JP3045519U - 感熱平版印刷原版 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 刷版フィルムを設けないで直接製版ができ、
ゴミの発生がなく、製版作業に煩雑な手間がかゝらない
ようにする。 【解決手段】 ＰＳ版１の上面に、ロイコ染料系感熱記
録層２と耐熱性のある保護層３を積層してなる感熱平版
印刷原版。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、刷版フィルム不要でロイコ染料系感熱記録層を施したオフセット印 刷用の感熱平版印刷原版に関する。

【０００２】

【従来の技術】

市販されているＰＳ版（Ｐｒｅ−Ｓｅｎｓｉｔｉｚｅｄ−Ｐｌａｔｅ）の製版 方法は、例えば版下からネガフィルム若しくはポジフィルムを作製し、ポジフィ ルム若しくはネガフィルムに反転、またネガフィルム若しくはポジフィルムに返 して最終的な刷版フィルムを作製し、ＰＳ版に製版フィルムを密着して露光を与 え、焼きつける手段が一般的である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来技術によると、ポジ・ネガフィルムの反転、ネガ・ポジフィルムの返し、 合成処理はフィルムの密着が伴うためその過程でゴミが発生するという問題があ る。ＰＳ版と刷版フィルムの密着も同様である。ゴミにより密着不良ボケ、ゴミ による画像の形成をもたらし不良が発生する欠点に加え、刷版フィルムを作製す る上で台紙フィルムの合成、ポジフィルムの反転、合成処理、ネガフィルムに返 す工程があり、これらが手作業のため膨大な労力と時間を必要とする不都合があ った。

【０００４】 一方コンピューターの普及で刷版フィルムを介することなく版下から直接製版 や銀塩写真あるいは電子組み版、ＤＴＰ（Ｄｅｓｋｔｏｐ Ｐｕｂｌｉｓｈｉｎ ｇ）でデザイン、レイアウトされた画像情報を直接版材にレーザーやサーマルヘ ッドで印字し製版できるところの、例えばＣＴＰ（Ｃｏｍｐｕｔｅｒ ｔｏ Ｐ ｌａｔｅ）といったタイプの平版印刷原版があり、製版工程の合理化と短縮化、 材料の低減につながることから新聞、雑誌広告業界の分野で注目されている。こ のＣＴＰの版材は、感光性、感熱性タイプあるいは電気エネルギーで製版するタ イプがあり、そのうち感光性タイプあるいは電気エネルギーで製版するタイプの 版材の価格はＰＳ版の価格に比べて高く、その製版システム装置も大型で全体と して割高となる。また感熱性タイプの版材は、支持体の上に感熱層に分散させた 熱溶融樹脂及び熱可塑性樹脂を熱印字により溶融し、加熱部が親水性から親油性 に変化され、画像を形成する版材、あるいは感熱性の親水性樹脂と疎水性樹脂か ら構成されており、これは印字とレーザー照射装置が必要であるから割高となる うえ、印刷時の耐刷力もＰＳ版より安定性に欠ける憾みがある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

そこで本考案は、刷版フィルムを介することなく直接製版ができ、上記の感熱 性タイプの版材と比較してもコストアップのない平版印刷原版を提供しようとす るものである。

【０００６】 本考案では、市販のＰＳ版の上面にロイコ染料系感熱記録層を積層し、次に耐 熱性のある保護層を積層して感熱平版印刷原版を形成している。そして従来のＰ Ｓ版のシステムに熱記録装置と感熱層剥離装置を追加し、熱記録手段で印字し露 光するとともに、感熱層及び保護層の剥離、更に現像をして刷版を得ることがで きるようにしている。

【０００７】

【考案の実施の形態】

本考案はＰＳ版にロイコ染料系感熱層を重合着する手段をとる感熱平版印刷原 版であり、その製版方法としては、熱記録手段で印字し、露光、感熱層及び保護 層を剥離、現像をして感熱平版印刷原版の刷版を可能としている。また熱記録手 段はサーマル印字プリンターを使用し、印字することができるとともにＣＴＰと いったタイプの平版印刷原版として使用可能とした。

【０００８】

【実施例】

図１に示すように、市販のポジタイプＰＳ版１の上面に、電子供与体と電子受 容体からなる感熱インキを塗布し乾燥して感熱層２を形成する。その後前記感熱 層２の上にアクリルあるいはウレタン、塩酢ビ系の熱可塑性樹脂からなる樹脂を 塗布し乾燥させて保護層３を形成することにより本感熱平版印刷原版を得た。

【０００９】 作製した感熱平版印刷原版を用いて簡易方法で製版し、刷版を得ることができ る。まず市販のサーマル印字プリンターにて印字を行い、感熱層２に画像４を形 成する（図２参照）。

【００１０】 その後水平真空露光機により露光を行い、フィルムクリーナーで感熱層２及び 保護層３を除去する。その際感熱層２の発色部は未感光であり、未発色部が感光 して図３に示すＰＳ版１’となった。

【００１１】 そして露光したＰＳ版１’を自動現像機で現像を行い、図４に示す画線部４ａ を形成した刷版５を得た。つまり図４で得られたポジタイプの刷版５は感熱発色 部が画線部４ａを形成し、未発色部が非画線部６を形成した。なお図示はしない がネガタイプの刷版の場合は上記とは逆に感熱発色部が非画線部を形成し、未発 色部が画線部を形成することは勿論である。而して上記刷版を用いて簡易的印刷 を行うことにより、実際に印刷物が得られた。

【００１２】 上記手法によって製造された感熱平版印刷原版は、まず刷版フィルムを介する ことなく直接コンピューターの画像情報を熱記録手段を通して印字し露光すると ともに、感熱層及び保護層を剥離、現像を行うことが可能で、更に、その刷版を 用いて印刷することができるＣＴＰシステムで使用可能な感熱平版印刷原版とい える。

【００１３】

【考案の効果】

本考案は、市販のＰＳ版にロイコ染料系感熱層と保護層を積層する感熱平版印 刷原版であり、熱記録手段を用いることにより刷版フィルムを必要としないで版 下から直接画像情報を製版できるようにしたので、従来のようなフィルム使用に 伴うゴミの発生がなく従って画像に支障をきたすことがないのと、材料費が低減 でき、製版工程の短縮される効果がある。また市販のＰＳ版及びＰＳ版製版シス テムを利用でき、熱記録印字装置、感熱及び保護層除去装置の追加でＣＴＰシス テムとしても安価に提供できる実益がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の感熱平版印刷原版の断面図である。

【図２】 図１の感熱層に印字した平面図である。

【図３】 露光後感熱層及び保護層を除去したＰＳ版の
平面図である。

【図４】 図３のＰＳ版に現像を行って得られた刷版の
平面図である。

【符号の説明】

１ ＰＳ版 ２ 感熱層 ３ 保護層

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＰＳ版の上面に、ロイコ染料系感熱記録
   層と耐熱性のある保護層を順次積層して形成する感熱平
   版印刷原版であって、熱記録手段を用いて印字露光し、
   更に感熱層剥離及び現像手段を施して製版することを特
   徴とする感熱平版印刷原版。