JP3044027U - 金属管と継手との接続構造 - Google Patents

金属管と継手との接続構造

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JP3044027U
JP3044027U JP1997004659U JP465997U JP3044027U JP 3044027 U JP3044027 U JP 3044027U JP 1997004659 U JP1997004659 U JP 1997004659U JP 465997 U JP465997 U JP 465997U JP 3044027 U JP3044027 U JP 3044027U
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長治 生田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属管と継手とを接続するのにロウ付けを必
要とせず、両者をメカニカルに接続する構造であること
による所定のメリットを持ちながら、接続後に外部から
目視でその接続状態が適切であるかどうかを判断でき、
金属管の肉厚の違いにも対応でき、さらに上述したステ
ー部材のような別体の部材を必要としない接続構造を提
供する。 【解決手段】 継手10の円筒部11に、金属管として
の銅管5の拡径部7を、その先端が鍔部21に当接する
位置まで外嵌し、さらに円筒部11に設けた環状溝部1
3を覆っている銅管5の拡径部7を環状溝部13内へか
しめることによって継手10と銅管5とを固着させる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、例えば銅管などの金属管と継手との接続構造であって、特にロウ付 けを必要とせず、両者をメカニカルに接続した構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属管継手の一例としての銅管継手では、いわゆるロウ付け継手が一般 的であった。しかし、このタイプの継手の場合には、銅管と継手とをロウ付けで 固着させる構成のため、作業時に火気を使用する必要があったり、あるいは金属 管内が完全に乾燥していなければ作業ができないなど、種々の不都合があった。
【0003】 そこで、銅管と継手とを接続するのにロウ付けを必要とせず、両者をメカニカ ルに接続する構造が考えられている。その構造を図4を参照して説明する。 本構造に用いる継手は、図4(a)に示すように、継手本体101の先端から 所定長さだけが拡径されて円筒状の接続部103が形成されており、その接続部 103の先端分はさらに拡径されると共に最先端が絞られることで、内部にシー ルリング104を配設するための凹部105とされている。その凹部105内に はシールリング104が配設される。また、接続部103内部にはやはり円筒状 のステー部材107が挿入されている。このステー部材107は、拡径された接 続部103より奥には移動できないようその端部109が少し拡径されていると 共に、接続部103との間に所定の間隔が生じるような外径とされている。
【0004】 このような継手に銅管121(図4(b),(c)参照)を接続する場合には 、次のような作業手順で行なう。 まず、パイプカッターなどを用いて銅管121を所定長さに切断する。 続いて、リーマーなどを用いて銅管121の切断外面のバリ取りを行なう。
【0005】 そして、ラインゲージなどを使って銅管121の継手本体101への差込み 長さの位置を決め、その位置の銅管121外周部にマーク123を付ける。 継手本体101内にステー部材107が入っていることを確認して、銅管1 21を、継手本体101の接続部103とステー部材107との間に挿入する。
【0006】 最後に、プレス工具を用いて接続部103の中央付近を締め付ける。継手本 体101の接続部103、銅管121、そしてステー部材107がかしめられる ことによって、継手100と銅管121とが接続されることとなる。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の接続構造においては、以下に説明するようないくつ かの問題点がある。 (イ)銅管121の継手本体101への挿入が不十分であると、実際に施工し た後で銅管121が継手本体101から抜けてしまう可能性がある。それを防止 する目的で上述した銅管121外周のマーク123を付けておき、適切に挿入さ れているかどうかを接続後でも判断できるようにしたのであるが、そのマーク1 23自体を付け忘れた場合、あるいはマーク位置が不正確である場合には、適切 に挿入されているかどうかを実際の施工後にチェックするのが非常に困難である 。もちろん、超音波などを用いて非破壊検査をすれば可能ではあるが、全て配管 し終えた後に全ての接続部においてこのような検査をするのは現実的ではない。 つまり、外部から目視によってチェックすることができないのである。
【0008】 (ロ)接続する際、銅管121を継手本体101の接続部103とステー部材 107との間に挿入するようにしている。したがって、この接続部103とステ ー部材107との隙間は、銅管121の肉厚の違いにも対応できるよう、挿入候 補となる銅管121の最大肉厚のものにも対応できるように設定することとなる 。したがって、それよりも肉厚の薄い銅管121を使用する場合には、挿入した 際に接続部103やステー部材107との間に隙間が生じることとなる。この隙 間の存在によって、上記作業手順で接続部103、銅管121、そしてステー 部材107をかしめる場合に、そのかしめが不十分になり易い。
【0009】 (ハ)継手100を構成する部品として、継手本体101とステー部材107 が最低限必要であるが、比較的狭い場所や暗い場所で作業することの多い状況を 考えると、部品点数は少ない方がよい。特にステー部材107は継手本体101 とは別体になっているため無くし易い。
【0010】 このように、銅管と継手とを接続するのにロウ付けを必要とせず、両者をメカ ニカルに接続する構造であるため、所定のメリットはあるが、上述したような問 題点も存在する。 また、上述の例は、金属管の一例として銅管を例に挙げて説明したが、他の金 属製の管を継手と接続する際にも同様の問題点はやはり存在する。
【0011】 そこで、本考案は上述の問題を解決し、金属管と継手とを接続するのにロウ付 けを必要とせず、両者をメカニカルに接続する構造であることによる所定のメリ ットを持ちながら、接続後に外部から目視でその接続状態が適切であるかどうか を判断でき、金属管の肉厚の違いにも対応でき、さらに上述したステー部材のよ うな別体の部材を必要としない接続構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び考案の効果】
この目的を達成するためになされた本考案の金属管と継手との接続構造は、先 端から軸方向に所定距離までの部分の内径が拡げられた金属管を、継手に嵌めて 接続する構造であって、前記継手は、前記金属管の拡径部に対応する外径を有す る円筒部と、前記円筒部先端から前記金属管の拡径部に対応する所定距離の位置 に設けられた鍔部と、前記円筒部先端と前記鍔部の間の所定位置において前記円 筒部外周に形成された環状溝部とを備えており、前記継手の円筒部に、前記金属 管の拡径部を、その先端が前記鍔部に当接する位置まで外嵌し、さらに前記環状 溝部を覆っている前記金属管の拡径部を当該環状溝部内へかしめることによって 前記継手と金属管とを固着させたことを特徴とする。
【0013】 本考案の金属管と継手の接続構造は、先端から軸方向に所定距離までの部分の 内径が拡げられた金属管を継手の円筒部に嵌めて接続するのであるが、その円筒 部は金属管の拡径部に対応する外径を有している。また、継手の鍔部は円筒部先 端から金属管の拡径部に対応する所定距離の位置に設けられている。したがって 、金属管の拡径部を円筒部に外嵌させ、拡径部の先端が鍔部に当接するまで嵌入 させることとなる。
【0014】 そして、継手には、円筒部先端と鍔部の間の所定位置において円筒部外周に環 状溝部が形成されているため、継手の円筒部に金属管の拡径部を外嵌させた状態 で、環状溝部を覆っている金属管の拡径部を環状溝部内へかしめることによって 継手と金属管とが固着され、本接続構造が完成することとなる。
【0015】 このような本考案の金属管と継手の接続構造は、金属管と継手とを接続するの にロウ付けを必要とせず、両者をメカニカルに接続する構造であるため、ロウ付 けによる場合のように作業時に火気を使用したり、また、金属管内が完全に乾燥 していなければ作業ができないなどの種々の不都合は生じない。そして、そのよ うなメカニカルに接続する構造でありながら、上述した従来の接続構造に比べて 、次のような非常に有効な面がある。
【0016】 (A)まず、上述した従来の接続構造では、図4(b)に示すように、銅管1 21の継手本体101への挿入が不十分となることを防止する目的で銅管121 外周のマーク123を付けておき、適切に挿入されているかどうかを接続後でも 判断できるようにしていたが。しかし、そのマーク123自体を付け忘れた場合 、あるいはマーク位置が不正確である場合には、適切に挿入されているかどうか を実際の施工後にチェックするのが非常に困難である。もちろん、超音波などを 用いて非破壊検査をすれば可能ではあるが、全て配管し終えた後に全ての接続部 においてこのような検査をするのは現実的ではない。つまり、外部から目視によ ってチェックすることができなかった。
【0017】 それに対して、本考案の接続構造によれば、金属管を継手(の円筒部)に外嵌 する構造であり、金属管(の拡径部)の先端が継手の鍔部に当接する位置が適切 な接続状態であるため、その位置まで金属管が嵌められていなければ、接続状態 が適切でないことが目視で容易に確認できる。そして、従来技術のように作業者 がマーキングする工程は本接続構造では不要であるため、マーキングに頼ったチ ェックのように信頼性が低くなることがない。したがって、チェックする際に目 視で確認し、不適切なものがあれば即座に修正することができるので、施工後に 金属管が継手から抜けてしまうという不都合を好適に防止することができるので ある。
【0018】 (B)また、従来の接続構造においては、図4(b)に示すように、銅管12 1を継手本体101の接続部103とステー部材107との間に挿入して接続す るようにしているため、接続部103とステー部材107との隙間は、銅管12 1の肉厚の違いにも対応できるよう、挿入候補となる銅管121の最大肉厚のも のにも対応できるように設定していた。したがって、それよりも肉厚の薄い銅管 121を使用する場合には、挿入した際に接続部103やステー部材107との 間に隙間が生じることとなる。この隙間の存在によって、図4(c)に示すよう に、接続部103、銅管121、そしてステー部材107をかしめる場合に、そ のかしめが不十分になり易かった。
【0019】 それに対して、本考案の接続構造によれば、金属管先端から軸方向に所定距離 までの部分の内径が拡径されている。そして継手の円筒部は金属管の拡径部に対 応する外径を有している。この対応する外径とは、金属管の拡径部を外嵌させる 場合に隙間なく嵌入できるような外径である。つまり、継手円筒部の外周部と金 属管拡径部の内周部との間に不要な隙間はないので、かしめた場合にそれが不十 分になることを防止できる。
【0020】 具体的には、作業時に金属管を必要長さに切断し、その切断部分を拡径工具を 用いて、円筒部の外径に対応するように拡径させればよい。このようにすれば、 たとえ金属管の肉厚が異なるものがあったとしても、その内径は必ず円筒部の外 径に対応したものとなる。
【0021】 さらに、金属管を拡径させる作業工程は、単に円筒部の外径に対応した内径に するというだけでなく、別の意味合いも持つ。つまり、作業時に金属管を必要長 さに切断した場合、特に金属管が軟らかい場合には切断面が楕円状になったり、 縮径させてしまうことが考えられる。従来の接続構造においてそのような状況が あった場合には、例えば楕円を真円に修正する工具や拡径工具を用いて修正する 必要がでてくる。したがって、本接続構造において切断後に拡径作業を必要とし たとしても、それは従来に比べて常に作業工程を増やすというのではない。そし て、逆に必ず拡径する作業が必要となれば、そのような工程を順次こなしていか ないと接続自体ができないようになり、適切な接続状態を得る点で有効である。
【0022】 つまり、従来のような接続構造では、金属管の切断面が多少変形していたとし ても継手に対して無理矢理こじ入れることも不可能ではないが、その場合には、 図4に示すシールリング104を破損させてしまったり、継手本体101やステ ー部材107を変形させてしまい、結果として不十分なシール状態あるいは不十 分な接続状態が得られなくなる可能性もある。それに対して本接続構造では、金 属管を切断して用いる場合には必ずその後に拡径作業が必要であり、拡径しない と接続自体ができないので、上述した不十分なシール状態あるいは不十分な接続 状態となることを防止できるのである。また、上述した従来の金属管挿入位置を 確認するためのマーキングは、それ自体を行わなくても金属管と継手との接続は できてしまうため、マーキング作業自体を忘れてしまう可能性もある。つまり、 作業者の意識に頼っているため、作業を忘れないようにするには問題意識の向上 を図るといった不確実な方法しかないのである。したがって、本考案のように、 金属管を拡径しないと接続自体ができないことは、逆に、適切な接続状態を確実 に実現する上で有効な手法となる。
【0023】 (C)さらに、従来の場合には、図4(a)に示すように、継手を構成する部 品として、継手本体101とステー部材107が最低限必要であるが、比較的狭 い場所や暗い場所で作業することの多い状況を考えると、部品点数は少ない方が よい。特にステー部材107は継手本体101とは別体になっているため無くし 易かった。
【0024】 それに対して、本考案の接続構造における継手は、円筒部に対して金属管の方 を「外嵌」させる構成であるため、従来のステー部材107のような別部材は不 要である。また、図4(b)に示すように、従来は銅管121を継手本体101 の接続部103とステー部材107との間に挿入していたが、本接続構造では、 単に金属管を継手円筒部に外嵌させるだけである。比較的狭い場所や暗い場所で 作業することの多い状況を考えると、その作業の単純さは有利である。
【0025】 このように、本考案の金属管と継手との接続構造は、金属管と継手とを接続す るのにロウ付けを必要とせず、両者をメカニカルに接続する構造であることによ る所定のメリットを持ちながら、接続後に外部から目視でその接続状態が適切で あるかどうかを判断でき、金属管の肉厚の違いにも対応でき、さらに上述したス テー部材のような別体の部材を必要としない接続構造を実現できるという非常に 有益な効果を発揮する。
【0026】 また、上述した接続構造にあっては、さらに、継手鍔部の付け根部分に、円筒 部の先端から遠ざかる方向へ断面テーパ状に形成されたテーパ溝部を備え、継手 の円筒部に金属管の拡径部を外嵌する際、金属管の先端が前記鍔部付け根部分の テーパ溝部内に挿入される位置まで嵌めて構成することも考えられる。
【0027】 この場合には、金属管の拡径部の先端がテーパ溝部内に挿入されていることに より「仮り止め」の効果がある。つまり、円筒部に金属管拡径部を外嵌すること で両者の間の摩擦力にて一応の仮り止めにはなるが、さらに金属管の拡径部の先 端がテーパ溝部内にて外周方向からも押圧されることとなり、より仮り止めの作 用が強化されることとなる。したがって、例えば垂直配管を施工する場合に仮り 止めで金属管と継手との位置が不動となれば、その後のかしめ作業などを一人で 実施する場合に有効である。
【0028】 また、金属管の拡径部の先端がテーパ溝部内に挿入されていることは、かしめ 作業をする場合において、金属管の先端がさらに拡径してしまうことも防止でき る。つまり、継手円筒部に外嵌させた拡径部の内、継手の環状溝部を覆っている 部分を環状溝部内へかしめることとなるが、この部分は結果的に縮径することと なるので、その影響で金属管の先端は拡径する方向へ変形させる力を受ける。し たがって、金属管(の拡径部)の先端がテーパ溝部内に挿入されていれば、この 変形作用力によって変形、つまり先端が拡径してしまうことを防止できる。
【0029】 また、継手には、円筒部先端と環状溝部の間であって円筒部外周の所定位置に リング収納溝を備えるようにし、その溝内にシールリングを介装させておくと、 この継手構造を流体用配管に用いた場合でも、流体の漏れをシールできる点で有 効である。そして、シール状態をより確実に得るため例えばオーリング等を介装 して二重のシール構成とすること等は、管と継手との接続構造における慣用技術 として適宜採用することができる。シールリングの形状についても同様である。
【0030】 ところで、これまでの説明では「金属管」として説明したが、実際によく使用 される銅管の場合には特に効果的である。つまり、銅管は比較的軟らかいため、 上述したように作業時に銅管を必要長さに切断すると切断面が楕円状になること も多く、そのままで図4に示す従来方法での接続を行なうと種々の問題が生じ易 い。したがって、本接続構造を採用すれば、銅管と継手とを接続する場合に非常 に有効である。また、銅管の場合には、銅管の切断から始まり、銅管を継手に嵌 合したり、かしめたりする一連の作業を作業者自身が工具を使用して行なうこと が多いため、上述したように、銅管を拡径しないと継手との接続自体ができない ことは、適切な接続状態を確実に実現する点で特に有効である。もちろん、銅管 に限定されず、他の金属製の管でも同様に適用できる。
【0031】
【考案の実施の形態】
次に本考案の実施形態を説明する。 図1は本考案の一実施形態である金属管としての銅管と継手の接続構造を示す 断面図であり、(a)はかしめ前を示し、(b)はかしめ後を示す。図2は本実 施形態の接続構造を完成する作業工程の一例を示す説明図である。
【0032】 図1に示すように、本接続構造1は銅管5と継手10との接続構造である。ま ず、継手10について説明する。 継手10は、例えば材料としてBC6Cが用いられており、円筒部11と鍔部 21を備えている。鍔部21は、円筒部11の先端11aから所定距離(L1) の位置に設けられている。そして、その鍔部21の付け根部分には、円筒部11 の先端11aから遠ざかる方向へ断面テーパ状に形成されたテーパ溝部23が設 けられている。このテーパ溝部23の開口部分は銅管5の厚みよりも大きくされ ており、底部分は銅管5の厚みと同じあるいはそれよりも小さくされている。
【0033】 また、円筒部先端11aと鍔部21の間の所定位置には、円筒部11の外周に 環状溝部13が形成されている。本実施形態の環状溝部13は、図1に示すよう に、断面が半円状の「U字溝」とされている。 また、円筒部先端11aと環状溝部13の間の所定位置には、やはり円筒部1 1の外周にリング収納溝14が形成されており、そこにシールリング15が介装 されている。本実施形態では、このシールリング15は断面略円状のOリングと されている。
【0034】 一方、銅管5は、その先端5aから軸方向に所定距離(L2)までの部分が、 その内径の拡げられた拡径部7とされている。この拡径部7の長さに相当する所 定距離(L2)は、上述した継手10の円筒部11の長さに相当する所定距離( L1)よりも所定分(α)だけ長く設定してある。この所定分(α)は、銅管5 の先端5aが鍔部21の付け根にあるテーパ溝部23内に挿入される長さ及び後 述する「かしめ」によって移動する長さだけが最低あればよい。
【0035】 以上が、本実施形態の接続構造1を構成する銅管5と継手10の説明であった が、次に、これら銅管5と継手10とを接続して本実施形態の接続構造1を完成 するまでの作業手順を図2も参照しながら説明する。なお、本実施形態では、銅 管5を切断するところから説明する。 [作業工程1] まず、図2(a)に示すように、銅管5を必要な長さに切断する。この切断は 適当な管切断工具(チューブカッタ)を用いればよい。図2(a)に示す切断工 具30では、回転自在に支持されている切断刃31と、同じく回転自在に支持さ れた管保持ローラ33との距離を調整可能にされている。したがって、切断刃3 1と管保持ローラ33との間に銅管5を挟持し、切断刃31を銅管5の外周に食 い込ませた状態で銅管5と切断工具30とを相対的に回転させることで、銅管5 を切断することができる。 [作業工程2] 切断した銅管5については、切断面のバリ取りを行った後、切断端から所定距 離(L2)だけを拡径させる。この拡径は適当な拡径工具(エキスパンダ)を用 いればよい。図2(b)に示す拡径工具40は、円柱を軸方向に6分割したよう な形状のヘッド部41を備えており、拡径させる場合には、この6分割されたヘ ッド部41をそれぞれ径方向外側に移動させる。なお、このヘッド部41の長さ も調整可能とされている。本実施形態では、上述したように銅管5の拡径部7の 長さを上述した所定距離(L2)に形成したいので、ヘッド部41の長さをL2 にセットする。そして、ヘッド部41を銅管5の内部に挿入し、拡径を行なう。 本実施形態では、銅管5の内径を継手10の円筒部11の外径に対応するように 拡径して、拡径部7を形成することとなる。 [作業工程3] 続いて、継手10の円筒部11に銅管5の拡径部7を外嵌させる。この場合、 図1(a)に示すように、拡径部7の先端、つまり銅管5の先端5aを、継手1 0の鍔部21の付け根にあるテーパ溝部23内に挿入する。これによって「仮り 止め」ができる。つまり、円筒部11に拡径部7を外嵌させることで両者の間の 摩擦力にて一応の仮り止めにはなるが、さらに銅管5の先端5aがテーパ溝部2 3内にて外周方向からも押圧されれば、より仮り止めの作用が強化されることと なる。したがって、例えば垂直配管を施工する場合に仮り止めで銅管と継手との 位置が不動となれば、次に説明するかしめ作業などを一人で実施する場合に有効 である。 [作業工程4] 最後に、銅管5と継手10とを「かしめる」作業を行なう。このかしめ作業に 際しては適当な工具を用いればよいが、本実施形態では、上述した銅管5の切断 に用いた切断工具30(図2(a)参照)の一部を交換することでかしめ工具5 0を実現している。図2(c)に示すかしめ工具50は、図2(a)に示す切断 工具30の切断刃31をかしめ用ローラ51に交換しただけである。したがって このかしめ用ローラ51は回転自在に支持されており、また回転自在に支持され た管保持ローラ53との距離を調整可能にされている。
【0036】 かしめ作業時には、図2(c)に示すように、かしめ用ローラ51と管保持ロ ーラ53との間に、円筒部11に外嵌させた銅管5の拡径部7を挟持する。この 際、かしめ工具50のガイド部55を継手10の鍔部21に当接させると、その 状態でのかしめ用ローラ51の位置は、丁度、円筒部11に設けた環状溝部13 に対応する位置となる。つまり、このような位置関係となるように設定しておい たのである。
【0037】 そして、かしめ用ローラ51と管保持ローラ53との距離を縮めると、かしめ 用ローラ51が銅管5の拡径部7を環状溝部13内へ押圧するため、図1(b) あるいは図2(c)に示すようなかしめ部9が形成されることとなる。このよう にかしめ用ローラ51が銅管5の拡径部7を環状溝部13内へ押圧した状態で、 銅管5とかしめ工具50とを相対的に回転させれば、かしめ部9が全周にわたっ て形成される。これによって継手10と銅管5とが固着され、本接続構造1が完 成することとなる。
【0038】 なお、かしめ作業では、銅管5の拡径部7が環状溝部13内へ押しこまれて縮 径するように変形させられるため、拡径部7の軸方向の長さは多少短くなる。ま た、このような変形の影響で銅管5の先端5aは拡径する方向へ変形させる力を 受ける。しかし、本実施形態では、上述したように、銅管5の先端5aがテーパ 溝部23内に挿入されているため、この変形作用力によって変形、つまり先端が 拡径してしまうことを防止できる。
【0039】 以上説明した本実施形態の銅管5と継手10との接続構造1によれば、次のよ うな効果を奏する。 つまり、本接続構造1は、銅管5と継手10とを接続するのにロウ付けを必要 とせず、両者をメカニカルに接続する構造であるため、ロウ付けによる場合のよ うに作業時に火気を使用したり、また、銅管内が完全に乾燥していなければ作業 ができないなどの種々の不都合は生じない。そして、そのようなメカニカルに接 続する構造でありながら、上述した従来の接続構造に比べて、次のような非常に 有効な面がある。
【0040】 まず、銅管5を継手10の円筒部11に外嵌する構造であり、銅管5の先端5 aが継手10の鍔部21に当接する位置(本実施形態では環状溝部23内に挿入 されてそれ以上移動できない状態)が適切な接続状態であるため、その位置まで 銅管5が嵌められていなければ、接続状態が適切でないことが目視で容易に確認 できる。そして、従来技術のように作業者がマーキングする工程は本接続構造で は不要であるため、マーキングに頼ったチェックのように信頼性が低くなること がない。したがって、チェックする際に目視で確認し、不適切なものがあれば即 座に修正することができるので、施工後に銅管5が継手10から抜けてしまうと いう不都合を好適に防止することができるのである。
【0041】 また、銅管5の拡径部7の内径が拡径されるが、この内径は継手10の円筒部 11は外径と対応して拡径されたものである。つまり、拡径部7を円筒部11に 外嵌させる場合に隙間なく嵌入できるよう設定されているため、円筒部11の外 周部と拡径部7の内周部との間に不要な隙間はない。したがって、かしめた場合 に「かしめ状態」が不十分になることを防止できる。
【0042】 なお、銅管5の拡径部7はその内径を円筒部11の外径に合わせて拡径するた め、たとえ銅管5の肉厚が異なるものがあったとしても、その内径は必ず円筒部 11の外径に対応したものとなるという利点もある。 さらに、銅管5を拡径させる作業工程は、単に円筒部11の外径に対応した内 径にするというだけでなく、別の意味合いも持つ。つまり、作業時に銅管5を必 要長さに切断した場合には、実際には銅管5が軟らかいため切断面が楕円状にな ったり、縮径させてしまうことが考えられる。従来の接続構造においてそのよう な状況があった場合には、例えば楕円を真円に修正する工具や拡径工具を用いて 修正する必要がでてくる。したがって、本接続構造1において切断後に拡径作業 を必要としたとしても、それは従来に比べて常に作業工程を増やすというのでは ない。そして、逆に必ず拡径する作業が必要となれば、そのような工程を順次こ なしていかないと接続自体ができないようになり、適切な接続状態を得る点で有 効である。
【0043】 一方、部品点数の面で見ても、従来の場合には、図4(a)に示すように、継 手100を構成する部品として、継手本体101とステー部材107が最低限必 要であるが、比較的狭い場所や暗い場所で作業することの多い状況を考えると、 部品点数は少ない方がよい。特にステー部材107は継手本体101とは別体に なっているため無くし易かった。それに対して、本接続構造1における継手10 は、円筒部11に銅管5を外嵌させる構成であるため、従来のステー部材107 のような別部材は不要である。また、図4(b)に示すように、従来は銅管12 1を継手本体101の接続部103とステー部材107との間に挿入していたが 、本接続構造1では、単に銅管5を円筒部11に外嵌させるだけである。比較的 狭い場所や暗い場所で作業することの多い状況を考えると、その作業の単純さは 有利である。
【0044】 このように、本実施形態の銅管5と継手10との接続構造1は、銅管5と継手 10とを接続するのにロウ付けを必要とせず、両者をメカニカルに接続する構造 であることによる所定のメリットを持ちながら、接続後に外部から目視でその接 続状態が適切であるかどうかを判断でき、銅管5の肉厚の違いにも対応でき、さ らに従来構造でのステー部材のような別体の部材を必要としない接続構造を実現 できるという非常に有益な効果を発揮する。
【0045】 なお、本実施形態では、上述した[作業工程1]で用いた切断工具30(図2 (a)参照)の切断刃31をかしめ用ローラ51に交換しただけで、[作業工程 4]で用いるかしめ工具50を実現している。したがって、この交換をワンタッ チでできるようにしておけば、それぞれ専用の工具を準備する必要がなく、便利 である。
【0046】 以上、本考案は上記実施形態に何等限定されるものではなく、本考案の主旨を 逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。 例えば、上記実施形態では、円筒部11の環状溝部13を、図1に示すように 断面が半円状の「U字溝」として形成したが、図3(a)に示すように、「V字 溝」として形成した環状溝部113としてもよいし、あるいは図3(b)に示す ように、断面台形状の「台形溝」として形成した環状溝部213としてもよい。
【0047】 また、円筒部11の外周のリング収納溝14に収納するシールリング15につ いても、上記実施形態のOリングでなく、図3(a)に示すようなXリングその 他四角リングなど、シール機能を発揮する種々の形状のものが採用可能である。 また、シール状態をより確実に得るため、例えば図3(b)に示すように、2つ のシールリング215a,215bを介装して二重のシール構成とすること等、 管と継手との接続構造における慣用技術として適宜採用することができる。
【0048】 また、上記実施形態では、図1に示すように、継手10の内径は一定に形成さ れていた。つまり、円筒部11と鍔部21、あるいは円筒部11における環状溝 部13やリング収納溝14が形成されている部分とそうでない部分との違いにか かわらず、内径が同じであったが、図3(c)に示すように、継手10の余分な 肉厚をカットしてもよい。つまり、円筒部11の先端11aの部分や環状溝部1 3から鍔部21に移行する部分などにおいて、肉厚をカットしている。
【0049】 そして、上記実施形態では、金属管の一例としての銅管の場合で説明したが、 銅管に限定されず、他の金属製の管でも同様に適用できる。つまり、銅管をはじ めとして比較的軟らかい金属製の管の場合には、上記実施形態の切断工具30や かしめ工具50を作業者が用いて手作業で行なうことができるし、比較的硬い金 属製の管の場合には、例えば油圧駆動の切断装置やかしめ装置を用いればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の一実施形態である金属管としての銅
管と継手の接続構造を示し、(a)はかしめ前、(b)
はかしめ後を示す断面図である。
【図2】 銅管と継手とを接続する際の作業手順を示す
説明図である。
【図3】 別実施形態を説明するための断面図である。
【図4】 従来の銅管と継手との接続構造を示す部分断
面図である。
【符号の説明】
1…接続構造 5…銅管 5a…先端
7…拡径部 9…かしめ部 10…継手 11…円筒部 1
1a…先端 13,113,213…環状溝部 14…リング収納
溝 15,115,215a,215b…シールリング
21…鍔部 23…テーパ溝部 30…切断工具 31…切断刃
33…管保持ローラ 40…拡径工具 41…ヘッド部 50…かしめ工具 51…かしめ用ローラ 53…管保持ローラ
55…ガイド部

Claims (5)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端から軸方向に所定距離までの部分が
    拡径された金属管を、継手に嵌めて接続する構造であっ
    て、 前記継手は、 前記金属管の拡径部に対応する外径を有する円筒部と、 前記円筒部先端から前記金属管の拡径部に対応する所定
    距離の位置に設けられた鍔部と、 前記円筒部先端と前記鍔部の間の所定位置において前記
    円筒部外周に形成された環状溝部とを備えており、 前記継手の円筒部に、前記金属管の拡径部を、その先端
    が前記鍔部に当接する位置まで外嵌し、さらに前記環状
    溝部を覆っている前記金属管の拡径部を当該環状溝部内
    へかしめることによって前記継手と金属管とを固着させ
    たことを特徴とする金属管と継手の接続構造。
  2. 【請求項2】 前記継手は、前記鍔部の付け根部分にお
    いて、前記円筒部の先端から遠ざかる方向へ断面テーパ
    状に形成されたテーパ溝部を備えており、 前記継手の円筒部に前記金属管の拡径部を外嵌する際、
    前記金属管の先端が前記鍔部付け根部分のテーパ溝部内
    に挿入される位置まで嵌めたことを特徴とする請求項1
    に記載の金属管と継手との接続構造。
  3. 【請求項3】 前記継手は、前記円筒部先端と前記環状
    溝部の間であって前記円筒部外周の所定位置にリング収
    納溝を備えており、そのリング収納溝内にシールリング
    が介装されていることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の金属管と継手との接続構造。
  4. 【請求項4】 前記金属管は、所定長さに切断された
    後、その先端から軸方向に所定距離までの部分が拡径装
    置によって拡径されて構成されたものであることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属管と継手と
    の接続構造。
  5. 【請求項5】 前記金属管として銅管が用いられている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属
    管と継手との接続構造。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014211188A (ja) * 2013-04-18 2014-11-13 株式会社ニチリン 継手接続構造、およびそれを備える水道用ホース
JP2016032837A (ja) * 2014-07-30 2016-03-10 日新製鋼株式会社 接合管体及びその製造方法
JP2016165736A (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 日新製鋼株式会社 接合管体及びその製造方法
CN112534230A (zh) * 2018-08-03 2021-03-19 日本精工株式会社 转矩检测装置及其组装方法、电动式动力转向装置

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