JP3065686B2 - プリプレグ - Google Patents

プリプレグ

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JP3065686B2 JP5702691A JP5702691A JP3065686B2 JP 3065686 B2 JP3065686 B2 JP 3065686B2 JP 5702691 A JP5702691 A JP 5702691A JP 5702691 A JP5702691 A JP 5702691A JP 3065686 B2 JP3065686 B2 JP 3065686B2
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敏裕 服部
多加志 村田
武 加藤
和也 後藤
尚 多田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマトリックス樹脂の優れ
た熱的性質、機械的性質を損なうことなく、それから得
られる成形物に優れた靱性を賦与出来る繊維強化複合材
料用プリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】炭素
繊維等の高強度高弾性繊維を補強材とする複合材料は、
その比強度、比弾性に優れるという特徴を活かしてスポ
ーツ用途を中心に広く用いられてきている。通常マトリ
ックス樹脂として用いられるエポキシ樹脂をはじめとす
る熱硬化性樹脂は、種々の特長を有する一方で靱性に乏
しいという欠点を有するためにその用途はかなり制限さ
れたものとなっていた。
【0003】この熱硬化性樹脂の欠点を改良する方法と
してはゴム成分や熱可塑性樹脂を添加する方法が一般的
であるが十分な靱性改良効果をあげるためには多量に添
加する必要があり、耐熱性、耐溶剤性等の低下を招く結
果となっていた。またインターリーフと呼ばれる一種の
接着剤層を層間に挿入する方法も提案されているが繊維
含有率が上げられないなどの理由から広く実用化される
には至っていない。
【0004】
【発明の目的】本発明の目的はマトリックス樹脂の優れ
た熱的性質、機械的性質を損なうことなく、それから得
られる成形物に優れた靱性を賦与出来る繊維強化複合材
料用プリプレグを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、(A)
弾性率 200GPa以上の補強用繊維 (B)弾性率 100GPa以下の繊維状熱可塑性樹脂 (C)多官能性シアン酸エステル系マトリックス樹脂 からなる繊維強化複合材料用プリプレグにおいて、
(A),(B),(C)各成分の比率が下記の範囲内に
あり、かつ(B)の繊維状熱可塑性樹脂がその外表面に
存在していることを特徴とするプリプレグにある。 (A)/(C)=60/40〜75/25(重量比) (B)/(C)=0.5/100〜40/100(重量比)
【0006】本発明における(A)の弾性率200GP
a以上の補強用繊維としては炭素繊維、黒鉛繊維、ボロ
ン繊維等通常の繊維強化複合材料に用いられる補強用繊
維がそのまま用いられるが、引張強度3500MPa以
上の炭素繊維、黒鉛繊維が好適に用いられる。なかでも
引張強度4500MPa以上、伸度1.7%以上の高強
度・高伸度の炭素繊維、黒鉛繊維が最も好適に用いられ
る。
【0007】本発明に用いられる(C)の多官能性シア
ン酸エステル系マトリックス樹脂とは一般式
【化1】 (式中nは2〜5の整数、Yは芳香族性の有機残基を示
す。)で表される分子内に2個以上のシアン酸エステル
基を有する有機化合物およびそのオリゴマーを50重量
%以上含有する樹脂組成物である。
【0008】多官能性シアン酸エステルとしては1,3
−または1,4−ジシアナートベンゼン、4,4−ジシ
アナートビフェニル、ビス(4−シアナートフェニル)
メタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタ
ン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパ
ン、ビス(4−シアナートフェニル)スルホン、ビス
(4−シアナートフェニル)スルフィド、ビス(3,4
−メチル−4−シアナートフェニル)メタンあるいは構
造式〔I〕で示される化合物
【化2】 あるいはこれらの混合物等が用いられる。
【0009】前記の多官能性シアン酸エステルはシアナ
ートの三量化によるトリアジンオリゴマーの他アミンと
の反応によるプレポリマーの形でもちいることもでき
る。用いられるアミンとしては通常の芳香族あるいは脂
肪族ジアミンが好ましい。更に樹脂硬化物に所望の特性
を付与したりあるいは樹脂の熱硬化性を調整する目的で
フェノール類あるいは触媒を添加することは一般的であ
る。フェノール類としては例えばアルキルフェノールを
挙げることができる。触媒としては例えば三弗化ホウ素
アミン錯体のような潜在性硬化触媒の他、第三級アミ
ン、有機過酸化物、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナ
フテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト等の
有機酸金属塩等が挙げられる。触媒の使用量は目的に応
じて決定すればよいが、樹脂組成物の安定性の面から全
樹脂成分に対して0.05〜3重量%とすることが好ま
しい。
【0010】更にカルボキシル基末端ブタジエン/アク
リロニトリル共重合体、カルボキシル基末端ポリブタジ
エン、アクリロイルオキシ基末端ブタジエン/アクリロ
ニトリル共重合体などの反応性エラストマー、エポキシ
樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
フェノール樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂等の
熱硬化性樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイ
ミド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性イミド、
ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド等の熱可
塑性樹脂を添加してもよい。
【0011】熱可塑性樹脂の添加量は30重量%以下に
することが好ましい。30重量%を越えて用いた場合に
は系の粘度が高くなり過ぎ、プリプレグ化時の含浸不良
の原因となるだけでなくプリプレグのタック特性、ドレ
ープ特性低下の原因にもなる。 また微粉末シリカなど
の無機質微粒子を少量混合することも可能である。
【0012】(A)の補強用繊維と(C)の多官能性シ
アン酸エステル系マトリックス樹脂の比率はその目的に
応じて適宜設定することが可能であるが重量比で (A)/(C)=60/40〜75/25 の範囲が特に好ましい。
【0013】本発明における(B)の弾性率100GP
a以下の繊維状熱可塑性樹脂としては繊維状のポリアミ
ド、ポリエステルのほかポリエーテルイミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリ
アリールスルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどい
わゆるエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジ
ニアリングプラスチックを繊維状に賦形したものが好適
に用いられる。
【0014】分子鎖中にアミノ基、フェノール性水酸
基、アミド基等マトリックス樹脂と反応しうる官能基を
有するものが好ましく共重合等の手段により官能基を末
端あるいは分子鎖中に導入したエンジニアリングプラス
チック、スーパーエンジニアリングプラスチックあるい
はポリマーアロイ化したものが好適である。
【0015】繊維状熱可塑性樹脂の形態としてはモノフ
ィラメントあるいはそれらを束にしたものが好ましいが
必ずしもそれらに限定されるものではない。繊維の直径
としては100μ以下が好ましく、50μ以下が好まし
い。複合材料の靱性の改善は、熱可塑性樹脂を粉末状で
樹脂中に添加することによっても達成可能であるが、熱
可塑性樹脂粉末を樹脂中に均一に分散あるいは溶解した
場合には、系全体の粘度上昇に伴うプリプレグ製造時の
工程通過性の低下あるいはプリプレグのタックレベルの
低下等の問題は避けられない。
【0016】さらに例えば特開平1−110537号公
報には球状の微粒子をプリプレグの表面からプリプレグ
の厚さの30%以内の深さに局在化させることにより効
果的に複合材料の靱性が改善されることが開示されてい
るが、この場合でもプリプレグのタックの大幅な低下は
避けられないだけでなく、工程の複雑化、品質管理の複
雑化等の問題が更に発生する。
【0017】それに対して本発明の繊維状の熱可塑性樹
脂を用いる方法は 1)少量の熱可塑性樹脂を表面に配置することができる 2)プリプレグのタックレベルのコントロールが容易で
ある 3)高粘度物を扱う必要がなく従来のプリプレグ製造プ
ロセスがそのまま利用できる 4)品質管理が容易である 等さまざまな特徴を有している。これらは従来の技術で
は得られない効果であり、本発明における繊維状の熱可
塑性樹脂を用いることにより初めて得られる効果であ
る。
【0018】繊維状熱可塑性樹脂の比率としては(C)
の多官能性シアン酸エステル系マトリックス樹脂100
重量部に対し0.5〜40重量部が好ましい。0.5重
量部未満では十分な靱性改良効果が得られない。逆に4
0重量部を越す熱可塑性樹脂を用いても靱性改良効果は
頭打ちになるばかりでなく、用いる樹脂の種類によって
は耐熱性、耐溶剤性などの特性が大幅に低下するケース
もあり好ましくない。
【0019】本発明における繊維状熱可塑性樹脂はプリ
プレグ外表面付近に存在していることが重要である。プ
リプレグの中心部に完全に埋没した状態では十分な靱性
改良効果は得られない。しかしながら繊維状熱可塑性樹
脂がプリプレグ表面から完全に浮き出ている状態はやは
り好ましくなく、その大半が樹脂中に埋没していること
が好ましい。また繊維状熱可塑性樹脂は等間隔で一方向
に引揃えられた状態で存在するのがより好ましい。
【0020】引揃え方向は特に制限はなく、補強用繊維
に対してあらゆる角度で存在しうるが補強用繊維と同じ
方向に引揃えるのがプロセス上最も容易である。補強用
繊維とマトリックス樹脂並びに繊維状熱可塑性樹脂から
このようなプリプレグを製造する方法に関しては特に制
限はなく、繊維状熱可塑性樹脂をあらかじめ引揃えて含
浸した樹脂フィルムと補強用繊維とから通常のプリプレ
グを製造するのと同様の方法でプリプレグ化する方法
や、通常の方法で製造したプリプレグに繊維状熱可塑性
樹脂を引揃えて一体化する方法等で製造できる。
【0021】
【発明の効果】本発明のプリプレグから得られる成形物
は、マトリックス樹脂の優れた熱的性質、機械的性質を
損なうことなく優れた靱性が付与されたものであり、し
かも発生したクラックを伝播させにくい特性を有するた
め、航空機用構造材料等として好適に使用される。
【0022】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。 実施例1〜4 表1に示す樹脂組成物と高強度中弾性炭素繊維(三菱レ
イヨン製、MR50K、引張強度5600MPa,弾性
率300GPa,伸度1.9%)とから一方向プリプレ
グを表1に示す方法で製造した。プリプレグのCF目付
は145g/m2 、樹脂含有率は34重量%であった。
このプリプレグにナイロン12のマルチフィラメント
(81d/36fil,弾性率約2GPa)を片面当り
の繊維目付を3g/m2 とする為フィラメントワインデ
ィング法でプリプレグ両面に3mmピッチでCFと同方
向にワインドしプリプレグ中に軽く埋没させ、本発明の
プリプレグを製造した。このプリプレグから所定の寸法
の小片を切り出し、積層後オートクレーブ成形で衝撃後
圧縮強度測定用の試験片を成形した。(硬化条件:18
0℃×2時間,5気圧)この試験片を用いてSACMA
(Suppliers of Advanced Co
mposite Materials Associa
tion),Recommended Method
SRM2−88に準拠して270 lb−in衝撃後の
圧縮強度を測定し、表1に示す結果を得た。
【0023】比較例1〜2 プリプレグの樹脂含有率が36重量%になるような樹脂
フィルムを用いる他は実施例1と同様にして一方向プリ
プレグを製造した。このプリプレグを用いナイロン12
繊維を付着させることなしに実施例1と同様に評価し
た。結果を表1に併せて示した。表1から明らかなよう
に本発明のプリプレグから得られる成形体は比較例に比
べ衝撃後の圧縮強度が高く、耐衝撃性に優れることがわ
かる。
【0024】実施例5 一方向プリプレグの樹脂含有率を31重量%とし、ナイ
ロン12繊維のかわりにポリエーテルイミド繊維(30
0d/24fil弾性率約4GPa)を用い、片面あた
りの繊維目付8g/m2 とする為、ワインドピッチを
4.1mmとする以外は実施例3と同様にしてプリプレ
グを製造し、衝撃後の圧縮強度を測定した。得られた衝
撃後の圧縮強度は285MPaであった。
【0025】実施例6 ポリエーテルイミド繊維のかわりにポリエーテルスルホ
ン(VICTREX5003)を繊維状に賦形したもの
250d/36f 弾性率約4GPa)を用い、片面
あたりの繊維目付を8g/m2 とする為、ワインドピッ
チを3.5mmとしその他は実施例5と同様にし、衝撃
後圧縮強度を測定した。得られた衝撃後圧縮強度は、2
55MPaであった。
【0026】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村田 多加志 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (72)発明者 加藤 武 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (72)発明者 後藤 和也 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 (72)発明者 多田 尚 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究 所内 審査官 川上 美秀 (56)参考文献 特開 平3−221414(JP,A) 特開 平3−221413(JP,A) 特開 平3−221412(JP,A) 特開 平3−292111(JP,A) 特開 平3−292110(JP,A) 特開 昭60−212333(JP,A) 特開 平2−32843(JP,A) 特開 平3−253309(JP,A) 特開 平1−171852(JP,A) 特開 昭51−126260(JP,A) 高分子学会編、功刀利夫ら著「高分子 新素材OnePoint9 高強度・高 弾性率繊維」1988年5月20日初版、第2 −4頁、第46頁、共立出版 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/24 C08J 5/04 - 5/10 B29B 11/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)弾性率 200GPa以上の補強
    用繊維 (B)弾性率 100GPa以下の繊維状熱可塑性樹脂 (C)多官能性シアン酸エステル系マトリックス樹脂 からなる繊維強化複合材料用プリプレグにおいて、
    (A),(B),(C)各成分の比率が下記の範囲内に
    あり、かつ(B)の繊維状熱可塑性樹脂がその外表面に
    存在していることを特徴とするプリプレグ。 (A)/(C)=60/40〜75/25(重量比) (B)/(C)=0.5/100〜40/100(重量比)
  2. 【請求項2】 (A)が引張強度3500MPa以上の
    炭素繊維あるいは黒鉛繊維であることを特徴とする請求
    項1記載のプリプレグ。
  3. 【請求項3】 (B)が熱可塑性樹脂のモノあるいはマ
    ルチフィラメントであることを特徴とする請求項1記載
    のプリプレグ。
  4. 【請求項4】 (B)の繊維状熱可塑性樹脂が一方向に
    一定間隔でその外表面に埋めこまれていることを特徴と
    する請求項1記載のプリプレグ。
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ES91120573T ES2093062T3 (es) 1990-11-29 1991-11-29 Materiales preimpregnados, procedimiento para producir los mismos y productos estratificados producidos con los mismos.
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高分子学会編、功刀利夫ら著「高分子新素材OnePoint9 高強度・高弾性率繊維」1988年5月20日初版、第2−4頁、第46頁、共立出版

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