JP3045144U - 電磁スプリングクラッチ - Google Patents

電磁スプリングクラッチ

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JP3045144U
JP3045144U JP1997005972U JP597297U JP3045144U JP 3045144 U JP3045144 U JP 3045144U JP 1997005972 U JP1997005972 U JP 1997005972U JP 597297 U JP597297 U JP 597297U JP 3045144 U JP3045144 U JP 3045144U
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coil spring
shaft
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正則 大澤
清 麦島
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天竜丸澤株式会社
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチのオン・オフの応答時間の安定した
電磁スプリングクラッチを提供する。 【解決手段】 第2の回転軸54は第1の回転軸52と
同軸に配せられ、フリー状態に回転自在である。コイル
スプリング60は第1の回転軸52と第2の回転軸54
の両方の外周面に跨がって配され、一端側が第2の回転
軸54に支持される。アーマチュア56はコイルスプリ
ング60の他端側を支持し、電磁コイル50に付勢され
て第2の回転軸54から離反する方向へ移動可能であ
る。電磁コイル50に通電された際にはアーマチュア5
6が移動して第1の回転軸52と直接若しくは間接に接
触し、第1の回転軸52と第2の回転軸54の回転差に
よりコイルスプリング60が巻き締められて第1の回転
軸52と第2の回転軸54とが一体に回転する。コイル
スプリング60の第1の回転軸52と第2の回転軸54
との境界部分Mでの線材60aの巻きピッチは他の部分
の巻きピッチよりも広い。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、電磁スプリングクラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な電磁スプリングクラッチの構造と動作について図1〜図4を用 いて説明する。 第1の回転軸52は非磁性材料を用いて形成され、軸線Lを中心として回動自 在である。本例では出力軸となっている。なお、後述するコイルスプリングが巻 回されるコイル領域52aが設けられている。 第2の回転軸54は、第1の回転軸52と同軸に配せられ、第1の回転軸52 に対しフリー状態に回転自在である。第2の回転軸54に外部から回転力が入力 される。本例では第1の回転軸52の外周面に外嵌され、後述するコイルスプリ ングが巻回されるコイル領域54aと回転力が伝達されるギア部54bとから成 る。
【0003】 コイルスプリング60は、第1の回転軸52のコイル領域52aと第2の回転 軸54のコイル領域54aの両方の外周面に跨がって配され、一端側(図1の右 端側)が第2の回転軸54に、一例として掛止されて支持されている。また、コ イルスプリング60は図3に示すように隣接する線材同志が密着するように巻回 されて形成されている。なお、第1の回転軸52のコイル領域52aの外径は、 第2の回転軸54のコイル領域54aの外径より若干小径に形成されている。
【0004】 アーマチュア56は磁性材料(金属材料等)を用いて一例として円筒状(リン グ状でもよい)に形成され、コイルスプリング60の外側に外嵌されている。ま た、コイルスプリング60の他端側(図1中の左端側)はアーマチュア56の左 端側に掛止されて支持されている。 アーマチュア56は後述する電磁コイルに通電された際にはコイルスプリング 60の付勢力に抗して左方向(第2の回転軸54から離反する方向)に移動可能 である。そして移動した際には、第1の回転軸52の外周面に一体的に取り付け られた磁性材料製のプレート51の右側面に接触する。なお、このようにアーマ チュア56はプレート51を介して第1の回転軸52と間接的に接触する構成で も良いが、第1の回転軸52自体を磁性材料を用いて構成し、プレート51に代 えて大径部を設けてプレート51の代用としても良い。この場合にはアーマチュ ア56は、直接第1の回転軸52と接触する構成となる。
【0005】 フィールドコア62は磁性材料(一例として鉄等の金属材料)を用いてカップ 状に形成され、第1の回転軸52の外周面を回動自在に支持する軸受58に固定 されている。なお、軸受58は鉄系オイルレスメタルを用いて構成されている。 また、フィールドコア62の右側の開口部には中央にアーマチュア56等が貫通 して配される透孔53aが形成された板体53が取り付けられている。なお、軸 受58や板体53もまた磁性材料を用いて形成されている。 フィールドコア62の内周面には電磁コイル50が取り付けられている。電磁 コイル50はこの内周面に沿ってリング状に配され、第1の回転軸52は電磁コ イル50の中央部分に挿通されている。
【0006】 電磁コイル50が非通電の状態では、アーマチュア56は図1に示すようにコ イルスプリング60により右方向に付勢されている。従って、第2の回転軸54 が外部から回転力が入力されて回転する場合には、第2の回転軸54に掛止され たコイルスプリング60と共にアーマチュア56も第2の回転軸54と一体とな って回転する。この場合には、コイルスプリング60は第2の回転軸54のコイ ル領域54aの外周面には巻き付けられた状態となっているが、若干小径に形成 された第1の回転軸52のコイル領域52aの外周面には接触していない。よっ て、第2の回転軸54の回転力は第1の回転軸52には伝達されない。
【0007】 電磁コイル50が通電されると、フィールドコア62、板体53、アーマチュ ア56、プレート51、軸受58内に磁気回路が形成され(図2中の破線B)、 アーマチュア56は第2の回転軸54から離反する方向、すなわちプレート51 方向へ吸引され、移動する。そしてアーマチュア56の左端はプレート51の右 側面と当接し、接触の摩擦力によりアーマチュア56の回転に制動力が加わる。 すると、アーマチュア56の左端側の回転数は第2の回転軸54に掛止された右 端側の回転数より少なくなり、次第にコイルスプリング60は巻き締められて縮 径し、第1の回転軸52と第2の回転軸54の各コイル領域52a、54aの外 周面を締めつける。よって、第2の回転軸54の回転力はコイルスプリング60 を介して第1の回転軸52に伝達され、第1の回転軸52は第2の回転軸54と 一体となって回転するのである。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の電磁スプリングクラッチには次のような課題がある。 コイルスプリング60が外嵌された第1の回転軸52のコイル領域52aと第 2の回転軸54のコイル領域54aとの間の境界部分Mには、製造上の公差等に より、図4に示すように隙間55が生じる場合がある。特に外部から回転力が入 力される第2の回転軸54が回転中に側面振れを起こせば、その隙間55の間隔 はさらに広がることもある。
【0009】 すると、電磁コイル50が通電されてコイルスプリング60が縮径し、各コイ ル領域52a、54aを巻き締める際に、この隙間55にコイルスプリング60 を構成する線材60aの一部が入り込む。隙間55に入り込んだ線材60aは各 コイル領域52a、54aの角部と接触するため、各コイル領域52a、54a の外周面と接触する他の部位の線材60bとは異なる摩擦力を受ける。また、巻 き締め動作の度に、各コイル領域52a、54aの角部との接触量も変化する。 所謂「引っ掛かる」という状態になる。よって、コイルスプリング60の巻き締 めが一定の速度で行われなくなる。また、コイルスプリング60の巻き戻しの場 合も同様である。これによりクラッチのオン・オフの応答時間、すなわち通電開 始からクラッチが連結されて回転力が伝達されるまでの時間(オンの際の応答時 間)、および通電停止からクラッチが開放されて回転力の伝達が停止するまでの 時間(オフの際の応答時間)にバラツキが生ずるという課題がある。 従って、トルクの伝達、開放の精度が要求される機構には採用することができ なくなる。
【0010】 従って、本考案は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、ク ラッチのオン・オフの応答時間の安定した電磁スプリングクラッチを提供するこ とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案のうち請求項1記載の考案は、第1の回転 軸と、該第1の回転軸と同軸に配せられ、第1の回転軸に対しフリー状態に回転 自在な第2の回転軸と、第1の回転軸と該第2の回転軸の両方の外周面に跨がっ て配され、一端側が第2の回転軸に支持されたコイルスプリングと、該コイルス プリングの他端側を支持し、電磁コイルに付勢されて第2の回転軸から離反する 方向へ移動可能なアーマチュアとを有し、前記電磁コイルに通電された際には前 記アーマチュアが移動して第1の回転軸と直接若しくは間接に接触し、第1の回 転軸と第2の回転軸の回転差により前記コイルスプリングが巻き締められて第1 の回転軸と第2の回転軸とが一体に回転する電磁スプリングクラッチにおいて、 前記コイルスプリングの前記第1の回転軸と第2の回転軸との境界部分での線材 の巻きピッチは、他の部分の線材の巻きピッチよりも広く設定されていることを 特徴とする。 これによれば、第1の回転軸と第2の回転軸との境界部分で若干の隙間が生じ ていても、この部分でのコイルスプリングの線材の巻きピッチが広いため、周方 向と線材の巻回方向との間の角度差が大きくなり、隙間を横切るように線材が通 過する。よって、線材が隙間に入り込んだり、また隙間に嵌まることもない。こ のため、コイルスプリングと第1の回転軸および第2の回転軸との間の摩擦力が コイルスプリングの巻き締め・巻き戻しの度に変化することが少なく、クラッチ のオン・オフの応答時間のバラツキが少ない。
【0012】 具体的には一例として、前記コイルスプリングは隣接する線材同志が密着する ように巻回して形成されると共に、前記境界部分を含む所定領域内のみは線材同 志が非密着状態となるように巻回されている構成となる。
【0013】 本考案のうち請求項3記載の考案は、第1の回転軸と、該第1の回転軸と同軸 に配せられ、第1の回転軸に対しフリー状態に回転自在な第2の回転軸と、一端 側が該第2の回転軸の前記第1の回転軸側の側面に固定されて第1の回転軸の外 周面に遊嵌されたコイルスプリングと、該コイルスプリングの他端側を支持し、 電磁コイルに付勢されて第2の回転軸から離反する方向へ移動可能なアーマチュ アとを有し、前記電磁コイルに通電された際には前記アーマチュアが移動して第 1の回転軸と直接若しくは間接に接触し、第1の回転軸と第2の回転軸の回転差 により前記コイルスプリングが巻き締められて第1の回転軸と第2の回転軸とが 一体に回転する電磁スプリングクラッチにおいて、前記コイルスプリングの一端 側の線材の巻きピッチは、他の部分の線材の巻きピッチよりも広く設定されてい ることを特徴とする。
【0014】 また、本考案のうち請求項3記載の考案は、第1の回転軸と、該第1の回転軸 と同軸に配せられ、第1の回転軸に対しフリー状態に回転自在な第2の回転軸と 、一端側が該第2の回転軸の前記第1の回転軸側の側面に固定されて第1の回転 軸の外周面に遊嵌されたコイルスプリングと、該コイルスプリングの他端側を支 持し、電磁コイルに付勢されて第2の回転軸から離反する方向へ移動可能なアー マチュアとを有し、前記電磁コイルに通電された際には前記アーマチュアが移動 して第1の回転軸と直接若しくは間接に接触し、第1の回転軸と第2の回転軸の 回転差により前記コイルスプリングが巻き締められて第1の回転軸と第2の回転 軸とが一体に回転する電磁スプリングクラッチにおいて、前記コイルスプリング の一端側の線材はコイルスプリングの他端側に向けて所定距離だけ延出した後に 巻回されて成ることを特徴とする。 これらによれば、第1の回転軸と第2の回転軸との境界部分で若干の隙間が生 じていても、この部分でのコイルスプリングの線材の巻きピッチが広いため、周 方向と線材の巻回方向との間の角度差が大きくなり、隙間を横切るように線材が 通過する。よって、線材が隙間に入り込んだり、また隙間に嵌まることもない。 このため、第1の回転軸との間の摩擦力がコイルスプリングの巻き締め・巻き戻 しの度に変化することが少なく、クラッチのオン・オフの応答時間のバラツキが 少ない。
【0015】
【考案の実施の形態】
以下、本考案に係る電磁スプリングクラッチの好適な実施の形態を添付図面に 基づいて詳細に説明する。なお、従来例と同じ構成要素については同じ符号を付 す。 (第1の実施の形態) まず、電磁スプリングクラッチの構成と共に動作について図5〜図7を用いて 説明する。なお、従来例で説明したクラッチと同じ構成に関しては同じ符号を付 し、詳細な説明は省略する。 構成は、従来例で説明した電磁スプリングクラッチと略同じであり、外部から 回転力が入力される第2の回転軸54は、出力軸としての第1の回転軸52と同 軸に配せられ、第1の回転軸52に対しフリー状態に回転自在である。本実施の 形態では、第1の回転軸52の外周面に第2の回転軸54が回動自在に外嵌され ている。なお、36a、36bは止め輪であり、軸受58、プレート51、第2 の回転軸54の第1の回転軸52上での位置を決めている。
【0016】 コイルスプリング60は、第1の回転軸52のコイル領域52aと第2の回転 軸54のコイル領域54aの両方の外周面に跨がって配され、一端側(図5の右 端側)が第2の回転軸54に、一例として掛止されて支持されている。また、他 端側(図5の左端側)は、アーマチュア56の左端側に掛止されて支持されてい る。このアーマチュア56はコイルスプリング60の外周に外嵌され、第1の回 転軸52の軸線方向に沿って移動自在に配されている。 そして本実施の形態の特徴部分はコイルスプリング60にあり、詳細には図7 に示すように、第1の回転軸52のコイル領域52aと第2の回転軸54のコイ ル領域54aとの境界部分Mでのコイルスプリング60を形成する線材の巻きピ ッチP1が、他の部分の線材の巻きピッチP2よりも広く設定されている点であ る。
【0017】 動作について説明する。 アーマチュア56は電磁コイル50が非通電状態の場合には、コイルスプリン グ60の付勢力により図5に示すように右方向へ移動し、その左端は第1の回転 軸52に設けられたプレート51とは非接触状態にある。従って、第2の回転軸 54が外力を受けて回転した場合、第2の回転軸54に掛止されたコイルスプリ ング60と共にアーマチュア56は第2の回転軸54と一体となって回転する。 しかし、アーマチュア56はプレート51に非接触であるため、コイルスプリン グ60は巻き締められず、第1の回転軸52のコイル領域52aの外周面には密 着していないので、第2の回転軸54の回転力は第1の回転軸52には伝達され ない。
【0018】 次に、電磁コイル50に通電された際には、フィールドコア62、板体53、 アーマチュア56、プレート51、軸受58内に図6中の破線Aに示すように磁 気回路が形成され、アーマチュア56はプレート51方向へ吸引され、第2の回 転軸54から離反する方向へ移動する。そしてアーマチュア56の左端がプレー ト51の右側面と当接すると、摩擦力によりアーマチュア56の回転に制動力が 加わり、従来例で述べたように次第にコイルスプリング60は巻き締められて縮 径し、第1の回転軸52と第2の回転軸54の各コイル領域52a、54aの外 周面に密着して締めつける。よって、外力を受けて回転する第2の回転軸54の 回転力はコイルスプリング60を介して第1の回転軸52に伝達され、第1の回 転軸52は第2の回転軸54と一体となって回転するのである。これにより、第 2の回転軸54の回転力が第1の回転軸52に伝達されるのである。 再度、電磁コイル50が非通電状態となると、コイルスプリング60の付勢力 (弾性力)によりアーマチュア56が右方向へ移動し、図5に示す状態となる。 この状態ではアーマチュア56の左端は第1の回転軸52に設けられたプレート 51とは非接触状態となる。これによりコイルスプリング60は拡径して巻き戻 され、通常の状態に戻る。よって、第1の回転軸52の巻き締めが解除されるた めに、第1の回転軸52への回転力の伝達が解除される。
【0019】 そして本実施の形態のように、第1の回転軸52のコイル領域52aと第2の 回転軸54のコイル領域54aとの境界部分Mに若干の隙間55が生じていても 、この部分でのコイルスプリング60の線材の巻きピッチP2が他の線材の巻き ピッチP1よりも広いため、図7に示すように第1の回転軸52の周方向と線材 60aの巻回方向との間の角度差が大きくなり、隙間55を横切るように線材6 0aが通過する。従って、コイルスプリング60の巻き締め・巻き戻しの動作の 際に線材60aが隙間55に入り込んだり、また嵌まったりすることがなくなる ため、コイルスプリング60が隙間55に引っ掛からなくなり、コイルスプリン グ60の巻き締め・巻き戻し動作時間が均一になるから、オン・オフ時間のバラ ツキが発生しにくくなる。 また、線材60aが隙間55を形成する第1の回転軸52のコイル領域52a の角部や第2の回転軸54のコイル領域54aの角部に接触する面積も線材60 aの巻回方向が周方向に接近する場合よりも減少するため、接触抵抗のバラツキ が発生しにくくなる。これによってもまた、コイルスプリング60の巻き締め・ 巻き戻し動作時間が均一になり、オン・オフ時間のバラツキが発生しにくくなる 。 よって、クラッチのオン・オフの応答時間のバラツキが少ない電磁スプリング クラッチが実現できる。
【0020】 また、上述した実施の形態でのコイルスプリング60は、隣接する線材同志が 密着するように巻回して形成されたコイルスプリング60を基本として境界部分 Mを含む所定領域N内のみは線材60aの巻きピッチを広げて線材同志が非密着 状態となるようにしたものであるが、境界部分Mの線材60aの巻きピッチP2 が他の部分の線材60bの巻きピッチP1よりも広く設定し、第1の回転軸52 と第2の回転軸54との間に生ずる隙間55にかかる線材60aの長さをなるべ く短くするようにしたものであれば、必ずしも基本となるコイルスプリング60 が密着巻きのものでなくとも良い。 さらには巻線60aは、第1の回転軸52の軸線Lと平行に延出する構成でも 良い。
【0021】 (第2の実施の形態) まず、電磁スプリングクラッチの構成を図8〜図10を用いて説明する。なお 、従来例で説明したクラッチと同じ構成に関しては同じ符号を付し、詳細な説明 は省略する。 本実施の形態での電磁スプリングクラッチは、上述した従来例や第1の実施の 形態で述べた電磁スプリングクラッチと比較すると、第2の回転軸54はギア部 54bのみから成り、コイルスプリング60が外嵌されるコイル領域54aが設 けられていない。そして、コイルスプリング60の一端側(図8中の右端側)は 第2の回転軸54の第1の回転軸52側の側面に固定されて、コイルスプリング 60全体が第1の回転軸52のコイル領域52aの外周面に遊嵌された状態とな っている。
【0022】 そして本実施の形態の特徴部分は第1の実施の形態と同様に、図10に示すよ うに、第1の回転軸52と第2の回転軸54の隙間55にかかるコイルスプリン グ60の部位、すなわちコイルスプリング60の一端側の線材60aの巻きピッ チP2は、他の部分の線材60bの巻きピッチP1よりも広く設定されている点 にある。
【0023】 この構成による効果は第1の実施の形態と同様であり、やはり隙間55内に線 材の全体若しくは一部が入り込むことを防止できたり、また隙間55を形成する 第1の回転軸52のコイル領域52aの角部や第2の回転軸54のコイル領域5 4aの角部に接触する面積も線材60aの巻回方向が周方向に近い場合よりも減 少するため、接触抵抗のバラツキが発生しにくくなる。これによってもまた、コ イルスプリング60の巻き締め・巻き戻し動作時間が均一になり、オン・オフ時 間のバラツキが発生しにくくなる。
【0024】 また、第2の回転軸54の側面に固定されるコイルスプリング60の一端側は 、巻きピッチを広くする構成に代えて、単純に線材60aをコイルスプリング6 0の他端側に向けて所定距離Nだけ延出した後に巻回されて成る構成としても良 い。これにより、巻回されたコイルスプリング60の線材60aが隙間55内に 入り込むことを確実に防止することができ、同様の理由により、コイルスプリン グ60の巻き締め・巻き戻し動作時間が均一になり、オン・オフ時間のバラツキ が発生しにくくなる。
【0025】 以上、本考案の好適な実施例について種々述べてきたが、本考案は上述する実 施例に限定されるものではなく、考案の精神を逸脱しない範囲で多くの改変を施 し得るのはもちろんである。
【0026】
【考案の効果】
本考案に係る電磁スプリングクラッチを用いると、第1の回転軸と第2の回転 軸との間の隙間にコイルスプリングの線材が入り込んだり、嵌まり込んだりする ことがなくなり、また隙間の角部との接触面積も少なくなることから、コイルス プリングの巻き締め・巻き戻し動作にバラツキが少なくなり、スムーズに一定の 速度で巻き締め・巻き戻しが行える。よって、クラッチ動作のオン・オフの応答 時間、すなわち通電開始からクラッチが連結されて回転力が伝達されるまでの時 間(オンの際の応答時間)、および通電停止からクラッチが開放されて回転力の 伝達が停止するまでの時間(オフの際の応答時間)のバラツキを少なくすること ができるという著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電磁スプリングクラッチの一例の構成を
示す正面断面図である(非通電状態)。
【図2】図1の電磁スプリングクラッチが通電された状
態を示す正面断面図である。
【図3】図1のアーマチュア内部の構成を示す要部正面
断面図である。
【図4】図1の第1の回転軸のコイル領域と第2の回転
軸のコイル領域との間の境界部分の拡大図である。
【図5】本考案に係る電磁スプリングクラッチの第1の
実施の形態を示す正面断面図である(非通電状態)。
【図6】図5の電磁スプリングクラッチが通電された状
態を示す正面断面図である。
【図7】図5のアーマチュア内部の構成を示す要部正面
断面図である。
【図8】本考案に係る電磁スプリングクラッチの第2の
実施の形態を示す正面断面図である(非通電状態)。
【図9】図8の電磁スプリングクラッチが通電された状
態を示す正面断面図である。
【図10】図8のアーマチュア内部の構成を示す要部正
面断面図である。
【図11】図8の電磁スプリングクラッチにおけるコイ
ルスプリングの他の実施の形態を示すアーマチュア内部
の断面図である。
【符号の説明】
50 電磁コイル 52 第1の回転軸 54 第2の回転軸 56 アーマチュア 60 コイルスプリング 60a 線材 M 境界部分

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の回転軸と、該第1の回転軸と同軸
    に配せられ、第1の回転軸に対しフリー状態に回転自在
    な第2の回転軸と、第1の回転軸と該第2の回転軸の両
    方の外周面に跨がって配され、一端側が第2の回転軸に
    支持されたコイルスプリングと、該コイルスプリングの
    他端側を支持し、電磁コイルに付勢されて第2の回転軸
    から離反する方向へ移動可能なアーマチュアとを有し、 前記電磁コイルに通電された際には前記アーマチュアが
    移動して第1の回転軸と直接若しくは間接に接触し、第
    1の回転軸と第2の回転軸の回転差により前記コイルス
    プリングが巻き締められて第1の回転軸と第2の回転軸
    とが一体に回転する電磁スプリングクラッチにおいて、 前記コイルスプリングの前記第1の回転軸と第2の回転
    軸との境界部分での線材の巻きピッチは、他の部分の線
    材の巻きピッチよりも広く設定されていることを特徴と
    する電磁スプリングクラッチ。
  2. 【請求項2】 前記コイルスプリングは隣接する線材同
    志が密着するように巻回して形成されると共に、前記境
    界部分を含む所定領域内のみは線材同志が非密着状態と
    なるように巻回されていることを特徴とする請求項1記
    載の電磁スプリングクラッチ。
  3. 【請求項3】 第1の回転軸と、該第1の回転軸と同軸
    に配せられ、第1の回転軸に対しフリー状態に回転自在
    な第2の回転軸と、一端側が該第2の回転軸の前記第1
    の回転軸側の側面に固定されて第1の回転軸の外周面に
    遊嵌されたコイルスプリングと、該コイルスプリングの
    他端側を支持し、電磁コイルに付勢されて第2の回転軸
    から離反する方向へ移動可能なアーマチュアとを有し、
    前記電磁コイルに通電された際には前記アーマチュアが
    移動して第1の回転軸と直接若しくは間接に接触し、第
    1の回転軸と第2の回転軸の回転差により前記コイルス
    プリングが巻き締められて第1の回転軸と第2の回転軸
    とが一体に回転する電磁スプリングクラッチにおいて、 前記コイルスプリングの一端側の線材の巻きピッチは、
    他の部分の線材の巻きピッチよりも広く設定されている
    ことを特徴とする電磁スプリングクラッチ。
  4. 【請求項4】 第1の回転軸と、該第1の回転軸と同軸
    に配せられ、第1の回転軸に対しフリー状態に回転自在
    な第2の回転軸と、一端側が該第2の回転軸の前記第1
    の回転軸側の側面に固定されて第1の回転軸の外周面に
    遊嵌されたコイルスプリングと、該コイルスプリングの
    他端側を支持し、電磁コイルに付勢されて第2の回転軸
    から離反する方向へ移動可能なアーマチュアとを有し、
    前記電磁コイルに通電された際には前記アーマチュアが
    移動して第1の回転軸と直接若しくは間接に接触し、第
    1の回転軸と第2の回転軸の回転差により前記コイルス
    プリングが巻き締められて第1の回転軸と第2の回転軸
    とが一体に回転する電磁スプリングクラッチにおいて、 前記コイルスプリングの一端側の線材はコイルスプリン
    グの他端側に向けて所定距離だけ延出した後に巻回され
    て成ることを特徴とする電磁スプリングクラッチ。
JP1997005972U 1997-07-09 1997-07-09 電磁スプリングクラッチ Expired - Lifetime JP3045144U (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016090806A (ja) * 2014-11-05 2016-05-23 富士ゼロックス株式会社 駆動構造、定着器、および画像形成装置

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