JP3052702U - 経編パイル布帛 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋏によって切り込むことなくパイル面に凹凸
を付け、立体感に富む経編パイル布帛を経済的に得る。 【解決手段】 地経糸１１によってウェール方向Ｗに編
成される鎖編列と鎖編列の間を、コース方向Ｃに振動す
る挿入糸１２で連結して構成される表編地と裏編地との
２枚の編地１３を表裏二重に同時に編成しつつ、それら
２枚の編地（１３・１３）の鎖編列の編目にパイル糸１
４を編み込んでそれら２枚の表編地と裏編地を連結して
編成される二重経編地のパイル糸を、それらの表編地と
裏編地の間でセンターカットして表編地（１３）と裏編
地（１３）とに切り離して表裏２枚同時に形成される経
編パイル布帛において、複数ウェール毎に、収縮性、捲
縮性、染色性および繊維材質の何れか少なくとも１つの
品質を異にする複数種類のパイル糸を交互に編み込み、
それらの品質の相異によって、それら複数種類の一つの
種類のパイル糸の形成するパイル１６を他の種類のパイ
ル糸の形成するパイル１５よりも短くする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、毛布、敷物、シートカバー、衣料品、装身具、寝具等に使用される 経編パイル布帛に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

多くの経編パイル布帛は、地経糸によってウェール方向に編成される鎖編列と 鎖編列の間を、コース方向に振動する挿入糸で連結して構成される表編地と裏編 地との２枚の編地を表裏二重に同時に編成しつつ、それら２枚の編地の鎖編列の 編目にパイル糸を編み込んで、それら２枚の表編地と裏編地を連結して編成され る二重経編地のパイル糸を、それらの表編地と裏編地の間でセンターカットして 表編地と裏編地とに切り離して表裏２枚同時につくられている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このように経編パイル布帛のパイルは、平行に重なり合う表編地と裏編地の間 で、それらの編地に平行に移動するカッターによってパイル糸をカットして２枚 同時につくられるので、それら２枚の経編パイル布帛のパイルの長さが均等にな り、そのパイル面は平坦に仕上がる。 その平坦なパイル面に凹凸による立体感を付けようとする場合は、編成直後の 平滑なパイル面に鋏を入れて切り込みを付けている。 しかし、その切り込み作業は手作業によるので非能率的であり、又、そのパイ ルの切り取られる先端部分はパイル糸のロスになるので不経済である。

【０００４】

【考案の目的】

そこで本考案は、切り込み作業によらずにパイル面に凹凸を付けて立体感に富 む経編パイル布帛を得ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 本考案（請求項１）に係る経編パイル布帛は、地経糸１１によってウェール方 向Ｗに編成される鎖編列と鎖編列の間を、コース方向Ｃに振動する挿入糸１２で 連結して構成される表編地と裏編地との２枚の編地１３を表裏二重に同時に編成 しつつ、それら２枚の編地（１３・１３）の鎖編列の編目にパイル糸１４を編み 込んでそれら２枚の表編地と裏編地を連結して編成される二重経編地のパイル糸 １４を、それらの表編地と裏編地の間でセンターカットして表編地（１３）と裏 編地（１３）とに切り離して表裏２枚同時に形成され、その複数ウェール毎に、 収縮性、捲縮性、染色性、繊維材質の何れか少なくとも１つの品質を異にする複 数種類のパイル糸を交互に編み込み、それら異質の複数種類の一つの種類のパイ ル糸の形成するパイル１６を他の種類のパイル糸の形成するパイル１５よりも短 く編成されていることを特徴とする。

【０００６】 本考案（請求項２）に係る経編パイル布帛の他の特徴は、上記の特徴に加えて 、高パイル１５の先端における繊維が、低パイル１６の先端における繊維よりも 収束していて尖端形パイル立毛を形成していることにある。

【０００７】 本考案（請求項３）に係る経編パイル布帛の他の特徴は、上記の何れかの特徴 に加え、片面が起毛されて両面にパイルを有することにある。

【０００８】

【作用】

異質のパイル糸を使用した本考案に係る経編パイル布帛は、センターカット直 後においてパイル長は均一に揃ってパイル面が平坦になっていても、その後に施 される染色処理や水洗処理、熱風や熱水による加熱処理、ポリッシャー処理（パ イル面を強く擦る処理）において、異質のパイル１５・１６の間に長短差が生じ 、その一方が低パイル１６となり、他のパイルはそれよりも高く突き出た高パイ ル１５となる。 そうすると、その高パイル１５の先端は、低パイル１６の先端よりもパイル面 に高く突き出た分だけ横に拡がって嵩高に開毛する。その一方、低パイル１６は 、高パイル１５・１５の間の谷に閉じ込まれた恰好になるので、高パイル程には 開毛しない。

【０００９】 そして、その横に拡がって嵩高に開毛した高パイル１５の先端部分の繊維は、 横に倒れて側面をパイル面に露呈することになる。そうすると、センターカット によるパイル繊維の断面よりも側面が光を良く反射するので、その高パイル１５ は、パイル繊維の断面だけが見える低パイル１６よりも白っぽく見えるようにな る。 一方、低パイル１６は、高パイル１５・１５の間に挟まれ、その左右の高パイ ル１５によって編地１３に垂直に支えられるので、その繊維の側面はパイル面に 現われ難く、又、高パイル１５の下に隠れた影の恰好になるので黒っぼく見える ことになる。

【００１０】 その結果、高パイル１５と低パイル１６とによるパイル面の凹凸差が、それら 高パイル１５と低パイル１６の間の濃淡光沢差に強調されることになり、パイル 面全体が立体感を帯びるようになる。 特に、高パイル１５に光沢のあるブライトかセミダル繊維を用い、それよりも 光沢の低いセミダルかダル繊維を低パイル１６に用いると、両者の凹凸差が顕著 になり、パイル面全体の立体感が強調される。 そして更に、パイル面にポリッシャー処理を施すと、高く突き出た高パイル１ ５の先端部分の繊維が強く擦られて強い光沢を帯びるようになる。 同時に、そのポリッシャー処理時に擦られて引き伸ばされる高パイル１５では 、その引き伸ばされた繊維の有する弾性復元力によって収縮するとき少なからず 捲縮が生じ、その捲縮によって繊維相互間に絡み合いが生じるので、高パイル１ ５の先端部分は収束した尖端形パイル立毛調の所謂ペンシルポイントになり、高 パイル１５と低パイル１６の間に先端形状の差が生じるので、両者の凹凸差が一 層顕著になり、パイル面全体の立体感が一層強調されることになる。

【００１１】 そのためには、低パイル１６には、高パイル１５よりも高収縮性の繊維を用い 、又、高パイル１５には捲縮性を有する繊維を用いるとよい。その場合、低パイ ル１６の繊維は、高パイル１５の繊維よりも高収縮性であれば、捲縮性を有する ものであってもよい。 そして、高パイル１５の繊維と低パイル１６の繊維の間に染色性の差があれば 、それらの間の発色の差異によって、両者の凹凸差が一層顕著になり、パイル面 全体の立体感が一層強調されることになる。

【００１２】

【考案の効果】

かくして本考案によると、パイル面に高低差があって立体感に富む経編パイル 布帛を経済的に得ることが出来、特に、片面即ちセンターカット直後の裏面を起 毛して両面パイルとしたものでは毛布に好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る経編パイル布帛の拡大平面図であ
る。

【図２】本考案に係る起毛によって両面パイルとした経
編パイル布帛の断面図である。

【符号の説明】

Ｗ ウェール方向 Ｃ コース方向 １１ 地経糸 １２ 挿入糸 １３ 編地 １４ パイル糸 １５ 高パイル １６ 低パイル

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 地経糸によってウェール方向Ｗに編成さ
   れる鎖編列と鎖編列の間を、コース方向に振動する挿入
   糸で連結して構成される表編地と裏編地との２枚の編地
   を表裏二重に同時に編成しつつ、それら２枚の編地の鎖
   編列の編目にパイル糸１４を編み込んで、それら２枚の
   表編地と裏編地を連結して編成される二重経編地のパイ
   ル糸を、それらの表編地と裏編地の間でセンターカット
   して表編地と裏編地とに切り離して表裏２枚同時に形成
   される経編パイル布帛において、複数ウェール毎に、収
   縮性、捲縮性、染色性、繊維材質の何れか少なくとも１
   つの品質を異にする複数種類のパイル糸が交互に編み込
   まれており、それら異質の複数種類の一つの種類のパイ
   ル糸の形成するパイルが他の種類のパイル糸の形成する
   パイルよりも短いこと、を特徴とする経編パイル布帛。
2. 【請求項２】 前掲請求項１に記載の経編パイル布帛に
   おいて、高パイルの先端における繊維が、低パイルの先
   端における繊維よりも収束していて尖端形パイル立毛を
   形成していることを特徴とする前掲請求項１に記載の経
   編パイル布帛。
3. 【請求項３】 前掲請求項１に記載の経編パイル布帛に
   おいて、片面が起毛されて両面にパイルを有することを
   特徴とする前掲請求項１に記載の経編パイル布帛。