JP3053626B1 - スチフナーリング - Google Patents

スチフナーリング

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JP3053626B1 JP11322815A JP32281599A JP3053626B1 JP 3053626 B1 JP3053626 B1 JP 3053626B1 JP 11322815 A JP11322815 A JP 11322815A JP 32281599 A JP32281599 A JP 32281599A JP 3053626 B1 JP3053626 B1 JP 3053626B1
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Abstract

【要約】 【課題】 外ダイヤフラムの形成手段として、より安全
性が高く、施工能率を向上させることができるスチフナ
ーリングを提供する。 【解決手段】 鉄骨構造物の柱に梁やガセットプレート
を接合する際、この接合部位を剪断補強する目的で柱に
嵌めて外ダイヤフラムを構成するスチフナーリングにお
いて、柱外面5から若干の隙間Gを有する大きさの鋳造
又は鍛造製環体に対し、外周面10と上面11との間に梁1
との突き合わせ溶接部位である梁用開先13を設け、内周
面7と上面11との間に柱3との突き合せ溶接部位である
柱用開先15を設け、各開先13,15を含めた断面形状を6
角形としたスチフナーリング4を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中低層鉄骨構造物
の柱に梁やガセットプレートを接合する際、この接合部
位を剪断補強する目的で柱に設ける外ダイヤフラムを構
成するスチフナーリングに関する。
【0002】
【従来の技術】鉄骨構造物の柱に梁やガセットプレート
を接合する際、この接合部位を剪断補強する目的でこの
柱に各種スチフナーを用いる。梁について従来を見てみ
ると、梁の高さ毎に切断した柱間に鋼鈑製ダイヤフラム
プレートを介装し、柱外面から突出する前記ダイヤフラ
ムプレートの外周を外ダイヤフラムとして、梁端をこの
外ダイヤフラムに溶接する構成が一般的である。このよ
うな柱と梁又はガセットプレートの接合形態は、施工の
手間が嵩み、不便であるので、いくつかの改善案が既に
提案されている。
【0003】代表的な例として、特許第2754097号「鉄骨
構造体の仕口およびその製作法」を例示できる。これ
は、丸型鋼管からなる柱に限ってではあるが、この柱よ
り少し外形の大きい円形リング板(スチフナーリング)を
柱に嵌めて、このスチフナーリングに梁を溶接する技術
である。梁端部のフランジは直線であることから、前記
スチフナーリングの外周には対応する直線状のフランジ
取付部を形成してあり、梁端部のフランジに開先を設け
て突き合せ溶接する。スチフナーリング自体は柱に対し
て隅肉溶接している。スチフナーリングは、鍛造又は切
削加工による鋼製である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】中低層鉄骨構造物、例
えば4階建以下の比較的低い鉄骨構造物では、柱の規格
が小さく、施工期間の短縮や施工時の手間の軽減等の低
コスト化が要求される。この観点から、旧来の柱を切断
して外ダイヤフラムを形成する技術では、規格の小さい
柱の複数回にわたる切断及び溶接が施工期間の長期化を
招き、コスト低減に反することになる。また、複数に分
割した柱を直線性よく再び接合し直す施工は、技術的に
難しく、施工を非能率化する問題がある。このことか
ら、柱を切断せずにスチフナーリングを嵌めて外ダイヤ
フラムを形成する技術が好ましい。
【0005】特許第2754097号では、対象となる柱を丸
型鋼管に限り、柱よりも少々大きい内径のスチフナーリ
ングを用いている。対象を丸型鋼管からなる柱に限定し
た理由は定かではないが、明細書中に「不動に支持され
た溶接手段に対して鋼管材及び外ダイヤフラムを一緒に
回転させながら、或いは不動に支持された鋼管材及び外
ダイヤフラムの周りで溶接手段を回転させながら、隅肉
溶接を行うことができるから、前記隅肉溶接を自動溶接
装置を用いて行うことが可能であり、鋼管柱の製作を能
率的に行うことができる」([0012])とあり、施工の能率
化を図ったものと思われる。しかし、この技術で用いら
れている隅肉溶接には次のような問題がある。
【0006】鉄骨構造物に用いる柱は、鋼製板材をロー
ル加工し、突き合わせ縁を溶接した管材である。このよ
うに板材を加工、溶接するため、柱外面は必ずしも平坦
にならず、溶接部位の肉盛がスチフナーリングの柱外面
への密着を阻害する。当然、対するスチフナーリングに
も製造誤差が生ずるので、必ずスチフナーリングの内径
は、柱の最外径よりわずかに大きくする必要がある。ス
チフナーリングの内径を柱の最外径よりわずかに大きく
することについて、確かに上記技術では触れられている
が、隅肉溶接は柱外面とスチフナーリング内周面との隙
間が大きくなるに従って、接合強度を低下させてしま
う。スチフナーリングには、梁からの力が加わるので、
接合強度の低下は安全上問題である。とりわけ、柱の規
格が小さくなる中低層鉄骨構造物、例えば4階建以下の
比較的低い鉄骨構造物においては、柱に比例してスチフ
ナーリングが小さくなり、前記隅肉溶接による接合強度
の低下の影響は相対的に大きくなる。
【0007】このほか、特許第2754097号では、スチフ
ナーリングからなる外ダイヤフラムと梁との接合を、ス
チフナーリングの外周面に、開先を設けた梁のフランジ
を当接させて突き合わせ溶接しているが、これではスチ
フナーリングを固着する柱側の加工のほか、梁について
も別途加工が必要となり、施工の手間が軽減されない問
題がある。そこで、外ダイヤフラムの形成手段としてス
チフナーリングを用いることを前提として、より安全性
が高く、施工能率を向上させることができる中低層鉄骨
構造物に適したスチフナーリングについて検討した。
【0008】
【課題を解決するための手段】検討の結果開発したもの
が、中低層鉄骨構造物の柱に梁やガセットプレートを接
合する際、この接合部位を剪断補強する目的でこの柱に
嵌めて外ダイヤフラムを構成するスチフナーリングにお
いて、柱外面から若干の隙間を有する大きさの鋳造又は
鍛造製環体に対し、(1)外周面と上面又は下面いずれか
との間に梁のフランジとの突き合わせ溶接部位である梁
用開先を設け、内周面と梁用開先に対応する上面又は下
面いずれかとの間に柱との突き合せ溶接部位である柱用
開先を設け、各開先を含めた断面形状を6角形としたス
チフナーリング、及び(2)外周面と上面及び下面との間
に梁のフランジとの突き合わせ溶接部位である梁用開先
を設け、内周面と上面及び下面との間に柱との突き合せ
溶接部位である柱用開先を設け、各開先を含めた断面形
状を8角形としたスチフナーリングである。本発明のス
チフナーリングは、スチフナーリングに伝わる力が完全
に柱へと伝わるように、柱との力の伝達線において、柱
に対する内周面側と梁のフランジに対する外周面側双方
に、突き合わせ溶接を用いることを特徴としている。
【0009】(1)断面形状が6角形のスチフナーリング
は、外周面に梁用開先を1個所、内周面の前記梁用開先
が対応する位置に柱用開先を1個所設けたもの(基礎と
なる断面形状が方形で4面あり、開先2面を設けるので
6角形)で、開先を設けていない内周面と上面又は下面
との間は、隅肉溶接部位とすることができる。主とし
て、梁のフランジがスチフナーリングの上面又は下面の
いずれかと略面一で接合する場合に用いる。(2)断面形
状が8角形のスチフナーリングは、外周面に梁用開先を
2個所、内周面にも柱用開先を2個所設けたもの(基礎
となる断面形状が方形で4面あり、開先4面を設けるの
で8角形)で、すべて突き合わせ溶接部位となる。主と
して、梁のフランジがスチフナーリングの外周面の略中
央に接合する場合に用いる。このように、本発明のスチ
フナーリングは断面形状が複雑になるが、鋳造又は鍛造
製環体とすると、製造が容易となる。このほか、切削加
工による環体であってもよい。
【0010】本発明のスチフナーリングは、柱及び梁の
フランジ双方に対して突き合わせ溶接部位となる開先を
形成し、柱及び梁に突き合わせ溶接で接合する。突き合
わせ溶接は、柱とスチフナーリング内周面との隙間が数
mmあっても隅肉溶接のように接合強度を低下させること
はなく、むしろ隙間が溶け込みを良好にし、十分な接合
強度の確保に寄与する。これにより、柱外面の不陸を考
慮した内径、すなわち柱外面から若干の隙間を有する大
きさのスチフナーリングを作ることができる。また、梁
用開先を設けたことにより、従来設けていた梁又はガセ
ットプレートの開先を不要としながら、スチフナーリン
グと梁又はガセットプレートとの突き合わせ溶接を可能
にする。
【0011】本発明のスチフナーリングにおける断面形
状(6角形又は8角形)は、3次元立体の応力解析の結果
特定したものである。スチフナーリングの目的は、梁に
よる引っ張り、圧縮に対して柱外面の変形(膨らみ、凹
み)を抑制することにある。このため、スチフナーリン
グにσx、σy及びσzが同時に作用する場面を想定し、
合成応力であるσmax、そしてτmaxが共に許容範囲に収
まるように設計しなければならない。一般に、スチフナ
ーリングは柱外面と一体化するため、梁のフランジを接
合する外周面よりも柱に接合する内周面における応力度
が小さくなる。これから、外周面から内周面に向けて絞
り込んだ断面形状(台形状)のスチフナーリングを用い、
柱と内周面との溶接部位を1個所(例えば、上下面の中
央にあたる内周面)に限ることで、作業効率を向上させ
ることが考えられる。しかし、前記のような断面台形状
のスチフナーリングでは、内周面から半径方向一定の範
囲で応力超過が生じる虞れがある。
【0012】例として、柱を300×300×16mmの角型鋼
管、梁を400×200×8×13mmのH型鋼とした場合を考え
る。フランジ厚は13mmであるから、柱に接合する内周面
を13mm厚に抑え、フランジを接合する外周面を大きくす
ることが考えられる。今、外周面の厚さを60mm、幅を50
mmとすれば、内周面から半径方向に10mm移動した断面の
厚さは22.4mmとなり、この断面における単位面積当たり
の応力σmaxは378.508×60/22.4×60/22.4=2715kg/cm2
(後掲表6節点(11)参照)となって、許容値である1600kg
/cm2(鉄)を大きく超えることになる。また、τmax=212
3kg/cm2となり、同様に許容値である900kg/cm2を大きく
上回ってしまう。このように、作業の効率化のために内
周面を絞り込むのは得策ではなく、本発明はこうした問
題を鑑みて、柱に嵌め、溶接した状態でのスチフナーリ
ングの断面における厚み及び形状を決定しているのであ
る。
【0013】本発明のスチフナーリングは、柱外面から
若干の隙間を有する大きさの環体であり、通常は柱の一
端から嵌めて所定位置に接合する。ここで、柱に対する
接合作業を効率化するために、前記環体を分割して一対
の略半割枠とし、各半割枠それぞれを柱に嵌めた状態で
突き合わせ端を接合して一体の環体として柱に嵌めるス
チフナーリングにするとよい。略半割枠は様々な形状が
考えられるが、例えば略四角形状の環体からなるスチフ
ナーリングの場合、いずれかの辺の中点で分割し、略コ
の字形状の半割枠とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図を参照しながら説明する。図1は本発明を適用し
て梁1及びガセットプレート2を柱3に接合した中低層
鉄骨構造物の一部を表した正面図(説明の便宜上、図中
溶接痕は省略)、図2は図1中A部(上段の梁1の接合部
位)を拡大し、一部破断して示した斜視図(説明の便宜
上、図中溶接痕は省略している)、図3〜図5は図2中
B部(上段のスチフナーリング4)拡大相当断面図であ
り、図3は本発明における最も基本的なスチフナーリン
グの場合、図4は梁の規格が小さい場合、図5は梁の規
格が大きい場合をそれぞれ表している。各例は、角形鋼
管からなる柱3に対し、柱外面5に相似な略四角形状の
環体からなる鋳造製スチフナーリング4である。
【0015】本発明のスチフナーリング4は、図1に見
られるように、柱3の所定位置に嵌めて接合し、外ダイ
ヤフラム8を構成する。梁1は、スチフナーリング4が
柱外面5に構成した外ダイヤフラム8に接合する(図3
参照)。梁1のウェブ20は、図1中上段の梁1の接合の
ように、直接柱に隅肉溶接するか、外ダイヤフラム8間
で柱3から突設したに補助プレート9に隅肉溶接又はボ
ルト止めする。本例のスチフナーリング4は、図2及び
図3に見れるように、角形鋼管からなる柱3に相似な略
四角形状の環体で断面形状は6角形、外周面10と上面11
との間に梁用開先13を設けて梁1のフランジ12とは突き
合わせ溶接17し、内周面7と上面11との間に柱用開先15
を設けて同じく柱外面5と突き合わせ溶接17して、内周
面7と下面14との間は隅肉溶接18している。ここで、前
記隅肉溶接18は補助的なものであり、柱3に対するスチ
フナーリング4の接合強度は、柱用開先15における突き
合わせ溶接17に負い、隅肉溶接18は梁1から柱3へ伝わ
る力の分散に役立つ。
【0016】図3例示のスチフナーリングを基本とし、
例えば梁3の規格が十分に小さければ突き合わせ溶接17
だけで十分な接合強度を確保できるので、図4に見られ
るように、内周面7と下面14との間における隅肉溶接を
省略できる。逆に梁3の規格が大きくなって、フランジ
12厚が大きくなる場合、スチフナーリング4と梁1及び
柱3との接合強度を高めるため、図5に見られるよう
に、外周面10と上面11及び下面14との間に梁用開先13,1
3を設けて梁1のフランジ12中心線を外周面10の略中央
と合わせるように突き合わせ溶接17,17し、内周面7と
上面11及び下面14との間に柱用開先15を設けて柱外面5
と突き合わせ溶接17,17する。図5の例では、スチフナ
ーリングの断面は8角形となる。
【0017】本発明は、4階建以下の比較的低い鉄骨構
造物に用いる規格の小さな角形鋼管からなる柱3(100mm
角〜350mm角)に、相似な略四角形状の環体のスチフナー
リング4とする場合が好適である。こうした比較的低い
鉄骨構造物では、外ダイヤフラム8の幅が大きくなり過
ぎると、柱の際を竪管が通る時邪魔になって不適当とな
る。理想的には、外ダイヤフラム8の幅が5cm程度前後
迄となるのが好ましい。これから、本発明の略四角形状
の環体スチフナーリング4は、断面において幅5cm×厚
み7cm程度を上限とし、柱3に対する開先15は5〜15m
m、梁1のフランジ12に対する開先13を6〜15mm、柱3
と内周面7との隙間Gを3mm程度とする。このような構
造のスチフナーリング4は、鍛造又は切削加工から製造
すると手間及びコストがかかるが、鋳造にすると簡易か
つ低コストに製造できる。
【0018】図6は略コの字形状の半割枠19,19を突き
合せて構成するスチフナーリング4の平面図である。本
発明のスチフナーリング4は、接合する柱3の一端から
嵌め、所定位置で接合する手順を基本とする。しかし、
図6に見られるように半割枠19,19をそれぞれ柱3に対
して嵌め、突き合わせ端を接合してスチフナーリング4
を構成すると、前記手順が簡略化される。
【0019】図7は丸型鋼管からなる柱16に対して円形
状の環体からなる鋳造製スチフナーリング4を嵌めた状
態の平面図である。本発明のスチフナーリング4を鋳造
にすると、図7に見られるような、内周面7のみ円環状
で、外周面10は正多角形状(本例は正8角形状)のスチフ
ナーリング4を容易に製造できる。
【0020】
【実施例】次に、本発明の有用性を検証するため、試験
モデルを数値解析し、スチフナーリングの断面形状の適
正さと剪断補強の程度とを調べることとした。試験モデ
ルは、図8に見られるような柱外面を模した平板(接点
(1)−(5)−(20)−(16))に、平板状のスチフナーリン
グ(接点(11)−(6)−(10)−(15))を突き合わせ溶接し
(梁のフランジの接合位置を接点(7)〜(8)〜(9)とす
る)、図8中接点(1)〜(20)における応力を数値計算し
てみた。パラメータは、対象となる柱の規格(試験モデ
ルでは柱外面を模した平板の幅及び厚み)であり、125mm
角、150mm角、175mm角、200mm角、250mm角、300mm角及
び350mm角の角型鋼管からなる柱に断面形状6角形のス
チフナーリング(図3参照)を用いる場合を想定してい
る。解析結果のうち、本発明に特に関係ある接点(6)〜
(15)についてを表1〜表7にまとめた。詳細な寸法値に
ついては、各表に附随して掲載した。
【0021】
【表1】柱:125×125×6.0mm(柱外面を模した平板の幅
125mm及び厚み6.0mm) スチフナーリング:幅25mm、厚み19mm、柱用開先5.0m
m、梁用開先6.0mm
【0022】
【表2】柱:150×150×9.0mm(柱外面を模した平板の幅
150mm及び厚み9.0mm) スチフナーリング:幅35mm、厚み25mm、柱用開先5.0m
m、梁用開先6.0mm
【0023】
【表3】柱:175×175×6.0mm(柱外面を模した平板の幅
175mm及び厚み6.0mm) スチフナーリング:幅38mm、厚み28mm、柱用開先8.0m
m、梁用開先7.0mm、内周面と下面との間は隅肉溶接
【0024】
【表4】柱:200×200×9.0mm(柱外面を模した平板の幅
200mm及び厚み9.0mm) スチフナーリング:幅38mm、厚み35mm、柱用開先10.0m
m、梁用開先7.0mm、内周面と下面との間は隅肉溶接
【0025】
【表5】柱:250×250×9.0mm(柱外面を模した平板の幅
250mm及び厚み9.0mm) スチフナーリング:幅38mm、厚み45mm、柱用開先10.0m
m、梁用開先7.0mm、内周面と下面との間は隅肉溶接
【0026】
【表6】柱:300×300×16.0mm(柱外面を模した平板の
幅300mm及び厚み16.0mm) スチフナーリング:幅50mm、厚み60mm、柱用開先11.0m
m、梁用開先12.0mm、内周面と下面との間は隅肉溶接
【0027】
【表7】柱:350×350×12.0mm(柱外面を模した平板の
幅350mm及び厚み12.0mm) スチフナーリング:幅50mm、厚み60mm、柱用開先10.0m
m、梁用開先9.0mm、内周面と下面との間は隅肉溶接
【0028】これらの解析結果を見る限り、本発明のス
チフナーリングを用いた外ダイヤフラムの剪断補強効果
は、特に4階建て以下の比較的低い鉄骨構造物に用いる
柱に対して有効であることが分かる。
【0029】
【発明の効果】本発明のスチフナーリングを用いること
により、柱を切断することなく梁又はガセットプレート
を接合する外ダイヤフラムの構築が可能となる。柱の切
断、再結合は、柱の中心線のずれや傾きを招くことにな
り、改善が望まれていた。本発明は、こうした問題を解
決し、従来よりも作業性がよく、比較的安価で製造可能
であり、高い接合強度を発揮する突き合わせ溶接を用い
た外ダイヤフラムの構築を実現できるスチフナーリング
を提供するのである。
【0030】柱に対するスチフナーリングの接合強度を
高めるのは、内周面と上面又は下面との間に設けた開先
を用いる突き合わせ溶接である。そして、梁又はガセッ
トプレートの接合を容易にするのは、外周面と上面又は
下面との間に設けた開先を用いる突き合わせ溶接であ
る。前記開先を予めスチフナーリングに設けていること
は、改めて梁に開先を設けずに済むので、作業性を改善
する効果も有している。加えて、断面形状を6角形又は
8角形としたスチフナーリングは、断面における応力分
布が滑らかとなり、力の伝達が安全である。
【0031】加えて、本発明のスチフナーリングを鋳造
又は鍛造製にすると、断面形状が多少複雑になったとし
ても、環体のスチフナーリングを一体に、そして簡易に
製造でき、上述の施工の容易性と併せて、製造コストか
ら施工コストに到る全体のコスト削減を可能にする。そ
して、既述したように、本発明のスチフナーリングは接
合強度を高めているので、前記低コスト化と相俟って、
高い費用対効果を達成するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して梁及びガセットプレートを柱
に接合した中低層鉄骨構造物の一部を表した正面図であ
る。
【図2】図1中A部を拡大し、一部破断して示した斜視
図である。
【図3】図2中B部を拡大した断面図である。
【図4】別例のスチフナーリングにおける図3相当断面
図である。
【図5】別例のスチフナーリングにおける図3相当断面
図である。
【図6】図1中A部における平面図である。
【図7】丸型鋼管からなる柱に対して用いる円環体のス
チフナーリングの平面図である。
【図8】試験モデルを表した斜視図である。
【符号の説明】
1 梁 3 角型鋼管からなる柱 4 スチフナーリング 5 柱外面 7 内周面 10 外周面 11 上面 12 フランジ 13 梁用開先 14 下面 15 柱用開先 17 突き合わせ溶接 18 隅肉溶接 19 半割枠 G 柱外面と内周面との隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−117049(JP,A) 特開 平8−132232(JP,A) 特開 平8−132275(JP,A) 特開 平9−4051(JP,A) 特開 平9−19768(JP,A) 特開 平9−119169(JP,A) 特開 平11−43997(JP,A) 特開 平11−200489(JP,A) 実開 昭53−129116(JP,U) 特許2754097(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/24 E04B 1/58 508

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中低層鉄骨構造物の柱に梁やガセットプ
    レートを接合する際、該接合部位を剪断補強する目的で
    該柱に嵌めて外ダイヤフラムを構成するスチフナーリン
    グにおいて、柱外面から若干の隙間を有する大きさの鋳
    造又は鍛造製環体に対し、外周面と上面又は下面いずれ
    かとの間に梁のフランジとの突き合わせ溶接部位である
    梁用開先を設け、内周面と梁用開先に対応する上面又は
    下面いずれかとの間に柱との突き合せ溶接部位である柱
    用開先を設け、各開先を含めた断面形状を6角形とした
    ことを特徴とするスチフナーリング。
  2. 【請求項2】 中低層鉄骨構造物の柱に梁やガセットプ
    レートを接合する際、該接合部位を剪断補強する目的で
    該柱に嵌めて外ダイヤフラムを構成するスチフナーリン
    グにおいて、柱外面から若干の隙間を有する大きさの鋳
    造又は鍛造製環体に対し、外周面と上面及び下面との間
    に梁のフランジとの突き合わせ溶接部位である梁用開先
    を設け、内周面と上面及び下面との間に柱との突き合せ
    溶接部位である柱用開先を設け、各開先を含めた断面形
    状を8角形としたことを特徴とするスチフナーリング。
  3. 【請求項3】 環体を分割して一対の略半割枠とし、各
    半割枠それぞれを柱に嵌めた状態で突き合わせ端を接合
    して一体の環体として柱に嵌める請求項1又は2記載の
    スチフナーリング。
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