JP3061168B2 - 磁気軸受装置 - Google Patents

磁気軸受装置

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JP3061168B2 JP7288096A JP28809695A JP3061168B2 JP 3061168 B2 JP3061168 B2 JP 3061168B2 JP 7288096 A JP7288096 A JP 7288096A JP 28809695 A JP28809695 A JP 28809695A JP 3061168 B2 JP3061168 B2 JP 3061168B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、真空用機器等に用
いる磁気軸受装置、特に、磁気軸受のロータを支承する
タッチダウン軸受を有する磁気軸受装置に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、ターボ分子ポンプなどの真空用
機器に組込まれる磁気軸受装置においては、ロータはそ
の高速回転中磁気軸受にて非接触状態に支承され、回転
停止時にはロータが磁気軸受のステータやモータ等に接
触して破損せぬようタッチダウン軸受を設けている。と
ころで、通常の磁気軸受装置の使用停止時には、ロータ
がその回転速度を除々に落とされ、かなり低速になって
からタッチダウン軸受に接触させられるようにしている
ためタッチダウン軸受等の損傷はない。しかし、磁気軸
受装置の使用中に停電等の原因にて瞬時に磁気軸受が作
動しなくなった場合、ロータは高速回転を続けた状態で
タッチダウン軸受に接触し、回転停止するまでタッチダ
ウン軸受にて支承されることにより、ロータの損傷や軸
受寿命が短くなる等の問題がある。これは、タッチダウ
ン軸受の回転輪の瞬時の急加速性が悪いことに起因す
る。上述の問題点を解消するため、特に真空中で使用す
る磁気軸受装置のタッチダウン軸受では、転動体表面に
銀などの金属膜層を形成したのちに二硫化モリブデンな
どの固体潤滑剤を被膜することにより軸受寿命を延長す
る磁気軸受装置(特開昭61−165021号)などが
考案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
場合も、固体潤滑剤の磨耗、剥離が進行するにつれ、タ
ッチダウン軸受の回転トルクが高くなり、タッチダウン
側周面でのすべりの増大、軌道部でのころがり運動のす
べり率の増大により、特に真空中においては上記部材が
容易に高温になり、転動体表面や軌道面あるいはタッチ
ダウン側周面に焼付けが発生し、早期に軸受寿命に到達
してしまう。本発明は、上述の問題点を解消するもので
あり、その目的とするところは、タッチダウン軸受の軌
道面およびタッチダウン側周面の耐摩耗強度および耐焼
付性を向上させ、長期にわたり磁気軸受の電源断時の際
のロータを回転可能に支持しうるようにした磁気軸受装
置を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の磁気軸受装置
は、ロータを磁気軸受で浮揚状態に支持し、かつ磁気軸
受の電源断時等にタッチダウン用転がり軸受によりロー
タを回転可能に支持するようにした磁気軸受装置におい
て、前記タッチダウン用転がり軸受を総ボール型式と
し、該タッチダウン用転がり軸受の回転輪のタッチダウ
ン側周面に耐摩耗強度及び耐焼付性に優れた第1の固
潤滑被膜層を形成するとともに、該タッチダウン用転が
り軸受の回転輪及び固定輪の軌道面に耐摩耗強度及び耐
焼付性に優れた第2の固体潤滑被膜層を形成してなり、
ロータのタッチダウン直後に、該回転輪のタッチダウン
側周面の第1の固体潤滑被膜層によりロータと回転輪間
のすべりを助長し、回転輪の初期トルクの低減を図り、
次いで該回転輪及び固定輪の軌道面に形成された第2の
固体潤滑被膜層により回転輪、転動体及び固定輪間の相
互のすべりを助長し、タッチダウン用転がり軸受全体の
初期トルクの低減が図られるようにすることにより上記
目的を達成するものである。 【0005】 【作用】例えば、電源断時のように急激な回転トルクが
磁気軸受装置のタッチダウン軸受に作用する場合でも、
タッチダウン軸受の軌道面およびタッチダウン側周面に
TiCもしくはTiN等の金属系固体潤滑被膜層を形成
しているため、完全ドライな潤滑を保持して耐摩耗強度
と耐焼付性を向上させることができる。よって、タッチ
ダウン軸受あるいはロータを損傷することなく、長期に
わたりロータに良好に追従して磁気軸受装置の寿命を向
上させうる。 【0006】 【発明の実施の形態】以下に本発明を実施例について詳
述する。例えば、第1図に示すように、本発明の磁気軸
受装置1は、有底円筒状のケース2内に下端部が細軸4
となる段付き軸受に形成され、かつ該細軸4の下端に円
盤部5を有するロータ3を挿入している。前記ロータ3
の上部は、ケース2の内壁2aに固定された磁気軸受6
にて支承され、前記ロータ3の下部の円盤部5は、ケー
ス2の底壁2bに固定された磁気軸受7と該磁気軸受7
より若干上方でケース2の内壁2aに固定された磁気軸
受8との間に位置して両磁気軸受7、8にて支承され
る。前記上方の磁気軸受6は、ロータ3の軸線に直交す
る方向に磁力を出すラジアル軸受として作用し、下方の
二個の磁気軸受7、8は、ロータ3の軸線方向すなわち
円盤部5の上下面5a、5bに直交する方向に磁力を出
すスラスト軸受として作用する。9は高周波モータでロ
ータ3を回転させるためのものである。また磁気軸受6
の上方のケース2の内壁2aからは半径方向にフランジ
10が一体に設けられ、該フランジ10の端部10aに
形成した周状凹溝11内に、タッチダウン軸受として総
ボール形式の深みぞ玉軸受12が装着固定され、ロータ
3の回転停止時のラジアル負荷を受ける。 【0007】さらに下方の両磁気軸受7、8のうち、円
盤部5の上面側に配置された磁気軸受8のコアー8bの
ロータ3に対向する側面8aには、タッチダウン軸受と
して二個の総ボール形式のアンギュラ玉軸受13、14
が上下に正面組合わせで装着固定されている。この両タ
ッチダウン軸受13、14のうち上部の軸受13により
ロータ3の段付き面3aおよび細軸4が支承され、下部
の軸受14によりロータ3の細軸4のみが支承される。
ここで第1図の実施例はロータ3の回転中の状態を示し
ているが、ロータ3の回転停止時にはロータ3はタッチ
ダウン軸受12、13、14のみにて支承され、磁気軸
受6、7、8には非接触状態を保つよう、寸法関係が考
慮されていることはもちろんである。 【0008】次に前記タッチダウン軸受について詳述す
る。なお、ここでは便宜上タッチダウン軸受12を代表
して説明するが、他の軸受13、14の構成についても
同様であることはいうまでもない。第2図に示すよう
に、タッチダウン軸受12は、軸受鋼を素材とした内輪
15、外輪16、および、内外輪15、16の間に介装
された転動体17である。Aは、膜厚約数μmのTiN
薄膜層であり、タッチダウン時の回転輪となる内輪15
のタッチダウン側周面すなわち内周面151、内輪15
の軌道面152、および外輪16の軌道面161に、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法あるいはCV
D法等のコーティングにより形成されている。前記Ti
Nの薄膜層Aは、従来の銀などの金属膜層を形成したの
ちに化モリブデン等を被覆した固体潤滑剤層に比
べ、機械的摩耗に対して強く、長期にわたりタッチダウ
ンに耐えられ、しかも高温での摩耗係数が小さく、タッ
チダウン時の内輪内周面151および内外輪の軌道面1
52、161での摩擦係数を小さく、すなわち摩擦トル
クを小さくさせることができ、高温での安定性と耐焼付
性は数段に優れたものとなる。もちろん、真空中で使用
されるタッチダウン軸受に要求される完全ドライ潤滑性
も失われることがない。 【0009】上記薄膜層Aとしては、TiNの他TiC
なども同等の効果が得られる。さらに、これらを複数積
層にして用いることも可能である。第3図には、従来技
術である銀膜上に二硫化モリブデンを被覆したタッチダ
ウン軸受と、本発明のTiN層を被覆したタッチダウン
軸受との低真空中300℃での摩擦係数の変化状態を示
す比較グラフである。第3図から明らかなように、本発
明の軸受の方が、長期間にわたり摩擦係数を小さく維持
できることが明らかである。これは、Agが低真空中で
あっても、わずかに存在する酸素のため、高温中で酸化
が進み、潤滑性を失って行くが、TiN層は高温条件下
においても劣化しないことと、高速回転によっても剥離
しにくいからである。したがって、高温条件下において
高速回転で使用しても、支障なく長期にわたって軸受機
能を発揮することができる。 【0010】上記実施例では、総ボール形式の玉軸受に
ついて説明したが、保持器付きの玉軸受でもよい。ま
た、他の形式のころがり軸受でもよい。また、本発明の
他の実施例として、前記実施例において内輪15と外輪
16との間に介装される転動体17をセラミックス製と
してもよい。この場合には、セラミックスの潤滑性によ
り転動体17と軌道面152、161間の摩擦を効果的
に小さくできるばかりでなく、異種材料の使用による焼
付性の向上が得られる。さらにまた、本発明の他の実施
例として第1図および第2図の実施例において、タッチ
ダウン軸受の回転輪15の内周面151に対向するロー
タ3の外周面31にTiN薄膜層をコーティングにより
形成してもよい。 【0011】 【発明の効果】本発明は、ロータを磁気軸受で浮揚状態
に支持し、かつ磁気軸受の電源断時等にタッチダウン用
転がり軸受によりロータを回転可能に支持するようにし
た磁気軸受装置において、前記タッチダウン用転がり軸
受を総ボール型式とし、該タッチダウン用転がり軸受の
回転輪のタッチダウン側周面に耐摩耗強度及び耐焼付性
に優れた第1の固体潤滑被膜層を形成するとともに、該
タッチダウン用転がり軸受の回転輪及び固定輪の軌道面
耐摩耗強度及び耐焼付性に優れた第2の固体潤滑被膜
層を形成してなり、ロータのタッチダウン直後に、該回
転輪のタッチダウン側周面の第1の固体潤滑被膜層によ
りロータと回転輪間のすべりを助長し、回転輪の初期ト
ルクの低減を図り、次いで該回転輪及び固定輪の軌道面
に形成された第2の固体潤滑被膜層により回転輪、転動
体及び固定輪間の相互のすべりを助長し、タッチダウン
用転がり軸受全体の初期トルクの低減が図られるように
した構成であるから、急激な回転トルクが負荷されて
も、初期トルクの低減を長期間にわたり可能とし、しか
も磁気軸受の信頼性を向上させ、回転軸や軸受の損傷を
防止でき、磁気軸受装置の寿命を向上させうる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例の縦断面図である。 【図2】第1図の実施例におけるタッチダウン軸受の要
部拡大断面図である。 【図3】本発明のタッチダウン軸受と従来のタッチダウ
ン軸受の摩擦係数の変化状態を示す比較グラフである。 【符号の説明】 3 ロータ 6、7、8 磁気軸受 12、13、14 タッチダウン軸受 A 固体潤滑膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 六角 和夫 大阪府大阪市南区鰻谷西之町2番地 光 洋精工株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−165021(JP,A) 特開 昭54−93741(JP,A) 特開 昭52−17149(JP,A) 実開 昭61−40510(JP,U) 実開 昭62−56824(JP,U) 実開 昭59−144221(JP,U)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 (1)ロータを磁気軸受で浮揚状態に支持し、かつ磁気
    軸受の電源断時等にタッチダウン用転がり軸受によりロ
    ータを回転可能に支持するようにした磁気軸受装置にお
    いて、 前記タッチダウン用転がり軸受を総ボール型式とし、該
    タッチダウン用転がり軸受の回転輪のタッチダウン側周
    面に耐摩耗強度及び耐焼付性に優れた第1の固体潤滑被
    膜層を形成するとともに、該タッチダウン用転がり軸受
    回転輪及び固定輪の軌道面に耐摩耗強度及び耐焼付性
    に優れた第2の固体潤滑被膜層を形成してなり、 ロータのタッチダウン直後に、該回転輪のタッチダウン
    側周面の第1の固体潤滑被膜層によりロータと回転輪間
    のすべりを助長し、回転輪の初期トルクの低減を図り、
    次いで該回転輪及び固定輪の軌道面に形成された第2の
    固体潤滑被膜層により回転輪、転動体及び固定輪間の相
    互のすべりを助長し、タッチダウン用転がり軸受全体の
    初期トルクの低減が図られるようになされている磁気軸
    受装置。
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