JP3045182B2 - 磁性流体の製造方法 - Google Patents

磁性流体の製造方法

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JP3045182B2
JP3045182B2 JP2413286A JP41328690A JP3045182B2 JP 3045182 B2 JP3045182 B2 JP 3045182B2 JP 2413286 A JP2413286 A JP 2413286A JP 41328690 A JP41328690 A JP 41328690A JP 3045182 B2 JP3045182 B2 JP 3045182B2
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博一 長門
穣 幸田
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/44Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids
    • H01F1/445Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids the magnetic component being a compound, e.g. Fe3O4

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  • Power Engineering (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性流体の製造方法に
関する。更に詳しくは、低蒸気圧基油中にフェライト類
微粒子を高濃度で安定に分散せしめ、これにより飽和磁
化を向上せしめた磁性流体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト類微粒子は、粉砕法、共沈
法、蒸着法などによって製造されているが、これらの方
法の中、純度、粒径制御、生産性などの点から、一般に
共沈法が用いられている。ところで、共沈法は、鉄イオ
ンを含む水溶液からの沈殿反応であるため、生成した磁
性微粒子は水溶液中にけん濁した水性サスペンションの
状態で得られる。
【0003】一方、磁性流体用の磁性微粒子は、凝集し
ていることなく、1個1個が分散していることが望まし
い。そのため、共沈法磁性微粒子の場合には、微粒子同
志の固着凝集の危険性を含む乾燥工程を経ることなく、
分散液状態で固着凝集防止用の界面活性剤を微粒子表面
に吸着させることが必要となり、従って水溶性の界面活
性剤が用いられている。
【0004】このように水溶性界面活性剤を吸着させた
磁性微粒子を分散させた磁性流体にあっては、その分散
基油がケロシン、トルエンなどの比較的揮発性に富む溶
媒に限定され、しかるに磁性流体が磁性流体シール、磁
性流体研磨などに用いられる場合には、基油の蒸発は磁
性流体の機能そのものを損う重要な問題としてとらえら
れる。
【0005】磁性流体は、このように一般にフェライト
類微粒子を高級脂肪酸塩、ソルビタンエステルの如き分
散剤を用いて基油中に分散せしめたものである。ところ
が、低蒸気圧の基油中にフェライト類微粒子を単に分散
させようとしても高い分散性が得られず、とても実用に
は供せられない。
【0006】かかる低蒸気圧基油への分散において、か
りに良い分散性が得られたとしても、低蒸気圧基油は一
般の有機溶媒や水が1Cst以下の動粘度(40℃)を示すの
に対し約8〜50Cst(40℃)という高い動粘度を有するた
め、均一なサスペンションの形成に非常な長時間を要す
る。しかも、分散さるべきフェライト類微粒子すべてが
安定なサスペンションを形成する訳ではなく、かなりの
割合のフェライト類微粒子が遠心分離などの精製時にと
り除かれ、効率が非常に悪いという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フェライト
類微粒子を低蒸気圧基油中に安定にかつ高濃度で分散さ
せた磁性流体を効率良く製造することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
フェライト類微粒子の水性サスペンションに、少なくと
も2種類の油溶性界面活性剤を溶解させた炭化水素溶液
を添加し、2種類以上の油溶性界面活性剤をフェライト
類微粒子に吸着させた後、水および炭化水素溶媒を留去
し、残渣の油溶性界面活性剤吸着フェライト類微粒子
を、25℃において0.1mmHg以下の蒸気圧を有する低蒸気
圧基油中に分散せしめて磁性流体を製造することによっ
て達成される。
【0009】フェライト類微粒子としては、純度、粒径
制御、そして何よりも生産性の点において有利である共
沈法によって製造されたものが、水性サスペンションそ
のままの形で用いられる。即ち、共沈法での水性サスペ
ンションの形成は、鉄塩混合物水溶液へのNaOH水溶液の
滴下、熟成、冷却および塩のデカンテーションという一
連の工程を経ることにより行われ、そこに粒径約50〜30
0Å、好ましくは約70〜120Åのフェライト類を約0.1〜5
0重量%、好ましくは約1〜30重量%の濃度で分散させたサ
スペンションが得られる。
【0010】油溶性界面活性剤としては、N-ポリアルキ
レンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミド、モノ-
またはジ-オキシアルキレン基含有リン酸エステルまた
はそれらの混合物、あるいはオレイン酸、リノール酸、
リノレン酸、エルカ酸などの脂肪族カルボン酸、C12〜C
24の脂肪族スルホン酸または硫酸エステル、C6以上のア
ルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸などが、
少なくとも2種類組合わされて用いられる。その組合せ
の選択は、用いられる磁性流体用基油との親和性によっ
て行われる。
【0011】N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニ
ルコハク酸イミドとしては、次のようなものが用いられ
る。(以下余白) R:炭素数12〜24の炭化水素基 分子量約300〜2000のポリブテニル基 R´:炭素数1〜6のアルキレン基 R´が2個以上くり返される時互いに同一または異なり得
る n:1〜5 m:0〜4
【0012】また、モノ-またはジ-オキシアルキレン基
含有リン酸エステルとしては、次のようなものが用いら
れる。 R:C6〜C18のアルキル基 C5〜C10のアルキル基を有するアルキルフェニル基 n:2〜3 m:4〜10
【0013】これらの油溶性界面活性剤は、それらを沸
点約60〜200℃の脂肪族、脂環状または芳香族の炭化水
素溶媒、例えばn-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、
イソオクタン、n-デカン、シクロヘキサン、トルエン、
キシレン、メシチレン、石油エーテル、石油ベンジン、
リグロイン、ナフサなどに、共に約0.01〜0.5モル、好
ましくは約0.1〜0.5モルの濃度で溶解させた溶液として
用いられる。2種類以上の油溶性界面活性剤のそれぞれ
の濃度は、用いられる磁性流体用基油との親和性および
水-炭化水素溶媒界面への配向性を考慮して決定され
る。
【0014】そして、これらの炭化水素溶液は、水性サ
スペンションに対し、一般に容積比で約0.01〜100、好
ましくは約1〜100の割合で用いられる。これら両者の混
合は、ホモジナイザなどを用い、エマルジョンが形成さ
れるような撹拌条件下で行われる。このような撹拌条件
下で撹拌することにより、油溶性界面活性剤がエマルジ
ョンの界面においてフェライト類微粒子に吸着される
が、この吸着を迅速に行わせるために、約40〜90℃の温
度条件下で撹拌処理されることが望ましく、そのような
処理は約30〜60分間行われる。
【0015】その後、水および有機溶媒は留去され、残
渣をトルエン-アセトン、トルエン-メタノール、n-ヘキ
サン-アセトン、イソオクタン-アセトンなどの混合溶
媒、一般には当量混合溶媒で洗浄される。このような洗
浄により、磁性流体に調製したときに粘度を増大させた
り、あるいはフェライト類微粒子の分散濃度低下の原因
となる余分の油溶性界面活性剤を除去する。洗浄後は、
フェライト類微粒子は、必要に応じて乾燥させる。
【0016】このようにして得られた油溶性界面活性剤
被覆フェライト類微粒子は、そこに低蒸気圧基油を添加
して分散処理されるが、それの低蒸気圧基油への分散性
は良好な状態となっている。
【0017】低蒸気圧基油としては、25℃において0.1m
mHg以下、好ましくは0.01mmHg以下の蒸気圧を有する液
体、例えば天然油であるホワイトオイル(流動パラフィ
ン)、鉱油、スピンドル油など、あるいは合成油である
高級アルキルベンゼン、高級アルキルナフタレン、ポリ
ブテン(分子量約300〜2000)など、更に酸化防止剤、耐
摩耗剤、油性剤、清浄分散剤などのいわゆる潤滑添加剤
を含んだ潤滑油が、最終的に得られる磁性流体中のフェ
ライト類微粒子の分散濃度が約10〜50重量%となるよう
な割合で用いられる。
【0018】低蒸気圧基油を添加しての分散処理は、常
法での如く、ホモジナイザ、超音波、振動ミルなどの少
なくとも一種を用いて行われる。分散処理後は、遠心分
離あるいは磁場勾配中への静置による精製が行われる。
吸着処理および洗浄後に乾燥工程を経ずに分散処理する
こともでき、その場合には磁性流体の分散濃度や蒸発成
分の制御などの観点から、得られた磁性流体を減圧下で
加熱処理し、低沸点成分を留去することが好ましい。
【0019】
【発明の効果】本発明方法により、フェライト類水性サ
スペンションに、少なくとも2種類の油溶性界面活性剤
を溶解させた炭化水素溶液を添加し、撹拌条件下でエマ
ルジョンを形成させて、2種類以上の油溶性界面活性剤
をフェライト類微粒子に吸着させることにより、磁性流
体シールを始めとする各種用途にとって必要な条件であ
る、低蒸気圧基油に安定にかつ簡単に磁性微粒子を分散
させた磁性流体を効率良く製造することができる。
【0020】しかも、2種類以上の油溶性界面活性剤を
併用することで、得られる磁性流体の飽和磁化値も一層
高めることができる。
【0021】その上、低蒸気圧基油中への分散に際して
は、新たに界面活性剤を添加する必要がないという効果
も奏せられる。これは、第2の油溶性界面活性剤を併用
することで、フェライト類微粒子と低蒸気圧基油との親
和性が増し、良好な分散安定性が発揮されるからであ
る。
【0022】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0023】実施例1 FeCl2・4H2O 184gおよびFeCl3・6H2O 500gを溶解させた水
溶液1850mlに、撹拌しながら6N NaOH水溶液をpHが11に
なる迄滴下し、その後80℃で30分間熟成、冷却し、塩を
デカンテーションで除去して、マグネタイトのサスペン
ション(マグネタイト濃度30重量%)を得た。
【0024】このサスペンション15mlに、0.1モル濃度
のエルカ酸および0.05モル濃度のリノール酸をそれぞれ
溶解させたトルエン溶液100mlを加え、60℃で60分間、
容量300mlの丸底セパラブルフラスコ中において50mm径
のプロペラを用いて800rpmで撹拌してエマルジョンを形
成させた。その後、ロータリエバポレータを用いて、減
圧下に50℃に加熱しながら、水およびトルエンを留去
し、残渣のマグネタイト微粒子をトルエン-アセトン
(1:1)混合溶媒で5回洗浄して乾燥させた。
【0025】得られた油溶性界面活性剤被覆マグネタイ
ト3.0gに、アルキルナフタレン5.0gを加えた後、ホモジ
ナイザ(日本精機製作所製エクセルオートホモジナイザD
X型)を用いて撹拌(10000rpm、60分間)し、更に12時間超
音波による分散処理を行ない、遠心分離(5000G、30分
間)して沈降物を除去し、飽和磁化(16K Oe)280Gの磁性
流体を得た。
【0026】実施例2 実施例1記載の方法で得られたマグネタイトのサスペン
ション20mlに、0.15モル濃度のポリオキシエチレンノニ
ルフェニルリン酸エステルおよび0.05モル濃度のポリオ
キシエチレンドデシルリン酸エステルをそれぞれ溶解さ
せたn−オクタン溶液100mlを加え、40℃で60分間、実
施例1と同様の撹拌条件下で撹拌してエマルジョンを形
成させた。その後、エバポレータを用いて、減圧下に60
℃に加熱しながら、水およびn-オクタンを留去し、残渣
のマグネタイト微粒子をキシレン-アセトン(1:1)混合
溶媒で5回洗浄して乾燥させた。
【0027】得られた油溶性界面活性剤被覆マグネタイ
ト3.0gに、リン酸トリクレジル4.0gを加えた後、24時間
超音波照射による分散処理を行ない、遠心分離(5000G、
30分間)して沈降物を除去し、飽和磁化320Gの磁性流体
を得た。
【0028】実施例3 実施例1記載の方法で得られたマグネタイトのサスペン
ション30mlに、0.2モル濃度のポリブテニルコハク酸イ
ミドテトラエチレンペンタミンおよび0.05モル濃度のポ
リオキシエチレンノニルフェニルリン酸エステルをそれ
ぞれ溶解させたn-ヘキサン溶液200mlを加え、50℃で60
分間、ホモジナイザ(日本精機製作所製エクセルオート
ホモジナイザDX型)を用いて、6000rpmで撹拌してエマル
ジョンを形成させた。その後、エバポレータを用いて、
減圧下に60℃に加熱しながら、水およびn-ヘキサンを留
去し、残渣のマグネタイト微粒子をトルエン-アセトン
(1:1)混合溶媒で5回洗浄し、乾燥させた。
【0029】得られた油溶性界面活性剤被覆マグネタイ
ト4.0gに、拡散ポンプオイル(松村石油製品SY)4.0gを加
えた後、24時間超音波照射による分散処理を行ない、遠
心分離(5000G、30分間)して沈降物を除去し、飽和磁化4
00Gの磁性流体を得た。
【0030】比較例1 実施例1記載の方法で得られたマグネタイトのサスペン
ションを乾燥させ、マグネタイト微粒子を得た。得られ
たマグネタイト微粒子3.0gに、それぞれ0.2モル濃度の
ポリオキシエチレンノニルフェニルリン酸エステルおよ
びポリオキシエチレンドデシルリン酸エステルを溶解さ
せたn-オクタン溶液100mlとリン酸トリクレジル4.0gと
を加え、1週間ボールミルによる粉砕、分散処理を行っ
た。
【0031】ボールミルから取り出した液から、ロータ
リエバポレータでn-オクタンを除去した後、遠心分離(5
000G、30分間)して上澄液を回収したところ、飽和磁化
が20Gの磁性流体しか得られなかった。
【0032】比較例2 実施例1において、リノール酸を用いずに、0.15モル濃
度のエルカ酸のみを溶解させたトルエン溶液を用いたと
ころ、得られた磁性流体の飽和磁化は240Gであった。
【0033】比較例3 実施例1において、エルカ酸を用いずに、0.15モル濃度
のリノール酸のみを溶解させたトルエン溶液を用いたと
ころ、得られた磁性流体の飽和磁化は200Gであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−228536(JP,A) 特開 平1−207131(JP,A) 特開 昭57−144028(JP,A) 特開 昭54−65182(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/44

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト類微粒子の水性サスペンショ
    ンに、少なくとも2種類の油溶性界面活性剤を溶解させ
    た炭化水素溶液を添加し、2種類以上の油溶性界面活性
    剤をフェライト類微粒子に吸着させた後、水および炭化
    水素溶媒を留去し、残渣の油溶性界面活性剤吸着フェラ
    イト類微粒子を、25℃において0.1mmHg以下の蒸気圧を
    有する低蒸気圧基油中に分散せしめることを特徴とする
    磁性流体の製造方法。
  2. 【請求項2】 フェライト類微粒子の水性サスペンショ
    ンに、少なくとも2種類の油溶性界面活性剤を溶解させ
    た炭化水素溶液を添加し、撹拌条件下でエマルジョンを
    形成させることにより、2種類以上の油溶性界面活性剤
    をフェライト類微粒子に吸着させることを特徴とする請
    求項1記載の磁性流体の製造方法。
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