JP3046430B2

JP3046430B2 - 層状中空成形品

Info

Publication number: JP3046430B2
Application number: JP3323202A
Authority: JP
Inventors: 村上　　真人; 洋三永井
Original assignee: Showa Denko KK
Current assignee: Showa Denko KK
Priority date: 1991-12-06
Filing date: 1991-12-06
Publication date: 2000-05-29
Anticipated expiration: 2015-05-29
Also published as: JPH05156036A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、炭化水素類に対するよ
り良好な透過防止性能をもつ層状中空成形品に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】炭化水素類を保存するための容器の素材
として合成樹脂が多くの分野において期待され、あるい
は実用化されており、容器の一例として自動車用ガソリ
ンタンクがある。また、材料としてはポリエチレン（特
に超高分子量の高密度ポリエチレン）が経済性、成形加
工性、機械的強度などの点でバランスに優れている。

【０００３】しかし、ポリエチレン製燃料タンクは、保
存された燃料の気体または液体が容器のポリエチレンの
壁を通して大気中に散逸しやすいという欠点を有してい
る。

【０００４】かかる問題点を解決する方法として、ポリ
エチレン、ポリアミド、アルキルカルボキシル置換した
ポリオレフィンよりなり、ポリエチレンは連続マトリッ
クス相として存在し、ポリアミドは該連続相中に多数の
薄い、実質的に２次元的で平行且つ重なった層の形態で
存在する層状中空成形品の製造方法が提案されている
（特公昭６０−１４６９５号公報）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記方法
においては、ポリアミドの層が中空成形品の表面には現
れないが外面付近あるいは内面付近に偏在したり、ある
いはポリアミドの一部が層状ではなく細かく分散した粒
子状の形態で存在するという現象が起こり炭化水素類に
対する透過防止性能および機械的強度が安定した成形品
が得られないという問題があった。

【０００６】以上のことから、本発明は安定した炭化水
素類に対する透過防止性能、および機械的強度をもつ層
状中空成形品を得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明にしたがえば、こ
の問題点は、ポリエチレン、ポリアミドおよびアルキル
カルボキシル置換したポリオレフィンよりなり、該ポリ
エチレンは連続マトリックス相として存在し、ポリアミ
ドは該連続相中に多数の薄い、実質的に２次元的で平行
且つ重なった層の形態で存在する層状中空成形品におい
て、上記ポリエチレンとしてメルトフローレート（以下
ＭＦＲという）が０．０１〜０．５ｇ／10分であるポリ
エチレン５５〜９５重量％およびＭＦＲが５〜１００ｇ
／10分であるポリエチレン４５〜５重量％からなるポリ
エチレンを用いることを特徴とする層状中空成形品によ
って解決できる。以下本発明を詳しく説明する。

【０００８】本発明で使用するポリエチレンは、エチレ
ンを単独重合またはエチレンと多くとも１０重量％のα
−オレフィン（一般には炭素数が多くとも１２個）とを
共重合することによって得られる、中密度ないし高密度
ポリエチレンであり、ＭＦＲが０．０１〜０．５ｇ／10
分であるポリエチレン５５〜９５重量％およびＭＦＲが
５〜１００ｇ／10分であるポリエチレン４５〜５重量％
からなるポリエチレンである。

【０００９】ＭＦＲが５〜１００ｇ／10分であるポリエ
チレンの組成割合が５重量％未満ではポリアミド層が中
空成形製品壁の表面には現れないが、外面付近あるいは
内面付近に偏在したり、あるいは該ポリアミドの一部が
層状ではなく細かく分散した粒子状の形態で存在するこ
とがあり、安定した透過防止性能が得られない。また、
４５重量％を超えると、中空成形時にドローダウンを起
こし好ましくない。

【００１０】ＭＦＲが０．０１ｇ／10分未満では中空成
形における円筒形の溶融樹脂（パリソン）の押出が困難
になる。また、ＭＦＲが０．５ｇ／10分を超えると、中
空成形時にドローダウンを起こし好ましくない。ＭＦＲ
が０．０１〜０．５ｇ／10分であるポリエチレンとし
て、好適には重量平均分子量１５万以上の高密度ポリエ
チレンが用いられる。

【００１１】これら２種類のポリエチレンの混合は、通
常の押出機（単軸でも２軸でもよい）を用いて行い、ポ
リエチレンが分解しない３００℃以下の温度で溶融混練
してペレット化し、中空成形時にはペレットの形で使用
する。ポリアミドの層状構造の形成を妨害するものまた
は量でない限りは、本発明の組成物中で使用するポリエ
チレンに安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、帯電防止剤
等を加えても良い。

【００１２】また、発明で用いるポリアミドは、カルボ
ン酸と第一アミンを公知の条件下で反応させることによ
って、製造することができる。カルボン酸としては、例
えばアジピン酸、スベリン酸、セバチン酸、アゼライン
酸、マロン酸、グルタル酸およびピメリン酸などがあ
る。第一アミンとしては、例えばテトラメチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、およびオクタメチレンジアミンなどがある。ポリア
ミドの代表的な例としては、ポリベンタメチレンアジパ
ミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチ
レンセバカミドならびにカプロラクタムのようなラクタ
ムあるいは１０−アミノウンデカン酸のようなアミノ酸
から取得することができるポリアミドなどが挙げられ
る。この中でも、ポリヘキサメチレンアジパミドおよび
ポリカプロアミドが好適に用いられる。

【００１３】さらに、本発明で用いるアルキルカルボキ
シル置換したポリオレフィンは、ポリオレフィンにカル
ボキシル基を有する不飽和単量体をグラフト反応するこ
とにより得られるもので、一般に相溶化剤として広く用
いられているものである。ポリオレフィンとしては、ポ
リエチレンまたはエチレンとα−オレフィン（炭素数３
〜８）との共重合体を挙げることができる。カルボキシ
ル基を有する不飽和単量体としては、例えばアクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ル酸などを挙げることができる。

【００１４】本発明の中空成形品の組成割合は、ポリエ
チレンは通常８０〜９８重量％であり、ポリアミドは通
常１〜１０重量％である。また、アルキルカルボキシル
置換したポリオレフィンは通常１〜１０重量％である。
これらの各成分の混合は、公知の手段によって、例えば
Ｖ字形混合機または回転混合機を用いて達成することが
できる。

【００１５】次に、混合物を最高の融点を有する成分の
融点よりも高い温度に加熱する。加熱は多くの公知の手
段のいずれかによって行うが、通常は押出機を用いて行
う。例えば、単軸押出機は、ポリエチレン、ポリアミド
２相の均一化を生じさせることなく使用することができ
る。本発明の中空成形品の製造は、公知の中空成形機を
用いて行う。すなわち、円筒形の溶融樹脂（パリソン）
の押出しとその後の成形品へのパリソンの吹込成形の組
合せによって達成することができる。この成形品におい
て、ポリアミドはポリエチレン連続相中で不連続相をな
し、かつ０．５ミクロメートルよりも厚く５０ミクロメ
ートルよりも薄い厚さで存在する。

【００１６】

【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳しく
説明する。なお、成形品の特性は次に示す方法により求
めた。燃料透過量は、レギュラーガソリンあるいは１０
％のメチルアルコールを含む該ガソリン（以下「ガソホ
ール」という）１，７００ccをそれぞれ充填し、４０℃
の温度において１４日間開放系で状態調節した後、内容
液をすべて廃棄し、新たに状態調節に用いたのと同じ液
を１，７００cc充填し、口を密閉してから４０℃の温度
において防爆型恒温槽に８週間放置した後の重量損失か
ら１日当りの透過量を求めた。

【００１７】また、座屈強度は、レギュラーガソンリン
３，３００ccを充填し密栓した後、常温（約２０℃）に
２８日間放置した後、常温（約２０℃）において圧縮試
験機にかけ、成形品が座屈を起こす荷重を求めた。

【００１８】実施例１〜３密度０．９４ｇ／ｃｍ³ 、ＭＦＲ０．０５ｇ／10分であ
る高密度ポリエチレン（以下ＰＥ１という）と密度０．
９５ｇ／ｃｍ³ 、ＭＦＲ１０ｇ／10分である高密度ポリ
エチレン（以下ＰＥ２という）を表１に示す組成割合
で、通常の押出機により混練し、ペレットとした。各混
合ペレット９３重量部と米国デュポン社製シーラーＲＢ
９０１（重量比でポリアミド４とカルボキシル基変性ポ
リエチレン３との混合物）７重量部を通常の連続混合機
によって混合した後、中空成形機により、平均肉厚２ｍ
ｍ、内容積３，３００ｃｍ³ の角型ボトルを成形した。
得られた各角型ボトルについて燃料透過量および座屈強
度を測定した。その結果を表１に示す。

【００１９】比較例１〜３表１にＰＥ１とＰＥ２の組成比およびポリエチレンとシ
ーラーとの重量比が示されている各組成成分を実施例と
同様にして混合、成形し角型ボトルを得た。各ボトルに
ついて燃料透過量および座屈強度を測定した。その結果
を表１に示す。ただ、比較例３においては、成形時パリ
ソンがドローダウンを起こし成形できなかった。

【００２０】

【表１】

【００２１】本発明のボトルは、ほぼ同等の座屈強度を
有しながら、ポリエチレン単味ボトルの約１５倍、単一
の高密度ポリエチレンを用いたポリアミド層状構造を有
するボトルの約３倍のガソリンに対する透過防止性能を
示すことは特筆に値する。

【００２２】さらに、目視による断面観察も行った。目
視による試験は光学顕微鏡を使用し、ボトルから取った
材料の縁の薄片をナイロン染料で染色してから検査する
ことによって行った。その結果実施例のボトルは、ボト
ルの壁の厚さのほぼ中央部に分布した層状構造のポリア
ミド層であった。ポリアミド層は、約２ｍｍの厚さのボ
トルの壁を横切る多数の重なった層として分布してお
り、約１〜３０ミクロメートルの厚さであると推定され
た。一方、比較例２のボトルは、ポリアミド層がボトル
の壁の表面には現われないが多数の重なった層と細かく
分散した粒子状との２つの形状のものが外表面付近に数
多く観察された。

【００２３】

【発明の効果】本発明の層状構造を有する中空成形品
は、炭化水素類に対するより良好な透過防止性能、およ
び機械的強度を有してなり、自動車用ガソリンタンクと
して有用である。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩＣ０８Ｌ 77:00）Ｂ２９Ｋ 23:00 Ｂ２９Ｌ 22:00 Ｃ０８Ｌ 23:04 (56)参考文献特開平３−70745（ＪＰ，Ａ) 特開昭55−121017（ＪＰ，Ａ) 特開昭48−75646（ＪＰ，Ａ) 特開昭50−49379（ＪＰ，Ａ) 特公昭52−28144（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C08J 5/00 C08L 23/04 - 23/06

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリエチレン、ポリアミドおよびアルキ
ルカルボキシル置換したポリオレフィンよりなり、該ポ
リエチレンは連続マトリックス相として存在し、ポリア
ミドは該連続相中に多数の薄い、実質的に２次元的で平
行且つ重なった層の形態で存在する層状中空成形品にお
いて、上記ポリエチレンがメルトフローレート０．０１
〜０．５ｇ／10分であるポリエチレン５５〜９５重量％
およびメルトフローレート５〜１００ｇ／10分であるポ
リエチレン４５〜５重量％からなることを特徴とする層
状中空成形品。