JP2012245742A - ダイレクトブロー容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】バリア性及び強度に優れるダイレクトブロー容器を提供する。
【解決手段】ポリエチレン(A)60〜90質量%、酸変性ポリエチレン(B)5〜25質量%、及びメタキシリレン基含有ポリアミド(C)5〜35質量%を含有し、前記ポリエチレン(A)中に前記メタキシリレン基含有ポリアミド(C)が層状に分散しているダイレクトブロー容器であって、ピンチオフ部の一部または全部に突起部を有しており、該突起部の幅(W)がパリソン厚み(T)の0.2倍以上かつ2倍未満であるダイレクトブロー容器。
【選択図】なし

Description

本発明は、ダイレクトブロー法により成形される容器に関する。
炭化水素類や各種薬品、飲料を保存するための容器としては、例えば自動車や小型エンジンの燃料タンク、ビン、缶等が挙げられる。その素材として従来利用されていた金属やガラスは、その多くがプラスチックへ代替されつつある。プラスチックは金属やガラスと比較して軽量、防錆処理不要、割れにくい、形状の自由度が高い等の利点がある。
上述の用途のうち、炭化水素類や各種薬品向け容器の多くは高密度ポリエチレン(以下、「HDPE」と略する場合がある)を利用したものであり、機械強度、成形加工性及び経済性に優れるものの、容器内部に保存される物品がHDPE壁を通して大気中に飛散しやすいという欠点がある。特に近年では樹脂製ガソリンタンクやその周辺部材に対するガソリン透過量規制が環境汚染の観点から年々厳しくなっているため、HDPEからなるタンクでは対応が困難となっており、ガソリンバリア性を高めるための技術が強く望まれている。
HDPE容器の燃料バリア性を高める方法の1つとして、HDPE容器の内面をフロン処理やスルホン処理する方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。また、HDPE容器に中間層としてエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(以下、「EVOH」と略することがある)のようなバリア性樹脂を積層して多層構造とする方法が知られている(例えば特許文献2及び3を参照)。さらに、HDPE容器の燃料バリア性を高める方法として、ナイロン6,66等のポリアミド樹脂やEVOHを接着性樹脂と共にHDPEとブレンドし、その組成物から単層容器を製造する方法が知られている(例えば特許文献4及び5を参照)。また、上記ブレンド単層容器において、ナイロン6,66よりもバリア性に優れるポリメタキシリレンアジパミド(以下、「N−MXD6」と略する場合がある)を使用する方法も開示されている(例えば特許文献6及び7を参照)。
さらに、樹脂製燃料容器の燃料バリア性を高める方法として、容器の構造に着目したものとして、例えば、ピンチオフ部のバリア層間距離と容器胴部平均厚みの比率、容器胴部のバリア層より内側に存在する層の合計厚みと容器胴部平均厚みの比率を特定の値に規定する方法(特許文献8参照)、外層と内層の間に設けられたバリア層をピンチオフ部において互いに連続させる方法(特許文献9参照)がある。さらに、ピンチオフ部を基端側の剛性部とその先端面に設けられた衝撃吸収部で構成し、衝撃吸収部の基端部の幅、位置を特定のものとして衝撃による亀裂の発生を制御する方法(特許文献10参照)が開示されている。
特開昭60−006735号公報 特開平06−328634号公報 特開平07−052333号公報 特開昭55−121017号公報 特開昭58−209562号公報 特開2005−206806号公報 特開2007−177208号公報 特開2001−97053号公報 特開2005−246671号公報 特開2005−247039号公報
しかしながら、HDPE容器の内面をフロン処理やスルホン処理する特許文献1に開示された方法は、従来から生産されていたHDPE容器の製造設備をそのまま利用できるメリットを有するものの、フッ素処理時の有害ガス取扱に対する安全性の確保が必要であったり、処理後の回収方法が問題となる上に、フッ素化処理後の品質検査が難しい等のデメリットを有する。
HDPEとEVOHとから形成される特許文献2及び3に開示された多層容器は、従来のHDPE容器よりも優れたバリア性を付与することができ、かつ積層したEVOH層の厚みによってその容器のバリア性能を制御することができるため、所望のバリア性を有する容器をつくることが容易である。しかし、この容器はHDPE単層容器の製造設備では対応することができず、HDPE、接着性樹脂、EVOHそれぞれを押し出すために少なくとも3台以上の押出機を設けた多層ブロー装置を導入する必要があり、経済的に問題が残る。
ところで、HDPE容器はダイレクトブロー法により製造されることが多い。ダイレクトブロー法は、押出機内で溶融混合した樹脂組成物を円筒ダイから押し出すことで筒状の溶融体(パリソンと言うことがある)を形成し、これを金型で挟んで空気等のガスを吹き込んで膨らませ、金型内部に密着させて成形体とする方法である。ダイレクトブロー法により製造された容器には必ずピンチオフ部と称される金型でパリソンを食い切った部位が形成される。ピンチオフ部はパリソンの内面同士が接着して形成される部位であり、成形条件やパリソンを構成する材料の種類によっては、ピンチオフ部の接着が不十分となり、構造体の強度不足という問題を招く。上述の多層容器においては、そのピンチオフ部の断面に内層HDPEの合わせ面ができるため、EVOH層が切断されている部位が生じる。肉厚の薄い容器であれば食い切り部の内層HDPE合わせ面の厚みは非常に薄くなり、事実上問題は少ないものの、燃料容器のように高い強度を要求される容器においては一般に内層HDPEの厚みは厚めに設定されているため、その合わせ面を通じて燃料が容易に透過してしまう欠点がある。
ナイロン6をHDPE中に層状に分散させる特許文献4及び5に開示された方法によれば、従来のHDPE容器を製造するための設備をほぼ流用することができる上に、ポリアミド樹脂を組成物中に層状に分散させることで多層構造に近いバリア性を付与することができる。また容器を構成する樹脂材料と容器を製造したときに発生する端材やパージくずを構成する樹脂材料とは同じであることから、フッ素化処理容器と異なり、端材やパージくずを粉砕機にて粉砕しリサイクル材として押出機に投入し、容器を構成する材料の一つとして再利用することが可能である。
しかしながら、バリア性樹脂として利用されているナイロン6そのものはバリア性能がそれほど優れたものではないために、バリア性に対する要求が厳しくなりつつある近年では性能不足となる場合が多くなっている。また良好なバリア性能を発現させるためにはナイロン6の分散状態を理想的なものに近づけるために成形加工条件が厳密に制御されなければならず、容器形状が多様化している近年では適用できないことも多くあった。
ナイロン6をN−MXD6に変更した特許文献6及び7に開示された方法によれば、バリア性樹脂そのものの性能が大きく優れるため、ナイロン6を使用した容器よりもバリア性能に優れるものを得ることができる。
しかしながら、N−MXD6をHDPE中に層状に分散させた容器においては、N−MXD6の融点が220〜240℃であり、HDPEの融点(120〜130℃)と比較して非常に高いために成形加工温度を通常よりも高く設定せざるを得ないため、溶融したパリソンの表面が酸化しやすい傾向にある。パリソンの表面に酸化膜が形成されてしまうと、パリソンの内表面同士が融着して形成されるピンチオフにおける融着強度が低下しやすくなる傾向があり、得られた容器の強度が低下することがある。
特許文献8及び9の各々に開示された方法は、容器の構造の面からバリア性を改善しようとするものであるが、これらは、いずれも多層構造からなる樹脂容器においてピンチオフ部における燃料透過を抑制するためにバリア層の途切れている部分を極力無くす方法に関するものであることから、N−MXD6がブレンドされた単層容器のピンチオフ部の接着強度の改善を開示するものではない。また特許文献10に開示された方法は、ピンチオフ部に衝撃が加わった際に生じる亀裂が容器内面まで達しないようにピンチオフ部の突起形状を工夫したものであり、ピンチオフ部の接着強度を高めることを開示するものではない。
本発明の課題は、近年のバリア性能に対する厳しい要求を満足でき、かつ強度に優れるポリエチレン系構造体からなるダイレクトブロー容器を提供することにある。
本発明は、ポリエチレン(A)60〜90質量%、酸変性ポリエチレン(B)5〜25質量%、及びメタキシリレン基含有ポリアミド(C)5〜35質量%を含有し、前記ポリエチレン(A)中に前記メタキシリレン基含有ポリアミド(C)が層状に分散しているダイレクトブロー容器であって、ピンチオフ部の一部または全部に突起部を有しており、該突起部の幅(W)がパリソン厚み(T)の0.2倍以上かつ2倍未満であるダイレクトブロー容器を提供する。
本発明のダイレクトブロー容器は、燃料や薬品のバリア性能及び酸素等の各種ガスのバリア性能に優れ、さらには実用的な強度を発揮するものである。
本発明にかかるダイレクトブロー容器のピンチオフ部に設けられた突起部の一例を示す断面図である。 ダイレクトブロー容器の成型工程の一例を示すフロー図である。 本発明にかかるダイレクトブロー容器のピンチオフ部形成工程の一例を示すフロー図である。 本発明にかかるダイレクトブロー容器のピンチオフ部を形成するための金型の喰いきり部周辺の形状の一例を示す断面図である。 本発明にかかるダイレクトブロー容器のピンチオフ部に設けられた突起部の形状の一例を示す断面図である。
本発明のダイレクトブロー容器は、ポリエチレン(A)60〜90質量%、酸変性ポリエチレン(B)5〜25質量%、及びメタキシリレン基含有ポリアミド(C)5〜35質量%を含有し、前記ポリエチレン(A)中に前記メタキシリレン基含有ポリアミド(C)が層状に分散しているダイレクトブロー容器であって、ピンチオフ部の一部または全部に突起部を有しており、該突起部の幅(W)がパリソン厚み(T)の0.2倍以上かつ2倍未満であるものである。
[ポリエチレン(A)]
本発明で用いられるポリエチレン(A)は、容器を構成する主材料となるものであり、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等が用いられ、強度、成形加工性などの点から、高密度ポリエチレンが好ましく用いられる。また、成形品の偏肉原因となるドローダウンを防止する観点及び構造体自体の強度を高める観点から、その溶融粘度や分子量が適切なものを選択することが好ましい。
ポリエチレンの溶融粘度及び分子量の指標となるものとしては、メルトフローレート(MFR)が代表的なものである。本発明で用いられるポリエチレン(A)のMFRは、JIS K7210に記載の方法に準拠して測定される値として、0.1〜0.6(g/10分、190℃、2.16kgf)であり、好ましくは0.1〜0.55(g/10分、190℃、2.16kgf)、より好ましくは0.15〜0.5(g/10分、190℃、2.16kgf)である。
一般に、メタキシリレン基含有ポリアミドはポリエチレンよりも密度が大きいため、メタキシリレン基含有ポリアミドが配合されたポリエチレンは、ポリエチレンのみからなるものと比較して成形加工時のドローダウンが大きくなる傾向がある。本発明に用いられるポリエチレン(A)のMFRが0.1〜0.6であれば、成形加工時のドローダウンが大きくなりすぎて成形品の厚み精度が悪化するのを防止しつつ、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の分散状態を良好なものとすることができる。
さらに、ポリエチレン(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、滑剤等の添加剤を加えることができ、さらに、以上に示したものに限定されることなく種々の材料を配合してもよい。また、耐ドローダウン性の改善や落下や衝撃に対する強度の改善、耐環境応力亀裂性の改善等の目的で、ポリエチレン(A)は物性の異なる2種以上のポリエチレンを組み合わせて配合したものであってもよい。
[酸変性ポリエチレン(B)]
本発明で用いられる酸変性ポリエチレン(B)は、ポリエチレンを不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性したものであり、一般に接着性樹脂として広く用いられているものである。本発明では、前記ポリエチレン(A)と該ポリエチレン(A)中に分散した後述のメタキシリレン基含有ポリアミド(C)とを接着させて構造体としての強度を保つことができるようにする役割を有する。
上述の不飽和カルボン酸又はその無水物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、クロロマレイン酸、ブテニルコハク酸、及びこれらの酸無水物が挙げられる。中でも、マレイン酸及び無水マレイン酸が好ましく用いられる。上記不飽和カルボン酸又はその無水物をポリエチレンにグラフト共重合して酸変性ポリエチレンを得る方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、ポリエチレンを押出機等で溶融させ、グラフトモノマーを添加して共重合させる方法、あるいはポリエチレンを溶媒に溶解させてグラフトモノマーを添加して共重合させる方法、ポリエチレンを水懸濁液とした後グラフトモノマーを添加して共重合させる方法等を挙げることができる。
一般にメタキシリレン基含有ポリアミドは比較的硬い材料であるため、構造体に衝撃等が加わると界面でクラックや剥離が起きやすくなり、構造体の強度やバリア性を損なうおそれがある。そのため、本発明で用いられる酸変性ポリエチレン(B)として、比較的柔らかい性質を有する密度が比較的低いものを利用することが、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)に起因する衝撃強度低下を緩和し、構造体の実用的な強度を保つ上で有効である。
このような観点から、本発明に用いられる酸変性ポリエチレン(B)の密度は、好ましくは0.90〜0.935(g/cm3)、より好ましくは0.905〜0.932(g/cm3)、さらに好ましくは0.91〜0.93(g/cm3)である。密度が0.90〜0.935(g/cm3)の酸変性ポリエチレン(B)を用いることで、ポリエチレン(A)と酸変性ポリエチレン(B)との相溶性が良好で、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の接着性を高めて構造体の強度を高めることができ、また、構造体に衝撃等が加わった場合の強度低下を防ぐことができる。
また、本発明に用いられる酸変性ポリエチレン(B)のMFRは、ポリエチレン(A)のMFRに対して3〜10倍であり、好ましくは3.2〜9倍、より好ましくは3.5〜8倍である。酸変性ポリエチレン(B)のMFRがポリエチレン(A)のMFRの3倍以上であれば、後述のとおり、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)がパリソン内側に多く存在することもなく、構造体のピンチオフ部の接着強度が低下することもない。また、酸変性ポリエチレン(B)のMFRが高密度ポリエチレン(A)のMFRの10倍以下であると、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)が構造体の表面に浮き出ることもなく、外観やバリア性に優れたものとなる。
なお、酸変性ポリエチレン(B)のMFRとしては、成形加工安定性、構造体の強度保持の観点から、溶融粘度が高めのものを用いることが好ましく、JIS K7210に記載の方法に準拠して測定される値として、好ましくは0.5〜5(g/10分、190℃、2.16kgf)、より好ましくは0.6〜4(g/10分、190℃、2.16kgf)、さらに好ましくは0.7〜3(g/10分、190℃、2.16kgf)である。
さらに、酸変性ポリエチレン(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、滑剤等の添加剤を加えることができ、さらに以上に示したものに限定されることなく種々の材料を配合してもよい。
[メタキシリレン基含有ポリアミド(C)]
本発明に用いられるメタキシリレン基含有ポリアミド(C)は、構造体のバリア性能を高める効果を付与する材料である。メタキシリレン基含有ポリアミドを構成するジアミン単位は、ガスバリア性の観点から、メタキシリレンジアミン単位を好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含む。
メタキシリレンジアミン以外に使用できるジアミンとしては、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
メタキシリレン基含有ポリアミド(C)を構成するジカルボン酸単位は、結晶性の観点から、α,ω−脂肪族ジカルボン酸を好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上含む。
α,ω−脂肪族ジカルボン酸としてはスベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等が挙げられるが、ガスバリア性及び結晶性の観点から、アジピン酸やセバシン酸が好ましく用いられる。
α,ω−脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸単位としては、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸や1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、イソフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸は、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の製造時における重縮合反応を阻害することなく、バリア性に優れるポリアミドを容易に得ることができるので好ましい。イソフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸の含有量は、ポリエチレン系構造体中のメタキシリレン基含有ポリアミド(C)の分散性及び構造体のバリア性の観点から、好ましくはジカルボン酸単位の30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは15モル%以下である。
また前記のジアミン単位及びジカルボン酸単位以外にも、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)を構成する単位として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類、p−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等を共重合単位として使用できる。
メタキシリレン基含有ポリアミド(C)は溶融重縮合法(溶融重合法)により製造される。例えばジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法がある。また、ジアミンを溶融状態のジカルボン酸に直接加えて、重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミンをジカルボン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の重縮合系内にはアミド化反応を促進する効果や、重縮合時の着色を防止する効果を得るために、リン原子含有化合物を添加してもよい。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等が挙げられる。これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩がアミド化反応を促進する効果が高く、かつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましいが、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の重縮合系内に添加するリン原子含有化合物の添加量は、重縮合中のメタキシリレン基含有ポリアミド(C)の着色を防止する観点から、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)中のリン原子濃度換算で好ましくは1〜500ppm、より好ましくは5〜450ppm、さらに好ましくは10〜400ppmである。
メタキシリレン基含有ポリアミドの重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のメタキシリレン基含有ポリアミドの着色を防止するためにはリン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を共存させることが好ましい。
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の水酸化物や、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の酢酸塩等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。
メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の重縮合系内にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数をリン原子含有化合物のモル数で除した値が、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.6〜1.8、さらに好ましくは0.7〜1.5であるように添加する。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の添加量を上述の範囲とすることでリン原子含有化合物によるアミド化反応促進効果を得つつゲルの生成を抑制することが可能となる。
溶融重縮合で得られたメタキシリレン基含有ポリアミド(C)は一旦取り出され、ペレット化された後、乾燥して使用される。また更に重合度を高めるために固相重合してもよい。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。特にポリアミドの固相重合を行う場合は、上述の装置の中で回転ドラム式の加熱装置が、系内を密閉化でき、かつ着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進めやすいことから好ましく用いられる。
メタキシリレン基含有ポリアミドの重合度の指標としてはいくつかあるが、相対粘度が一般的に使われるものである。本発明に用いられるメタキシリレン基含有ポリアミド(C)の相対粘度は、好ましくは2.5〜4.5であり、より好ましくは2.6〜4.2、さらに好ましくは2.7〜4.0である。メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の相対粘度を上述の範囲に設定することで成形加工が安定し、外観が良好で、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)が層状に分散した構造体を得ることができる。
本発明ではピンチオフ部の接着強度を高めるために、各材料の物性を特定のものとしてパリソン内側におけるメタキシリレン基含有ポリアミド(C)量を減らすようにしているが、その結果、従来のものと比較してメタキシリレン基含有ポリアミドの濃度が高い部分ができやすくなる。そのため、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の相対粘度が2.5以上であれば、従来の技術と比較して構造体の強度が維持され、また上記相対粘度が4.5以下であれば、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の分散状態の制御が容易であるため、安定した成形加工性が得られる。
なお、ここで言う相対粘度は、ポリアミド1gを96%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0 ・・・(イ)
また、本発明で使用されるメタキシリレン基含有ポリアミド(C)は、構造体の外観及びバリア性の観点から、GPCで測定される数平均分子量1000以下の成分が、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。このようなメタキシリレン基含有ポリアミド(C)を得るためには溶融重縮合で製造されたものを、熱水洗浄したり、真空乾燥や固相重合したりすることでオリゴマー除去を行うことが好ましい。
メタキシリレン基含有ポリアミド(C)には、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、滑剤、ゲル化防止剤等の添加剤、層状ケイ酸塩等のクレイやナノフィラー等を加えることができる。また、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の改質を目的に、必要に応じてナイロン6やナイロン66、芳香族ジカルボン酸をモノマーとして利用している非晶性ナイロン等の各種ポリアミドやその変性樹脂、ポリオレフィンやその変性樹脂、スチレンを骨格内に有するエラストマー等を配合することもできる。また、以上に示したものに限定されることなく、種々の材料を配合してもよい。
[各材料の配合比率]
本発明のダイレクトブロー容器を構成する各材料の配合比率は、ポリエチレン(A)が60〜90質量%、酸変性ポリエチレン(B)が5〜25質量%、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)が5〜35質量%であり、好ましくはポリエチレン(A)が65〜90質量%、酸変性ポリエチレン(B)が5〜20質量%、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)が5〜30質量%であり、さらに好ましくはポリエチレン(A)が70〜90質量%、酸変性ポリエチレン(B)が5〜15質量%、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)が5〜25質量%である。ただし、(A)〜(C)の3成分の合計が100質量%を超えることはない。上述の範囲に各材料の配合比率を設定することによって、構造体のバリア性能を効率的に高めることができ、かつ構造体の強度低下を最小限にすることができる。
[その他の樹脂]
その他、本発明の効果を損なわない範囲で上述の材料以外にも、例えばプロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー等に代表されるポリプロピレン類;ポリブテン−1、ポリメチルペンテン等の炭素数3〜20のα−オレフィンの単独重合体;炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体;炭素数3〜20のα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体;アイオノマー;エチレン−エチルアクリレート共重合体やエチレン−メチルアクリレート共重合体等の各種変性ポリエチレン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート等の各種ポリエステル;ナイロン6やナイロン66等の各種ポリアミド;スチレン−ブタジエン共重合体やその水添化物;各種熱可塑性エラストマー等を添加することができ、さらにこれらに限定されることなく様々な材料を配合することができる。
[ダイレクトブロー容器]
(容器の成形)
本発明のダイレクトブロー容器は、タンク形状やボトル形状等の成形体とすることができる。タンク形状やボトル形状の場合、ダイレクトブロー法による構造体の製造が好ましく行われ、例えば、押出機、アダプター、円筒ダイ、型締め装置、金型、冷却装置を備えた成形装置を用い、ポリエチレン(A)、酸変性ポリエチレン(B)、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)、場合によっては成形品を粉砕して得た粉砕物をドライブレンドした混合材料を押出機へ投入して溶融混練する。溶融混練されたものはアダプター、円筒ダイを通して筒状(パリソンと言うことがある)に押し出され、適当な長さに押し出されたタイミングで金型で挟み、空気をパリソン内に送り込んで膨らませて冷却された金型内に密着させ、冷却後、金型を開いて成形された容器を取り出す方法が挙げられる。
本発明のダイレクトブロー容器を製造する際に使用する押出機は公知のものを適用することができるが、適度な混練性を持ち、高い樹脂圧力下でも安定して押出が可能であることから単軸押出機が好ましく用いられる。単軸押出機のスクリューは通常、原料を押出機先端へ搬送するための供給部、熱を吸収し軟化した樹脂を完全に溶融させるための圧縮部、吐出量を制御するための計量部の3つの部位から構成される。本発明では一般的なスクリューであれば制限無く使用することができるが、ダルメージやマードックと呼ばれる混練部位のない一般的にフルフライトと呼ばれるスクリューを使用することが、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の過度の分散を防止する観点から好ましい。なおスクリューはメタキシリレン基含有ポリアミド(C)の分散状態を制御しやすくするため、圧縮部が比較的短い急圧縮タイプのものがより好ましく用いられる。急圧縮タイプのフルフライトスクリューとしては、スクリュー全体のピッチ数(フライト1回転分が1ピッチ)を100とした場合、供給部が40〜60、圧縮部が5〜20、計量部が30〜50のものを選択することが好ましく、より好ましくは供給部が45〜55、圧縮部が10〜15、計量部が35〜45のものである。なおピッチ間距離については任意でよい。また一部のフライト数を2本にしたダブルフライトスクリューと呼ばれるものを利用することもできる。
またスクリューの剪断力で層状に分散したメタキシリレン基含有ポリアミド(C)の状態を保つためにも、押出機ヘッド内に通常設けられるブレーカープレートは設置しないことが好ましい。ブレーカープレートに空けられた細孔により押出機内で層状に分散したメタキシリレン基含有ポリアミド(C)が切断され、微分散化する可能性がある。
押出機内で少量成分の樹脂が多量成分の樹脂中に分散する一般的な挙動としては、まず押出機内でヒーターから受けた熱により樹脂全体が軟化する。次いでスクリュー回転による剪断応力を溶融するが、少量成分の樹脂は剪断応力により引き延ばされ、さらに剪断応力を受けると層状に切断され(分散)、全体に均一に散らばる(分配)という挙動を繰り返して、多量成分中に細かく均一に混練される。
本発明のダイレクトブロー容器では、バリア性を効果的に高めるため、ポリエチレン(A)中にメタキシリレン基含有ポリアミド(C)が層状に分散している必要があり、そのためには上述の押出機内で樹脂ペレットが剪断応力により引き延ばされて層状の状態にある時に押出機先端から吐出される必要がある。それを実現するための方法としては、主にスクリュー回転数を下げる方法と押出機温度設定を最適化する方法が挙げられる。スクリュー回転数を下げる方法は一見簡便な方法に見えるが、生産効率の低下を招いたり、パリソンが長時間大気に曝されることに起因する容器強度の低下が懸念されるため、その利用範囲は限定されることがある。そのような場合は、押出機内での樹脂温度を制御する方法が好ましく用いられる。具体的には、押出機内で材料を溶融混練する際の樹脂温度がメタキシリレン基含有ポリアミド(C)の融点±20℃の温度範囲になるように、押出機の温度を調節することが好ましく行われる。より好ましくは融点±15℃の温度範囲であり、さらに好ましくは融点±10℃である。樹脂温度は実際に押出機先端から吐出される樹脂の実温度を測定したものを採用することが好ましいが、押出機先端部に設けられた熱電対によって計測される数字と樹脂の実温度との間の差がある程度判明している場合はその数値を参考に調整してもよい。メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の融点−20℃を下回る樹脂温度で溶融混練を行うとメタキシリレン基含有ポリアミド(C)が十分軟化せず未溶融のペレットが成形品に混入したり、押出機モーターに過度の負荷がかかることがある。また、融点+20℃を超える温度になるとメタキシリレン基含有ポリアミド(C)が完全に融解してスクリュー回転による剪断応力で過度に分散してしまうため、樹脂組成物中での層状の分散状態を保てずに微細な粒子状になり、容器のバリア性が大きく低下してしまうことがある。
(ピンチオフ部)
本発明のダイレクトブロー容器は、メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の融点±20℃の温度範囲になるように、押出機の温度を調節して成形加工を行って得ることができる。メタキシリレン基含有ポリアミド(C)の融点は一般に220〜240℃であるため、場合によっては260℃に近い温度で成形されることがあり、通常のHDPE容器よりも成形中にパリソン表面が酸化しやすい傾向にある。特に燃料タンクのように成形サイクルが比較的長い場合は酸化によるピンチオフ部の融着強度の低下が顕著に現れる。ピンチオフ部はダイレクトブロー容器において最も強度が低い部位であり、この部分の強度が十分でないと落下や衝撃が加わった際に剥離して内容物の漏洩といった問題を引き起こす。
また本発明のダイレクトブロー容器を構成するメタキシリレン基含有ポリアミド(C)はHDPEと比較して極端に伸び率が低いため、HDPE容器と同じ成形条件で加工しても落下や衝撃に弱い傾向を示す。
本発明のダイレクトブロー容器は上述の問題を解決するために、ピンチオフ部の一部又は全部に特定の形状の突起部を有することにより、ピンチオフ部の融着強度を効果的に高めたものである。以下、図面を参照して説明する。
図1は本発明のダイレクトブロー後の容器において、ピンチオフ部の一部又は全部に設けられた突起部の断面の一態様である。突起部cは容器壁bから一定の角度R、高さHで立ち上がるように形成されている。なお、相対するパリソンの内面が融着している面をaで示すが、その位置は突起部cの中央付近となることが多い。突起部の幅Wは容器壁bから突起部cが立ち上がっている根本部分における幅を指す。
図2は一般的なダイレクトブロー法による容器成形の模式図である。円筒ダイから吐出されたパリソン2を型締め装置に据え付けられた金型1が挟み込み、金型の上または下(図2では下)からブローピン3を挿入して圧縮空気を吹き込みつつ一定時間金型を閉じたまま冷却を行った後にブローピンを抜いて金型を開き、成形品4を取り出す。なお図2にて○で囲った部分では、円柱状に吐出されたパリソンが金型によって押し潰される。その際、内面同士が融着した部分、いわゆるピンチオフ部が容器壁に形成される。このピンチオフ部にて融着面積を如何に増やすかが容器強度に影響するが、特に本発明のようなポリエチレンにメタキシリレン基含有ポリアミドをブレンドした樹脂組成物からなるものはその影響が顕著である。
図3は本発明のダイレクトブロー容器成形におけるピンチオフ部の拡大断面図の一例であり、図4は図3の丸破線で囲った部分の拡大図である。ピンチオフ部を形成する金型の構造は、図4において、容器壁にあたるe面から一定の角度で突起部を形成するf面を形成し、次いでパリソンと容器を切り離す部位を形成する喰いきり部dへつながっている。図3に示すように、金型1が閉まる際は、図4の相対する喰いきり部dによってパリソン2が押しつぶされ始め、金型1が完全に閉まると、パリソン2は突起部を形成する図4の金型のe面によっても押しつぶされる。形成される突起部の幅Wが、ダイレクトブロー前のパリソン厚みTの2倍以上であると、上記金型のe面による押しつぶし効果が得られず、突起部における融着強度は不十分となる。
本発明においては、ダイレクトブロー後の成形体の突起部の幅Wがブロー前のパリソン厚みTの0.2倍以上かつ2倍未満となるようにすることが重要であり、好ましくは0.3倍以上かつ1.6倍以下、より好ましくは0.5倍以上かつ1.2倍以下である。このように、パリソン同士の融着面に対して金型が閉じることにより突起部に充満した樹脂に前後から圧力がかかることから、より融着強度を高めることができ、さらに融着面積を大きくできる。0.2倍未満であると突起部の幅が薄くなりすぎてその部分自体の強度が低下して容器強度を効果的に高めることができない可能性がある。また2倍以上とすると、突起部への融着圧力がほとんどかからないため、成形体のピンチオフ強度を効果的に高めることができない。
また、ダイレクトブロー後の成形体の突起部の形状については、その高さ(H)、容器壁に対する角度(R)も特定のものとすることで効果的にピンチオフ強度を高めることができ、好ましい。Hはできるだけ大きいほうが融着面積を大きくでき、ピンチオフ強度を高めることができる。その高さは1mm以上とすることが好ましく、より好ましくは1.5mm以上であり、さらに好ましくは2mm以上である。1mm以上であれば、十分な融着面積が得られ、ピンチオフ強度の改善効果が大きい。なお最大値は容器の設計上許容できる高さに設定すればよい。
ダイレクトブロー後の成形体の容器壁に対する突起部の角度Rは、金型から突起部にかかる圧力をできるだけ大きくするために特定の角度に設定することが好ましい。本発明では、90°≦R≦160°とすることが好ましく、より好ましくは90°≦R≦150°であり、さらに好ましくは90°≦R≦145°である。Rが90°以上であれば、外部から突起部に衝撃が加わっても折れにくく、また160°以下であれば、金型圧力が十分に突起部に作用し十分な融着圧力が得られる。
図5には本発明の容器における、図1に示した突起部の形状以外の他の突起部の形状例(a)〜(d)を示す。図5の(c)や(d)に示すように、突起部の根元から先端に至る途中から角度RをR′に変えたものも使用できる。この場合、前記突起部の高さは、H+H‘で示される。本発明では、R′は95°≦R′≦155°とすることが好ましく、より好ましくは95°≦R′≦145°であり、さらに好ましくは95°≦R′≦140°である。突起部上部は、図5の(b)、(d)に示すように平面状にカットしても良いが、図5の(a)、(c)に示すようなカットしない形状のものも使用できる。
以上の形状は、金型の設計において得ることができる。
なお、本発明の容器において、突起部cが角度Rで前記容器壁bから立ち上がる突起部根元部分は衝撃等が加わった際に応力が集中し、亀裂が入りやすくなることがある。本発明では容器壁bと突起部cがなす壁面の角度部分については、その部分に相当する金型の部分の面取りを行い、得られる成形品において、曲線を描くように容器壁から突起部に面が立ち上がるように加工することが好ましく行われる。
本発明の方法により得られるダイレクトブロー容器はボトル状、カップ状、トレイ状、タンク状等の容器、チューブ、パイプ等、様々な形状を採ることができる。また従来品に比べて、ガソリンや灯油、軽油等の燃料、エンジンオイル、ブレーキオイル等の潤滑油、漂白剤、洗剤、シャンプー等の各種サニタリー用品、エタノール、オキシドール等の化学物質、野菜ジュースや乳飲料等の各種飲料、調味料等の様々な物品、もしくはそれに含まれる成分の透過をより効果的に抑制することが可能となるため、物品の保存性を高めるものとして有効に利用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例等における各種評価は下記の方法により行った。
(1)ポリエチレン及び酸変性ポリエチレンのMFR(g/10分)
東洋精機製作所製メルトインデクサーを使用し、JIS K7210に準拠して、190℃、2.16kgfの条件にて測定を行った。
(2)ポリエチレン及び酸変性ポリエチレンの密度(g/cm3
押出機、Tダイ、冷却ロール、引き取り機等からなるシート成形装置を用い、厚さが約1mmの単層シートを成形した。次いでシートから縦50mm×横50mmの試験片を切削して真比重計により真比重を求めた。
(3)メタキシリレン基含有ポリアミドの相対粘度
メタキシリレン基含有ポリアミド1gを精秤し、96%硫酸100mLに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温層中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また同様の条件で96%硫酸そのものの落下時間(t0)を測定した。t及びt0から式(イ)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0 ・・・(イ)
(4)落下試験
実施例及び比較例で作製した容器に、不凍液400mlを充填してキャップを閉め、−20度の室内で1週間保管した。次いで、室内から容器を出した後、直ちに容器の底面を下にして、2mの高さからコンクリート上に10回連続して落下させ、10個の容器のうち、試験中に割れた容器数をカウントした。
(5)メタキシリレン基含有ポリアミドの分散状態の観察
成形したタンクを切断し、断面をカッターで平滑にした後、希ヨードチンキ(月島薬品株式会社製)を断面に塗布してメタキシリレン基含有ポリアミド部分を染色した後、実体顕微鏡により拡大して樹脂組成物中のメタキシリレン基含有ポリアミドの分散状態を観察した。
<使用した高密度ポリエチレン(HDPE)>
日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HB332R、MFR=0.3(g/10分)、密度=0.952(g/cm3
<使用した酸変性ポリエチレン(AD)>
日本ポリエチレン(株)製、商品名:アドテックス L6100M、MFR=1.1(g/10分)、密度=0.93(g/cm3
<使用したメタキシリレン基含有ポリアミド(PA)>
三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン S6121、相対粘度=3.5
実施例1
55mm単軸押出機、アダプター、パリソンコントローラー付き円筒ダイ、金型、型締め機、冷却器等を備えた単層ダイレクトブロー容器成形装置を使用し、押出機ホッパー内へ、HDPE/AD/PA=80/10/10(質量%)の割合でドライブレンドした混合ペレットを投入し、押出機シリンダー温度を210〜235℃、アダプター温度を235℃、ダイ温度を230℃に設定、スクリュー回転数を40rpmとしてパリソンを押し出し、ダイレクトブロー法によって内容積450ml、平均肉厚3mmのネジ口栓付きタンクの成形を行った。なおタンクの喰いきり部にはネジ口栓とその左右10mmの部分以外には全周に渡って突起部を設けてある。また得られたタンクを胴部中央で切断し、PAの分散状態を確認したところ、PAが層状に分散していることを確認した。表1にタンク成形時のパリソン厚み、突起部形状、及び落下試験結果を示す。
実施例2〜6
表1に示すように突起部の形状を変えたこと以外は実施例1と同様にしてタンク成形を行い、落下試験を実施した。結果を表1に示す。
比較例1
タンク形状を突起部の無いものに変え、材料をHDPEのみとしたこと以外は実施例1と同様にしてタンク成形を行い、落下試験を実施した。結果を表1に示す。
比較例2
タンク形状を突起部の無いものに変えたこと以外は実施例1と同様にしてタンク成形を行い、落下試験を実施した。結果を表1に示す。
比較例3
表1に示すように突起部の形状を変更したこと以外は実施例1と同様にしてタンク成形を行い、落下試験を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2012245742
本発明の容器は落下試験においてもほとんど割れが発生しない強度に優れたものであり、比較例1に示した従来のHDPE容器と比較して遜色ないものであった。一方、突起部の無い比較例2では、落下試験で40%の容器で割れが発生した。また突起部の幅がパリソン厚みの2倍以上である比較例3の容器についてはほとんどの容器が割れた。内面側を観察したところ突起部に向かってくぼみができていた。金型による押しつぶしが不十分となったため、内面同士の融着ができていないためであった。
本発明のダイレクトブロー容器は、燃料や薬品のバリア性能及び酸素等の各種ガスのバリア性能に優れ、さらには実用的な強度を発揮するものであることから、草刈り機やチェーンソー等の作業機械、オートバイや船外機、自動車等の燃料タンク、ガソリン移送用パイプや燃料タンクに取り付けられるパイプ形状の部品、農薬やトイレタリー、サニタリー用洗剤の瓶、食品や飲料等の容器等に好適に利用することができる。
1:金型
2:パリソン
3:ブローピン
4:成形品
5:ピンチオフ部
T:パリソン厚み
a:パリソン内面の融着面
b:容器壁
c:突起部
d:金型喰いきり部
e:容器壁を形成する金型面
f:突起部を形成する金型面
W:突起部の幅
H:突起部の高さ
R:突起部の容器壁に対する角度

Claims (3)

  1. ポリエチレン(A)60〜90質量%、酸変性ポリエチレン(B)5〜25質量%、及びメタキシリレン基含有ポリアミド(C)5〜35質量%を含有し、前記ポリエチレン(A)中に前記メタキシリレン基含有ポリアミド(C)が層状に分散しているダイレクトブロー容器であって、ピンチオフ部の一部または全部に突起部を有しており、該突起部の幅(W)がパリソン厚み(T)の0.2倍以上かつ2倍未満であるダイレクトブロー容器。
  2. 前記突起部が容器壁面となす角度Rが90〜160°であることを特徴とする請求項1記載のダイレクトブロー容器。
  3. 前記突起部の幅(W)がパリソン厚み(T)の0.3〜1.6倍である、請求項1又は2に記載のダイレクトブロー容器。
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