JP3049280B2 - 栄養輸液入りバッグ - Google Patents

栄養輸液入りバッグ

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JP3049280B2
JP3049280B2 JP2268673A JP26867390A JP3049280B2 JP 3049280 B2 JP3049280 B2 JP 3049280B2 JP 2268673 A JP2268673 A JP 2268673A JP 26867390 A JP26867390 A JP 26867390A JP 3049280 B2 JP3049280 B2 JP 3049280B2
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幸史 國場
賢一 乾
留理子 隅野
秀之 小林
佐藤  誠
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味の素ファルマ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アミノ酸輸液と脂肪輸液を用時に無菌的に
混合し、経静脈投与するための栄養輸液入りバッグに関
する。
〔従来の技術〕
栄養源を経口的に摂取できない患者に対して、経静脈
的に栄養を補給するための輸液は種々開発されている。
しかし、アミノ酸輸液と脂肪輸液を栄養学的に好まし
い比率でそれぞれ収容した二室バッグは、未だ開発さて
いない。
〔発明が解決しようとする課題〕
患者に投与されたアミノ酸は、蛋白合成に利用される
ほか、一部は熱源として消費される。そこでアミノ酸を
脂肪又は糖質とともに投与すると、アミノ酸の蛋白合成
に利用さる割合が増加すると言われている。
脂肪は、単位重量当たりの熱量が糖質の約2倍であ
り、熱源として優れているが、過剰に投与すると臓器へ
の蓄積や血中中性脂肪(トリグリセリド)の濃度上昇を
招くなどの問題がある。
したがって、本発明の課題は、アミノ酸と脂肪の双方
が生体に効率的に利用される比率で、両輸液を無菌的に
混合し投与するための栄養輸液入りバッグを提供するこ
とにある。
〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは、上記課題を解決するため、ラットにア
ミノ酸と脂肪を経静脈的に投与し、窒素出納、DNA対RNA
比、血漿トリグリセリド濃度、臓器中トリグリセリド含
有等を指標にして鋭意研究した結果、アミノ酸の投与量
が脂肪の投与量以上のとき好結果が得られることを見出
し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は、アミノ酸輸液中の総アミノ酸重量
に対する脂肪輸液中の総脂肪重量の比率が0.5〜1にな
るように、アミノ酸輸液と脂肪輸液が二室バッグの各室
にそれぞれ収容された栄養輸液入りバッグに関するもの
である。
本発明で使用されるアミノ酸輸液は、必須アミノ酸と
非必須アミノ酸がバランスよく配合され、種々の疾病患
者に広範に適用されるもの、あるいは術後患者用、肝臓
病患者用、腎臓病患者用等特定の疾病患者用として開発
されたものなどいずれでもよい。中でも栄養効果に重点
を置いたものが好ましく、例えば下記アミノ酸組成のも
のを示すことができる。
アミノ酸輸液の濃度は、通常5〜15(w/v)%が好ま
しい。
また、脂肪輸液は、例えば大豆油、ヤシ油、ゴマ油、
エゴマ油、アマニ油、綿実油、サフラワー油、魚油等を
常法に従って水中油型に乳化したものが使用でき、通常
5〜20(w/v)%濃度のものが好ましい。
本発明の栄養輸液入りバッグの製造に当たり、特に困
難はなく、例えば、平均的な成人一日当たりのアミノ酸
必要量40〜80gを含有するアミノ酸輸液量を、二室バッ
グの一室に充填し、そのアミノ酸量の0.5〜1倍重量の
脂肪を含有する脂肪輸液量を、残りの室に充填して滅菌
処理をすればよい。
〔実施例〕
二室バッグは、プラスチック製の柔軟な袋状容器であ
って、その中央部が帯状に剥離可能に熱溶着され、液密
に隔離された二室のそれぞれに輸液注入口又は排出口が
設けられたものを使用した。
この二室バッグの各室に、下記アミノ酸輸液と脂肪輸
液を、それぞれ窒素気流中で充填し密封後、高圧蒸気滅
菌した。
実施例1 (1)アミノ酸輸液500ml(充填)中の成分(g) L−イソロイシン 4.55 L−ロイシン 6.45 酢酸L−リジン 5.00 L−メチオニン 2.20 L−フェニルアラニン 3.50 L−トレオニン 3.75 L−トリプトファン 0.65 L−バリン 7.00 L−アルギニン 4.50 L−ヒスチジン 2.50 アミノ酢酸 3.50 L−アラニン 3.55 L−アスパラギン酸 0.50 L−システイン 0.18 L−グルタミン酸 0.25 L−プロリン 2.50 L−セリン 0.85 L−チロシン 0.20 (遊離アミノ酸総重量 50.18g) (2)脂肪輸液500ml(充填)中の成分(g) 大豆油 50.0 精製大豆レシチン 6.0 濃グリセリン 12.5 実施例2 (1)アミノ酸輸液500ml(充填)中の成分(g) L−イソロイシン 2.80 L−ロイシン 6.25 酢酸L−リジン 6.20 L−メチオニン 1.75 L−フェニルアラニン 4.675 L−トレオニン 3.25 L−トリプトファン 0.65 L−バリン 2.25 L−アルギニン 3.95 L−ヒスチジン 3.00 アミノ酢酸 5.35 L−アラニン 3.10 L−アスパラギン酸 1.90 L−システイン 0.50 L−グルタミン酸 3.25 L−プロリン 1.65 L−セリン 1.10 L−チロシン 0.175 (遊離アミノ酸総重量 50.00g) (2)脂肪輸液250ml(充填)中の成分(g) エゴマ油 50.00 卵黄レシチン 6.00 濃グリセリン 12.50 実施例3 (1)アミノ酸輸液500ml(充填)中の成分(g) L−イソロイシン 4.60 L−ロイシン 4.725 塩酸L−リジン 1.975 L−メチオニン 0.22 L−フェニルアラニン 0.15 L−トレオニン 1.07 L−オリプトファン 0.35 L−バリン 4.45 L−アルギニン 7.685 L−ヒスチジン 1.55 アミノ酢酸 2.70 L−アラニン 4.20 L−アスパラギン酸 0.10 L−プロリン 2.65 L−セリン 1.30 L−チロシン 0.20 (遊離アミノ酸総重量 37.53g) (2)脂肪輸液250ml(充填)中の成分(g) ヤシ油 25.00 精製大豆レシチン 3.00 濃グリセリン 6.25 実施例4 (1)アミノ酸油液500ml(充填)中の成分(g) L−イソロイシン 3.75 L−ロイシン 5.00 L−リジン 2.50 L−メチオニン 2.50 L−フェニルアラニン 2.50 L−トレオニン 1.25 L−トリプトファン 1.25 L−バリン 3.75 L−アルギニン 1.50 L−ヒスチジン 1.25 アミノ酢酸 0.75 L−アラニン 1.50 L−アスパラギン酸 0.125 L−グルタミン酸 0.125 L−プロリン 1.00 L−セリン 0.50 L−チロシン 0.25 (遊離アミノ酸総重量 29.50g) (2)脂肪輸液250ml(充填)中の成分(g) ヤシ油 25.00 卵黄レシチン 3.00 濃グリセリン 6.25 〔試験例〕 被験液は、アミノ酸のみ配合した輸液、大豆油のみを
水中油型に乳化した輸液及びアミノ酸と大豆油を比率で
変えて配合した輸液を調製して用いた。
但し、アミノ酸の種類と各アミノ酸の配合比率、並び
に大豆油、精製大豆レシチン及び濃グリセリンの配合比
率は、実施例1と同じにした。
試験例1 7週令のSD系雄性ラット(1群7匹)を用い、麻酔下
にて中心静脈カテーテル留置術を施行した。
引続き絶食下、生理食塩水を1ml/hrで1日間投与した
後、被験液を2.5ml/hrで1日間投与した。投与終了後、
尿、血液及び各臓器を採取し、窒素出納、肝臓及び筋肉
中のRAN/DNA比、血漿トリグリセリド濃度、肝臓及び脾
臓中のトリグリセリド含量を測定し、次の結果を得た。
(1)窒素出納 下記表に示す通り、アミノ酸配合量が脂肪配合量と等
量以上で、正の窒素出納を示した。
(2)肝臓及び筋肉中のRNA/DNA比 アミノ酸配合量が脂肪配合量と等量以上で、肝臓及び
筋肉中のRNA/DNA比が高い値となり、蛋白合成の亢進が
認められた。
(3)血漿トリグリセリド濃度 アミノ酸配合量が脂肪配合量と等量以上で、血漿トリ
グリセリド濃度は明らかに低下し、血中トリグリセリド
のクリアランスが亢進していることが認められた。
(4)臓器中のトリグリセリド含量 アミノ酸配合量が脂肪配合量と等量以上で、肝臓及び
脾臓中のトリグリセリド含量は低い値となり、組織への
脂肪蓄積の減少が認められた。
試験例2 8週令のSD系雄性ラット(1群5匹)を用い、試験例
1と同様にして被験液を投与した。投与終了後、臓器を
採取して、精巣上体脂肪重量、肝臓及び脾臓中のトリグ
リセリド含量を測定し、次の結果を得た。
(1)精巣上体脂肪重量 脂肪配合量がアミノ酸配合量を超えると、精巣上体脂
肪重量が顕著に増加し、脂肪組織への脂肪蓄積が推測さ
れた。
(2)臓器中のトリグリセリド含量 脂肪配合量がアミノ酸配合量を超えると、肝臓及び脾
臓中のトリグリセリド含量が顕著に増加し、組織への脂
肪蓄積が認められた。
以上の結果から、栄養輸液におけるアミノ酸投与量に
対する脂肪の投与量は、0.5〜1倍が好ましいことが推
定された。
〔発明の効果〕 本発明によれば、二室バッグの隔離手段を開通させる
ことによってアミノ酸輸液と脂肪輸液を無菌的に混合で
き、生体にとって好ましい比率で窒素源と熱源を安全に
投与することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−103823(JP,A) 特開 平2−255148(JP,A) 国際公開84/4244(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61J 1/05 A61K 9/00 - 9/72

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アミノ酸輸液中の総アミノ酸重量に対する
    脂肪輸液中の総脂肪重量の比率が0.5〜1になるよう
    に、アミノ酸輸液と脂肪輸液が二室バッグの各室にそれ
    ぞれ収容された栄養輸液入りバッグ。
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