JP2014037248A - ガスバリア性キャップ及びスパウト - Google Patents

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Abstract

【課題】既存の成形装置で製造可能であり、バリア性に優れた容器用キャップ又はスパウト、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】未変性ポリオレフィン(A)60〜97質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)0〜20質量部と、メタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位とを含むポリアミド(C)3〜30質量部を含有する樹脂組成物を用いて成形された成形体からなる容器用キャップ又はスパウトであって、該成形体中にポリアミド(C)が層状に分散している箇所を有し、かつ該層状に分散したポリアミド(C)の長さが500μm以上である容器用キャップ又はスパウト、及び射出成形法もしくは圧縮成形法による容器用キャップ又はスパウトの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、バリア性に優れたキャップ及びスパウトに関するものである。さらに詳しくは、ポリオレフィン中にメタキシリレン骨格を有する特定のポリアミドを層状に分散させることでバリア性を向上させた容器用キャップ及びスパウト、及び射出成形法もしくは圧縮成形法による容器用キャップ又はスパウトの製造方法に関するものである。
食品、工業用品等の容器において、外部からの酸素などの気体の混入による内容物の酸化劣化の防止、あるいは内部物からの有効成分等の揮散防止のため、多くの場合、容器にはガスバリア性が要求される。容器本体へのガスバリア性の付与については、ガスバリア性樹脂あるいはアルミニウム箔などのガスバリア材を含む多層構成とする、あるいはガラス製容器を用いるなど、多くの方法が公知である。ところがこれらの容器用のキャップ、特にプラスチック製キャップは、内容物の触れる表面積が小さいこともあり、ほとんどバリア性の付与が行われていない。しかし近年、容器に要求されるバリア性がより厳しいものになってきているのに伴い、容器用キャップやスパウトに対するバリア性付与の要求が強まっている。
容器用キャップへのバリア性の付与方法としては、アルミニウムなどの金属性ガスバリア材を接着性樹脂などと積層した積層シートからなる薄片をキャップ内側に貼りつける方法が用いられる。しかし、このような積層シートからなる薄片(ガスケット)は、一般的に前もって作製したシートを打ち抜いて作られるので、生産性が低下するほか、打ち抜き時に発生するバリが金属を含むためリサイクル処理しにくいといった問題が生じる。また、安全性や廃棄性の観点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのプラスチック製のキャップなどが用いられている。しかしながら、これらのプラスチック製キャップは一般的にはガスバリア性を有していないため、内容物の酸化劣化や内部物からの有効成分等の揮散が問題となる。
他方、ガスバリア性樹脂であるエチレン−ビニルアルコール共重合体などをキャップやスパウトそのものとして用いることは、強度、成形性に問題点が残されており、実用的でないことから、種々の検討が行われてきた(例えば、特許文献1参照)。しかし、相溶化剤としてカルボン酸変性ポリエチレン接着性樹脂のみを使用しても、相溶性が不十分であるため十分な機械強度が得られないとともに、単純に相溶化させるだけでは、バリア性が不十分である。さらに、ポリプロピレンからなる層と、ガスバリア性樹脂であるメタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるポリアミド(N−MXD6)からなる層を3層以上積層させた多層構造を有する容器用キャップが開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、各層を積層するために、スタティックミキサーやフィードブロックを用いることになり、現状設備をそのまま使用できず初期投資が必要となる。また、スタティックミキサーの特性上、N−MXD6を分断させやすく、N−MXD6からなる層の長さが短くなるために、バリア性に劣る。また、ポリプロピレンからなる層とN−MXD6からなる層との間で層間剥離しやすく、容器用キャップとしての性能を満足できるものではない。
特公平7−112865号公報 国際公開第2008/062811号
本発明は、既存の成形装置で製造可能であり、バリア性に優れた容器用キャップ又はスパウト、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、かかる実情に鑑みなされたものであり、本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、既存の成形装置のまま、ポリオレフィン中にメタキシリレン骨格を有する特定のポリアミドを特定の長さ以上の層状に分散させることで、バリア性に優れた容器用キャップやスパウトが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、未変性ポリオレフィン(A)60〜97質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)0〜20質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位と、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位とを含むポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計は100質量部である)を含有する樹脂組成物を用いて成形された成形体からなる容器用キャップ又はスパウトであって、該成形体中にポリアミド(C)が層状に分散している箇所を有し、かつ該層状に分散したポリアミド(C)の長さが500μm以上であることを特徴とする容器用キャップ又はスパウト、及び射出成形法もしくは圧縮成形法による容器用キャップ又はスパウトの製造方法に関するものである。
本発明で得られる容器用キャップ及びスパウトは、既存の成形装置で成形が可能であり、かつ、バリア性に優れる。
本発明の容器用キャップの断面を示したデジタル顕微鏡画像である。
本発明の容器用キャップ及びスパウトは、未変性ポリオレフィン(A)と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位と、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位とを含むポリアミド(C)を含有する樹脂組成物を用いて成形された成形体からなり、該成形体中にポリアミド(C)が層状に分散している箇所を有し、かつ該層状に分散したポリアミド(C)の長さが500μm以上であることを特徴とする。前記樹脂組成物は、好ましくは酸変性ポリオレフィン(B)を含有する。以下、各成分について詳細に説明する。
〔未変性ポリオレフィン(A)〕
本発明で用いられる未変性ポリオレフィン(A)としては、種々のものが挙げられるが、好ましくは低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、1−ポリブテン、1−ポリメチルペンテンなどの炭素数2以上、好ましくは2〜8のエチレン系炭化水素の単独重合体;炭素数3〜20のα−オレフィンの単独重合体;炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体(エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−デセン共重合体など)、炭素数3〜20のα−オレフィンと環状オレフィンの共重合体(ノルボルネンとの共重合体など)が挙げられる。これらのポリオレフィンは単独で用いることもできるし、2種類以上の混合物として使用することもできる。これらのポリオレフィンの中で、ポリエチレン、ポリプロピレン、1−ポリブテン等の樹脂、またはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体等のガラス転移点の高い樹脂が好ましく、中でも、ポリエチレンやポリプロピレンが好ましく用いられる。本発明で用いられる未変性ポリオレフィン(A)は、190℃、21.18N(2.16kgf)の荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜70g/10分の範囲にあることが望ましい。前記MFRが70g/10分以下であれば、ポリアミド(C)が、成形体中で粒状に分散することなく、層状に分散するので、バリア性が向上する。
〔酸変性ポリオレフィン(B)〕
本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン(B)は、樹脂組成物を構成する未変性ポリオレフィン(A)とポリアミド(C)とを接着する役割を有する。本発明では、酸変性ポリオレフィン(B)を用いることで、未変性ポリアミド(A)とポリアミド(C)との接着強度を大幅に向上させることができる。また、ポリアミド(C)の層状分散性に寄与するため、バリア性をより一層向上させることができる。
本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン(B)は、上記ポリオレフィンに不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されたもので、一般に相溶化剤や接着剤として広く用いられているものである。
不飽和カルボン酸またはその無水物の具体例として、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、クロロマレイン酸、ブテニルコハク酸など、およびこれらの酸無水物が挙げられる。中でも、マレイン酸および無水マレイン酸が好ましく用いられる。
上記不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィンにグラフト共重合して酸変性ポリオレフィンを得る方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、ポリオレフィンを押出機等を用いて溶融させ、グラフトモノマーを添加して共重合させる方法、あるいはポリオレフィンを溶媒に溶解させてグラフトモノマーを添加して共重合させる方法、ポリオレフィンを水懸濁液とした後グラフトモノマーを添加して共重合させる方法等を挙げることができる。
本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン(B)は、190℃、21.18N(2.16kgf)の荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.5〜50g/10分の範囲にあることが望ましい。前記MFRがこの範囲内であれば、成形性やバリア性が向上する。
本発明で用いられるポリアミド(C)は比較的硬い材料であるため、成形体に衝撃等が加わると界面でクラックや剥離が起きやすくなり、成形体の強度やバリア性を損なうおそれがある。そのため、本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン(B)として、比較的柔らかい性質を有する密度が比較的低いものを利用することで、ポリアミド(C)に起因する衝撃強度低下を緩和し、成形体の実用的な強度を保つことができる。
このような観点から、本発明に用いられる酸変性ポリエチレン(B)の密度は、好ましくは0.90〜0.96であり、より好ましくは0.90〜0.945、さらに好ましくは0.90〜0.93である。
酸変性ポリエチレン(B)の密度が0.90以上であれば、未変性オレフィン(A)と酸変性ポリオレフィン(B)との相溶性が良好なものとなり、さらにポリアミド(C)の接着性が向上して成形体の強度やバリア性が優れたものとなる。また、酸変性ポリオレフィン(B)の密度が0.96以下であれば、酸変性ポリオレフィン(B)が適度な柔らかさを有するため、成形体に衝撃等が加わった場合でも強度やバリア性の低下を招くことを抑制できる。
酸変性ポリオレフィン(B)の酸変性率を特定の範囲とすることで、成形体を構成する樹脂組成物中の未変性ポリオレフィン(A)とポリアミド(C)の接着強度を大幅に向上させることができ、その結果得られる成形体のガスバリア性を大幅に向上させることができる。
酸変性ポリオレフィン(B)の変性率の指標となるものとしては、酸価が挙げられる。
本発明で用いられる酸変性ポリオレフィン(B)の酸価は、JIS K0070に記載の方法に準拠して測定される。
本発明において、酸変性ポリオレフィン(B)の酸価は、好ましくは5.0〜15.0mg/gであり、より好ましくは6.0〜12.0mg/gであり、さらに好ましくは7.0〜10.0mg/gである
酸変性ポリオレフィン(B)の酸価が5.0mg/g以上であれば、樹脂組成物中の未変性ポリオレフィン(A)とポリアミド(C)との界面の接着性が十分なものとなり、その結果得られた成形体はガスバリア性に優れ、さらに成形体の強度が良好なものとなる。
酸変性ポリオレフィン(B)の酸価が15.0mg/g以下であれば、成形加工時の樹脂組成物の流動性が適度なものとなり、ポリアミド(C)が成形体の表面に浮き出ることがなく、外観やバリア性に優れたものとなる。
〔ポリアミド(C)〕
本発明で用いるポリアミド(C)は、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位と、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位とを含む。
さらに、本発明で用いるポリアミド(C)は、下記一般式(I)で表される芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位25〜50モル%と、下記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位及び下記一般式(II−2)で表される芳香族ジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1つのジカルボン酸単位を合計で50モル%以上含むジカルボン酸単位25〜50モル%と、3級水素含有カルボン酸単位(好ましくは下記一般式(III)で表される構成単位)0〜50モル%とを含有することが好ましい。
[前記一般式(II−1)中、nは2〜18の整数を表す。前記一般式(II−2)中、Arはアリーレン基を表す。前記一般式(III)中、Rは置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。]
ただし、前記ジアミン単位、前記ジカルボン酸単位、前記3級水素含有カルボン酸単位の合計は100モル%を超えないものとする。本発明で用いるポリアミド(C)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の構成単位をさらに含んでいてもよい。
本発明で用いるポリアミド(C)において、前記ジアミン単位と前記ジカルボン酸単位との含有量(全構成単位に対するモル%)の割合は、重合反応の観点から、ほぼ同量であることが好ましく、ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%であることがより好ましい。ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%の範囲であれば、ポリアミド(C)の重合度が短時間で上がりやすくなるため、熱劣化が生じにくい。
(ジアミン単位)
本発明で用いるポリアミド(C)中のジアミン単位は、優れたガスバリア性を発現させることに加え、汎用的な熱可塑性樹脂の成形性を容易にする観点から、メタキシリレンジアミン単位をジアミン単位中に70モル%以上含むことが必要であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上含む。
本発明で用いるポリアミド(C)中のジアミン単位は、優れたガスバリア性を付与することに加え、透明性や色調の向上や、汎用的な熱可塑性樹脂の成形性を容易にする観点から、前記式(I)で表される芳香族ジアミン単位をジアミン単位中に好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上含み、また、好ましくは100モル%以下含む。
前記式(I)で表される芳香族ジアミン単位を構成しうる化合物としては、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記式(I)で表される芳香族ジアミン単位以外のジアミン単位を構成しうる化合物としては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(ジカルボン酸単位)
ポリアミド(C)中のジカルボン酸単位は、適度な結晶性を付与することに加え、包装材料として必要な柔軟性を付与する観点から、前記一般式(II−1)で表される炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸単位をジカルボン酸単位中に70モル%以上含み、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む。
前記一般式(II−1)中、nは2〜18の整数を表し、好ましくは3〜16、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8である。前記一般式(II−1)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド(C)中のジカルボン酸単位は、優れたガスバリア性に加え、包装材料の加熱殺菌後の耐熱性を保持する観点から、アジピン酸単位、セバシン酸単位、及び1,12−ドデカンジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1つを、ジカルボン酸単位中に合計で70モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含む。
本発明のポリアミド樹脂中のジカルボン酸単位は、ガスバリア性の発現及び適切なガラス転移温度や融点等の熱的性質の観点からは、アジピン酸単位をジカルボン酸単位中に70モル%以上含むことが好ましい。
また、ジカルボン酸の種類は用途に応じて適宜決定され、適度なガスバリア性付与と成形加工適性付与との観点からはセバシン酸単位をジカルボン酸単位中に70モル%以上含むことが好ましく、低吸水性、耐候性、耐熱性を要求される用途に用いる場合は1,12−ドデカンジカルボン酸単位をジカルボン酸単位中に70モル%以上含むことが好ましい。
本発明で用いるポリアミド(C)においては、一般式(II−2)で表されるジカルボン酸単位を構成しうる化合物として、ガスバリア性の更なる付与及び包装材料の成形加工性を容易にする観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸をジカルボン酸単位中に30モル%を超えない範囲で含んでもよく、3〜20モル%の範囲が好ましい。また、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いるポリアミド(C)におけるジカルボン酸単位としては、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とイソフタル酸のモル比率が70:30〜100:0であるジカルボン酸に由来するものが好ましい。
(3級水素含有カルボン酸単位)
本発明のポリアミド(C)において、酸素吸収機能を付与したい場合には、前記一般式(III)で表される3級水素含有カルボン酸単位を含むことが好ましい。また本発明における3級水素含有カルボン酸単位を含有する場合には、ポリアミド(C)の重合の観点から、アミノ基及びカルボキシル基を少なくとも1つずつ有するか、又はカルボキシル基を2つ以上有することが好ましい。
本発明のポリアミド(C)において、酸素吸収機能を付与したい場合の3級水素含有カルボン酸単位の含有量(全構成単位に対するモル%)は好ましくは50モル%以下であり、より好ましくは0.1〜50モル%である。3級水素含有カルボン酸単位の含有量が0.1モル%未満では十分な酸素吸収性能を発現しない。一方、3級水素含有カルボン酸単位の含有量が50モル%を超えると、3級水素含有量が多すぎるため、ポリアミド(C)のガスバリア性や機械物性などの物性が低下し、特に3級水素含有カルボン酸がアミノ酸である場合は、ペプチド結合が連続するため耐熱性が十分でなくなるだけでなく、アミノ酸の2量体からなる環状物ができ、重合を阻害する。3級水素含有カルボン酸単位の含有量は、酸素吸収性能やポリアミド(C)の性状の観点から、好ましくは0.2モル%以上、より好ましくは1モル%以上であり、また、好ましくは40モル%以下であり、より好ましくは30モル%以下である。
本発明における3級水素含有カルボン酸単位の具体例としては、下記一般式(III)、(IV)又は(V)のいずれかで表される構成単位が挙げられる。
[前記一般式(III)〜(V)中、R、R1及びR2はそれぞれ置換基を表し、A1〜A3はそれぞれ単結合又は2価の連結基を表す。ただし、前記一般式(IV)においてA1及びA2がともに単結合である場合を除く。]
ポリアミド(C)は、3級水素含有カルボン酸単位を共重合成分として含有することで、遷移金属を含有せずとも優れた酸素吸収性能を発揮することができる。
前記一般式(III)〜(V)中、R、R1及びR2はそれぞれ置換基を表す。R、R1及びR2で表される置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(1〜15個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基)、アルケニル基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、アルキニル基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(6〜16個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基)、複素環基(5員環又は6員環の芳香族又は非芳香族の複素環化合物から1個の水素原子を取り除くことによって得られる、1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する一価の基、例えば1−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、2−フリル基)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基)、アリールオキシ基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基)、アシル基(ホルミル基、2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、或いは7〜12個、好ましくは7〜9個の炭素原子を有するアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基)、アミノ基(アミノ基、1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアニリノ基、或いは1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環アミノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基)、複素環チオ基(2〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する複素環チオ基、例えば2−ベンゾチアゾリルチオ基)、イミド基(2〜10個、好ましくは4〜8個の炭素原子を有するイミド基、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)等が挙げられる。
これらのR、R1及びR2で表される置換基の中で水素原子を有するものは更に上記の基で置換されていてもよく、例えば、水酸基で置換されたアルキル基(例えば、ヒドロキシエチル基)、アルコキシ基で置換されたアルキル基(例えば、メトキシエチル基)、アリール基で置換されたアルキル基(例えば、ベンジル基)、アルキルで置換されたアリール基(例えば、p−トリル基)、アルキル基で置換されたアリールオキシ基(例えば、2−メチルフェノキシ基)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、上記の基が更に置換されている場合、上述した炭素原子の数には、更に置換された置換基の炭素原子の数は含まれないものとする。例えば、ベンジル基は、フェニル基で置換された炭素数1のアルキル基と見なし、フェニル基で置換された炭素数7のアルキル基とは見なさない。以降の炭素数に記載についても、特に断りが無い限り、同様に解するものとする。
前記一般式(IV)及び(V)中、A1〜A3はそれぞれ単結合又は2価の連結基を表す。ただし、前記一般式(IV)においてA1及びA2がともに単結合である場合を除く。2価の連結基としては、例えば、直鎖、分岐もしくは環状のアルキレン基(炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基)、アラルキレン基(炭素数7〜30、好ましくは炭素数7〜13のアラルキレン基、例えばベンジリデン基)、アリーレン基(炭素数6〜30、好ましくは炭素数6〜15のアリーレン基、例えば、フェニレン基)等が挙げられる。これらはさらに置換基を有していてもよく、当該置換基としては、R、R1及びR2で表される置換基として上記に例示した官能基が挙げられる。例えば、アルキルで置換されたアリーレン基(例えば、キシリレン基)等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリアミド(C)は、前記一般式(III)、(IV)又は(V)のいずれかで表される構成単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの中でも、原料の入手性や酸素吸収性向上の観点から、α炭素(カルボキシル基に隣接する炭素原子)に3級水素を有するカルボン酸単位がより好ましく、前記一般式(III)で表される構成単位が特に好ましい。
前記一般式(III)中におけるRについては上述した通りであるが、その中でも置換もしくは無置換のアルキル基及び置換もしくは無置換のアリール基がより好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基及び置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基がさらに好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基及び置換もしくは無置換のフェニル基が特に好ましい。
好ましいRの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メルカプトメチル基、メチルスルファニルエチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、4−ヒドロキシベンジル基等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、メチル基、エチル基、2−メチルプロピル基、及びベンジル基がより好ましい。
前記一般式(III)で表される構成単位を構成しうる化合物としては、アラニン、2−アミノ酪酸、バリン、ノルバリン、ロイシン、ノルロイシン、t−ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、2−フェニルグリシン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン等のα−アミノ酸を例示できるが、これらに限定されるものではない。
また、前記一般式(IV)で表される構成単位を構成しうる化合物としては、3−アミノ酪酸等のβ−アミノ酸を例示でき、前記一般式(V)で表される構成単位を構成しうる化合物としては、メチルマロン酸、メチルコハク酸、リンゴ酸、酒石酸等のジカルボン酸を例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらはD体、L体、ラセミ体のいずれであってもよく、アロ体であってもよい。また、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、原料の入手性や酸素吸収性向上等の観点から、α炭素に3級水素を有するα−アミノ酸が特に好ましい。また、α−アミノ酸の中でも、供給しやすさ、安価な価格、重合しやすさ、ポリマーの黄色度(YI)の低さといった点から、アラニンが最も好ましい。アラニンは、分子量が比較的低く、ポリアミド化合物1g当たりの共重合率が高いため、ポリアミド化合物1g当たりの酸素吸収性能は良好である。
また、前記3級水素含有カルボン酸単位を構成しうる化合物の純度は、重合速度の遅延等の重合に及ぼす影響やポリマーの黄色度等の品質面への影響の観点から、95%以上であることが好ましく、より好ましくは98.5%以上、更に好ましくは99%以上である。また、不純物として含まれる硫酸イオンやアンモニウムイオンの含有量は、500ppm以下が好ましく、より好ましくは200ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。
(ポリアミドの製造方法)
本発明で用いるポリアミド(C)は、前記ジアミン単位を構成しうるジアミン成分と、前記ジカルボン酸単位を構成しうるジカルボン酸成分と、必要に応じて前記3級水素含有カルボン酸単位を構成しうる3級水素含有カルボン酸成分とを重縮合することで製造することができる。重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。
本発明で用いるポリアミド(C)の重縮合方法としては、一般的に知られている加圧法や常圧滴下法など、いずれの方法も利用可能である。その一例として、リン原子含有化合物を添加して溶融重縮合(溶融重合)法により製造されることが挙げられる。溶融重縮合法としては、例えば、ジアミン成分、ジカルボン酸成分、及び必要に応じて3級水素含有カルボン酸成分を含むナイロン塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法がある。また、ジアミン成分を、溶融混合状態のジカルボン酸成分及び必要に応じて3級水素含有カルボン酸成分を加熱溶融した混合物に直接加えて、重縮合する方法によっても製造できる。この場合、反応系を固化させることなく均一な液状状態に保つために、ジアミン成分を、ジカルボン酸成分及び必要に応じて3級水素含有カルボン酸成分を含む混合物に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミド樹脂の融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
本発明で用いるポリアミド(C)の重縮合系内に添加されるリン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、アミド化反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
本発明で用いるポリアミド(C)の重縮合系内に添加されるリン原子含有化合物の添加量は、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度換算で0.1〜1000ppmであることが好ましく、より好ましくは1〜600ppmであり、さらに好ましくは5〜400ppmである。
また、本発明で用いるポリアミド(C)の重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリアミド(C)の着色を防止するためには十分な量のリン原子含有化合物を存在させる必要があるが、場合によってはポリアミド(C)のゲル化を招くおそれがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。
本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。
溶融重縮合で得られた本発明で用いるポリアミド(C)は、そのまま使用することもできるが、更に重合度を高めるための工程を経てもよい。更に重合度を高める工程としては、押出機内での反応押出や固相重合等が挙げられる。固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。特にポリアミドの固相重合を行う場合は、上述の装置の中で回転ドラム式の加熱装置が、系内を密閉化でき、着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進めやすいことから好ましく用いられる。
本発明で用いるポリアミド(C)の重合度については、相対粘度が一般的に使われるものである。ポリアミド(C)の相対粘度は、成形品の外観や成形加工性、及び層状分散性の観点から、好ましく1.5〜4.2であり、より好ましくは1.7〜3.5、さらに好ましくは2.0〜3.0である。
なお、ここでいう相対粘度は、ポリアミド樹脂1gを96質量%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
(各材料の配合比率)
本発明に用いられる樹脂組成物を構成する各材料の配合比率は、未変性ポリオレフィン(A)が60〜97質量部、酸変性ポリオレフィン(B)が0〜20質量部、ポリアミド(C)が3〜30質量部である。前記配合比率としては、好ましくは未変性ポリオレフィン(A)が60〜97質量部、酸変性ポリオレフィン(B)が3〜20質量部、ポリアミド(C)が3〜30質量部であり、より好ましくは未変性ポリオレフィン(A)が65〜90質量部、酸変性ポリオレフィン(B)が3〜20質量部、ポリアミド(C)が5〜30質量部であり、さらに好ましくは未変性ポリオレフィン(A)が70〜90質量部、酸変性ポリオレフィン(B)が5〜20質量部、ポリアミド(C)が5〜25質量部である。ただし、前記配合比率における(A)〜(C)の3成分の合計は100質量部である。
(A)〜(C)の3成分の配合比率を上述の範囲に設定することによって、成形体のバリア性能を効率的に高めることができ、かつ成形体の強度低下を最小限にすることができる。本発明で用いる樹脂組成物は、未変性ポリエチレン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)、及びポリアミド(C)の3成分からなることが好ましい。
(その他の樹脂)
その他、本発明の効果を損なわない範囲で上述の材料以外にも、例えば、アイオノマー;エチレン−エチルアクリレート共重合体やエチレン−メチルアクリレート共重合体等の各種変性ポリエチレン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート等の各種ポリエステル;ナイロン6やナイロン66等の各種ポリアミド;スチレン−ブタジエン共重合体やその水添化物;各種熱可塑性エラストマー等を添加することができ、これらに限定されることなく様々な材料を配合することができる。
(添加剤)
本発明において、樹脂組成物の成形性、キャップやスパウトに要求される性能に応じて、樹脂組成物中に滑剤、結晶化核剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、酸化防止剤、エラストマー、無機顔料、有機顔料、無機顔料マスターバッチ、有機顔料マスターバッチ等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加することができる。
(酸素吸収性能付与)
本発明で用いるポリアミド(C)において、鉄、コバルト、ニッケル等の元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子を、ポリアミド(C)を構成するポリアミド樹脂の重縮合反応開始前、反応中、又は押出成形時に化合物又は錯体として添加することで、酸素吸収性能を付与することができる。また、不飽和二重結合を持ったポリブタジエンなどのジエン系化合物などを添加して酸素吸収性能を付与することも可能である。
本発明において、前記金属原子をポリアミド(C)中に添加、混合するには金属原子を含有する化合物(以下、金属触媒化合物と称する)を用いることが好ましい。金属触媒化合物は前記金属原子の低価数の無機酸塩、有機酸塩又は錯塩の形で使用される。
無機酸塩としては、塩化物や臭化物等のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等が挙げられる。また、β−ジケトン又はβ−ケト酸エステル等との遷移金属錯体も利用することができる。中でも、酸素吸収機能が良好であることから、前記金属原子を含むカルボン酸塩、ハロゲン化物、アセチルアセトネート錯体が好ましい。
上記金属触媒化合物は、一種以上を添加することができるが、金属原子としてコバルトを含むものが特に酸素吸収機能に優れており、好ましく用いられる。
ポリアミド(C)に添加される前記金属原子の濃度は特に制限はないが、ポリアミド(C)を構成するポリアミド樹脂に対して1〜1000ppmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜700ppmである。金属原子の添加量が1ppm以上であれば、本発明の容器用キャップ及びスパウトにおけるガスバリア効果に加え、酸素吸収機能が十分に発現し、酸素バリア性の向上効果が得られる。ポリアミド樹脂に金属触媒化合物を添加する方法は特に限定されず、任意の方法で添加することができる。
(成形体)
本発明の容器用のキャップ及びスパウトを構成する成形体は、前記樹脂組成物を用いて成形されてなる。前記成形体は、図1に示すようにポリアミド(C)が層状に分散している箇所を有し、かつ該層状に分散したポリアミド(C)の長さが500μm以上である。すなわち、未変性ポリオレフィン(A)を含む連続相中に、層状のポリアミド(C)が500μm以上の長さで不連続的に分散している形態である。また、成形体の厚み方向において、複数の層状のポリアミド(C)分散相を有している形態であることが好ましい。該層状に分散したポリアミド(C)の長さが500μm未満であると、ポリアミド(C)が層状に分散していたとしても、成形体のガスバリア性が低下する。この観点から、層状に分散しているポリアミド(C)は、600μm以上の長さを有していることが好ましく、700μm以上の長さを有していることがより好ましい。ここで、層状のポリアミド(C)の長さとは、層を構成する直方体の長辺の長さのことであり、実施例に記載の方法で測定される。
(成形方法)
本発明のキャップやスパウトを作製するための前記樹脂組成物の成形方法としては、射出成形法の他、圧縮成形法、予め作製したシートを熱成形する方法などが挙げられる。この中では、射出成形法及び圧縮成形法が好ましい。
本発明のキャップやスパウトを射出成形機で作製する場合は、特に制限なく、既存の射出成形機であれば特に制限はない。層状分散性を向上させるためには、射出成形速度が速い方が、層状分散性が良好となる。
射出成形速度は、射出成形機やキャップ形状によっても異なるが、ポリオレフィン単層で成形する最適条件よりも、射出速度を1.5〜3.0倍程度、速くすることが好ましい。
一方、本発明のキャップやスパウトを圧縮成形法や熱成形する方法で製造する際には、押出機が使用される。ここで使用する押出機は公知のものを適用することができる。中でも、適度な混練性を持ち、高い樹脂圧力下でも安定して押出が可能であることから単軸の押出機が好ましく用いられる。
単軸の押出機のスクリューは通常、原料を押出機先端へ搬送するための供給部、熱を吸収し軟化した樹脂を完全に溶融させるための圧縮部、吐出量を制御するための計量部の3つの部位から構成される。本発明では一般的なスクリューであれば制限無く使用することができるが、ダルメージやマードックと呼ばれる混練部位のない一般的にフルフライトと呼ばれるスクリューを使用することが、ポリアミド(C)の過度の分散を防止する観点から好ましい。
スクリューは、ポリアミド(C)の分散状態を制御しやすくするため、圧縮部が比較的短い急圧縮タイプのものがより好ましく用いられる。急圧縮タイプのフルフライトスクリューとしては、スクリュー全体のピッチ数(フライト1回転分が1ピッチ)を100とした場合、供給部が40〜60、圧縮部が5〜20、計量部が30〜50のものを選択することが好ましく、より好ましくは供給部が45〜55、圧縮部が10〜15、計量部が35〜45のものである。なおピッチ間距離については任意でよい。また一部のフライト数を2本にしたダブルフライトスクリューと呼ばれるものを利用することもできる。
またスクリューの剪断力で層状に分散したポリアミド(C)の状態を保つためにも、押出機ヘッド内に通常設けられるブレーカープレートは設置しないことが好ましい。ブレーカープレートに空けられた細孔により押出機内で層状に分散したポリアミド(C)が切断され、微分散化する可能性がある。
射出成形法で使用する射出成形機や圧縮成形法や熱成形法で使用する押出機内で少量成分の樹脂が多量成分の樹脂中に分散する一般的な挙動としては、まず押出機内又は射出成形機内でヒーターから受けた熱により樹脂全体が軟化する。次いでスクリュー回転による剪断応力により多量成分の樹脂が溶融するが、少量成分の樹脂は剪断応力により引き延ばされ、さらに剪断応力を受けると層状に切断され(=分散)、全体に均一に散らばる(=分配)という挙動を繰り返して、多量成分中に細かく均一に混練される。
本発明における成形体中では、バリア性を効果的に高めるため、ポリアミド(C)が層状に分散している必要がある。そのためには上述の押出機内又は射出成形機内で樹脂ペレットが剪断応力により引き延ばされてポリアミド(C)が層状の状態にある時に押出機先端から吐出又は射出成形機内から射出される必要がある。それを実現するための方法としては、主にスクリュー回転数を下げる方法と、押出機温度又は射出成形機温度の設定を最適化する方法が挙げられる。
ここで、スクリュー回転数を下げる方法は一見簡便な方法に見えるが、生産効率の低下を招いたり、樹脂劣化が懸念されるため、その利用範囲は限定されることがある。そのような場合は、押出機内又は射出成形機内での樹脂温度を制御する方法が好ましく用いられる。
具体的には、押出機内又は射出成形機内で樹脂組成物を溶融混練する際の樹脂温度が、ポリアミド(C)の融点から−20℃〜+2℃の範囲であることが好ましく、−15℃〜±0℃の範囲であることがより好ましく、−10℃〜−3℃の範囲であることがさらに好ましい。樹脂温度が前記の範囲になるように、押出機又は射出成形機の温度を調節することが好ましく行われる。
本発明における射出成形機内の樹脂温度は、射出成形機内のノズル先端における樹脂温度のことであり、ノズル先端部分に付属の熱電対により、温度を測定したものを採用することが好ましい。本発明における押出機の樹脂温度は、押出機内のダイスにおける樹脂温度のことであり、実際に押出機先端のダイスから吐出される樹脂の実温度を測定したものを採用することが好ましい。押出機先端部に設けられた熱電対によって計測される数字と樹脂の実温度との間の差がある程度判明している場合はその数値を参考に調整してもよい。
ポリアミド(C)の融点−20℃の温度以上となる樹脂温度で溶融混練を行うと、ポリアミド(C)が十分に軟化するので、未溶融のペレットが成形品に混入することや、押出機又は射出成形機のモーターに過度の負荷がかかるといったことが起こりにくい。ポリアミド(C)の融点+2℃の温度以下となる樹脂温度で溶融混練を行うと、ポリアミド(C)が完全に融解してスクリュー回転による剪断応力で過度に分散するといったことが起こりにくいため、ポリアミド(C)が樹脂組成物中で微細な粒子状にならずに、層状の分散状態を保つことができ、成形体のバリア性が大きく向上する。
(容器用キャップ及びスパウト)
本発明の容器用キャップ及びスパウトは、前記成形体からなり、各種の内容物を充填した包装容器用のキャップ及びスパウトとして用いることができる。
本発明の容器用キャップ及びスパウトは、より高い密着性を得る観点から、密封用ライナー(キャップライナー)と併用することが好ましい。
密封ライナーの材質は特に限定されないが、線状低密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、これらの樹脂に柔軟性を付与する観点から、熱可塑性エラストマー樹脂を添加することもできる。熱可塑性エラストマー樹脂としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びフッ素系熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお本発明における評価のための測定は以下の方法によった。
(1)ポリアミド樹脂の相対粘度
ポリアミド樹脂0.2gを精秤し、96質量%硫酸20mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。そして、これらのtおよびt0から下記式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
(2)ガラス転移温度及び融点測定
示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、昇温速度10℃/分で窒素気流下にDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)を求めた。
(3)樹脂組成物中に分散した未変性ポリオレフィン(A)とポリアミド(C)との界面の観察
成形したキャップの天面を切断し、断面をミクロトーム(REICHERT−JUNG LIMITED製、商品名:ULTRACUT E)を用いて平滑にした後、希ヨードチンキ(月島薬品(株)製)を断面に塗布してポリアミド(C)部分を染色した。これをデジタル顕微鏡((株)キーエンス製、 デジタルマイクロスコープ VHX−1000)を用いてポリアミド(C)の分散状態及び、ポリアミド(C)が層状になっていれば、ポリアミド(C)層の長さを観察し、該層状のポリアミド(C)を含む断面1mm×1mm(面積1mm2)あたりのポリアミド(C)層の長さの平均値を求め、さらに、キャップ3個の平均値を求めた。
なお、成形体の断面厚みが1mm未満である場合には、〔成形体断面の厚み(単位:mm)〕×(成形体断面の横方向の長さ)=1mm2となるように、成形体断面の横方向の長さを設定し、該長方形領域あたりのポリアミド(C)層の長さの平均値を求め、さらに、キャップ3個の平均値を求めた。この場合の長方形領域は、例えば、図1の点線で囲まれた厚み0.94mm×横1.07mm(面積1mm2)の領域で示される。
(4)キャップのバリア性(酸素透過率:OTR)
得られたキャップを70℃、24時間以上真空乾燥して絶乾状態とし、酸素透過率測定装置(Mocon社(米国)製、商品名:Ox−Tran2/21)にボトルキャップシール性テスト球栓式アダプターを設置し、温度23℃、60%RHの条件でJIS K7126Bに準じてキャップ一個当たりの酸素透過量(cc/0.21atm・cap・day)を求めた。
(使用した樹脂)
<未変性ポリオレフィン(A)〉
日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP、BC03GSN、MFR=30g/10分、密度=0.90
〈酸変性ポリオレフィン(B)〉
三菱化学(株)製、商品名:モディック P555、MFR=7.5g/10分、密度=0.90、酸価7.7mg/g
〈ポリアミド(C)〉
ポリアミド(C)として、製造例1〜5で得られたメタキシリレンジアミンとアジピン酸からなるポリメタキシリレンアジパミド(N−MXD6)及び共重合N−MXD6を用いた。
製造例1(ポリアミド(C1)の製造:溶融重合)
撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽及びポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精秤したアジピン酸(AA)(旭化成ケミカルズ(株)製)13755g(94.15mol)、次亜リン酸ナトリウム11.7g(0.11mol)、酢酸ナトリウム6.06g(0.074mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaに保ちながら撹拌下170℃まで昇温した。170℃に到達した後、反応容器内の溶融した原料へ滴下槽に貯めたメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学(株)製)12721.1g(93.39mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を連続的に240℃まで昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所定のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化した後、冷却してペレタイザーによりペレット化し、MXDA/AA(N−MXD6(C1))を得た。なお、各モノマーの仕込み組成比はメタキシリレンジアミン:アジピン酸=49.8:50.2(モル%)であった。ポリアミド(C1)は、タンブラー式の真空乾燥機で、150℃、6時間、乾燥させた。ポリアミド(C1)の相対粘度及びガラス転移温度及び融点を表1に示す。
製造例2(ポリアミド(C2)の製造:固相重合)
上記で重合したN−MXD6(C1)ペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で133Pa(1Torr)以下まで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて120分間、固相重合反応を継続した。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出すことにより、ポリアミド(C1)よりも相対粘度の高いN−MXD6(C2)を得た。ポリアミド(C2)の相対粘度及びガラス転移温度及び融点を表1に示す。
製造例3(ポリアミド(C3)の製造)
反応容器にアジピン酸等の原料とともに、高純度イソフタル酸(エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)998.1gを入れ、各モノマーの仕込み組成比がメタキシリレンジアミン:アジピン酸:高純度イソフタル酸=93.5:94.1:6(モル比)となるように変更したこと以外は製造例2と同様にして高純度イソフタル酸を6モル%共重合したポリアミド(C3)を得た。ポリアミド(C3)の相対粘度及びガラス転移温度及び融点を表1に示す。
製造例4(ポリアミド(C4)の製造)
反応容器にアジピン酸等の原料とともに、3級水素含有カルボン酸成分としてL−アラニン(Sinogel Amino Acid Co.,Ltd製)729.1gを入れ、各モノマーの仕込み組成比がメタキシリレンジアミン:アジピン酸:L−アラニン=93.5:94.1:8.2(モル比)となるように変更したこと以外は製造例2と同様にしてL−アラニンを8モル%共重合したポリアミド(C4)を得た。ポリアミド(C4)の相対粘度及びガラス転移温度及び融点を表1に示す。
製造例5(ポリアミド(C5)の製造)
製造例2で得られたポリアミド(C2)100質量部に対して、ステアリン酸コバルトを400ppm添加したものを2軸押出機にて、溶融混合し、ペレタイズし、ポリアミド(C5)を得た。ポリアミド(C5)の相対粘度及びガラス転移温度及び融点を表1に示す。
実施例1〜10、比較例1〜5
(射出成形法によるキャップの製造)
表2〜表4に示す配合比率で、未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及び製造例1〜5で得られたポリアミド(C)を用いて、射出成形法により、射出成形機(住友重機械工業(株)製SE30DUZ))にて、樹脂温度及び射出速度を表2〜表4に示すように変えて、φ28mm、PS−LOK型のキャップを作製した。射出速度は、2段階設定とし、射出速度V1とは、計量完了位置から20mmの位置までの速度、射出速度V2とは20mmからノズル先端の位置までの速度である。なお、樹脂温度は、ノズル先端部に付属の熱電対で温度を測定した。
これらのキャップのポリアミド(C)の分散性及び酸素透過率を評価した。結果を表2〜表4に示す。
実施例11〜15及び比較例6〜9
(圧縮成形法によるキャップの製造)
表5〜表6に示す配合比率で、未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及び製造例1〜3で得られたポリアミド(C)を用いて、圧縮成形法により、φ50mm単軸フルフライトスクリューからなる押出機を備えた圧縮成形機にて、表5〜表6に示す樹脂温度となるように押出機温度を変えて、φ28mm、PS−LOK型のキャップを作製した。なお、樹脂温度は、押出機内のダイスに付属する熱電対にて温度を測定した。
これらのキャップのポリアミド(C)の分散性及び酸素透過率を評価した。結果を表5〜表6に示す。
比較例10
未変性ポリオレフィン(A)のチップと酸変性ポリオレフィン(B)のチップをブレンドし押出機Aに投入し、250℃で溶融した。一方で、製造例1で得られたポリアミド(C)チップを押出機Bに投入し、260℃で溶融した。両押出機で溶融した樹脂を、樹脂比率が(A)/(B)/(C)=80/10/10(質量比)となるように、260℃のフィードブロックに導き、さらに、260℃のスタティックミキサー(ノリタケカンパニー製、12エレメント、内径38.4mm、1エレメントのL/D=1.5、1エレメントの捩り角180度、捩り勾配46度)にて積層化した。次いで260℃のダイスに導き、このダイスから溶融押出し、カッターで切断し、次いで圧縮成形を行い、φ28mm、PS−LOK型のキャップを作製した。得られたキャップは、ポリアミド(C)が層状分散性を示したものの、1層の長さが420μmと短く、酸素透過率は0.85cc/0.21atm・cap・dayであった。
実施例1〜10では、射出成形法における樹脂温度が、ポリアミド(C)の融点よりも4〜20℃低い220〜225℃で射出成形したキャップは、ポリアミド(C)が長さ500μm以上の層状に分散し、ポリアミド(C)の層状分散性が良好で、PP単層の比較例5と比較して酸素バリア性も良好であった。特に、酸素吸収機能を付与した実施例4及び5の酸素バリア性能は非常に良好であった。また、射出成形速度を速くした実施例9及び10は、ポリアミド(C)の層状分散性が良好で、バリア性も向上した。一方、樹脂温度が、ポリアミド(C)の融点より22℃低い比較例1、及び樹脂温度が、ポリアミド(C)の融点より3℃高い比較例2は、ポリアミド(C)の層状分散が難しく粒状となる。また、ポリアミド(C)の含有量が多い比較例3、含有量の少ない比較例4は、いずれもポリアミド(C)の層状分散が難しく、酸素バリア性が良くなかった。
圧縮成形法においても、射出成形法と同様の結果となり、実施例11〜15は、ポリアミド(C)が長さ500μm以上の層状に分散し、ポリアミド(C)の層状分散性が良好であり、酸素バリア性が良好であった。また、樹脂温度やポリアミド(C)の含有量が不適切であると、層状分散性が悪く、酸素バリア性も良くなかった(比較例6〜9)。また、スタティックミキサーを用いて製造したキャップは、ポリアミド(C)が層状分散するものの、層状ポリアミド(C)の長さが500μmより短いために、酸素バリア性が良くなかった(比較例10)。
本発明で得られる容器用キャップ及びスパウトは、既存の成形装置で成形が可能であり、かつ、バリア性に優れており、飲料、スープ等の液状食品及び化学薬品、医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々の食品・医薬用等のPETボトル、ダイレクトブローボトル、紙容器、パウチなどの容器用キャップやスパウトとして利用できる。

Claims (12)

  1. 未変性ポリオレフィン(A)60〜97質量部と、酸変性ポリオレフィン(B)0〜20質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位と、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位とを含むポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計は100質量部である)を含有する樹脂組成物を用いて成形された成形体からなる容器用キャップ又はスパウトであって、該成形体中にポリアミド(C)が層状に分散している箇所を有し、かつ該層状に分散したポリアミド(C)の長さが500μm以上であることを特徴とする容器用キャップ又はスパウト。
  2. ポリアミド(C)が、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸とイソフタル酸のモル比率が70:30〜100:0であるジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位とを含むものである請求項1に記載の容器用キャップ又はスパウト。
  3. ポリアミド(C)が、メタキシリレンジアミンに由来する芳香族ジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位25〜50モル%と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも1つのジカルボン酸単位を合計で50モル%以上含むジカルボン酸単位25〜50モル%と、3級水素含有カルボン酸単位0〜50モル%とを含有する、請求項1又は2に記載の容器用キャップ又はスパウト。
  4. ポリアミド(C)における、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/100mLの条件下で測定した際の相対粘度が1.5〜4.2の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の容器用キャップ又はスパウト。
  5. ポリアミド(C)が、ポリアミド(C)を構成するポリアミド樹脂100質量部に対して金属原子を1〜1000ppm添加したポリアミドである請求項1〜4のいずれかに記載の容器用キャップ又はスパウト。
  6. 前記金属原子を含有する化合物中の金属がコバルト、マンガン及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の容器用キャップ又はスパウト。
  7. 前記未変性ポリオレフィン(A)が、ポリプロピレンまたはポリエチレンであること請求項1〜6のいずれかに記載の容器用キャップ又はスパウト。
  8. 密封ライナーを装着されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の容器用キャップ又はスパウト。
  9. 射出成形法によって得られる請求項1〜8のいずれかに記載の容器用キャップ又はスパウト。
  10. 圧縮成形法によって得られる請求項1〜8のいずれかに記載の容器用キャップ又はスパウト。
  11. 未変性ポリオレフィン(A)60〜97質量部と酸変性ポリオレフィン(B)0〜20質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位と、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位とを含むポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計は100質量部である)を含有する樹脂組成物を、射出成形機を用いて射出成形する、容器用キャップ又はスパウトの製造方法であって、射出成形機内のノズル先端における樹脂温度が、前記ポリアミド(C)の融点から−20℃〜+2℃の範囲であり、射出成形して得られる成形体中にポリアミド(C)が層状に分散している箇所を有し、かつ該層状に分散したポリアミド(C)の長さが500μm以上である容器用キャップ又はスパウトの製造方法。
  12. 未変性ポリオレフィン(A)60〜97質量部と酸変性ポリオレフィン(B)0〜20質量部と、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するジアミン単位と、ジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位とを含むポリアミド(C)3〜30質量部(未変性ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(B)及びポリアミド(C)の合計は100質量部である)を含有する樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練した後に、圧縮成形する、容器用キャップ又はスパウトの製造方法であって、押出機内のダイスにおける樹脂温度が、前記ポリアミド(C)の融点から−20℃〜+2℃の範囲であり、圧縮成形して得られる成形体中にポリアミド(C)が層状に分散している箇所を有し、かつ該層状に分散したポリアミド(C)の長さが500μm以上である、容器用キャップ又はスパウトの製造方法。
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