JP3061350B2 - 外壁へのサッシ取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、家屋の外壁屋外面に形
成された凹凸模様に影響されることなくサッシを水密性
よく壁体に取付けうる外壁へのサッシ取付構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、例えば煉瓦模様、深彫、溝、エン
ボスなどの装飾を施すことにより屋外面に凹凸模様を形
成し、外壁の外観を高めた家屋が増加している。

【０００３】このような家屋の外壁をなす壁体に設けた
例えば窓形成用の開口部には、図８に略示するように、
該開口部に面する壁体の開口端面ｅに沿ってのびる基片
ａ１と、この基片ａ１の屋外側縁で屋外面ｆに沿っての
びかつ内端が該屋外面ｆに当接する一対の脚片ｂ、ｂを
具える壁外片ａ２とを有するサッシｓが、前記壁外片ａ
２をビスなどの固着具を用いて前記屋外面ｆに固定する
ことにより取付けられる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記サッ
シｓの脚片ｂ、ｂ内端と屋外面ｆとの間には、この屋外
面ｆに形成された溝ｇによって隙間が生じ、水密性を著
しく低下させている。

【０００５】又前記脚片ｂ、ｂ間に例えばコーキング材
からなる水密材ｃを充填することも従来から通常行われ
ているが、この水密材ｃと溝ｇの底部との間に隙間が形
成されることがしばしばあり、水密性を十分に確保する
には到っていない。

【０００６】本発明は、開口部近傍の屋外面に凹凸がな
い平坦面を形成し、かつこの平坦面にサッシの壁外片を
位置させることを基本として、サッシを水密性よく壁体
に取付けうる外壁へのサッシ取付構造の提供を目的とし
ている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本願の第１の発明は、家
屋の外壁をなしかつ屋外面が凹凸模様の壁体に設けた開
口部にサッシを取付ける外壁へのサッシ取付構造であっ
て、開口部近傍の前記壁体をなす外装板の屋外面を平坦
とすることにより凹凸のない平坦面を前記開口部近傍に
形成するとともに、前記開口部に面する壁体の開口端面
に沿ってのびる基片と、この基片の屋外側縁で外壁に沿
ってのびる壁外片とを有するサッシの前記壁外片を、前
記平坦面に位置させて、サッシを壁体に取付ける。

【０００８】又本願の第２の発明は、家屋の外壁をなし
かつ屋外面が凹凸模様の壁体に設けた開口部にサッシを
取付ける外壁へのサッシ取付構造であって、前記壁体
は、枠材とその屋外面に取付く外装板とからなりかつ開
口部近傍において枠材を屋外に露出させることによって
平坦面を形成するとともに、前記開口部に面する壁体の
開口端面に沿ってのびる基片と、この基片の屋外側縁で
外壁に沿ってのびる壁外片とを有するサッシの前記壁外
片を、前記平坦面に位置させて、サッシを壁体に取付け
る。

【０００９】

【作用】家屋の外壁をなしかつ屋外面が凹凸模様の壁体
の開口部近傍の外装板の屋外面を平坦とすることにより
凹凸のない平坦面を前記開口部近傍に形成するととも
に、サッシの壁外片を前記平坦面に位置させて該サッシ
を壁体に取付ける。従って、サッシの前記壁外片を凹凸
模様に左右されずに平坦面に密着させることが可能とな
り、水密性を十分に確保しうるとともに、あらたに平坦
面形成用の下地を準備する必要がなく、コストの削減を
図りうる他、外装板に直接形成した平坦面によって、サ
ッシを精度よくかつ能率的に取付けうる。

【００１０】又請求項２の発明において、前記壁外片の
平坦面に向かう複数の脚片間しかも該平坦面との間に水
密材を充填したときには、平坦面に密着するこの水密材
によって水密性をより一層向上しうる。

【００１１】さらに請求項３の本願の第２の発明におい
て、家屋の外壁をなす壁体を枠材とその屋外面に取付く
外装板とから構成し、かつ開口部近傍において枠材を屋
外に露出させることによって平坦面を形成する一方、サ
ッシの壁外片を前記平坦面に位置させてこのサッシを壁
体に取付けたときには、平坦面によってサッシを水密性
よく開口部に固定しうるとともに、前記平坦面を形成す
るための別の平坦な外装材を不要とし、構成の簡略化及
びコストダウンを図りうる。

【００１２】又請求項４の発明において、前記壁外片の
平坦面に向かう複数の脚片間しかも該平坦面との間に水
密材を充填したときには、平坦面に密着しうる水密材に
よって水密性をより一層向上しうる。

【００１３】なお第１、第２の発明において、「凹凸模
様」とは、例えば化粧セメント板、セラミックボードな
ど各種外装板等がなす屋外面に形成された煉瓦模様、
縦、横の溝、深彫、エンボスなどを意味し、又水密材と
して、コーキング材、ゴムなど弾性材からなるシール材
などを採用しうる。

【００１４】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。図１〜３において本発明の外壁へのサッシ取付構造
は、家屋の外壁をなしかつ屋外面Ｆが凹凸模様Ａの壁体
Ｗに設けた開口部ＢにサッシＳを取付ける。

【００１５】前記壁体Ｗは、本実施例では、建込みによ
り開口部Ｂを有する家屋の外壁を形成する壁パネルＰ
と、この壁パネルＰに並置されかつ無開口の家屋の外壁
を形成する壁パネルＰＡとを用いて形成される。

【００１６】壁パネルＰＡは、図１に示すように、水平
な上下の枠材２Ａ、２Ｂの両端を垂直な縦の枠材２Ｃ、
２Ｃで継いだ矩形の枠組を具えるとともに、該枠組の屋
内面、屋外面に夫々内装板１５、外装板４を取付けてい
る。なお前記縦の枠材２Ｃの側面には、図２に示すよう
に凹部３０が上下に連続して凹設されている。

【００１７】又外装板４の屋外面Ｆには、多数の縦、横
の溝によって煉瓦模様をなす凹凸模様Ａが形成されると
ともに、外装板４は前記縦の枠材２Ｃ、２Ｃの屋外面の
一部を露出させて前記枠組に添着される。

【００１８】又前記壁パネルＰは、前記開口部Ｂに面す
る開口端面Ｃをなす垂直な側の枠材３Ａ、３Ａの上端間
に水平な上の枠材３Ｂを架け渡したコ字の枠組を具える
とともに、該枠組の屋内面、屋外面には、開口部Ｂを残
して内装板１７、外装板５が夫々添着されている。なお
前記側の枠材３Ａは、図２、図３に示すように、断面矩
形の木質の２本の枠材片３３、３３を屋内面、屋外面を
揃えて固着することにより形成されるとともに、一方の
枠材片３３の側面には、前記壁パネルＰＡの側面に設け
た前記凹部３０にさね継ぎ状に嵌着し壁パネルＰを壁パ
ネルＰＡに連結する突部３１が上下に連続して形設され
ている。

【００１９】前記外装板５は、その屋外面Ｆに前記外装
板４の凹凸模様Ａに合わせた凹凸模様Ａが形成されてい
るが、この屋外面Ｆかつ本例では出入口用の前記開口部
Ｂ近傍において、外装板５の屋外面Ｆを、開口部Ｂに面
する壁体Ｗの前記開口端面Ｃに向かって溝底１９の深さ
まで削り取って平坦とすることにより、凹凸のない垂直
な平坦面６を形成している。

【００２０】従って、平坦面６が外装板５に直接設けら
れているため、別に平坦な外装板を必要とせず、コスト
を節減しうるとともに、前記凹凸模様Ａによって壁体Ｗ
の外観を高めうる。

【００２１】又前記サッシＳは、前記開口端面Ｃに沿っ
てのびる基片７と、この基片７の屋外側縁で外壁の屋外
面Ｆに沿ってのびる壁外片９とを有するとともに、該壁
外片９は、平板状の基板９Ａに、前記平坦面６に向かう
複数、本実施例では２つの脚片１０、１０と、屋外に向
かって突出する断面Ｌ字状の一対の係止片２０、２０と
を具える。

【００２２】サッシＳは、前記壁外片９を平坦面６に位
置させて脚片１０、１０内端をこの平坦面６に密着さ
せ、かつ脚片１０、１０間で前記基板９Ａを通り外装板
５に固着されるビスなどの固着具２１を用いて壁体Ｗの
開口部Ｂに水密性を確保して取付けられる。

【００２３】又前記脚片１０、１０間かつ平坦面６と基
板９Ａとの間には、水密材１１が充填され、水密性を向
上している。

【００２４】さらに前記外装板４、５間の目地には、前
記縦の枠材２Ｃを下地としてコーキング材Ｋが充填され
る。

【００２５】なお前記基片７は、前記開口端面Ｃをなす
他方の枠材片３３にビスなどの固着具２２を用いて固定
されるとともに、基片７の屋内端に設けたコ字部２３
は、前記内装板１７屋内面に例えば接着剤などにより一
片が取付けられる断面略Ｌ字状の框材２４の他片外端を
嵌着する。

【００２６】又開口部Ｂは、図１に示す出入口用のもの
の他、図４に示す通常の窓用としても形成できる。さら
に図５、図６に示すように、大型の壁パネルＰＢに、出
入口用、窓用の開口部Ｂを一体に形成することも可能で
ある。

【００２７】図７に本願の第２の発明の一実施例を示
す。本例において、前記壁体Ｗをなす壁パネルＰは、開
口部Ｂ近傍において前記外装板５を添着しないで前記側
の枠材３Ａを屋外に露出させることによって平坦面６を
形成している。又サッシＳの取付構造は前記実施例と同
様なのでその説明を省略する。

【００２８】なお本実施例では、前記側の枠材３Ａの屋
外を覆う覆片２６と、この覆片２６の一端から屋内にの
びかつ内端が前記壁パネルＰＡの縦の枠材２Ｃの屋外面
近傍に接する内向き片２７とを有する化粧カバー１３
が、前記覆片２６屋内面から突出する一対の係合片２
９、２９をサッシＳの前記壁外片９に設けた前記係止片
２０、２０に係止することにより該サッシＳに取付けら
れる。

【００２９】又前記外装板４と化粧カバー１３の内向き
片２７との間の目地には、縦の枠材２Ｃを下地としてコ
ーキング材Ｋが充填される。

【００３０】

【発明の効果】叙上の如く本発明の外壁へのサッシ取付
構造は、家屋の外壁をなしかつ屋外面が凹凸模様の壁体
の開口部近傍の外装板の屋外面を平坦とすることにより
凹凸のない平坦面を前記開口部近傍に形成するととも
に、サッシの壁外片を前記平坦面に位置させて該サッシ
を壁体に取付ける。従って、サッシの前記壁外片を凹凸
模様に左右されずに平坦面に密着させることが可能とな
り、水密性を十分に確保しうるとともに、あらたに平坦
面を形成するための下地材を必要とせず、コストの削減
を図りうる他、外装板に直接設けた平坦面によって、サ
ッシを高精度でかつ能率よく取付けうる。

【００３１】又請求項２の発明において、前記壁外片の
平坦面に向かう複数の脚片間しかも該平坦面との間に水
密材を充填したときには、平坦面に密着するこの水密材
によって水密性をより一層向上しうる。

【００３２】さらに請求項３の本願の第２の発明におい
て、家屋の外壁をなす壁体を枠材とその屋外面に取付く
外装板とから構成し、かつ開口部近傍において枠材を屋
外に露出させることによって平坦面を形成する一方、サ
ッシの壁外片を前記平坦面に位置させてこのサッシを壁
体に取付けたときには、平坦面によってサッシを水密性
よく開口部に固定しうるとともに、前記平坦面を形成す
るための別の平坦な外装材を不要とし、構成の簡略化及
びコストダウンを図りうる。

【００３３】又請求項４の発明において、前記壁外片の
平坦面に向かう複数の脚片間しかも該平坦面との間に水
密材を充填したときには、平坦面に密着しうる水密材に
よって水密性をより一層向上しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す正面図である。

【図２】その開口端面における横断面図である。

【図３】その分解斜視図である。

【図４】他の実施例を示す正面図である。

【図５】他の実施例を示す正面図である。

【図６】他の実施例を示す正面図である。

【図７】他の実施例を示す横断面図である。

【図８】従来の技術を説明するための断面図である。

【符号の説明】

２Ａ、２Ｂ、２Ｃ、３Ａ、３Ｂ 枠材 ４、５ 外装板 ６ 平坦面 ７ 基片 ９ 壁外片 １０ 脚片 １１ 水密材 Ａ 凹凸模様 Ｂ 開口部 Ｃ 開口端面 Ｆ 屋外面 Ｓ サッシ Ｗ 壁体

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】家屋の外壁をなしかつ屋外面が凹凸模様の
   壁体に設けた開口部にサッシを取付ける外壁へのサッシ
   取付構造であって、 開口部近傍の前記壁体をなす外装板の屋外面を平坦とす
   ることにより凹凸のない平坦面を前記開口部近傍に形成
   するとともに、 前記開口部に面する壁体の開口端面に沿ってのびる基片
   と、この基片の屋外側縁で外壁に沿ってのびる壁外片と
   を有するサッシの前記壁外片を、前記平坦面に位置させ
   て、サッシを壁体に取付けたことを特徴とする外壁への
   サッシ取付構造。
2. 【請求項２】前記壁外片は、前記平坦面に向かう複数の
   脚片を有しかつ脚片間しかも平坦面との間に水密材を充
   填したことを特徴とする請求項１記載の外壁へのサッシ
   取付構造。
3. 【請求項３】家屋の外壁をなしかつ屋外面が凹凸模様の
   壁体に設けた開口部にサッシを取付ける外壁へのサッシ
   取付構造であって、 前記壁体は、枠材とその屋外面に取付く外装板とからな
   りかつ開口部近傍において枠材を屋外に露出させること
   によって平坦面を形成するとともに、 前記開口部に面する壁体の開口端面に沿ってのびる基片
   と、この基片の屋外側縁で外壁に沿ってのびる壁外片と
   を有するサッシの前記壁外片を、前記平坦面に位置させ
   て、サッシを壁体に取付けたことを特徴とする外壁への
   サッシ取付構造。
4. 【請求項４】前記壁外片は、前記平坦面に向かう複数の
   脚片を有しかつ脚片間しかも平坦面との間に水密材を充
   填したことを特徴とする請求項３記載の外壁へのサッシ
   取付構造。