JP3046568B2 - ケース実装構造 - Google Patents

ケース実装構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高発熱性電子部品或い
は高発熱性電子部品と制御回路電子部品とが実装される
金属ベース回路基板を用いてケースとするケース実装構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高発熱性電子部品を搭載する
回路基板として、熱伝導性の良好な金属、例えば、アル
ミニウム、銅等の金属板を基材に用い、該金属板上に数
十μm程度の厚さの無機フィラー含有樹脂からなる絶縁
層を設け、更に該絶縁層上に回路形成された導電箔が積
層されてなる金属ベース回路基板が用いられている。
【0003】この金属ベース回路基板は、電子部品を搭
載してケースと合わせ電子部品として利用される(実開
平2−58387号公報)ことがある。特に金属ベース
回路基板の高い放熱性を生かせるインバーター、電源、
電装部品といった分野で好ましく用いられている。
【0004】しかしながら、金属ベース回路基板は、大
きな原板よりプレスにて個片の製品に打ち抜かれ作製さ
れていることが多く、周縁部にバリを有しているのが一
般的である。また、そのバリの方向も、プレスによる打
ち抜き時に絶縁層が金属板から剥離しないように、金属
板側から絶縁層側へ打ち抜かれることが多い。このた
め、多くの金属ベース回路基板は、その周縁部の回路面
側に、ほぼ垂直方向に伸びた形状のバリを有することが
多い。
【0005】このようなバリを有する金属ベース回路基
板を用いてケース実装しようとすると、ケースがうまく
はまらない、隙間より接着剤がしみ出る、また、しみ出
した接着剤が金属ベース回路基板の裏面を汚し、放熱性
が低下する等の問題があった。更に、バリの破片が回路
中に残り、実使用条件下で電気的短絡を起こす危険性が
ある。
【0006】このため、バリによる前記問題が発生する
のを防止する目的で、金属ベース回路基板の周縁部に発
生したバリを取り除くという、不経済的な作業を採用せ
ざるを得ない状況にある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであり、その目的は、バリを有す
る金属ベース回路基板を何ら加工することなしに用いて
も、バリの存在することでケース実装時に従来問題とな
った諸問題を一挙に解消し得るケース実装構造を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属板上に絶
縁層を介して回路及び/又は回路と電気部品とを搭載し
てなる金属ベース回路基板の回路側をケースにて封止す
るケース実装構造であって、該ケースの開口部を構成す
る縁部の少なくとも一部が前記金属ベース回路基板の側
面部と平面部とに共に接し、しかも、前記金属ベース基
板の周縁に対向する面部にバリを収納するための溝を有
することを特徴とするケース実装構造である。
【0009】又、本発明は、ケースの開口部を構成する
縁部の少なくとも一部を、接着剤にて金属ベース回路基
板と接合していることを特徴とする前記のケース実装構
造であり、好ましくは、前記溝の深さが0.1mm以上
1mm以下であり、更に好ましくは、前記溝の幅が0.
1mm以上1mm以下であることを特徴とする前記のケ
ース実装構造である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図を用いて
説明する。
【0011】図1は、本発明のケース実装構造の一例を
示す断面図である。又、図2及び図3はそれぞれ、本発
明のケース実装構造の他の一例を示す断面図である。以
下、図1をもって本発明を説明する。本発明の金属ベー
ス回路基板は、金属板1上に絶縁層2を介して導体回路
3が載置されている。導体回路3には半導体素子、抵抗
チップ、電極等の電子部品9が載置され、はんだ7、も
しくはワイヤー線8により電気的に接続されている。ま
た、導電回路3が多層構造を有していても構わない。金
属ベース回路基板は一般にプレスで外形加工されるの
で、回路形成面の周縁部にバリ4を有している。
【0012】本発明は、前記バリ4を有する金属ベース
回路基板或いは回路と電気部品とを搭載してなる金属ベ
ース回路基板の回路側をケース5にて封止するケース実
装構造に係わる。ケース5の開口部を構成する縁部の少
なくとも一部には、前記金属ベース回路基板の側面部と
平面部とが共に接する部分を有し、しかも該金属ベース
回路基板の周縁部に対向する前記開口部を構成する縁部
の面部がバリを収納することのできる溝6を有すること
を特徴としている。
【0013】ケース5の開口部を構成する縁部の金属ベ
ース基板の周縁部と対向する面部には、金属ベース回路
基板のバリ4を収納するように溝(凹部)が形成されて
いる。溝(凹部)の断面形状は、前記バリ4を収納出来
ればどの様な形状であっても良いが、四角形、三角形、
円弧等が加工しやすいことから採用される。また、金属
ベース回路基板の側面部と平面部とで共に接する部分に
おいては、ケース開口部を構成する縁部の面部に設けら
れる溝が、ケース開口部を構成する縁部の平面部であっ
ても、また側面部にまで渡っていても良い。そして、溝
をケース開口部の縁部に設けることで、後述するとおり
に、接着剤で金属ベース回路基板とケースとを接合した
場合、更にケース実装後に液状の封止材を回路面へ注入
した場合、該溝が液溜の役割を果たし漏れがでなくなる
という効果が得られる。また、溝の断面の形状として円
弧状のものを選択すると、ケース実装時や該ケース実装
構造体が実使用時に受ける応力が、溝の存在することで
緩和され、ケースの欠けや割れが低減するので、好まし
い。
【0014】ケース開口部を構成する縁部に形成される
溝の深さは、バリの大きさに応じて適宜選択すれば良い
が、0.1mm以上1mm以下が好ましい。一般に、バ
リの高さは金属ベース回路基板の板厚、金属板材質、絶
縁層の硬さ、プレス加工条件等により異なるが、適切な
条件を選定すれば1mmを越えることはなく、金属ベー
ス回路基板に発生するバリの高さは、通常、0.05m
m〜0.5mm程度である。前記範囲であれば、バリを
収納し、金属ベース回路基板とケースとの密着を容易に
達成し、本発明の目的を確実に達成できる。ここで、溝
の深さは、溝を設けたケース開口部を構成する縁部の平
面部或いは平面部の延長面から測定する。
【0015】ケースに形成される溝の幅については、バ
リの厚み、バリの発生する位置のバラツキ、金属ベース
回路基板の大きさのバラツキ、加えてケースの寸法のバ
ラツキ等を考慮して定めれば良いが、本発明者の検討に
よれば、0.1mm以上1mm以下であれば良い。ここ
で、溝の幅とは、溝を設けたケース開口部を構成する縁
部の平面部及び平面部の延長面における溝の広がりをい
う。
【0016】また、ケース5の材質に関しては、特に規
定するものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、塩化ビニル等の汎用プラスチック、
ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、PPO、PPSとい
ったエンジニアプラスチック、およびそれらに無機フィ
ラーを充填したもの、或いはセラミックス成形体でもか
まわない。
【0017】本発明において、金属ベース回路基板とケ
ースとを固着し、一体化することで、実使用条件下での
長期に渡る信頼性を確保することもできる。金属ベース
回路基板とケースとを固着する方法として、金属ベース
回路基板に凹凸を設け填め合わせる、接着剤、接着テー
プを用いて両者を張り合わせる、或いはネジ留めする、
かしめる等のいずれの方法でもかまわない。ケース5は
金属ベース回路基板と接着剤7を用いることで、より強
固に接着される。このうち、接着剤を用いる方法は、容
易な作業で十分な固着状態が得られることから好ましい
(図2、図3参照)。
【0018】ケースと金属ベース回路基板とを接着する
接着剤としては、特に規定するものではないが、エポキ
シ樹脂接着剤、アクリル樹脂接着剤、シリコーン接着剤
等の汎用の接着剤が用いられる。
【0019】本発明に用いられる金属板1としては、特
に規定するものではないが、銅板、鉄板、アルミニウム
板、真鍮板及びステンレス板などいずれも採用でき、通
常厚みは、0.5mmから5.0mmの範囲のものが用
いられる。
【0020】また、絶縁層2としては、絶縁性を有する
材質で有ればいずれも採用でき、例えば、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びポリ
イミド樹脂等やそれらをガラス布等に含浸させたものや
前記樹脂に無機フィラーを充填したもの、あるいは前記
樹脂を塗布した樹脂層のみで形成したもの、さらに前記
樹脂をフィルム状にして接着したもの等がある。
【0021】さらに、導体回路3となる金属箔として
は、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔あるいはこれら
の複合接着箔などいずれも採用できる。
【0022】以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に
説明する。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕厚さ3.0mmのアルミニウム板上に、絶
縁層として酸化アルミニウムを含有するビスフェノール
A型エポキシ樹脂を硬化後の厚さが80μmになるよう
に塗布し、銅箔を前記絶縁層に接するように配置し、加
熱下で加圧することにより金属ベース基板を作製した。
【0024】次ぎに、スクリーン印刷法を用いて所望の
位置をマスクした後、銅箔をエッチングして回路を形成
して、プレスにて外形加工を施し、金属ベース回路基板
を作製した。得られた金属ベース回路基板の全周縁部分
には、絶縁層側に高さ0.15mm程度のバリがほぼ垂
直方向に立っていたが、以下の処理にはそのまま用い
た。前記金属ベース回路基板の回路パターン上に、半導
体素子、セラミックスチップ抵抗等を半田つけにて実装
し、混成集積回路を形成した。このとき、半導体素子と
回路との電気的接続には、φ300μmのアルミ線を用
いたワイヤーボンディングを行った。
【0025】部品実装を行ったこの金属ベース回路基板
に、幅0.5mm、深さ0.5mmの四角形の溝(図1
参照)を有すケースを填め合わせたところ、ケースとの
嵌合性が良好で、固定が容易に行え、生産性が向上し
た。
【0026】〔実施例2〕厚さ1.5mmのアルミニウ
ム板上に、絶縁層として酸化珪素を含有するビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂を硬化後の厚さが100μmにな
るように塗布し、銅箔を絶縁層に接するように配置し、
加熱下で加圧することにより金属ベース基板を作製し
た。
【0027】次ぎに、フォト法を用いて所望の位置をマ
スクした後、銅箔をエッチングして回路を形成して、プ
レスにて外形加工を施し、金属ベース回路基板を作製し
た。得られた金属ベース回路基板の全周縁部分には、絶
縁層側に高さ0.25mm程度のバリがほぼ垂直方向に
立っていたが、以下の処理にはそのまま用いた。前記金
属ベース回路基板の回路パターン上に、半導体素子、セ
ラミックスチップ抵抗等を半田つけにて実装し、混成集
積回路を形成した。このとき、半導体素子と回路との電
気的接続には、φ25μmの金線を用いたワイヤーボン
ディングを行った。
【0028】部品実装を行ったこの金属ベース回路基板
に、幅1.0mm、深さ0.5mmの円弧の溝(図3参
照)を有すケースを接着剤を介して接合したところ、ケ
ースとの嵌合性が良好で、接着剤のはみ出しもなく固定
が容易に行え、生産性が向上し高品質の電子部品を得る
ことができた。
【0029】〔実施例3〕厚さ2.0mmのアルミニウ
ム板上に、絶縁層として窒化アルミを含有するビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂を硬化後の厚さが150μmに
なるように塗布し、アルミ銅クラッド箔を絶縁層に接す
るように配置し、加熱下で加圧することにより金属ベー
ス基板を作製した。
【0030】次ぎに、スクリーン印刷法を用いて所望の
位置をマスクした後、アルミ銅クラッド箔をエッチング
して回路を形成して、プレスにて外形加工を施し、金属
ベース回路基板を作製した。得られた金属ベース回路基
板の全周縁部分には、絶縁層側に高さ0.20mm程度
のバリがほぼ垂直方向に立っていたが、以下の処理には
そのまま用いた。前記金属ベース回路基板の回路パター
ン上に、半導体素子、セラミックスチップ抵抗等を半田
つけにて実装し、混成集積回路を形成した。このとき、
半導体素子とアルミ回路との電気的接続には、φ50μ
mのアルミ線を用いたワイヤーボンディングを行った。
【0031】部品実装を行ったこの金属ベース回路基板
に、幅0.2mm、深さ0.5mmの三角形の溝(図2
参照)を有すケースを接着剤を介して接合したところ、
ケースとの嵌合性が良好で、接着剤のはみ出しもなく固
定が容易に行え、生産性が向上し高品質の電子部品を得
ることができた。
【0032】
【発明の効果】本発明の金属ベース回路基板のケース実
装構造によれば、ケースの開口部の少なくとも一部が、
前記金属ベース回路基板の側面部と平面部とにともに接
し、しかも前記平面部の前記金属ベース基板の周縁部に
対向する部分に溝を有することを特徴とするので、従来
の金属ベース回路基板のケース実装構造に見られたバリ
取り作業、バリによるケースの嵌合不良、接着剤の漏
れ、また接着剤漏れによる信頼性の低下という問題を生
ぜず、実用上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のケース実装構造の一例を示す断面図
【図2】 本発明のケース実装構造を他の一例を示す断
面図
【図3】 本発明のケース実装構造を他の一例を示す断
面図
【符号の説明】
1 金属板(アルミニウム板) 2 絶縁層 3 導体回路(アルミニウム回路) 4 バリ 5 ケース 6 溝 7 はんだ 8 ボンディング用ワイヤー 9 電子部品、電極 10 接着剤

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板上に絶縁層を介して回路及び/又は
    回路と電気部品とを搭載してなる金属ベース回路基板の
    回路側をケースにて封止するケース実装構造であって、
    該ケースの開口部を構成する縁部の少なくとも一部が前
    記金属ベース回路基板の側面部と平面部とに共に接し、
    しかも、前記金属ベース回路基板の周縁に対向する面部
    該金属ベース回路基板のバリを収納するための溝を有
    することを特徴とするケース実装構造。
  2. 【請求項2】ケースの開口部を構成する縁部の少なくと
    も一部を、接着剤にて金属ベース回路基板と接合してい
    ることを特徴とする請求項1記載のケース実装構造。
  3. 【請求項3】前記溝の深さが0.1mm以上1mm以下
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のケ
    ース実装構造。
  4. 【請求項4】前記溝の幅が0.1mm以上1mm以下で
    あることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項
    3記載のケース実装構造。
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