JP3062980U - 複合銘木 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 上り框や式台に用いる銘木の原木を有効利用
して、入手難の解消と価格の低減及び原木伐採量の低減
を図り、無垢物と変らぬ充分な耐衝撃性と強度及び耐久
性の得られる複合銘木を提供する。 【解決手段】 一般の長尺物の木質芯材１に短尺状の厚
板に加工した銘木板２を、複数枚継ぎ合わせ貼着して一
体化してなり、前面に突板３を前記木質芯材１と銘木板
２の貼着目を目隠しするように貼着してなる複合銘木
で、前記銘木板は木質芯材の踏代部に貼着して表面仕上
げ加工し、前端稜角には緩やかな勾配をつけた面取部２
ａ加工して表面処理する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は長尺物の一般の木質芯材及び木質台に短尺状の厚手の銘木板を複数枚 継ぎ合わせ貼着し、一体化した複合銘木に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】

玄関の上り框や式台等には桜やチーク、ナラ、花梨、ヒノキ等の銘木が使用さ れるが、これらの銘木は原木から挽くに当り、長尺物の場合、製材時の曲り、乾 燥中の割れや反り、節や腐れがあったりして不良品が生じ、製品として得られる 歩留が極めて悪く、それに原木が稀少であることも付加されて長尺物の無垢の銘 木は入手が困難で高価になることのほかに、無垢の長尺物の銘木を得るために原 木を大量に伐採することは森林自然の破壊につながり、地球環境の悪化を招く恐 れがあるなどの課題がある。

【０００３】 又、従来より合成又は集成材に厚さ０．１〜０．３ｍｍの薄平の突板や、１ 〜６ｍｍ厚の長尺物の銘木板を貼り付けたものが周知されているが、前記薄平の 突板では剥れやすく、耐衝撃性や強度がなく摩滅したりして耐久性に乏しく、補 修も困難であるなどの課題があり、前記１〜６ｍｍ厚の長尺物の銘木板は、前記 長尺物の無垢の銘木と同様に歩留が悪く、入手が困難で高価になることや、耐衝 撃性や強度及び耐久性上充分とは言えない課題がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案者は、上記諸課題に鑑み、鋭意研究の結果、銘木材を短尺状の厚板に加 工することで、銘木の無垢の長尺物の不良品や原木の端材及び製材後の残材を利 用でき、且つ製材時の曲りと乾燥中の割れや反りを防止できることに着目し、銘 木材の歩留を向上させた無垢物と変らぬ耐衝撃性や強度及び耐久性の得られる安 価な複合銘木を提供しようとするものである。 すなわち、その解決手段は以下のとおりである。

【０００５】 （１）長尺の一般の木質芯材及び木質台に、短尺状の厚板に加工した銘木板を 、複数枚継ぎ合わせ貼着して一体化してなることを特徴とする複合銘木である。 （２）長尺の一般の木質芯材及び木質台の踏代部に、短尺状の厚板に加工した 銘木板を、複数枚継ぎ合わせ貼着し、前面に突板を貼着してなることを特徴とす る前項（１）記載の複合銘木である。 （３）銘木板のサイズを幅７０〜１００ｍｍ、長さ１００〜５００ｍｍ、厚さ １０〜１５ｍｍの短尺状の厚板に加工して複数枚継ぎ合わせ貼着してなることを 特徴とする前項（１）又は（２）記載の複合銘木である。

【０００６】

【考案の実施の形態】

本考案の実施の形態を実施例を示す図１及び図２に基づいて説明すると、図１ は上り框の実施例を示すもので、木質芯材１と、該木質芯材１の踏代部に継ぎ合 わせ貼着した複数枚の銘木板２と、該銘木板を貼着した木質芯材１の前面に貼着 した突板３により構成されており、図２は式台の実施例を示すもので、木質台１ Ａの踏代部に継ぎ合わせ貼着した複数枚の銘木板２Ａ、２Ｂと、該銘木板を貼着 した木質台１の前面に貼着した突板３Ａにより構成されている。

【０００７】 図１に示す上り框及び図２に示す式台において、木質芯材１や木質台１Ａは一 般に合板又は集成材により形成しており、長さＬ、Ｌ１は玄関幅等により限定は されないが、一般的に１９５０〜３９５０ｍｍとして、上り框用の場合は平行四 辺形状の角柱を形成し、式台の場合は長方形状の台を形成している。 なお、前記木質芯材１及び木質台１Ａは合板又は集成材に限らず、杉の間伐材 等を使用しても良い。

【０００８】 銘木板２、２Ａ、２Ｂは一般に桜やチーク、ナラ、花梨、ヒノキ等に銘木を使 用しているが、これらの銘木の長尺物は原木から挽くに当り、製材時の曲り、乾 燥中の割れや反り、節や腐れがあったりして不良材が生じ、製品として得られる 歩留が極めて悪いことから、前記銘木板２、２Ａ、２Ｂの幅Ｗ、Ｗ１、Ｗ２を７ ０〜１００ｍｍ、長さＸ、Ｘ１、Ｘ２を１００〜５００ｍｍ、厚さｔ、ｔ１を１ ０〜１５ｍｍの短尺状の厚板に加工することにより、無垢の長尺物の不良材や原 木の端材及び製材後の残材が利用でき、又製材時の曲りと乾燥中の割れや反りを 防止できるため、歩留を向上させて原木の伐採量の低減を図ることができる。

【０００９】 前記短尺状の厚板に加工した銘木板２、２Ａ、２Ｂは上り框の場合、前記木質 芯材１の踏代部に、該木質芯材の長さＬに合わせて銘木板２を長手方向に複数枚 継ぎ合わせ、式台の場合、前記木質台１Ａの踏代部に、該木質台の長さＬ１に合 わせて銘木板２Ａを長手方向前面に複数枚継ぎ合わせ、後端部より銘木板２Ｂを 縦に複数枚継ぎ合わせて工業用接着剤等で貼着し、表面をそれぞれ面一に仕上げ 加工してウレタン塗装又はＵＶ塗装により表面処理を行っているが、銘木の自然 の木目を出すため、用途によっては無塗装としている。

【００１０】 前記銘木板２、２Ａ、２Ｂを木質芯材１及び木質台１Ａの踏代部に貼着して表 面を仕上げ加工した高さＨ、Ｈ１は５０〜１８０ｍｍとしており、式台の幅Ｗ３ は４００〜５００ｍｍとしている。そして前記銘木板を複数枚貼着して表面仕上 げ加工した上り框と式台の前端部稜角は緩やかな勾配を付けた面取部２ａ、２ｂ を加工している。

【００１１】 以下のように銘木板２、２Ａ、２Ｂを木質芯材１及び木質台１Ａの踏代部に貼 着して表面仕上げ加工したより框や式台の前面部には突板３、３Ａを貼着してお り、該突板は０．１〜０．３ｍｍの木目を施した薄板で一般に市販されており、 前記上り框や式台の長さＬ、Ｌ１に合わせて、木質芯材１や木質台１Ａと銘木板 ２、２Ａ、２Ｂとの貼着目を目隠しするようにして工業用接着剤等で貼着してい る。

【００１２】

【考案の効果】

以上記載したように、本考案は短尺状の厚板に加工した銘木板を、一般の長尺 物の木質芯材及び木質台の踏代部に複数枚継ぎ合わせ貼着したものであるから、 銘木の原木を挽くに当り生ずる長尺物の無垢の銘木の不良材や原木の端材及び製 材後の残材を有効に利用できるため、銘木の製品として得られる歩留が向上し、 銘木の入手難の解消と価格の低減に効果があるほか、原木の伐採量を減らして森 林自然の保護に効果がある。

【００１３】 又、一般の長尺物の木質芯材及び木質台の踏代部に、短尺状の厚板に加工した 銘木板を貼着することにより、不要部分を除いて銘木板の貼着枚数を減らすと共 に、貼着及び仕上げ加工処理の手間を省いて安価に製造するのに効果を得ること ができる。

【００１４】 更に、銘木板を幅７０〜１００ｍｍ、長さ１００〜５００ｍｍ、厚さ１０〜１ ５ｍｍの短尺状の厚板に加工することにより、加工時の曲り及び乾燥中の割れや 反りも生じにくく、耐衝撃性や強度も充分に得られ、且つこれらの寸法にして継 ぎ合わせることにより所望の上り框や式台の寸法を満たし得る効果を得ることが できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る複合銘木の上り框の実施例を示す
斜視図である。

【図２】本考案に係る複合銘木の式台の実施例を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１ 木質芯材 １Ａ 木質台 ２、２Ａ、２Ｂ 銘木板 ２ａ、２ｂ 面取部 ３、３Ａ 突板

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺の一般の木質芯材及び木質台に、短
   尺状の厚板に加工した銘木板を、複数枚継ぎ合わせ貼着
   して一体化してなることを特徴とする複合銘木。
2. 【請求項２】 長尺の一般の木質芯材及び木質台の踏代
   部に、短尺状の厚板に加工した銘木板を、複数枚継ぎ合
   わせ貼着し、前面に突板を貼着してなることを特徴とす
   る請求項１記載の複合銘木。
3. 【請求項３】 銘木板のサイズを幅７０〜１００ｍｍ、
   長さ１００〜５００ｍｍ、厚さ１０〜１５ｍｍの短尺状
   の厚板に加工して複数枚継ぎ合わせ貼着してなることを
   特徴とする請求項１又は請求項２記載の複合銘木。