JP3055427U - 鍋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 底面の一部に隆起部を設けることで、該隆起
部で焼くことを、底面で煮ることを同時に行うことがで
きる鍋を提供することを目的とする。 【解決手段】 本考案の鍋１は、底面２の周縁に一体に
壁面３を形成し、底面２の一部を、その頂上部４ａが少
なくとも前記壁面３より高い位置となるように、かつ該
頂上部４ａに載置可能な面を形成した隆起部４を設けた
ものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、焼くことと煮ることを同時に行うことができる鍋に関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

従来の鍋は、例えば底面の周縁に一体に壁面が形成され、この底面で煮たり、 また、例外的に焼いたりしていた。さらに、一般的にしゃぶしゃぶでは、鍋に張 った湯に肉などを入れることで湯温が低下することを防止するため、底面中央部 の一部に該底面と一体的に截頭円錐筒状部を形成することで、内表面積を増加さ せた鍋が使用されている。

【０００３】 上記しゃぶしゃぶ用の鍋は、底面や壁面からの熱の他に、鍋の中央部に設けた 截頭円錐筒状部で蓄熱した熱が、鍋に張った湯に随時、伝達されることによって 湯温の低下が防がれる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記のしゃぶしゃぶ用に鍋は、しゃぶしゃぶに使用されるもの であって、他の鍋料理や、ましてや焼き料理、あるいは煮ることと焼くこととを 同時に行うことはできず、また、従来の通常の鍋においても、煮る又は焼くとい った作業を同時に行うことができないといった不具合があった。

【０００５】 本考案は、上記した不具合を解消するためになされたものであり、底面の一部 に隆起部を設けることで、該隆起部で焼くことを、底面で煮ることを同時に行う ことができる鍋を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案の鍋は、底面の周縁に一体に壁面を形成 し、底面の一部を、その頂上部が少なくとも壁面より高い位置となるように、か つ該頂上部に載置可能な面を形成して隆起させたのである。こうすることにより 、隆起部の表面で焼き料理が行え、隆起部以外の底面で煮料理を同時に楽しむこ とができる。

【０００７】

【考案の実施の形態】

本考案の鍋は、底面の周縁に一体に壁面を形成した鍋において、底面の一部を 、その頂上部が少なくとも壁面より高い位置となるように、かつ該頂上部に載置 可能な面を形成して隆起させたものである。

【０００８】 上記構成によれば、鍋に水を張ると、底面及び該底面の周縁に一体的に形成さ れた壁面で水が貯められる。このとき、隆起した部分（以下、隆起部という）は 、頂上部が少なくとも壁面より高く位置していることから、水を、鍋一杯、つま り壁面と同高さまで張っても、該頂上部が水に没することがない。そして、水を 張った部分、つまり隆起部を除く底面、で煮料理を行う。同時に、隆起部で焼き 料理を行う。

【０００９】 上記構成において、頂上部に形成した載置可能な面とは、例えば隆起部で焼き 料理を行うに際して、該隆起部から食材が滑り落ちて煮料理に没してしまわない ように形成しているのであり、具体的には、頂上部にある程度の面積を確保した 平坦面を持つ錐状、柱状、又は後述する断面半円弧状で隆起部を形成すればよい 。また、隆起部の鍋の底面における配置位置は、例えば、隅、つまり壁面に接近 した位置でもよいし、後述するように底面の中央部に設けてもよい。

【００１０】 すなわち、隆起部は、底面と一体的に、つまり底面の一部を隆起させて、ここ で焼き料理を行えるようにしているため、熱伝導率が低下することなく、効率よ く、焼き料理を行うことができ、結果として、同時に行う煮料理に対しての熱効 率をも向上させることが可能となる。つまり、隆起部は、底面の下面側における 隆起部の中空に熱を蓄熱するので、熱の分散を防止し、鍋全体に得る熱は該隆起 部に集中し、熱効率が向上するのである。

【００１１】 また、本考案の鍋は、上記構成において、隆起部を、断面略半円弧状とし、か つ底面の中央部に形成したものであり、このようにした場合には、隆起部が中央 部に位置することから、鍋における熱の偏りが防止され、また、隆起部を、断面 半円弧状とすることで、熱を速やかに、かつ偏りなく発散することができる。

【００１２】 また、本考案の鍋は、上記構成において、隆起部の表面に、複数の突起を形成 したものであり、このようにした場合は、隆起部に載置した焼き料理の食材が、 該隆起部から滑り落ちることが防止され、焼き料理と煮料理を同時に行うに際し て、確実に各々を分離して行うことができる。

【００１３】

【実施例】

以下に、本考案の鍋の実施例を図面を図１、図２を参照して説明する。 図１は、本考案の鍋を示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は底面 図である。図２は、本考案の鍋の中央横断面図を示すと共に、使用状況を説明す るための図である。

【００１４】 本考案の鍋１は、一体プレス成形された例えば全体の厚みが３．５mmの銅製で なり、例えば外径約２８０mmの底面２の上面２ａ周縁に、その上端部外径が約３ ５０mmとなるように上方に開くように傾斜し、その高さが例えば５５mmとした壁 面３が該底面２と一体的に形成され、また、底面２の一部、本実施例では底面２ の外径から約３０mm内側の中央部に、その頂上部４ａが少なくとも壁面３より高 く、例えば６５mmで、該頂上部４ａに載置可能な面を形成した、例えば底面２か らの隆起開始箇所における外径が約２１０mmの隆起部４を設けている。

【００１５】 隆起部４は、図２に示すように、断面略半円弧状とし、その表面に、例えば高 さ２mmの複数の突起４ｂを形成している。この突起４ｂは、本実施例では、例え ば、隆起部４の頂上部４ａから底面２の上面２ａへ向けて放射状に、かつ高さ方 向に直列状に形成している。

【００１６】 上記構成の鍋１は、火にかけ、そして底面２において、底面２の上面２ａの隆 起部４が形成されていない箇所に、煮料理を行うべく水を張る。このとき、例え 壁面３の高さ一杯に水を張ったとしても、隆起部４の頂上部４ａが壁面３より高 く位置しているので、該頂上部４ａが水没することがない。そして、水の沸騰す る間でもよいし、水が沸騰してからでもよいが、同時に隆起部４の頂上部４ａで 焼き料理を開始する。

【００１７】 焼き料理を開始するタイミングは、焼き料理及び煮料理にもよるが、例えば焼 く食材が肉類で、煮料理のだし汁としてこの肉汁がうまみのポイントととなる場 合には、望ましくは、水が沸騰して煮料理のだし汁を作成する時に、同時に焼き 料理を開始すれば、隆起部４で焼いた食材の汁が底面２へと流れて、だしのうま みを助長する。

【００１８】 そして、水が沸騰し、だし汁が作成された後、煮料理の食材をだし汁に入れ、 以降、煮料理を行う。このとき、並行して焼き料理も隆起部４にて行う。隆起部 ４では、例えば肉類を頂上部４ａに載置して焼いている最中に、脂が溶けて滑り 落ち易くなるが、頂上部４ａが食材を載置可能な面で形成されていること、及び 突起４ｂを形成していることにより、容易に滑り落ちることがない。

【００１９】 また、従来の鍋で煮料理を行うと、だし汁に次々に食材を入れる度に、湯温が 低下するが、本実施例の鍋１では、本体を銅製としているので、熱の伝導率がよ いこと、及び隆起部４の、底面２の下面２ｂ側において該隆起部４により窪んだ 箇所（以下、ここをドーム部４ｃという）で蓄熱し、このドーム部４ａにて蓄熱 した熱を、底面２の中央部にて放出することから、湯温の低下が防止され、かつ 、こうした隆起部４が底面２の中央部に形成されていることから、湯温の偏りが 発生することがない。

【００２０】 さらに、こうした隆起部４は、該隆起部４における焼き料理においても、熱低 下が少ないので、焼き料理に適した高温を保つこととなり、従って、隆起部４に よって煮料理と焼き料理の両方に対して熱が効率がよく使用されることとなり、 料理は両方とも十分に熱が行き渡っておいしくなる。

【００２１】 このように、上記実施例の鍋１は、底面２と一体的にその面に、その頂上部４ ａが壁面３より高く、また頂上部４ａに載置可能な面を形成した隆起部４を設け たので、隆起部４の頂上部４ａで焼き料理を、また底面２の隆起部４が形成され た以外の箇所で煮料理を、両方を同時に行うことができる。また、隆起部４のド ーム部４ｃで蓄熱し、その熱を隆起部４の表面から放出するので、この隆起部４ からの放出熱が煮料理及び焼き料理に生かされ、熱効率が向上し、煮料理におけ る湯温の低下を防止することができ、また、焼き料理においては高温を保つこと ができる。

【００２２】 また、上記実施例の鍋１は、隆起部４を底面２の中央部に設け、また、断面半 円弧状に形成したので、上記した隆起部４の放出熱の作用について、湯温の偏り がなくなり、また、この作用をより顕著なものとすることができる。さらに、上 記実施例の鍋１は、隆起部４に、複数の突起４ｂを設けたので、隆起部４の頂上 部４ａに載置した食材がここから滑り落ちることが防止され、かつ、焼き料理用 の食材が焦げ付くことも防止することができる。

【００２３】 なお、本考案の鍋は、上記実施例では、最良の態様を示したが、これに限らず 種々の変形が可能である。本考案の鍋における請求項１のみに対応する態様では 、突起４ｂを省略し、その断面形状が半円弧状でなく、配置位置が底面２の中央 部ではない態様となり、例えば、断面形状を矩形状としたり、また、その配置個 所を底面２の壁面３の一部の近傍とした場合には、煮料理における熱の偏りが発 生するものの、その他は上記実施例と同等の作用効果を得ることができる。

【００２４】 また、本考案の鍋における請求項１を採用した請求項２に対応する態様では、 突起４ｂを省略した態様となり、この場合には、焼き料理用に載置した食材の滑 り落ち防止は発生する可能性があるが、その他は上記実施例と同等の作用効果を 得ることができる。

【００２５】 上記の他、隆起部４の突起４ｂは、上記実施例では、隆起部４の頂上部４ａか ら底面２の上面２ａへ向けて放射状に、かつ高さ方向に直列状に形成したが、こ れに限らず、例えば隆起部４の頂上部４ａから底面２の上面２ａへ向けて放射状 に、かつ高さ方向に千鳥状に形成したり、食材の滑り落ちを防止すべく、その突 起高さや、突起形状について種々変形してもよい。

【００２６】 また、隆起部４の頂上部４ａは、食材が載置可能な面とすることから、例えば 頂上部４ａを平坦化してもよく、そのようにした場合には、隆起部４からの食材 の滑り落ちが確実に防止される。また、鍋１の全体の大きさやその他の寸法につ いては、適宜、本考案の条件を満たす設定で変形してもよく、そのように変形し た場合にも、上記と同等の作用効果を得ることができる。

【００２７】

【考案の効果】

以上のように、本考案の鍋は、周縁に一体に壁面を形成した底面の一部を、そ の頂上部が少なくとも壁面より高い位置となるように、かつ該頂上部に載置可能 な面を形成して隆起させているので、底面に水を張って煮料理を、隆起部の頂上 部で焼き料理を同時に行うことができると共に、隆起部では頂上部が水没するこ とがなく、さらに隆起部の下面側で蓄熱し、表面側で放熱するので、焼き料理と 煮料理との熱効率が向上し、焼き料理と煮料理での双方に確実な熱供給を行うこ とができる。

【００２８】 また、本考案の鍋は、上記構成において、隆起部を、断面略半円弧状とし、か つ底面の中央部に形成したので、隆起部からの放出熱による煮料理の湯温に偏り が生じることがなく、熱効率を上記に較べさらに向上させることができる。

【００２９】 また、本考案の鍋は、上記したいずれかの構成において、隆起部の表面に、複 数の突起を形成したので、頂上部に載置した焼き料理用の食材が、該頂上部から 滑り落ちることを防止することができ、また、上記と同等の作用効果を得ること ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の鍋を示す（ａ）は平面図、（ｂ）は正
面図、（ｃ）は底面図である。

【図２】本考案の鍋の使用状況を説明する中央横断面図
である。

【符号の説明】

１ 鍋 ２ 底面 ３ 壁面 ４ 隆起部 ４ａ 頂上部 ４ｂ 突起

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 底面の周縁に一体に壁面を形成した鍋に
   おいて、底面の一部を、その頂上部が少なくとも前記壁
   面より高い位置となるように、かつ該頂上部に載置可能
   な面を形成して隆起させたことを特徴とする鍋。
2. 【請求項２】 隆起部を、断面略半円弧状とし、かつ底
   面の中央部に形成したことを特徴とする請求項１記載の
   鍋。
3. 【請求項３】 隆起部の表面に、複数の突起を形成した
   ことを特徴とする請求項１又は２記載の鍋。