JP3055470B2 - 高強度多孔性フィルム及びその製造方法 - Google Patents
高強度多孔性フィルム及びその製造方法Info
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- Filtering Materials (AREA)
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Description
レーター、精密濾過膜などの分離膜、透気性ジャンバー
などの衣料品、オムツ、生理用品などの衛生用品等とし
て有用な高強度多孔性フィルム及びその製造方法に関す
るものである。更に詳しくは、強靭な面強度及び適度な
透気度を有する高強度多孔性フィルム及びその製造方法
に関する。
む。)は、各種用途に広く使用され、かかる多孔性フィ
ルムの製造方法についても種々提案がなされている。例
えば、バッテリー・セパレーターとして使用するための
多孔性フィルムは、一般に、超高分子量ポリエチレン及
び可塑剤を含有する樹脂組成物から、一旦、フィルムを
溶融押出成形で製造し、次いで、フィルムに含まれる可
塑剤をイソプロパノール、エタノール、ヘキサンなどの
有機溶媒で溶解除去することにより、製造されている。
ン刺強度の優れたバッテリー・セパレーターを与える多
孔性フィルムを提案した(特開平7−29563号公
報)。
ムについては、より一層の強度向上が望まれている。例
えば、電池製造速度の上昇に伴い、バッテリー・セパレ
ーターとしての多孔性フィルムの面強度に対する要求は
増々高くなっている。
ような要求強度を満たすことは困難であり、特に高い面
強度と適度な透気度を両立させることは不可能であっ
た。例えば、ピン刺強度が600gf/25μmを超え
るような高い面強度を有するフィルムを製造しようとす
ると、透気度が3000秒/100cc以上となってし
まい、多孔性フィルムの基本性能である通気性が損なわ
れるという問題があった。逆に、通気性の高い多孔性フ
ィルムでは、面強度の弱いものしか得られなかった。
い面強度を有すると共に、適度な透気度を有する高強度
多孔性フィルム、及び、このような高強度多孔性フィル
ムを製造するための方法を提供することを目的とする。
ィルムは、粘度平均分子量30万以上で、溶融温度が1
10〜140℃のエチレンホモポリマーで構成される多
孔性フィルムであって、厚さ5〜50μm、透気度20
0〜1000秒/100cc、空孔率10〜50%、ピ
ン刺強度600gf/25μm以上の特性を有すること
を特徴とする。
は、粘度平均分子量30万以上で、溶融温度が110〜
140℃のエチレンホモポリマー及び可塑剤を含有する
樹脂組成物をフィルム状に溶融押出成形し、冷却後、該
フィルムに含まれる可塑剤を除去した後延伸することに
より、本発明の高強度多孔性フィルムを製造する方法で
あって、下記式で表される縦横総変形比が0.1〜1と
なるように押出成形及び延伸を行うことを特徴とする。
する) WD :押出成形時の幅方向変形率(インフレーション
成形の場合はブロー比) λTD:延伸時の横延伸倍率(横延伸しない場合は1と
する)) 即ち、本発明者らは、面強度が高く、透気度も適度な高
強度多孔性フィルムを実現すべく鋭意検討を重ねた結
果、製造工程を通じてフィルムに対する変形率の縦横比
率が特定の範囲内であると、特異的に高強度を発現し、
かつ透気度も適度となることを知得し、本発明を達成し
た。
る。なお、本発明において、「フィルム」とは「シー
ト」を包含するものである。
ポリマー(以下「高分子量ポリエチレン」と称す。)と
しては、粘度平均分子量30万以上、好ましくは粘度平
均分子量50万〜400万、特に好ましくは150万〜
300万のものであり、溶融変形のし易さの点から、溶
融温度が110〜140℃のエチレンホモポリマーを使
用する。
と可塑剤とを混合して得られる原料混合物を溶融押出成
形してフィルム状とし、その後可塑剤を除去した後延伸
を行って多孔性フィルムを得る。
ンとの相溶性が良く、しかも該ポリエチレンの融点より
低い融点及び該ポリエチレンの溶融温度より高い沸点を
有し、かつ、ポリエチレン不溶性の有機溶媒に可溶な物
質が好適に用いられる。例えば、ステアリルアルコー
ル、セリルアルコールなどの高級脂肪族アルコール、n
−デカン、n−ドデカンなどのn−アルカン類、パラフ
ィンワックス、流動パラフィン、灯油などが挙げられ
る。
合は、目的とする成形体の多孔度によるが、通常、ポリ
エチレンが5〜60重量%、好ましくは10〜50重量
%で、可塑剤が95〜40重量%、好ましくは90〜5
0重量%の範囲から選ばれる。本発明においては、この
ような割合でポリエチレン及び可塑剤を含む原料組成物
に対し、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤など
を、0.01〜5重量%程度の範囲で添加しても良い。
二軸の押出機で均一に混練して溶融押出成形する。押出
機としては、押出量、押出安定性、混練強度の点から二
軸の押出機が好適に使用される。
で実施され、Tダイ、インフレーション成形等の公知の
方法で、通常、5〜500μm、特に10〜300μm
の厚さのフィルムを成形する。
て多孔化する。
ルム中の可塑剤をイソプロパノール、エタノール、ヘキ
サンなどの有機溶媒で溶解し、溶媒置換により抽出除去
する、所謂、公知の有機溶媒法が挙げられる。
たフィルムは、その機械的強度向上のために一軸又は二
軸延伸を行う。延伸に際してはロール延伸機、テンター
等の公知の任意の延伸装置を用いることができる。一軸
延伸に関しては縦延伸、横延伸のいずれを選択すること
もできる。また、二軸延伸に関しては逐次二軸延伸、同
時二軸延伸のいずれも可能である。
工程で、該フィルムに対してMD(機械)方向およびT
D(幅)方向に機械的変形が付与される。該フィルムの
機械的変形は、押出成形時には溶融変形、可塑剤除去後
の延伸時には固相延伸という形で付与される。本発明の
方法においては、これらの機械的変形において、下記式
で表される縦横総変形比が0.1〜1、好ましくは0.
2〜0.8の範囲となるように、押出成形条件及び延伸
条件を設定する。縦横総変形比が0.1を下回る場合又
は1を超える場合には、得られるフィルムの透気度がそ
の適正範囲を逸脱し、多孔性フィルム、特にバッテリー
・セパレーターとしての基本性能を満たさなくなる。
する) WD :押出成形時の幅方向変形率(インフレーション
成形の場合はブロー比) λTD:延伸時の横延伸倍率(横延伸しない場合は1と
する)) このようにして製造される本発明の多孔性フィルムは5
〜50μm、好ましくは15〜35μmの厚みを有す
る。また、透気度はJIS P8117に準拠して測定
した値で200〜1000秒/100cc、好ましくは
300〜1000秒/100cc、より好ましくは40
0〜900秒/100cc程度である。例えば本多孔性
フィルムをバッテリー・セパレーターとして用いる場
合、透気度の値が200秒/100ccを下回ると、抵
抗が小さくなり、一方、透気度の値が1000秒/10
0ccを超えると抵抗が大きくなり、いずれの場合も電
池としての所望の性能が得られないおそれがある。ま
た、本多孔性フィルムの空孔率は10〜50%、好まし
くは30〜45%である。なお、空孔率は、フィルムの
幅方向に5カ所を直径3cmの円形に打抜き、打抜いた
フィルムの中心部の厚さと重量を測定し、下記式により
計算で求める。
刺強度が極めて良好であり、そのピン刺強度は、日本農
林規格告示1019号に準じて測定(ピン径1mmφ,
先端部0.5R,ピン刺速度300mm/min)した
値で、600gf/25μm膜厚以上、好ましくは60
0〜1000gf/25μm膜厚、特に好ましくは60
0〜800gf(25μm膜厚)程度である。
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り以下の実施例に限定をされるものではない。
ィルムの透気度はJIS P8117に従って測定し、
空孔率は前述の如く、空孔率(%)=(Vρ−W)/
(Vρ)×100の式で算出し、ピン刺強度は日本農林
規格告示1019号に準じて測定した。
ポリエチレン25重量部とステアリルアルコール75重
量部の混合物を、40mmφ二軸押出機を用いて押出温
度170℃、押出量10kg/hrで押出し、インフレ
ーション法でフィルムを成形した。このときのドラフト
率DRは12、ブロー比WDは9であった。
に10分間浸漬してステアリルアルコールを抽出除去し
た。次いで、ロール延伸機を用いて120℃にて、MD
方向に2倍延伸を行い、引き続いてテンター延伸装置を
用いて128℃にて、TD方向に4倍延伸を行って、厚
さ25μmの多孔性フィルムを得た。この製造過程にお
ける縦横総変形比は表1に示す通りである。
空孔率を測定し、結果を表1に示した。
ポリエチレン20重量部とパラフィンワックス(平均分
子量389)80重量部の混合物を、40mmφ二軸押
出機を用いて押出温度170℃、押出量10kg/hr
で押出し、インフレーション法でフィルムを成形した。
このときのドラフト率DRは12、ブロー比WDは6で
あった。
10分間浸漬してパラフィンワックスを抽出除去した。
次いで、テンター延伸装置を用いて130℃にて、TD
方向に7倍延伸を行って、厚さ26μmの多孔性フィル
ムを得た。縦横総変形比の値及び得られた多孔性フィル
ムの物性を表1に示す。
ポリエチレン25重量部とステアリルアルコール75重
量部の混合物を、40mmφ二軸押出機を用いて押出温
度170℃、押出量10kg/hrで押出し、Tダイ法
でフィルムを成形した。このときのドラフト率DRは
5、幅方向変形率(WD)は1であった。
に10分間浸漬してステアリルアルコールを抽出除去し
た。次いで、テンター延伸装置を用いて128℃にて、
TD方向に6倍延伸を行って、厚さ25μmの多孔性フ
ィルムを得た。縦横総変形比の値及び得られた多孔性フ
ィルムの物性を表1に示す。
倍率を3倍とし、テンター延伸装置によるTD方向の延
伸倍率を3倍としたこと以外は同様にして多孔性フィル
ムを得た。縦横総変形比及び得られた多孔性フィルムの
物性を表1に示す。
とステアリルアルコール80重量部を混合し、インフレ
ーション成形時のドラフト率を20、ブロー比を4と
し、ステアリルアルコールの抽出除去後、ロール延伸機
を用いて125℃にて、MD方向に5倍延伸を行い、T
D方向の延伸を行わなかったこと以外は同様にして、厚
さ27μmの多孔性フィルムを得た。縦横総変形比及び
得られた多孔性フィルムの物性を表1に示す。
ば、高い面強度を有すると共に、適度な透気度を有する
多孔性フィルムを製造することができる。
性フィルムは、従来にない、また、従来法では実現し得
ない、高い面強度及び適度な透気度を有する。本発明に
よれば、一般性能を維持した上で、面強度に優れた多孔
性フィルムの提供が可能となり、例えばバッテリー・セ
パレーターとして使用した場合、従来以上の高速度で電
池組立を行うことが可能となる。
は、製造工程を通じてフィルムに対する変形率の縦横比
率を特定の範囲内とする本発明の方法により容易かつ効
率的に製造される。
Claims (2)
- 【請求項1】 粘度平均分子量30万以上で、溶融温度
が110〜140℃のエチレンホモポリマーで構成され
る多孔性フィルムであって、厚さ5〜50μm、透気度
200〜1000秒/100cc、空孔率10〜50
%、ピン刺強度600gf/25μm以上の特性を有す
ることを特徴とする高強度多孔性フィルム。 - 【請求項2】 粘度平均分子量30万以上で、溶融温度
が110〜140℃のエチレンホモポリマー及び可塑剤
を含有する樹脂組成物をフィルム状に溶融押出成形し、
冷却後、該フィルムに含まれる可塑剤を除去した後延伸
することにより、請求項1に記載の高強度多孔性フィル
ムを製造する方法であって、下記式で表される縦横総変
形比が0.1〜1となるように押出成形及び延伸を行う
ことを特徴とする高強度多孔性フィルムの製造方法。 縦横総変形比=(DR×λMD)/(WD×λTD) (ただし、DR :押出成形時のドラフト率 λMD:延伸時の縦延伸倍率(縦延伸しない場合は1と
する) WD :押出成形時の幅方向変形率(インフレーション
成形の場合はブロー比) λTD:延伸時の横延伸倍率(横延伸しない場合は1と
する))
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8260698A JP3055470B2 (ja) | 1995-10-05 | 1996-10-01 | 高強度多孔性フィルム及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25861295 | 1995-10-05 | ||
JP7-258612 | 1995-10-05 | ||
JP8260698A JP3055470B2 (ja) | 1995-10-05 | 1996-10-01 | 高強度多孔性フィルム及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09157423A JPH09157423A (ja) | 1997-06-17 |
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Family
ID=26543762
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP8260698A Expired - Lifetime JP3055470B2 (ja) | 1995-10-05 | 1996-10-01 | 高強度多孔性フィルム及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Families Citing this family (3)
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---|---|---|---|---|
JP3638401B2 (ja) * | 1997-04-23 | 2005-04-13 | 東燃化学株式会社 | ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 |
JP2000317280A (ja) * | 1999-05-06 | 2000-11-21 | Teijin Ltd | 超高分子量ポリエチレン多孔膜を濾過媒体とするフィルター |
JP2005137972A (ja) * | 2003-11-04 | 2005-06-02 | Chisso Corp | ポリオレフィン樹脂製フィルター |
-
1996
- 1996-10-01 JP JP8260698A patent/JP3055470B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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