JP3056425B2 - 脱墨方法 - Google Patents

脱墨方法

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JP3056425B2
JP3056425B2 JP23774996A JP23774996A JP3056425B2 JP 3056425 B2 JP3056425 B2 JP 3056425B2 JP 23774996 A JP23774996 A JP 23774996A JP 23774996 A JP23774996 A JP 23774996A JP 3056425 B2 JP3056425 B2 JP 3056425B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新聞紙、チラシ、
雑誌等の古紙を脱インキして再利用するための脱墨方法
に関する。更に詳しくは、本発明は、インキをより効率
的に除去することができる脱墨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】古紙は、脱墨処理により古紙からインキ
を剥離し、再生パルプを得て、当該再生パルプから再生
紙を製造することにより、再生される。従来の脱墨方法
は、一般的に、古紙からインキを剥離する工程と、剥離
されたインキを排出する工程からなる。より具体的に
は、脱墨方法は、その主要な工程として、(1) 古紙のパ
ルピング(離解)工程、(2) 熟成、即ち、離解された紙
をそのまま放置する、工程、(3) フロテーション工程、
及び(4) 洗浄工程を含む。即ち、脱墨処理においては、
古紙繊維に結着したインキを物理的、化学的(或いは生
化学的)に剥離して、繊維からインキを分離する。分離
したインキはフロテーション工程において気泡に付着さ
れ、気泡と共に系外に排除される。その後脱墨パルプを
洗浄して、再生パルプが得られる。
【0003】近年、美しく安定な印刷に対する需要の増
大や印刷技術の進展により、原料として使用される古紙
の性状が多様化してきている。加えて、インキの紙への
結合の程度が、緩やかなものから強固なものまで、多岐
に亘っている。このような状況において、脱墨パルプの
品質(白色度、残インキ数等)及び歩留り(即ち、生産
性)の向上が要求されている。この目的を達成するため
に、脱墨工程、脱墨剤及び脱墨に用いる装置などの各方
面から、種々の提案がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の脱墨方法では、
フロテーション時のインキ除去において、インキの浮上
補助の観点から起泡性の高い泡剤の添加により排出量を
多くすることで白色度を上げる努力がなされている。と
ころが、泡量を多くすることでパルプの歩留りが低下
し、歩留りと白色度の両立は難しい。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は多様な原料古
紙を用いた脱墨方法においても良好な脱墨効果を奏する
ことのできる方法について詳細に検討した結果、疎水性
界面を持つ微粒子の存在下でフロテーション工程を行う
ことにより、インキを疎水性界面を持つ微粒子に選択的
に吸着させることで除去効率を上げ、白色度が高く残イ
ンキが少ない脱墨パルプを歩留り良く得ることができる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0006】即ち本発明は、原料古紙から剥離したイン
キを除去するフロテーション工程を含む脱墨方法におい
て、当該フロテーション工程を疎水性界面を持つ微粒子
の存在下で行うことを特徴とする脱墨方法を提供するも
のである。
【0007】通常、原料古紙からのインキの剥離は、原
料古紙を適当に裁断した後、温水やアルカリ剤等の各種
薬剤を添加して調製したパルプスラリーに脱墨剤である
界面活性剤を加えて機械的に攪拌することにより行わ
れ、次いで、剥離インキを含むパルプスラリーをフロテ
ーターに導入してフロテーション工程が行われる。
【0008】本発明においては、フロテーション工程を
疎水性界面を持つ微粒子(以下、疎水性微粒子という場
合もある)の存在下に行う。ここで、「微粒子の存在
下」とは、フロテーション工程前もしくはフロテーショ
ン工程中に別途添加した疎水性微粒子がフロテーション
工程の系中に存在することを意味し、原料古紙に由来す
る疎水性微粒子の存在を意味するものではない。
【0009】疎水性微粒子は、これら微粒子の疎水性を
接触角として測定した場合、フロテーション工程におけ
る系中の水溶液との接触角が60°以上、好ましくは7
0°以上を示す微粒子を用いることが好ましい。ここで
フロテーション工程の「系」とは、フロテーション処理
を行う際の水−パルプスラリーをいう。なお、微粒子の
接触角は、粉体にする前の固体表面とフロテーション工
程系の水溶液との接触角として測定できるし、直径5m
m程度のガラス管中に微粒子を詰めて毛細管現象により
フロテーション工程系の水溶液を上昇させてその上昇高
さから算出することもできる。
【0010】更に、疎水性微粒子の平均粒子径は5〜5
00μmが好ましく、より好ましくは10〜100μm
である。この粒径範囲のものは分散しやすく、またフロ
テーション工程で生じる気泡に捕捉されやすい大きさで
あるため、気泡による浮遊除去が容易となる。また、更
に疎水性微粒子の平均粒径と気泡の平均粒径の比率を、
〔疎水性微粒子の平均粒径〕/気泡の平均粒径=1/1
00〜1/1とすることより、インキを吸着した疎水性
微粒子が気泡にのりやすくなり、インキのフロテーショ
ン系外への排出がより容易となる。
【0011】本発明に用いられる疎水性微粒子の具体例
としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、カオ
リン、ゼオライト、炭素粉、ガラス粉末、油脂、固体脂
肪酸、油脂乳化物、プラスチック(ポリエステル等)等
が挙げられ、これらのうち炭酸カルシウム、タルク、油
脂乳化物が好ましく、炭酸カルシウムが最も好ましい。
炭酸カルシウムは平均粒径が30〜70μmのものが好
ましい。またタルクは平均粒径が20〜60μmのもの
が好ましい。
【0012】本発明において、疎水性微粒子は、対パル
プ当たり0.01〜5重量%存在させることが好まし
く、より好ましくは0.05〜1重量%である。
【0013】本発明においては、フロテーション工程に
おける系中のpHを4〜9とすることが望ましい。ここ
でフロテーション工程の「系のpH」とは、フロテーシ
ョン処理を行う際の水−パルプスラリーの水溶液部分の
pHである。フロテーション工程におけるpHの調整は
塩酸、硫酸などの酸、或いは水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等の塩基を必要に応じて添加することにより行
えばよい。
【0014】本発明の脱墨方法では、インキの選択的除
去が可能となるが、これはインキ界面がパルプ界面に比
較して疎水性であることから、疎水性界面を持つ微粒子
に選択的に疎水吸着し、フロテーション時排出されやす
い該微粒子と共に効率良く排出されるためと考えられ
る。
【0015】なお、本発明において、疎水性微粒子は、
フロテーション時にフロテーション系中に存在していれ
ばよいが、疎水性微粒子は、少なくともフロテーション
工程開始の直前からフロテーション工程の終了までの間
で添加することが、疎水性微粒子の効果を十分に得る上
で特に望ましい。最も好ましいのはフロテーション工程
開始の直前からフロテーション工程の終了までの間で添
加することである。
【0016】以上説明した本発明は、原料古紙から剥離
したインキを除去するフロテーション工程を含む脱墨方
法において、剥離したインキを担持し得る担体、例えば
前記した疎水性微粒子の存在下に、前記フロテーション
工程を行うことを特徴とする脱墨方法であり、当該担体
及びこれに担持されたインキを、フロテーション工程で
起泡に付着させて系外に排出するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】インキの剥離工程では、インキ剥
離のために、通常界面活性剤の少なくとも一種以上が用
いられる。界面活性剤としては、従来脱墨剤として公知
の界面活性剤を用いることができるが、陽イオン界面活
性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤が好ま
しく、特に好ましくは非イオン界面活性剤である。そし
て、非イオン界面活性剤としては、下記の(A)〜
(D)から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。特に
好ましくは下記の(A)、(B)及び(C)で表される
非イオン界面活性剤であり、更に好ましくは下記の
(C)で表される非イオン界面活性剤である。
【0018】<非イオン界面活性剤(A):油脂とアル
コールの混合物にアルキレンオキサイドを付加して得ら
れた反応生成物>非イオン界面活性剤(A)は、油脂
と、1価又は多価アルコールとの混合物のアルキレンオ
キサイド付加物である。アルキレンオキサイドは、上記
混合物に、当該混合物1モルあたり、平均で5〜300
モル、好ましくは20〜150モルの量で付加される。
アルキレンオキサイドの例としては、エチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げ
られ、それらは、単独でも、それらの二種以上の混合物
の形で用いてもよい。
【0019】アルコールに対する油脂の混合割合は、1
/0.1〜1/6が好ましく、1/0.3〜1/3が特
に好ましい。この比が上記範囲内であると、インキの剥
離が十分に行われるため、見栄えの良い再生パルプが得
られる。
【0020】非イオン界面活性剤(A)の原料としての
油脂の例としては、椰子油、パーム油、オリーブ油、大
豆油、菜種油、アマニ油等の植物油、豚脂、牛脂、骨油
等の動物油、魚油、これらの硬化油及び半硬化油、及
び、これら油脂の精製工程で得られた回収油が挙げられ
る。特に椰子油、パーム油、牛脂が好ましい。
【0021】非イオン界面活性剤(A)の原料としての
1価アルコールの例としては、炭素数8〜24のアルキ
ル又はアルケニル部分を有するもの、及び、そのアルキ
ル部分が炭素数6〜14であるアルキルフェニル部分を
有するものが挙げられる。好ましくは炭素数12〜18
のアルキル部分を有するものである。
【0022】非イオン界面活性剤(A)の原料としての
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロ
パン等が挙げられる。
【0023】<非イオン界面活性剤(B):式:RCO
O(AO)mR’で表される化合物>上記式中、Rは、炭
素数7〜23のアルキル又はアルケニル基を示し、R’
は、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2
〜22のアルケニル基もしくは炭素数2〜22のアシル
基、好ましくは水素を示し、AOは、炭素数2〜4のオ
キシアルキレン基を示し、mは1以上の整数である。A
Oの平均付加モル数は、5〜300モルが好ましい。ま
た、AOとしてエチレンオキサイドとプロピレンオキサ
イドを、プロピレンオキサイドに対するエチレンオキサ
イドのモル比が1/5〜5/1で用いるのが好ましい。
非イオン界面活性剤(B)の中では、Rで示されるアル
キル又はアルケニル基の炭素数、特にアルキル基の炭素
数が11〜23のものが好ましい。
【0024】<非イオン界面活性剤(C):式:RO
(AO)nHで表される化合物>上記式中、Rは、炭素数
8〜24のアルキル又はアルケニル基を示し、AOは、
炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、nは1以上
の整数である。AOの平均付加モル数は5〜300モル
が好ましく、より好ましくは7〜150モルである。ま
た、AOとしてエチレンオキサイドとプロピレンオキサ
イドを、プロピレンオキサイドに対するエチレンオキサ
イドのモル比が1/5〜5/1で用いるのが好ましい。
【0025】<非イオン界面活性剤(D):多価カルボ
ン酸もしくはその酸無水物に、アルキレンオキサイドを
付加して得られた反応生成物、又は、多価カルボン酸も
しくはその酸無水物とアルコールとの混合物に、アルキ
レンオキサイドを付加して得られた反応生成物>非イオ
ン界面活性剤(D)は、多価カルボン酸又はその酸無水
物(I)とアルコール(II)を用いて製造される。その
際、化合物(I)及び(II)は、(II)に対する(I)
のモル比が1/0.02〜5、特には1/0.1〜3で
用いられるのが好ましい。
【0026】また、陰イオン界面活性剤としては、高級
脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテ
ル硫酸塩等が好適に用いられる。陽イオン界面活性剤と
しては、第4級アンモニウム塩を用いることができ、特
にモノ長鎖アルキル型の第4級アンモニウム塩が好適で
ある。
【0027】界面活性剤は、脱墨方法のいずれの工程へ
添加してもよい。しかし、通常は、パルピング工程に添
加される。その添加量は特には限定されないが、好まし
くは原料古紙に対し0.01〜10重量%である。もち
ろん上記非イオン界面活性剤(A)〜(D)以外の公知
の脱墨剤を、それと組合わせて用いることはできる。
【0028】また、本発明の脱墨方法においては、フロ
テーション時の系中に、アミン、アミンの酸塩、両性化
合物及びカチオン性化合物からなる群から選ばれた少な
くとも一種を存在させることが好ましい。これらの化合
物を併用することにより、より被除去物の除去効率が向
上する。
【0029】アミン及びアミンの酸塩の例としては、1
級アミン、2級アミン、3級アミン、環状アミン、イミ
ダゾール及びイミダゾリン、これらのアミンの無機酸
塩、これらのアミンの有機酸塩、及びアミノ基を含むポ
リマーが挙げられる。アミン又はアミンの酸塩として
は、特に下記式(I−a)〜(I−e)で表されるアミ
ン又はアミンの酸塩が好ましい。
【0030】
【化1】
【0031】〔式(I−a)〜(I−e)において、R
1 は、炭素数8〜36のアルキル、アルケニル又はβ−
ヒドロキシアルキル基であり、R2 及びR3 は、互いに
同一又は相異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜
24のアルキル基又は炭素数2〜24のアルケニル基で
あり、HAは、無機又は有機酸を示し、AOは、炭素数
2〜4のオキシアルキレン基であり、l及びmは、それ
ぞれ、l+mが1〜300の正数であるという条件下、
0又は正数であり、W1 、W2 、W3 及びW4 は、互い
に同一又は相異なって、それぞれ、水素原子又は炭素数
1〜24のアルキル基である。〕。
【0032】また、両性化合物の例としては、ベタイ
ン、アミンオキサイド、リン脂質、蛋白質及び両性ポリ
マーが挙げられる。両性化合物としては、特に下記式
(II−a)〜(II−c)で表される両性化合物が好まし
い。
【0033】
【化2】
【0034】〔式(II−a)〜(II−c)において、R
1 、R2 及びR3 は、互いに同一又は相異なって、それ
ぞれ、炭素数1〜24のアルキル基又は炭素数2〜24
のアルケニル基であり、Y1は、式:R5NHCH2CH2
−(ここで、R5 は、炭素数1〜36のアルキル基、又
は、炭素数2〜36のアルケニルもしくはヒドロキシア
ルキル基である)で表される基であり、Y2 は、水素原
子又は式:R5NHCH2CH2−(ここで、R5は前記定義
の通りである)で表される基であり、Mは、水素原子、
アルカリ金属原子、1/2モルのアルカリ土類金属原子
又はアンモニウム基である。〕。
【0035】カチオン性化合物の例としては、モノ長鎖
アルキル型の第四級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル型
の第四級アンモニウム塩、窒素原子に置換基を有するピ
リジニウム塩、及びカチオンポリマーが挙げられる。カ
チオン性化合物の中では、特に下記式(III−a)〜(I
II−d)〜で表されるカチオン性化合物が好ましい。
【0036】
【化3】
【0037】〔式(III−a)〜(III−d)において、
1及びR2は、互いに同一又は相異なって、それぞれ、
炭素数10〜24のアルキル、アルケニル又はβ−ヒド
ロキシアルキル基であり、R3、R4及びR5 は、互いに
同一又は相異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキ
ルもしくはヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又は
式:−(AO)n−Z(ここで、AOは炭素数2〜4のオ
キシアルキレン基であり、Zは、水素原子又はアシル基
であり、nは1〜50の整数である)で表される基であ
り、R6 は、炭素数8〜36のアルキル、アルケニル又
はβ−ヒドロキシアルキル基であり、X- は対イオンで
あり、Yは、炭素数8〜36のアルキル、アルケニル又
はβ−ヒドロキシアルキル基、式:R6COOCH2
(ここで、R6は前記定義の通りである)で表される
基、式:R6CONHCH2−(ここで、R6は前記定義の
通りである) で表される基又は式:R6OCH2−(ここ
で、R6 は前記定義の通りである)で表される基であ
る。〕。
【0038】アミン、アミンの酸塩、両性化合物及びカ
チオン性化合物、からなる群から選ばれた少なくとも一
種は、フロテーション工程において、対パルプ当たり
0.005重量%から5重量%、好ましくは0.01重
量%から1重量%の量で使用される。これらの化合物
は、フロテーション工程の何れの時期に添加されてもよ
いが、系中のpHが4〜9の範囲にある場合に効果が顕
著であり、系中のpHがこの範囲にあるときに添加する
のが好ましい。これらの化合物をフロテーションの際、
系中、即ちスラリー中に存在させることにより、インキ
を効率良く除去することができ、白色度の向上、歩留り
の向上の両立が可能となる。これは、前記化合物を存在
させることによりインキ界面が更に疎水性となり、疎水
性界面を持つ微粒子との相互作用がより強くなり、イン
キ等と微粒子との吸着が促進され、気泡により除去され
やすくなるためと考えられる。
【0039】上記の化合物のうち、特に前記一般式(I
−b)で表されるアミン化合物、前記一般式(III −
a)、(III −b)で表されるカチオン化合物を用い、
pH4〜9の範囲でフロテーション工程を行うのが最も
好ましい。この場合、疎水性微粒子としては、炭酸カル
シウム、タルク、油脂乳化物を用いるが好ましい。
【0040】以上のように、本発明の脱墨方法は、フロ
テーション工程において疎水性界面を持つ微粒子を存在
させることを特徴とする。その他の工程は、従来の脱墨
方法に準じて行なうことができる。即ち、脱墨方法は、
その主たる工程として、離解(又はパルピング)工程、
熟成工程、(必要に応じてニーディング工程)、フロテ
ーション工程及び洗浄工程を含んでもよい。脱墨方法
は、必要であれば、更に他の工程を含んでいてもよい。
各工程は二回以上行われてもよい。
【0041】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0042】実施例1〜10及び比較例1 市中回収された原料古紙(新聞紙/チラシ=70/3
0)を4×4cmに細断後、その一定量を卓上離解機に
入れ、その中に温水及び水酸化ナトリウム1重量%(対
原料)、珪酸ソーダ3重量%(対原料)、30重量%過
酸化水素水2重量%(対原料)及び脱墨剤としてステア
リルアルコールのEO15モル(平均付加モル数、以下
同じ)PO15モルランダム付加物(EO:エチレンオ
キサイド、PO:プロピレンオキサイド、以下同じ)
0.3重量%(対原料)を加え、パルプ濃度5重量%と
し、40℃で10分間離解した。得られたパルプスラリ
ーを、40℃にて60分間熟成を行った後、温水を加え
てパルプ濃度を1重量%に希釈し、硫酸及び水酸化ナト
リウムを用いて当該パルプスラリーのpHを表1示す値
に調整し、更に表1に記載の疎水性微粒子を添加し、ま
た表1に記載の添加物を添加する場合はここで添加し、
40℃にて10分間フロテーション処理を行った。フロ
テーション処理後、タッピシートマシンにてパルプシー
ト(直径16cmの円形シート)を作製し、5kgf/
cm2 加圧した後、通風乾燥し、歩留り、白色度、残イ
ンキ率を下記の方法で測定した。その結果を表2に示
す。
【0043】白色度は、フロテーション後のパルプスラ
リーから調製されたパルプシートの白色度を測定した。
また、フロテーション後のパルプスラリーから得たパル
プシートの残インキ面積率も測定した。具体的には、硫
酸アルミニウムを、フロテーション後のパルプスラリー
に添加し、そのpHを5にし、得られたパルプスラリー
を、タッピ標準シートマシンで処理し、パルプシートと
した。このようにして得られたパルプシートを、通風乾
燥した。得られたパルプシートの白色度を、測色色差計
にて測定し、また、パルプスラリー(フロテーション
後)から得られたパルプシートの残インキ面積率を、画
像解析装置(倍率:×100)を用いて測定した。パル
プシートの白色度における1%の相違及び残インキ面積
率における0.1%の相違は、目視においてパルプシー
トの品質が充分に向上したとして認識することができ
る。
【0044】また、フロテーション時のパルプ歩留り
は、フロテーション前のパルプスラリーに含まれていた
パルプの絶乾重量と、フロテーションリジェクトに含ま
れていたパルプの絶乾重量[即ち、[(フロテーション
前のパルプスラリーに含まれていたパルプの絶乾重量)
−(フロテーションリジェクトに含まれていたパルプの
絶乾重量)]×100/(フロテーション前のパルプス
ラリーに含まれていたパルプの絶乾重量)]から求め
た。
【0045】
【表1】
【0046】(注)表中の疎水性微粒子及び添加化合物
の添加量は、対パルプ重量%である(以下同じ)。ま
た、添加化合物は下記の表2〜6に示す化合物である。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】実施例11〜19及び比較例2 実施例1において、脱墨剤として、ステアリン酸のEO
15モルPO10モルランダム付加物を用い、表7記載
のpH、疎水性微粒子、添加物を用いる以外は同様にし
てパルプシートを作製し、同様の評価を行った。その結
果を表7に示す。
【0053】
【表7】
【0054】(注)表中の添加化合物は下記の表8〜1
6に示す化合物である。
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】
【0059】
【表12】
【0060】
【表13】
【0061】
【表14】
【0062】
【表15】
【0063】
【表16】
【0064】実施例20〜27及び比較例3 実施例1において、脱墨剤として、牛脂/グリセリン
(1/0.2)のEO50モルPO10モルブロック付加
物を用い、表17記載のpH、疎水性微粒子、添加物を
用いる以外は同様にしてパルプシートを作製し、同様の
評価を行った。その結果を表17に示す。
【0065】
【表17】
【0066】(注)表中の添加化合物は下記の表18に
示す化合物である。
【0067】
【表18】
【0068】以上実施例に示したように、本発明の方法
によって、フロテーション後の白色度が高いことはもち
ろん、残インキの少ない高品質なパルプが得られた。更
に、フロテーション前後での白色度の差が大きく、歩留
りも高いことから、脱墨効率も高いことが分かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 康司 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社 研究所内 (56)参考文献 特開 昭50−20005(JP,A) 特開 昭61−266688(JP,A) 特開 平4−174787(JP,A) 特開 平5−51888(JP,A) 特開 平3−241084(JP,A) 特表 平7−504235(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21C 5/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料古紙から剥離したインキを除去する
    フロテーション工程を含む脱墨方法において、当該フロ
    テーション工程を炭酸カルシウムと、アミン化合物、ア
    ミンの酸塩及びカチオン性化合物からなる群から選ばれ
    た少なくとも一種との存在下で行うことを特徴とする脱
    墨方法。
  2. 【請求項2】 前記炭酸カルシウムを、少なくともフロ
    テーション工程の直前からフロテーション工程の終了の
    間にフロテーション系中に添加する請求項1記載の脱墨
    方法。
  3. 【請求項3】 前記炭酸カルシウムのフロテーション工
    程における系中の水溶液部分との接触角が60°以上で
    ある請求項1又は2記載の脱墨方法。
  4. 【請求項4】 前記炭酸カルシウムを、対パルプ当たり
    0.01〜5重量%存在させる請求項1〜3の何れか1
    項記載の脱墨方法。
  5. 【請求項5】 前記炭酸カルシウムの平均粒子径が5〜
    500μmである請求項1〜4の何れか1項記載の脱墨
    方法。
  6. 【請求項6】 前記フロテーション工程における系中の
    pHを4〜9とする請求項1〜5の何れか1項記載の脱
    墨方法。
  7. 【請求項7】 前記アミン化合物、アミンの酸塩及び
    チオン性化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種
    の化合物を、対パルプ当たり0.005〜5重量%添加
    する請求項1〜6の何れか1項記載の脱墨方法。
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