JP2016145064A - ポリエチレン系容器及びその製造方法 - Google Patents

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健太郎 石井
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智則 加藤
尚史 小田
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尚史 小田
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憲治 河野
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Abstract

【課題】バリア性能を良好にしつつも、落下割れが生じにくいポリエチレン系容器を提供する。【解決手段】本発明のポリエチレン系容器は、ポリエチレン(A)60〜94質量%、酸変性ポリエチレン(B)1〜35質量%、及びポリアミド(C)5〜35質量%を含む樹脂組成物からなる内容積が2〜25Lのポリエチレン系容器であって、前記ポリアミド(C)が、ポリエチレン(A)中において層状に分散しており、かつ、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むものである。【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア樹脂としてメタキシリレン基含有ポリアミドを含有し、かつ容積が比較的大きく、大型化されたポリエチレン系容器、及びその製造方法に関する。
炭化水素類や各種薬品を保存するための容器としては、薬品瓶、自動車や小型エンジンの燃料タンク等が挙げられる。その素材として従来利用されていた金属やガラスは、その多くがプラスチックへ代替されつつある。プラスチックは金属やガラスと比較して、軽量、防錆処理が不要、割れにくい、形状の自由度が高い等の特長がある。
従来、上述の用途の多くは、プラスチックとして高密度ポリエチレン(以下、「HDPE」と略する場合がある)を利用したポリエチレン系容器が使用されている。しかし、HDPEは、機械強度、成形加工性及び経済性に優れるものの、容器内部に保存される物品がHDPE壁を通して大気中に飛散しやすいという欠点がある。そのため、HDPE等のポリエチレンからなる容器においてバリア性能を高めるための技術が望まれている。
例えば、バリア性能が高められたポリエチレン系容器としては、ポリエチレン60〜90質量%と、メタキシリレン基含有ポリアミド5〜35質量%と、酸変性ポリエチレン5〜35質量%を含有する混合樹脂から形成された単層容器が知られている(例えば特許文献1参照)。この単層容器では、メタキシリレン基含有ポリアミドがガスバリア性樹脂として、ポリエチレン中に層状に分散されるとともに、酸変性ポリエチレンが、ポリエチレンとメタキシリレン基含有ポリアミドを接着するための接着樹脂として使用されている。また、メタキシリレン基含有ポリアミドとしては、アジピン酸とメタキシリレンジアミンを重縮合したものが使用されている。
WO2012/121295号
ところで、例えば各種化学薬品の運搬用や燃料タンクに使用される容器は、安全性確保の観点から、−10℃以下の過酷な条件下で使用する場合でも、落下時等に破損しないことが求められている。また、これら用途で使用される容器は、例えば容積2L以上に大型化されることがある。大型化された容器は、落下時の衝撃等も大きくなるため、より高強度とすることが求められる。
しかし、特許文献1のように、メタキシリレン基含有ポリアミドのジカルボン酸成分としてアジピン酸を使用すると、バリア性能は良好になるものの、強度が十分でないことがある。そのため、容器の容量を大きくした場合には、過酷な条件下で使用することで落下等により割れが生じることがある。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、バリア性能を良好にしつつ、過酷な条件下で使用しても、落下割れが生じにくい、大型化されたポリエチレン系容器を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリエチレン(A)、酸変性ポリエチレン(B)、及びポリアミド(C)を含む樹脂組成物から形成されたポリエチレン系容器において、上記(C)成分を、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリアミドとすることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1]ポリエチレン(A)60〜94質量%、酸変性ポリエチレン(B)1〜35質量%、及びポリアミド(C)5〜35質量%を含む樹脂組成物からなる内容積が2〜25Lのポリエチレン系容器であって、
前記ポリアミド(C)が、ポリエチレン(A)中において層状に分散しており、かつ、ポリアミド(C)が、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリエチレン系容器。
[2]前記ポリエチレン(A)のメルトフローレートが0.01〜10(g/10分)である上記[1]に記載のポリエチレン系容器。
[3]前記酸変性ポリエチレン(B)のメルトフローレートが0.1〜10(g/10分)である上記[1]又は[2]に記載のポリエチレン系容器。
[4]前記酸変性ポリエチレン(B)の酸価が2〜30mg/gである上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエチレン系容器。
[5]前記ポリアミド(C)の相対粘度が1.5〜4.5である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエチレン系容器。
[6]前記ポリアミド(C)の炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が、セバシン酸である上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエチレン系容器。
[7]前記樹脂組成物が、ポリエチレン系容器の製造過程で発生した樹脂固形物より得た再使用樹脂を1〜60質量%含む上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエチレン系容器。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリエチレン系容器の製造方法であって、成形機から前記樹脂組成物を押し出すことにより製造されるポリエチレン系容器の製造方法。
本発明によれば、大型化されたポリエチレン系容器のバリア性能を良好に維持しつつ、落下割れを適切に防ぐことが可能になる。
本発明の一実施形態で使用される成形機を示す模式的な断面図である。 図2(a)は本発明の一実施形態で使用されるダイヘッドを示す垂直断面図である。図2(b)は、b2−b2における水平断面図を示す。 図3(a)は本発明の一実施形態で使用されるダイヘッドを示す垂直断面図である。図3(b)は、b3−b3における水平断面図を示す。 実施例1で得られた容器を軸方向に対して垂直に切断して、その断面を拡大して示す写真である。
以下本発明について実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
本発明に係るポリエチレン系容器は、2〜25Lの内容積を有するものであり、ポリエチレン(A)、酸変性ポリエチレン(B)、及びポリアミド(C)を含有する樹脂組成物からなり、ポリアミド(C)が、ポリエチレン(A)中において層状に分散してなるものである。以下、樹脂組成物に含有されるこれら各成分について詳細に説明する。
(ポリエチレン(A))
ポリエチレン(A)は、ポリエチレン系容器を構成する主要材料となるものである。ポリエチレン(A)としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられるが、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましい。高密度ポリエチレン(HDPE)は、密度が0.942g/cm以上のポリエチレンであり、好ましくはその密度が、0.97g/cm以下、より好ましくは0.945〜0.965g/cmとなるものである。ポリエチレンは、密度が高くなることで結晶性が十分なものとなり、容器の強度や耐薬品性等を高めることが可能となる。また密度が0.97g/cm以下であれば、ポリエチレン(A)がガラスのように脆くなることはなく、容器として実用的な強度を発揮することができる。
これらポリエチレンは、ポリエチレン系容器を構成するポリエチレン(A)として単独で用いることもできるし、2種類以上の混合物として使用することもできる。
ポリエチレン(A)の溶融粘度及び分子量の指標となるものとしては、メルトフローレート(MFR)が代表的なものである。ポリエチレン(A)は、通常、メルトフローレート(MFR)が0.01〜10(g/10分)となるものである。
また、ポリエチレン(A)のMFRは、得られる容器の種類、大きさ、成形方法等によって最適な範囲が異なり、容器が例えばダイレクトブロー法により製造される場合、MFRは0.01〜1(g/10分)であること好ましく、より好ましくは0.02〜0.9(g/10分)である。
ポリエチレン(A)のMFRを1以下とすることで、成形加工時のドローダウン等の発生を抑制することができ、容器の厚み精度が優れたものとなる。また、ポリエチレン(A)のMFRが0.01以上であれば、溶融粘度が成形に適した粘度となるうえに、得られる容器を構成する樹脂組成物中でポリアミド(C)の分散状態が良好となり、その結果、バリア性能に優れた容器とすることが可能である。
なお、ポリエチレン(A)及び後述する酸変性ポリエチレン(B)のMFRは、JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kgfの条件で測定したものである。
ポリエチレン(A)は、特に限定されないが、例えばその融点(Am)が110〜150℃となるものであり、好ましくは125〜140℃程度となるものである。
(酸変性ポリエチレン(B))
酸変性ポリエチレン(B)は、ポリエチレンを不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性したもので、一般に接着性樹脂として用いられているものである。
ここで、不飽和カルボン酸又はその無水物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、クロロマレイン酸、ブテニルコハク酸、及びこれらの酸無水物が挙げられる。中でも、マレイン酸及び無水マレイン酸が好ましく用いられる。上記不飽和カルボン酸又はその無水物をポリエチレンにグラフト共重合して酸変性ポリエチレンを得る方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、ポリエチレンを押出機等で溶融させ、グラフトモノマーを添加して共重合させる方法、あるいはポリエチレンを溶媒に溶解させてグラフトモノマーを添加して共重合させる方法、ポリエチレンを水懸濁液とした後グラフトモノマーを添加して共重合させる方法等を挙げることができる。
酸変性ポリエチレン(B)は、ポリエチレン(A)と該ポリエチレン(A)中に分散したポリアミド(C)とを接着させて容器としての強度を保つようにするものである。そして、ポリエチレン系容器を構成する樹脂組成物中では、酸変性ポリエチレン(B)の酸変性された置換基は、ポリアミド(C)と化学結合状態をとると考えられる。その結果、ポリアミド(C)が酸変性ポリエチレン(B)の近傍に存在することとなり、酸変性率の違いによって接着力が変わることになる。
酸変性ポリエチレン(B)の酸変性率の指標となるものとしては、酸価が挙げられ、本発明における酸価は、JIS K0070に記載の方法に準拠して測定される。本発明において、酸変性ポリエチレン(B)の酸価は、2〜30mg/gであることが好ましい。
酸変性ポリエチレン(B)の酸価が2mg/g以上となると、樹脂組成物中のポリエチレン(A)とポリアミド(C)との接着性が良好となり、両者の接着界面に空隙等が生じにくくなる。そのため、得られるポリエチレン系容器のバリア性能や機械的強度が良好になりやすく、落下させた際の容器割れが発生しにくくなる。
また、酸変性ポリエチレン(B)の酸価が30mg/g以下となることで、酸変性ポリエチレン(B)およびポリアミド(C)が局在化しにくくなり、ダイレクトブロー法により成形される場合、内面に凹凸が生じたり、厚みムラが生じたりすることが防止され、バリア性能や機械的強度が良好になりやすい。
以上の観点から、酸変性ポリエチレン(B)の酸価は、2〜20mg/gであることがより好ましく、3〜15mg/gであることがさらに好ましい。
また、ポリアミド(C)は一般的に比較的硬い材料であるため、容器に衝撃等が加わると、成分(A)との界面でクラックや剥離が起きやすくなり、容器の強度やバリア性能を損なうおそれがある。そのため、本発明で用いられる酸変性ポリエチレン(B)としては、密度が比較的低く、比較的柔らかい性質を有するものを使用することで、ポリアミド(C)に起因する衝撃強度低下を緩和し、容器の実用的な強度を保つことが可能になる。
このような観点から、本発明に用いられる酸変性ポリエチレン(B)の密度は、好ましくは0.90〜0.96g/cmであり、より好ましくは0.91〜0.94g/cmである。酸変性ポリエチレン(B)の密度が0.90g/cm以上であれば、ポリエチレン(A)との相溶性が良好なものとなり、さらにポリアミド(C)との接着性が向上して容器の強度やバリア性能が優れたものとなる。また、酸変性ポリエチレン(B)の密度が0.96g/cm以下であれば、酸変性ポリエチレン(B)が適度な柔らかさを有するため、容器に衝撃等が加わった場合でも強度やバリア性能の低下を招くことを抑制できる。
また、酸変性ポリエチレン(B)のMFRは、成形加工安定性、容器の強度保持の観点から、好ましくは0.1〜10(g/10分)、より好ましくは0.1〜8(g/10分)、さらに好ましくは0.2〜3(g/10分)である。
酸変性ポリエチレン(B)は、特に限定されないが、例えばその融点(Bm)は110〜140℃となるものであり、好ましくは115〜130℃程度となるものである。
(ポリアミド(C))
ポリアミド(C)は、ジアミン単位及びジカルボン酸単位を含み、そのジアミン単位がメタキシリレンジアミンに由来する構成単位(メタキシリレンジアミン単位)を70モル%以上有するものである。ポリアミド(C)において、メタキシリレンジアミン単位が70モル%未満となると、容器のガスバリア性が低下するおそれがある。ポリアミド(C)を構成するジアミン単位は、ガスバリア性の観点から、メタキシリレンジアミン単位を好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%含み、最も好ましくは100モル%含む。
ポリアミド(C)を構成するジアミン単位は、メタキシリレンジアミン単位以外のジアミン単位を30モル%以下含有していてもよい。メタキシリレンジアミン単位以外のジアミン単位を構成しうる化合物としては、パラキシリレンジアミン等の芳香環を有するジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式構造を有するジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、ポリオキシアルキレンアミン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族ジアミンが例示できるが、これらに限定されるものではない。また、これらの中では、バリア性能を良好に維持しつつ機械強度を良好にする観点からパラキシリレンジアミンが好ましい。
ポリアミド(C)を構成するジカルボン酸単位は、炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むものである。本発明では、このように炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を主成分として含有することで、ガスバリア性を良好に維持したまま、ポリエチレン系容器の機械強度を良好にでき、容器を過酷条件下で落下させたときに生じる割れ等を防止することが可能になる。
また、本発明では、ポリアミド(C)を構成するジカルボン酸単位として炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むことで、ポリアミド(C)の融点が、例えば炭素数6のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を主成分として含有するポリアミド(例えば、ポリメタキシリレンアジパミド)よりも低くなり、樹脂組成物を容器に成形加工する際の成形温度を下げることが可能になる。その結果、成形加工時のドローダウンを抑制できるため、従来、製造することが難しい場合があった2〜25Lの大型容器を製造することがより容易になる。さらに、成形加工時のドローダウンが抑制されることにより、得られたポリエチレン系容器は厚みムラが少なく、さらにポリエチレン等に由来する低分子量成分が表面に浮き出ることを抑制できるため、容器底面のピンチオフ部の接着強度が優れたものとなり、過酷条件下の落下強度がより優れたものとなる。
一方、炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸単位が70モル%未満となると、機械強度等が低下し、過酷条件下における落下により容器に割れが生じたり、バリア性能が低下したりするおそれがある。さらには、ドローダウン等が生じて、大型のポリエチレン容器を成形することが難しいこともある。ポリアミド(C)を構成するジカルボン酸単位は、機械強度とバリア性能をバランスよく向上させる観点から、炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位を80〜100モル%含有することが好ましく、90〜100モル%以上含有することが更に好ましく、100モル%含有することが最も好ましい。
炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等が挙げられるが、ガスバリア性及び機械強度の両方をバランスよく改善する観点から、セバシン酸が好ましい。
ポリアミド(C)を構成するジカルボン酸単位は、炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位を30モル%以下の割合で含有してもよい。そのジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等の炭素数4〜9のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸;トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸等の炭素数13〜24のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中では、イソフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸は、ポリアミド(C)の製造時における重縮合反応を阻害することなく、バリア性能に優れるポリアミドを容易に得ることができるので好ましい。ポリアミド(C)がイソフタル酸及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位を有する場合、ポリエチレン系容器中のポリアミド(C)の分散性及び容器のバリア性能の観点から、イソフタル酸及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位の含有量は、全ジカルボン酸単位の好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは15モル%以下である。
また、ジアミン単位及びジカルボン酸単位以外にも、ポリアミド(C)を構成する共重合体単位として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類、p−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等の化合物由来の構成単位を共重合単位として使用できる。ポリアミド(C)におけるジアミン単位及びジカルボン酸単位以外の共重合体単位は、通常、全共重合体単位の30モル%以下であり、好ましくは10モル%以下である。
ポリアミド(C)は、上記したジアミンとジカルボン酸とを重縮合することにより得られるものである。重合法としては、溶融重縮合法が挙げられ、例えばジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重縮合させる方法がある。また、ジアミンを溶融状態のジカルボン酸に直接加えて、重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミンをジカルボン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
ポリアミド(C)の重縮合系内にはアミド化反応を促進する効果や、重縮合時の着色を防止する効果を得るために、リン原子含有化合物を添加してもよい。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等が挙げられる。これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩がアミド化反応を促進する効果が高く、かつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましいが、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
ポリアミド(C)の重縮合系内に添加するリン原子含有化合物の添加量は、重縮合中のポリアミド(C)の着色を防止する観点から、ポリアミド(C)中のリン原子濃度換算で好ましくは1〜500ppm、より好ましくは5〜450ppm、さらに好ましくは10〜400ppmである。
ポリアミド(C)の重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリアミド(C)の着色を防止するためにはリン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を共存させることが好ましい。
例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の水酸化物や、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の酢酸塩等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。
ポリアミド(C)の重縮合系内にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数をリン原子含有化合物のモル数で除した値が、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.6〜1.8である。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の添加量を上述の範囲とすることでリン原子含有化合物によるアミド化反応促進効果を得つつゲルの生成を抑制することが可能となる。
溶融重縮合で得られたポリアミド(C)は反応缶等の反応系から取り出され、ペレット化される。得られたペレットは、乾燥したり、更に重合度を高めるために固相重合したりしてもよい。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。特にポリアミドの固相重合を行う場合は、上述の装置の中で回転ドラム式の加熱装置が、系内を密閉化でき、かつ着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進めやすいことから好ましく用いられる。
ポリアミド(C)の重合度の指標としてはいくつかあるが、相対粘度が一般的に使われるものである。本発明に用いられるポリアミド(C)の相対粘度は好ましくは1.5〜4.5であり、より好ましくは2.0〜4.2である。ポリアミド(C)は相対粘度が高くなるにつれてポリエチレン(A)と相溶化しにくくなり、層状分散状態を形成しやすくなる。しかし、ポリアミド(C)の相対粘度を高くしようとすると重合時間が長くなり、製造コストが増大する。ポリアミド(C)の相対粘度を上述の範囲に設定することで良好な層状分散状態を形成させることができ、かつ製造コストを低く抑えることができる。なお、相対粘度は、後述する実施例に記載した方法にしたがって測定したものである。
本発明で使用されるポリアミド(C)は、その融点(Cm)が、通常、165〜235℃となるものであるが、好ましくは175〜225℃となるものである。
また、ポリアミド(C)は、その融点(Cm)がポリエチレン(A)の融点(Am)より高くなるものであり、その融点差(Cm−Am)は、好ましくは20〜150℃、より好ましくは50〜120℃である。本発明では、このように、成分(C)と成分(A)との融点差を大きくすることで、ポリアミド容器を構成する樹脂組成物中で、ポリアミド(C)が層状分散しやすくなり、バリア性が向上する。さらに、後述する製造方法により適切に製造することが可能である。
同様に、ポリアミド(C)の融点(Cm)は、酸変性ポリエチレン(B)の融点(Bm)より高くなるものであり、その融点差(Cm−Bm)は、好ましくは20〜150℃、より好ましくは50〜120℃である。
(各材料の配合比率)
本発明の容器を構成する各材料の配合比率は、樹脂組成物全量に対して、ポリエチレン(A)が60〜94質量%、酸変性ポリエチレン(B)が1〜35質量%、ポリアミド(C)が5〜35質量%となるものである。また、好ましくはポリエチレン(A)が65〜94質量%、酸変性ポリエチレン(B)が1〜30質量%、ポリアミド(C)が5〜30質量%であり、より好ましくはポリエチレン(A)が70〜94質量%、酸変性ポリエチレン(B)が1〜25質量%、ポリアミド(C)が5〜25質量%である。ただし、(A)〜(C)の3成分の合計が100質量%を超えることはない。
上述の範囲に各材料の配合比率を設定することによって、容器のバリア性能を効率的に高めつつ、容器の強度を良好にして、容器を落下したときに割れ等が生じにくくなる。また、ポリアミド(C)のジカルボン酸単位は、比較的炭素数が大きい(炭素数10〜12)ものが主成分であるため、ポリエチレン(A)と接着性が比較的良好で、酸変性ポリエチレン(B)が少ない量(例えば、(A)〜(C)の合計に対して5質量%以下)であったとしても、容器の強度を十分なものとすることが可能である。
(その他の成分)
上記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で上述の材料以外にも様々な材料を配合することができる。例えば、プロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー等に代表されるポリプロピレン類;ポリブテン−1、ポリメチルペンテン等の炭素数3〜20のα−オレフィンの単独重合体;炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体;炭素数3〜20のα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体;アイオノマー;エチレン−エチルアクリレート共重合体やエチレン−メチルアクリレート共重合体等の各種変性ポリエチレン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート等の各種ポリエステル;ナイロン6やナイロン66等のポリアミド(C)以外のポリアミド;スチレン−ブタジエン共重合体やその水添化物;各種熱可塑性エラストマー等を添加することができ、これらに限定されることはない。
また、樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、滑剤等の添加剤等を加えることができ、以上に示したものに限定されることなく種々の材料を混合してもよい。なお、これら各添加剤は、ポリエチレン系容器を製造する際には、通常、(A)、(B)及び(C)成分の1つ以上に予め混合された状態で成形機に投入される。
さらに、樹脂組成物は、ポリエチレン系容器の製造過程において発生したパージくずやバリ、得られたポリエチレン系容器のうち不良品等になった樹脂固形物を粉砕して得た再使用樹脂を含んでいてもよい。なお再使用樹脂の混合率は、バリア性能の低下やポリエチレン系容器の強度低下、色調の悪化を最小限とするため、樹脂組成物における含有量として、60質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以下である。また、その下限値は特に限定されないが、1質量%以上であることが好ましい。使用するポリエチレンの一部代替として再使用樹脂を混合するとポリエチレン系容器に占めるポリアミド(C)の含有率が増加することがある。その際も、成形加工品の強度が大きく低下することを防止するために、上記した(A)、(B)及び(C)成分の配合比率となるように再使用樹脂の配合を行う。
[ポリエチレン系容器]
本発明におけるポリエチレン系容器は、前述した特定の樹脂組成物から構成されることで、内容積が2〜25Lの大型のポリエチレン容器とすることが可能である。ここで、本発明における「内容積」とは、ポリエチレン系容器に水を満たし、容器内に水がさらに入る空間がない状態にした際の、充填可能な水の最大容積で定量する。本発明において、ポリエチレン系容器の内容積は、製造の容易性等の観点から、好ましくは2〜10L、より好ましくは2〜5Lである。
本発明におけるポリエチレン系容器としては、タンク形状、ボトル形状、ドラム形状、カップ形状等が挙げられる。
また、ポリエチレン系容器は、その厚さが、特に限定されないが、0.5〜5mm程度となるもので、好ましくは1〜3mmとなるものである。容器の厚さを0.5mm以上とすることで、容器のバリア性や強度を高いものとすることができる。また、5mm以下とすることで、容器の軽量化、低コスト化が図れるとともに、本発明においてバリア性能を向上させる効果を発揮させやすくなる。なお、厚さとは、容器胴部の平均厚さを意味する。
また、ポリアミド(C)は、ポリエチレン(A)において、層状に分散しており、その分散したポリアミド(C)は、一部連続して連続相を形成してもよい。層状に分散したポリアミド(C)は、容器の厚さ方向においてポリエチレン(A)と交互に存在するような分散状態となっていてもよい。なお、ポリエチレン系容器は、通常、上記成分(A)〜(C)を含む樹脂組成物から形成された1つの層からなるものである。
本発明のポリエチレン系容器は、ダイレクトブロー法により製造されることが好ましい。また、シート成形体を熱成形することにより成形してもよい。シート成形体を熱成形する場合には、まずTダイ法によりシート成形体が製造され、得られたシート成形体が、真空成形、圧空成形等の熱成形により容器に二次成形されることが好ましい。
[ポリエチレン系容器の製造方法]
以下、ポリエチレン系容器の製造方法の一実施形態について説明する。
本製造方法は、上記した(A)、(B)及び(C)成分を含む樹脂組成物を成形機から押し出してポリエチレン系構造体を得ており、そのポリエチレン系構造体において、ポリエチレン(A)中にポリアミド(C)を層状に分散させるものである。本方法で使用される成形機は、単軸押出機と、ダイヘッドと、単軸押出機から樹脂組成物をダイヘッドに送る連通部とを備えるものである。
本製造方法では、特に限定されないが、ダイレクトブロー法、Tダイ法等の公知の方法が採用されるが、ダイレクトブロー法が好ましい。また、ダイヘッドは、Tダイ、ストレートダイ、クロスヘッドダイのいずれから構成されてもよいが、クロスヘッドダイから構成されることが好ましい。
なお、成形機から押出されるポリエチレン系構造体は、通常、容器となるものであるが、シート成形体等の容器以外の構造体に成形し、その後の二次成形により容器に成形してもよい。
以下、図1を用いて製造方法の一実施形態をさらに詳細に説明する。なお、以下の説明では、クロスヘッドダイを用いて、ダイレクトブロー法により容器が成形される際の例を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る成形機10は、単軸押出機11と、ダイヘッド12と、ダイヘッド12を単軸押出機11の先端に取り付けるためのアダプター13を備える。アダプター13は、単軸押出機11から樹脂組成物をダイヘッド12に送るための連通部となる。単軸押出機11は、シリンダー20と、シリンダー20の内部に挿通されるスクリュー21と、シリンダー20の上流側の端部に取り付けられるホッパー22と、スクリュー21を回転させるスクリュー駆動装置23とを備える。
スクリュー21は、スクリュー軸の側面に螺旋状に形成されたねじ切り部25が形成されたものである。ねじ切り部25の外径Dは、シリンダーの内周面の内径よりも若干小さく、かつ一定に設定されている。
スクリュー21は、その基端部から先端部に向けて、供給部21Aと、供給部21Aに続く圧縮部21Bと、圧縮部21Bに続く計量部21Cとを有する。供給部21Aは、スクリューのねじ切り部25が施された、ねじの切り始めから溝深さ(高さ、又はねじ深さとも言う)が一定となっている範囲をいう。圧縮部21Bは、溝深さが徐々に浅くなる範囲をいう。計量部21Cは、スクリュー先端部の溝深さが浅く一定となっている範囲をいう。
供給部、圧縮部、計量部の長さL1、L2、L3は、これらの合計を1としたとき、それぞれ0.2〜0.5程度となるものであり、より好ましくはそれぞれ0.25〜0.40程度となるものである。
本成形機におけるスクリュー形状は、圧縮比(C/R)が1.5〜3.5であるものが好ましく、1.8〜3.0がより好ましい。なお、圧縮比(C/R)とは、供給部21Aの1ピッチ分の樹脂容量(体積)と計量部21Cの1ピッチ分の樹脂容量(体積)の比で表される。スクリューの圧縮比が1.5以上であれば、樹脂組成物に効果的に剪断効果を与えることができ、ポリアミド(C)以外の成分を後述する温度条件で十分に可塑化することができる。また、圧縮比が3.5以下であると、樹脂組成物中のポリアミド(C)が、単軸押出機11内部で微細な粒状に分散されることが防止される。
ダイヘッド12は、内部に中空部を有するダイボディ31と、中空部内部に配置され、ダイボディ31との間に、円筒状のダイ孔32を形成するマンドレル33とを備える。
円筒状のダイ孔32は、下側が開口して吐出口32Aとなるとともに、上側には導入路35が接続される。導入路35は、ダイヘッド12からアダプター(連通部)13の内部を通って、単軸押出機11の排出口11Aに接続される。なお、ダイ孔32は、筒状形状であれば、円筒状に限定されない。
なお、図1では、マンドレル33は、ダイボディ31の上部からはめ込まれるタイプのものを示すが、本発明では使用するマンドレルの種類に制限はなく、図2、3に示すように、マンドレル33は、ダイボディ31の内壁とサポート38(又は38A,38B)で連結されるタイプのものであってもよい。
一般的に、いずれのマンドレルを使用してもウェルドと呼ばれる樹脂の合流部が発生し、本発明の容器においてはウェルド周辺にポリアミド(C)がほとんど存在しないため、これによりバリア性が低下することがある。したがって、容器中のウェルドが占める面積は小さい方が好ましく、このような観点から、図2、3に示すように、ダイボディ31の内壁とサポート38(又は38A,38B)で連結されるタイプのマンドレルを使用することが好ましい。
さらには、図3に示すように、ダイボディ31とマンドレル33の間に円筒部39を配置し、円筒部39、及び円筒部39の内側、外側それぞれに配置されたサポート38A,38Bを介して、ダイボディ31の内壁とマンドレル33とを連結し、かつ円筒部39の内側と外側とでサポート38A,38Bの位置を円周方向においてずらしたものがより好ましい。この構成により、得られる容器の壁面をウェルドが貫通しない構造とすることができ、バリア性を良好にできる。
サポート38、38Aおよび38Bの本数は、それぞれ2〜4本であることが好ましく、この範囲内であればウェルドによるバリア性の低下を最小限にすることができ、かつダイボディ31とマンドレル33の連結に必要な強度を確保することができる。また、サポート38、38Aおよび38Bの形状は、ウェルド抑制の観点から、薄板状であることが好ましく、その上下部分が鋭角状になっていることがより好ましい。
なお、通常、マンドレル33は径の大きい部分が設けられることで、ダイヘッド12のダイ孔32は、幅が最も狭くなった最狭部40が設けられるが、円筒部39、サポート38、38A、38Bは、通常、その最狭部40の上流側に配置される。
単軸押出機11には、スクリュー21の基端部からスクリュー先端部に向けて、例えば、順にヒーターC1、C2、C3が設けられる。ヒーターC1、C2、C3は、それぞれスクリューの供給部21A、圧縮部21B、計量部21Cに対応する部分のシリンダーを加熱し、その温度(シリンダー温度)を調整する。
なお、ヒーターC1、C2、C3それぞれは、供給部21A、圧縮部21B,計量部21Cに対応するシリンダー全体を後述する温度(T1,T2)に維持できるように加熱するものであってもよいが、例えば、ヒーターC1、C2は、供給部21A、圧縮部21Bに対応するシリンダーの大半の部分(例えば、80%以上の部分)を後述する温度(T1)に維持できるように加熱するものであればよい。同様に、ヒーターC3は、例えば、計量部21Cに対応するシリンダーの大半の部分を後述する温度(T2)に維持できるように加熱するものであればよい。このような温度調整を行うために、単軸押出機には少なくとも3つのヒーターを設置することが好ましい。
また、アダプター13を取り巻くようにヒーターADが設けられ、アダプター13はヒーターADによって後述する温度T3に維持される。また、ダイヘッド12には、不図示のヒーターが設けられ、ダイヘッド12は、そのヒーターによって、その全体が後述する温度T4に維持される。
単軸押出機11は、ホッパー22からスクリュー21の基端側に投入された各種原料((A),(B),(C)成分及びその他の任意成分)を、スクリュー21によって移動させながら可塑化しつつ混練し、その排出口11Aから上記原料の混合物を樹脂組成物として排出させる。単軸押出機11の排出口11Aから排出された樹脂組成物は、導入路35を介してダイ孔32に導入され、吐出口32Aから円筒状のパリソンとして押出される。パリソンは、その後、公知の方法で容器に成形される。具体的には、パリソンは、適当な長さに押し出されたタイミングで不図示の金型で挟み、空気をパリソン内に送り込んで膨らませ冷却された金型内に密着させ、それにより金型内で容器を成形し、その成形した容器は、金型を開いて取り出す。
なお、ホッパー22から投入される各原料は、粉体、ペレット等の固体であればいかなる形状でもよいが、ペレットであることが好ましい。
本製造方法では、以下の式(1)〜(4)を満足する条件で、樹脂組成物を成形機から押出することにより、ポリエチレン系構造体を得ることが好ましい。
Am+10℃≦T1≦Cm−10℃ (1)
Cm−30℃≦T2≦Cm+30℃ (2)
Cm−10℃≦T3≦Cm+50℃ (3)
Cm−30℃≦T4≦Cm+40℃ (4)
上記式(1)〜(4)において、T1は、単軸押出機において、スクリューの供給部および圧縮部に対応する部分のシリンダー温度(℃)である。また、T2は、単軸押出機において、スクリューの計量部に対応する部分のシリンダー温度(℃)である。また、T3は連通部の温度、T4はダイヘッドの温度(℃)である。
また、Amはポリエチレン(A)の融点、Cmはポリアミド(C)の融点である。
すなわち、単軸押出機11において、温度T1は、ヒーターC1、C2により加熱される部分のシリンダー温度である。また温度T2は、ヒーターC3によって加熱される部分のシリンダー温度(℃)である。さらに、温度T3はヒーターADによって加熱されるアダプター13の温度、温度T4はダイヘッドに設けられたヒーター(不図示)によって加熱されるダイヘッド12の温度である。
本発明では、温度T1が(Am+10℃)以上に制御され、そのため、ホッパー22から投入された原料のうち、ポリエチレン(A)が、シリンダー20内部の供給部21A及び圧縮部21Bに対応する領域で溶融された状態となる。一方で、温度T1は、ポリアミド(C)の融点Cmより十分に低いため、ポリアミド(C)は、これら領域では十分に軟化されず、ほとんど微細化されない。したがって、ポリアミド(C)は、供給部21A、圧縮部21Bに対応する領域では、ペレットで投入された場合にはペレット状態がある程度保持される。
また、ポリエチレン(A)を供給部21A及び圧縮部21Bに対応する領域で溶融させつつ、ポリアミド(C)を十分に軟化させないために、温度T1は、Am+20℃≦T1≦Cm−20℃であることがより好ましい。
また、ポリエチレン(A)とともに、酸変性ポリエチレン(B)も溶融させるために、温度T1は、酸変性ポリエチレン(B)の融点Bmよりも高いことが好ましく、より好ましくは(Bm+5℃)以上、さらに好ましくは(Bm+10℃)以上である。
なお、本発明では、供給部21A及び圧縮部21Bに対応する部分のシリンダー温度は、互いに同じ温度であってもよいし、異なっていてもよい。なお、互いに異なる場合には、圧縮部21Bに対応する部分のシリンダー温度は、供給部21Aに対応する部分のシリンダー温度よりも高いことが好ましい。
次いで、本製造方法では、シリンダー温度T2が上記のように制御され、ポリアミド(C)は、シリンダー20内部の計量部21Cに対応する領域では、軟化状態がさらに進行する。ただし、ポリアミド(C)は、計量部21Cに対応する領域で必要以上に軟化されず、供給部21A及び圧縮部21Bと同様に、十分に微細化されない。そのため、単軸押出機11から排出される樹脂組成物は、溶融したポリエチレン(A)及び酸変性ポリエチレン(B)の混合物中に、十分に微細化されない固体状のポリアミド(C)が散りばめられた状態となる。ただし、シリンダー温度T2は(Cm−30℃)以上であり、ポリアミド(C)が十分に加熱されることとなるため、ポリアミド(C)は後述するようにアダプター13(連通部)で十分に軟化することが可能になる。
なお、シリンダー温度T2は、通常、シリンダー温度T1よりも高くなる。また、シリンダー温度T2は、ポリアミド(C)の融点Cmよりも低いことが好ましく、(Cm−20℃)≦T2<Cmであることがより好ましい。このように、シリンダー温度T2を上記温度範囲で制御することで、計量部21Cに対応する領域において、ポリアミド(C)が溶融したり、微細化したりすることを防止し、適度に軟化させることができる。
次いで、本製造方法では、アダプター(連通部)13の温度T3が、上記したように、ポリアミド(C)の融点Cm−10℃以上の温度に設定されるため、ポリアミド(C)は、アダプター13で十分な軟化状態になる。ここで、ポリアミド(C)は、上記したように、溶融した成分(A)(B)中に十分に微細化されない状態で単軸押出機11から供給される。そのため、ポリアミド(C)は、アダプター13内部で、十分に微細化されない状態のまま軟化させられ、その状態でダイ孔32に送られることになる。
本製造方法では、各原料に余計な熱履歴を与えず、また成分(C)の分散を必要以上に起こさせないために、Cm−10℃≦T3≦Cm+40℃であることがより好ましい。なお、温度T3は、温度T2よりも高いことが好ましい。
次に、アダプター13で十分に微細化されない状態で軟化されたポリアミド(C)は、導入路35よりも幅が狭められたダイ孔32を通ることでせん断が加えられて薄層化され、ポリエチレン(A)中に層状に分散されることとなる。一般的にダイ孔32の幅は一定ではないが、最狭部の幅が小さいほどポリアミド(C)は層状に分散しやすくなる。最狭部の幅は0.1〜2mmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.3〜1.2mmである。
本製造方法では、ダイヘッドの温度T4が(Cm−30℃)以上であるため、ポリアミド(C)はダイヘッド内部にて固化等することがないため、押出不良等が生じない。また、ダイヘッドの温度T4は(Cm+40℃)以下であるため、各原料に必要以上に熱履歴が与られず、ポリエチレン系容器の品質が悪化したり、各原料の溶融粘度が低下してドローダウンが発生したりすることも防止される。
本製造方法では、混合原料に余計な熱履歴を与えず、また、押し出し性、成形加工性をより良好にする観点から、ダイヘッドの温度T4は、Cm≦T4≦Cm+40℃であることがより好ましい。
また、本製造方法において、吐出口32Aから押し出される樹脂組成物の温度T5(出口樹脂温度T5)は、以下の式(5)を満足することが好ましい。
Cm−30℃≦T5≦Cm+30℃ (5)
樹脂出口温度が以上の温度範囲であると、ポリアミド(C)は、ポリエチレン容器において層状に分散しやすくなり、また、非溶融の軟化状態で層状に引き伸ばされやすくなるため、バリア性能を高めやすくなる。
なお、以上の説明では、クロスヘッドダイを用いて、ダイレクトブロー法により容器を成形する例を説明したが、Tダイ等の他のダイヘッドや成形方法を利用する場合も同様である。例えば、Tダイを使用する場合、アダプターからTダイに送られた樹脂組成物が、リップ隙間により構成されたダイ孔の吐出口から押し出されて、シート状に成形される。シート状のポリエチレン系構造体は、その後、真空成形、圧空成形等の熱成形により容器に二次成形される。
また、ダイヘッドとしては、1つのダイヘッドに2つ以上のダイ孔を有するものを使用してもよい。ダイ孔を2つ以上有することで、一度に複数のポリエチレン系容器が製造でき、生産性を向上させることができる。また、以上説明した製造方法では、上記したように主にダイ孔の内部でポリアミド(C)が層状に分散される。そのため、導入路35を分岐させてもポリアミド(C)の層が2つに分離しないので、バリア性能の高いポリエチレン容器を得ることが可能になる。
なお、ダイヘッドがダイ孔を2つ以上有する場合、例えば導入路35が2つ以上に分岐され、それぞれの分岐路が各ダイ孔に接続する態様にすることができる。
なお、以上の説明では、単軸押出機は、ミキシング部が設けられないフルフライトと呼ばれるスクリューが使用される例を説明したが、本発明では、例えば、圧縮部21Bがダブルフライト構造となっているスクリューや、計量部21Cにミキシング部が設けられるミキシングスクリューが使用されてもよい。ミキシング部としては、例えば、ピン形状の突起が設けられたものや、バリアタイプのものが使用されるが、これらに限定されるものではない。バリアタイプのものとしては、具体的にはマドックが挙げられる。バリアタイプのものを使用する場合、計量部21Cに対応する部分のシリンダー温度T2は、以下の(2’)で示す条件としたほうがよい。
Cm−30℃≦T2≦Cm−5℃ (2’)
計量部21Cにバリアタイプのミキシング部が設けられると、計量部21Cで各原料が大きなせん断を受けることになる。せん断発熱により計量部21Cの温度が上昇するため、計量部21Cに対応する部分のシリンダー温度T2を上記のように低くすることで、計量部21Cでポリアミド(C)が必要以上に軟化したり、溶融したりすることが防止される。なお、ミキシング部が設けられる場合、計量部の長さL3はミキシング部の長さも含めた長さをいう。
以上説明した製造方法では、成形機10を上記(1)〜(4)の条件で温度制御することで、得られるポリエチレン系構造体において、ポリエチレン(A)中にポリアミド(C)を適切に層状に分散させることができる。そのため、ポリエチレン系容器のバリア性を高めることができる。
ただし、本発明では、上記成形機10を上記(1)〜(4)の条件で温度制御する必要はなく、ポリエチレン(A)中にポリアミド(C)が層状に分散する製造方法であれば特に限定されるわけではない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各種物性測定、及び評価方法は下記のとおりである。
(1)ポリエチレン(A)及び酸変性ポリエチレン(B)のMFR(g/10分)
東洋精機製作所製メルトインデクサーを使用し、JIS K7210に準拠して、190℃、2.16kgfの条件にて測定を行った。
(2)ポリエチレン(A)及び酸変性ポリエチレン(B)の密度(g/cm
押出機、Tダイ、冷却ロール、引き取り機等からなるシート成形機を用い、厚さが約1mmの単層シートを成形した。次いでシートから縦50mm×横50mmの試験片を切削して真比重計により真比重を求めた。
(3)酸変性ポリエチレン(B)の酸価(mg/g)
JIS K0070に準拠して、中和滴定により測定を行った。酸変性ポリエチレン1gを精秤し、キシレン100mLに約120℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、フェノールフタレイン溶液を加え、予め正確な濃度を求めた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を用いて中和滴定を行った。滴下量(T)、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター(f)、水酸化カリウムの式量56.11の1/10(5.611)、酸変性ポリエチレンの質量(S)から式(6)により酸価を算出した。
酸価=T×f×5.611/S ・・・(6)
(4)ポリアミド(C)の相対粘度
ポリアミド(C)0.2gを精秤し、96%硫酸20mLに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温層中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また同様の条件で96%硫酸そのものの落下時間(t0)を測定した。t及びt0から式(7)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0 ・・・(7)
(5)ポリエチレン(A)、酸変性ポリエチレン(B)、及びポリアミド(C)の融点
示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、窒素気流下にて、室温から260℃まで10℃/分の昇温速度で試料を融解させた後、液体窒素を用いて測定試料を急冷し、再度室温から260℃まで10℃/分の速度で昇温して測定を行った。次いで、得られたチャートから融解ピーク頂点の温度を読みとった。
(6)容器のバリア性能
実施例及び比較例で作製した内容積が2Lの容器に、トルエン1Lを入れた後、口栓開口部をアルミ蒸着フィルムでヒートシールし、更にキャップをつけて総質量を測定した。次いで、トルエンを封入した容器を40℃の恒温槽に保管して、24時間毎に総質量を測定し、質量減少量が安定するまで測定を継続した。このときの1日あたりの質量減少量をトルエン透過率(g/bottle・day)とした。
(7)落下試験
実施例及び比較例で作製した容器に、エチレングリコール2Lを充填してキャップを閉め、−18℃の恒温室で4時間調温した。次いで、−18℃の恒温室にて、容器の底面を下にし、1.2mの高さからコンクリート上に3回連続して落下させ、5個の容器のうち、試験中に割れた容器数をカウントした。
製造例1
(ポリアミド(PA−1)の製造)
分縮器、全縮器、圧力計、窒素導入口、液体注入口、樹脂抜き出しバルブ、撹拌機を備えた内容量50リットルの加熱ジャケット付きSUS製反応缶に、セバシン酸15000g(74.2mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物11.6g(0.11mol、ポリアミド(C)中のリン原子濃度換算151ppm、酢酸ナトリウム6.0g(0.07mol)を仕込み、反応缶内部を窒素置換した。次いで、窒素により反応缶内を0.4MPaに加圧し、かつ反応缶を190℃まで加熱し、セバシン酸を完全に融解させた後、メタキシリレンジアミン10101g(74.2mol)の滴下を開始した。メタキシリレンジアミンを滴下する間、重縮合により生成する水を系内から除去しつつ、反応系内が固化しないように内温を250℃まで連続的に昇温した。次いで、反応缶内を常圧に下げた後、内温を250℃に保持しつつアスピレーターと圧力調節器を使用して反応缶内を0.08MPaまで減圧し、重縮合反応を継続した。撹拌機のトルクを観察しながら十分に樹脂の粘度が高くなった時点で撹拌を止め、窒素により反応缶内を0.2MPaに加圧してから反応缶底の抜出バルブを開けてポリマーをストランド状にして抜き出し、水冷後ペレタイザーにてペレット化して、約22kgのポリアミドのペレットを得た。
次いで、真空ポンプを備えた乾燥機にポリアミドのペレットを仕込み、系内の圧力を1torr以下に減圧して120℃で6時間乾燥を行い、ポリアミド(PA−1)を得た。得られたポリアミド(PA−1)の相対粘度は2.3、融点は190℃であった。
製造例2
(ポリアミド(PA−2)の製造)
使用したジアミン原料をメタキシリレンジアミン7071g(51.9mol)及びパラキシリレンジアミン3030g(22.3mol)の混合物としたこと以外は、製造例1と同様にしてポリアミド(PA−2)を作製した。得られたポリアミド(PA−2)の相対粘度は2.3、融点は215℃であった。
製造例3
(ポリアミド(PA−3)の製造)
使用した原料をドデカン二酸15000g(65.1mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物11.1g(0.10mol、ポリアミド(C)中のリン原子濃度換算151ppm)、酢酸ナトリウム5.8g(0.07mol)、メタキシリレンジアミン8871g(65.1mol)としたこと以外は、製造例1と同様にしてポリアミド(PA−3)を得た。得られたポリアミド(PA−3)の相対粘度は2.3、融点は185℃であった。
製造例4
(ポリアミド(PA−4)の製造)
使用した原料をアジビン酸15000g(102.7mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物13.1g (0.12mol、ポリアミド(C)中のリン原子濃度換算151ppm)、酢酸ナトリウム6.8g(0.08mol)、メタキシリレンジアミン13984g(102.7mol)とするとともに、滴下開始時から終了まで反応缶内を常圧に維持し、かつ、反応缶内の最終温度を260℃としたこと以外は製造例1と同様にしてポリアミド(PA−4)を得た。得られたポリアミド(PA−4)の相対粘度は2.4、融点は238℃であった。
<使用したポリエチレン(A)>
HDPE−1:
日本ポリエチレン(株)製、高密度ポリエチレン、商品名:ノバテックHD HB420R、MFR=0.2(190℃、2.16kgf)、密度=0.956g/cm、融点=133℃
HDPE−2:
京葉ポリエチレン(株)製、高密度ポリエチレン、商品名:KEIYOポリエチ B5500、MFR=0.03(190℃、2.16kgf)、密度=0.954g/cm、融点=135℃
HDPE−3:
プライムポリマー(株)製、高密度ポリエチレン、商品名:ハイゼックス 6200BX、MFR=0.9(190℃、2.16kgf)、密度=0.954g/cm、融点=132℃
<使用した酸変性ポリエチレン(B)>
AD−1:
日本ポリエチレン(株)製、酸変性ポリエチレン、商品名:アドテックスL6100M、MFR=1.1(190℃、2.16kgf)、密度=0.92g/cm、酸価9.8mg/g、融点=123℃
<使用したポリアミド>
[ポリアミド]
PA−5:
宇部興産(株)製、ナイロン12、商品名:UBEナイロン 3030U、融点=178℃
実施例1
直径=90mm、L/D=25、供給部/圧縮部/計量部の長さ比率=33/33/33%、圧縮比=2.5のフルフライトスクリューを挿入した単軸押出機、アダプター、パリソンコントローラー付き円筒ダイ(ダイヘッド;ダイ孔の最狭部の幅:1mm)、金型、型締め機、冷却器等を備えた単層ダイレクトブロー容器成形機を使用して、以下のようにボトルを成形した。押出機ホッパーから、HDPE−1/AD−1/PA−1=80/10/10(質量%)の割合でドライブレンドした混合ペレットを、単軸押出機内に投入し、スクリュー回転数を30rpmとしてパリソンを円筒ダイから押し出し、ダイレクトブロー法によって内容積2L、胴部平均厚さ1.5mmのネジ口栓付きボトルの成形を行った。その際、押出機のシリンダー温度を、C1/C2/C3=160/170/185℃、アダプターの温度を220℃、ダイヘッドの温度を220℃に設定した。なお、C1、C2、C3は、それぞれ供給部、圧縮部、計量部に対応する部分のシリンダー温度である。樹脂出口温度は208℃であった。
得られたボトルについて、トルエン透過率測定及び落下試験を実施した。結果を表1に示す。また、実施例1で得られた容器を軸方向に垂直に切断して、その断面を拡大して示す写真を図4に示す。尚、ポリアミド(C)からなる層は希ヨードチンキで染色した。
実施例2〜6
ポリエチレン(A)、酸変性ポリエチレン(B)、ポリアミド(C)の種類、配合量、及び各設定温度を表1に示したように変更したこと以外は実施例1と同様にしてネジ口栓付きボトルの成形を行った。
得られたボトルについて、トルエン透過率測定及び落下試験を実施した。結果を表1に示す。
実施例7
実施例1で作製した容器およびバリを粉砕し、HDPE−1/AD−1/PA−1/粉砕品=48/6/6/40(質量%)の割合でドライブレンドしたこと以外は実施例1と同様にしてネジ口栓付きボトルの成形を行った。
得られたボトルについて、トルエン透過率測定及び落下試験を実施した。結果を表1に示す。
比較例1
酸変性ポリエチレン(B)、ポリアミド(C)を使用せず、ポリエチレン(A)としてHDPE−1のみを使用したこと以外は実施例1と同様にしてネジ口栓付きボトルの成形を行った。
得られたボトルについて、トルエン透過率測定及び落下試験を実施した。結果を表1に示す。
比較例2、3
ポリエチレン(A)、酸変性ポリエチレン(B)、ポリアミド(C)の種類、配合量、及び各設定温度を表1に示したように変更したこと以外は実施例1と同様にしてネジ口栓付きボトルの成形を行った。
得られたボトルについて、トルエン透過率測定及び落下試験を実施した。結果を表1に示す。
以上の各実施例では、ポリアミド(C)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるものであったため、バリア性能が良好になるとともに、過酷条件下で落下試験を行っても容器に割れが発生しなかった。
それに対して、比較例1では、ポリエチレン系容器が、ポリエチレン単体から構成されていたので、トルエン透過率が高く、バリア性能が十分ではなかった。また、比較例2では、ポリアミドのジカルボン酸単位として炭素数10未満のアジピン酸が使用されたため、バリア性能が良好となるが、過酷条件下で落下試験を行うと、容器に割れが生じた。さらに、比較例3では、ポリアミドがメタキシリレンジアミン単位を有しないため、バリア性能が不十分であった。

Claims (8)

  1. ポリエチレン(A)60〜94質量%、酸変性ポリエチレン(B)1〜35質量%、及びポリアミド(C)5〜35質量%を含む樹脂組成物からなる内容積が2〜25Lのポリエチレン系容器であって、
    前記ポリアミド(C)が、ポリエチレン(A)中において層状に分散しており、かつ、前記ポリアミド(C)が、メタキシリレンジアミンに由来する構成単位を70モル%以上含むジアミン単位と、炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とを含むポリエチレン系容器。
  2. 前記ポリエチレン(A)のメルトフローレートが0.01〜10(g/10分)である請求項1に記載のポリエチレン系容器。
  3. 前記酸変性ポリエチレン(B)のメルトフローレートが0.1〜10(g/10分)である請求項1又は2に記載のポリエチレン系容器。
  4. 前記酸変性ポリエチレン(B)の酸価が2〜30mg/gである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン系容器。
  5. 前記ポリアミド(C)の相対粘度が1.5〜4.5である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエチレン系容器。
  6. 前記ポリアミド(C)の前記炭素数10〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が、セバシン酸である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエチレン系容器。
  7. 前記樹脂組成物が、ポリエチレン系容器の製造過程で発生した樹脂固形物より得た再使用樹脂を1〜60質量%含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエチレン系容器。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエチレン系容器の製造方法であって、
    成形機から前記樹脂組成物を押し出すことにより製造されるポリエチレン系容器の製造方法。
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