JP3054911B2 - 金属インサート一体型中空成形品の製造方法 - Google Patents

金属インサート一体型中空成形品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属インサートと、中
空部を有する樹脂成形体とが一体に形成された金属イン
サート一体型中空成形品に関する。更に詳しくは、当該
成形品の樹脂成形体の寸法精度と表面性の向上に関す
る。
【0002】
【従来の技術】金属製のインサートと樹脂とを一体成形
する金属インサート成形は、自動車、一般機械、精密機
械、電気・電子機器等の各分野における各種部品の成形
法として良く知られた技術である。
【0003】かかる金属インサート成形では、通常、金
型の中に予め金属を入れておき、次いで樹脂を射出成形
することによって、樹脂の強度不足を補強した金属イン
サート成形品を得るものである。また、特に厚肉成形品
を樹脂のみで成形したのでは、成形時の樹脂の収縮によ
る“ひけ”が大きくなって、寸法精度が悪化するため、
金属インサートにより樹脂部の肉厚を小さくなるように
して“ひけ”を抑えることもできる。
【0004】しかしながら、金属インサートの形状設計
のみで上記“ひけ”を完全に防止することは極めて困難
であり、通常の金属インサート成形法では高精度の寸法
を有する成形品が満足に得られていないのが現状であ
る。
【0005】一方、成形品の寸法精度を向上させること
を目的とした成形法として、樹脂保圧法やガスインジェ
クション法が知られている。
【0006】上記樹脂保圧法としては、金型キャビティ
内の樹脂と金型キャビティ面との間に加圧ガスを圧入す
る方法(特表平4−501090号公報)や、厚肉筒形
成形品の成形に際し、当該成形品の内周側を形成するコ
ア面と樹脂の間に加圧ガスを圧入する方法(特開昭53
−47457号公報)等がある。このような樹脂保圧法
では、ゲートシールがより早く起こるため、必ずしも十
分な樹脂保圧がかからず、成形品の寸法精度の向上には
限界があるという欠点を有する。
【0007】また、上記ガスインジェクション法として
は、金型キャビティ内に溶融樹脂を射出した後、溶融樹
脂中に加圧ガスを圧入する方法(特公昭48−4126
7号公報)等がある。このようなガスインジェクション
法では、比較的高い寸法精度が得られるものの、樹脂の
中にノズル等を介して直接ガスを圧入するため、ガスの
圧入口の跡が成形品の表面に残り、表面性を悪化させる
等の欠点を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したような金属イ
ンサート成形品は、産業の高度化に伴って益々その重要
性を増しており、特にエンジニアリング樹脂を用いた成
形品は産業資材として多用されており、その寸法精度や
表面性に対する要求は非常に高まっている。
【0009】しかしながら、従来の技術では上記の要求
を十分満足した成形品が得られていなかった。
【0010】本発明は、このような現状に鑑み、高い寸
法精度且つ優れた表面性を有する金属インサート成形品
を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】このために本
明では、金属インサートの内部の空洞から加圧流体が通
過可能で、かつ溶融樹脂が通過することのできない外表
面に通じる細孔を介して、金属キャビティ内の溶融樹脂
中に加圧流体を圧入することを特徴とする金属インサー
ト一体型中空成形品の製造方法としているものである。
【0012】
【0013】以下、図面を用いて本発明を詳細に説明す
る。
【0014】図1に、本発明の金属インサート一体型中
空成形品の一例であるローラーを示す。同図において、
1は軸部を形成している金属インサート、2は金属イン
サート1内部の空洞、3は空洞2から金属インサートの
外表面に通じる細孔である。この金属インサート1の片
端部は閉塞部材4で閉じられており、もう一方の端部に
は後述する加圧流体導入ラインを接続するためのネジ5
が切られている。
【0015】6はローラー部を形成している樹脂成形
体、7は前記細孔3を覆うように形成された樹脂成形体
6内の中空部である。金属インサート1と樹脂成形体6
は一体に形成されており、金属インサート一体型中空成
形品を成している。
【0016】本発明に係る金属インサート1は、目的と
する成形品の形状,用途等により適宜設計されるもので
あり、後述する加圧流体の通路となるべき空洞2と、該
空洞2から金型キャビティ内の溶融樹脂中に加圧流体を
圧入する通路となるべき細孔3を少なくとも1つ有して
いれば良く、図1に示されるようなパイプ状のものに限
らず、チューブ,連続空孔を有する角柱,中空部を有す
るロッド等を用いることができる。これらの中でも、パ
イプやチューブが比較的に多用される。また、金属の材
質にも特に制限はないが、防錆上の観点から、クロムメ
ッキ品,ステンレス品等が好ましく用いられる。
【0017】本発明に係る樹脂成形体6は、熱硬化性樹
脂で構成することも可能であるが、一般的には熱可塑性
樹脂が使用される。
【0018】熱可塑性樹脂としては、通常の射出成形が
可能なものであればよく、汎用樹脂やエンジニアリング
樹脂等が挙げられる。
【0019】汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタアクリレート等
が挙げられる。
【0020】また、エンジニアリング樹脂としては、ポ
リアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポ
リフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、
液晶ポリマー、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0021】上記熱可塑性樹脂の中でも、特に、工業部
品に用いられることの多いエンジニアリング樹脂が、本
発明に係る成形体の原料として好ましく使用される。
【0022】また、熱可塑性樹脂には、ガラス,タル
ク,カーボンブラック等のフィラーや顔料が添加されて
いても良く、或は複数の樹脂のアロイでも良い。
【0023】本発明に係る樹脂成形体6は、内部に中空
部7を有するので、耐熱性及び機械的強度等をアップす
る目的で、無機及び/又は有機の充填材を配合した樹脂
を用いることができる。
【0024】好適な充填材としては、ガラス繊維、炭素
繊維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム、ア
スベスト、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫酸
バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイロ
フィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、
マイカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタルパ
ルジャイト、ウオラストナイト、PMF、フェライト、
ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、ドロマイト、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシ
ウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石こう、カラ
スビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、石英、石
英ガラス等の強化充填材を挙げることができる。これら
は1種であっても、2種以上を併用することもでき、ま
た必要に応じて、シラン系、チタン系等のカップリング
剤で予備処理して使用することができる。
【0025】図1に示したような本発明の金属インサー
ト一体型中空成形品は、金属インサート1内部の空洞2
から外表面に通じる細孔3を介して、金属キャビティ内
の溶融樹脂中に加圧流体を圧入する方法、所謂、中空射
出成形法を用いる本発明の製造方法により得られる。
【0026】中空射出成形法とは、射出成形において、
射出した金型キャビティ内の溶融樹脂中に加圧流体を圧
入し、必要な保圧及び冷却後、圧入した加圧流体を排出
することで中空成形品を成形する成形法である。
【0027】加圧流体としては、常温常圧でガス状又は
液状のもので、射出成形の温度及び圧力下で、成形に用
いる溶融樹脂と反応又は混合されないものが使用され
る。例えば、窒素、炭酸ガス、空気、ヘリウム、グリセ
リン、流動パラフィン等であるが、通常ガスが使用さ
れ、特に、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活
性ガスが好ましい。また、これらの中でも、経済的な観
点から窒素ガスが多用される。
【0028】以下、本発明の製造方法について、加圧流
体としてガスを用いる場合を例に説明する。
【0029】先ず、金型内に前記金属インサート1をセ
ットし、次いで溶融した樹脂を金型キャビティ内に射出
する。続いて、金属インサート1の開口端に接続された
ガス導入管を介して、金属インサート1内の空洞2に加
圧ガスを送る。通常、ガス圧は10kg/cm2Gから
300kg/cm2Gの間で調整される。この時、金属
インサート1外表面の樹脂で被覆される部分には、金属
インサート内部の空洞2から外表面に通じる細孔(穴)
3が開けられているため、加圧ガスはこの細孔3を通し
て溶融樹脂中に拡散する。拡散されたガスは、通常、樹
脂中に中空部7を形成する。その後、冷却されて金型よ
り取り出された樹脂成形体6は金属インサート1と一体
となって、金属インサート一体型中空成形品となる。
【0030】加圧ガス圧入のタイミングは、通常の中空
射出成形と同様に、金型キャビティを満たすに充分な量
の溶融樹脂を射出(フルショット)した後、もしくは金
型キャビティを満たすのに足りない量の溶融樹脂を射出
(ショートショット)した後のいずれでもよい。特にシ
ョートショットの場合、一部の溶融樹脂の射出後、残り
の溶融樹脂の射出と共に加圧ガスの圧入を行うこともで
きる。
【0031】フルショットの場合、樹脂の冷却による収
縮につれて、その収縮量に応じて加圧ガスが圧入される
ことになる。また、ショートショットの場合、溶融樹脂
の未充填容積と樹脂の収縮量に応じた加圧ガスが圧入さ
れることになる。
【0032】本発明に係る金属インサート1の細孔3
は、特にその構造について限定されるものではなく、加
圧流体が通過可能で、且つ溶融樹脂が通過することので
きないクリアランスが残されていればよい。これによ
り、金型キャビティ内に射出された溶融樹脂が、細孔3
を通して金属インサート1の空洞2内に侵入することが
なく、加圧流体を溶融樹脂内に確実に圧入することがで
きる。また、この細孔3は、金属インサートの外面にボ
ス形状等で突き出ているのが特に好ましい。このような
ボス形状により、溶融樹脂中に加圧流体が安定して入り
易くなると共に、成形後の樹脂と金属インサートとの接
合を一層強固にすることができる。上記のボス等を設け
る場合には、その高さは3mm以上が特に好ましい。
【0033】本発明においては、溶融樹脂に圧入された
加圧流体の拡散先端が、樹脂成形体6の外面壁を突き破
らない様に、通常、流体圧力,流体圧量を加減調整する
工夫が為される。また、本発明では金属インサートに設
けた細孔3から加圧流体を圧入する方法を用いるため、
細孔の形成位置や個数等の最適設計(設定)によって
も、溶融樹脂への圧力伝達を効果的に行うこともでき
る。この細孔3の設計の自由度は、通常の中空射出成形
法における金型への加圧流体圧入口の設計の自由度に比
べて高いため、本発明の製造方法は先述の“ひけ”防止
の点においても優れた方法と言える。
【0034】本発明に係る樹脂成形体6中の中空部7
は、重量法による中空率が3%〜50%の間にあること
が好ましく、更には5%〜40%がより好ましい。この
中空率が3%未満の場合には、流体の圧力が成形体の外
壁面に十分に伝わらない事が多く、十分な寸法精度が得
られにくい。また、中空率が50%を超えると、成形体
の外壁面に、ヘジテーションマークと呼ばれるシワが発
生し、寸法精度が低下しやすい。
【0035】尚、前記中空部7は、溶融樹脂中への加圧
流体の圧入によって形成されるものであり、いわゆる巣
(ボイド)や発泡剤による気泡とは本質的に相違するも
のである。
【0036】このように本発明によれば、金属インサー
トに設けられた細孔より、これを覆う溶融樹脂内に加圧
流体を圧入して圧力伝達を行うため、樹脂成形体の型再
現性が向上し高い寸法精度が得られると共に、加圧流体
の圧入口の跡やこれによるバリ等が該成形体の表面に残
ることが無く、非常に優れた表面性を有する金属インサ
ート一体型中空成形品が得られる。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0038】(実施例1)図1に示したような本発明の
金属インサート一体型中空成形品であるローラーを以下
のようにして製造した。
【0039】先ず、長さ300mm、外径10mmφ、
内径6mmφのステンレス(SUS304)製のパイプ
の片端より50mm,100mm,150mm,200
mm,250mmの各位置に、位相差180度で0.2
mmφの穴をそれぞれ2個開けた。このパイプの片端部
には、ガスが外部に漏れないように6mmφのステンレ
スの円板が溶接されている。このパイプを金属インサー
ト1とし、金型キャビティ部分が樹脂ローラー外径が3
0mmφ,長さが250mmとなるように設計された金
型を用い、表1に示す12種類の熱可塑性樹脂を用い
て、12本の樹脂ローラーの成形を行った。
【0040】先ず、金属インサート1を金型内にセット
し、次いでこの金属インサートの開口部を有する側に加
圧窒素(100kg/cm2G)導入ラインを接続し、
導入ライン中の窒素弁を0.1秒間開き、導入ライン及
び金属インサート内を窒素置換した。
【0041】次に、熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に
射出し、射出完了時の1.0秒後に窒素弁を開き、10
0kg/cm2Gの加圧窒素ガスを5.0秒間、金属イ
ンサート1内に圧入した。次いで、窒素弁を閉じ、金属
インサート1内が窒素で加圧された状態で50秒間保持
し、樹脂成形体6を冷却した。冷却完了後、金型を開
き、金属インサート1と樹脂成形体6が一体に形成され
た金属インサート一体型中空成形品であるローラーを取
り出した。
【0042】このローラーを24時間常温に放置した
後、樹脂部分の外径測定を行った。この測定結果とし
て、最大外径、最小外径、及びこれらの差(寸法差)
を、表1に示した。
【0043】表1から判るように、本実施例で製造した
ローラーはいずれも寸法差が極めて小さく、高寸法精度
の成形品であった。また、いずれの成形品も樹脂成形体
6の表面にガス圧入口の跡が残らず、表面性にも優れた
ものであった。
【0044】
【表1】
【0045】(比較例1)長さ300mm、外径10m
mφ、内径6mmφのステンレス(SUS304)製の
パイプを、実施例1で用いた金型内にセットし、表2に
示す3種類の熱可塑性樹脂を用いて、通常の射出成形法
によって3本の樹脂ローラーを成形した。成形品を取り
出してから24時間後に、実施例1と同様にして樹脂部
分の外径測定を行った結果を表2に示した。本比較例で
製造したローラーはいずれも樹脂成形体の表面に“む
ら”が生じており、表面性及び寸法精度ともに劣るもの
であった。
【0046】
【表2】
【0047】(比較例2)長さ300mm、外径10m
mφ、内径6mmφのステンレス(SUS304)製の
パイプを、実施例1で用いた金型内にセットし、表3に
示す3種類の熱可塑性樹脂を用いて、通常の中空射出成
形法によって3本の樹脂ローラーを成形した。
【0048】本比較例では、熱可塑性樹脂を金型キャビ
ティ内に射出し、射出完了時の1.0秒後に100kg
/cm2Gの加圧窒素ガスを5.0秒間、射出ノズルに
内蔵させたガスノズルを介して金型キャビティ内に直接
圧入した。次いで、加圧された状態で50秒間保持し、
樹脂成形体を冷却した。冷却完了後、金型を開き、金属
インサート一体型中空成形品であるローラーを取り出し
た。
【0049】このローラーを24時間常温に放置した
後、実施例1と同様にして樹脂部分の外径測定を行った
結果を表3に示した。本比較例で製造したローラーはい
ずれも、実施例1のローラーに近い寸法精度であったも
のの、樹脂成形体の表面にガス圧入口の跡が残ってお
り、表面性に劣るものであった。
【0050】
【表3】
【0051】(実施例2)図2に示すように、金属製の
軸に樹脂製歯車を2個有する本発明の金属インサート一
体型中空成形品を以下のようにして製造した。
【0052】先ず、長さ100mm、外径8mmφ、内
径6mmφのクロムメッキ付真ちゅう製のパイプの片端
より35mm,60mmの各位置に、位相差90度で
0.15mmφの穴をそれぞれ4個開けた。尚、このパ
イプの片端は閉じられている。このパイプを金属インサ
ート1とし、表4に示す6種類の熱可塑性樹脂を用い
て、以下の寸法の樹脂製歯車を2個有する6本の成形品
の成形を行った。
【0053】モジュール:1.0 歯数 :50 歯底円直径:47.5mm 歯先円直径:52mm 歯幅 :15mm 標準圧力角:20°
【0054】金属インサート1を金型内にセットし、次
いでこの金属インサートの開口部を有する側に加圧窒素
(50kg/cm2G)導入ラインを接続し、導入ライ
ン中の窒素弁を0.05秒間開き、導入ライン及び金属
インサート内を窒素置換した。
【0055】次に、熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に
射出し、射出完了時の0.8秒後に窒素弁を開き、50
kg/cm2Gの加圧窒素ガスを6.2秒間、金属イン
サート1内に圧入した。次いで、窒素弁を閉じ、金属イ
ンサート1内が窒素で加圧された状態で65秒間保持
し、樹脂成形体6を冷却した。冷却完了後、金型を開
き、金属インサート1と樹脂成形体6であるところの樹
脂製歯車が一体に形成された成形品を取り出した。
【0056】この成形品を72時間常温に放置した後、
JIS歯車精度規格(JIS・B・1702)に基づい
て、歯形誤差及び歯すじ方向誤差を測定した。この結果
を表4に示した。また、重量法による歯車部分の中空率
を測定した結果を、表4に併せて示した。
【0057】表4から判るように、本実施例で製造した
歯車はいずれも寸法誤差が極めて小さく、高寸法精度の
成形品であった。また、いずれの成形品も樹脂成形体6
の表面にガス圧入口の跡が残らず、表面性にも優れたも
のであった。
【0058】
【表4】
【0059】(比較例3)長さ100mm、外径8mm
φ、内径6mmφのクロムメッキ付真ちゅう製のパイプ
を、実施例2で用いた金型内にセットし、表5に示す4
種類の熱可塑性樹脂を用いて、通常の射出成形法によっ
て4本の成形品の成形を行った。
【0060】成形品を取り出し、これを72時間常温に
放置した後、実施例2と同様にして歯形誤差と歯すじ方
向誤差の測定を行った結果を表5に示した。本比較例で
製造した歯車はいずれも表面に“むら”が生じており、
表面性及び寸法精度ともに劣るものであった。
【0061】
【表5】
【0062】(比較例4)長さ100mm、外径8mm
φ、内径6mmφのクロムメッキ付真ちゅう製のパイプ
を、実施例2で用いた金型内にセットし、表6に示す4
種類の熱可塑性樹脂を用いて、通常の中空射出成形法に
よって4本の成形品の成形を行った。
【0063】本比較例では、熱可塑性樹脂を金型キャビ
ティ内に射出し、射出完了時の0.8秒後に50kg/
cm2Gの加圧窒素ガスを6.2秒間、射出ノズルに内
蔵させたガスノズルを介して金型キャビティ内に直接圧
入した。次いで、加圧された状態で65秒間保持し、樹
脂成形体を冷却した。冷却完了後、金型を開き、金属イ
ンサート一体型中空成形品である樹脂歯車を取り出し
た。
【0064】この樹脂歯車を72時間常温に放置した
後、実施例2と同様にして歯形誤差と歯すじ方向誤差の
測定を行った結果を表6に示した。本比較例で製造した
歯車はいずれも、実施例2の歯車に近い寸法精度であっ
たものの、樹脂成形体の表面にガス圧入口の跡が残って
おり、表面性に劣るものであった。
【0065】
【表6】
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
加圧流体圧入口の跡やこれによるバリを樹脂成形体の表
面に残すことなく、中空射出成形法を用いて金属インサ
ート一体型中空成形品を製造できる。かかる金属インサ
ート一体型成形品は、優れた表面性且つ高い寸法精度を
有し、各種産業用部品として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にて示す本発明の金属インサート一体
型成形品の一例である樹脂ローラーの概略図である。
【図2】実施例2にて示す本発明の金属インサート一体
型成形品の一例である樹脂歯車の概略図である。
【符号の説明】
1 金属インサート 2 空洞 3 細孔 4 閉塞部材 5 加圧流体導入ライン接続用のネジ 6 樹脂成形体 7 中空部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属インサートの内部の空洞から加圧流
    体が通過可能で、かつ溶融樹脂が通過することのできな
    外表面に通じる細孔を介して、金属キャビティ内の溶
    融樹脂中に加圧流体を圧入することを特徴とする金属イ
    ンサート一体型中空成形品の製造方法。
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