JP3108314B2 - 熱可塑性樹脂製歯車とその中空射出成形方法及び金型 - Google Patents

熱可塑性樹脂製歯車とその中空射出成形方法及び金型

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JP3108314B2
JP3108314B2 JP5562895A JP5562895A JP3108314B2 JP 3108314 B2 JP3108314 B2 JP 3108314B2 JP 5562895 A JP5562895 A JP 5562895A JP 5562895 A JP5562895 A JP 5562895A JP 3108314 B2 JP3108314 B2 JP 3108314B2
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    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
    • B29C45/1704Introducing an auxiliary fluid into the mould the fluid being introduced into the interior of the injected material which is still in a molten state, e.g. for producing hollow articles
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂製歯車、
その中空射出成形方法及び金型構造に関する。
【0002】
【従来の技術】歯車は自動車、一般機械、精密機械、電
気・電子などの各分野の機構部品として幅広く利用され
ている。最近の傾向としては、大量生産性に優れる、軽
量である、錆びないという理由から熱可塑性樹脂による
歯車の利用範囲が拡大している。さらには、最近の各分
野のハイテク化に伴い、同部品に対する寸法精度の要求
も高度化してきており、これに応えることが技術的な課
題となっている。
【0003】しかし、熱可塑性樹脂は射出成形を行う
際、金型内で溶融状態から固化する過程において大きく
収縮してしまうため、金型の寸法通りに成形品を得られ
ず、精度良く製品を得ることは非常に困難である。この
ため、従来から、成形条件、樹脂の特性、金型デザイン
などから様々な改良が行われてきた。例えば、金型デザ
インにおいては成形収縮を見込んだ設計が行われてお
り、主に以下に示す3つの方法を用いて金型の設計が行
われている。 キャビティモジュールは製品と同一にし、圧力角及び
転移係数で成形収縮を見込む。 キャビティ圧力角は製品と同一にし、モジュールで成
形収縮を見込む。 モジュールと圧力角の両方で成形収縮を見込む。
【0004】しかしながら、上記、及びの方法は
何れも収縮によるインボリュート歯形そのもののズレ、
歯筋方向の収縮は考慮されておらず、より高度な寸法精
度、歯車精度が要求される場合には、金型を試行錯誤に
よって修正を繰り返すことが必要であった。このため、
製品開発から製造までに多くの労力と時間を必要とした
ので、短期間に精度の良い歯車を製品化することは非常
に困難であった。また、通常の射出成形による歯車で
は、ウェブ部を設けることにより精度を向上させること
が一般的に行われている。しかし、ウェブ部を設けるこ
とによる歯車自体の強度の低下を避けることが非常に困
難であった。
【0005】特開平4−299113号公報に開示され
ている樹脂歯車成形金型による中空射出成形法において
は、金型キャビ板の成形品ウェブ部に対応する位置にガ
ス注入ノズルを設け、該ガス注入ノズルより成形品内に
加圧ガスを注入して該成形品に中空部を形成するもので
ある。しかし、同公報の歯車の中空成形法においては、
キャビ板に設けられたノズルより加圧された気体を注入
するが、樹脂が固化する際に収縮することが原因となっ
てゲート切れが発生し、ノズルと成形品の間に生じた隙
間から気体が成形品外に漏れ、成形品内に目的の中空部
を形成することは困難である。従って安定生産には不向
きな金型構造といえる。また、同公報に示された金型構
造においては、ゲート部近傍に気体圧送用ノズルが設け
られているため、成形行程完了後ランナーの取り出しに
手間がかかり、これも安定生産には不向きな金型構造と
いえる。
【0006】特開平6−182821号公報に開示され
ている歯の付け根部分の全周もしくは一部に中空部を持
つ熱可塑性樹脂製歯車は、歯の付け根部分に中空部を設
けることにより歯車精度を向上させるものである。しか
し、同公報の熱可塑性樹脂製歯車においては、通常の中
空射出成形法により歯の根元部分の全周に渡って中空部
を効果的に形成することは非常に困難である。また、歯
の根元部分に中空部が形成されていない箇所の歯車精度
は、通常の射出成形法による成形品と同等か、それより
低下する傾向にある。また、同公報の熱可塑性樹脂製歯
車は、中空射出成形法における加圧流体の注入行程で、
加圧流体が選択的に歯の根元部分に中空部を形成するよ
うに、軸穴部分と歯の根元部分の間を薄肉(ウェブ)構
造としている。このため、歯車全体の強度は通常の射出
成形で製造された歯車と同等である。
【0007】特開平6−272748号公報に開示され
ている熱可塑性樹脂による高剛性歯車においては、ウェ
ブ構造を有さず、内部に中空部を有するといった特徴を
持つことにより、寸法精度、剛性のバランスを向上させ
るものである。しかしながら、同公報の熱可塑性樹脂製
歯車においては、特開平6−182821号公報に開示
された歯車と同様、中空部が効果的に存在する部分と、
そうでない部分とでは歯車の寸法精度に差が生じるた
め、歯車の寸法精度の点で問題がある。特に、中空部が
形成されていない箇所の寸法精度は、通常の射出成形法
による成形品と同等か、低下する傾向にある。また、同
公報の熱可塑性樹脂製歯車では、軸線に対して垂直な断
面において、中空部が大きく偏って存在し、肉厚が不均
一に形成される。肉厚部分の冷却および固化には、肉薄
部分と比較して長い時間を要し、成形サイクル短縮の弊
害となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、歯車の全周
に渡って寸法精度が均一・良好で、生産性に優れた熱可
塑性樹脂製歯車とその中空射出成形法及び金型を提供す
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は以下
のとおりである。 1. 内部に中空部を有する熱可塑性樹脂製歯車であっ
て、該歯車の内部に仕切り壁(内部リブ)を少なくとも
1つ持ち、かつ該仕切り壁(内部リブ)の最小厚さが
0.5〜5mmである熱可塑性樹脂製歯車。 2. キャビティ内の容積を拡大できる構造を有する金
型のキャビティ内に溶融樹脂の射出中、或いは射出完了
10秒後までに加圧流体を注入開始し、この加圧流体注
入開始と同時、或いは注入完了10秒後までにキャビテ
ィ内の容積を拡大開始し、キャビティ内の容積を拡大完
了した後その状態でキャビティ内樹脂中に注入された加
圧流体の圧力を5〜90秒間保持することを特徴とする
熱可塑性樹脂製歯車の中空射出成形方法。 3. キャビティ内の容積を拡大できる構造を有する金
型がキャビティ内への前進及びキャビティ内からの後退
が任意に行える可動部分を有する金型であって、かつ該
可動部分の移動距離が熱可塑性樹脂製歯車の歯幅に対し
て10〜90%であることを特徴とする上記2の熱可塑
性樹脂製歯車の中空射出成形方法。
【0010】4. 上記2の熱可塑性樹脂製歯車の中空
射出成形方法で用いられる金型が、キャビティ内への前
進及びキャビティ内からの後退が任意に行える可動部分
を有することを特徴とする熱可塑性樹脂製歯車用金型。 5. 金型の可動部分がキャビティ内に前進した状態に
おいて、キャビティ内に突き出された可動部分の形状が
円柱形であり、かつ該円柱形の外径D1が熱可塑性樹脂
製歯車の歯底円直径の0.7〜1倍である上記4の熱可
塑性樹脂製歯車用金型。 6. 金型の可動部分がキャビティ内に前進した状態に
おいて、キャビティ内に突き出された可動部分の形状が
筒形状であり、かつ該筒形状の外径D1が熱可塑性樹脂
製歯車の歯底円直径の0.7〜1倍であり、内径D2が
熱可塑性樹脂製歯車の軸穴直径の1〜3倍である上記4
の熱可塑性樹脂製歯車用金型。 7. 加圧流体を、シリンダーのノズル、金型のスプル
ー部、ランナー部のいずれかより樹脂内に注入し、該加
圧流体がゲートを通過してキャビティー内に到達するこ
とを特徴とする上記2の熱可塑性樹脂製歯車の中空射出
成形方法。
【0011】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
において「中空射出成形法」とは、射出成形において熱
可塑性樹脂を金型キャビティ中に射出中、もしくは射出
完了後に加圧流体を樹脂中に注入することにより中空成
形品を得る射出成形方法である。本発明において「キャ
ビティ」とは、金型パーティング面に設けられた凹みの
うち、成形行程完了後に製品となる樹脂が充填される部
分を指す。
【0012】本発明において「中空部」とは、巣(ボイ
ド)や発泡剤による中空部を意味するものではない。本
発明の熱可塑性樹脂製歯車は、内部に中空部と少なくと
も一つの仕切り壁(内部リブ)6を有し、かつ該仕切り
壁(内部リブ)6の最小厚みbが0.5〜5mm、好ま
しくは0.5〜3mmである。仕切り壁の最小厚さが5
mmを越えると、仕切り壁が存在する部分における歯幅方
向の成形収縮が大きくなる。その結果、他の部分との成
形収縮に差が生じ、歯車全周に渡って歯車精度、寸法精
度を均一に保持することが困難になるために好ましくな
い。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂製歯車の中空射出成
形法においては、金型キャビティ内の容積を拡大できる
構造を持つ金型を用意し、溶融樹脂の射出中或いは射出
完了10秒後までに加圧流体をキャビティ内樹脂中に注
入開始し、この加圧流体注入開始と同時或いは注入完了
10秒後までにキャビティ内の容積を拡大開始し、キャ
ビティ内の容積の拡大開始から20秒後までの間にキャ
ビティ拡大工程を完了し、キャビティ内の容積を拡大完
了した状態で成形品内の加圧流体の圧力を5〜90秒
間、好ましくは10〜60秒間保持することが必要であ
る。このような方法を採ることにより、外観不良(ヘジ
テイションマーク)の発生が抑制され、かつ内部に大き
な中空部をもつ熱可塑性樹脂製歯車が得られる。
【0014】本発明の中空射出成形法に用いられる金型
において、キャビティ内への前進及びキャビティ内から
の後退が任意に行える可動部分を有することにより、キ
ャビティ内の容積の調整が容易に可能であるので好まし
い。本発明の中空射出成形法において、熱可塑性樹脂製
歯車の内部に歯車精度を向上させるために効果的な中空
部を形成するには、該熱可塑性樹脂製歯車の歯幅に対す
る可動部分の移動距離が10〜90%であることが好ま
しいが、歯車強度の低下を抑制しつつ該熱可塑性樹脂製
歯車の内部に中空部を形成するためには、歯幅に対する
可動部分の移動距離が50〜90%であることがさらに
好ましい。
【0015】また、金型の可動部分において、該可動部
分がキャビティ内に前進した状態において、該可動部分
のうちキャビティ内に突き出された部分の形状が円柱形
であり、該円柱形の外径D1が該歯車の歯底円直径の
0.7〜1倍であることが好ましい。このような可動部
分を有する金型を用いることにより熱可塑性樹脂製歯車
の内部に歯車精度を向上させるのに効果的な中空部を形
成することが容易になる。また、中央に軸穴のある熱可
塑性樹脂製歯車の金型の可動部分において、該可動部分
がキャビティ内に前進した状態において、該可動部分の
うちキャビティ内に突き出された部分の形状が筒形状で
あり、該筒形状の外径D1が該熱可塑性樹脂製歯車の歯
底円直径の0.7〜1倍であり、内径D2が該熱可塑性
樹脂製歯車の軸穴直径の1〜3倍であることにより、中
央に軸穴のある熱可塑性樹脂製歯車の内部に歯車精度を
向上させるために効果的な中空部を形成することが容易
になる。
【0016】本発明の中空射出成形方法において、成形
品内に中空部を形成するための加圧流体を、シリンダー
のノズル、金型のスプルー部、ランナー部のいずれかよ
り樹脂内に注入し、該加圧流体がゲートを通過して成形
品内に到達させることが、加圧流体の製品外部への流出
を抑制できることから好ましい。図1に、本発明の熱可
塑性樹脂製歯車の一具体例の断面図を示す。図1(a)
は軸線方向に垂直な断面図であり、図1(b)は図1
(a)に示したA−A’断面であり、熱可塑性樹脂製歯
車の軸線方向の断面を示し、軸線を含んだ断面図であ
る。図1(a)、(b)に示す本発明の一具体例の熱可
塑性樹脂製歯車は、内部に中空部5があり、最小厚みb
が0.5〜5(mm)である仕切り壁(内部リブ)6を
1つ有する。
【0017】本発明において用いられるキャビティ内容
積を拡大できる金型の断面構造の例を図2(a)、図3
(a)に示す。図2(a)、図3(a)に示した通り、
該金型は、ゲート12、キャビティ7、可動部分8など
により構成されている。図2(a)に、可動部分8がキ
ャビティ内に前進した状態で、可動部分8のうちキャビ
ティ7内に突き出された部分の形状が円柱形である金型
断面の例を示す。図2(b)は、図2(a)に示した金
型における、可動部分8の形状の一例を示したものであ
る。図中のD1は、可動部分8がキャビティ内に前進し
た状態で、可動部分8のうちキャビティ7内に突き出さ
れた部分(図中のA部分)の直径を示したものであり、
熱可塑性樹脂製歯車の歯底円直径の0.7〜1倍である
ことが好ましく、さらに好ましくは0.8〜1倍であ
る。これは、D1の値が歯底円直径の0.7倍より小さ
いと、熱可塑性樹脂製歯車の内部に歯車精度を向上させ
るのに効果的な中空部を形成することが困難になること
から好ましくない。図中、B部分は可動部分が前進した
状態においても、キャビティ内に突き出されない部分で
あり、この部分の形状は可動部分がスムーズに駆動する
ような形状(例えばキー溝など)であれば良い。
【0018】図3(a)に、可動部分8がキャビティ7
内に前進した状態で、可動部分8のうちキャビティ7内
に突き出された部分の形状が筒形状である金型断面の例
を示す。図3(b)は、図3(a)に示した金型におけ
る、可動部分8の形状の一例を示したものである。図中
のD1、D2は、該可動部分8がキャビティ7内に前進
した状態で、可動部分8のうちキャビティ7内に突き出
された部分(図中のA部分)の外径(D1)、内径(D
2)をそれぞれ示したものであり、D1が熱可塑性樹脂
製歯車の歯底円直径の0.7〜1倍であることが好まし
く、さらに好ましくは0.8〜1倍である。D1の値が
歯底円直径の0.7倍より小さいと歯車精度を向上させ
るのに効果的な中空部を形成することが困難になる。歯
車強度の低下を抑制しつつ、内部に中空部を設けるため
には、D2は熱可塑性樹脂製歯車の軸穴直径の1〜3倍
が好ましく、さらに好ましくは1.5〜2.5倍であ
る。図中のB部分については、上述と同様である。
【0019】可動部分のうち、可動部分が前進・後退位
置にあるとき、又は駆動中など、常にキャビティに接し
ている面の形状は、通常、平面であることが考えられる
が、本発明によって得られる歯車が機構部品として機能
する上で必要な形状であってもよい。機能する上で必要
な形状としては、カム溝、歯車などを構成する凹凸が考
えられる。可動部分8の駆動源としては、油圧シリンダ
ーによるものが考えられるが、溶融樹脂の射出圧力又
は、樹脂圧により可動部分8が後退しキャビティ内容積
が拡大しない構造であれば、如何なる装置、方法を用い
ても実施可能である。図4は本発明を実施する際の中空
射出成形方法の一例の説明図である。
【0020】該方法の第一行程を図4(a)に示す。第
一行程は可動部分8が前進した状態で、キャビティ7内
に溶融樹脂を射出する。このときの溶融樹脂の充填量
は、可動部分8が前進した状態、即ち、キャビティ7内
容積を拡大する前のキャビティ7内容積を100%とし
た場合、40〜100%に相当する量が好ましく、さら
に好ましくは70〜100%である。これは、溶融樹脂
の充填量が40%未満であると、次の第二工程において
樹脂内に注入される加圧流体が樹脂を突き破り、樹脂外
へ流出しやすくなる。その結果、目的の形状を形成する
ことが困難になるために好ましくない。
【0021】第二行程を図4(b)に示す。溶融樹脂が
射出されてキャビティ内に流入した後、成形品内に中空
部を形成するための加圧流体を樹脂内に注入する行程で
ある。加圧流体の注入開始は、溶融樹脂の射出中から射
出終了10秒後までの間、好ましくは射出中から射出終
了5秒後までの間である。これは、溶融樹脂の射出終了
から10秒以上経過すると、キャビティ内の樹脂は徐々
に冷却され、金型キャビティ面に接している面から固化
が始まり、成形品内に効果的に中空部を形成することが
困難な状態になるためである。
【0022】第三行程を図4(c)に示す。加圧流体の
注入開始と同時、或いは注入完了10秒後までに可動部
分8を後退させ、キャビティ7の容積を拡大する行程で
ある。可動部分の後退開始から20秒後までの間、好ま
しくは10秒までの間に後退完了することにより、内部
に効果的に中空部を形成することができる。これは、前
述の通り、キャビティ内に充填された溶融樹脂は、時間
の経過と共に金型キャビティ面より冷却されて固化が
進。このため、樹脂内に中空部を形成するためには、キ
ャビティの容積拡大動作をキャビティ内に充填された樹
脂が冷却固化する以前に完了する必要がある。
【0023】第四行程は図4(d)に示した通り、キャ
ビティ7の容積を拡大した状態で、樹脂内に注入した加
圧流体の圧力を一定時間保持する行程である。本発明に
おいてはキャビティ7内の樹脂内に加圧流体を注入する
ことにより中空成形品を得るが、キャビティ7内の樹脂
が十分冷却されるまでの間、樹脂内に注入された加圧流
体の圧力を保持する必要がある。効果的に中空部を設け
るために必要な加圧流体の圧力保持時間は5〜90秒で
あり、好ましくは10〜60秒である。また、注入され
る加圧流体の圧力や、樹脂内に注入された加圧流体の圧
力保持時間を調整することにより、成形品寸法の調整が
容易に可能になる。
【0024】本発明で成形品内部に中空形状を得るため
に用いる加圧流体としては、常温においてガス状または
液状のものが用いられる。また、射出成形の温度及び圧
力下で、成形に用いる溶融樹脂と反応又は相溶しないも
のが好ましい。例えば、窒素、炭酸ガス、空気、ヘリウ
ム、グリセリン、流動パラフィンなどが挙げられる。通
常は加圧ガスが使用され、特に窒素、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴンなどの不活性ガスを使用することが好まし
い。また、これらのガス体を用いるときは通常不純物が
含まれるが、あまり不純物が多いと成形時に樹脂の分解
やヤケを生じる場合があるので好ましくない。経済性を
考慮すると工業的には窒素ガスが好ましい。
【0025】以下に加圧ガスを用いる中空射出成形法の
一般的な例を更に説明する。加圧ガスを用いた中空射出
成形は、通常の射出成形機とガス注入装置の組み合わせ
によって行われる。ガス注入装置は、樹脂の射出開始後
に配管を通して樹脂中にガスを注入し、設定時間このガ
スを保持する装置である。これには注入するガスを予め
高圧に圧縮し、アキュームレーターに蓄え、ガス注入時
に配管を通して高圧ガスを導入する方法や、一定量のガ
ス体を計量しポンプにより連続で送り込み加圧していく
方法等が考えられるが、射出中及び射出後の樹脂中にガ
ス体を送り込めれば如何なる方法も可能である。このと
き、ガスの注入口はシリンダーのノズル、金型のスプル
ー部、ランナー部、製品部などに設けることにより可能
であるが、さらに好ましくはシリンダーのノズル、金型
のスプルー部、ランナー部のいずれかの位置に注入口を
設け、加圧ガスがゲートを通過してキャビティ内に到達
することである。
【0026】本発明において、成形品内に中空部を形成
するために樹脂中に注入される加圧ガス圧力は、20〜
300kg/cm2が好ましく、さらに好ましくは50〜25
0である。成形品内部に中空部を形成するためには20
kg/cm2以上のガス圧力が必要である。本発明に用いられ
る熱可塑性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ
アミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリ
フェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサ
ルフォン、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテ
トラフルオロエチレン、熱可塑性エラストマー等が挙げ
られるが、通常の射出成形が可能であれば、いかなる熱
可塑性樹脂も用いることができる。特に、ポリアセター
ル樹脂及びポリアミド樹脂は耐熱性が高く、機械的物性
にも優れ、さらには摺動特性にも優れるため、歯車用の
樹脂として多く用いられており本発明においても好適に
用いられる。
【0027】好適な充填剤としては、ガラス繊維、炭素
繊維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カルシウム、
アスベスト、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫
酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイ
ロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライ
ト、マイカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタ
ルパルジャイト、ウオラストナイト、PMF、フェライ
ト、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、ドロマイト、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネ
シウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石膏、ガラ
スビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、石英、石
英ガラスなどの強化充填剤を挙げることができ、これら
は中空であってもよい。また、これらの強化充填剤は2
種以上を併用することが可能であり、必要に応じてシラ
ン系、チタン系などのカップリング剤で予備処理して使
用することができる。
【0028】本発明によって得られる成形品は内部が中
空であるが、好適な中空率は10〜90%であり、さら
に好ましくは20〜80%である。これは中空率が90
%を越える中空成形品は、製品の肉厚が極端に薄くな
り、製品の強度低下を招くために好ましくない。また、
製品の極端な薄肉化は、製品内に中空部を形成するため
に注入する加圧流体が薄肉部から製品外に流出し、目的
の形状の中空成形品が得られない恐れがあるために好ま
しくない。また、中空率が10%より低い中空成形品
は、加圧ガスによる効果が薄くなり、本発明の目的であ
る寸法精度、歯車精度の向上が期待できない。尚、中空
率とは次式で定義される。 中空率(%)={(V×ρ−M)/(V×ρ)}×100 ただし、上式においてVは中空部を同じ樹脂で埋めたと
きの体積、ρは用いた樹脂の比重、Mは中空成形品の質
量である。
【0029】本発明における中空射出成形により得られ
る熱可塑性樹脂製歯車は、歯底円より内側に加圧ガスを
導き、中空部を効果的に形成することにより樹脂の収縮
を抑制する。中空射出成形法においては樹脂中に加圧ガ
スが供給され、樹脂の収縮を補うことにより樹脂を効果
的に金型に密着させることが可能であるため寸法精度、
歯車精度が良好になると予想される。通常の射出成形に
おいても、樹脂の収縮分を保圧をかけることにより補う
ことが可能であるが、ゲートシール後はゲート部で樹脂
が固化しているので圧力の効果が期待できない。しか
し、中空射出成形法においては、ゲートシール後も加圧
ガスによって成形品内部より圧力がかかるため、金型転
写性が良好になると推測される。しかし、単に製品内に
加圧流体を注入するだけで歯車精度を向上させることは
困難である。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂製歯車は、金型キャ
ビティ内の容積を拡大できる構造を持つことを特徴とす
る金型を用意し、溶融樹脂を金型キャビティ内に射出
し、溶融樹脂の射出中或いは射出完了10秒後までの間
に成形品内に加圧ガスを注入開始し、加圧ガス注入開始
と同時、或いは注入完了10秒後までの間にキャビティ
内の容積を拡大させることにより、熱可塑性樹脂製歯車
の歯車精度を向上するための中空部を効果的に形成する
ことができたものである。
【0031】本発明においては、溶融樹脂内に加圧ガス
を注入し、キャビティ7内の容積を拡大させることによ
り成形品内に中空部を得るが、キャビティ7内の樹脂が
冷却されるまでの間、中空部内に注入したガスの圧力を
保持しつつ、可動部分8を後退位置で停止させておく必
要がある。効果的に中空部を形成させるために必要な中
空部内のガス圧の保持しつつ、可動部分8の後退位置で
の停止を保つ時間は、可動中子の後退を停止してから5
〜90秒が好ましく、さらに好ましくは10〜60秒で
ある。
【0032】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に
説明する。各実施例、比較例を実施する際には、ポリア
セタール樹脂(旭化成工業(株)製 テナック−C 4
520)を用いて中空射出成形または、一般的な射出成
形を行った。
【0033】
【実施例1〜4】図5(a)、(b)に示すような、モ
ジュール0.6、歯数118、歯幅8mmである平歯車が
成形できる金型であって、中心から20mmの位置に1点
のゲートを設けた構造であって、かつ、図3に示した金
型と同様に、キャビティ容積を容易に拡大するためにキ
ャビティ内への前進と、この前進位置からの後退の動作
を任意に行うことのできる、D1が0.9倍、D2が2
倍の円筒形の可動部分を有する構造を持つ金型を用意し
た。成形機のシリンダー温度を200℃、金型温度を8
0℃に設定した。製品に中空部を形成するために注入す
るガスは窒素とし、ガスの圧力は150kg/cm2とした。
【0034】図4(a)、(b)、(c)、(d)に実
施例1〜4を実施する際の成形行程の例を示す。第一行
程は図4(a)に示した通り、可動部分8を5mm前進し
た状態で、キャビティ7内に未充填部分が残らないよう
溶融樹脂をキャビティ内に射出する行程である。第二行
程は図4(b)に示した通り、溶融樹脂の射出終了後、
成形品内に中空部を形成するための加圧ガスを樹脂内に
注入する行程である。このときの加圧ガスの圧力は前述
の通り、実施例1〜4においては150kg/cm2とした。
第三行程は図4(c)に示した通り、加圧ガスの注入中
に可動部分8を5mm後退させ、キャビティ7の容積を拡
大する行程である。実施例1〜4において、可動部分8
の後退開始タイミングを変えて中空射出成形を実施し
た。即ち、加圧ガスの注入開始からそれぞれ、0.5、
1、2、10秒後に可動部分の後退を開始したものであ
る。この時の可動部分の移動距離は5mmであり、この値
は歯車の歯幅8mmに対して62.5%に相当する値であ
る。第四行程は図4(d)に示した通り、キャビティ7
の容積を拡大した状態で、樹脂内の加圧ガスの圧力を3
0秒間保持する行程である。第四行程終了の後、製品内
のガス圧力を解放し、金型から製品を取り出した。得ら
れた歯車の断面図を、図6(a)、(b)に示す。得ら
れた歯車の精度測定にはJIS歯車精度規格(JIS
B 1702)の歯形誤差、歯筋方向誤差を用いた。い
ずれの誤差も理想的なインボリュート歯車からの寸法の
ズレであり、誤差の値が小さいほど正確に作動する歯車
といえる。測定結果を表1に示した。
【0035】
【比較例1】実施例1〜4で用いた金型を用いて、可動
部分8の駆動を行わずに後退の位置で固定し、溶融樹脂
射出、加圧ガス注入、ガス圧保持、ガス圧解放、製品取
り出しといった、通常の中空射出成形と同様の行程で成
形を実施した。加圧ガスの圧力、ガス圧力の保持時間
は、実施例1〜4と同様に150kg/cm2、30秒とし
た。得られた歯車の断面図を図7(a)、(b)に示
す。得られた歯車の精度を測定し、結果を表1に示し
た。
【0036】
【比較例2】実施例1〜4で用いた金型を用いて、溶融
樹脂の射出、保圧、冷却といった、通常の射出成形法に
より製品を得た。成形機のシリンダー温度及び、金型温
度の設定値は実施例1〜4と同一とした。また、可動部
分8の駆動は行わず、キャビティ内容積は拡大の位置で
固定した。保圧力は800kg/cm2、保圧時間は20秒、
冷却時間は30秒とした。得られた歯車の精度を測定
し、結果を表1に示した。
【0037】
【実施例5〜8】実施例1〜4と同様、キャビティ7内
の容積を拡大することが可能な構造(D1:0.9倍、
D2:2倍)を持ち、図8に示した通り、実施例1〜4
と同様な諸元の歯車が成形可能であり、ゲート12は中
心から20mmの位置に等間隔になるように、3点設けた
構造である金型を用意した。図4(a)、(b)、
(c)、(d)に示した成形方法にて中空射出成形を実
施した。樹脂の射出量は、キャビティ内容積を拡大する
以前の状態におけるキャビティ内の容積を100%とし
た場合、80%に相当する量とした。加圧ガスの圧力は
100kg/cm2とした。可動部分を後退させ、キャビティ
内容積を拡大する行程は、加圧ガス注入開始1秒後から
行った。この時の可動部分8の移動量は5mmであり、図
8に示した歯車の歯幅8mmに対して62.5%に相当す
る値である。キャビティ内の容積を拡大した状態で、成
形品内に注入した加圧ガスの圧力の保持時間を実施例5
〜8で設定を変え、それぞれ、10、20、30、60
秒間とした。得られた歯車の断面図を図9(a)、
(b)に示す。得られた歯車の精度を測定し、結果を表
2に示した。
【0038】
【比較例3】実施例5〜8で用いた金型を用いて、可動
部分8の駆動を行わずに後退の位置で固定し、溶融樹脂
射出、加圧ガス注入、ガス圧保持、ガス圧解放、製品取
り出しといった、通常の中空射出成形と同様の行程にて
成形を実施した。このときの、加圧ガスの圧力、ガス圧
力の保持時間は実施例7と同様とし、100kg/cm2、3
0秒とした。得られた歯車の断面図を図10(a)、
(b)に示す。得られた歯車の精度を測定し、結果を表
2に示した。
【0039】
【比較例4】実施例5〜8で用いた金型を用いて、溶融
樹脂の射出、保圧、冷却といった、通常の射出成形法に
より製品を得た。成形機のシリンダー温度及び、金型温
度の設定値は実施例5〜8と同一とした。また、可動部
分8の駆動は行わず、キャビティ内容積は拡大の位置で
固定した。保圧力は800kg/cm2で保圧時間は20秒、
冷却時間は30秒とした。得られた歯車の精度を測定
し、結果を表2に示した。
【0040】
【実施例9〜12】図11(a)、(b)に示したよう
な、モジュール1、歯数36枚、歯幅35mmである諸元
の歯車が成形可能な歯車であって、図3に示した金型構
造と同様にキャビティ内容積の拡大が可能な構造であり
(D1:0.9倍、D2:2倍)、ゲートは中心から1
0mmの位置に等間隔になるように3点設けた構造である
金型を用意した。図4に示した成形行程に従い、溶融樹
脂の射出、加圧ガスの注入、可動部分8を駆動させてキ
ャビティ内容積の拡大、加圧ガスの圧力保持、ガス圧力
の解放、製品の取り出しといった中空射出成形を実施し
た。樹脂の射出量は、キャビティ内容積を拡大する以前
の状態におけるキャビティ内容積を100%とした場
合、90%に相当する量とした。可動部分8の駆動開始
は加圧ガスの注入開始1秒後とし、該可動部分8の移動
量は30mmであり、図11に示した歯車の歯幅に対して
85.7%に相当する値である。成形機のシリンダー温
度は200℃、金型温度は80℃に設定した。実施例9
〜12において、加圧ガスの圧力はそれぞれ100、12
0、150、200kg/cm2とした。ガス圧の保持時間は
30秒とした。得られた歯車の断面図を図12(a)、
(b)に示す。得られた歯車の精度を測定し、結果を表
3に示した。
【0041】
【比較例5】実施例9〜12で用いた金型を用いて、可
動部分8の駆動を行わず、後退の位置で固定し、溶融樹
脂の射出、加圧ガスの注入、ガス圧の保持、ガス圧の解
放、取り出しといった通常の中空射出成形と同様の行程
で成形を実施した。各温度設定条件は実施例9〜12と
同一に設定し、加圧ガスの圧力、圧力の保持時間は実施
例10と同一値とした。即ち、120kg/cm2、30秒で
ある。得られた歯車の断面図を図13(a)、(b)に
示す。得られた歯車の精度を測定し、結果を表3に示し
た。
【0042】
【比較例6】実施例9〜12で用いた金型を用いて、可
動部分8の駆動を行わず、後退の位置で固定し、溶融樹
脂の射出、保圧、冷却、取り出しといった通常の射出成
形と同様の行程にて成形を実施した。シリンダー温度は
200℃、金型温度は80℃にそれぞれ設定し、保圧力
を800kg/cm2、保圧時間を20秒、冷却時間を30秒
とした。得られた歯車の精度を測定し、結果を表3に示
した。
【0043】
【比較例7】実施例9〜12、比較例5、6で用いた歯
車と同様の歯車の諸元(モジュール、歯数、歯幅など)
であって、図14(a)、(b)に示すようなウエブ部
を肉抜き構造とした通常の射出成形用のデザインの歯車
が射出成形できる金型を用意し、溶融樹脂の射出、加圧
ガスの注入、ガス圧の保持、ガス圧の解放、取り出しと
いった通常の中空射出成形と同様の行程で成形を行っ
た。各温度条件、加圧ガスの圧力、圧力保持時間は比較
例5と同様の設定値とした。得られた歯車の断面図を図
15(a)、(b)に示す。得られた歯車の精度を測定
し、結果を表3に示した。
【0044】
【比較例8】比較例7で用いた、ウエブ部を肉抜き構造
としたデザインの金型を用いて、比較例6と同様に、溶
融樹脂の射出、保圧、冷却、取り出しといった通常の方
法により射出成形を行った。各温度条件、保圧力、保圧
時間は比較例6と同様の設定値とした。得られた歯車の
精度を測定し、結果を表3に示した。
【0045】
【実施例13〜16】実施例9〜12などと同様の金型
を用いて、図11に示した歯車を得た。また。実施例1
0に準じた温度設定、成形条件にて中空射出成形を実施
した。樹脂の射出量は、キャビティ内容積を拡大する以
前の状態におけるキャビティ内の容積を100%とした
場合、99%に相当する量とした。可動部分8の駆動開
始は加圧ガスの注入開始後1秒とした。可動部分の移動
量を実施例13〜16において、それぞれ30、20、
10、5mmとし、図11に示した歯車の歯幅に対して、
それぞれ85.7、57.1、28.6、14.3%に
相当する値である。得られた歯車の精度を測定し、その
結果を比較のために比較例5の結果と共に表4に示し
た。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【発明の効果】本発明による歯車は樹脂の収縮が抑制さ
れ、金型転写性が向上し、インボリュート歯車として誤
差が小さく良好な精度を持つ熱可塑性樹脂製歯車であ
る。このため、機構部品として正確な動作が行える歯車
であり、産業上、非常に有用な歯車であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性樹脂製歯車の一例の、(a)
は軸線方向に垂直な断面図を示し、(b)はA−A,
面図を示す。
【図2】(a)は本発明に用いる金型構造の一例の断面
図を示し、(b)は可動部分の形状の一例を示したもの
である。
【図3】(a)は本発明に用いる金型構造の一例の断面
図を示し、(b)は可動部分の形状の一例を示したもの
である。
【図4】本発明を実行する際の成形行程の説明図であ
る。
【図5】実施例1〜4、比較例1、2で得られる歯車の
(a)正面図、(b)側面図である。
【図6】(a)は、実施例1〜4で得られた歯車の軸方
向に垂直な断面図を示し、(b)はA−A, 断面図を示
す。
【図7】(a)は、比較例1で得られた歯車の軸方向に
垂直な断面図を示し、(b)はA−A, 断面図を示す。
【図8】実施例5〜8、比較例3、4で得られる歯車の
(a)正面図、(b)側面図を示したものである。
【図9】(a)は、実施例5〜8で得られた歯車の軸方
向に垂直な断面図を示し、(b)はA−A, 断面図を示
す。
【図10】(a)は、比較例3で得られた歯車の軸方向
に垂直な断面図を示し、(b)はA−A, 断面図を示
す。
【図11】実施例9〜16、比較例5、6で得られる歯
車の(a)正面図、(b)側面図を示したものである。
【図12】(a)は、実施例9〜16で得られた歯車の
軸方向に垂直な断面図を示し、(b)はA−A, 断面図
を示す。
【図13】(a)は、比較例5で得られた歯車の軸方向
に垂直な断面図を示し、(b)はA−A, 断面図を示
す。
【図14】比較例7、8で得られる歯車の(a)正面
図、(b)側面図を示したものである。
【図15】(a)は、比較例7で得られた歯車の軸方向
に垂直な断面図を示し、(b)はA−A, 断面図を示
す。
【符号の説明】
1 歯先円 2 ピッチ円 3 軸穴 4 歯部 5 中空部 6 仕切り壁 7 キャビティ 8 可動部分 9 スプルー部及びランナー部 10 加圧ガス通路 11 溶融樹脂 12 ゲート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 15:00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に中空部を持つ熱可塑性樹脂製歯車
    であって、該歯車の内部に少なくとも1つの仕切り壁
    (内部リブ)を有し、かつ該仕切り壁(内部リブ)の最
    小厚さが0.5〜5mmである熱可塑性樹脂製歯車。
  2. 【請求項2】 キャビティ内の容積を拡大できる構造を
    有する金型のキャビティ内に溶融樹脂の射出中、或いは
    射出完了10秒後までに加圧流体をキャビティ内樹脂中
    に注入開始し、この加圧流体注入開始と同時、或いは注
    入完了10秒後までにキャビティ内の容積を拡大開始
    し、キャビティ内の容積の拡大開始から20秒後までに
    該キャビティ拡大工程を完了し、拡大完了した状態でキ
    ャビティ内樹脂中に注入された加圧流体の圧力を5〜9
    0秒間保持することを特徴とする熱可塑性樹脂製歯車の
    中空射出成形方法。
  3. 【請求項3】 キャビティ内の容積を拡大できる構造を
    有する金型がキャビティ内への前進及びキャビティ内か
    らの後退が任意に行える可動部分を有する金型であっ
    て、かつ該可動部分の移動距離が熱可塑性樹脂製歯車の
    歯幅に対して10〜90%であることを特徴とする請求
    項2記載の熱可塑性樹脂製歯車の中空射出成形方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の熱可塑性樹脂製歯車の
    中空射出成形方法で用いられる金型が、キャビティ内へ
    の前進及びキャビティ内からの後退が任意に行える可動
    部分を有することを特徴とする熱可塑性樹脂製歯車用金
    型。
  5. 【請求項5】 金型の可動部分がキャビティ内に前進し
    た状態において、キャビティ内に突き出された可動部分
    の形状が円柱形であり、かつ該円柱形の外径D1が熱可
    塑性樹脂製歯車の歯底円直径の0.7〜1倍である請求
    項4記載の熱可塑性樹脂製歯車用金型。
  6. 【請求項6】 金型の可動部分がキャビティ内に前進し
    た状態において、キャビティ内に突き出された可動部分
    の形状が筒形状であり、かつ該筒形状の外径D1が熱可
    塑性樹脂製歯車の歯底円直径の0.7〜1倍であり、内
    径D2が熱可塑性樹脂製歯車の軸穴直径の1〜3倍であ
    る請求項4に記載の熱可塑性樹脂製歯車用金型。
  7. 【請求項7】 加圧流体を、シリンダーのノズル、金型
    のスプルー部、ランナー部のいずれかより樹脂内に注入
    し、該加圧流体がゲートを通過してキャビティー内に到
    達することを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂
    製歯車の中空射出成形方法。
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