JP2023149855A - 補強板、及び、補強板接合構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】補強板を配置する部位において鋼管内径が補強板の幅よりも小さい場合であっても適切に溶接する。【解決手段】四角形の断面形状を有する角形鋼管の内部に挿入され、その外周端部が角形鋼管の内面に溶接される四辺を有する板状の補強板であって、補強板の前記四辺のうち互いに反対側となる少なくとも一対の二辺には、いずれか一方の板面側に開口部を有する開先が設けられており、一対の二辺における反対側に配置される開先では、開口部が互いに反対側の板面側に設けられている。【選択図】図8
Description
本開示は、補強板及び補強板接合構造体に関する。
鉄骨造建築物における柱梁接合部は、梁から受ける曲げモーメントを柱に伝達させるために、梁フランジの板厚よりも1~2ランク厚い、内ダイアフラムと呼ばれる補強板を柱梁接合構造体に設けることが多い。特に、鋼管柱1に接合される複数の梁4、5の梁せいが異なるような場合には、図1に示すように、梁せいが大きい梁4の梁フランジ4aの配置高さには通しダイアフラム6と呼ばれる補強板が接合され、梁せいが小さい梁5の片方の梁フランジ5aの配置高さの鋼管柱1の内側に内ダイアフラム2が接合されることがある。このとき、2つの通しダイアフラム6は短尺の鋼管(「サイコロ」と呼ばれることがある。)3の両端のそれぞれに接合され、内ダイアフラム2はサイコロ3の内側に配置されている。
特許文献1には、通しダイアフラムと内ダイアフラムを有する段違い形式の柱梁接合構造体において、鋼管内に溶接する内ダイアフラムを、柱梁接合構造体に接合されている梁せいの低い梁フランジの位置からずらして設けることを特徴とした段違い形式の柱梁接合構造体が開示されている。これによれば、通しダイアフラムの溶接部の裏当て金と、内ダイアフラムの溶接部の裏当て金との距離を広く確保でき、裏当て金同士の干渉を防ぐことができるとしている。
このような内ダイアフラム2を具備する構造体では、図2に示したようにサイコロ3の内側に内ダイアフラム2を配置した後に、内ダイアフラム2の外周部とサイコロ3の内面とが溶接接合される。
内ダイアフラム2をサイコロ3の内側に配置するためには、内ダイアフラム2の外周形状をサイコロ3の内周形状に対して小さく加工する必要がある。サイコロ3と内ダイアフラム2の溶接をレ形開先の完全溶込み溶接によって行う場合は、一般的に内ダイアフラム3の端面とサイコロの内面との間に7mm~9mm程度の隙間(=ルートギャップ)を設けるため、図3に示したようにサイコロ3の開口部の内径をd(mm)とすると、内ダイアフラム2の幅はd-18(mm)以上d-14(mm)以下程度となるように加工される。
内ダイアフラム2をサイコロ3の内側に配置するためには、内ダイアフラム2の外周形状をサイコロ3の内周形状に対して小さく加工する必要がある。サイコロ3と内ダイアフラム2の溶接をレ形開先の完全溶込み溶接によって行う場合は、一般的に内ダイアフラム3の端面とサイコロの内面との間に7mm~9mm程度の隙間(=ルートギャップ)を設けるため、図3に示したようにサイコロ3の開口部の内径をd(mm)とすると、内ダイアフラム2の幅はd-18(mm)以上d-14(mm)以下程度となるように加工される。
ここで、サイコロ3には冷間成形角形鋼管が多く用いられるが、冷間成形に限らず角形鋼管は鋼管軸方向に対して完全に真っ直ぐではなく、図4に示すように鋼管断面の内側への凹みが生じている場合がある。文献(日本建築センター、冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル 第1版、2018.2)によれば、角形鋼管の平板部の凹みは、鋼管径(mm)の0.5%以下かつ3.0mm以下となるように管理されている。すなわち、内ダイアフラム2の取り付け高さ位置におけるサイコロ3の内径d(mm)が、サイコロ3の開口部の内径よりも最大で6mm小さい場合がある。この場合であっても上記したように、内ダイアフラム2の幅はサイコロ3の開口部の内径に比べて14mm~18mm程度小さくなるよう加工されているため、たとえサイコロ3の内側が規定範囲内で最も凹んでいたとしても、内ダイアフラム2はサイコロ3の内側に水平に配置することができる。従って、内ダイアフラム2をサイコロ3の内側に完全溶込み溶接によって接合する場合には、内ダイアフラム2をサイコロ3の内側に配置することは比較的容易である。
一方で、完全溶け込み溶接は裏当て金を要するため施工に手間がかかることもあり、内ダイアフラムを角形鋼管の内側に溶接するときに、部分溶込み溶接又はK形開先の完全溶込み溶接によって内ダイアフラムを接合したいことがある。この場合、上記したレ形開先の完全溶込み溶接とは異なり裏当て金を要しない利点があるが、内ダイアフラムとサイコロの内面との隙間(=ルートギャップ)を3mm以下になるよう管理する必要がある(日本建築学会:建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事 第11版、2018.1)。
そうすると、サイコロ3の開口部の内径をd(mm)とすると、内ダイアフラム2の幅は、d-6(mm)以上d(mm)以下程度となるように加工される必要がある。ここで、上述したように、サイコロ3の内面は鋼管軸方向に対して完全に真っ直ぐではなく、内ダイアフラム2の取り付け高さ位置におけるサイコロ3の内径が開口部の内径に比べ最大で6mm小さい場合がある。これはサイコロ3の内径が内ダイアフラム2の幅よりも小さくなる場合もあることを意味する。そのような場合には、内ダイアフラム2がサイコロ3の内部で引っかかりを生じて大きく傾いてしまう。このときには一度内ダイアフラム2をサイコロ3から取り出し、内ダイアフラム2の幅を調整して再度サイコロ3の内側に入れる手間が生じる。従って、内ダイアフラム2を部分溶込み溶接、K形開先の完全溶込み溶接によって接合する場合には、内ダイアフラムをサイコロ内へ配置することが非常に困難であるという問題があった。
そこで本開示は、補強板を配置する部位において鋼管内径が補強板の幅よりも小さい場合であっても適切に溶接することができる補強板を提供することを目的とする。また、この補強板を用いた構造体を提供する。
本願は、四角形の断面形状を有する角形鋼管の内部に挿入され、その外周端部が角形鋼管の内面に溶接される四辺を有する板状の補強板であって、補強板の四辺のうち互いに反対側となる少なくとも一対の二辺には、いずれか一方の板面側に開口部を有するレ形開先が設けられており、一対の二辺における反対側に配置されるレ形開先では、開口部が互いに反対側の板面側に設けられている、補強板を開示する。
また、本願は、四角形の断面形状を有する角形鋼管、角形鋼管の内部に配置された上記補強板、及び、角形鋼管の内面と補強板とを接合するようにレ形開先に設けられた溶接部と、を備える、補強板接合構造体を開示する。
また、本願は、四角形の断面形状を有する角形鋼管の内部に挿入され、その外周端部が角形鋼管の内面に溶接される四辺を有する板状の補強板であって、補強板の四辺のうち互いに反対側となる少なくとも一対の二辺には、両方の板面側のそれぞれに開口部を有するとともに、一方の開口部の幅の方が、他方の開口部の幅よりも大きいK形開先が設けられており、一対の二辺における反対側に配置されるK形開先では、幅が大きい開口部が互いに反対側の板面側に設けられている、補強板を開示する。
また、本願は、四角形の断面形状を有する角形鋼管、角形鋼管の内部に配置された上記補強板、及び、角形鋼管の内面と補強板とを接合するようにK形開先に設けられた溶接部と、を備える、補強板接合構造体を開示する。
本開示によれば、補強板を配置する部位において鋼管内径が補強板の幅よりも小さい場合であっても適切に溶接することができる。
1.補強板構造体
1.1.部分溶込み溶接
図5、図6は1つの形態例にかかる補強板接合構造体10の外観を模式的に表した斜視図である。図6は補強板接合構造体10のサイコロ11の管軸に沿った方向の断面図である。
1.1.部分溶込み溶接
図5、図6は1つの形態例にかかる補強板接合構造体10の外観を模式的に表した斜視図である。図6は補強板接合構造体10のサイコロ11の管軸に沿った方向の断面図である。
図5、図6よりわかるように、補強板接合構造体10は、角形鋼管であるサイコロ11、及び、補強板である内ダイアフラム12を有して構成されている。本形態で補強板接合構造体10は部分溶込み溶接部13を有している。すなわち、補強板接合構造体10では、サイコロ11の内側に補強板である内ダイアフラム12が配置されるとともに、サイコロ11の内面と内ダイアフラム12との外周端部とは部分溶込み溶接により接合されている。部分溶込み溶接であることは裏当て金が具備されていないことにより認識することができる。
1.1.1.サイコロ
サイコロ11は四角形の断面形状を有する角形鋼管の1つの態様であり公知の通りである。サイコロ11を含め、本形態の角形鋼管は上記図4を示して説明したように、その内径が小さくなるように内側への凹みが生じることが許容されている。ただし、許容される範囲は、上記の通り鋼管径(mm)の0.5%以下かつ3.0mm以下とされる。
サイコロ11は四角形の断面形状を有する角形鋼管の1つの態様であり公知の通りである。サイコロ11を含め、本形態の角形鋼管は上記図4を示して説明したように、その内径が小さくなるように内側への凹みが生じることが許容されている。ただし、許容される範囲は、上記の通り鋼管径(mm)の0.5%以下かつ3.0mm以下とされる。
1.1.2.内ダイアフラム
内ダイアフラム12はサイコロ11の内側に配置される補強板として機能する四辺を有する板状の部材であり、表裏を構成する2つの板面(板厚方向に直交する面)12aを具備する。図7、図8に説明のための図を示した。図7は内ダイアフラム12の平面図、図8は図7のA-A断面図である。図7からわかるように、平面視でその四隅に切り欠き12bが設けられている。これによりサイコロ11の内面における入隅部と干渉による内ダイアフラム12の配置の不具合を解消している。
内ダイアフラム12はサイコロ11の内側に配置される補強板として機能する四辺を有する板状の部材であり、表裏を構成する2つの板面(板厚方向に直交する面)12aを具備する。図7、図8に説明のための図を示した。図7は内ダイアフラム12の平面図、図8は図7のA-A断面図である。図7からわかるように、平面視でその四隅に切り欠き12bが設けられている。これによりサイコロ11の内面における入隅部と干渉による内ダイアフラム12の配置の不具合を解消している。
また、内ダイアフラム12は上記のようにサイコロ11の内側に部分溶込み溶接により接合されているため、その四辺に部分溶込み溶接のための開先12cを具備している。図9には開先12cの部位に注目して拡大した図を表した。
図9からわかるように本形態ではレ形開先を具備している。すなわち、開先12cが内ダイアフラム12の一方の板面12a側のみに設けられ、一方の板面12a側に開口部12dを具備している。
開先の形態は特に限定されることはなく開先角度も公知の通りである。ルート面の長さfも時に限定されることはなくルート面の長さfが0(mm)であってよい。
図9からわかるように本形態ではレ形開先を具備している。すなわち、開先12cが内ダイアフラム12の一方の板面12a側のみに設けられ、一方の板面12a側に開口部12dを具備している。
開先の形態は特に限定されることはなく開先角度も公知の通りである。ルート面の長さfも時に限定されることはなくルート面の長さfが0(mm)であってよい。
本形態の内ダイアフラム12では、四辺のうち反対側となる辺に設けられる開先12c同士で、開口部12dが配置される板面12aが反対となるように構成されている。これにより、内ダイアフラム12を配置する部位においてサイコロ11の内径が内ダイアフラム12の幅よりも小さい場合であっても適切に溶接することができる。理由については後で説明する。
1.2.完全溶込み溶接
完全溶込み溶接のうち裏当て金を要しない開先に対しても本開示の内ダイアフラムを用いることができる。図10に説明のための図を示した。図10は図9と同じ視点による図であり、補強板として機能する内ダイアフラム20の形態を説明する図である。内ダイアフラム20は開先の形状以外は内ダイアフラム12と同様に考えることができるので、ここでは開先の形状について説明する。
完全溶込み溶接のうち裏当て金を要しない開先に対しても本開示の内ダイアフラムを用いることができる。図10に説明のための図を示した。図10は図9と同じ視点による図であり、補強板として機能する内ダイアフラム20の形態を説明する図である。内ダイアフラム20は開先の形状以外は内ダイアフラム12と同様に考えることができるので、ここでは開先の形状について説明する。
図10からわかるように本形態はK形開先を具備している。すなわち、一方の板面12a側に開先20a、他方の板面12a側に開先20bを有している。本形態では、開先20aは板面12a側に開口部20ab、開先20bは板面12a側に開口部bbを具備しており、開口部20abの幅L1が開口部20bbの幅L2より大きくなるように構成されている。
開先角度及びルート面の長さは特に限定されることはなく適宜必要な大きさとすることができる。ルート面の長さfは0(mm)であってよい。
開先角度及びルート面の長さは特に限定されることはなく適宜必要な大きさとすることができる。ルート面の長さfは0(mm)であってよい。
本形態の内ダイアフラム20では、四辺のうち反対側となる辺に設けられる開先同士で、開口部20abが配置される板面12aが反対となるとともに、開口20bbが配置される板面12aが反対となるように構成されている。これにより、内ダイアフラム20を配置する部位においてサイコロ11の内径が内ダイアフラム20の幅よりも小さい場合であっても適切に溶接することができる。理由については後で説明する。
2.効果等
図11に示したように、内ダイアフラムを配置する位置の内径が小さくなったサイコロに対して、従来の開先形状を有するとともに、狭くなったサイコロの内径よりも大きい幅の内ダイアフラムを配置しようすれば、θの角度を有して傾いた姿勢となる。このような傾いた姿勢であっても傾きθが非常に小さければ、施工上は問題ないとされる。例えば文献(日本建築学会、建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事 第11版、2018.1)では、レ形開先の溶接継手の場合、その管理許容角度は2.5°(限界許容角度は5°)とされている。すなわち、内ダイアフラムが配置される位置において、サイコロの内径が内ダイアフラムの幅よりも小さく、図11のように傾いた場合であっても、その傾きが施工管理上許容される角度に収まっていれば、そのまま内ダイアフラムを溶接接合することができる。ただし、この角度は可能な限り小さいことが好ましい。
図11に示したように、内ダイアフラムを配置する位置の内径が小さくなったサイコロに対して、従来の開先形状を有するとともに、狭くなったサイコロの内径よりも大きい幅の内ダイアフラムを配置しようすれば、θの角度を有して傾いた姿勢となる。このような傾いた姿勢であっても傾きθが非常に小さければ、施工上は問題ないとされる。例えば文献(日本建築学会、建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事 第11版、2018.1)では、レ形開先の溶接継手の場合、その管理許容角度は2.5°(限界許容角度は5°)とされている。すなわち、内ダイアフラムが配置される位置において、サイコロの内径が内ダイアフラムの幅よりも小さく、図11のように傾いた場合であっても、その傾きが施工管理上許容される角度に収まっていれば、そのまま内ダイアフラムを溶接接合することができる。ただし、この角度は可能な限り小さいことが好ましい。
図11に示したように、両側の開先とも内ダイアフラムの一方の面側に設けられている場合、どうしてもθが大きくなってしまう。
一方、図12に示したように上記した内ダイアフラム12によれば、反対側に配置される2つの開先12cで、開口部12dが反対側の板面12aに設けられていることから、同じ幅を有する内ダイアフラムであっても、サイコロ11の内側で内ダイアフラム12がサイコロ11の内面に接触した場合における内ダイアフラム12の傾きθを従来よりも小さくすることができる。
一方、図12に示したように上記した内ダイアフラム12によれば、反対側に配置される2つの開先12cで、開口部12dが反対側の板面12aに設けられていることから、同じ幅を有する内ダイアフラムであっても、サイコロ11の内側で内ダイアフラム12がサイコロ11の内面に接触した場合における内ダイアフラム12の傾きθを従来よりも小さくすることができる。
従って、内ダイアフラム12(補強板)を配置する部位において、サイコロ11(角形鋼管)の内径が内ダイアフラム12の幅よりも小さい場合であっても適切に溶接することができる場面を増やすことが可能となる。このことは、内ダイアフラム20についても同様である。
また、内ダイアフラム12のサイコロ11の内側への配置が容易となることにより、部分溶込み溶接やK形開先の完全溶込み溶接等のように裏当て金を必要としない溶接方法を、内ダイアフラムの接合に適用しやすくなる。
また、内ダイアフラム12のサイコロ11の内側への配置が容易となることにより、部分溶込み溶接やK形開先の完全溶込み溶接等のように裏当て金を必要としない溶接方法を、内ダイアフラムの接合に適用しやすくなる。
3.実施例
本開示の内ダイアフラム(補強板)の有益性を示すために、図13~図15に示す3種類の断面形状を有する内ダイアフラムを対象に、数値計算による比較検討を行った。図13に示した比較例1は開先がない内ダイアフラムの例、図14に示した比較例2は従来のレ形開先であり同じ板面側に開口部を有する内ダイアフラムとした。そして、図15に示した実施例は図8に示したレ形開先を有する場合の内ダイアフラム12の例に倣った内ダイアフラムである。ここで、図13~図15に示すように、内ダイアフラムの幅をBd(mm)、内ダイアフラムの板厚をtd(mm)、サイコロの内径をD(mm)、内ダイアフラムの開先角度をα(°)、内ダイアフラムの開先のルート面の大きさをf(mm)、内ダイアフラムの傾きをθ(°)(ただしθ≦αとする。)、サイコロの内面と内ダイアフラムとの隙間をx(mm)とすると、各例における隙間xは幾何学的に求めることができ、比較例1は式(1)、比較例2は式(2)、実施例1は式(3)から得られる。
x=D-Bd・cosθ-td・sinθ …(1)
x=D-Bd・cosθ-f・sinθ …(2)
x=D-Bd・cosθ+(td-2・f)・sinθ …(3)
本開示の内ダイアフラム(補強板)の有益性を示すために、図13~図15に示す3種類の断面形状を有する内ダイアフラムを対象に、数値計算による比較検討を行った。図13に示した比較例1は開先がない内ダイアフラムの例、図14に示した比較例2は従来のレ形開先であり同じ板面側に開口部を有する内ダイアフラムとした。そして、図15に示した実施例は図8に示したレ形開先を有する場合の内ダイアフラム12の例に倣った内ダイアフラムである。ここで、図13~図15に示すように、内ダイアフラムの幅をBd(mm)、内ダイアフラムの板厚をtd(mm)、サイコロの内径をD(mm)、内ダイアフラムの開先角度をα(°)、内ダイアフラムの開先のルート面の大きさをf(mm)、内ダイアフラムの傾きをθ(°)(ただしθ≦αとする。)、サイコロの内面と内ダイアフラムとの隙間をx(mm)とすると、各例における隙間xは幾何学的に求めることができ、比較例1は式(1)、比較例2は式(2)、実施例1は式(3)から得られる。
x=D-Bd・cosθ-td・sinθ …(1)
x=D-Bd・cosθ-f・sinθ …(2)
x=D-Bd・cosθ+(td-2・f)・sinθ …(3)
サイコロの内径Dが内ダイアフラムの幅Bdよりも小さい場合を想定し、D=Bd-1(mm)とおくと、式(1)~式(3)より、各例における隙間xはそれぞれ式(4)~式(6)で表される。
x=Bd・(1-cosθ)-td・sinθ-1 …(4)
x=Bd・(1-cosθ)-f・sinθ-1 …(5)
x=Bd・(1-cosθ)+(td-2・f)・sinθ-1 …(6)
x=Bd・(1-cosθ)-td・sinθ-1 …(4)
x=Bd・(1-cosθ)-f・sinθ-1 …(5)
x=Bd・(1-cosθ)+(td-2・f)・sinθ-1 …(6)
以上で示した式(4)~式(6)を用いて、表1に示す4つのケースについて数値計算を行った。
xとθの関係を表した結果を図16~図19に示した。図16はケース1、図17はケース2、図18はケース3、及び、図19はケース4である。なお、各ケースにおけるルート面の大きさfは2mmとした。図16~図19では、横軸に内ダイアフラムの傾きθ、縦軸に内ダイアフラムとサイコロとの隙間xを表している。隙間xが0以下である場合には接触していることになる。また、各図に示した〇印は各例における隙間xが0となる時の内ダイアフラムの傾きθを表しており、黒の破線は上記文献で示されている管理許容角度(2.5°)を表している。すなわち、各グラフにおいて、〇印がこの破線よりも左側に位置していれば、内ダイアフラムの施工条件は満たされることを意味する。図16~図19からわかるように、全てのケースにおいて実施例1のみが条件を満足していることがわかる。
10 補強板接合構造体
11 角形鋼管柱(サイコロ)
12、20 補強板(内ダイアフラム)
13 溶接部
11 角形鋼管柱(サイコロ)
12、20 補強板(内ダイアフラム)
13 溶接部
Claims (4)
- 四角形の断面形状を有する角形鋼管の内部に挿入され、その外周端部が前記角形鋼管の内面に溶接される四辺を有する板状の補強板であって、
前記補強板の前記四辺のうち互いに反対側となる少なくとも一対の二辺には、いずれか一方の板面側に開口部を有するレ形開先が設けられており、
前記一対の二辺における反対側に配置される前記レ形開先では、前記開口部が互いに反対側の前記板面側に設けられている、
補強板。 - 四角形の断面形状を有する角形鋼管、
前記角形鋼管の内部に配置された請求項1に記載の補強板、及び、
前記角形鋼管の内面と前記補強板とを接合するように前記レ形開先に設けられた溶接部と、を備える、
補強板接合構造体。 - 四角形の断面形状を有する角形鋼管の内部に挿入され、その外周端部が前記角形鋼管の内面に溶接される四辺を有する板状の補強板であって、
前記補強板の前記四辺のうち互いに反対側となる少なくとも一対の二辺には、両方の板面側のそれぞれに開口部を有するとともに、一方の前記開口部の幅の方が、他方の前記開口部の幅よりも大きいK形開先が設けられており、
前記一対の二辺における反対側に配置される前記K形開先では、前記幅が大きい前記開口部が互いに反対側の前記板面側に設けられている、
補強板。 - 四角形の断面形状を有する角形鋼管、
前記角形鋼管の内部に配置された請求項3に記載の補強板、及び、
前記角形鋼管の内面と前記補強板とを接合するように前記K形開先に設けられた溶接部と、を備える、
補強板接合構造体。
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