱処理において得られた、白(処理温度25℃)、
淡黄(処理温度220℃)、及び黒茶(処理温度300
℃)の変性絹素材について、皮膚ケア用の化粧品と下記
のように混合して、A、B、C、及びDを作成した。そ
して敏感肌(アレルギー性の肌)の人の背の皮膚に対し
て、上記A〜Dを3cm×3cmの大きさに、約0.0
5gを24時間塗布(解放バッチテスト)し、結果を見
た。
【0046】Aの場合は、結果Aの塗布の後は、少しか
ゆみがあった。B、C、Dの塗布の後にはかゆみは無
く、塗布しなかった皮膚部分より滑るようにつるつるし
ていた。特に、Bの塗布の後は、かゆみが全く無くシッ
トリとすべすべしていた。
【0047】A:一般化粧品(主成分タルク、カオリ
ン、酸化アエン) B:絹素材(白)100% C:A50%+変性絹素材(淡黄)50% D:A50%+変性絹素材(黒茶)50%
【0048】
【実施例7】〔植物成長促進材としての例〕〔実施例
1〕の加熱処理において得られた、茶色(処理温度26
0℃)の変性絹素材10gを、1000gの水に入れ
た。この変性絹素材の入った水(100g)を幅約20
cm、長さ約60cm、深さ約15cmの容器に植えた
日々草の笛に毎週与えた。2ケ月後にその様子を観察し
た。その結果、上記水を与えなかった日々草(10本)
と与えた日々草(10本)の地表面上の部分の重量を測
定すると、上記水を与えなかった日々草110gに対
し、与えた日々草は150gであった。
【0049】
【実施例8】〔吸着材としての例〕〔実施例3〕の加熱
処理において得られた、こげ茶色(表4参照)の結晶性
絹粉末を2gを綿布の袋に入れ、この袋を少し濁ってい
る淡水1リットル(琵琶湖から採集)の中に5時間入れ
ておいたところ、濁りは少なく、透明さがよくなってい
た。
【0050】
【実施例9】〔臭い対する吸着材(消臭剤)としての
例〕約6m2 の密閉室内に腐敗した生魚1匹(300
g)を1時間静置した後に、この魚を室外に出し、その
後、前述の〔実施例3〕の加熱処理において得られた、
こげ茶色(表4参照)の結晶性絹粉末100gを、室内
に静置した。6時間後に室内の臭いをかいだところ、臭
いの程度はかなり低くなっていた。
【0051】
【実施例10】〔研磨材としての例〕〔実施例1〕の加
熱処理において得られた、白色(処理温度100℃)お
よび茶色(処理温度270℃)の結晶性絹粉末を用いて
研磨した。研磨は、ガラスおよび金属(銅)面上を眼鏡
拭き布にアルコールを含ませ、よく拭いた後に、白色お
よび茶色の結晶性絹粉末を50cm2 当たり2g置き、
その上に乾いた眼鏡拭き布、さらにプラスチック板を乗
せ、10kg/cm2 の加重でガラスおよび金属面を1
時間研磨した。その後、ガラスおよび金属面を眼鏡拭き
布にアルコールを含ませよく拭いた。ガラスおよび金属
面に光を反射させて表面を観察したところ、研磨によっ
て光沢はよくなっていた。同様な手法により、〔実施例
3〕の加熱処理において得られた赤褐色(表3参照)の
結晶性絹粉末を用いて研磨した。その結果、ガラスおよ
び金属面に光を反射させて表面を観察したところ、研磨
によって光沢はよくなっており、白色の結晶性絹粉末の
場合より、やや光沢の度合いが大きい。
【0052】
【実施例11】〔フィルター(濾過材)としての例〕
〔実施例1〕の加熱処理において得られた、白色(処理
温度100℃)(表1参照)の結晶性絹粉末を用いてフ
イルターとしての使用実験を行った。この白色の絹粉末
をそれぞれ平板間に挟み、20kg/cm2 の圧力で加
圧して固め、厚さ2mmの粉末による板状体を作った。
この粉末による板状体を濾紙間にサンドイッチ状に挟
み、フィルターとした。次に、琵琶湖の水を用いて0.
5気圧で吸引濾過を行ったところ、濾過後の水の濁りの
程度はかなり少なくなった。同様な手法により、〔実施
例3〕の加熱処理において得られた赤褐色(表3参照)
の結晶性絹粉末を用いてフィルターとしての使用実験を
行った。その結果、濾過後の水の濁りの程度はかなり少
なくなり、前者の白色の結晶性絹粉末のフィルターに較
べてより濁りの程度は少なくなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 7/02 A61K 7/02 P A61L 15/00 A61L 15/00 C01B 31/02 101 C01B 31/02 101A D06C 7/04 D06C 7/04 (72)発明者 坪内 紘三 茨城県北相馬郡守谷町松前台6丁目15− 8 (72)発明者 藤浦 粧子 大阪府大阪市福島区福島6−11−13− 608株式会社オードレマン内 (56)参考文献 特開 平10−266010(JP,A) 特開 平8−59219(JP,A) 特開 平7−330621(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06C 7/04 C01B 31/02 101

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絹の未精練、絹の半精練、絹の精練物、
    又はそれらの複合物を、空気によるガス圧0.5〜1.
    5気圧、温度150〜500℃気流の雰囲気下で、一定
    時間加熱処理し、各種色彩を有する変性絹素材を得るこ
    とを特徴とする変性絹素材の製造方法。
  2. 【請求項2】 加熱処理する時間は、数分〜20時間の
    範囲であることを特徴とする請求項1記載の変性絹素材
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 絹の未精練、絹の半精練、絹の精練物、
    又はそれらの複合物を、窒素、ヘリウム、ネオン、アル
    ゴン、クリプトンおよびキセノンから選ばれる不活性ガ
    ス単独もしくはそれらの混合ガスによるガス圧0.5〜
    1.5気圧、温度150〜500℃気流の雰囲気下で、
    一定時間加熱処理し、各種色彩を有する変性絹素材を得
    ることを特徴とする変性絹素材の製造方法。
  4. 【請求項4】 加熱処理する時間は、数分〜20時間の
    範囲であることを特徴する請求項3記載の変性絹素材の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 絹の未精練、絹の半精練、絹の精練物、
    又はそれらの複合物が、フィルム、粉末、繊維、糸、布
    帛、組物、もしくはそれらの複合物の形態であることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の変性絹素
    材の製造方法。
  6. 【請求項6】 各種色彩が黒、黄、茶、褐色、赤、紫、
    青もしくは灰系色またはそれらの中間色であることを特
    徴とする請求項3〜4のいずれか1項記載の変性絹素材
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 絹の未精練、絹の半精練、絹の精練物、
    又はそれらの複合物を、空気によるガス圧0.5〜1.
    5気圧、温度150〜500℃気流の雰囲気下で、一定
    時間加熱処理して得られた各種色彩を有することを特徴
    とする変性絹素材。
  8. 【請求項8】 加熱処理する時間は、数分〜20時間の
    範囲であることを特徴とする請求項7記載の変性絹素
    材。
  9. 【請求項9】 絹の未精練、絹の半精練、絹の精練物、
    又はそれらの複合物を、窒素、ヘリウム、ネオン、アル
    ゴン、クリプトンおよびキセノンから選ばれる不活性ガ
    ス単独もしくはそれらの混合ガスのガス圧0.5〜1.
    5気圧、温度150〜500℃気流の雰囲気の下で、一
    定時間加熱処理して得られた各種色彩を有することを特
    徴とする変性絹素材。
  10. 【請求項10】 加熱処理する時間は、数分〜20時間
    の範囲であることを特徴とする請求項9記載の変性絹素
    材。
  11. 【請求項11】 変性絹素材を人体外皮用塗布材の用途
    に用いることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1
    項記載の変性絹素材。
  12. 【請求項12】 人体外皮用塗布材が、外皮用医薬部
    品、外皮用医薬部外品または化粧品であることからなる
    請求項11記載の変性絹素材。
  13. 【請求項13】 変性絹素材を植物成長促進材の用途に
    用いることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項
    記載の変性絹素材。
  14. 【請求項14】 変性絹素材を吸着材又は濾過材の用途
    に用いることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1
    項記載の変性絹素材。
  15. 【請求項15】 変性絹素材を研磨材の用途に用いるこ
    とを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項記載の変
    性絹素材。
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