JP2004233047A - 超電導マグネット - Google Patents
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Abstract
【構成】 超電導コイル、上記超電導コイルを包囲する輻射シールド、上記輻射シールドを包囲する真空槽、上記超電導コイルを低温側ステージ,上記輻射シールドを高温側ステージで冷却する蓄冷型冷凍機、上記高温側ステージと上記低温側ステージ間で熱輸送を行う熱輸送パイプ、上記熱輸送パイプに極低温冷媒を充填する充填手段、及び上記熱輸送パイプの極低温冷媒を減圧する減圧手段を備えた超電導マグネット。
【選択図】 図16
Description
超電導コイル1は、2段GM冷凍機6の低温側ステージ8と熱接触しており、2段GM冷凍機6により極低温(例えば4.2K)に冷却され、電気抵抗ゼロ、いわゆる超電導状態になる。そこで電流リード3a,3bを介して外部の超電導コイル用電源10から超電導コイル1に励磁用電流を供給し、所用の磁場を発生させている。超電導コイル1は電気抵抗がゼロであるため、電流を流してもそれ自身がジュール熱で発熱することがない。しかし外部から対流・輻射・伝導による超電導コイル1への熱侵入があり、この熱侵入をできるだけ低減することが望ましい。
さらに、電流リード3a,3bから超電導コイル1への熱侵入を低減するため、電流リードの中間温度部31を輻射シールド4と熱的に接触させて、2段GM冷凍機6の高温側ステージ9で冷却することにより、室温から直接伝導により熱が超電導コイル1へ侵入するのを防止している。また、中間温度部31より低温側の電流リード3aを、熱伝導率が小さく、ジュール熱を生じない高温超電導体で構成した。
また、7は矢印の方向にヘリウムガスを圧縮するコンプレッサー、8,9はそれぞれシリンダ51の各段低温端の外周面に配設した低温側ステージ,高温側ステージである。さらに、60は吸気バルブで、コンプレッサー7から2段GM冷凍機6に高圧のガスを供給するタイミングを制御する。61は排気バルブで、2段GM冷凍機6からコンプレッサー7に低圧のガスを排出するタイミングを制御する。62は駆動モータで、シリンダ51内でデスプレーサー52,53を往復運動させると共に、この往復運動に連動してバルブ60,61の開閉を行う。
まず、1段目,2段目デスプレーサー52,53が最下端にあり、吸気バルブ60が開き、排気バルブ61が閉じている状態で、1段目,2段目膨張空間56,57内にコンプレッサー7で圧縮した高圧のヘリウムガスを供給する。この結果、1段目及び2段目膨張空間56,57は高圧状態になる。
1段目,2段目デスプレーサー52,53が最上端になった時に、吸気バルブ60を閉じて、少し遅れて排気バルブ61を開く。この時、高圧のヘリウムガスは断熱的に膨脹して冷凍を発生する。さらに1段目,2段目膨脹空間56,57内に存在するヘリウムガスはそれぞれの温度レベルで低温・低圧になる。
このサイクルを繰り返すことにより、高温側ステージ9及び低温側ステージ8の温度をそれぞれ50K及び4.2Kに冷却している。
このように、調整ネジ41の先端を超電導コイル1に直接接触するように配設し、調整ネジ41の頭部は真空槽5を突き破り、真空槽5の外側に位置していた。超電導コイル1位置を調整するときは、真空槽5の外側の調整ネジ41の頭部を回して超電導コイル1の周囲の調整ネジ41を移動し、超電導コイル1の位置を移動する。
このように、t2はt1の2倍以上になり、初期冷却時間は輻射シールド4より、超電導コイル1の方が長時間かかりすぎる。
さらに、メンテナンスを容易にできる構造の超電導マグネットを得ることを目的とするものである。
以下、この発明の実施例1による超電導マグネットとして、例えばシンクロトロン放射光装置用の超電導マグネットについて説明する。図1は実施例1に係る超電導マグネットを示す断面図である。図中、図22及び図23に示した従来の超電導マグネットと同一又は相当の部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図において、13は超電導コイル1に電流を供給する電流リード、14は輻射シールド4を包囲するように配設した高温側輻射シールド、15は超電導コイル1に流れる永久電流のモードを実現する永久電流スイッチ、22はシールド冷却用2段GM冷凍機で、高温側ステージ9で高温側輻射シールド14を、低温側ステージで輻射シールド4を冷却し、それぞれ80K、20Kの温度に保持している。20は液体ヘリウムを保持するとともに超電導コイル1を収納するヘリウム槽、21は超電導コイル1を超電導状態に保持する極低温冷媒である液体ヘリウム、23は輻射シールド4及び高温側輻射シールド14を介してヘリウム槽20を真空槽5に保持する支持部材、24はビームチャンバ、25はビームチャンバ24を包囲するように配設されたビームチャンバの高温側輻射シールド、26はビームチャンバの高温側輻射シールド25を包囲するように配設されたビームチャンバ輻射シールドである。図示していないがビームチャンバの高温側輻射シールド25は高温側輻射シールド14に熱的に接続され、ビームチャンバ輻射シールド26は輻射シールド4に熱的に接続している。27は蓄冷型冷凍機で、例えばヘリウム液化用GM冷凍機であり、その構成は図23に示した2段GM冷凍機6と同じであるので説明を省略する。ヘリウム液化用GM冷凍機27は、液体ヘリウム21の蒸発ヘリウムを再び液化する。30は磁気シールドであり、例えば鉄で構成する。また、輻射シールド4,14,25,26は、例えば銅で構成している。
一方、ビームチャンバ24内を高真空に排気して、この中を高エネルギに加速した電子を導く。電子の運動の軌道は、ビームチャンバ24を挟むように配設した一対の超電導コイル1の発生する磁場により、規制されている。
ヘリウム液化用GM冷凍機27の2段目蓄冷器59の蓄冷材として、磁性蓄冷材を使用しており、磁場勾配があると電磁力をうける。2段目蓄冷器59の蓄冷材に過度の電磁力がかかると、駆動モータ62に過度のトルクがかかる。この過度のトルクのため、駆動モータ62が正常に回転しなくなると、正常な熱サイクルが実現できなくなり、所用の冷凍能力が得られなくなる。また、駆動モータ62自体も強い磁場中では正常に回転しなくなり、やはり所用の冷凍能力が得られなくなる。
以下、この発明の実施例2による超電導マグネットとして、例えば浮上式鉄道用の超電導マグネットについて説明する。図2は実施例2に係る超電導マグネットを示す断面図である。図において、28はシールド冷却用単段GM冷凍機、29はシールド冷却用単段GM冷凍機28の冷却ステージ、32は超電導コイル1に液体ヘリウム21を供給する供給配管、33は液体ヘリウム21の蒸発ガスを回収するためヘリウム槽20内上部の気相部に開口するように設けられた回収配管、34は電流リード13を冷却する冷却配管である。
図3は、この発明の実施例3に係る超電導マグネットを示す断面図である。実施例3は実施例2における磁気シールドの配設位置の異なる例を示したものである。この実施例3のものは、磁気シールド30を真空槽5の中に配設したことで、実施例2と同様の効果を期待できる。
この実施例でも、ヘリウム液化用GM冷凍機27は、磁気シールド30に対して、超電導コイル1と反対側、即ち、磁気シールド30の外側に配設している。従って、超電導コイル1が強磁場を発生しても、ヘリウム液化用GM冷凍機27は磁場の外側にあり磁場はかからない。このため、磁場の影響をうけやすいヘリウム液化用GM冷凍機27の駆動モータ62は正常に動作する。また、磁性蓄冷材で構成された蓄冷器にも磁場がかからないので、蓄冷器に電磁力や発熱が生じることも防止できる。
さらに、磁気シールド30を真空槽5の内側に配設しているので、スペースの節約ができる。
図4は、この発明の実施例4に係る超電導マグネットを示す断面図である。図において、35は2段GM冷凍機6の低温側ステージ8と超電導コイル1を熱的に接続する伝導部材、36は伝導部材35の一部を構成する可撓体で、超電導コイル1との接続部を可撓的に接続する。
ここで、伝導部材35は例えば銅,アルミニウムなどの良熱伝導性材料から構成されている。また、可撓体36は例えば銅などの良熱伝導性材料であり、編組線やバネなどの構造をしている。
また、2段GM冷凍機6の高温側ステージ9は、輻射シールド4と熱的に接続され、輻射シールド4を冷却する。
超電導コイル1は支持部材23によって、輻射シールド4に固定されている。または、超電導コイル1は支持部材23を用いて真空槽5に固定されていても良い。支持部材23は、例えば、ガラスエポキシ(GFRP)等の熱絶縁体で構成されている。
そこで、この実施例では図4に示すように、超電導コイル1と2段GM冷凍機6の低温側ステージ8を接続する伝導部材35の一部を可撓体36で構成している。このため、特に初期冷却時、構造物の熱膨張率の違いを可撓体で吸収し、超電導コイル1と伝導部材35と2段GM冷凍機6の低温側ステージなどの間に加わる機械的負荷を緩和することができる。
図5は、この発明の実施例5に係る超電導マグネットを示す断面図である。図において、4aは超電導コイル1を包囲する第1輻射シールドであり、第1輻射シールド4aの一部を磁気シールド30が包囲している。磁気シールド30には開口部が設けられている。磁気シールド30の開口部から、第1輻射シールド4aを引き出し、第1輻射シールド4aを第2輻射シールド4bに熱的に接続している。この第2輻射シールド4bは2段GM冷凍機6の高温側ステージ9と熱的に接続している。また、5aは第1真空槽で、第1輻射シールド4a及び磁気シールド30を包囲し、5bは第2真空槽で第2輻射シールド4bを包囲する。第1真空槽5aと第2真空槽5bをガスケット(図示せず)で気密に接続する。超電導コイル1,第1輻射シールド4a,及び第1真空槽5aで超電導コイルユニット101を構成し、2段GM冷凍機6,第2輻射シールド4b,及び第2真空槽5bで冷凍機ユニット102を構成する。
また、この実施例では伝導部材35により超電導コイル1と2段GM冷凍機6の低温側ステージ8を熱的に接続している。そして、2段GM冷凍機6を磁気シールド30に対して超電導コイル1と反対側に配設している。このため、超電導コイル1の発生する磁場が2段GM冷凍機6に影響を及ぼすことがなく、冷凍能力の低下を防止できる。
また、真空槽5aと真空槽5bはガスケットで気密に接続されているので、超電導コイルユニット101と冷凍機ユニット102は分離可能である。超電導コイル1は可動部が無いので長期にわたって励磁電流を流し続けることができるが、2段GM冷凍機6は可動部が存在するため定期的にメンテナンスをすることが必要である。この際、冷凍機ユニット102を超電導コイルユニット101から分離し、既にメンテナンス済みの2段GM冷凍機6を有する別の冷凍機ユニット102を超電導コイルユニット101に接続すれば、メンテナンス時間が短縮し、メンテナンス自体も簡単化することができる。
図6は、この発明の実施例6に係る超電導マグネットを示す断面図である。図において、超電導コイル1は伝導部材35を介して2段GM冷凍機6の低温側ステージ8によって伝導冷却される。この時、伝導部材35の超電導コイル側接続部を、複数の可撓体36、この実施例では2個の可撓体36で構成し、超電導コイル1の複数箇所を可撓体36を用いて冷却する。
超電導コイル1の1箇所を可撓体36で熱的に接続して冷却すると、その1箇所の熱接続をとった部分から冷却していく。このため、可撓体36で熱接続をとった点から離れた部位にある点の温度は、可撓体36で熱接続をとった点の温度より高くなる。これに対し、この実施例では、超電導コイル1の複数箇所を可撓体36と熱接続して冷却すると、超電導コイル1の温度勾配が小さくなる。超電導コイル1の温度勾配が小さくなるので、超電導マグネットの安定性を向上することができる。
また、初期冷却時、構造物の熱膨張率の違いを可撓体36で吸収し、2段GM冷凍機6や超電導コイル1に熱応力がかかることはない。
図7は、この発明の実施例7に係る超電導マグネットを示す断面図である。図に示すように、この実施例では2個の超電導コイル1を設け、そのそれぞれを可撓体36と接続するように構成している。2個の超電導コイル1は伝導部材35を介して2段GM冷凍機6の低温側ステージ8によって伝導冷却される。
2個の超電導コイル1にそれぞれ可撓体36を接続して冷却すると、2個の超電導コイル1が同時に冷却されるので、2個の超電導コイル1の温度差は小さくなる。超電導コイル1の温度勾配が小さくなるので、超電導マグネットの安定性を向上することができる。
また、超電導コイル1の個数も2個に限るものではない。
図8は、この発明の実施例8に係る超電導マグネットを示す断面図である。図において、37は2段GM冷凍機6の低温側ステージ8と伝導部材35を熱的に接続する冷凍機側可撓体、38は真空槽5aと真空槽5bとを気密に接続するフランジ、3a,3b,3cは電流リードであり、3aは例えば Y−Ba−Cu−O ,Bi−Sr−Ca−Cu−O ,Tl−Ba−Ca−Cu−O ,La−Ba−Cu−O 等の高温超電導体で構成された低温側の電流リード、3bは例えば銅パイプで構成された高温側の電流リード、3cは比較的磁場に強い金属系の超電導線で例えばNbTi,Nb3Sn 等から構成された接続部の電流リードで、超電導コイル1に接続している。31はサファイア,ダイヤモンド,マイラーフィルム,カプトンフィルム等で構成された中間温度部で、高温側の電流リード3bと第2輻射シールド4bと熱的に接続すると共に電気絶縁をする。この中間温度部31は高温側の電流リード3bから超電導コイル1への熱侵入を低減するために設けたものである。
冷凍機側可撓体37は例えば銅などの良熱伝導性材料であり、編組線やバネなどの構造をしている。
また、2段GM冷凍機6の冷凍能力を伝導部材35によって熱伝導で超電導コイル1に伝えることにより、2段GM冷凍機6を超電導コイル1の磁場の影響が少ない場所に配設することができる。このため、2段GM冷凍機6の駆動モータ62が磁場の影響をうけるのを防止できると共に、2段GM冷凍機6の2段目蓄冷器59に過度な電磁力がかかるのを防止でき、冷凍能力が劣化したり信頼性が低下するという事態を避けることできる。
また、真空槽5aと真空槽5bはフランジ38で気密に接続されているので、超電導コイルユニット101と冷凍機ユニット102は容易に分離可能である。このため、メンテナンス時間を短縮でき、メンテナンス自体も簡単化することができる。
図9は、この発明の実施例9に係るクライストロン用超電導マグネットを示す断面図である。図において、30は第1真空槽5aを包囲するように配設した磁気シールドである。2段GM冷凍機6は磁気シールド30に対して超電導コイル1と反対側に配設されているため、超電導コイル1の磁場は2段型GM冷凍機6にほとんど影響を与えない。従って超電導コイル1で強磁場を発生しても2段GM冷凍機6の冷凍能力、信頼性に影響を及ぼすことはない。
また、低温側の電流リード3aに高温超電導体を使用しており、高温超電導体は磁場の影響が小さい方がより電流が流れるという特性がある。このためこの実施例では、低温側の電流リード3aを磁気シールド30に対して超電導コイル1と反対側に配設し、電流リードの中温部と第2輻射シールド4bと熱的に接続している。このように構成することにより、性能が向上する。
この実施例における超電導マグネットにおいて、真空槽4aの中空の部分を電子が運動する。この中空の部分には超電導コイル1が発生した磁場が存在するため電子の運動が規制される。
図10は、この発明の実施例10に係る超電導マグネットを示す断面図である。
この実施例は、実施例9と同様の構成であるが、異なるところは超電導コイル1の設置方向を磁場の向きが水平方向になるようにしている点である。伝導部材35を超電導コイル1の端面に接続し、第1輻射シールド4aと真空槽5aを端面からのばし、第2輻射シールド4bと第2真空槽5bとそれぞれ接続するように構成した。
図11は、この発明の実施例11に係る超電導マグネットを示す断面図である。実施例10と異なるところは、超電導コイル1の設置方向を磁場の向きが別の水平方向になるようにしたことである。即ち、超電導コイル1,第1輻射シールド4a,真空槽5aは、それぞれ円筒形状で構成しており、伝導部材35を超電導コイル1の円筒部に接続し、第1輻射シールド4aと真空槽5aは、円周の一部からのばし、第2輻射シールド4bと第2真空槽5bとそれぞれ接続するように構成した。
さらに、磁気シールド30の端面に障害物がなくなり超電導マグネットを利用しやすくなる。
図12は、この発明の実施例12に係る超電導マグネットを示す断面図である。40は熱交換器で、例えば、ステンレスのパイプでできた初期冷却管であり、冷凍機ユニット102の真空槽5bから導入され、伝導部材35に熱的に接触するように配設され、その先端はU字状に形成されている。図13は伝導部材35と初期冷却管40を拡大して示すもので、図13(a)は上面図、図13(b)は側面図である。初期冷却管40と伝導部材35との接続は、例えば半田付け,ロー付け,接着剤による接着等によって熱的に接続される。
なお、極低温冷媒として液体窒素を使用したが他の極低温冷媒、例えば液体ヘリウムでも適用可能である。
図14は、この発明の実施例13に係る超電導コイルの近傍を示す断面図である。図において、41は真空槽5を介して超電導コイル1と磁気シールド30の相対位置を調整しうる調整機構で、例えば超電導コイル1の周囲に8個設けた調節ネジである。超電導コイル1は支持部材23により真空槽5に固定されている。
図15は、この発明の実施例14に係る超電導コイルの近傍を示す断面図である。調整ネジ41は、真空槽5と輻射シールド4を介して超電導コイル1と磁気シールド30の相対位置を調整しうる調整機構で、実施例13と同様、超電導コイル1の周囲に8個設けている。
また、輻射シールド4を固定する支持部材を、超電導コイル1を固定する支持部材23で兼ねることができ、全体として支持部材の個数を減らすことができ、実施例13に比べ、構成が簡単にできる。
図16は、この発明の実施例15に係る超電導マグネットを示す断面図である。図において、42は2段GM冷凍機6の低温側ステージと高温側ステージ間で熱輸送を行う熱輸送パイプで、例えば熱対流を利用した熱対流パイプである。図17(a)及び(b)は熱対流パイプ42を示す断面図及び上面図である。図において、61は熱対流パイプ42のフランジで、熱伝導率の大きい材料、例えば銅で構成し、一方の端面は伝熱面積を増加するために溝加工を施している。62は熱伝導率の小さい材料、例えばステンレスで加工されたパイプである。また、図16で、44は極低温冷媒充填用のバルブ、45は極低温冷媒として例えばヘリウムガスを保存するヘリウムボンベ、46は真空引き用のバルブ、47は真空ポンプである。バルブ44とボンベ45とで極低温冷媒を熱対流パイプ42に充填する充填手段を構成し、バルブ46と真空ポンプ47とで熱対流パイプ42の極低温冷媒を減圧する減圧手段を構成している。
この際、熱対流パイプ62の熱伝導率は小さいので、高温側ステージ9から低温側ステージ8への熱伝導は無視でき、低温側ステージ8及び超電導コイル1の到達温度は熱対流パイプ42を配設していないときとほとんど変わらない。
なお、この実施例では極低温冷媒としてヘリウムガスを使用したが、他の極低温冷媒、例えば窒素,アルゴン,ネオン,水素,空気,酸素等でも適用できる。
図18は、この発明の実施例16に係る超電導マグネットを示す断面図である。図において、48は熱輸送パイプで、例えば断面形状がドーナツ状の熱対流パイプである。熱対流パイプ48のさらに詳しい構成を図19に示す。図19(a)及び(b)は熱対流パイプ48を示す断面図及び上面図である。図において、63は熱対流パイプのフランジで断面形状がドーナツ状であり、熱伝導率の大きい材料、例えば銅で構成し、一方の端面は伝熱面積を増加するために溝加工を施している。64は熱伝導率の小さい材料、例えばステンレスで加工されたパイプで、2本のパイプを同心円上に配設している。
また、この実施例では、熱対流パイプ48は支持部材としての効果も期待でき、支持部材の本数を減らすこともできる。
図20は、この発明の実施例17に係る超電導マグネットを示す断面図である。この実施例では実施例15の構成に加え、熱対流パイプ42を複数個、例えば2本設け、超電導コイル1に対して対称位置に配設している。これにより、2段GM冷凍機6の高温側ステージ9から低温側ステージ8への熱輸送は2倍になり、超電導コイル1の低温側ステージ8による初期冷却時間を更に短縮することができる。
また、熱対流パイプ42を超電導コイル1に対して対称位置に設置したことにより、初期冷却時の超電導コイル1の温度勾配を緩和することができ、熱応力による超電導コイル1の性能低下を防ぐことができる。
なお、この実施例では熱対流パイプ42の本数を2本としたが、これに限るものではなく、2本以上でも同様に適用できる。
図21は、この発明の実施例18に係る超電導マグネットを示す断面図である。この実施例は実施例9の構成に加え、磁気シールド30の開口部を対称位置に設けている。これにより、実施例9の効果に加え、磁気シールド30の存在によって超電導コイル1に生じる電磁力が対称になり、支持部材23の負荷を減らすことができ、また精度の高い磁場分布が得られる。
また、蓄冷型冷凍機としてギフォード・マクマホンサイクル(GM)冷凍機を用いるものとしているが、ここでいうギフォード・マクマホンサイクル冷凍機とはギフォードマクマホンサイクルで動作する蓄冷型冷凍機に加えて、ギフォード・マクマホン冷凍機と類似の改良ソルベイサイクルで動作する蓄冷型冷凍機も含むものである。
さらに、蓄冷型冷凍機としてギフォード・マクマホンサイクル冷凍機に限定されるものではなく、例えばスターリング冷凍機、パルスチューブ冷凍機、ビルマイヤー冷凍機でも適用できる。
また、蓄冷型冷凍機の磁性蓄冷材として、Ho−Er−Ruの組成を有する材料を使用したが、他の磁性蓄冷材、例えばEr−Ni,Gd−Rh,Gd−Er−Rh,Er−Ni−Co,Ey−Yb−Ni等の組成を有する磁性蓄冷材でも適用できる。
Claims (2)
- 超電導コイル、上記超電導コイルを包囲する輻射シールド、上記輻射シールドを包囲する真空槽、上記超電導コイルを低温側ステージ,上記輻射シールドを高温側ステージで冷却する蓄冷型冷凍機、上記高温側ステージと上記低温側ステージ間で熱輸送を行う熱輸送パイプ、上記熱輸送パイプに極低温冷媒を充填する充填手段、及び上記熱輸送パイプの極低温冷媒を減圧する減圧手段を備えたことを特徴とする超電導マグネット。
- 断面形状がドーナツ状の熱輸送パイプを、蓄冷型冷凍機の高温側ステージと低温側ステージ間のシリンダを包囲するように配設し、上記高温側ステージと上記低温側ステージ間で熱輸送を行うことを特徴とする請求項1記載の超電導マグネット。
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