JP3052170B2 - 高耐候性オーステナイト系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方法 - Google Patents
高耐候性オーステナイト系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方法Info
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Description
される各種の装飾材に適した、耐候性に優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方法に関する。
食性を兼ね備えているため、建築物の外装材などの装飾
を主な目的とする部材に広く適用されている。ところ
が、ステンレス鋼の用途が広がるにつれて、今までにな
い厳しい環境でも使用されることが増えてきており、ス
テンレス鋼のよりいっそうの高耐食性化が求められてい
る。ところで、耐食性改善効果のあるCrやMoを多く
合金化することで耐食性を向上させると、かえって製造
コストや価格の極端な上昇を招く。安価で耐候性に優れ
たステンレス鋼およびその製造方法の開発は、未解決の
技術課題の一つである。
善するには、光輝焼鈍条件を変化させてステンレス鋼の
酸化皮膜組成および皮膜下の組成が耐候性に優れたもの
となる条件で行う、という方法が採られる。例えば、特
開昭54−12662号公報においては、H2とN2ガス
の組成比と露点を管理することで、SUS304鋼の光
沢を維持したまま表層数十μm内にNを固溶させ、耐食
性を向上させる焼鈍条件が開示されている。しかし、開
示された条件は、焼鈍を1150℃で70〜130秒間
行った実験に基づいて設定されたものであり、ステンレ
ス鋼の大量生産を行うためには、より短時間の焼鈍時間
での適正焼鈍条件を把握する必要がある。また、115
0℃超での適正焼鈍条件も決定されていないのが現状で
ある。
れたステンレス鋼の製造方法を提供することを目的とす
る。
鋼の光輝焼鈍条件と耐食性との関係を系統的に研究した
結果、焼鈍時間が極めて短い場合においても雰囲気ガス
組成と露点、さらに焼鈍時の温度パターンの組み合わせ
を変えることで、極めて耐食性の良いステンレス鋼光輝
焼鈍材が得られることを見出した。
である。 (1) オーステナイト系ステンレス鋼を、露点≦−4
0℃に制御された、N 2を25%以上、80%以下含有
するN2ガスおよびH2ガスの混合ガスからなる雰囲気中
で、1150℃を超え、1250℃以下の温度域で焼鈍
することを特徴とする高耐候性オーステナイト系ステン
レス鋼光輝焼鈍材の製造方法。
を、露点≦−40℃に制御された、N 2を25%以上、
80%以下含有するN2ガスおよびH2ガスの混合ガスか
らなる雰囲気中で、10℃/秒以上の加熱速度で加熱
し、1150℃を超え、1250℃以下の温度域で30
秒以下焼鈍することを特徴とする高耐候性オーステナイ
ト系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方法。
を、露点≦−40℃に制御された、N 2を25%以上、
80%以下含有するN2ガスおよびH2ガスの混合ガスか
らなる雰囲気中で、10℃/秒以上の加熱速度で115
0℃を超え、1250℃以下の温度域に加熱した後、直
ちに冷却することを特徴とする高耐候性オーステナイト
系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方法。
焼鈍により金属光沢に優れた表面を得ることである。工
業的に利用できる雰囲気ガスとしては、アンモニア分解
ガス(水素75%、窒素25%)が一般的であるが、水
素と窒素の混合ガスを利用することも可能である。水素
ガスは混合ガスの露点、つまりは酸素ポテンシャルを下
げる作用がある。雰囲気ガス中の水素ガス分圧PH2と水
蒸気分圧PH2Oの比PH2/PH2Oが1500以上あれば、
1000℃以上の温度域でFeとCrおよびNiが酸化
されずスケールが生成しないため、光沢のある表面を得
ることができる。また、低温度域で生成したスケールも
充分金属に還元される。このような条件は、混合ガスの
露点が−40℃以下で、H2を20%以上含むH2とN2
の混合ガス、すなわちN2が80%以下のH2とN2の混
合ガスを用いることにより達成される。
が、N2ガス雰囲気で焼鈍するとステンレス鋼の耐候性
が向上する。この場合、1150℃超の加熱において充
分な効果を得るには、25%以上のN2ガスを混合し
た、H2とN2の混合ガスを使用することが必要である。
さらに、この混合ガス中において、1150℃を超えて
オーステナイト系ステンレス鋼冷延板を加熱すると、ス
テンレス鋼表面に窒素含有化合物を含む極薄い酸化皮膜
が生成し、耐候性が著しく向上する。しかし、1250
℃を超えた過度の加熱を行うと窒素含有化合物生成速度
が遅くなり、耐候性改善の効果が少なくなる。また、こ
のような組成と焼鈍温度の場合には、耐候性の高いステ
ンレス鋼を得るには、焼鈍の時間を30秒を超えて長く
すると、肌あれや耐食性の低下を起こすため、焼鈍での
昇温後の保持時間は30秒以下が適切である。さらに
は、焼鈍時に保持時間を設定せずに所定の温度に加熱
後、直ちに冷却することも有効である。いずれの場合に
おいても、耐候性に優れたステンレス鋼を得ることがで
きるが、焼鈍に際しては、10℃/秒以上の昇温速度で
加熱する必要がある。これは、主に1000℃以下の温
度域で生成するFe、CrおよびNi酸化物層の厚さを
最小限にするためである。昇温速度が10℃/秒以上で
あれば、生成する酸化物の量が少なく、1000℃以上
の還元域で一部が金属に還元されて、スケールは極薄い
酸化皮膜になる。その結果充分な金属光沢を持った表面
を得るこきが可能である。昇温速度が遅い時は、保持時
間をできるだけ長くすることが、表面光沢の確保にとっ
て望ましい。
学組成を示した2種類の冷間圧延板に対して、本発明の
光輝焼鈍処理を施し、その有効性を確認した。鋼板Aは
溶鋼を2本の鋼製ロール間に鋳込み(鋳造速度75m/
min)、急冷凝固させた厚さ2.5mmの鋳片から作
製した0.6mm厚さの冷間圧延板であり、鋼板Bは熱
間圧延板から製造した0.6mm厚さの冷間圧延板であ
る。表2〜表5に、それぞれの鋼板について、各種条件
で光輝焼鈍処理を施した際の耐食性を調査した結果を示
す。耐食性は、空気飽和の25℃の3.5%NaCl中
で孔食発生電位(電位走引速度20mV/min)の大
小により評価した。電位は飽和カロメル電極基準で示
す。雰囲気ガスとして、N2ガスを過度に混合したもの
は、かえって耐食性が悪く、表面がやや黄色味みをおび
ており、光沢が不良であった。また、N2ガスが少ない
と耐食性が悪い。N2量としては、25%以上、80%
以下の範囲が適切であることが分かる。また、露点−4
5℃のN2ガス30%、H2ガス70%の混合ガスにて実
験した際の、鋼板Aに対しての焼鈍時間、および焼鈍温
度と耐食性の関係を図1に示した。1150℃を超え、
1250℃以下で、0〜30秒の範囲では1000mV
以上の孔食発生電位を示し、極めて耐食性が良いことが
分かる。また、図2は鋼板Aに対する昇温速度と孔食発
生電位との関係を示すものであるが、昇温速度が10℃
/秒以上において高い孔食発生電位を示すことが分か
る。本実施例に用いた鋼材の、湿式研磨肌での孔食発生
電位が、500mV程度であることから、本発明の光輝
焼鈍処理の有用性は極めて高い。
光輝焼鈍材は高耐候性であるから、建築建材用などに使
用される各種の装飾材として好適である。
位との関係を示す図である。
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 オーステナイト系ステンレス鋼を、露点
≦−40℃に制御された、N2を25%(容量%、以下
同じ)以上、80%以下含有するN2ガスおよびH2ガス
の混合ガスからなる雰囲気中で、1150℃を超え、1
250℃以下の温度域で焼鈍することを特徴とする高耐
候性オーステナイト系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方
法。 - 【請求項2】 オーステナイト系ステンレス鋼を、露点
≦−40℃に制御された、N2を25%以上、80%以
下含有するN2ガスおよびH2ガスの混合ガスからなる雰
囲気中で、10℃/秒以上の加熱速度で加熱し、115
0℃を超え、1250℃以下の温度域で焼鈍することを
特徴とする高耐候性オーステナイト系ステンレス鋼光輝
焼鈍材の製造方法。 - 【請求項3】 オーステナイト系ステンレス鋼を、露点
≦−40℃に制御された、N2を25%以上、80%以
下含有するN2ガスおよびH2ガスの混合ガスからなる雰
囲気中で、10℃/秒以上の加熱速度で1150℃を超
え、1250℃以下の温度域に加熱した後、直ちに冷却
することを特徴とする高耐候性オーステナイト系ステン
レス鋼光輝焼鈍材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4260157A JP3052170B2 (ja) | 1992-09-29 | 1992-09-29 | 高耐候性オーステナイト系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4260157A JP3052170B2 (ja) | 1992-09-29 | 1992-09-29 | 高耐候性オーステナイト系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06108145A JPH06108145A (ja) | 1994-04-19 |
JP3052170B2 true JP3052170B2 (ja) | 2000-06-12 |
Family
ID=17344112
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4260157A Expired - Lifetime JP3052170B2 (ja) | 1992-09-29 | 1992-09-29 | 高耐候性オーステナイト系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3052170B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100276293B1 (ko) * | 1996-11-02 | 2000-12-15 | 이구택 | 오스테나이트계 스텐레스 냉연강판의 광휘소둔방법 |
KR20020046334A (ko) * | 2000-12-12 | 2002-06-21 | 이구택 | 특수강의 조직에 따른 광휘 소둔방법 |
JP5869072B2 (ja) * | 2014-08-06 | 2016-02-24 | 日本冶金工業株式会社 | ステンレス鋼板の表面改質方法 |
CN114015839B (zh) * | 2021-10-18 | 2023-04-14 | 南京筑新技术集团有限公司 | 一种不锈钢结构加工的热应力释放方法 |
-
1992
- 1992-09-29 JP JP4260157A patent/JP3052170B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06108145A (ja) | 1994-04-19 |
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