JP2005255673A - 野蚕繭を処理した物質群。 - Google Patents

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Abstract

【課題】野蚕繭のうちクリキュラ繭は黄金色をしているが、精錬して糸にすると白褐色になりその金色が失われてしまっていた。また、野蚕繭には紫外線吸収効果があると言われていたが、その成分の効率的な取りだし方法が知られていなかった。
【解決手段】水単独やエタノール水など中性の水性液体でクリキュラ繭を常温ないし加熱抽出すると、この抽出液に紫外線吸収成分がもっとも多く集まることを見出した。また、0.11MPa〜0.4MPaの範囲の中性水溶液で加圧加熱抽出すると、金色を保持した絹に精錬され解繊できることも見出し、金色の繊維製品を製造することができ、その抽出液は400nm以下の紫外線吸収能と静菌効果があることが解った。これら金色の繊維は各種繊維加工品に応用でき、抽出物は化粧品等に応用した。
【選択図】図1

Description

本発明は、野蚕繭の加工物質に関する。更に詳しくは、新規な処理技術によって精錬したクリキュラ繭繊維およびその抽出物に関する。
野蚕であるサク蚕やエリ蚕の繭は、紫外線の400nm付近で約20%の吸収があってそれ以下の短波長側(UV−A:400nm〜340nm、UV−B:340nm〜280nm,UV−C:280nm〜190nm)をより多く吸収するが、家蚕繭は400nm付近で約10%しか吸収せずそれ以下の短波長側でも吸収度が弱いことが知られている。また、前記2つの野蚕繭には静菌性もあって、且つ、人体に対し毒性がないため、その他の野蚕であるクリキュラ、アナフェ、タサール蚕、ムガ蚕、クス蚕、ヤナクニ蚕(別名アタカス)などの繭も含めて、同様に紫外線吸収効果や静菌性があると考えられ、これは野蚕のさなぎを守るための自然の知恵であると言われている。
以下の文献に紹介するように、天然繭そのものを布状に加工してマフラー、背広、その他紫外線カット繊維製品や、天然繭を粉砕して紫外線吸収剤として配合した化粧品などが提案されている。これらに関する文献を以下に示す。
赤井弘、野蚕No.37、p14(1999年7月)
特開平9−328000号公報
特開平11−181399号公報
特開2000−143992号公報
特開2003−192530号公報
また、家蚕繭および各種の野蚕繭は、主成分としてタンパク質繊維成分のフィブロインと結合成分のセリシンとからなっている。従来、家蚕繭の精錬においては、沸騰水中で煮沸してセリシンを溶解し、繊維を取り出している。一方、野蚕繭においては煮沸程度ではセリシンが容易に溶解されないため、炭酸ソーダ水などのアルカリ性水溶液中で煮沸精錬する研究がなされている。また、野蚕繭そのものを燐酸で加水分解して溶解し、燐酸を除去した溶液をそのまま、または再沈殿して粉末化したり、あるいは、5気圧から20気圧の高圧水蒸気下で高温分解(爆砕)させ、その後セリシンとフィブロインを回収し、粉末化した紫外線吸収剤として利用する方法などが提案されている。これらの方法を開示する文献を以下に示す。
加藤ら・日本蚕糸学雑誌・第68巻第5号p405−415(1999年)
特開2000−53551号公報
特開2002−804998号公報
家蚕繭の化学的研究において繊維質を形成する結晶性のフィブロインは、強酸で加水分解して水性液体に溶解し、その主なアミノ酸成分がアラニン、グリシン、チロシン、リジン、アルギニンであることが解っている。一方、セリシンのアミノ酸成分には、フィブロインに比べて、グリシン、アラニン、チロシンが多く、他にリジン、アルギニンもあることが知られている。しかし、野蚕繭は、白色ではなく、茶、緑、金などいろいろな色をしているが、その成分は未だ解明されていない。
前述の野蚕繭のうち、東南アジアに分布するクリキュラの繭は、近年、インドネシア・ジョクジャカルタ産黄金の繭として日本に紹介され、金色であるが故に、その利用研究が行われてきた。しかし、特にクリキュラ繭は、ネット状で繊維量が少なく、且つ、強固にセリシンで固められているため精錬が困難であり、前述のアルカリ精錬すると黄金色はなくなって、薄褐色の繊維になってしまい、繊維の利用研究は暗礁に乗りあげているのが現状である。
また、これまでの研究には、クリキュラ繭の分析的研究と前記紫外線吸収効果とを結びつけた報告は多くない。前述の特許文献では、野蚕の繭そのものを機械的粉砕や強酸溶解物の回収、5気圧以上の高温高圧の水蒸気による爆発的分解法などによって得た粉末を紫外線カット成分として化粧品に添加応用することなどが紹介されている。しかし、紫外線カット粉末が肌上で点状に分布するという状況から、効率が良いものではなかった。また、強酸への加水分解溶解物から強酸を取り除いた後、漂白して化粧品に添加するという方法もある。しかし、強酸中和後の不要物質の除去が困難、または非経済的である。また、粉末または分解物を利用するこれら従来方法は、繭のセリシン、フィブロインをそのまま、または加水分解したペプチドを紫外線カット成分として利用しようとするもので、これらは家蚕繭より紫外線吸収度は多少大きいものの、必ずしも紫外線吸収効果が充分なものではなかった。
問題を解決する手段
本発明は、野蚕繭の新規な処理技術によって、必要な繊維を取りだし、および必要な成分を抽出する事ができることを見出したもので、もって新規な繊維製品と新規な抽出物とを提供するものである。特に、本発明の抽出物は高い紫外線吸収能力を有することを見出し、本発明に至った。従来の野蚕繭処理方法では、前記のセリシン、フィブロイン、ペプチドを析出させたあとの残液を廃棄しているが、本発明者らはこの廃液中に紫外線吸収成分があることを見出した。また従来、強酸分解物を漂白すると、紫外線吸収有効成分を破壊しているおそれもあった。本発明は、クリキュラ、アナフェ、タサール蚕、ムガ蚕、クス蚕、ヤナクニ蚕(アタカス)、サク蚕、エリ蚕などの野蚕繭を利用できるもので、特にクリキュラ繭が最も紫外線吸収効果が高い事を見出したことに基づく。
即ち本発明は、前記の野蚕繭が中性ないし弱酸性の液体によって分離処理されたことを特徴とする、前記液体への抽出物質と残存繊維とからなる物質群の内の少なくとも1つの物質に関する。ここで野蚕とは、前記のような繭を作る野生種であるが、特にクリキュラ繭が、黄金色の繊維と高い紫外線吸収効果のある抽出物を与えもっとも好ましい。クリキュラは、熱帯アジアに生息する蛾(学名・Curicula Trifenestrata)で、インドネシア産がよく知られている。
ここで中性ないし弱酸性の液体とは、少なくともノニオン性溶剤を5重量%以上100重量%以下含有する水性溶剤、または、PHが2以上7.5以下の水性液体であって、好ましくはPHが3以上6.5以下の弱酸性水性液体である。さらに、前記液体が水を少なくとも10重量%以上100重量%以下含有する水性液体であって0.11MPa(MegaPascal)以上0.4MPa以下の加圧加熱状態の飽和蒸気圧条件下で加熱処理して、野蚕繭を繊維と抽出物質とに分離することもできる。
また本発明は、このような処理によって残存した繊維を種々の加工法によって製造された繊維製品をも含む。また、前記液体への抽出物質を含有する種々の組成物にも関し、例えばクリキュラ酒、クリキュラエキス入りジュース、クリキュラエキス入り茶などの食品、特に日焼け止めクリーム、UVカット化粧水などの化粧品への前記抽出物の配合物を提供する。また、酒類や化粧水などは、琥珀色のクリキュラ抽出液中に金色の繭を残したまま透明な瓶に詰めるなど、意匠性を発揮させることも出来る。
本発明でいう中性ないし弱酸性の液体としては、水単独のほか、ギ酸、プロピオン酸、酢酸、燐酸、ラク酸、微量の硫酸,塩酸、硝酸を水に添加した水性液体がある。本発明では、繊維成分であるフィブロインを加水分解せず、セリシンのみを溶解させるか或いはさせないで、有効抽出分を取り出すために、PHは2から8の間で処理する。さらに、繊維の強度にダメージを与えないために、PH3から6.5の間で処理することが好ましい。これら酸性物質は、抽出処理後、使用目的によっては中和ないし除去してもよい。ここで中和とは、苛性ソーダ水溶液、苛性カリ水溶液、水酸化カルシウム水溶液などアルカリで中和することをいう。また、酸の除去とは、抽出物液中にカルシウム塩、バリウム塩など不溶性塩を形成させ、ろ過除去してもよいし、抽出物液を交換樹脂で処理してもよい。さらに金色の色合いを保ち、繊維の強度を低下させないためには、最終的にPH5.5〜7.5の中性にしてもよい。
また、本発明でいうノニオン性溶剤とは、メタノール、エタノール、n−およびiso−プロバノール、n−、iso−およびtert−ブタノール、nおよびiso−アミルアルコール、モノメトキシエタノール、モノエトキシエタノール、モノブトキシエタノール、フェノキシエタノール、o−およびm−、p−トルイルエタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、n−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジオキサン、ジメチルスルフィドなどの物質のうち単独または2以上の混合物をいう。これらノニオン性溶剤単独または水と混合して使用する。混合物としては各種の酒類も使用できるが、焼酎、ウイスキー、ウオッカなどの蒸留酒が好ましい。また、ここで水は、純水、イオン交換水、蒸留水が好ましく、少なくとも沸騰させて水垢が容器にでない程度の軟水である必要がある。硬水の場合はカルシウム分イオン多く、また、井戸水は鉄イオンを含む事があり、抽出物を沈殿させたり、残った繊維を変色させるので注意を要する。
野蚕繭から前記水性液体による抽出処理の温度としては、常温から沸点の間である。前記処理の圧力としては、常圧から0.4MPa迄で、更に好ましくは、常圧から0.2MPaまである。抽出装置としては、主として紫外線吸収成分を抽出する場合は、通常の蓋付き容器でよく、加熱沸騰させる場合は還流冷却管を設置する。繭からセリシンを除去するために0.11MPa以上に加熱加圧する場合、工業用オートクレーブを用いるが家庭用圧力釜でもよい。ここで0.4MPaを越えて加熱すると、溶媒が水の場合、内温は143℃を越え、繊維が劣化してその強度が低下し、且つ、薄褐色に変化して好ましくない。0.11MPaを下回ると、野蚕繭のセリシンを溶解できない場合が多い。
前記水性液体中で野蚕繭を沸騰加熱する時間は、繭の種類、同種でも固体差があり、また、温度、圧力により異なるが、10分から2時間程度とすることが好ましい。2時間を越えると、クリキュラ繭の場合、金色が失われ褐色に変化してしまうので気をつけなければならない。特に0.11MPa以上に加圧加熱する場合は、1時間以下の加熱時間であることが好ましい。尚、100℃未満の場合は、当然長く加熱してもよいが、長すぎると抽出物も琥珀色ではなく褐色になるので注意を要する。処理温度が室温の場合は、前記ノニオン性水性溶液に数ヶ月間浸漬していても、抽出液が琥珀色となり、繊維は黄金色を保つ。
抽出処理後、クリキュラ繭の残存繊維の色合い、風合い、解繊状態は抽出条件により異なる。例えば、クリキュラ繭を常温常圧で中性アルコール水溶液に数日間浸漬すると、あるいは常圧で中性アルコール水溶液を沸騰させて抽出すると、残存繊維は美しい金色を呈し、袋状の繭を切り開いてウエット状態で四方に牽引すると伸びて不織布状になり、さらに短冊状に引き裂いてコヨリ状に紡ぐことによって金糸に加工することができる。この金糸を織り加工すると、サラッとした風合いの織物ができ、帽子、ラグ、マット、手提げバッグなどの生地には最適である。また、この段階ではセリシンがかなり残存している。
クリキュラ繭の場合、中性の水100%中で加圧加熱処理により薄い金色の繭が残り、これを濡れた状態で繭の端を摘んで引っ張ると容易に単繊維が引き出されてくる。従って、家蚕繭のように長繊維フィラメント糸として取り出してもよく、また、大きく切った繭から数cmから数十cmの短繊維として解繊して真綿とし、乾燥後、紡績して糸として取り出してもよい。この糸を織物あるいは編物に加工すると、金色の光沢のある繊維製品が得られる。
紙として繊維製品を得たい場合は、前記加圧処理の前または後で、繭を1cm〜数cm角に切っておけば、本発明の処理後、公知の水中での叩解法により解繊し、糊剤の入った水から抄紙することができる。ここで公知のタモなどの天然抄紙用粘剤、ポリオキシエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド系合成抄紙用粘剤をもちいてよく、また糊剤としては、ニカワ、澱粉糊、アラビアガムなどの天然糊の他、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドのなど合成糊を用いることができる。また、和紙、西洋紙などのセルロース系パルプに混ぜて抄紙すれば、糊剤を不用とする場合がある。本発明の抽出後の繊維製品は、微細な空孔を有している。この空孔にスギオールなどの森林浴成分、香料、吸臭剤などを含浸させた繊維製品に二次加工してもよい。
本発明の上限に近い弱酸性水溶液中で加圧過熱処理した後のクリキュラ繭の繊維は、従来のアルカリ精錬した場合と同様、金色が脱色され白色に近い薄褐色ないし黄色になるが、従来法のアルカリ精錬法に比べて繊維強度は充分に保ち、フィラメント糸または紡績糸に加工した後、柔らかい風合いを保ちながら丈夫な布帛に編織加工することができる。そのままでも素朴な色合いの生地として利用できるが、染色ないし漂白して任意の色合いの布帛、衣料品、雑貨に加工することができる。このように本発明の処理条件の範囲内においては、前記の金色織物をはじめ、金色紙、金色不織布、さまざまな色合い、風合いの繊維製品を製造することができる。
従来、家蚕繭の精錬においてセリシンを含む抽出分は、廃棄されていた。本発明者らは、野蚕繭を抽出したところその色は、使用する溶液、温度、圧力によりその濃さは異なるが、いずれも黄色から琥珀色の透明から半透明なものであった。これを分析し家蚕繭と比較したところ、図1に示す様に、野蚕繭からの抽出物はいずれも家蚕繭からのそれに比べて、400nm以下の紫外線領域での吸収が大きく、いわゆるUVカット効果があり、中でもクリキュラ繭は最もUVカット能力が高いことを見出した。
本発明者らは、クリキュラ繭からのアルコール水抽出物を、20人の肌につけて皮膚反応知験を行ったが、異常を起こした人は一人もいなかった。従って、本発明の抽出物は、野蚕繭抽出物には紫外線吸収効果が高く、化粧品添加物として最適であり、化粧品の中でも、化粧水、化粧乳液、化粧クリーム、日焼け止めクリーム、口紅、リップクリーム、ヘアローション、ポマード、ヘアクリームなどに配合することができる。また、配合済みのベース化粧品に、後でクリキュラ繭を浸漬して成分を抽出させることを特徴とする化粧品であってもよい。
家蚕はもとより、野蚕のさなぎ虫を食用に供する風習がある。中でも、クリキュラのさなぎは、インドネシアでは現在でも食用としており、その毒性は無い。同様にクリキュラ繭にも毒性はなく、本発明の抽出物を食品添加物として使用しても問題はない。野蚕繭には、前述の紫外線吸収効果の他に、抗菌ないし静菌効果があることが解っており、例えばジャム、チーズ、茶、菓子、パン、ソース、香辛料などの防腐剤として利用できる。
発明の効果
本発明では、従来なし得なかった金色のクリキュラ繭を金色のまま加工して繊維製品を製造することに成功した。即ち、本発明のノニオン性溶剤によりクリキュラ繭を精錬すると、セリシンを溶解はしないが可塑化して繭を柔軟化し、あるいは引き伸ばして糸に加工でき、金色を保持したままの紙、不織布、糸、織物、編物、衣服、雑貨などの繊維製品を製造することができた。また、中性水溶液中に浸漬してさらに0.11MPa以上の0.4MPa以下の加熱加圧処理すれば、多少薄くはなるが金色を保持したまま、容易に単繊維が引き出され、金色の糸を紡ぐことができ、薄手の金色織物、金色編物、金色衣服を製造することが出来る。
弱酸性の溶剤を使用し、常温から沸点までの間の適当な温度で処理すれば、適度なセリシン量を繊維側に残存させることができ、さらに0.11MPa以上の0.4MPa以下の加熱加圧処理すれば、強度を損なうことなく、セリシン量を減少させ、或いは完全除去することができ、絹様、その他さまざまな風合いの繊維製品、金色の繊維製品、紙状製品を製造することができる。
従来、家蚕繭の精錬においてセリシンを含む抽出分は、廃棄されていた。本発明者らは、野蚕繭抽出物の有効性を見出し、全く捨てることなく利用することにより環境への負荷を大きく軽減することができた。また、野蚕繭抽出物の溶液は、400nm以下の紫外線領域(UV−A)での吸収が大きく、いわゆるUVカット効果があり、中でもクリキュラ繭は最も大きく、この400nm波長で80%も吸収し、家蚕繭の10%に対して非常に優れ、UV−B領域の300nmでは家蚕繭の10%に対してクリキュラ繭は89%吸収し、いわゆるUVカット能力が高いことを見出した。また、クリキュラを始めこれら繭の中性溶液抽出物とPHを中和した弱酸性溶液抽出物は、室内に放置していても、いずれもカビが生えず、また、固く干からびもせず、抗菌性と保湿性があることも見出した。また、本発明の水あるいはエタノール水など中性溶液による抽出物は、そのまま各種化粧品、各種食品への添加物として利用することができて応用範囲が広く、抽出工程も簡単で実用性が高い。特に、従来の化粧水混合液にクリキュラ繭を浸漬したものは、その状態で金色の繭入り琥珀状化粧水として意匠性が高く、また、クリキュラ繭入りの焼酎付け等を製造することも出来る。
以下に本発明の実施例を記すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
インドネシア国ジョクジャカルタ産クリキュラ繭からさなぎを取り出した後、室温の水で洗浄して乾燥し、還流冷却管を取り付けた丸底フラスコ中に、300gの33wt%エタノール水とこの繭3gを投入し1時間煮沸した。繭はピンセットで取りだし、水で洗浄し濡れた状態で四方に延伸してほぼ平面状にし、抽出物は別の容器に保管した。延伸した繭を乾燥すると淡い金色の約5cm四方の不織布状物を得た。これを複数枚斜めに重ね合せて薄いニカワ糊で貼り合わせ、アイロン掛けし約40cm×50cmの紙状物を得た。この紙状物には絵画を描き美術品として販売される。
前記クリキュラ繭10gと水1000mlとを家庭用高圧鍋に仕込み、飽和蒸気圧で20分間加熱加圧処理した。この高圧鍋の調節弁は、圧力1.45kg/cm(0.142MPa)、128℃を保つ。抽出液は別の容器に移し、繭を温湯で洗浄し、濡れた状態でほぐれた繊維を引っぱると10cmから1m程度の単繊維が抜け出し、時々切れるので他の単繊維と合わせ集めて真綿状にし乾燥した。この真綿はつやのある金色で、これを紡績し28デニールの糸に加工した。同様にして多量の繭から同デニールの紡績糸を得て、織物に加工したところ、つやのある金色で非常に風合いが柔らかく、マフラーとして最適であった。
実施例2で得た加圧処理後のクリキュラ繭を濡れたまま、1〜3cm角の破片に切断し叩いて解繊し、分子量50万のポリエチレンオキサイドを適量加えたトロミのある水に繊維を分散させ、さらにニカワ溶液を適量加えて手漉き法で抄紙加工した。得られた紙状物は画用紙として最適なものとなった。
実施例1で得た琥珀色の抽出液の濃度は0.072wt%であった。これをそのまま、島津製作所製紫外可視吸収スペクトル測定機V−560で紫外線吸収スペクトルを測定した。図1の符号1に示すように、440nmを底とする青色吸収を示すスペクトルに続いて、340nmから400nmのUV−A光は20%から30%を通過させるのみで大部分を吸収し、280nmから340nmにUV−B光は6%から27%を通過させるのみ、さらにUV−Cの透過光は8%以下0%でほとんど完全に吸収し、いわゆるUVカット効果があることがわかった。
実施例1と同様にして得たサク蚕繭の0.07wt%濃度の抽出物溶液を、実施例4と同様に紫外可視吸収スペクトルを測定し、図1に符号2として示した。すなわち、サク繭の場合はUV−A光を65%から80%を通過させ、UV−B光も10%〜65%を通過させるのみであった。
実施例1と同様にして得たエリ蚕繭の0.06wt%濃度の抽出物溶液を、実施例4と同様に紫外可視吸収スペクトルを測定し、図1に符号3として示した。すなわち、エリ繭の場合はUV−A光を76%から86%を通過させ、UV−B光も14%〜76%を通過させるのみであった。
比較例1
実施例1と同様にして得た家蚕繭の0.11wt%濃度の抽出物溶液を、実施例4と同様に紫外可視吸収スペクトルを測定し、図1に符号4として示した。すなわち、家蚕繭の場合はUV−A光を83%から90%を通過させ、UV−B光も24%〜83%を通過させ、野蚕繭抽出物より劣ることがわかった。
下記成分を室温で溶解混合してベース液20mlを作り、これに洗浄消毒したクリキュラ繭1個(0.1g)を7日間浸漬して、琥珀色の化粧水と金色の繭を含有する化粧品を調整した。
(wt%)
イオン交換水 77.55
アスコルビン酸グルコシド 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.15
フィトヒアロン 0.05
リン酸アスコルビルマグネシウム 0.05
酢酸トコフェロール 0.05
ポリエチレングリコール100 0.1
水添レシチン 0.05
ジヒドロコレステロール 0.05
トリエチルヘキサノイン 0.05
コレステロール 0.05
コエンザイム 0.05
月桃葉エキス 0.05
コラーゲン 0.05
AHA 0.05
ウワウルシ葉エキス 0.05
エブリコエキス 0.05
加水分解シルク 0.1
ビフィズス菌発酵エキス 0.05
トレハロース 0.05
セラミドコンプレックス 0.05
スフィンゴ脂質 0.05
アスコルビン酸 0.1
アルギニン 0.1
アロエベラエキス 0.05
カッコンエキス 0・05
クロレラエキス 0.05
フラボステロンSB 0.05
卵殻膜プロテイン 0.1
デオキシリボ核酸ナトリウム 0.05
フェノキシエタノール 1.0
オリゴコクト 0.05
アーネストガム 0.05
1,3−ブタンジオール 2.0
グリセリン 2.5
エタノール 15.0
実施例1で得たクリキュラ繭抽出水溶液を、7wt%濃度まで濃縮し、クリキュラ繭エッセンスEと命名した。下記C成分とD成分をそれぞれ別々に70℃で加熱混合した後、C成分をD成分に加え、充分に混合乳化して最後に香料を添加し乳液状顔用化粧品を製造した。
原料名 配合量(wt%)
C成分 トリオレイン酸グリセリド 7.5
やし油モノグルセリド 1.0
ポリオキシエチレン(20)ヒマシ油 1.5
D成分 グリセリン 2.5
7%クリキュラ繭エッセンスE 3.5
精製水 83.8
香料 0.2
次に示すA成分と、実施例2で得たクリキュラ繭エッセンスWを加えたB成分とをそれぞれ別々に70℃で加熱混合した後、B成分をA成分に加え、充分に混合乳化し室温まで冷却してから香料を加えて顔用クリーム状化粧品を製造した。
原料名 配合量(wt%)
A成分 ワセリン 18
セタノール 8
オレイン酸ポリオキシエチレン(20) 1.4
モノステアリン酸ソルビタン 0.8
B成分 精製水 69.2
クリキュラ繭エッセンスW 2.4
香料 0.2
実施例7で製造した化粧水で顔の肌を整え、次に実施例8で製造した乳液を施し、最後に実施例9の化粧クリームを塗る、という評価方法で20名の女性被験者に1ヶ月間使用してもらったところ、7名が、肌に潤いがでた、日焼けしにくくなった、肌がすべすべする、などの効果があったと回答があり、かぶれや痒みを訴える人はいなかった。尚、クリキュラ繭エッセンスEおよびクリキュラ繭エッセンスWは共に、3ヶ月間常温で放置してもカビが生えず、また、腐敗臭もせず、抗菌性または静菌性があることがわかった。
産業上の利用の可能性
本発明の野蚕繭から得られる繊製品は、天然の色合いや残して天然絹製品を製造することができる。特に、クリキュラ繭からは、その黄金色を保ちながら、高級な織物、編物、不織布、紙など繊維製品を、染色することなく得られ、これらを用いた各種の縫製品に加工することができる。
また、本発明の野蚕繭抽出物は、毒性や刺激性が全くない上に、紫外線吸収効果と抗菌性または静菌性があり、化粧品、食品添加物として有用である。
本発明の野蚕繭および家蚕繭の抽出物の紫外可視吸収スペクトルを表すグラフである。
符号の説明
1 クリキュラ繭抽出物の紫外可視吸収スペクトル
2 サク繭抽出物の紫外可視吸収スペクトル
3 エリ繭抽出物の紫外可視吸収スペクトル
4 家蚕繭抽出物の紫外可視吸収スペクトル

Claims (8)

  1. 野蚕繭が、少なくともノニオン性溶剤を10重量%以上100重量%以下含有する水性液体によって分離処理されたことを特徴とする、前記水性液体への抽出物質と残存繊維とからなる物質群の内の少なくとも1つの物質。
  2. 野蚕繭が、PHが2以上6.5以下の弱酸性水性液体によって分離処理されたことを特徴とする、前記水性液体への抽出物質と残存繊維とからなる物質群の内の少なくとも1つの物質。
  3. 野蚕繭が、少なくとも10重量%以上100重量%以下の水を含有し、0.11MPa以上0.4MPa以下の加圧加熱状態の水性液体によって分離処理されたことを特徴とする、前記水性液体への抽出物質と残存繊維とからなる物質群の内の少なくとも1つの物質。
  4. 前記野蚕繭がクリキュラ繭であることを特徴とする、請求項1から3いずれかに記載の前記液体への抽出物質と残存繊維とからなる物質群の内の少なくとも1つの物質。
  5. 請求項1から4いずれかに記載の残存繊維が加工されたことを特徴とする、繊維製品。
  6. 請求項1から4いずれかに記載の前記水性液体への抽出物質の内の少なくとも1つの物質を含有することを特徴とする、組成物。
  7. 請求項1から4いずれかに記載の物質群の内の少なくとも1つの物質を含有することを特徴とする、化粧品。
  8. 請求項1から4いずれかに記載の物質群の内の少なくとも1つの物質を含有することを特徴とする、食品。
JP2005028222A 2004-01-15 2005-01-05 野蚕繭を処理した物質群。 Pending JP2005255673A (ja)

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