JP2003002898A - 未分解絹フィブロイン水溶液の製造法およびそれを含む皮膚ケア剤 - Google Patents

未分解絹フィブロイン水溶液の製造法およびそれを含む皮膚ケア剤

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JP2003002898A
JP2003002898A JP2002107503A JP2002107503A JP2003002898A JP 2003002898 A JP2003002898 A JP 2003002898A JP 2002107503 A JP2002107503 A JP 2002107503A JP 2002107503 A JP2002107503 A JP 2002107503A JP 2003002898 A JP2003002898 A JP 2003002898A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 生繭、乾繭もしくは煮繭した繭の繭層も
しくは繭糸、生糸、絹織物、又はそれらの残糸若しくは
屑物を精練して得られる未分解絹フィブロインの溶解液
を、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンを含む水
溶液で透析して、カルシウムイオン又はマグネシウムイ
オンの濃度が0.03M〜2.0Mの未分解絹フィブロ
イン水溶液を得ることを特徴とする、良好な保存安定性
を有する未分解絹フィブロイン水溶液の製造法。 【効果】 未分解絹フィブロインを未分解のまま水溶液
の状態で長期に保存できる。未分解絹フィブロインはヒ
ト皮膚由来の線維芽細胞を生育促進する作用があること
から、保存安定性の未分解絹フィブロイン水溶液を皮膚
ケア用素材として軟膏やクリーム状の創傷被覆剤、創傷
治癒剤、化粧品等に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繭糸等から得られ
る、長期にわたってゲル化せず、安定して保存すること
ができる未分解絹フィブロイン水溶液の製造法に関す
る。この製造法により得られた絹フィブロインは、フィ
ブロインの細胞増殖促進作用に基づき、皮膚ケア用の創
傷治癒剤、創傷被覆剤および化粧品として利用できる。
【0002】
【従来の技術】繭糸は中心部にフィブロイン、周囲にセ
リシンが存在し、フィブロインとセリシンの存在比はフ
ィブロイン70〜80%:セリシン20〜30%である
ことが知られている。従来、絹フィブロインは繭層、繭
糸、生糸、絹織物およびそれらの屑物等を原料として、
パパインのような蛋白分解酵素やセッケン、炭酸ナトリ
ウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ水溶液中等で煮
沸し、水洗によってセリシンや炭酸ナトリウム等の化学
物質を溶出除去すること(精練)により製造されてい
る。
【0003】ところが、これらの工程で絹フィブロイン
は徐々に分解している。絹フィブロインはH鎖(分子量
約35万)とL鎖(分子量約2.5万)から成っている
(志村ら、「家蚕繭フィブロインよりスモールサブユニ
ットの分離と同定」、日本蚕糸学会誌、51巻、20〜
26頁(1982))ことは知られているが、従来のよ
うに、炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液中で煮沸しセ
リシンを除いて得られた絹フィブロインは分解産物であ
り、フィブロインのH鎖、L鎖は分解され、それらの分
子量は低下している。従来は、繭糸等からフィブロイン
の未分解物を得る方法やフィブロインのH鎖を分析する
方法等が知られていなかったことから、フィブロインが
分解していることを知らないで使われていた。
【0004】また、他の絹フィブロインの製造法とし
て、蚕の絹糸腺の後部からゲル状の内容物(液状絹また
は液状フィブロイン)を取り出し、水溶液等で洗浄する
ことにより、付着している少量のセリシンを除いて、フ
ィブロインを得る方法も行われている。液状絹から得ら
れるこのような未分解フィブロインの生理作用について
は、後部絹糸腺から得られた液状絹による未分解絹フィ
ブロインは培養細胞の付着・増殖性が報告されている
(特願平1−125539、および箕浦外、「Attachme
nt and growth of cultured fibroblast cells on silk
protein matrices」、Journal of Biomedical Materia
ls Research, Vol. 29,1215-1221頁(1995)参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、蚕の絹糸腺液
状絹から未分解の絹フィブロインを製造するためには、
蚕の解剖による液状絹の摘出等に手間がかかるだけでな
く、蚕体内の不純物が混入するため、量産が難しい。工
業的に未分解絹フィブロインを得るには、繭糸等を原料
とすることが効果的である。そこで本出願人は先に、繭
糸等(生繭、乾繭もしくは煮繭した繭の繭層もしくは繭
糸、生糸、絹織物、又はそれらの残糸)から未分解絹フ
ィブロインを製造する方法を開発した(特願平11−3
49981)。
【0006】また、細胞増殖促進作用を有する未分解フ
ィブロインを軟膏のような液体状態で利用するには、未
分解フィブロイン水溶液の安定性が重要な課題となる。
繭糸等を原料とし、精練工程中で得た絹フィブロイン水
溶液におけるゲル化を検討したところ、高分子ほどゲル
化が早く起きた。未分解絹フィブロインの分子量が約3
5万のものでは1日以内にゲル化し、分解して低分子化
した場合、約10万のものでは1週間程度そして約1万
のものでは20日程度でゲル化し、徐々に固くなる。そ
れらの絹蛋白を創傷被覆剤のような皮膚ケア用素材とし
て、例えば軟膏に添加した場合、長期にソフトな状態の
物性を安定して保存できない。細胞増殖促進作用を有し
ていても、軟膏のような創傷被覆剤として液状で未分解
絹フィブロインを長期に利用するには、ゲル化を防止す
るという物性上の問題があった。ただし、未分解絹フィ
ブロインにおいては、分子量が均一に低下するのではな
く、分子量は幅広い分布を示す。従って、フィブロイン
のH鎖が平均約10万の分子量に低下していても、未分
解のフィブロインが一部残っていることがある。また、
フィブロインのL鎖はH鎖より分解しにくいため、H鎖
が平均分子量約10万になっていても、L鎖の50%程
度は分解しない。フィブロインに未分解のH鎖又はL鎖
が残されていれば、このフィブロインは細胞増殖促進作
用を有する。
【0007】繭糸等から得た未分解絹フィブロインは水
溶液においてゲル化しやすく、徐々に固く、脆くなる。
しかし、フィブロインの分子量を低下させることなく、
フィブロイン水溶液を水のような液状の状態や、粘性を
帯びた液状状態で保存する方法は見出されていない。従
って、本発明は、繭糸等から得られる未分解絹フィブロ
インが水等の溶液中で長期に保存しても軟らかさ等の物
性が変わることがない方法、つまりゲル化を防止できる
方法を見出し、これによって創傷被覆剤、創傷治癒剤お
よび化粧品等を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、未分解絹
フィブロイン水溶液に特定の金属イオンを特定の濃度で
添加することより、絹フィブロインを分解することなく
ゲル化を防止できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】本発明は、生繭、乾繭もしくは煮繭した繭
の繭層もしくは繭糸、生糸、絹織物、又はそれらの残糸
若しくは屑物を精練して得られる未分解絹フィブロイン
の溶解液を、カルシウムイオン又はマグネシウムイオン
を含む水溶液で透析して、カルシウムイオン又はマグネ
シウムイオン濃度が0.03M〜2.0Mの未分解絹フ
ィブロイン水溶液を得ることを特徴とする、良好な保存
安定性を有する未分解絹フィブロイン水溶液の製造法を
提供するものである。本発明はまた、かかる保存安定な
未分解絹フィブロイン水溶液を用いて作製した皮膚ケア
用の創傷治癒剤、創傷被覆剤又は化粧品のような皮膚ケ
ア剤を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】未分解絹フィブロインを生繭、乾
繭もしくは煮繭した繭の繭層もしくは繭糸、生糸、絹織
物、又はそれらの残糸若しくは屑物(以下、繭糸類と云
う)から精練して得るためには、繭糸類を従来のアルカ
リ溶液や熱処理をせず、温和な処理条件下で繭糸類から
セリシンを除去する。例えば、繭糸類を a)中性塩水溶液に溶解後、分別沈澱処理、 b)アルカリ水溶液による温和な処理、 c)尿素水溶液による温和な処理、 d)酵素精練、又は e)高圧精練 の工程に付し、絹フィブロインを絹セリシンと分けるこ
とができる。
【0011】a)工程の中性塩水溶液を用いる場合は、
繭糸類原料を中性塩水溶液に溶解後、分別沈澱処理す
る。中性塩としては、チオシアン酸リチウム、炭酸リチ
ウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、臭化リチウム、
チオシアン酸ナトリウム等が挙げられ、チオシアン酸リ
チウム、炭酸リチウム及びチオシアン酸ナトリウム、特
にチオシアン酸リチウムが好ましい。当該中性塩の濃度
は中性塩の種類によって異なり、塩化カルシウム及び臭
化リチウムの場合は、濃厚溶液はフィブロインを分解す
る傾向があるので、フィブロインを分解しないような低
濃度(好ましくは0.1〜1.0M)で使用するのが好
ましい。塩化カルシウム及び臭化リチウム以外の中性塩
においては飽和水溶液又は50%飽和以上の濃度が好ま
しい。特に80%飽和水溶液以上の濃度が好ましい。な
お、これらの中性塩水溶液のpHは5〜8である。原料が
溶解した後の分別沈澱には非結晶絹フィブロインを結晶
化させるアセトンやアルコール、特にエタノールを用い
るのが好ましい。この操作は、例えばエタノールを順次
添加して沈澱物を採取するのが好ましい。
【0012】工程b)におけるアルカリ水溶液による温
和な処理とは、絹フィブロインが分解しないようにpH、
温度及び時間を選択した条件であり、好ましくはpH10
〜11.5のアルカリ水溶液で、大気圧下の沸騰温度、
2〜60分の範囲で条件を適宜変えて処理する。pHが1
0未満では精練が充分でなく、pHが11.5を超えると
絹フィブロインの分解が速く、コントロールが困難とな
る。また好ましいpHは10.5〜11.5である。用い
るアルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素
ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウ
ム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ
性ナトリウム塩の水溶液が挙げられ、アルカリ精練の場
合、炭酸ナトリウム水溶液は適度なバッファー効果があ
るため、特に好ましい。
【0013】絹を分解することなくアルカリ水溶液によ
り精練し、未分解絹フィブロインを得るには、精練時の
pH、温度、時間等の処理条件を適宜変化させてコントロ
ールすればよく、例えば沸騰温度以上の温度(例えば1
10℃や120℃)で処理するときは、pHを中性寄り
に、又は時間を短くする。沸騰温度以下の温度で処理す
るときはpHを高く、時間を長くする等適宜条件を変え
る。さらに、炭酸ナトリウムの他のナトリウム塩を使う
時も炭酸ナトリウムに合わせ、適宜条件を変えることは
言うまでもない。この工程b)における処理とは、前記
原料がアルカリ水溶液中に浸漬されていればよく、この
間攪拌してもよい。
【0014】工程c)における尿素水溶液による温和な
処理とは、絹フィブロインが分解しないように温度及び
時間を選択した条件であり、好ましくは絹フィブロイン
の分解防止、反応効率及び工業的操作性の点から、30
%以上の尿素水溶液で70〜90℃、60〜180分処
理する。より好ましくは45%以上の尿素水溶液で75
〜85℃、90〜150分処理される。尿素水溶液に
は、メルカプトエタノール等を加えてもよい。尿素精練
における温度、濃度、時間についても工程b)のアルカ
リ水溶液による温和な処理と同様に適宜条件を組み合わ
せ得ることは言うまでもない。工程c)における処理と
は、前記材料が尿素水溶液に浸漬されていればよく、こ
の間攪拌してもよい。
【0015】工程d)の酵素精練とは、タンパク質分解
酵素を生糸や生繭の精練に応用した方法である。従来は
パパインがよく利用されていたが、近年はアルカラーゼ
(幸新堂化学工業所)が使われている。アルカラーゼに
よる酵素精練では前処理が必要で、前処理はpH9〜1
0、好ましくはpH9.0〜9.6において、処理時間は
80℃では10分以内、好ましくは5分以内、60℃で
は60分以内、好ましくは10分以内で行う。その後、
本処理としてアルカラーゼを添加して50〜60℃で精
練する。精練時間は60分以内、特に20分以内が好ま
しい。この場合、繭層をできるだけ分繊することが好ま
しい。また、この間攪拌してもよい。
【0016】工程e)の高圧精練(高圧熱水処理とも云
う)とは、100℃以上の熱水中、大気圧以上の圧力下
で浸漬する精練方法である。絹精練は通常は大気圧下で
水の沸騰点付近の温度で行われる。しかし、100℃以
上の高温で精練することもできる。絹セリシンの溶解度
は水の温度の影響が大きいので、浸漬時間は温度により
異なり、例えば110℃で10〜20分、120℃で5
〜10分である。この浸漬処理により、セッケンや溶解
剤を使用しなくとも精練ができ、分解していないL鎖を
含む絹フィブロイン精製物が得られる。
【0017】工程a)〜e)のいずれかのような精練に
よって得られた未分解絹フィブロインは、必要に応じて
洗浄しそして溶解補助剤を含む溶液に溶解させた後、カ
ルシウムイオン(Ca++)又はマグネシウムイオン(M
++)のような金属イオンを含む水溶液での透析によ
り、未分解絹フィブロイン水溶液とすることができる。
【0018】ここで溶解補助剤としては、中性塩、好ま
しくはチオシアン酸リチウム及び炭酸リチウム、および
尿素が用いられる。塩化カルシウムや臭化リチウム等の
中性塩の濃厚な溶解液はフィブロインを分解し、低分子
化する傾向があるので、低濃度(好ましくは0.1〜
1.0M)で使用するのが好ましい。チオシアン酸リチ
ウムは濃厚溶解液、例えば飽和チオシアン酸リチウム水
溶液、として用いることができる。溶解補助剤として塩
化カルシウム以外の中性塩、例えばチオシアン酸リチウ
ム、臭化リチウム、チオシアン酸ナトリウム等を用いた
場合、カルシウムイオン又はまたはマグネシウムイオン
含有水溶液で透析すれば、これらの塩を除去することが
できる。
【0019】未分解絹フィブロインを溶解した溶液は、
カルシウムイオン又はマグネシウムイオンを含む水溶液
で透析して適宜脱塩を行い、カルシウムイオン又はマグ
ネシウムイオンを所定の濃度で含む未分解絹フィブロイ
ン水溶液を得る。
【0020】カルシウムイオン源としては塩化カルシウ
ム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム等の可溶性カルシ
ウム塩を利用することができる。塩化カルシウムの濃厚
水溶液が絹糸を溶解することはよく知られている。塩化
カルシウムのカルシウムイオンは生体に対する安全性が
高いが、絹糸を溶解する過程で、濃厚な塩化カルシウム
水溶液はフィブロインを分解し、分子量を低下させるた
め、未分解絹フィブロインを未分解のまま保存するため
に、濃厚な塩化カルシウムの水溶液を使うことはできな
い。一方、希薄な塩化カルシウム水溶液はフィブロイン
の分子量を低下させないことおよびフィブロインをゲル
化させない。しかし、非常に希薄な塩化カルシウム水溶
液は未分解絹フィブロインをゲル化させてしまう。つま
り、濃厚な塩化カルシウム水溶液はフィブロインを分解
し、非常に希薄な塩化カルシウム水溶液はフィブロイン
をゲル化する。室温(0〜40℃)で未分解絹フィブロ
インをゲル化または分子量を低下させないカルシウムイ
オンの濃度は、0.03M〜2M、好ましくは0.1M
〜1.0Mである。かかる濃度の比較的希薄なカルシウ
ムイオンは、未分解絹フィブロインの分子量を低下する
ことなく、ゲル化を防止することができる。
【0021】カルシウムイオンの代わりに、マグネシウ
ムイオンも未分解絹フィブロインのゲル化防止に使用で
きる。マグネシウムイオン源として塩化マグネシウム、
硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等の可溶性マグネ
シウム塩を利用することができる。室温(0〜40℃)
で未分解絹フィブロインをゲル化または分子量を低下さ
せないマグネシウムイオン濃度は、好ましくは0.15
M〜2.0M、特に0.20M〜1.0Mである。
【0022】これらの操作を通して高収率で得られた未
分解絹フィブロイン水溶液は、長期にわたってゲル化せ
ずに安定であり、また培養細胞の増殖を促進する作用を
有する。未分解絹フィブロインの確認は、ドデシル硫酸
ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(DSD
−PAGE)像において、フィブロインのH鎖(分子量
約35万)とL鎖(分子量約2.5万)に相当する部分
のバンドの確認により行なうことができる。H鎖のバン
ドは1本の場合があるが、いずれでもよい。
【0023】
【実施例】以下に図面を参照して、実施例により本発明
を例示する。
【0024】実施例1:未分解絹フィブロインの精製 未分解絹フィブロインの精製手順を、図1を参照して説
明する。未分解フィブロインの精製は、家蚕の生繭(繭
から生糸製造のために100℃±20℃程度の乾熱、湿
熱処理をしていない繭、および光、酸、アルカリ等の処
理を受けていない繭)に含まれるセリシンとフィブロイ
ンのエタノールへの溶解度の違いを利用して行った。す
なわち、約9Mチオシアン酸リチウム(LiSCN)水
溶液(100g)に5%(w/v)になるように生繭
(5g)を添加後、一晩撹拌し、室温で溶解させ、遠心
分離(8000rpm)によって上清液2と沈殿物5に分
けた。その後、上清液2に2.5倍容量(250mL)の
エタノールを滴下撹拌し、静置後に遠心分離によって、
上清液3と沈殿物6に分けた。次に、上清液3を採取
し、さらに2.5倍容量(250mL)のエタノールを滴
下撹拌し、静置後に再度遠心分離し、沈殿物7を得た
(図1)。精製過程における絹フィブロイン及びセリシ
ンの分子量を、電気泳動(SDS−PAGE、2〜15
%ポリアクリルアミドグラジェントゲル)像で図2に示
す。図2に示すように、沈殿物7はほとんどフィブロイ
ンのH鎖とL鎖のみであり、これを未分解絹フィブロイ
ンの精製物とした。また、沈殿物は2.68gであった
ことから、回収率も精製開始時の生繭量の50〜60%
で、生繭にセリシンが20〜30%含まれることを考慮
すると、かなり高回収率であった。
【0025】実施例2:未分解フィブロインの溶解 生繭から得た未分解絹フィブロインの精製物(図1の
7)は、絹糸腺由来の液状フィブロインと異なり、水に
不溶である。一般的に、フィブロイン水溶液は高濃度の
塩の水溶液等にフィブロインを溶解後、溶解液を水で透
析することにより得られている。そこで、精製したフィ
ブロイン50mgに1mLの溶解剤(9M LiSCN,9
M LiBr,飽和Li2CO3,9M LiCl,飽和
Li2SO4,9M 尿素,9M NaSCN,飽和Ca
Cl2又は飽和MgCl2)を加え一晩4℃で攪拌した。
遠心後上清を採取し、その一部を50倍希釈してOD2
80で測定して可溶化率を算出した。表1に示すよう
に、未分解フィブロインはチオシアン酸リチウム中で1
00%、炭酸リチウム中で40.2%、尿素中で76.
8%溶解し、他の溶解剤では10%未満であった。この
結果より、未分解フィブロインの溶解剤としては、チオ
シアン酸リチウム、炭酸リチウム及び尿素が好ましいこ
とが分かる。
【0026】
【表1】
【0027】実施例3:金属イオン存在下での未分解絹
フィブロインの溶存性 チオシアン酸リチウム水溶液に、精製した未分解フィブ
ロインをまず溶解(18mg/mL)し、次いで種々の金属
塩化物(NaCl,KCl,CaCl2,MgCl2,Z
nCl2)の濃度を変えた溶液で透析を行い、フィブロ
インの水溶液が得られるかどうか、つまりゲル化しない
かどうかを検討した。その結果を表2に示す。ゲル化は
フィブロインの可溶化率で示した。可溶化率は金属イオ
ン存在下のフィブロイン溶液を遠心分離(8000rp
m)し、上清液と沈殿物に分け、沈殿物はゲル化した部
分とし、ゲル化しなかったフィブロインは上清液に溶解
しているとみなして可溶化率を算出した。表2に示すよ
うに、一価の金属イオンであるナトリウムとカリウムお
よび二価の金属イオンである亜鉛の水溶液では、精製し
た未分解絹フィブロインの可溶化率は1%以下であり、
ほとんどのフィブロインはゲル化によって不溶化してい
た。しかし、二価の金属イオンであるカルシウム、マグ
ネシウムの水溶液中では、それぞれ0.05Mおよび
0.2M以上の濃度で初濃度(18mg/mL)の70%以
上のフィブロインが溶存していた。さらに、これらの溶
液は14日または18日後でもフィブロインは溶存し、
長期にわたってゲル化しないことが分かった(表3)。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】実施例4:塩化カルシウム水溶液中におけ
る未分解絹フィブロインの分子量変化 実施例1の未分解絹フィブロイン精製物1gを飽和チオ
シアン酸リチウム水溶液(30mL)に25℃で溶解し、
4℃の0.15M、3M、4M、4.5Mの各塩化カル
シウム水溶液を透析した。透析膜は約10mm直径を使
い、透析液に対し100倍量の塩化カルシウム水溶液を
透析開始日は6回、2日目は4回交換して、チオシアン
酸リチウムを除去した。その後、塩化カルシウム水溶液
の交換を2回/日行った。6日目の透析膜内のフィブロ
イン分子量をSDS−PAGEで調べた。その結果を図
3に示す。塩化カルシウム水溶液の濃度が0.15Mの
場合、フィブロインのH鎖、L鎖とも確認できるが、3
M以上ではH鎖、L鎖ともに明確に確認できず、分解し
て低分子化していた。
【0031】実施例5:金属イオン存在下での未分解絹
フィブロインの安定性 塩化カルシウム、塩化マグネシウム又は塩化カルシウム
及び塩化マグネシウムを同濃度で含有する各水溶液にお
ける実施例1で調製した未分解絹フィブロイン精製物
の、4℃及び25℃での経時安定性を検討した。結果を
表4(塩化カルシウム系)、表5(塩化マグネシウム
系)及び表6(塩化カルシウム、塩化マグネシウム同濃
度混合系)に示す。なお、○は安定、△は一部不溶化、
×は不溶化を示す。
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】4℃ではいずれのフィブロイン水溶液も1
6日後まで不溶化せず安定であった。25℃ではフィブ
ロイン濃度および塩濃度の上昇とともに安定性が増加し
た。0.4M塩化カルシウム溶液中では、25℃におい
ても、濃度10mg/mL以上のフィブロインは16日後に
おいても不溶化せず安定であった。0.8M塩化マグネ
シウム溶液中においても、25℃において、濃度10mg
/mL以上のフィブロインは16日後においても不溶化せ
ず安定であった。塩化カルシウムおよび塩化マグネシウ
ムを同濃度含む溶液中においては、合計塩濃度0.4M
で16日後まで安定であった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、所定濃度のカルシウム
イオンまたはマグネシウムイオンを用いることで、未分
解絹フィブロインを未分解のまま水溶液の状態で長期に
保存できる。未分解絹フィブロインはヒト皮膚由来の線
維芽細胞を生育促進する作用があることから、本発明で
得られる未分解絹フィブロイン水溶液は、皮膚ケア用素
材として軟膏やクリーム状の創傷被覆剤、創傷治癒剤、
化粧品等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】例1における未分解絹フィブロインの精製手順
を示す図である。
【図2】例1における沈殿物7の絹フィブロインの分解
状態を示す電気泳動像である。
【図3】いろいろな濃度の塩化カルシウム水溶液中での
未分解絹フィブロインの分解状態を示す電気泳動像であ
る。
【符号の説明】
1:生繭チオシアン酸リチウム溶液 2、3、4:上清液 5、6、7:沈殿物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C083 AD451 EE13 FF01 4C084 AA02 AA06 BA44 DA40 MA28 MA63 ZA892 4H045 AA20 AA30 CA51 EA34 FA65 GA10 HA31

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生繭、乾繭もしくは煮繭した繭の繭層も
    しくは繭糸、生糸、絹織物、又はそれらの残糸若しくは
    屑物を精練して得られる未分解絹フィブロインの溶解液
    を、カルシウムイオン又はマグネシウムイオンを含む水
    溶液で透析して、カルシウムイオン又はマグネシウムイ
    オン濃度が0.03M〜2.0Mの未分解絹フィブロイ
    ンを含む水溶液を得ることを特徴とする、良好な保存安
    定性を有する未分解絹フィブロイン水溶液の製造法。
  2. 【請求項2】 前記未分解絹フィブロイン水溶液がカル
    シウムイオンを0.03M〜2.0Mの濃度で含む請求
    項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】 前記未分解絹フィブロイン水溶液がマグ
    ネシウムイオンを0.15M〜2.0Mの濃度で含む請
    求項1に記載の製造法。
  4. 【請求項4】 前記未分解絹フィブロインが、生繭、乾
    繭もしくは煮繭した繭の繭層もしくは繭糸、生糸、絹織
    物、又はそれらの残糸若しくは屑物を、次のa)、
    b)、c)、d)又はe)のいずれかの工程: a)中性塩水溶液に溶解後、分別沈澱処理、 b)アルカリ水溶液による温和な処理、 c)尿素水溶液による温和な処理、 d)酵素精練、 e)高圧精練 に付し、絹フィブロインを絹セリシンと分けることによ
    り得られる、請求項1に記載の製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1により製造した未分解絹フィブ
    ロイン水溶液を用いて作製した皮膚ケア剤。
  6. 【請求項6】 前記皮膚ケア剤が創傷治癒剤、創傷被覆
    剤又は化粧品である請求項6記載の皮膚ケア剤。
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