JP3058085U

JP3058085U - プラスチック製複合シート

Info

Publication number: JP3058085U
Application number: JP1998007550U
Authority: JP
Inventors: 譽日置
Original assignee: アイシート工業株式会社
Priority date: 1998-09-29
Filing date: 1998-09-29
Publication date: 1999-06-08
Anticipated expiration: 2004-09-29

Abstract

(57)【要約】【課題】電気抵抗が小さいことが要求される場合およ
び電気抵抗が比較的大きいことが要求される場合のいず
れにも利用することができるとともに、表面および裏面
の電気抵抗が異なることが要求される用途にも好適なプ
ラスチック製複合シートを提供する。【解決手段】プラスチック材料よりなる第一層１１と
第二層１２を積層一体化したものからなって、第一層１
１の表面抵抗率と第二層１２の表面抵抗率が異なるプラ
スチック製複合シート１０。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案はプラスチック製複合シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

集積回路（ＩＣ）等の電子部品や電子デバイス等を包装梱包するトレーやマガジンやキャリアテープ用リール等の包装品を構成する包装材料においては、静電気の除去特性（機能）を要求されることが多い。通常、静電気を除去するためには、電気抵抗（絶縁抵抗）が小さいもの、例えば、鉄やアルミニウムのような通電性を有するものを包装材料として使用したり、あるいは表面抵抗率（電気抵抗値）が１×１０^３〜１×１０^６Ω程度の半導電性を有するものを包装材料として使用している。

【０００３】また、電子部品によっては、前記包装材料では電気抵抗が小さすぎる場合があり、その場合には、静電気が過電流となって放電されることがあり、結果的には電子部品や電子デバイスを破損することがある。したがって、このような場合には、比較的電気抵抗の大きい、例えば、表面抵抗率が１×１０^８〜１×１０^１２ Ω程度の材料が包装材料として要求される。

【０００４】ところで、前者の電気抵抗が小さい包装材料としては、プラスチック材料にカーボンブラックを所定量混入することによって、あるいは、絶縁性を有するプラスチック製のシート本体（表面抵抗率が１×１０^１２Ω以上とされる）表面にカーボンブラック等で導電性を付与した塗料を塗布することによって半導電性の特性を付与したプラスチック製シートが一般的である。一方、後者の電気抵抗が比較的大きい包装材料としては、市販の界面活性剤系の静電気防止剤、例えば、アルキルスルホン酸塩，アルキルジエタノールアミン，脂肪酸グリセリンエステル等をプラスチック材料に所定量混入したプラスチック製シート、あるいは、前記静電気防止剤をプラスチック製のシート本体表面に塗布したプラスチック製シートが一般的である。

【０００５】しかるに、従来、電子部品搬送用トレー等の包装品を真空成形等により製作する場合には、電子部品等の性質に応じて、前記半導電性を有するプラスチック製シート又は電気抵抗が比較的大きいプラスチック製シートを選択して利用する必要があった。すなわち、利用者は、用途に応じた電気特性を有するプラスチック製シートをその都度用意しなければならず、利便性において不利であった。

【０００６】また、表面および裏面の電気抵抗が異なるプラスチック製シートが要求される場合もあり、その場合、前記従来の単層からなり電気抵抗が単一であるプラスチック製シートでは対応できなかった。なお、前記カーボンブラックを混入した半導電性を有するプラスチック製シートは、一般的にコストが高いといった問題もある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

この考案は前記の点に鑑み提案されたものであって、小さな電気抵抗が要求される場合および比較的大きな電気抵抗が要求される場合のいずれにも利用することができるとともに、表面および裏面の電気抵抗が異なることが要求される用途にも好適なプラスチック製複合シートを提供しようとするものである。

【０００８】

【課題を解決する手段】

請求項１の考案は、プラスチック材料よりなる第一層と第二層を積層一体化したものからなって、第一層の表面抵抗率と第二層の表面抵抗率が異なることを特徴とするプラスチック製複合シートに係る。

【０００９】請求項２の考案は、プラスチック材料よりなる第一層と第二層を積層一体化したものからなって、第一層の表面抵抗率と第二層の表面抵抗率が異なるとともに、第一層のプラスチック材料と第二層のプラスチック材料が互いに相溶性の良い材質からなることを特徴とするプラスチック製複合シートに係る。

【００１０】請求項３の考案は、プラスチック材料よりなる第一層と第二層を積層一体化したものからなって、第一層の表面抵抗率が１×１０^３〜１×１０^６Ωとされ、第二層の表面抵抗率が１×１０^８〜１×１０^１２Ωとされたことを特徴とするプラスチック製複合シートに係る。

【００１１】請求項４の考案は、プラスチック材料よりなる第一層と第二層を積層一体化したものからなって、第一層の表面抵抗率と第二層の表面抵抗率が異なるとともに、第一層がプラスチック材料にカーボンブラックを含有したものからなり、第二層がプラスチック材料に静電気防止剤を含有したものからなることを特徴とするプラスチック製複合シートに係る。

【００１２】

【考案の実施の形態】

以下添付の図面に従ってこの考案を詳細に説明する。図１はこの考案の一実施例に係るプラスチック製複合シートの部分断面図、図２はプラスチック製複合シートの製造例を示す模式図、図３は他のプラスチック製複合シートの製造例を示す模式図、図４はさらに他のプラスチック製複合シートの製造例を示す模式図である。

【００１３】図１に示すプラスチック製複合シート１０は、電子部品や電子デバイス等を包装梱包するトレー，マガジン，キャリアテープ用リール等の包装品の包装材料として、あるいは、その他の用途に好適なもので、所定厚みの第一層１１と第二層１２を積層一体化したものからなる。

【００１４】前記第一層１１および第二層１２は、ポリプロピレン，ポリスチレン，ポリエチレン等のプラスチック材料を押出成形等、適宜の方法によってシート状に成形したものからなる。前記第一層１１および第二層１２の厚みは、当該プラスチック製複合シート１０の用途等を考慮して適宜定められる。また、この例では、便宜上、前記第一層１１をプラスチック製複合シート１０の表面側、第二層１２をプラスチック製複合シート１０の裏面側として区別する。

【００１５】前記第一層１１と第二層１２を積層一体化する手段としては、例えば、図２に示すように、それぞれ別々の押出成形機２１，２２で押出成形された第一層１１および第二層１２を貼り合わせ用ローラ２３，２４間で挟んで貼り合わせることにより一体にしたり、図３に示すように、第一層用押出成形機３１からの第一層用樹脂Ｐ１および第二層用押出成形機３２からの第二層用樹脂Ｐ２を共押出用ダイス３３にて共押出成形することにより一体にしたり、さらには、図４に示すように、予め成形された第一層１１（若しくは第二層１２）と押出成形機４１で押出成形された第二層１２（若しくは第一層１１）を貼り合わせ用ローラ４２，４３間で挟んで貼り合わせることにより一体にすることが挙げられる。図２および図４中の符号２５，２６，４４は送り用ローラである。なお、上記積層一体化を容易かつ確実に行うためには、この例のように、第一層１１のプラスチック材料と第二層１２のプラスチック材料が互いに相溶性の良い材質、例えば、同じ材質とするのが好ましい。

【００１６】そして、この考案においては、第一層１１の表面抵抗率（露出面１１ａの表面抵抗率）と第二層１２の表面抵抗率（露出面１２ａの表面抵抗率）とが異なることを特徴とする。この例では、第一層１１のプラスチック材料にカーボンブラックを１５〜３０重量％含有（混入）して表面抵抗率が１×１０^３〜１×１０^６Ω とされ、第二層１２のプラスチック材料に帯電防止剤とも称される界面活性剤系の静電気防止剤を０．２〜１．０重量％（高分子系の静電気防止剤の場合には５〜３０重量％）含有（混入）して表面抵抗率が１×１０^８〜１×１０^１２Ωとされている。

【００１７】前記カーボンブラックおよび静電気防止剤は、第一層１１および第二層１２の導電性を高めるためのものである。前記静電気防止剤としては、モノグリセライト，アルキルスルホン酸塩，アルキルジエタノールアミン，脂肪酸グリセリンエステル等の界面活性剤系静電気防止剤、または三洋化成工業社製のペレスタット３１７０やペレスタット６３２１等の高分子系静電気防止剤が好適である。なお、第一層１１および第二層１２の両層のプラスチック材料にカーボンブラックの含量を異ならせて含有させることにより、第二層１２の表面抵抗率を前記値にすることもできるが、カーボンブラックは一般的に静電気防止剤より価格が高いので、この例のように一の層（表面抵抗率を比較的高くする第二層１２）に静電気防止剤を用いた方がコストを低減できる。また、前記第一層１１および第二層１２の導電性を高める導電性物質としては、前記カーボンブラックおよび静電気防止剤の他に、グラファイト、ポリアニリン，ポリピロール等の導電性高分子の粉末、あるいは、四級アンモニウム塩、アルカリ金属塩またはその錯体等が挙げられるが、一般的に入手し易く、かつ経済的な前記カーボンブラックおよび静電気防止剤を用いるのが好ましい。

【００１８】なお、第一層１１および第二層１２の導電性を高める手段としては、前記カーボンブラックや静電気防止剤等の導電性物質をプラスチック材料に混入させずに第一層若しくは第二層（通常、表面抵抗率が１×１０^１２Ω以上となっている。）を得た後、該第一層若しくは第二層の露出面（包装品の製作時における使用予定面）に導電性の付与された塗料や静電気防止剤等を塗布することも考えられるが、この例のようにプラスチック材料にカーボンブラックや静電気防止剤等の導電性物質を混入させることによって、第一層および第二層全体の導電性を高めれば、経時的な各層の表面劣化や使用時における摩耗等により表面抵抗率が変動するのを防ぐことができ、しかも製造時における作業性が良くなるとともに、さらには当該プラスチック製複合シートを、表面側層および裏面側層の電気抵抗が異なる、いわゆる傾斜材料として使用できる利点がある。

【００１９】上記したように、第一層１１の表面抵抗率を１×１０^３〜１×１０^６Ωとすることによって、当該プラスチック製複合シート１０の第一層１１側、この例では表面側は、半導電性の特性、つまり静電気除去特性を有するようになる。他方、前記第二層１２の表面抵抗率を１×１０^８〜１×１０^１２Ωとすることによって、当該プラスチック製複合シート１０の第二層１２側、この例では裏面側は、比較的電気抵抗が大きい特性、つまり静電気放電防止特性を有するようになる。

【００２０】このプラスチック製複合シート１０は、表裏が異なる電気特性を有するため、該シート１０の表面側と裏面側を、用途に応じて使い分けすることができる。具体的には、電気抵抗が小さいことが要求される場合にはその要求面を前記第一層１１側の面とし、他方、電気抵抗が比較的大きいことが要求される場合にはその要求面を第二層１２側の面とする。したがって、従来のように、各用途に応じた電気特性を備えたプラスチック製シートをその都度用意しなければならないといった煩雑さを解消することができる。また、このプラスチック製複合シート１０は、表面および裏面の両側の電気抵抗が異なる用途にも好適に利用することができ、汎用性に優れている。なお、この例のように前記第一層１１の色（黒色）と第二層１２の色（白）を異にすることによって、第一層１１および第二層１２を明確に区別（色分け）すれば、前記各層の使い分けに便利である。

【００２１】

【実施例】

以下、具体的な実施例について説明する。（実施例１）表１に従い各層の材料を配合して、第一層（厚み０．２ｍｍ）と第二層（厚み０．８ｍｍ）を前記共押出成形用ダイスで一体に共押出成形することによりプラスチック製複合シートを製造した。

【００２２】

【表１】

【００２３】（実施例２）表２に従い各層の材料を配合して、第一層（厚み０．２ｍｍ）と第二層（厚み０．５ｍｍ）をそれぞれ別々に押出成形した後、各層を前記貼り合わせ用ローラにて貼り合わせることによりプラスチック製複合シートを製造した。

【００２４】

【表２】

【００２５】前記の実施例１および２で得られたプラスチック製複合シートの一部から幅１０ｍｍの試験片を切り取り、それらの第一層と第二層の表面抵抗率をＪＩＳＫ６９１１に準じてそれぞれ測定した。その測定結果を表３に示す。なお、この測定の際における電極間の距離は１０ｍｍとするとともに、表面抵抗率が１×１０^３〜１×１０^６Ωの範囲（第一層）の測定には測定器として横河Ｍ＆Ｃ社製のデジタルインシュレーションテスター型名２４０７を用い、表面抵抗率が１×１０^８〜１×１０^１２Ωの範囲（第二層）の測定には測定器として東亜電波工業社製のスーパーメグオームメーターＳＭ−８２０５を用いた。

【００２６】

【表３】

【００２７】

【考案の効果】

以上図示し説明したように、この考案によれば、小さな電気抵抗が要求される場合および比較的大きな電気抵抗が要求される場合のいずれにも利用することができ、しかも、表面および裏面の電気抵抗が異なることが要求される用途にも好適なプラスチック製複合シートが得られる。

【００２８】また、請求項２の考案のように、第一層のプラスチック材料と第二層のプラスチック材料が互いに相溶性の良い材質からなるようにすれば、第一層と第二層の結合力は強固になり、強度の高いプラスチック製複合シートが得られる。

【００２９】さらに、請求項３の考案のように、第一層の表面抵抗率を１×１０^３〜１×１０^６Ωとし、第二層の表面抵抗率を１×１０^８〜１×１０^１２Ωとすれば、一般に電子部品等を包装梱包するための包装材料として要求される、静電気を除去する特性と静電気の放電を防止する特性とを兼ね備えたプラスチック製複合シートが得られる。

【００３０】またさらに、請求項４の考案のように、第一層がプラスチック材料にカーボンブラックを含有したものからなり、第二層がプラスチック材料に静電気防止剤を含有したものからなるようにすれば、経時的な表面劣化等に起因して第一層および第二層の表面抵抗率が変動するのを防ぐことができる。しかも、このようにしてなるプラスチック製複合シートにおいては、カーボンブラックを含む第一層の厚みが第二層の厚み分だけ薄くなるので、従来のカーボンブラックを用いた半導電性を有するプラスチック製シートに比し、カーボンブラックの量を少なくすることができ、コスト的にも有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係るプラスチック製複合
シートの部分断面図である。

【図２】プラスチック製複合シートの製造例を示す模式
図である。

【図３】他のプラスチック製複合シートの製造例を示す
模式図である。

【図４】さらに他のプラスチック製複合シートの製造例
を示す模式図である。

【符号の説明】

１０プラスチック製複合シート１１第一層１２第二層

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】プラスチック材料よりなる第一層と第二
層を積層一体化したものからなって、第一層の表面抵抗
率と第二層の表面抵抗率が異なることを特徴とするプラ
スチック製複合シート。
【請求項２】プラスチック材料よりなる第一層と第二
層を積層一体化したものからなって、第一層の表面抵抗
率と第二層の表面抵抗率が異なるとともに、第一層のプ
ラスチック材料と第二層のプラスチック材料が互いに相
溶性の良い材質からなることを特徴とするプラスチック
製複合シート。
【請求項３】プラスチック材料よりなる第一層と第二
層を積層一体化したものからなって、第一層の表面抵抗
率が１×１０^３〜１×１０^６Ωとされ、第二層の表面抵
抗率が１×１０^８〜１×１０^１２Ωとされたことを特徴
とするプラスチック製複合シート。
【請求項４】プラスチック材料よりなる第一層と第二
層を積層一体化したものからなって、第一層の表面抵抗
率と第二層の表面抵抗率が異なるとともに、第一層がプ
ラスチック材料にカーボンブラックを含有したものから
なり、第二層がプラスチック材料に静電気防止剤を含有
したものからなることを特徴とするプラスチック製複合
シート。