JP2018012210A - ポリオレフィン系中空容器及びその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系中空容器及びその製造方法 Download PDF

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浩介 大塚
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尚史 小田
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Abstract

【課題】バリア性及び強度に優れた中空容器及びその製造方法を提供すること。【解決手段】未変性ポリオレフィン(A)60〜90質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)5〜35質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位であるポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計を100質量部とする。)と、を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を調製する工程、該ポリオレフィン系樹脂組成物を多層成形機の少なくとも2つの樹脂流入口から多層成形機に導入する工程を有し、該ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口のうち少なくとも2つが60°以上離れて配置されていることを特徴とする、ポリオレフィン系中空容器の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系中空容器及びその製造方法に関する。
炭化水素類や各種薬品、トイレタリー用品、化粧品、飲料、練り食品等を保存するための容器、あるいは、それらを移送するためのものとしては、例えば、タンク、ビン、缶、チューブ等が挙げられる。その素材として従来使用されていた金属やガラスは、その多くがプラスチックへ代替されつつある。プラスチックは金属やガラスと比較して軽量、防錆処理不要、割れにくい、形状の自由度が高い等の特長がある。
上述の用途のうち、各種薬品、トイレタリー用品、化粧品、飲料、練り食品等の用途に使用される容器の多くは、高密度ポリエチレン(以下、「HDPE」と略する場合がある。)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE」と略する場合がある。)、ポリプロピレン(以下、「PP」と略する場合がある。)等のポリオレフィン類を利用したものであり、機械強度、成形加工性、意匠性、及び経済性に優れる。しかし、その容器は、容器内部に保存される物品の成分が容器壁を通して大気中に蒸散してその物品の機能が損なわれたり、容器壁外部から酸素が容器壁を通過して容器内物品が酸化されて品質が劣化する等の問題があった。
上記の欠点を解消するために、プラスチック容器にバリア性を付与する技術が利用されている。例えば、プラスチック容器に中間層としてエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(以下、「EVOH」と略する場合がある。)のようなバリア性樹脂を積層して多層構造とする方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。更に、ナイロン6、66等のポリアミド類と接着性樹脂をHDPE等とブレンドし、その組成物から単層容器(ブレンド単層容器)を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。また、前記ブレンド単層容器において、ナイロン6等のポリアミド類よりもバリア性に優れるポリメタキシリレンアジパミド(以下、「MXD6」と略する場合がある。)を使用する方法も開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。
特開平06−328634号公報 特開昭55−121017号公報 特開2005−206806号公報
本発明は、バリア性及び強度に優れた中空容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、かかる実情に鑑みなされたものであり、本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)、及び特定のポリアミド(C)を特定量含有するポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、多層成形機にて、60°以上離れて配置された樹脂流入口から上記ポリオレフィン系樹脂組成物を流入することにより、バリア性及び強度に優れたポリオレフィン系中空容器が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は以下の<1>〜<7>に関する。
<1> 未変性ポリオレフィン(A)60〜90質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)5〜35質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位であるポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計を100質量部とする。)と、を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を調製する工程、該ポリオレフィン系樹脂組成物を多層成形機の少なくとも2つの樹脂流入口から多層成形機に導入する工程を有し、該ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口のうち少なくとも2つが60°以上離れて配置されていることを特徴とする、ポリオレフィン系中空容器の製造方法。
<2> 前記ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口のうち少なくとも2つが90°以上離れて配置されている、前記<1>に記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
<3> 前記ポリアミド(C)が、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とイソフタル酸のモル比率が70:30〜100:0である、前記<1>又は<2>に記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
<4> 前記未変性ポリオレフィン(A)が、MFRが0.01〜5g/10分であるポリプロピレン又はポリエチレンである、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
<5> 前記未変性ポリオレフィン(A)が、高密度ポリエチレンである、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
<6> 前記酸変性ポリオレフィン(B)が、酸変性ポリエチレンである、前記<1>〜<5>のいずれかに記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
<7> 未変性ポリオレフィン(A)60〜90質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)5〜35質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位であるポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計を100質量部とする。)と、を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなる層を有するポリオレフィン系中空容器であり、前記中空容器が、ポリアミド(C)からなる層を2層以上有し、前記中空容器の中心部から外周方向への断面において、ポリアミド(C)からなる層が形成されていない部分の総角度が10°以下であることを特徴とする、ポリオレフィン系中空容器。
本発明によれば、バリア性及び強度に優れた中空容器及びその製造方法を提供することができる。
本発明で使用される多層成形機の一例を示す断面図である。 本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、単層成形機にて作製したポリオレフィン系中空容器の胴部断面の模式図である。 本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、2層の多層成形機にて作製したポリオレフィン系中空容器の胴部断面の模式図である。 実施例1で得られたダイレクトブローボトルを水平方向に切断して、その断面を拡大して示す写真である。なお、ポリアミド(C)からなる層は希ヨードチンキで染色した。 比較例1で得られたダイレクトブローボトルを水平方向に切断して、その断面を拡大して示す写真である。なお、ポリアミド(C)からなる層は希ヨードチンキで染色した。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下の説明において、数値範囲を表す「A〜B」の記載は、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は、「A以下B以上」(A>Bの場合)を意味する。
[ポリオレフィン系中空容器の製造方法]
本発明のポリオレフィン系中空容器(以下、単に「中空容器」ともいう。)の製造方法は、未変性ポリオレフィン(A)60〜90質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)5〜35質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位であるポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計を100質量部とする。)と、を含有するポリオレフィン系樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」又は「本発明のポリオレフィン系樹脂組成物」ともいう。)を調製する工程、該ポリオレフィン系樹脂組成物を多層成形機の少なくとも2つの樹脂流入口から多層成形機に導入する工程を有し、該ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口のうち少なくとも2つが60°以上離れて配置されていることを特徴とする。
未変性ポリオレフィン(A)60〜90質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)5〜35質量部と、ポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計を100質量部とする。)と、を含有するポリオレフィン系樹脂組成物により形成されたポリオレフィン系中空容器は、強度、特に耐落下衝撃性に優れ、また、ポリアミド(C)を層状に分散させることにより、高いバリア性を発現させている。成形時の温度条件や成形条件の最適化により、層状分散性の改善が行われている。本発明者は、従来のように単層成形機で成形した場合、ダイレクトブロー成形を行うと、ウェルドの部分でポリアミド層が途切れてしまう場合があり、その場合には、バリア性の改善効果が十分ではないことを見出した。
本発明では、多層成形機を用いて中空容器を作製し、上述のポリオレフィン系樹脂組成物を少なくとも2つの樹脂流入口から導入し、かつ、ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口のうち少なくとも2つを60°以上離れて配置することにより、優れたバリア性が得られることを見出した。上記の効果が得られる詳細な機構は明らかではないが、一部は以下のように推定される。
すなわち、多層成形機を用いることで、層ごとのウェルドの位置をずらすことが可能となり、かつ、樹脂流入口を60°以上離れて配置することにより、ウェルドの位置が十分に離れて配置されるため、容器全体としてはポリアミド(C)の層が途切れることなく容器の全体に分散され、中空容器としてのバリア性が向上するものと推定される。
なお、得られるポリオレフィン系中空容器が、上記ポリオレフィン系樹脂組成物のみからなる中空容器である場合、EVOHやポリアミド(C)のみからなる層を有する多層成形品と比較して、バリのリサイクルによるコストダウンも可能であり、工業的にも有利である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリオレフィン系樹脂組成物>
本発明のポリオレフィン系中空容器の製造方法で使用される、ポリオレフィン系樹脂組成物について最初に説明する。
〔未変性ポリオレフィン(A)〕
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、未変性ポリオレフィン(A)を含有する。なお、「未変性ポリオレフィン」とは、酸変性ポリオレフィン(B)に対する用語であり、酸により変性されていないポリオレフィンを意味する。
本発明で用いられる未変性ポリオレフィン(A)としては、種々のものが挙げられるが、好ましくは低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、1−ポリブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などの炭素数2以上、好ましくは2〜8のエチレン系炭化水素の単独重合体及び炭素数3〜20のα−オレフィンの単独重合体;エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィンよりなる群から選択される少なくとも2種の単量体に由来する構成単位を有する共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−デセン共重合体など)、炭素数3〜20のα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体(ノルボルネンとの共重合体など)が挙げられる。これらのポリオレフィンは単独で用いることもできるし、2種類以上の混合物として使用することもできる。
これらのポリオレフィンの中で、ポリエチレン、ポリプロピレン、1−ポリブテン等の樹脂、又は、α−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体等のガラス転移点の高い樹脂が好ましく、中でも、ポリエチレンやポリプロピレンが好ましく用いられ、ポリエチレンがより好ましく、高密度ポリエチレン(HDPE)が更に好ましい。
高密度ポリエチレン(HDPE)は、密度が0.942g/cm以上のポリエチレンであり、好ましくはその密度が、0.97g/cm以下、より好ましくは0.945〜0.96g/cmである。ポリエチレンは、密度が高くなることで結晶性が十分なものとなり、構造体に収納される内容物の種類によらず、その内容物を保存することが可能となる。また密度が0.97g/cm以下であれば、ポリエチレンがガラスのように脆くなることはなく、中空容器として実用的な強度を発揮することができる。
本発明で用いられる未変性ポリオレフィン(A)は、190℃、21.18N(2.16kgf)の荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.01〜5g/10分の範囲にあることが好ましい。前記MFRが5g/10分以下であれば、ポリアミド(C)が、中空容器中で粒状に分散することなく、層状に分散するので、バリア性が向上する。また、MFRが0.01g/10分以上であると、成形性に優れる。
未変性ポリオレフィン(A)のMFR(190℃、21.18N)は、0.01g/10分以上であることが好ましく、0.03g/10分以上であることがより好ましく、0.1g/10分以上であることが更に好ましい。また、5g/10分以下であることが好ましく、2.5g/10分以下であることが更に好ましく、1.0g/10分以下であることがより更に好ましく、0.5g/10分以下であることがより更に好ましい。
未変性ポリオレフィン(A)のMFRは、JIS K 7210:2014に記載の方法に準拠して測定される。
未変性ポリオレフィン(A)の融点は、特に限定されないが、分散性の観点から、好ましくは110〜150℃であり、より好ましくは125〜140℃である。
〔酸変性ポリオレフィン(B)〕
本発明の樹脂組成物は、酸変性ポリオレフィン(B)を含有する。酸変性ポリオレフィン(B)は、樹脂組成物を構成する未変性ポリオレフィン(A)とポリアミド(C)とを接着する役割を有する。本発明では、酸変性ポリオレフィン(B)を用いることで、未変性ポリオレフィン(A)とポリアミド(C)との接着強度を大幅に向上させることができる。また、ポリアミド(C)の層状分散性に寄与するため、バリア性をより一層向上させることができる。
本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン(B)は、上記ポリオレフィンが不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性されたものであることが好ましく、一般に相溶化剤や接着剤として広く用いられているものである。
酸変性ポリオレフィン(B)は、酸変性ポリエチレンであることが好ましい。
不飽和カルボン酸又はその無水物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、クロロマレイン酸、ブテニルコハク酸など、及び、これらの酸無水物が挙げられる。中でも、マレイン酸及び無水マレイン酸が好ましく用いられる。
上記不飽和カルボン酸又はその無水物をポリオレフィンにグラフト共重合して酸変性ポリオレフィンを得る方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、ポリオレフィンを押出機等を用いて溶融させ、グラフトモノマーを添加して共重合させる方法、ポリオレフィンを溶媒に溶解させてグラフトモノマーを添加して共重合させる方法、ポリオレフィンを水懸濁液とした後に、グラフトモノマーを添加して共重合させる方法等を挙げることができる。
酸変性ポリオレフィン(B)の190℃、21.18N(2.16kgf)の荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、未変性ポリオレフィン(A)のメルトフローレートの1〜10倍であることが好ましく、より好ましくは1.5〜9.5倍、更に好ましくは2〜9倍である。酸変性ポリオレフィン(B)のMFRが上記範囲内であると、バリア性が良好であるので好ましい。
本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン(B)は、190℃、21.18N(2.16kgf)の荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.5〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。前記MFRがこの範囲内であれば、成形性やバリア性が向上する。
酸変性ポリオレフィン(B)のMFR(190℃、21.18N)は、0.5〜30g/10分であることがより好ましく、1〜10g/10分であることが更に好ましい。
酸変性ポリオレフィン(B)のMFRは、未変性ポリオレフィン(A)と同様に、JIS K 7210:2014に準拠して測定される。
本発明で用いられるポリアミド(C)は比較的硬い材料であるため、中空容器に衝撃等が加わると界面でクラックや剥離が起きやすくなり、中空容器の強度やバリア性を損なうおそれがある。そのため、本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン(B)として、比較的柔らかい性質を有する密度が比較的低いものを利用することで、ポリアミド(C)に起因する衝撃強度低下を緩和し、中空容器の実用的な強度を保つことができる。
このような観点から、本発明に用いられる酸変性ポリオレフィン(B)の密度は、好ましくは0.90〜0.97であり、より好ましくは0.90〜0.945、更に好ましくは0.90〜0.93である。
酸変性ポリオレフィン(B)の密度が0.90以上であれば、未変性ポリオレフィン(A)と酸変性ポリオレフィン(B)との相溶性が良好なものとなり、更にポリアミド(C)との接着性が向上して中空容器のバリア性が優れたものとなる。また、酸変性ポリオレフィン(B)の密度が0.97以下であれば、酸変性ポリオレフィン(B)が適度な柔らかさを有するため、中空容器に衝撃等が加わった場合でもバリア性の低下を招くことを抑制できる。
酸変性ポリオレフィン(B)の酸変性率を特定の範囲とすることで、中空容器を構成する樹脂組成物中の未変性ポリオレフィン(A)とポリアミド(C)の接着強度を大幅に向上させることができ、その結果得られる中空容器のバリア性を大幅に向上させることができる。
酸変性ポリオレフィン(B)の変性率の指標となるものとしては、酸価が挙げられる。
本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン(B)の酸価は、JIS K0070に記載の方法に準拠して測定される。
本発明において、酸変性ポリオレフィン(B)の酸価は、好ましくは1.0〜25.0mgKOH/gであり、より好ましくは2.0〜20.0mgKOH/gであり、更に好ましくは3.0〜10.0mgKOH/gであり、より更に好ましくは3.5〜9.8mgKOH/gである。
酸変性ポリオレフィン(B)の酸価が1.0mgKOH/g以上であれば、樹脂組成物中の未変性ポリオレフィン(A)とポリアミド(C)との界面の接着性が十分なものとなり、その結果得られた中空容器はバリア性に優れるものとなる。
酸変性ポリオレフィン(B)の酸価が25.0mgKOH/g以下であれば、成形加工時の樹脂組成物の流動性が適度なものとなり、ポリアミド(C)が中空容器の表面に浮き出ることがなく、外観やバリア性に優れたものとなる。
酸変性ポリオレフィン(B)の融点は、成形加工性、及び他の成分との相溶性の観点から、好ましくは100〜170℃であり、より好ましくは105〜150℃であり、更に好ましくは110〜135℃である。
酸変性ポリオレフィン(B)としては、上市されている製品を使用してもよく、具体的には、三井化学(株)製、商品名「アドマー AT1000」(酸変性ポリエチレン、MFR=1.8(190℃、21.18N)、密度=0.927g/cm、酸価=9.5mgKOH/g、融点=123℃)、「アドマー HE810」(MFR=1.7(190℃、21.18N)、密度=0.960g/cm、酸価=19.0mgKOH/g、融点=130℃)が例示される。
〔ポリアミド(C)〕
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド(C)を含有する。
本発明で用いるポリアミド(C)は、ジアミンに由来する構成単位と、ジカルボン酸に由来する構成単位とを含み、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位である。
ジアミンに由来する構成単位は、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含有し、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有する。
メタキシリレンジアミン以外に使用できるジアミンとしては、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
ポリアミド(C)を構成するジカルボン酸単位は、結晶性の観点から、炭素数4〜20のα,ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含有し、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有する。
炭素数4〜20のα,ω−脂肪族ジカルボン酸としてはスベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等が挙げられるが、バリア性及び結晶性の観点から、アジピン酸やセバシン酸が好ましく用いられ、アジピン酸がより好ましい。
炭素数4〜20のα,ω−脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸単位としては、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸や1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、イソフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸は、ポリアミド(C)の製造時における重縮合反応を阻害することなく、バリア性能に優れるポリアミドを容易に得ることができるので好ましい。イソフタル酸及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸の含有量合計は、ポリオレフィン系構造体中のポリアミド(C)の分散性及び構造体のバリア性能の観点から、ジカルボン酸単位の好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは15モル%以下であり、より更に好ましくは10モル%以下である。
本発明において、ポリアミド(C)が、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とイソフタル酸のモル比率が70:30〜100:0であることが特に好ましい。
また前述したジアミン単位及びジカルボン酸単位以外にも、ポリアミド(C)を構成する単位として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類、p−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等を共重合単位として使用できる。
ポリアミド(C)は溶融重縮合法(溶融重合法)により製造される。例えばジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法がある。また、ジアミンを溶融状態のジカルボン酸に直接加えて、重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミンをジカルボン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
ポリアミド(C)の重縮合系内にはアミド化反応を促進する効果や、重縮合時の着色を防止する効果を得るために、リン原子含有化合物を添加してもよい。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等が挙げられる。これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩がアミド化反応を促進する効果が高く、かつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましいが、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
ポリアミド(C)の重縮合系内に添加するリン原子含有化合物の添加量は、重縮合中のポリアミド(C)の着色を防止する観点から、ポリアミド(C)中のリン原子濃度換算で好ましくは1〜500ppm、より好ましくは2〜450ppm、更に好ましくは3〜400ppmである。
ポリアミド(C)の重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリアミド(C)の着色を防止するためにはリン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を共存させることが好ましい。
例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の水酸化物や、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の酢酸塩等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。
ポリアミド(C)の重縮合系内にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数をリン原子含有化合物のモル数で除した値が、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.6〜1.8、更に好ましくは0.7〜1.5である。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の添加量を上述の範囲とすることでリン原子含有化合物によるアミド化反応促進効果を得つつゲルの生成を抑制することが可能となる。
溶融重縮合で得られたポリアミド(C)は一旦取り出され、ペレット化された後、乾燥して使用される。また更に重合度を高めるために固相重合してもよい。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。特にポリアミドの固相重合を行う場合は、上述の装置の中で回転ドラム式の加熱装置が、系内を密閉化でき、かつ着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進めやすいことから好ましく用いられる。
本発明で用いるポリアミド(C)の重合度については、相対粘度が一般的に使われる。ポリアミド(C)の相対粘度(96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/100mLの条件出測定した際の相対粘度)は、中空容器の外観や成形加工性、及び層状分散性の観点から、好ましく1.5〜4.2であり、より好ましくは1.7〜4.0、更に好ましくは2.0〜3.85である。
なお、ここでいう相対粘度は、ポリアミド1gを96質量%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96質量%硫酸そのものの落下時間(t)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t
ポリアミド(C)の融点は、180〜280℃であることが好ましく、200〜260℃であることがより好ましく、225〜240℃であることが更に好ましい。ポリアミド(C)の融点が上記範囲内であると、未変性ポリオレフィン(A)及び酸変性ポリオレフィン(B)中にポリアミド(C)が層状に分散しやすく、その結果、バリア性が良好となるので好ましい。
(酸素吸収性能付与)
本発明で用いるポリアミド(C)において、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、銅及び亜鉛等の遷移金属から選択された1種以上の金属原子を、ポリアミド(C)を構成するポリアミドの重縮合反応開始前、反応中、又は押出成形時に化合物又は錯体として添加することで、酸素吸収性能を付与することができる。また、不飽和二重結合を持ったポリブタジエンなどのジエン系化合物などを添加して酸素吸収性能を付与することも可能である。
本発明において、前記金属原子をポリアミド(C)中に添加、混合するためには金属原子を含有する化合物(以下、金属触媒化合物と称する)を用いることが好ましい。金属触媒化合物は、前記金属原子の低価数の無機酸塩、有機酸塩又は錯塩の形で使用される。
無機酸塩としては、塩化物や臭化物等のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等が挙げられる。また、β−ジケトン又はβ−ケト酸エステル等との遷移金属錯体も利用することができる。中でも、酸素吸収機能が良好であることから、前記金属原子を含むカルボン酸塩、ハロゲン化物、アセチルアセトネート錯体が好ましい。
上記金属触媒化合物は、1種単独で添加してもよく、2種以上を添加することができるが、金属原子としてコバルトを含むものが特に酸素吸収機能に優れており、好ましく用いられる。
ポリアミド(C)に添加される前記金属原子の濃度は特に制限はないが、ポリアミド(C)を構成するポリアミドに対して1〜1,000ppmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜700ppmである。金属原子の添加量が1ppm以上であれば、本発明の中空容器におけるバリア効果に加え、酸素吸収機能が十分に発現し、酸素バリア性の向上効果が得られる。ポリアミドに金属触媒化合物を添加する方法は特に限定されず、任意の方法で添加することができる。
〔各材料の配合比率〕
本発明の樹脂組成物を構成する各材料の配合比率は、未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)、及びポリアミド(C)の3成分の合計を100質量部としたとき、未変性ポリオレフィン(A)が60〜90質量部、酸変性ポリオレフィン(B)が5〜35質量部、ポリアミド(C)が3〜30質量部である。前記配合比率としては、好ましくは未変性ポリオレフィン(A)が65〜90質量部、酸変性ポリオレフィン(B)が5〜25質量部、ポリアミド(C)が3〜30質量部であり、より好ましくは未変性ポリオレフィン(A)が65〜90質量部、酸変性ポリオレフィン(B)が5〜20質量部、ポリアミド(C)が5〜30質量部であり、更に好ましくは未変性ポリオレフィン(A)が70〜90質量部、酸変性ポリオレフィン(B)が5〜20質量部、ポリアミド(C)が5〜25質量部である。
(A)〜(C)の3成分の配合比率を上述の範囲に設定することによって、中空容器のバリア性能を効率的に高めることができ、かつ中空容器の強度低下を最小限にすることができる。本発明の樹脂組成物は、未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)、及びポリアミド(C)の3成分からなることが好ましい。
〔その他の樹脂〕
その他、本発明の効果を損なわない範囲で上述の材料以外にも、例えば、アイオノマー;エチレン−エチルアクリレート共重合体やエチレン−メチルアクリレート共重合体等の各種変性ポリエチレン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート等の各種ポリエステル;ナイロン6やナイロン66等の各種ポリアミド;スチレン−ブタジエン共重合体やその水添化物;各種熱可塑性エラストマー等を添加することができ、これらに限定されることなく様々な材料を配合することができる。
また、本発明において、樹脂成分として、リサイクル材を含有することも好ましい。リサイクル材としては、上記の本発明の樹脂組成物を用いて容器を製造した際に発生する端材やパージくずを構成する樹脂材料を粉砕機によって粉砕し、構成材料の一部として使用することが例示される。リサイクル材を使用する場合、リサイクル材の使用量は、(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して、300質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることが更に好ましい。また、5質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、25質量部以上であることが更に好ましい。
〔添加剤〕
本発明において、樹脂組成物の成形性、中空容器に要求される性能に応じて、樹脂組成物中に滑剤、結晶化核剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、酸化防止剤、エラストマー、無機顔料、有機顔料、無機顔料マスターバッチ、有機顔料マスターバッチ等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加することができる。
<その他の層>
本発明において、ポリオレフィン系中空容器は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物から形成される層に加え、更なる強度やバリア性等を付与することを目的として、他の樹脂又は樹脂組成物から形成される層(その他の層)を有していてもよい。
その他の層としては、強度の付与を目的として、高密度ポリエチレン(HDPE)から形成される層等が例示される。また、意匠性の付与を目的として、顔料を配合した高密度ポリエチレン(HDPE)から形成されるマーブル模様を有する層等が例示される。
なお、意匠性の付与を目的として、その他の層を形成してもよい。
<製造方法>
本発明において、ポリオレフィン系中空容器の製造方法は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を多層成形機の少なくとも2つの樹脂流入口から多層容器に導入する工程を有し、ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口のうち少なくとも2つが60°以上離れて配置されていることを特徴とする。
上記多層成形機は、ダイレクトブロー成形により製造することが好ましく、上記多層成形機は、多層ダイレクトブロー成形機であることが好ましい。
以下、図面を参照して説明する。
図1は、本発明で使用される多層成形機の一例を示す断面図である。
多層成形機10において、ダイス11は、角型ブロックからなるダイスハウジング12を備え、該ダイスハウジング12には、内部マンドレル13及び外部マンドレル14が収納されている。
内部マンドレル13と外部マンドレル14との境界、及び外部マンドレル14とダイスハウジング12との境界には、それぞれ樹脂流路15及び16が設けられている。そして、樹脂供給装置17には、樹脂組成物Aが収容され、樹脂供給装置21には樹脂組成物Bが収容されている。なお、図1に示される多層成形機10は、2層の成形機であり、樹脂組成物A及び樹脂組成物Bはいずれも本発明のポリオレフィン系樹脂組成物である。
樹脂供給装置17は、内部に供給された樹脂組成物Aを溶融させ、加圧して、樹脂流路18を通って、ダイス11に設けられた樹脂流入口19から、樹脂流路15に樹脂組成物Aを送り込み、パリソン20の射出圧力を発生させるようにしている。
同様に、樹脂供給装置21は、内部に供給された樹脂組成物Bを溶融させ、加圧して樹脂流路22を通ってダイス11に設けられた樹脂流入口23から、樹脂流路16に樹脂組成物Bを送り込み、パリソン20の射出圧力を発生させるようにしている。
このとき、2つの樹脂流入口23、19は、180°離れて配置されている。
ここで、樹脂流入口がA°離れて配置されているとは、多層成形機が円筒のマンドレルを有する場合には、マンドレルの断面形状は円形であり、該円形の中心からの角度をいう。また、マンドレルが円筒形ではない場合には、断面における重心からの角度をいう。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口のうち少なくとも2つが60°以上離れて配置されていればよい。樹脂流入口のうち少なくとも2つが90°以上離れて配置されていることが好ましく、120°以上離れて配置されていることがより好ましく、150°以上離れて配置されていることが更に好ましい。なお、上限は180°である。
なお、ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口が3つ以上存在する場合には、いずれか2つが60°以上離れて配置されていればよい。
上述のように、樹脂流入口を離れて配置することにより、ウェルドの付近等において、ポリアミド(C)の層が形成されていない箇所があっても、別の層によりポリアミド層が形成され、結果としてポリアミド(C)の層が中空容器全体に形成され、優れたバリア性が得られる。
本発明において、多層成形機の樹脂流入口には、各層を形成する樹脂又は樹脂組成物が導入される。すなわち、本発明において、少なくとも2つの樹脂流入口から本発明の樹脂組成物を導入することは、本発明の樹脂組成物から形成される層を2層以上有することを意味する。
なお、本発明の樹脂組成物から形成される層の数は、2以上であり、ポリアミド(C)の層状の分散性を良好にする観点から、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることが更に好ましい。一層あたりの膜厚が薄くなりすぎると、良好なポリアミド(C)の層状分散性が得られない場合がある。
本発明のポリオレフィン系中空容器は、上述のようにして形成されたパリソン20を、図外の金型内に収容した後、パリソン20の内方に空気を吹き込んで金型の内面に密着させ、パリソン20を中空容器の形状とすることによって得られる。
<ポリオレフィン系中空容器>
本発明のポリオレフィン系中空容器は、上述したポリオレフィン系樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)からなる層を2層以上有し、該ポリオレフィン系中空容器は、ポリアミド(C)からなる層を2層以上有し、かつ、中空容器の中心部から外周方向への断面において、ポリアミド(C)からなる層が形成されていない部分の総角度が10°以下である。
なお、ポリアミド(C)からなる層が形成されていない部分が複数存在する場合には、それらの角度の総和が、ポリアミド(C)からなる層が形成されていない部分の総角度である。なおポリアミド(C)からなる層が形成されていない部分の総角度は、ポリオレフィン系中空容器を胴部中央部で水平に切断し、ポリアミドを希ヨードチンキで染色し、その断面を拡大観察することで測定する
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて製造された中空容器は、ポリアミド(C)が層状に分散している箇所を有し、ポリアミド(C)が層状に分散することによって、バリア性が発揮される。
図2は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、単層成形機にて作製したポリオレフィン系中空容器30の胴部断面の模式図である。なお、胴部断面は、中空容器の口部と底部を結ぶ方向を垂直方向としたとき、水平方向の断面である。胴部断面では、ポリアミド(C)31が層状に分散しているが、ウェルド付近で、ポリアミド(C)31からなる層が形成されていない部分があり(図中、矢印で示している。)、図2では、ポリアミド(C)31からなる層が形成されていない部分の総角度は、X°である。
図3は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、2層の多層成形機にて作製したポリオレフィン系中空容器30の胴部断面の模式図である。なお、胴部断面は、中空容器の口部と底部を結ぶ方向を垂直方向としたとき、水平方向の断面である。胴部断面では、ポリアミド(C)31が層状に分散しており、2層のポリアミド(C)からなる層が形成されている。図3では、各層では、ウェルド付近で、ポリアミド(C)31からなる層が形成されていない部分があるものの、容器全体としてはポリアミド(C)31からなる層が形成されていない部分がない。
このように、本発明のポリオレフィン系中空容器は、樹脂流入口の角度を離れて配置することにより、ウェルドの位置がずれるために、容器全体としてはポリアミド(C)からなる層が形成されていない部分の総角度を10°以下とすることができる。その結果、優れたバリア性を発揮することができる。
本発明のポリオレフィン系中空容器は、本発明の樹脂組成物により形成された層を2層以上有するが、本発明の樹脂組成物により形成された層のうち、少なくとも2つの層は互いに接していることが好ましく、本発明の樹脂組成物により形成された層のすべてが互いに接していることがより好ましい。
すなわち、ポリオレフィン系中空容器が、本発明の樹脂組成物と、その他の樹脂組成物とから形成されている場合には、その他の樹脂組成物から形成される層は、本発明の樹脂組成物から形成される層の内層又は外層に配置されていることが好ましい。
本発明の中空容器の容量は、10mL〜5Lであることが好ましく、30mL〜3Lであることがより好ましく、50mL〜2Lであることが更に好ましく、100mL〜1.5Lであることが特に好ましい。
本発明の中空容器の胴部の厚みは、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上であることが更に好ましい。また、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることが更に好ましい。中空容器の厚みが上記範囲内であると、十分なバリア性を有しつつ、強度に優れ、かつ、軽量な容器が得られるので好ましい。
本発明の中空容器の形状は特に限定されず、ボトル状、カップ状、トレイ状、タンク状等の種々の形状を採用することができる。これらの中でも、ボトル状又はタンク状であることが好ましく、ボトル状であることがより好ましい。従来はダイレクトブロー法にて作製されていた中空容器、特に、ボトル状の中空容器に比して、本発明によれば、バリア性、外観、強度に優れた中空容器が提供されるので、本発明の中空容器はボトル状の中空容器として特に好適である。
収納する物品としては特に限定されないが、例えば、ガソリン、灯油、軽油等の燃料、エンジンオイル、ブレーキオイル等の潤滑油、漂白剤、洗剤等の各種トイレタリー用品、シャンプー、リンス、化粧水等の各種化粧品、エタノール、オキシドール等の化学物質、農薬、パーマ液、香料、入浴剤等の各種有機薬品、野菜ジュースや乳飲料等の各種飲料、調味料、食用油等の様々な物品が挙げられる。
本発明の中空容器は、収納する物品の保存性を高める容器として、有効に利用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各種物性測定、及び評価方法は下記のとおりである。
(1)未変性ポリオレフィン(A)及び酸変性ポリオレフィン(B)のMFR(g/10分)
東洋精機製作所製メルトインデクサーを使用し、JIS K7210に準拠して、190℃、2.16kgfの条件にて測定を行った。
(2)未変性ポリオレフィン(A)及び酸変性ポリオレフィン(B)の密度(g/cm
押出機、Tダイ、冷却ロール、引き取り機等からなるシート成形機を用い、厚さが約1mmの単層シートを成形した。次いでシートから縦50mm×横50mmの試験片を切削して真比重計により真比重を求めた。
(3)酸変性ポリオレフィン(B)の酸価(mg/g)
JIS K0070に準拠して、中和滴定により測定を行った。酸変性ポリオレフィン1gを精秤し、キシレン100mLに約120℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、フェノールフタレイン溶液を加え、予め正確な濃度を求めた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を用いて中和滴定を行った。滴下量(T)、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター(f)、水酸化カリウムの式量56.11の1/10(5.611)、酸変性ポリエチレンの質量(S)から下記式(1)により酸価を算出した。
酸価=T×f×5.611/S ・・・(1)
(4)ポリアミド(C)の相対粘度
ポリアミド(C)0.2gを精秤し、96%硫酸20mLに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温層中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また同様の条件で96%硫酸そのものの落下時間(t0)を測定した。t及びt0から下記式(2)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0 ・・・(2)
(5)ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)、及びポリアミド(C)の融点
示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、窒素気流下にて、室温から260℃まで10℃/分の昇温速度で試料を融解させた後、液体窒素を用いて測定試料を急冷し、再度室温から260℃まで10℃/分の速度で昇温して測定を行った。次いで、得られたチャートから融解ピーク頂点の温度を読みとった。
実施例及び比較例で使用した各種材料は、以下の通りである。
・HDPE:日本ポリエチレン(株)製、高密度ポリエチレン、商品名「ノバテックHD HB420R」、MFR=0.2(190℃、21.18N)、密度=0.956g/cm、融点=133℃
・AD:三井化学(株)製、酸変性ポリエチレン、商品名「アドマー AT1000」、MFR=1.8(190℃、21.18N)、密度=0.927g/cm、酸価=9.5mgKOH/g、融点=123℃
・MXD6:三菱ガス化学(株)製、ポリ(メタキシリレンアジパミド)、商品名「MXナイロン S6121」、相対粘度=3.63、融点=238℃
・リサイクル材1:HDPE(ノバテックHD HB420R、日本ポリエチレン(株)製)のリサイクルフレーク
・リサイクル材2:HDPE(ノバテックHD HB420R、日本ポリエチレン(株)製)/AD(アドマー AT1000、三井化学(株)製)/MXD6(MXナイロン S6121、三菱ガス化学(株)製)=80/10/10(質量比)のリサイクルフレーク
[実施例1]
ブレーカープレートを付属しない2台の直径50mm単軸押出機、アダプター、パリソンコントローラー付き2層の円筒ダイ、金型、型締め機、冷却器等を備えた2層ダイレクトブロー容器成形装置を使用した。円筒ダイは、中心部に位置する円形状の主マンドレルA、主マンドレルの外周部に位置するリングマンドレルB、及びリングマンドレルBの外周部に位置するリングマンドレルCから成る。押出機Aのノズルに連結された押出通路はリングマンドレルC及びBを貫通し、主マンドレルAの外周に刻設された樹脂流入口Aに連結部位Aで連結されている。押出機Bのノズルに連結された押出通路はリングマンドレルCを貫通し、マンドレルBの外周に刻設された樹脂流入口Bに連結部位Bで連結されている。樹脂流入口AとBは、主マンドレルの中心軸を中心に180°ずれた場所に位置する。
押出機A及びBのいずれのホッパーにも、HDPE/AD/MXD6=80/10/10(質量%)の割合でドライブレンドした混合ペレットを投入し、押出機シリンダー温度をC1/C2/C3=180/190/230℃、アダプター温度を240℃、ダイヘッド温度を240℃に設定し、スクリュー回転数を30rpmとしてパリソンを押し出し、ダイレクトブロー法によって内容積380mL、平均肉厚1mm、内層と外層の厚み比が1:1のネジ口栓付きダイレクトブローボトル1(ネジ口部直径:20mm、底部直径:58mm、高さ:165mm)の成形を行った。なお、C1、C2、C3は、それぞれ供給部、圧縮部、計量部に対応する部分のシリンダー温度である。
実施例1で得られたダイレクトブローボトル1を胴部中央部を水平方向に切断して、その断面を拡大して示す写真を図4に示す。なお、ポリアミド(C)からなる層は希ヨードチンキで染色した。
図4に示すように、実施例1で得られたダイレクトブローボトル1において、ポリアミド(C)は、層状に分散しており、主として2層のポリアミド(C)からなる層が形成されている。すなわち、外層寄り及び内層寄りにポリアミド(C)からなる層がそれぞれ形成され、厚さ方向の中心付近には、ポリアミド(C)からなる層が殆ど観察されない。
[実施例2]
ブレーカープレートを付属しない3台の直径50mm単軸押出機、アダプター、パリソンコントローラー付き3層の円筒ダイ、金型、型締め機、冷却器等を備えた3層ダイレクトブロー容器成形装置を使用した。3台の押出機のうち、1台目は最内層の円筒ダイに接続し、2台目は中間層の円筒ダイに接続し、3台目は最外層の円筒ダイに接続した。3台の押出機ホッパーのいずれにも、HDPE/AD/MXD6=80/10/10(質量%)の割合でドライブレンドした混合ペレットを投入し、押出機シリンダー温度をC1/C2/C3=180/190/230℃、アダプター温度を240℃、ダイヘッド温度を240℃に設定し、スクリュー回転数を30rpmとしてパリソンを押し出し、ダイレクトブロー法によって内容積380mL、平均肉厚1mm、最内層と中間層と最外層の厚み比が1:1:1のネジ口栓付きダイレクトブローボトル2(ネジ口部直径:20mm、底部直径:58mm、高さ:165mm)の成形を行った。なお、C1、C2、C3は、それぞれ供給部、圧縮部、計量部に対応する部分のシリンダー温度である。
このとき、HDPE/AD/MXD6からなる樹脂組成物の3つの樹脂流入口は、主マンドレルの中心軸を中心に、それぞれ120°離れて配置した。
[実施例3]
ブレーカープレートを付属しない3台の直径50mm単軸押出機、アダプター、パリソンコントローラー付き3層の円筒ダイ、金型、型締め機、冷却器等を備えた3層ダイレクトブロー容器成形装置を使用した。3台の押出機のうち、1台目は最内層の円筒ダイに接続し、2台目は中間層の円筒ダイに接続し、3台目は最外層の円筒ダイに接続した。3台の押出機のうち、1台目と2台目のホッパーには、HDPE/AD/MXD6=75/12.5/12.5(質量%)の割合でドライブレンドした混合ペレットを投入し、3台目にはHDPEを投入し、押出機シリンダー温度をC1/C2/C3=180/190/230℃、アダプター温度を240℃、ダイヘッド温度を240℃に設定、スクリュー回転数を30rpmとしてパリソンを押し出し、ダイレクトブロー法によって内容積380mL、平均肉厚1mm、最内層と中間層と最外層の厚み比が2:2:1のネジ口栓付きダイレクトブローボトル3(ネジ口部直径:20mm、底部直径:58mm、高さ:165mm)の成形を行った。なお、C1、C2、C3は、それぞれ供給部、圧縮部、計量部に対応する部分のシリンダー温度である。
このとき、HDPE/AD/MXD6からなる樹脂組成物の2つの樹脂流入口は、主マンドレルの中心軸を中心に、120°離れて配置した。
[実施例4]
ブレーカープレートを付属しない2台の直径50mm単軸押出機、アダプター、パリソンコントローラー付き2層の円筒ダイ、金型、型締め機、冷却器等を備えた2層ダイレクトブロー容器成形装置を使用した。2台の押出機のうち、1台目は内層の円筒ダイに接続し、2台目は外層の円筒ダイに接続した。2台の押出機のホッパーには、HDPE/AD/MXD6/リサイクル材1=64/10/10/16(質量%)の割合でドライブレンドした混合ペレットを投入し、押出機シリンダー温度をC1/C2/C3=180/190/230℃、アダプター温度を240℃、ダイヘッド温度を240℃に設定、スクリュー回転数を30rpmとしてパリソンを押し出し、ダイレクトブロー法によって内容積380mL、平均肉厚1mm、内層と外層の厚み比が1:1のネジ口栓付きダイレクトブローボトル4(ネジ口部直径:20mm、底部直径:58mm、高さ:165mm)の成形を行った。なお、C1、C2、C3は、それぞれ供給部、圧縮部、計量部に対応する部分のシリンダー温度である。
このとき、HDPE、AD、及びMXD6を含む樹脂組成物の2つの樹脂流入口は、主マンドレルの中心軸を中心に、180°離れて配置した。
[実施例5]
ブレーカープレートを付属しない2台の直径50mm単軸押出機、アダプター、パリソンコントローラー付き2層の円筒ダイ、金型、型締め機、冷却器等を備えた2層ダイレクトブロー容器成形装置を使用した。2台の押出機のうち、1台目は内層の円筒ダイに接続し、2台目は外層の円筒ダイに接続した。2台の押出機のホッパーには、HDPE/AD/MXD6/リサイクル材2=64/8/8/20(質量%)の割合でドライブレンドした混合ペレットを投入し、押出機シリンダー温度をC1/C2/C3=180/190/230℃、アダプター温度を240℃、ダイヘッド温度を240℃に設定、スクリュー回転数を30rpmとしてパリソンを押し出し、ダイレクトブロー法によって内容積380mL、平均肉厚1mm、内層と外層の厚み比が1:1のネジ口栓付きダイレクトブローボトル5(ネジ口部直径:20mm、底部直径:58mm、高さ:165mm)の成形を行った。なお、C1、C2、C3は、それぞれ供給部、圧縮部、計量部に対応する部分のシリンダー温度である。
このとき、HDPE、AD、及びMXD6を含む樹脂組成物の2つの樹脂流入口は、主マンドレルの中心軸を中心に、180°離れて配置した。
[比較例1]
ブレーカープレートを付属しない1台の直径50mm単軸押出機、アダプター、パリソンコントローラー付き円筒ダイ、金型、型締め機、冷却器等を備えた単層ダイレクトブロー容器成形装置を使用した。押出機のホッパーには、HDPE/AD/MXD6=80/10/10(質量%)の割合でドライブレンドした混合ペレットを投入し、押出機シリンダー温度をC1/C2/C3=180/190/230℃、アダプター温度を240℃、ダイヘッド温度を240℃に設定、スクリュー回転数を30rpmとしてパリソンを押し出し、ダイレクトブロー法によって内容積380mL、平均肉厚1mmのネジ口栓付きダイレクトブローボトル6(ネジ口部直径:20mm、底部直径:58mm、高さ:165mm)の成形を行った。なお、C1、C2、C3は、それぞれ供給部、圧縮部、計量部に対応する部分のシリンダー温度である。
比較例1で得られたダイレクトブローボトル6を水平方向に切断して、その断面を拡大して示す写真を図5に示す。なお、ポリアミド(C)からなる層は希ヨードチンキで染色した。
図5に示すように、比較例1で得られたダイレクトブローボトル6において、ポリアミド(C)は、層状に分散しており、主として1層のポリアミド(C)からなる層が形成されている。すなわち、厚さ方向の中心付近にポリアミド(C)からなる層が1層のみ形成されていることが観察される。
[参考例1]
ブレーカープレートを付属しない1台の直径50mm単軸押出機、アダプター、パリソンコントローラー付き円筒ダイ、金型、型締め機、冷却器等を備えた単層ダイレクトブロー容器成形装置を使用した。押出機のホッパーにはHDPEを投入し、押出機シリンダー温度をC1/C2/C3=180/190/230℃、アダプター温度を240℃、ダイヘッド温度を240℃に設定、スクリュー回転数を30rpmとしてパリソンを押し出し、ダイレクトブロー法によって内容積380mL、平均肉厚1mmのネジ口栓付きダイレクトブローボトル7(ネジ口部直径:20mm、底部直径:58mm、高さ:165mm)の成形を行った。なお、C1、C2、C3は、それぞれ供給部、圧縮部、計量部に対応する部分のシリンダー温度である。
[評価]
得られたボトル1〜7について、以下の評価を行った。
<40℃トルエン透過率>
実施例、比較例、及び参考例で作製した容器に、容器容量の80%(380mL容器は304mL)までトルエンを入れた後、口栓開口部をアルミ蒸着フィルムでシールし、更にキャップをつけて総質量を測定し、記録した。次いで、該容器を40℃の恒温槽に保管して、48時間ごとに総質量を記録し、質量減少量を記録した。質量減少分が、透過したトルエン量にあたる。透過したトルエン量は、6日後に安定した。式(3)に示す通り、6日目〜8日目に透過したトルエン量を日数で除した値を、トルエン透過率とした。
トルエン透過率[g/(bottle・day)]
=(6日目〜8日目に透過したトルエン量[g/bottle])/2[日] (3)
<23℃耐落下割れ性>
実施例、比較例及び参考例で作製した容器に、容器容量の80%のエチレングリコールを充填してキャップを閉め、23℃の恒温槽で2時間保管した。次いで、23℃、50%RHの恒温恒湿室にて、容器の底面を下にし、100cmの高さからコンクリート上に30回連続して落下させ、10個の容器のうち、試験中に割れた容器数をカウントした。
評価基準は、以下の通りである。
◎:割れた容器が0個である。
○:割れた容器が1個〜2個である。
×:割れた容器が3個以上である。
結果を以下の表1に示す。
<−25℃耐落下割れ性>
実施例、比較例及び参考例で作製した容器に、容器容量の80%のエチレングリコールを充填してキャップを閉め、−25℃の恒温槽で2時間保管した。次いで、23℃、50%RHの恒温恒湿室にて、容器の底面を下にし、200cmの高さからコンクリート上に10回連続して落下させ、10個の容器のうち、試験中に割れた容器数をカウントした。
評価基準は、以下の通りである。
◎:割れた容器が0個である。
○:割れた容器が1個〜2個である。
×:割れた容器が3個以上である。
結果を以下の表1に示す。
本発明で得られる中空容器は、有機溶媒及び酸素バリア性及び強度、特に耐落下衝撃性に優れており、ガソリン、灯油、軽油等の燃料、エンジンオイル、ブレーキオイル等の潤滑油、漂白剤、洗剤等の各種トイレタリー用品、シャンプー、リンス、化粧水等の各種化粧品、エタノール、オキシドール等の化学物質、農薬、パーマ液、香料、入浴剤等の各種有機薬品、野菜ジュースや乳飲料等の各種飲料、調味料、食用油等の様々な物品を収容する容器として利用できる。

Claims (7)

  1. 未変性ポリオレフィン(A)60〜90質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)5〜35質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位であるポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計を100質量部とする。)と、を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を調製する工程、
    該ポリオレフィン系樹脂組成物を多層成形機の少なくとも2つの樹脂流入口から多層成形機に導入する工程を有し、
    該ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口のうち少なくとも2つが60°以上離れて配置されていることを特徴とする、
    ポリオレフィン系中空容器の製造方法。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂組成物が流入される樹脂流入口のうち少なくとも2つが90°以上離れて配置されている、請求項1に記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
  3. 前記ポリアミド(C)が、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とイソフタル酸のモル比率が70:30〜100:0である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
  4. 前記未変性ポリオレフィン(A)が、MFRが0.01〜5g/10分であるポリプロピレン又はポリエチレンである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
  5. 前記未変性ポリオレフィン(A)が、高密度ポリエチレンである、請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
  6. 前記酸変性ポリオレフィン(B)が、酸変性ポリエチレンである、請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系中空容器の製造方法。
  7. 未変性ポリオレフィン(A)60〜90質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)5〜35質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位であり、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位であるポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計を100質量部とする。)と、を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなる層を有するポリオレフィン系中空容器であり、
    前記中空容器が、ポリアミド(C)からなる層を2層以上有し、
    前記中空容器の中心部から外周方向への断面において、ポリアミド(C)からなる層が形成されていない部分の総角度が10°以下であることを特徴とする、
    ポリオレフィン系中空容器。
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