JP3145183B2 - プリプレグ - Google Patents
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Description
クスとするプリプレグが本来有する優れた取扱性、熱的
性質、機械的性質を損なうことなく、得られる成形物に
優れた靱性を賦与できる繊維強化複合材料用プリプレグ
に関する。
とする先進複合材料は、その比強度、比弾性に優れると
いう特徴を活かしてスポーツ用途を中心に広く用いられ
てきている。
とよばれる中間基材の形態で提供、利用されるため、マ
トリックス樹脂としてはプリプレグを積層するのに必要
な適度の粘着性(タック)や柔軟性(ドレープ性)を賦
与するのが容易な熱硬化性樹脂が通常マトリックス樹脂
として用いられている。
熱硬化性樹脂は上記の特徴以外にも、耐熱性、耐溶剤
性、機械的特性に優れる等の種々の特長を有する一方で
靱性に乏しいため耐衝撃性に劣るという欠点を有してい
る。特に先進複合材料を積層体として用いた場合には衝
撃に対する抵抗性は層間剥離強度によって支配されるこ
とが多いため、靱性の低い熱硬化樹脂をマトリックスと
して用いた先進複合材料の耐衝撃性も低いという結果に
なり、そのために先進複合材料の用途、特に構造材料と
しての用途はかなり制限されたものとなっていた。
良する方法としては、例えば、ゴム成分を添加する方法
が知られているが、十分な靱性改良効果をあげるために
は多量に添加する必要があり、耐熱性、耐溶剤性等の大
幅な低下を招く結果となっていた。
に優れるいわゆるエンジニアリングプラスチックを添加
する方法も提案されており(特開昭61−21254
3、特開昭61−228016、特開昭58−1341
11など)、ゴム成分添加に比べ耐熱性、耐溶剤性等の
低下が抑えられることが報告されているが、十分な靱性
を得る為には多量の添加が必要であり、系全体の粘度上
昇に伴うプリプレグ製造時の工程通過性の低下あるいは
プリプレグのタックレベルの低下といった問題は、この
方法でも依然として大きな問題点として残されている。
自体の靱性を改良しようとする試みは、積層体の層間剥
離強度を改善するという観点からはあまり効果的な方法
ではない。積層体の層間剥離強度を効果的に改善する目
的で熱可塑性樹脂の微粒子を層間に集中的に分布させる
方法も提案されている(特開平1−110537)がプ
リプレグのタックレベルの大幅な低下が避けられないば
かりか、工程の複雑化、品質管理の複雑化等の問題が新
たに発生する。同様の目的で層間にチョップドファイバ
ー、ミルドファイバー等を局在化する試みも提案されて
いるが、同様の問題が避けられないばかりか、その効果
も必ずしも十分なものとはなっていない。
撃吸収層を層間に挿入する方法も提案されているが(例
えば、USP3,472,730、特開昭51−584
84、特開昭60−63229、特開昭60−2317
38など)、いずれも層間が厚くなり繊維比率が低下し
たり、耐熱性、取扱性等が低下したりするため広く実用
化されるに至っていない。
性樹脂をマトリックスとするプリプレグが本来有する優
れた取扱性、熱的性質、機械的性質を損なうことなく、
得られる成形物に優れた靱性を賦与できる繊維強化複合
材料用プリプレグを提供することにある。
Pa以上の補強用繊維と熱硬化性マトリックス樹脂とか
らなるプリプレグの表面にガラス転移温度(Tg)が1
00〜200℃である非晶性ポリアミドからなる繊維を
用いて製織した目付2〜20g/m2 の織物を貼り合わ
せたことを特徴とするプリプレグを要旨とするものであ
る。
である非晶性ポリアミドからなる繊維を用いて、製織し
た目付2〜20g/m2 の織物を貼り合わせることが最
も重要な構成要素である。なぜならば、靱性賦与成分と
して、ポリアミドを用いることが特にエポキシ樹脂をマ
トリックスとする場合にその効果が大きく望ましいが、
一般に繊維として使用されている結晶性のポリアミド
(ナイロン6,ナイロン66など)はTgが低く、耐熱
性が低下するため実用上使用出来ない。それに対しTg
が100℃以上の非晶性ポリアミドは耐熱性の低下とい
う問題はないが、紡糸可能な温度と分解を開始する温度
との差が小さく、安定に紡糸するためには不活性ガス雰
囲気中で紡糸する等、紡糸条件を工夫する必要がある。
耐熱性の点からは使用するポリアミドのTgは高い方が
好ましいが、靱性賦与の観点からはTgは低いことが好
ましく、200℃以下が特に好ましい。非晶性ポリアミ
ドの繊維を目付2〜20g/m2 の目の粗い織物として
用いることもまた極めて重要である。すなわち目の粗い
織物状にして用いることによりプリプレグの表面層にポ
リアミド樹脂を効果的に配置することが可能になるた
め、少量のポリアミド樹脂で十分な靱性の改良が達成で
きるだけでなく、目が粗いために補強用繊維と熱硬化性
マトリックス樹脂とからなるベースプリプレグ本来のタ
ックレベルがそのまま保持されるため、従来技術で問題
であったタックレベルの低下という問題が起きない。更
に、微粒子添加系等の従来技術に比べて、ポリアミド樹
脂成分の分布の制御という問題も起きず、品質管理も容
易である。また、プリプレグ製造に関しては従来のプロ
セスがそのまま利用できるので工程上の問題も起きな
い。これらの効果は従来の技術では得られない効果であ
り、本発明の技術を用いて初めて得られる効果である。
表例としてはエムス社のTR−55およびダイセルヒュ
ルズ社のTrogamid−Tを挙げることが出来る。
フィラメントあるいはそれらを束にしたマルチフィラメ
ントが好ましいが必ずしもそれらに限定されるものでは
ない。個々のフィラメントの直径としては100μ以下
が好ましく、50μ以下が特に好ましい。マルチフィラ
メントとして用いる場合にはトータルのデニールで10
00デニール以下が好ましく、500デニール以下が特
に好ましい。これらの非晶性ポリアミド繊維を製織する
方法には特に制限がなく、目付2〜20g/m2 の目の
粗い織物を織ることが可能な製織方法であればいかなる
方法も使用可能である。
ポリアミドの比率は熱硬化性マトリックス樹脂100重
量部に対し25重量部以下であり、通常は5〜10重量
部の範囲が好ましい。
補強用繊維としては炭素繊維、黒鉛繊維、ボロン繊維等
通常の繊維強化複合材料に用いられる補強用繊維がその
まま用いられるが、引張強度3500MPa以上の炭素
繊維又は黒鉛繊維が好適に用いられる。なかでも、引張
強度4500MPa以上、伸度1.7%以上の高強度・
高伸度の炭素繊維又は黒鉛繊維が最も好適に用いられ
る。
としては、硬化して、少なくても部分的に三次元硬化物
を形成する樹脂であればいずれも使用可能である。
ミド樹脂、ポリイミド樹脂、シアン酸エステル末端を有
する樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ビニル末端を
有する樹脂、アリル末端を有する樹脂、ナジック酸末端
を有する樹脂があげられる。
樹脂としてエポキシ樹脂が用いられる。特に、アミン
類、フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂が好まし
い。具体的には、テトラグリシジルジアミノジフェニル
メタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリ
グリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルア
ミノクレゾールの各種異性体、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポ
キシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙
げられるが、これに限定されない。またこれらのエポキ
シ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂も用いられ
る。これらのエポキシ樹脂は単独でも用いられるが、そ
の目的に応じて適宜、2種以上の混合物として用いられ
る。
いられるが、本発明において用いられる硬化剤にも特に
制限はなくアミノ基、酸無水物基等エポキシ樹脂と反応
しうる官能基を適宜用いることが可能であるがジアミノ
ジフェニルスルホンの各種異性体に代表される芳香族ア
ミン類およびジシアンジアミド、アミノ安息香酸エステ
ル類が適している。
(a),(b),(c)からなるエポキシ樹脂組成物で
ある。
〜60重量%のエポキシ樹脂成分。
〜50重量%の、エポキシ樹脂と2官能性フェノール化
合物との、実質的にフェノール性水酸基を含まない予備
反応生成物。
対して0.8〜1.7当量の芳香族ジアミン硬化剤。
キシ樹脂組成物はそれ自身、靱性が高くマトリックス樹
脂として用いた場合に、目付の小さい非晶性ポリアミド
織物と組み合わせても、極めて高い耐衝撃性を示す繊維
強化複合材料成形体が得られる。
として上記熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂あるいはそのオ
リゴマーを添加したものを用いることもできる。特にポ
リイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエ
ーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン等のいわ
ゆるエンジニアリングプラスチックが耐熱性の点から好
ましく、熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を分子末端あ
るいは分子鎖中に有するものがさらに好ましい。
分の添加量は30重量%以下が好ましく、15重量%以
下がより好ましい。熱可塑性樹脂成分の添加量が30重
量%以上になると系の粘度が高くなりすぎてプリプレグ
化時の含浸不良の原因となるだけでなく、プリプレグの
タック特性及びドレープ特性が大幅に低下する原因とも
なる。
機微粒子やブタジエン/アクリロニトリル共重合体等の
エラストマー成分をプリプレグ特性、加工特性、機械的
特性、熱的特性等を犠牲にしない範囲内で少量添加する
ことも可能である。
(A)と熱硬化性マトリックス樹脂(C)との比率はそ
の目的に応じて適宜設定することが可能であるが、重量
比で (A)/(C)=40/60〜85/15 の範囲が適当である。より好ましい範囲は (A)/(C)=60/40〜75/25 である。
が、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではな
い。
であり、用いたエポキシ樹脂は以下の通りである。
ミン型エポキシ樹脂(東都化成社製) ELM−100 ;トリグリシジルアミン型エポキシ樹
脂(住友化学社製) エピコート807;ビスフェノールF型エポキシ樹脂
(油化シェル社製) 実施例1 エピコート807,680g、ELM−100,477
g、テトラメチルビスフェノールA,426gを反応容
器に仕込み120℃で8時間反応させて、これらの予備
反応物を得た。この予備反応物35重量部にエピコート
807,25重量部とYH434L,40重量部および
硬化剤としてジアミノジフェニルスルホン50重量部と
を配合し、全体が均一になるまで十分に混合した。
製、高強度中弾性炭素繊維、MR60Pとから一方向プ
リプレグをホットメルト法で製造した。プリプレグの炭
素繊維目付は190g/m2 、樹脂含有率34重量%で
あった。
TR−55(エムス社製;Tg=155℃)を窒素雰囲
気下、300℃で紡糸して得た、マルチフィラメント
(90d,18fil)を製織して得られた、目付5g
/m2 の織物をプリプレグの両面に貼り合わせて本発明
のプリプレグを製造した。このプリプレグから所定の寸
法の小片を切り出し、積層後、オートクレーブ成形で衝
撃後圧縮強度測定用の試験片を成形した。(硬化条件:
180℃×2時間) この試験片を用いて、SACMA(Suppliers
of Advanced Composite Ma
terials Association)のReco
mmended Method SRM2−88に従っ
て、270 1b−in衝撃後の圧縮強度を測定した。
得られた衝撃後の圧縮強度は355MPaであった。
フイルムを用いる他は実施例1と同様にして一方向プリ
プレグを製造した。このプリプレグを用いTR−55の
織物を付着させることなしに実施例1と同様に衝撃後の
圧縮強度を測定した。
であった。
id−T(ダイセルヒュルズ社製;Tg=148℃)の
織物(目付5g/m2 )を用いる以外は実施例1と同様
にプリプレグを製造し衝撃後の圧縮強度を測定した。得
られた衝撃後の圧縮強度は347MPaであった。
脂をマトリックスとするプリプレグと同等の優れた取扱
性を有するだけでなく、熱的性質、機械的性質を損なう
ことなく、得られる成形物に優れた靱性を賦与できるも
のであり、特に衝撃を受けたときの層間剥離に対する抵
抗力が高いので航空機用構造材料等として好適に使用さ
れる。
Claims (3)
- 【請求項1】 弾性率200GPa以上の補強用繊維と
熱硬化性マトリックス樹脂とからなるプリプレグの表面
に、ガラス転移温度(Tg)が100〜200℃である
非晶性ポリアミドからなる繊維を用いて製織した目付2
〜20g/m2 の織物を貼り合わせたことを特徴とする
プリプレグ。 - 【請求項2】 補強用繊維が引張強度3500MPa以
上の炭素繊維あるいは黒鉛繊維である請求項1記載のプ
リプレグ。 - 【請求項3】 熱硬化性マトリックス樹脂が下記
(a),(b),(c)からなる熱硬化性樹脂である請
求項1記載のプリプレグ。 (a)マトリックス樹脂全量に対し、20〜60重量%
のエポキシ樹脂成分。 (b)マトリックス樹脂全量に対し、10〜50重量%
の、エポキシ樹脂と2官能性フェノール化合物との、実
質的にフェノール性水酸基を含まない予備反応生成物。 (c)(a)および(b)のエポキシ基に対して0.8
〜1.7当量の芳香族ジアミン硬化剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14759892A JP3145183B2 (ja) | 1992-06-08 | 1992-06-08 | プリプレグ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14759892A JP3145183B2 (ja) | 1992-06-08 | 1992-06-08 | プリプレグ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05337937A JPH05337937A (ja) | 1993-12-21 |
JP3145183B2 true JP3145183B2 (ja) | 2001-03-12 |
Family
ID=15433967
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14759892A Expired - Lifetime JP3145183B2 (ja) | 1992-06-08 | 1992-06-08 | プリプレグ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3145183B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2607411A1 (en) * | 2011-12-22 | 2013-06-26 | Hexcel Composites Ltd. | Improvements in or relating to fibre reinforced materials |
-
1992
- 1992-06-08 JP JP14759892A patent/JP3145183B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05337937A (ja) | 1993-12-21 |
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