JP3046457B2 - 液体ヘリウム冷却用磁気冷凍機 - Google Patents

液体ヘリウム冷却用磁気冷凍機

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JP3046457B2
JP3046457B2 JP4174675A JP17467592A JP3046457B2 JP 3046457 B2 JP3046457 B2 JP 3046457B2 JP 4174675 A JP4174675 A JP 4174675A JP 17467592 A JP17467592 A JP 17467592A JP 3046457 B2 JP3046457 B2 JP 3046457B2
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    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B2321/00Details of machines, plants or systems, using electric or magnetic effects
    • F25B2321/002Details of machines, plants or systems, using electric or magnetic effects by using magneto-caloric effects
    • F25B2321/0021Details of machines, plants or systems, using electric or magnetic effects by using magneto-caloric effects with a static fixed magnet

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  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導コイルの中空部
の強磁界中とその近傍に配置された筒状超電導磁気遮蔽
体の中空部の零磁界との間を往復移動する磁性作動体の
発生する寒冷を利用して液体ヘリウムの超低温域で使用
される磁気冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】液体ヘリウム温度以下の超低温を連続的
プロセスで達成維持するのに、断熱消磁過程を利用した
磁気冷凍機が使用されている。磁気冷凍機は、超電導マ
グネット等の形成する強磁界中と、その近傍の零磁界中
とを、磁界強度変化に対するエントロピー変化の大きい
物質、例えばガドリニウム−カリウム−ガーネットなど
の磁性作動体を往復移動又は回転移動させて、強磁界中
で磁性作動体が発する発熱を高温側熱源に伝達し、零磁
界中の断熱消磁により磁性作動体が発生する寒冷を低温
側熱源に伝達する過程を繰り返すことにより低温側熱源
を定常的に冷却するものである。
【0003】このような非静止型磁気冷凍機は、超電導
マグネットを永久電流モードで使用して、コイル励磁電
流断続によるジュール熱損を回避できる利点があるが、
他方、消磁過程で利用される零磁界域が強磁界用マグネ
ットから相当の遠方にならざるを得ず、磁性作動体の移
動工程を大きくする必要がある。これに関して、従来技
術は、対抗する一対の超電導コイルの中間位置を零磁界
に利用する方法や、反対磁界を発生させる補助的コイル
を主コイル近傍に配置して、零磁界と強磁界との離間距
離を短縮する方法が採用された。
【0004】本発明者らは、既に、超電導コイルと共軸
状に円筒状の超電導体を配置して、超伝導体の磁気遮蔽
効果を利用して超電導体の中空部に形成される完全零磁
界を消磁空間とすることにより、磁性作動体の平行移動
行程を短縮した磁気冷凍機を提案した(特願平2−32
5586)。
【0005】また、非静止型冷凍機では、往復移動する
磁性作動体が励磁過程で発する発熱を高温側熱源に伝達
し、次の消磁過程で発する寒冷を低温側熱源に有効に伝
達するための熱スイッチ機構を必要とするが、従来技術
においては、高温側熱スイッチは、補助冷却器からの伝
熱部材と磁性作動体を機械的に熱接触させ、他方、低温
側熱スイッチは、例えば、気体ヘリウムを磁性作動体の
表面で接触させて液化した低温のヘリウムを容器中に滴
下貯留する方式が採用されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】非静止型磁気冷凍機で
は、磁性作動体が繰り返し移動するので、低温側の熱源
と熱交換するには、静止型磁気冷凍機のような巧妙な熱
スイッチ機構は採用できず、液槽上部のガス相と接触さ
せて、ガスを冷却液化する方法に限られていた。
【0007】低温側熱源を液体ヘリウム浴として超流動
ヘリウムを定常的に得る冷凍機では、超低温のためヘリ
ウムの平衡蒸気圧が低いので、磁性作動体とヘリウムガ
スの熱伝達率が小さくて、ヘリウムガスの冷却液化速度
が小さくなり、磁性作動体の往復周期を速くし得ず、冷
凍機の効率が低下するものであった。そこで、液体ヘリ
ウムを蒸気相を介在させずに、超流動ヘリウム温度以下
に効率良く冷却させる必要がある。特に、宇宙空間で使
用される磁気冷凍機では、密閉容器中の超流動ヘリウム
を冷却する必要がある。
【0008】本発明は、筒状の超伝導磁気遮蔽体の中空
部内で磁性作動体を消磁させて発生する寒冷を利用しよ
うとするものであるが、当該中空部内と冷却目的の低温
側熱源とを熱伝達可能に接続する必要があった。
【0009】また、超伝導コイルや超伝導磁気遮蔽体の
超電導体には、液体ヘリウム温度以下では、Nb−Ti
合金などが利用できるが、フラックスジャンプその他の
不安定要素により、超伝導コイルの最大発生磁界や磁気
遮蔽体の最大遮蔽磁界の限界があり、磁気冷凍機の能力
を決める重要な要素になっていた。励磁過程の磁界強度
が一定であるとき、温度低下に伴って磁性作動体のエン
トロピー変化も低下するので消磁過程での寒冷量も低下
することになり、従って、特に、超流動ヘリウム温度以
下に冷却する際には、超伝導コイルの最大発生磁界や磁
気遮蔽体の最大遮蔽磁界を高くして、低温側の液体ヘリ
ウムを効率的に冷却する必要があった。超伝導コイルや
超伝導磁気遮蔽体を冷却するにはそれぞれの冷却槽中の
液体ヘリウムを強制的に蒸発させて液温を下げる方法が
あるが、液面の低下した都度液体ヘリウムを補充する必
要があり、補充によって液温が上昇するなど液温変動に
よる超電導体の上記不安定化は免れなかった。
【0010】本発明は、以上の諸問題に鑑み、第一に、
低温側液槽の密閉容器中に充填された常圧の沸点温度程
度にある液体ヘリウムを超流動温度以下に効率的に冷却
できる磁気冷凍機を提供することであり、第二に、液体
ヘリウムの温度低下による磁性作動体の出力低下を補償
するように超伝導コイルの最大発生磁界や磁気遮蔽体の
最大遮蔽磁界を高くするような冷凍プロセスを提供する
ことを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気冷凍機は、
強磁界を発生させる超電導コイルと、当該超電コイルの
軸心方向に共軸状に近接列設された中空状超電導磁気遮
蔽体と、当該超電導コイルの中空部と当該磁気遮蔽体の
中空部とに挿通して形成された真空室と、当該真空室内
に、当該超電導コイル中空部と当該磁気遮蔽体中空部と
の間で往復機構により往復移動可能に配置された磁性作
動体と、当該真空室の超電導コイル側端部に当該磁性作
動体と接触伝熱可能に配置させた高温側液槽と、当該真
空室の磁気遮蔽体側端部に当該磁性作動体と接触伝熱可
能に配置された低温側液槽とから成るものであって、超
電導コイル中空部で励磁された磁性作動体の発熱を高温
側液槽に伝熱冷却する過程と磁気遮蔽体中空部内で消磁
させた磁性作動体の寒冷により低温側液槽の液体を冷却
する過程と繰り返すようにした磁気冷凍機である。
【0012】本発明の磁気冷凍機においては、超電導コ
イルと超電導磁気遮蔽体とは、同一又は別個の冷却槽中
の液体に浸漬されて、臨界温度以下に冷却され、超電導
状態が維持される。冷却槽中の液体にヘリウムを利用す
る場合には、当該超電導コイルのコイル冷却槽と当該磁
気遮蔽体の冷却槽とは、実施例に示すように、高温側液
体ヘリウム槽に連通して又は一体に兼用されてもよい。
【0013】低温側液体ヘリウム槽は、真空室の磁気遮
蔽体側端部に、伝熱部材を介して、磁性作動体と接触伝
熱可能に固定されて配置され、他方、磁気遮蔽体とは断
熱部材を介装して熱的に孤立して配置される。低温側液
体ヘリウム槽には、概ね1気圧程度の加圧状態の液体ヘ
リウムが充填されており、当該ヘリウム槽には気体が存
在しない状態である。
【0014】磁性作動体と低温側液体ヘリウム槽との間
の最も簡便な接触伝熱手段は、磁性作動体の消磁位置
で、即ち、磁気遮蔽体の中空部に向けて突設された伝熱
部材を当該液体ヘリウム槽に液体の流動接触可能に接続
して、当該端面を磁性作動体の端面と接触させるもので
ある。この場合に、伝熱部材の端面と磁性作動の端面を
鏡面仕上げされた平滑な平面とされる。
【0015】本発明には、特に低温側液体ヘリウム槽
が、超伝導磁気遮蔽体を液体ヘリウム中で冷却する冷却
槽と連通して、又は一体に形成されて兼用され、上記の
超電導コイルの冷却槽とは真空槽又は断熱部材を介在さ
せて熱的に隔離された磁気冷凍機が含まれる。
【0016】又、低温側液体ヘリウム槽が、超伝導磁気
遮蔽体を冷却する遮蔽体冷却槽と共に、超電導コイルを
液体ヘリウム中で冷却するコイル冷却槽と連通して、又
は一体に形成されて兼用され、上記の高温側液体ヘリウ
ム槽とは真空槽又は断熱部材を介在させて熱的に隔離さ
れた磁気冷凍機が好ましく利用される。
【0017】
【作用】超電導コイルと筒状の超電導磁気遮蔽体とが共
軸状に列設固定されており、超電導コイルの中空部が強
磁界空間を形成し、他方、超電導磁気遮蔽体の中空部に
は超電導コイルの形成する磁場が浸透しないので零磁界
空間を形成する。
【0018】超電導コイルと上記磁気遮蔽体との中空部
には、真空室が形成されて、往復機構に連結された磁性
作動体が当該真空室内を往復移動可能に配置されている
から、磁性作動体は、上記超電導コイルの強磁界空間で
励磁されて発熱し、超電導磁気遮蔽体の零磁界空間では
消磁されて寒冷を発生する。磁性作動体は、真空室内に
あるから、高真空中で熱的に隔離されている。
【0019】真空室の超電導コイル側端部には、高温側
液槽である高温側液体ヘリウム槽により冷却された伝熱
部材が、上記磁性作動体と接触可能に配置されているか
ら、励磁過程での磁性作動体の発熱を液体ヘリウム浴に
伝熱して、冷却される。
【0020】真空室の他方の端部、即ち磁気遮蔽体側端
部に固定された低温側ヘリウム液槽の低温側伝熱部材が
上記磁性作動体と面接触するので、磁性作動体の消磁空
間で発生する寒冷が当該液槽の液体ヘリウムを冷却す
る。低温側伝熱部材の端面と、この端面に接する磁性作
動体の接触面とが、共に鏡面仕上げされたような平滑な
平面であるので、磁性作動体と低温側液槽中のヘリウム
浴との間の熱伝達率を高める。
【0021】液体ヘリウムは通常大気圧程度の加圧状態
におくと、槽内にはヘリウム気相は生じないので、液体
ヘリウムを気相を介在させることなく低温側伝熱部材に
直接接触するので、液体ヘリウム浴と低温側伝熱部材の
熱伝達率が良好に維持できる。従って、低温側液体ヘリ
ウムを超流動ヘリウム温度以下にすることが容易とな
る。
【0022】低温側液体ヘリウム槽が超電導磁気遮蔽体
を収容して、同時に低温側液体ヘリウム浴で冷却する場
合は、当該磁気遮蔽体の超電導体の温度低下に伴い、超
電導体のフラックスジャンプによる超電導焼失現象は生
じ難くなり、磁気遮蔽体の最大磁気遮蔽量が増加する。
そこで、磁気冷凍機の運転初期は比較的低い磁界強度で
励磁して運転し、低温になるに伴い、超電導コイルの励
磁電流を増加して磁界強度を高めることができ、磁性作
動体の励磁・消磁間のエントロピー変化の低下の補償な
いしは増大を実現し得て、超流動ヘリウム用の磁気冷凍
機としての効率の維持を図る。
【0023】特に、低温側液体ヘリウム槽が超電導磁気
遮蔽体と超電導コイルの両方を収容して、同時に低温側
液体ヘリウム浴で冷却する場合は、超電導コイルの低温
冷却により、安定して運転できる最大発生磁界を高くす
ることができるので、運転中の低温側液体ヘリウムの温
度低下に従って最大発生磁界を増加制御し、超低温ヘリ
ウムの温度においても磁気冷凍機としての効率の維持が
可能となる。。
【0024】
【実施例】本発明の磁気冷凍機の実施例を、図面に基づ
いて以下に説明する。
【0025】図1は、液体ヘリウム冷却用の磁気冷凍機
の概要断面図であるが、真空断熱容器8の内側に、二重
筒式の液体窒素を満たした筒状容器81が配置固定さ
れ、その内側には、コイル冷却と遮蔽体冷却とを兼ねた
円筒状の高温側液体ヘリウム槽4が固定されており、高
温側ヘリウム槽4の下側には、環状層厚の断熱板9を介
して、低温側液体ヘリウム槽5が固定されている。
【0026】高温側ヘリウム槽4の内側には、超電導コ
イル1とその下方には、円筒状の超電導磁気遮蔽体3が
同軸状に配置され、超電導コイル1の中空部のコイル捲
回用の円筒体11と、磁気遮蔽体3の中空部の磁気遮蔽
体保持用の円筒体31とは、気密的に接続されて、円筒
体31の下端の鍔輪32が高温側ヘリウム槽4の底部3
2に一体にかつ気密的接合されている。
【0027】超電導コイル1の中空部円筒体11の上部
には、上面が高温側ヘリウム槽4の液体ヘリウム41中
に露出し且つ下端が円筒体11内に挿入された高温側伝
熱部材42が気密的に配置固定されている。
【0028】高温側液体ヘリウム槽4の上面は断熱性の
フランジ83により閉止され、フランジ83には圧力調
整弁45を介して排気ポンプ46(不図示)に接続され
ている。
【0029】高温側ヘリウム槽4の内側には、1気圧程
度の圧力で液体ヘリウムが充填され、圧力調整弁45に
より760〜400mmhg程度に減圧可能とされ、高
温側伝熱部材42と超電導コイル1と円筒状の超電導磁
気遮蔽体3とが浸漬されて4.2〜3.6K程度に冷却
されている。
【0030】また、超電導磁気遮蔽体3の中空部円筒体
31の下端には、断熱部材9を介して、気密的に低温側
ヘリウム槽5が固定され、当該低温側へリウム槽5から
上方に突設された低温側伝熱部材52が、上記円筒体3
1内に挿入された状態で配置されている。
【0031】以上のように、超電導コイル1及び磁気遮
蔽体3の中空部円筒体11、31の内側は、気密的に密
閉されて、高真空に保持されて、真空室6と成してい
る。
【0032】真空室6内には、真空断熱槽8の上方面に
固定させた昇降装置7に連結された昇降ロッド71の先
側に取着された円柱状の磁性作動体2が昇降可能に配置
されている。磁性作動体2は、超電導コイル1の中空部
にあるときは、磁性作動体2の上端面21が、上述の高
温側伝熱部材42の下端面43と面着し、他方、降下し
た磁性作動体2が、超電導磁気遮蔽体3の中空部にある
ときは、低温側伝熱部材52の伝熱板54の上端面53
に面着するように調整されている。
【0033】真空断熱容器8外上方には、別体の真空筒
78が真空室6の上端と、高温側伝熱部材42及び真空
配管62により連通されて固定されている。上記昇降装
置7は、真空配管62内を挿通された昇降ロッド71
に、当該真空筒78内で、固定されたラック72が、外
部モータ(不図示)の回転軸に接続されたピニオン73
と噛合するように配置されている。外部モータの回動に
より、昇降ロッド71に取着された磁性作動体2を繰り
返し昇降移動する。そして、真空筒78を真空ポンプ6
4(不図示)によって減圧することにより、真空室6内
を高真空に維持することができる。
【0034】また、低温側ヘリウム槽5には、ヘリウム
供給管56を通じて大気圧近傍に加圧された液体ヘリウ
ム51が充填されて、伝熱板54の内面と接触してい
る。また、伝熱板54の下面から当該ヘリウム槽5内に
向けて同心筒状薄層体の伝熱体56が多数突設されてい
る。
【0035】以上のような磁気冷凍機の構造において、
超電導コイル1は、Nb−Ti合金の細線が多数回巻回
されたもので、液体ヘリウム41に浸漬冷却されてお
り、永久電流によりコイル中空部では定常的に3〜5T
の強磁界にある。
【0036】超電導磁気遮蔽体3は、超電導体のNb−
Ti合金の円環状薄層を常電導性金属例えばAl,C
u,又はAgの円環状薄層と交互に多数層積層して形成
された円筒状を成し、両端は、中空部内筒体31の両端
に固定された一対の鍔輪32,32との間に挟持されて
いる。磁気遮蔽体3の中空部には上方の超電導コイルか
らの強磁場を完全に遮蔽して、完全零磁場が形成されて
いる。磁気遮蔽体3を超電導体の単体とせずに、Al等
の電導度及び熱伝導の高い金属の薄層を介装することに
より、超電導体層に発生する磁束流動を極限に、かつ、
磁束流動に伴う発熱を液体ヘリウムに伝熱放散して、冷
却を容易にすることができ、フラックスジャンプに至る
不安定現象を防止することができて、3〜5Tの強磁界
を安定して遮蔽することができるのである。
【0037】磁性作動体2は、主にガドリニウム−ガリ
ウム−ガーネットの好ましくは単結晶体が使用され円柱
状となし上端面21及び下端面22は鏡面研摩されて平
滑な平面とされている。また、伝熱部材42、54は、
共に熱伝導度の大きいAl、Cu又はAgが使用され
る。他方、断熱部材には、ガラス繊維強化合成樹脂体
が、低温強度と熱伝導度の観点から好ましく使用され
る。
【0038】図1は、励磁過程を示すが、超電導コイル
1の中空部の強磁界中で、磁性作動体2は断熱励磁され
て発熱するが、その熱は、磁性作動体2の端面21が接
触する伝熱部材42の端面43を伝達して伝熱部材42
から液体ヘリウム41に吸熱されるので、磁性作動体2
は液体ヘリウム温度近くまで冷却される。液体ヘリウム
41は、伝熱部材42に突設された多数のフィンにより
加熱されるが、液面44で蒸発して蒸発潜熱により一定
温度に保持されている。
【0039】図2は、消磁過程を示すが、昇降ロッド7
1を下降させると、磁性作動体2は、磁気遮蔽体3の中
空部に収容して冷却されて寒冷を発するが、磁性作動体
2の下面22と接触する伝熱板54を伝導して、低温側
液体ヘリウム51の熱を奪って冷却する。磁性作動体2
の下面22と、低温側伝熱部材52の伝熱板54上面5
3とは鏡面とされ、磁性作動体2の下降の際に、磁性作
動体の下面が伝熱板54を押圧するので、両面53、2
2は完全に面着して熱伝達を良好に高め、磁性作動体2
と低温側ヘリウム浴41との間の熱伝導を高めることが
できる。
【0040】低温側液体ヘリウム51は、操作当初は、
高温側液体ヘリウム41と同じ温度(1気圧下で4.2
K)にあるが、上記の励磁過程と消磁過程と繰り返すこ
とにより1.9K以下の超流動ヘリウム温度にまで低下
する。
【0041】図3は、超電導コイル1と超電導磁気遮蔽
体3との間を断熱部材9により熱的に隔離して、高温側
液体ヘリウム槽4の液体ヘリウム41によって、超電導
コイル1を冷却し、磁気遮蔽体3は、低温側液槽5に一
体に収容されて、連続運転時には低温側伝熱部材52に
より冷却された液体ヘリウム51により冷却される方式
の磁気冷凍機をしめしている。この例では、磁気遮蔽体
3を常用の液体ヘリウムより低い例えば1.9K程度に
まで低温に維持するものである。
【0042】磁気冷凍機の運転当初は、磁性作動体3の
励磁磁界を例えば3Tとして、低温側ヘリウム51の温
度が低下するに従い超電導コイルの磁界を高めるように
制御する。低温では、特に超流動ヘリウム中では、磁気
遮蔽体の最大磁界遮蔽量が上昇するので、超電導コイル
1の励磁を5T程度に高めても、フラックスジャンプに
よる遮蔽磁界の低下の危険性は少ないので、磁気遮蔽体
中空部は完全零磁界が得られるので、以降の運転によっ
て冷凍出力は上昇して、超低温への達成速度が大きくな
る。
【0043】図4は、低温側液体ヘリウム槽5のヘリウ
ム浴51により超伝導磁気遮蔽体3とともに超電導コイ
ル1をも冷却する他の実施例で、低温側液体ヘリウム槽
5が、コイル冷却槽を兼ねて、超電導コイル1の鍔輪1
2に気密的に固定されたリング状の絶縁部材9が、高温
側液体ヘリウム槽4と低温側液体ヘリウム槽5を隔離遮
断している。
【0044】本例では、磁性作動体2が発する寒冷によ
る直接冷却により、超伝導磁気遮蔽体3と超電導コイル
1とが低温になるに従って超電導体を安定化させること
ができ、従って、冷凍運転当初は比較的低い磁界強度で
磁性作動体が励磁されるが、低温側ヘリウム浴51が超
低温になると、電導コイル1の励磁電流を順次増加させ
て磁界強度を8T程度に増加させて、低温による磁気冷
凍能力の低下を補償し、安定した運転を続け、低温側ヘ
リウム浴51の冷却速度を高め、超流動ヘリウム温度以
下の低温に保持することが可能となる。
【0045】以上に述べた磁気冷凍機の連続運転によっ
て、低温側液槽5の中の液体ヘリウムは、常圧近傍で
1.9Kの超流動ヘリウム平衡温度若しくはそれ以下の
温度が得られるので、図示していないが、本装置の低温
側液体ヘリウム槽5の外面に例えば赤外線撮像素子57
を添着して、熱雑音を低減した赤外線撮影に利用され
る。
【0046】
【発明の効果】本発明の磁気冷凍機は、超電導コイルの
中空部及び筒状の超電導磁気遮蔽体の中空部を連通する
真空室内を磁性作動体が往復移動し、磁気遮蔽体の中空
部で消磁された磁性作動体の端面が、低温側液槽の加圧
された液体ヘリウムと接触伝熱する伝熱部材の平面に正
確に面接触するように配置されるから、磁性作動体の発
する寒冷でもって液体ヘリウムを超流動ヘリウム温度以
下に冷却することができ、熱効率の良好な磁気冷凍機に
構成できる。
【0047】超電導コイルと、磁気遮蔽体が、共軸状に
列設され、かつ、その中空部筒体内を真空室にするの
で、励磁空間及び消磁空間を最大限に磁性作動が利用で
きるように配置でき、励磁−消磁の磁性作動体の移動ス
トロークを小さくでき、かつ低温側の液体ヘリウム浴の
配置が容易であるから、冷凍機能力に比して小型でコン
パクトな冷凍機とすることができる。
【0048】また、低温側ヘリウム浴と同時に超電導磁
気遮蔽体及び超電導コイルの冷却ヘリウムも超低温に冷
却するようにすれば、超電導体の不安定現象を回避で
き、最大磁気遮蔽能力を高めることができるので励磁用
強磁界を高めて、冷凍能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気冷凍機の実施例に係る概要断面図で、励磁
過程を示す。
【図2】磁気冷凍機の消磁過程にある部分断面図を示
す。
【図3】磁気遮蔽体をも低温側液体ヘリウムにより同時
に冷却するようにした磁気冷凍機の部分断面図である。
【図4】磁気遮蔽体と超電導コイルをも低温側液体ヘリ
ウム同時に冷却するようにした他の実施例に係る磁気冷
凍機の部分断面図である。
【符号の説明】
1 超電導コイル 2 磁性作動体 3 超電導磁気遮蔽体 4 高温側液体ヘリウム槽 41 高温側液体ヘリウム浴 5 低温側液体ヘリウム槽 51 低温側液体ヘリウム浴 52 低温側伝熱部材 54 伝熱板 6 真空室 7 昇降装置 71 昇降用ロッド 8 真空断熱槽 9 断熱板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉岡 孝雄 大阪市北区堂山町1番5号 高圧ガス工 業株式会社内 (72)発明者 井上 勝 大阪市北区堂山町1番5号 高圧ガス工 業株式会社内 (72)発明者 大谷 光平 大阪市北区堂山町1番5号 高圧ガス工 業株式会社内 (72)発明者 佐藤 学 大阪市北区堂山町1番5号 高圧ガス工 業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 21/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁界を発生させる超電導コイルと、当
    該超電コイルの軸心方向に共軸状に近接列設された中空
    状超電導磁気遮蔽体と、当該超電導コイルの中空部と当
    該磁気遮蔽体の中空部とに連通して形成された真空室
    と、当該超電導コイル中空部と当該磁気遮蔽体中空部と
    の間で往復機構により往復移動可能に当該真空室内に配
    置された磁性作動体と、当該真空室の超電導コイル側端
    部に当該磁性作動体と接触伝熱可能に配置された高温側
    ヘリウム液槽と、当該真空室の磁気遮蔽体側端部に当該
    磁性作動体と接触伝熱可能に配置された低温側ヘリウム
    液槽と、から成り、 上記磁性作動体には平滑な平面状端面を有し、上記低温
    側ヘリウム液槽には当該磁性作動体の当該端面に面接す
    る平滑な平面を有する伝熱部材が備えられて、 上記往復機構により、上記超電導コイル中空部で励磁さ
    れた当該磁性作動体の発熱を当該高温側ヘリウム液槽に
    伝熱冷却する過程と当該磁気遮蔽体中空部内で消磁され
    た当該磁性作動体の寒冷により当該低温側ヘリウム液槽
    に充填された液体ヘリウムを冷却する過程とを繰り返す
    ようにした液体ヘリウム冷却用磁気冷凍機。
  2. 【請求項2】 上記低温側ヘリウム液槽が、当該磁気遮
    蔽体を冷却する磁気遮蔽体冷却槽と連通し若しくは兼用
    する請求項1記載の磁気冷凍機。
  3. 【請求項3】 上記低温側ヘリウム液槽が、上記超電導
    磁気遮蔽体を冷却する磁気遮蔽体冷却槽とと共に、上記
    超伝導コイルを冷却するコイル冷却槽と連通し若しくは
    兼用する請求項1記載の磁気冷凍機。
  4. 【請求項4】 上記高温側ヘリウム液槽が上記超電導コ
    イルを冷却するコイル冷却槽と兼用され、上記高温側ヘ
    リウム液槽には、高温側液体ヘリウムと接触する伝熱部
    材が上記磁性作動体の平滑な平端面と面接可能な平滑な
    平面を有して、設けられている請求項1又は2記載の磁
    気冷凍機。
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