JP3106637B2 - 磁性流体の製造方法 - Google Patents

磁性流体の製造方法

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JP3106637B2 JP03352058A JP35205891A JP3106637B2 JP 3106637 B2 JP3106637 B2 JP 3106637B2 JP 03352058 A JP03352058 A JP 03352058A JP 35205891 A JP35205891 A JP 35205891A JP 3106637 B2 JP3106637 B2 JP 3106637B2
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/44Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids
    • H01F1/445Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids the magnetic component being a compound, e.g. Fe3O4

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性流体の製造方法に
関する。更に詳しくは、低蒸気圧基油中にフェライト類
微粒子を高濃度で安定に分散せしめ、これにより飽和磁
化を向上せしめた磁性流体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト類微粒子は、粉砕法、共沈
法、蒸着法などによって製造されているが、これらの方
法の中、純度、粒径制御、生産性などの点から、一般に
共沈法が用いられている。ところで、共沈法は、鉄イオ
ンを含む水溶液からの沈殿反応であるため、生成した磁
性微粒子は水溶液中にけん濁した水性サスペンションの
状態で得られる。
【0003】一方、磁性流体用の磁性微粒子は、凝集し
ていることなく、1個1個が分散していることが望まし
い。そのため、共沈法磁性微粒子の場合には、微粒子同
志の固着凝集の危険性を含む乾燥工程を経ることなく、
分散液状態で固着凝集防止用の界面活性剤を微粒子表面
に吸着させることが必要となり、従って水溶性の界面活
性剤が用いられている。
【0004】このように水溶性界面活性剤を吸着させた
磁性微粒子を分散させた磁性流体にあっては、その分散
基油がケロシン、トルエンなどの比較的揮発性に富む溶
媒に限定され、しかるに磁性流体が磁性流体シール、磁
性流体研磨などに用いられる場合には、基油の蒸発は磁
性流体の機能そのものを損う重要な問題としてとらえら
れる。
【0005】磁性流体は、このように一般にフェライト
類微粒子を高級脂肪酸塩、ソルビタンエステルの如き分
散剤を用いて基油中に分散せしめたものである。ところ
が、低蒸気圧の基油中にフェライト類微粒子を単に分散
させようとしても高い分散性が得られず、とても実用に
は供せられない。
【0006】かかる低蒸気圧基油への分散において、か
りに良い分散性が得られたとしても、低蒸気圧基油は一
般の有機溶媒や水が1Cst以下の動粘度(40℃)を示すの
に対し約8〜50Cst(40℃)という高い動粘度を有するた
め、均一なサスペンションの形成に非常な長時間を要す
る。しかも、分散さるべきフェライト類微粒子すべてが
安定なサスペンションを形成する訳ではなく、かなりの
割合のフェライト類微粒子が遠心分離などの精製時にと
り除かれ、効率が非常に悪いという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フェライト
類微粒子を低蒸気圧基油中に安定にかつ高濃度で分散さ
せた磁性流体を効率良く製造することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
フェライト類微粒子の水性サスペンションに、水混和性
有機溶媒にN-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニル
コハク酸イミドを溶解させた溶液を、N-ポリアルキレン
ポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドが溶液から分
離せず、液相が均一相を形成し得る割合で添加し、N-ポ
リアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミド
をフェライト類微粒子に吸着させた後、水および該水混
和性有機溶媒を除去し、残渣のN-ポリアルキレンポリア
ミン置換アルケニルコハク酸イミド吸着フェライト類微
粒子を、25℃において0.1mmHg以下の蒸気圧を有する低
蒸気圧基油中に分散せしめて磁性流体を製造することに
よって達成される。
【0009】フェライト類微粒子としては、純度、粒径
制御、そして何よりも生産性の点において有利である共
沈法によって製造されたものが、水性サスペンションそ
のままの形で用いられる。即ち、共沈法での水性サスペ
ンションの形成は、鉄塩混合物水溶液へのNaOH水溶液の
滴下、熟成、冷却および塩のデカンテーションという一
連の工程を経ることにより行われ、そこに粒径約50〜30
0Å、好ましくは約70〜120Åのフェライト類を約0.1〜5
0重量%、好ましくは約1〜30重量%の濃度で分散させたサ
スペンションが得られる。
【0010】N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニ
ルコハク酸イミドとしては、次のようなものが用いられ
る。 R:炭素数12〜24の炭化水素基 分子量約300〜2000のポリブテニル基 R´:炭素数1〜6のアルキレン基 R´が2個以上くり返される時互いに同一または異なり得
る n:1〜5 m:0〜4
【0011】N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニ
ルコハク酸イミドは、それを水混和性有機溶媒に溶解さ
せた溶液として、フェライト類微粒子の水性サスペンシ
ョンに添加される。水混和性有機溶媒としては、例えば
テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが用いられ、
N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イ
ミドはこれらの溶媒に約0.01〜5モル、好ましくは約0.1
〜0.5モルの濃度で溶解させた溶液として用いられる。
【0012】これらの水混和性有機溶媒溶液は、フェラ
イト類微粒子の水性サスペンションに添加されたとき、
N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イ
ミドが溶液から分離せず、液相が均一相を形成し得るよ
うな割合で用いられる。この割合は、N-ポリアルキレン
ポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドの濃度や用い
られた水混和性有機溶媒の種類によっても変わり得るの
で、一般的な混合割合の範囲を特定することは概して困
難であるが、例えばN-ポリアルキレンポリアミン置換ア
ルケニルコハク酸イミドが0.1モル濃度のテトラヒドロ
フラン溶液の場合、容積比で水性サスペンションに対し
てテトラヒドロフラン溶液は15倍以上で用いられる。N-
ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミ
ド溶液の濃度がこれより小さくなれば、この上限値は小
さくなり、溶液濃度がこれより大きくなれば、この上限
値は大きくなる。
【0013】混合物を一定時間撹拌した後、磁石上に静
置して上澄液(水および水混和性有機溶媒)を取り除き、
残渣はトルエン-アセトン、トルエン-メタノール、n-ヘ
キサン-アセトン、イソオクタン-アセトンなどの混合溶
媒、一般には等量混合溶媒で洗浄される。このような洗
浄により、磁性流体に調製したときに粘度を増大させた
り、あるいはフェライト類微粒子の分散濃度低下の原因
となる余分のN-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニ
ルコハク酸イミドを除去する。洗浄後は、フェライト類
微粒子は、必要に応じて乾燥させる。
【0014】このようにして得られたN-ポリアルキレン
ポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドで被覆された
フェライト類微粒子は、そこに低蒸気圧基油を添加して
分散処理されるが、それの低蒸気圧基油への分散性は良
好な状態となっている。
【0015】低蒸気圧基油としては、25℃において0.1m
mHg以下、好ましくは0.01mmHg以下の蒸気圧を有する液
体、例えば天然油であるホワイトオイル(流動パラフィ
ン)、鉱油、スピンドル油など、あるいは合成油である
高級アルキルベンゼン、高級アルキルナフタレン、ポリ
ブテン(分子量約300〜2000)など、更に酸化防止剤、耐
摩耗剤、油性剤、清浄分散剤などのいわゆる潤滑添加剤
を含んだ潤滑油が、最終的に得られる磁性流体中のフェ
ライト類微粒子の分散濃度が約10〜50重量%となるよう
な割合で用いられる。
【0016】低蒸気圧基油を添加しての分散処理は、常
法での如く、ホモジナイザ、超音波、振動ミルなどの少
なくとも一種を用いて行われる。分散処理後は、遠心分
離あるいは磁場勾配中への静置による精製が行われる。
吸着処理および洗浄後に乾燥工程を経ずに分散処理する
こともでき、その場合には磁性流体の分散濃度や蒸発成
分の制御などの観点から、得られた磁性流体を減圧下で
加熱処理し、低沸点成分を留去することが好ましい。
【0017】
【発明の効果】本発明方法により、フェライト類微粒子
の水性サスペンションに、水混和性有機溶媒にN-ポリア
ルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミドを溶
解させた溶液を、N-ポリアルキレンポリアミン置換アル
ケニルコハク酸イミドが溶液から分離せず、液相が均一
相を形成し得る割合で添加し、N-ポリアルキレンポリア
ミン置換アルケニルコハク酸イミドをフェライト類微粒
子に吸着させることにより、磁性流体シールを始めとす
る各種用途にとって必要な条件である、低蒸気圧基油に
安定にかつ簡単に磁性微粒子を分散させた磁性流体を好
率よく製造することができる。
【0018】しかも、約40〜50重量%の高濃度で磁性微
粒子を低蒸気圧基油中に分散させることができるので、
磁性流体の飽和磁化も高めることができる。
【0019】その上、本発明方法は共沈法フェライト類
微粒子に好適に適用され、共沈法での最大の弱点であっ
た水溶性界面活性剤しか使用できないという制約からも
開放される。
【0020】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0021】実施例1 FeCl2・4H2O 184gおよびFeCl3・6H2O 500gを溶解させた水
溶液1850mlに、撹拌しながら6N NaOH水溶液をpHが11に
なる迄滴下し、その後80℃で30分間熟成、冷却し、塩を
デカンテーションで除去して、マグネタイトのサスペン
ション(マグネタイト濃度10重量%)を得た。
【0022】このサスペンション50mlに、0.05モル濃度
のポリブテニルコハク酸イミドテトラエチレンペンタミ
ン-テトラヒドロフラン溶液800mlを加えると、溶解して
いるポリブテニルコハク酸イミドテトラエチレンペンタ
ミンは溶液から分離することなく、そこに液相が均一な
混合物が形成された。この混合物を、60℃で60分間、容
量1000mlの邪魔板付セパラブルフラスコ中において、70
mm径のプロペラを用いて500rpmで撹拌した。その後、磁
石上に60分間静置し、上澄液を取り除き、残渣のマグネ
タイト微粒子をトルエン-アセトン(1:1)混合溶媒で5回
洗浄して乾燥させた。
【0023】得られたポリブテニルコハク酸イミドテト
ラエチレンペンタミン被覆マグネタイト5.0gに、高級ア
ルキルナフタレン8.0gを加えた後、30時間超音波照射に
よる分散処理を行ない、遠心分離(5000G、30分間)して
沈降物を除去し、飽和磁化(15K Oe)260Gの磁性流体を得
た。
【0024】実施例2 FeCl2・4H2O 184gおよびFeCl3・6H2O 500gを溶解させた水
溶液1850mlに、撹拌しながら6N NaOH水溶液をpHが11に
なる迄滴下し、その後80℃で30分間熟成、冷却し、塩を
デカンテーションで除去して、マグネタイトのサスペン
ション(マグネタイト濃度20重量%)を得た。
【0025】このようにして得られたサスペンション40
mlに、0.1モル濃度のポリブテニルコハク酸イミドテト
ラエチレンペンタミン-ジメチルスルホキシド溶液700ml
を加えると、ポリブテニルコハク酸イミドテトラエチレ
ンペンタミンは溶液から分離することなく、そこに液相
が均一な混合物が形成された。この混合物を、70℃で60
分間、実施例1と同様の条件下で撹拌した。その後、磁
石上に60分間静置し、上澄液を取り除き、残渣のマグネ
タイト微粒子をトルエン-アセトン(1:1)混合溶媒で5回
洗浄して乾燥させた。
【0026】得られたポリブテニルコハク酸イミドテト
ラエチレンペンタミン被覆マグネタイト5.0gに、高級ア
ルキルナフタレン5.0gを加えた後、60時間超音波照射に
よる分散処理を行ない、遠心分離(5000G、30分間)して
沈降物を除去し、飽和磁化(15K Oe)410Gの磁性流体を得
た。
【0027】比較例 実施例1で得られたマグネタイトのサスペンション50ml
に、0.04モル濃度のポリブテニルコハク酸イミドテトラ
エチレンペンタミン-テトラヒドロフラン溶液50mlを加
え、撹拌した。ポリブテニルコハク酸イミドテトラエチ
レンペンタミンは、水と分離したままであったが、その
まま60℃で60分間処理し、その後磁石上に静置し、上澄
液を取り除き、残渣のマグネタイト微粒子をトルエン-
アセトン(1:1)混合溶媒で5回洗浄して乾燥させた。
【0028】このマグネタイト微粒子5.0gに、高級アル
キルナフタレン5.0gを加えた後、30時間超音波照射によ
る分散処理を行ない、遠心分離(5000G、30分間)して沈
降物を除去したところ、殆んど透明の上澄液となり、磁
性流体は得られなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト類微粒子の水性サスペンショ
    ンに、水混和性有機溶媒にN-ポリアルキレンポリアミン
    置換アルケニルコハク酸イミドを溶解させた溶液を、N-
    ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミ
    ドが溶液から分離せず、液相が均一相を形成し得る割合
    で添加し、N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニル
    コハク酸イミドをフェライト類微粒子に吸着させた後、
    水および該水混和性有機溶媒を除去し、残渣のN-ポリア
    ルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミド吸着
    フェライト類微粒子を、25℃において0.1mmHg以下の蒸
    気圧を有する低蒸気圧基油中に分散せしめることを特徴
    とする磁性流体の製造方法。
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